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神学部・仏教学部(宗教系)

信仰がなくても学べる、人間と社会を映す鏡

神学部はおもにキリスト教、仏教学部は仏教を中心に、宗教の思想、歴史、経典、文化を学ぶ学部です。同じ宗教系でも、文学部の宗教学専攻とはちがいがあります。宗教学は、特定の宗教の立場に立たず、いろいろな宗教を外から比べて研究する学問です。神学部や仏教学部は、キリスト教や仏教を設立の土台にした大学に置かれ、その宗教の教えや伝統を内側から深く学び、宗教者を養成する役割ももっています。日本で神学部を置いているのは、同志社大学、関西学院大学、西南学院大学、上智大学、東京神学大学、東京基督教大学などで、学部の数も定員もごくわずかです(コトバンク)。仏教系では、駒澤大学の仏教学部(禅学科・仏教学科、定員198名)などがあり(東進)、神道系では國學院大學の神道文化学部や皇學館大学の文学部神道学科が神職の養成を担っています。

よくある勘違い

お坊さんや牧師になる人、信者の家の人だけが行く学部

実は

宗教者をめざす人もいますが、信仰をもたない学生も多く学んでいます。宗教の歴史や思想、経典の言葉、宗教と社会や国際問題の関係を研究する学部で、卒業生の多くは一般企業や公務員として働いています。

どんな学科・専攻がある?

神学部・仏教学部(宗教系)ではどんな授業がある?

押すと、その授業の中身が見られます。

実習・実験・研究

読む古典語・文献演習元の言葉や漢文で読む1回で数行のことも訪ねるフィールドワーク寺院・教会・神社・モスク行事を見て話を聞く体験する宗教者養成の実習宗教者をめざす人が大学の外でも行う書く卒業論文多くの大学で必修例:お盆の行事の違い身近なテーマで卒業論文を書く学生もいる読む・訪ねる・体験する・書く

宗教系の学部での手を動かす学びは、経典や史料を元の言葉で読む演習、寺院や教会、神社でのフィールドワーク、宗教の実践の体験、そして卒業論文です。古典語の授業では、辞書と文法書を手に、1行ずつ経典を読み解きます。宗教者をめざす人は、教会やお寺での実習、宗派の修行、神職の実習など、大学の授業とは別の訓練も受けます。卒業論文では、たとえば「お盆の行事は地域によってどうちがうのか」「なぜ日本の若者は占いや神社のお守りを好むのか」など、身近なテーマを選ぶ学生もいます。

古典語・文献演習少人数で、聖書や経典、宗教の古典を元の言葉や漢文で読みます。1回の授業で数行しか進まないこともあるほど、丁寧に読み込みます。
フィールドワーク寺院、教会、神社、モスクなどを訪ねて、行事を観察したり、宗教者や信者に話を聞いたりします。海外の宗教施設をめぐる研修を行う大学もあります。
宗教者養成の実習牧師、僧侶、神職をめざす人は、教会での実習、宗派の修行道場での修行、神社での実習などを経験します。大学の外で行うものも多くあります。
教育実習宗教の教員免許をとる人は、宗教系の中学校や高校で、宗教の授業を実際に担当します。
卒業論文4年生で、自分で選んだテーマについて研究し、論文にまとめます。多くの大学で必修になっています。

大学生活の流れ

1年宗教学概論や、学部の土台となる宗教の基礎、語学、教養科目を学びます。宗教系の大学では、全学部の学生が受ける宗教の授業や行事があることもあります。
2年聖書学、仏教思想史、古典語など、専門的な科目が増えます。宗教者をめざすかどうかで、取る科目が変わってくることもあります。
3年ゼミに所属し、自分の研究テーマを探します。大学によっては、この時期からコースに分かれます。就職活動の準備も始まります。
4年卒業論文に取り組みます。宗教者をめざす人は、教団や宗派の資格のための準備も進めます。
大学院神学研究科や仏教学研究科などに進み、研究を深めます。牧師などの宗教者になるために、大学院までの学びを求める教団もあります。

取れる資格・免許

中学校教諭一種免許状(宗教)・高等学校教諭一種免許状(宗教)宗教系の私立学校で宗教の授業を担当するための教員免許です。同志社大学神学部や花園大学仏教学科など、とれる大学は限られています。
教師(牧師)の資格・神学校としての認定キリスト教の教団によっては、決められた大学の神学部や大学院を、牧師を養成する学校として認めています。たとえば同志社大学神学部は、日本基督教団の認可神学校です。資格を得るには、教団の試験などが別に必要です。
僧侶の資格(各宗派)僧侶になるには、それぞれの宗派が定めた修行や試験を経る必要があります。宗派の大学で決められた科目を学ぶことが、その条件の一部になっている場合があります。
神職の資格(階位)神社の神職になるための資格です。國學院大學や皇學館大学の決められた課程を修了すると、神社本庁の神職の資格を得るための科目を学べます。
学芸員博物館や美術館の専門職の国家資格です。寺社の宝物館や博物館で、仏像や宗教美術を扱う仕事につながることがあります。

