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電圧を測ろう

工学部

機械いじりだけじゃない

工学部は、理学で明らかになった自然の法則を使って、ものやしくみを作る学部です。橋や建物、ロボット、自動車、半導体、薬の製造プロセス、エネルギーなど、学科によって対象がまったく違います。数学と物理(化学系は化学)を土台に、実験・製図・プログラミングなど手を動かす授業が多いのが特徴です。国立大学では卒業生の7〜8割が大学院に進む例もあり、修士修了後にメーカーや建設、インフラ企業の技術職につく人が多いです。たとえば、スマホ、電車、エアコン、ビル、水道、ゲーム機など、身の回りで動いているもののほとんどに工学の技術が使われています。

よくある勘違い

工学部は機械や工場の仕事をする人のための学部

実は

工学部の分野は、建物、電気、半導体、材料、化学プロセス、バイオ、環境、情報、宇宙までとても広いです。科学の知識を使って、社会の役に立つものやしくみを設計する学部です。

どんな学科・専攻がある?

工学部ではどんな授業がある?

押すと、その授業の中身が見られます。

実習・実験・研究

実験する引っ張り試験、回路の測定、化学物質の合成などレポートを書く結果と考察をまとめて提出チェックされる書式や考察の質を厳しく見る再提出次の週2〜3年生の工学実験週に1〜2回、半日ほどかけて実験し、毎週レポートを提出する4年生は研究室に入り、1年かけて卒業研究実験とレポートをくり返して力をつける

工学部は「手を動かす」授業がとても多い学部です。2〜3年生では学科ごとの「工学実験」が毎週あり、測定、加工、回路の組み立て、化学合成などを行って、結果をレポートにまとめます。レポートは書式や考察の質を厳しくチェックされ、再提出になることもあります。機械系の製図や建築系の設計演習では、締め切りまでに図面や模型を仕上げる必要があり、課題が重なる時期はかなり忙しくなります。4年生では研究室に入り、卒業研究として実験装置を作ったり、シミュレーションを行ったりします。企業との共同研究を行う研究室も多く、学会発表を経験する学生もいます。

工学実験(学生実験)2〜3年生で、学科の基本的な実験を週に1〜2回、半日ほどかけて行います。材料の引っ張り試験、電気回路の測定、化学物質の合成などを行い、毎週レポートを提出します。
工作・ものづくり実習旋盤やフライス盤などの工作機械を使って金属を加工したり、グループでロボットや小さな製品を作ったりします。設計から製作、発表まで行うプロジェクト型の授業もあります。
製図・設計演習機械系では部品や機械の図面、建築系では建物の設計図と模型を作ります。建築学科の設計課題は数週間ごとに締め切りがあり、講評会で自分の作品を説明します。
インターンシップ夏休みなどに企業で1〜2週間ほど働く体験をします。単位として認める大学もあります。工場や建設現場、研究所の仕事を実際に知ることができます。
研究室配属と卒業研究4年生で研究室に入り、1年間テーマに取り組みます。実験装置の製作、シミュレーション、試作品の評価などを行い、年度末に卒業論文と発表会があります。
大学院入試の準備大学院へ進む人は、4年生の夏ごろに大学院入試を受けます。数学・物理・専門科目・英語(TOEICのスコア提出など)が課されることが多く、研究と並行して勉強します。

大学生活の流れ

1年微分積分、線形代数、物理、化学、プログラミング入門など、理系の基礎を固めます。学科の導入科目でものづくりを体験する大学もあります。
2年4力学や電気回路など学科の専門の基礎科目と、工学実験が始まります。課題とレポートが一気に増える時期です。
3年より専門的な講義と実験、設計の課題が中心になります。インターンシップに参加し、研究室選びや大学院進学・就職の方向を決めます。
4年研究室で卒業研究に取り組みます。大学院入試を受ける人、就職活動をする人に分かれます。学部卒の就職では、大学の推薦制度を使う人もいます。
大学院修士課程(2年)で研究を深め、学会発表なども経験します。修士1年の夏ごろからインターンシップなど就職活動を始め、修了後にメーカーなどの技術職につく人が多いです。

