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社会科学部

法律も経済も政治も、ひとつの問題のために使う

社会科学部は、社会を研究する学問(社会科学)である法学、政治学、経済学、経営学・商学、社会学などを、学部の中で横断的に学ぶ学部です。代表的なのは早稲田大学の社会科学部で、1966年に夜間の学部として生まれ、2009年に昼間の学部に移りました。たとえば「空き家が増えている」という問題に対して、所有者の権利(法学)、固定資産税や不動産の値段(経済学)、市役所の対策(政治学・行政学)、地域の人間関係(社会学)を組み合わせて考えます。学部の名前は「社会学部」とよく似ていますが、学ぶ範囲がずっと広いのが最大のちがいです。

よくある勘違い

社会科学部は社会学部と同じで、名前がちょっとちがうだけ

実は

実は、社会科学部は法学、政治学、経済学、商学、社会学などをまとめて学ぶ学部です。一つの学問を深めるより、いくつもの学問を組み合わせて社会の問題を解くことをめざします。

どんな学科・専攻がある?

社会科学部ではどんな授業がある?

押すと、その授業の中身が見られます。

実習・実験・研究

社会科学部の手を動かす学びは、ゼミと卒業論文が中心です。ゼミは、法律、政治、経済、経営、社会学など、先生の専門によってまったく内容がちがうので、どのゼミを選ぶかで大学生活の後半が大きく変わります。たとえば、経済学のゼミではデータを使った分析をくり返し、法学のゼミでは判例を読んで発表し、社会学のゼミでは地域でフィールドワークをします。学際的な学部なので、「法律と経済の両方を使ったテーマ」で卒論を書く人もいます。選べる範囲が広いぶん、自分で何を学ぶか決める主体性が求められ、なんとなく単位を集めると専門性が身につきにくいという大変さがあります。

専門ゼミ3〜4年生で少人数のゼミに入ります。毎週、文献の発表や議論をし、夏には合宿をするゼミもあります。人気のゼミには選考(レポートや面接)があります。
卒業論文ゼミの先生の指導のもとで、自分でテーマを決めて書きます。経済の分析、法律の解釈、社会の調査など、書き方はテーマによってさまざまです。
フィールドワーク型の授業地域や企業に出かけて調べる授業です。たとえば、商店街の人に話を聞いて活性化の案を考え、発表します。
英語で学ぶ授業・留学英語で行われる専門の授業を、日本語の学生も取ることができます。交換留学で海外の大学で学ぶ人もいます。

大学生活の流れ

広く学んでから、しぼっていく1年法学・政治学・経済学・社会学などの入門を幅広く2年興味のある分野の専門科目。経済ならミクロ・マクロ3年ゼミに入り、専門をしぼる4年卒業論文に取り組むゼミの中身は、先生の専門でまったく違う経済のゼミデータを使った分析をくり返す法学のゼミ判例を読んで発表する社会学のゼミ地域でフィールドワーク法律と経済の両方を使ったテーマで卒論を書く人もなんとなく単位を集めると、専門性が身につきにくい自分で何を学ぶかを決めて、しぼる
1年法学、政治学、経済学、社会学などの入門科目を幅広く学びます。英語や第二外国語も多めです。いろいろな分野にふれて、自分が何に興味があるかを探す時期です。
2年興味のある分野の専門科目が増えます。たとえば経済に興味があればミクロ経済学やマクロ経済学、法律ならば憲法や民法を深めます。ゼミを選ぶ準備をする時期です。
3年ゼミに入り、専門をしぼって学びます。インターンシップに参加するなど、就職活動の準備も始まります。
4年卒業論文に取り組みながら、就職活動を進めます。学部で選んだ分野と関係のある業界に進む人も、まったく別の業界に進む人もいます。
大学院特定のテーマを研究したい人が進みます。早稲田大学の大学院社会科学研究科では、地球社会や政策をテーマにした研究ができます。

取れる資格・免許

教員免許(中学社会・高校公民・高校地理歴史など)教職課程を取ることで、社会科系の教員免許を取れる場合があります。卒業に必要な単位とは別に、教職の授業と教育実習が必要です。
日商簿記検定会計学の授業と内容が重なる民間の検定です。2級まで取ると、経理や金融の仕事をめざすときに知識の証明になります。
ファイナンシャル・プランナー(FP)お金の管理や保険、税金の知識を証明する資格です。経済や金融の授業と相性がよく、金融業界をめざす人が取ることがあります。
宅地建物取引士不動産の取引に必要な国家資格です。民法の知識が試験に役立つので、法律系の科目を学んだ人が挑戦することがあります。
公務員試験資格ではありませんが、社会科学部の学びと関係が深い進路です。憲法、民法、行政法、経済学、政治学など、試験に出る科目の多くを学部の授業で学べます。
社会調査士大学によっては、指定科目を取って社会調査士を申請できます。アンケートやデータ分析の基礎ができる証明です。開講しているかどうかは大学ごとにちがいます。