神学部・仏教学部(宗教系)の卒業後の進路

神学部・仏教学部一般の仕事へ(多い)宗教者へ一般企業メーカー・金融・小売・IT公務員地方自治体の職員など宗教系の学校の先生宗教の教員免許が必要福祉・医療の現場病院、高齢者施設、ホスピス葬祭・仏具の会社宗教の知識がそのまま役立つ国際協力・NGO宗教系の団体の海外支援大学院へ進むまたは教団の研修・修行牧師・神父僧侶・神職教会・お寺・神社家がお寺や神社で、後を継ぐために学ぶ人も多い同志社大学 神学部の例一般就職を希望した人の就職率は、近年おおむね9割前後2023年度の大学院進学18.4%信仰をもたない学生も多く学んでいる卒業生の多くは一般企業や公務員へ
同志社大学神学部パンフレットより

宗教系の学部の卒業生は、宗教者になる人ばかりではなく、一般企業や公務員に就職する人も多くいます。たとえば同志社大学の神学部では、一般就職を希望した学生の就職率が近年おおむね9割前後で、2023年度は卒業生の18.4%が大学院に進学しました(同志社大学神学部パンフレット)。宗教者になる人は、大学院まで進んだり、教団の研修や修行を経たりしてから、牧師、僧侶、神職として働きます。人の悩みに寄りそう力や、異なる文化を理解する力を生かして、福祉、教育、国際関係の仕事に進む人もいます。

牧師・神父・僧侶・神職などの宗教者教会、お寺、神社で、礼拝や法要、祭りを行い、地域の人々の相談にのります。家がお寺や神社で、後を継ぐために学ぶ人も多くいます。
宗教系の学校の先生 ›キリスト教系や仏教系の中学校や高校で、宗教や聖書の授業を担当します。宗教の教員免許が必要です。一般企業 ›メーカー、金融、小売、旅行、ITなど、さまざまな企業で営業、企画、事務などの仕事をします。公務員 ›地方自治体の職員などとして働く人もいます。同志社大学の神学部からも、地方公務員の試験に合格する人が毎年出ています。
福祉・医療の現場病院や高齢者施設、ホスピスで、宗教者として心のケアにかかわる仕事や、福祉の職員として働く道があります。
葬祭・仏具・冠婚葬祭業お葬式や法事、結婚式などを扱う会社や、仏壇や仏具を扱う会社で働く人もいます。宗教の知識がそのまま役立つ仕事です。
国際協力・NGO宗教系の団体が運営する国際協力の団体やNGOで、海外の支援活動にかかわる人もいます。
大学院進学・研究者宗教学、神学、仏教学の研究者をめざして大学院に進む人もいます。

もっと知りたい人へ

宗教学(文学部)とのちがい

宗教について学べる場所には、神学部や仏教学部のほかに、文学部の宗教学専攻があります。宗教学は、特定の宗教の立場に立たず、キリスト教も仏教も神道も新しい宗教も、同じように研究の対象として外から比べる学問です。神学部や仏教学部は、キリスト教や仏教を設立の土台にした大学に置かれ、その宗教の教えや伝統を内側から深く学び、宗教者を育てる役割ももっています。ただし、神学部や仏教学部でも、信仰をもつことが入学や卒業の条件になることは基本的にありません。

どちらを選ぶか

特定の宗教の思想や経典を深く読み込みたい人、宗教者になる道も考えている人は、神学部や仏教学部が合っています。いろいろな宗教を比べたい人、宗教と社会の関係を広く研究したい人は、文学部の宗教学専攻も検討するとよいです。

宗教系の大学のほかの学部

宗教系の大学では、ほかの学部でも宗教に関する授業が必修になっていることがあります。神学部や仏教学部は、その大学の建学の精神を受け継ぐ中心的な学部でもあります。

向いている人

「人はなぜ祈るのか」「生きる意味とは何か」といった問いに関心がある人に向いています。また、歴史、哲学、言葉、文化に興味がある人も、宗教を通して深く学べます。世界のニュースで、宗教がかかわる対立や問題を見て、もっと知りたいと思った人にも向いています。一方で、古い言葉や難しい思想の文章をじっくり読むことが多いので、すぐに答えを求めるより、時間をかけて考えることが好きな人のほうが楽しめます。

信仰がない人でも大丈夫

信仰をもたない学生も多く、宗教を学問として学ぶ姿勢があれば問題ありません。むしろ外からの視点が、議論を深めることもあります。

お寺や教会、神社の家の人

後を継ぐことを考えている人にとっては、宗派の教えや歴史を体系的に学び、資格につなげることができる場所です。同じ立場の仲間と出会えることも心強い点です。

高校生のうちに(文理・受験科目)