取れる資格・免許

一級建築士・二級建築士(受験資格)建築学科などで国土交通大臣が指定する科目を修めて卒業すると、卒業後すぐに受験できます(一級建築士の免許登録には2年以上の実務経験が必要)。2025年の一級建築士試験の合格率は総合11.4%でした。
電気主任技術者(認定)経済産業大臣の認定を受けた大学の学科で必要な科目を修めて卒業し、実務経験を積むと、試験なしで免状を申請できます。大学卒の場合、第三種は1年以上、第二種は3年以上、第一種は5年以上の実務経験が必要です。
技術士(第一次試験の免除)JABEE認定プログラムを修了すると、技術士の第一次試験が免除され、修習技術者になれます。その後、実務経験を積んで第二次試験に合格すると技術士になれます。令和7年度の第二次試験の合格率は対受験者で11.4%でした。
甲種危険物取扱者(受験資格)応用化学など化学に関する学科を卒業するか、化学の科目を15単位以上取ると受験資格が得られます。化学メーカーやプラントで役立ちます。
測量士補大学で測量に関する科目を修めて卒業すると、申請によって資格が得られる場合があります(土木系などで多い)。
教員免許(数学・理科・工業)中学・高校の数学・理科、高校の工業の教員免許を取れる大学があります。
弁理士(理系の知識が強みに)特許などの専門家で、大学とは別に国家試験を受けます。令和7年度の合格者の82.0%が理工系の出身でした。

工学部の卒業後の進路

工学部大学院へ修士課程(2年)で研究を深めてから就職多い学部卒で就職学校推薦の制度が残る大学もある技術職として働く人が大半メーカーもっとも多い設計・開発・生産技術研究・開発職修士修了者が中心建設施工管理・設計インフラ電力・ガス・鉄道・通信IT・情報通信組み込みソフトなど公務員(技術職)道路・河川・建築確認コンサル・技術営業インフラ計画・提案国立大学では、大学院へ進む人が多い修士を出てから技術職につく人が多い
大学院進学率の例:千葉大学工学部74.1%(令和7年度卒業生)、東京科学大学工学院83.1%(2024年度卒業者)

工学部の卒業生は、メーカー、建設、電力・ガス、鉄道、通信、ITなどで、設計・開発・生産技術・施工管理などの技術職につく人が大半です。国立大学では大学院進学が多く(例:千葉大学工学部の令和7年度卒業生の進学率は74.1%、東京科学大学工学院の2024年度卒業者は83.1%)、修士修了後に就職する人が多いのが特徴です。研究室の先生を通じた推薦(学校推薦)で就職する制度が残る大学もあります。公務員の技術職や、技術の知識を生かした営業職・コンサルタントになる人もいます。