社会科学部の卒業後の進路

社会科学部経済・会計を多く学ぶ法律・政治を多く学ぶ社会学・メディアを多く学ぶ金融銀行・証券・保険コンサル会社の課題を分析して提案公務員試験科目と授業が重なる国家公務員地方公務員をめざす人も広告広告会社で企画マスコミ新聞・テレビ・出版どれを選んでも進む業界メーカーIT・通信商社不動産・建設履修の選び方で、進路の傾向が変わる広い基礎は、どの業界にもつながる
進路は「傾向」で、選んだ分野と関係のない業界に進む人もいます

社会科学部の卒業生は、金融、メーカー、IT、商社、マスコミ、公務員など、とても幅広い業界に就職しています。学部で法律、経済、経営などを広く学ぶので、どの業界の仕事にもつながる基礎があります。経済や会計を多く学んだ人は金融やコンサルティング、法律や政治を多く学んだ人は公務員、社会学やメディアを多く学んだ人は広告やマスコミ、というように、履修の選び方で進路の傾向が変わるのが特徴です。

金融(銀行・証券・保険) ›文系学部の中でも多い進路です。経済学や会計学の知識が仕事の土台になります。メーカー ›営業、企画、経理、人事などで働きます。経営学やマーケティングの知識が生きます。IT・通信 ›営業や企画、コンサルティングの職種で働く人が増えています。公務員 ›国家公務員、地方公務員をめざす人もいます。公務員試験の科目と学部の授業が重なる部分が多いです。コンサルティング ›会社の課題を分析して解決策を提案する仕事です。法律、経済、経営をまたいで考える力が求められます。総合商社・専門商社 ›世界中でものを売り買いし、事業に投資する会社です。英語で学ぶ授業や留学の経験が生きることがあります。マスコミ・広告 ›新聞社、テレビ局、出版社、広告会社などです。社会問題を多角的に考える力が取材や企画に生きます。不動産・建設 ›デベロッパーや住宅会社などです。民法や都市政策の知識が仕事に役立ちます。

もっと知りたい人へ

社会科学部と社会学部のちがい

一番よく聞かれる疑問です。社会学部は「社会学」という一つの学問を深く学ぶ学部で、人のつながりや集団、文化を中心に研究します。社会科学部は、社会学を含む「社会科学」全体、つまり法学、政治学、経済学、商学、社会学などを横断して学ぶ学部です。たとえば「コンビニで働く外国人が増えた」という現象を考えると、社会学部では外国人と地域の人の関係や暮らしを中心に調べます。社会科学部では、それに加えて、外国人の在留資格の法律(法学)、人手不足と賃金の関係(経済学)、受け入れを決める国の政策(政治学)まで、いくつもの学問を使って考えます。広く学びたい人には社会科学部、社会学を深めたい人には社会学部が合っています。

1年生の時間割のちがい

社会学部の1年生は社会学概論など社会学の入門が中心です。社会科学部の1年生は、法学入門、経済学入門、政治学入門などを並べて学ぶ形が多いです。

どちらもゼミで専門をしぼる

どちらの学部も3年生のゼミで専門をしぼります。社会科学部で社会学のゼミに入れば、社会学部とかなり近い学びになります。

似た名前の学部

人間科学部、総合政策学部、教養学部なども、いくつかの学問をまたいで学ぶ点で社会科学部と似ています。総合政策学部は政策づくりや情報技術、教養学部は人文学や自然科学まで含めることが多いです。

学際的に学ぶとはどういうことか

学際的とは、一つの学問の枠にとどまらず、いくつもの学問をまたいで考えることです。社会の問題は、一つの学問だけで答えが出ることはほとんどありません。たとえば「スマホ依存」を考えると、アプリ会社の利益の仕組み(経営学)、子どもを守るための規制(法学)、親子関係や友人関係(社会学)など、いくつもの見方が必要です。社会科学部では、こうした見方を学部の中でまとめて学べます。早稲田大学の社会科学部は「社会科学の総合的学際的研究と教育」を理念にしており、環境に詳しい会計の専門家や、経済に通じた法律家などを育ててきたとしています。

広く浅くにならないために

いろいろ学べるぶん、自分で軸を決めないと、どれも中途半端になりやすいです。2年生ごろまでに、中心にする分野を一つ決めておくとよいとされています。

組み合わせが強みになる

たとえば「法律がわかる経済の専門家」のように、二つの分野を組み合わせると、ほかの人とはちがう強みになります。

早稲田大学社会科学部の歴史

早稲田大学の社会科学部は、1966年に夜間の学部として生まれました。昼間に働きながら学ぶ人のための学部だったのです。その後、1998年ごろに昼と夜の両方で授業をする形に変わり、働きながら学ぶ学生が減ったことや、午前中に授業を受けたいという学生の声を受けて、2009年4月から昼間の学部になりました。設立当初の専任教員は25人でしたが、今は70人あまりに増えています。政治経済学部、法学部、商学部などに分かれていた社会科学の分野をまとめるという考え方で作られたのが特徴です。