宗教系の学部の入試は文系型で、英語、国語、地理歴史または公民の3科目が中心の大学が多くあります。総合型選抜や学校推薦型選抜を行う大学も多く、宗教や思想に関心をもった理由を問われることがあります。高校の世界史や倫理は、宗教の歴史や思想を学ぶうえで直接役立ちます。古文や漢文も、日本の仏教や神道の文献を読むときに役立つので、苦手にしないでおくとよいです。

普段からできること

近くのお寺や教会、神社を訪ねてみる、宗教がかかわる世界のニュースを読む、聖書や仏教の入門書を読んでみる、といったことが入学後の学びにつながります。

オープンキャンパスで確かめる

宗教系の学部は大学ごとの特徴が大きいので、オープンキャンパスで実際の授業や学生の様子を見て、自分に合うかを確かめるのがおすすめです。

よくあるギャップ

入学前は「お経やお祈りを覚える学部」と思っていた人が、実際には歴史や哲学、語学の勉強が中心であることに驚くことがあります。古典語の授業は文字から覚える必要があり、思っていたより大変だと感じる人も多いです。また、学部の人数が少ないので、先生や仲間との距離がとても近い反面、人間関係が濃くなります。就職活動では、宗教を学んだことをどう仕事に生かせるかを、自分の言葉で説明できるようにしておくことが大切です。

少人数ならではのよさ

学部の定員が少ないので、先生に直接質問したり、相談したりしやすい環境です。たとえば同志社大学の神学部は、入学定員63人、学生数約280人です。

宗教者の道は長い

牧師や僧侶、神職になるには、大学を卒業したあとにも、大学院や修行、研修など長い準備が必要な場合があります。早めに教団や宗派の情報を集めておくと安心です。

宗教を学ぶ意味

宗教は、世界の多くの人の生き方や考え方、社会のルールに深くかかわっています。たとえば、海外の取引先とのやりとりでは、食べ物のルールや祝日、礼拝の時間など、相手の宗教を理解しておくことが大切です。日本国内でも、外国から来て働く人や観光客が増え、さまざまな宗教の人と共に暮らす場面が増えています。また、お葬式やお墓、初詣や七五三など、私たちの生活の行事にも宗教は深く根づいています。宗教を学ぶことは、人間と社会を深く理解することにつながります。

国際問題と宗教

中東やアジアなど、世界の紛争や国際問題の背景には、宗教がかかわっていることがあります。宗教の知識は、ニュースを正しく理解するための大切な手がかりです。

心のケアと宗教

災害や病気など、つらい経験をした人の心に寄りそう活動に、宗教者がかかわる場面があります。病院や被災地で心のケアを行う宗教者を育てる取り組みも行われています。

よくある質問

信仰がなくても入学できますか。

多くの大学では、信仰をもっていることは入学の条件ではありません。信仰をもたない学生も多く学んでいます。宗教者をめざす場合は、教団の条件が別にあることがあります。

卒業したら必ず宗教者にならないといけませんか。

そのようなことはありません。卒業生の多くは、一般企業や公務員、教員などとして働いています。宗教者をめざすかどうかは、自分で決められます。

神学部と宗教学専攻はどうちがいますか。

神学部は、キリスト教などの特定の宗教の教えや伝統を内側から深く学び、宗教者を育てる役割ももつ学部です。宗教学専攻は、特定の宗教の立場に立たず、いろいろな宗教を比べて研究する学問を学びます。

仏教学部ではお経を覚えますか。

お経を暗記することが中心ではありません。仏教の歴史や思想を学び、経典の内容を元の言葉や漢文で読み解くことが中心です。僧侶をめざす人は、宗派の修行の中でお経を学びます。

神社の神職になるにはどうすればいいですか。

神道系の大学である國學院大學や皇學館大学の決められた課程で学ぶのが代表的な方法です。ほかに、神職養成講習会や神職養成所で学ぶ方法もあります。

就職活動で不利になりませんか。

宗教系の学部だからという理由で不利になることは基本的にありません。異なる価値観を理解する力や、難しい文章を読み解く力は、どの仕事でも生かせます。学んだことを自分の言葉で説明できるようにしておくことが大切です。

どんな言葉を学びますか。

神学部ではヘブライ語やギリシア語、ラテン語、アラビア語など、仏教学部ではサンスクリット語、パーリ語、チベット語、漢文などを学ぶことがあります。大学によって学べる言葉はちがいます。

宗教の先生になるにはどうすればいいですか。

宗教の教員免許がとれる大学で、教職課程の科目を取り、教育実習に行く必要があります。そのうえで、宗教系の私立学校の採用試験を受けます。

イスラームについても学べますか。

大学によっては学べます。たとえば同志社大学の神学部では、キリスト教に加えて、ユダヤ教やイスラームも幅広く学ぶことができます。

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