メーカー(自動車・電機・機械・化学・素材・半導体) ›工学部の就職先で最も多いのがメーカーです。新製品の設計・開発、工場の生産技術、品質保証、研究などを担当します。機械・電気・化学・材料のどの学科からも多く進みます。たとえば、新しい電気自動車のモーターの設計、エアコンの省エネ性能の改良、工場の生産ラインの改善などを担当します。メーカーの研究・開発職 ›修士修了者を中心に、新しい技術や材料、次の世代の製品を研究します。大学院での研究内容が評価されることも多いです。たとえば、次の世代の電池や、より速く電気を使わない半導体、軽くて強い新素材などを研究します。建設(ゼネコン・設計事務所・ハウスメーカー) ›建築学科・土木工学科の出身者が多く進みます。建物やインフラの設計、工事現場を管理する施工管理などを担当します。たとえば、駅前の再開発ビルや高速道路の工事で、設計図をもとに現場の工程・安全・品質を管理します。インフラ(電力・ガス・鉄道・通信) ›発電所や送電網、ガス、鉄道、通信ネットワークなど社会を支える設備をつくり、守る仕事です。電気・機械・土木の出身者が多いです。たとえば、台風で停電したときに電気を復旧させたり、電車が安全に走れるように線路や信号を整備したりします。IT企業・情報通信 ›情報工学科はもちろん、機械や電気の出身者もプログラミングの力を生かしてエンジニアになります。組み込みソフトウェアなど、ものづくりとITの境目の仕事もあります。たとえば、車の自動ブレーキや炊飯器の炊き方を決める「組み込みソフト」も、工学部出身のエンジニアが作っています。公務員(技術職) ›国土交通省や都道府県・市町村の土木・建築・電気・機械などの技術職です。道路や河川の整備、公共施設の管理、建築確認などを担当します。たとえば、市役所で道路や橋の点検・補修の計画を立てたり、新しい公園や学校の工事を発注・監督したりします。コンサルティング・建設コンサルタント ›技術の知識を使って、企業の課題を解決したり、国や自治体のインフラ計画を設計したりします。たとえば、市から依頼を受けて、新しい道路をどこに通すか、洪水を防ぐ堤防をどう作るかを調査・設計します。商社・技術営業 ›機械やプラント、化学品などを扱う商社や、メーカーの技術営業として、技術を理解したうえでお客さまに提案する仕事です。たとえば、工場向けのロボットや発電設備を、お客さまの工場の困りごとを聞いたうえで提案し、導入まで支えます。

もっと知りたい人へ

学科選びが一番大事

工学部は「工学部」という一つの学部でも、学科によって学ぶ内容、使う知識、就職先がまったく違います。機械工学科と建築学科と応用化学科では、入学後に共通する授業は1年生の基礎科目くらいです。「工学部に行きたい」だけでなく、「何を作りたいか」「どんな問題を解決したいか」を考えて学科を選びましょう。最近は、入学後に学科を選べる「学科一括募集」の大学もあります。

迷ったら「つぶしがきく」学科も

機械工学や電気電子工学は、自動車、電機、エネルギー、ロボットなど多くの業界で必要とされる基礎分野です。やりたいことがまだ決まっていない人にも選ばれやすい学科です。

学科一括募集の大学

1年生のあいだに複数の分野を学んでから、2年生で学科を選ぶしくみの大学もあります。ただし人気の学科は成績順で決まることが多いです。

大学院進学と就職のしくみ

工学部では、メーカーの研究・開発職を中心に修士修了者の採用が多いため、大学院に進む人が多いです。国立大学では7〜8割が進学する例もあり、私立大学では学部卒で就職する人の割合が高い大学も多いです。理系の就職では、研究室や大学を通じた「学校推薦」の制度を使う人もいます。学部4年+修士2年の6年間で考えるのが工学部の一般的な道です。

学校推薦とは

企業が大学や学科に推薦の枠を出し、学内で選ばれた学生が応募するしくみです。最近は自由応募が増え、推薦の役割は企業によって違います。

インターンシップの重要性

修士1年の夏などのインターンシップが、その後の採用につながることもあります。研究と就職活動の両立が大変な時期です。

建築学科は特別?

建築学科は工学部の中でも、デザイン(意匠)の要素が強い学科です。構造計算や材料、設備など理系の科目に加えて、設計演習で図面と模型を作り、自分の考えを発表します。指定の科目を修めて卒業すると、一級建築士試験を卒業後すぐ受験できます。一級建築士は合格率が低く(2025年は総合11.4%)、働きながら何年もかけて合格をめざす人も多いです。

絵がうまくないとだめ?