夜間学部の名残

夜間学部だった時代の流れから、今も授業の時間帯が幅広く、遅い時間の授業もあります。

ほかの大学では

「社会科学部」という名前の学部は多くありません。ほかの大学で似た学びをしたい場合は、総合政策学部や、学際系の学部も比べてみましょう。

向いている人

一つのことに決めきれず、法律にも経済にも政治にも興味がある人に向いています。ニュースを見て「この問題はいろいろな面がある」と感じる人、ものごとを多角的に考えるのが好きな人です。一方で、自分で科目を組み合わせる必要があるので、何を学びたいか自分で考えて動ける人のほうが力を伸ばしやすいです。将来の進路がまだ決まっていないけれど、社会のことを学びたいという人にとっては、選択肢を広く残せる学部です。

迷っている人こそ

法学部か経済学部か迷っている人が、両方を学べる学部として選ぶこともあります。

ディスカッションが好きな人

いろいろな分野の学生が集まるので、同じテーマでも意見が分かれやすく、議論が盛り上がります。

高校生のうちに(文理・受験科目)

社会科学部は文系の学部なので、高校では文系を選ぶ人がほとんどです。私立大学の一般選抜では、英語と国語に、地歴・公民または数学から1科目を選ぶ形が多く、数学で受けられる方式もあります。入学後には経済学や統計学で数学を使うので、数学Iと数学Aまではしっかり理解しておくと楽です。高校の「公共」や「政治・経済」の授業は、大学の入門科目の土台になります。日ごろから新聞やニュースを読み、一つのニュースを法律、お金、政治などいくつかの面から考えてみる練習をしておくとよいでしょう。

入試の方式は年度で変わる

入試の科目や方式は年度によって変わります。必ず志望する大学の最新の入試要項を確認してください。

英語力も大切

英語で行われる授業や留学の機会が多いので、英語の力をつけておくと、大学での選択肢が広がります。

よくあるギャップ

「何でも学べる」と思って入学したものの、選択肢が多すぎて、何を取ればよいかわからなくなる人がいます。また、法律や経済の授業は法学部や経済学部と同じくらい専門的なこともあり、入門だけのつもりが意外と難しいと感じることがあります。社会学部と勘違いして入学し、思ったより法律や経済の授業が多くておどろく人もいます。反対に、入学してから経済学のおもしろさに気づくなど、最初は予定していなかった分野に出会えるのは良いギャップです。

就職活動での説明

面接で「社会科学部って何を学ぶの?」と聞かれることがあります。自分がどの分野を中心に学び、何を研究したかを具体的に話せるようにしておくと安心です。

単位の取り方に工夫が必要

専門性を高めるには、同じ分野の科目を計画的に積み上げることが大切です。人気の授業は抽選になることもあります。

よくある質問

社会科学部と社会学部、どちらを選べばいいですか?

法律、経済、政治なども含めて広く学びたいなら社会科学部、人間関係や文化など社会学をじっくり学びたいなら社会学部が合っています。両方のカリキュラムを見比べて、取りたい授業が多いほうを選ぶのがおすすめです。

社会科学部で法律を学べば、弁護士になれますか?

社会科学部でも憲法や民法などの法律を学べます。ただし、弁護士になるには司法試験に合格する必要があり、法科大学院(ロースクール)に進むか予備試験に合格する道が一般的です。法律を本格的に深めたいなら法学部も比べてみましょう。

社会科学部は早稲田にしかないのですか?

「社会科学部」という名前の学部は多くありません。早稲田大学の社会科学部が代表的です。似た学びは、総合政策学部や、学際系の学部でもできます。

数学は必要ですか?

入試では数学を使わずに受けられる方式もあります。ただ、入学後の経済学や統計学では数学を使うので、高校の数学I・Aまでは理解しておくと安心です。

公務員をめざすのに向いていますか?

公務員試験に出る憲法、民法、行政法、経済学、政治学などを学部の授業で学べるので、相性はよいです。ただし、試験対策は別に必要で、予備校や学内の講座を使う人も多いです。

専門性が身につかないと聞きました。本当ですか?

自分で軸を決めずに単位だけ集めると、専門性が身につきにくいのは事実です。ゼミや卒論でテーマをしぼり、関連する科目を計画的に取れば、しっかり専門性を身につけられます。

英語で授業を受けられますか?

早稲田大学の社会科学部には、英語だけで学位を取れるプログラムがあり、日本語で学ぶ学生も英語の授業を取ることができます。留学生と一緒に議論する経験ができます。

就職先にかたよりはありますか?

特定の業界にかたよらず、金融、メーカー、IT、公務員、マスコミなど幅広い分野に進んでいます。どの分野の科目を多く取ったかによって、進路の傾向が変わります。

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