絵の上手さよりも、空間を考える力や、アイデアを図面や模型で伝える力が大切です。CADなどのソフトも大学で学びます。

建築学科は芸術系にもある

建築系の学科は、工学部のほか芸術系の学部や、独立した建築学部に置かれていることもあります。

向いている人

ものを作ったり分解したりするのが好きな人、「もっと便利にできないか」と考えるのが好きな人、チームで協力して何かを完成させたい人に向いています。工学は「正解が一つではない問題」に、コストや安全性も考えながら最適な答えを出す学問なので、現実的にバランスを考えられる人も向いています。数学と物理を道具として使い続けるので、苦手なままでは苦労します。

チームで動く力

実験やものづくりの授業、研究室、そして就職後の仕事も、チームで進めることがほとんどです。人と協力するのが好きな人は強みになります。

社会の課題に関心がある人

エネルギー、環境、防災、高齢化など、社会の課題を技術で解決したい人にとって、工学はやりがいの大きい分野です。

高校生のうちに(文理・受験科目)

理系コースで数学III・Cまで学び、理科は物理と化学を求める大学が多いです。物理は機械・電気・建築・土木などで特に大事です。化学系や生物系の学科では、物理の代わりに生物で受験できる場合もあるので、学科ごとに確認しましょう。大学入学共通テストでは「情報I」も多くの国立大学で必要です。

物理は避けないほうがいい

機械・電気・建築・土木では、入学後に物理の知識を前提とした授業がすぐに始まります。受験で使わない場合でも、高校物理を学んでおくと入学後に困りません。

ものづくりの経験を

ロボットコンテストや自由研究、プログラミング、模型づくりなど、手を動かした経験は、学科選びや推薦・総合型選抜で役立つことがあります。

よくあるギャップ

「すぐにロボットや車を作れる」と思って入学すると、1〜2年生は数学と物理の基礎がほとんどで戸惑うことがあります。実際にものを作る授業が本格化するのは2〜3年生以降です。また、実験レポートや設計課題の量が多く、ほかの学部の友人より忙しいと感じる人も多いです。一方で、学んだ理論が実際の製品や建物につながっていることを実感できるのは大きな魅力です。

女子学生は増えている

工学部は男子が多い学部ですが、女子学生を増やす取り組みをする大学が増えています。建築や化学系の学科では女子の割合が比較的高い大学もあります。

技術職でも人と話す

技術者の仕事は、黙々と設計するだけではなく、ほかの部署やお客さまとの打ち合わせ、説明がとても多いです。

よくある質問

工学部と理学部の違いは何ですか?

理学部は自然のしくみそのものを解明すること、工学部はその知識を使って役に立つものやしくみを作ることが目的です。ただし重なる部分も多く、就職先も似ていることが多いです。

物理が苦手でも工学部に行けますか?

機械・電気・建築・土木では物理がとても大切で、苦手なままだと入学後に苦労します。化学系や生物系の学科では、化学や生物を中心に学ぶので、物理の比重は小さくなります。

大学院まで行かないと就職できませんか?

学部卒で就職する人もたくさんいます。ただし、メーカーの研究・開発職では修士修了者の採用が多いので、その仕事をめざすなら大学院進学を考える人が多いです。

工学部の勉強はどのくらい大変ですか?

実験レポート、設計課題、演習など、授業以外の課題が多いです。特に2〜3年生は忙しくなりやすいですが、計画的に進めればアルバイトやサークルと両立している人も多くいます。

建築士になるにはどうすればいいですか?

建築学科などで指定の科目を修めて卒業すると、一級建築士試験を受けられます。合格後、免許の登録には2年以上の実務経験が必要です。二級建築士から始める人もいます。

工学部でもプログラミングは必要ですか?

どの学科でもプログラミングを学ぶことが多くなっています。設計やシミュレーション、データの解析、機械の制御など、使う場面がとても多いからです。

JABEEって何ですか?

技術者教育の質を認定するしくみで、認定されたプログラムを修了すると、技術士の第一次試験が免除されます。大学の学科ごとに認定されているので、志望する学科が認定を受けているか確認しましょう。

女子は工学部で浮きませんか?

男子が多い学部ではありますが、女子学生は少しずつ増えています。建築や化学系の学科では女子の割合が比較的高いことが多く、女子学生を支援する取り組みを行う大学もあります。

工学部から文系の仕事にもつけますか?

つけます。技術営業、コンサルタント、商社、金融などに進む工学部出身者もいます。技術の知識があることが強みになる仕事も多いです。

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