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外国語・国際系学部

英語ペラペラはゴールじゃない

外国語学部や国際系の学部では、専攻する言語を1〜2年生で集中的にきたえ、その後はその言語を使って地域の社会・文化・政治経済や、言語そのもののしくみを研究します。英語だけでなく、アジア・ヨーロッパ・中東・アフリカなどの言語をゼロから専攻できる大学もあります。授業の多くを英語で行う「国際教養」系の学部もあり、留学を必修にしている学部もあります。卒業後は商社・メーカー・旅行・航空・物流・IT・公務員など、海外とつながる仕事に広く進みます。たとえば、海外から食べ物や資源を輸入する、日本の製品やアニメを海外に売り込む、外国人観光客を案内する、といった仕事です。

よくある勘違い

外国語を話せるようになるための学部

実は

ことばの練習は入り口です。その言語が話される地域の歴史・社会・文化、ことばのしくみ、国と国との関係まで、ことばを道具にして深く研究する学部です。

どんな学科・専攻がある?

外国語・国際系学部ではどんな授業がある?

押すと、その授業の中身が見られます。

実習・実験・研究

外国語・国際系学部の「手を動かす学び」は、毎日の語学トレーニング、留学、ゼミ、卒業論文です。1〜2年生のうちは語学の授業が時間割の多くを占め、予習・小テスト・音読・暗記が毎日続きます。理系のような実験はありませんが、言語は「さぼるとすぐ落ちる」ので、地道な努力が一番大変なところです。3年生以降はゼミに入り、地域研究、言語学、国際関係などの研究テーマを決めて、原語の資料を読んで発表します。卒業論文を必修にする学部もあり、専攻言語で書く大学や、英語で書く学部もあります。

集中語学トレーニング1〜2年生で週に何コマもの語学の授業を受けます。文法、講読、会話、作文を組み合わせ、毎回の小テストや音読の課題で基礎を固めます。
留学(交換留学・認定留学)協定校へ半年〜1年ほど留学し、取った単位を大学の単位に認めてもらえる制度が多くの大学にあります。国際教養系の学部では1年間の留学を必修にしている大学もあり、留学のために卒業を1年延ばす人もいます。
短期海外研修・フィールドワーク夏休みや春休みに数週間、現地で語学研修や調査を行います。現地の人へのインタビューやボランティアを組み合わせることもあります。
ゼミ(演習)3年生から少人数のゼミに所属し、先生の専門分野で研究を進めます。原語の論文や資料を読み、発表して議論することをくり返します。
卒業論文4年生で、自分で選んだテーマについて1万字〜数万字程度の論文を書きます(字数や言語は大学による)。資料集めに時間がかかり、就職活動と同時に進める大変さがあります。
教育実習・日本語教育実習英語などの教員免許を取る人は、中学・高校で2〜4週間の教育実習を行います。日本語教員の養成課程では、留学生などに実際に日本語を教える実習があります。

大学生活の流れ

日本で学ぶ留学する1年語学を集中的に文字・発音・文法語学を集中的に文字・発音・文法2年応用と入門講義地域研究・言語学留学の選考受ける人が多い時期3年ゼミに所属インターンシップ協定校へ留学半年〜1年ほど4年卒論と就職活動同時に進める帰国してゼミ・就活の準備その後卒論と就職活動卒業を遅らせることも留学した人は卒業を半年〜1年遅らせることも1〜2年の語学の土台が留学を支える
留学の時期や長さ、卒業を遅らせるかどうかは大学や人によって違います
1年専攻言語の基礎を集中的に学びます。ゼロから始める言語は、文字・発音・基本文法を一気に覚える大変な1年です。教養科目や第二外国語も並行して取ります。
2年語学の応用(講読・作文・会話)と、言語学・地域研究・国際関係などの入門講義が始まります。交換留学の選考を受ける人が多い時期です。
3年ゼミに所属して研究テーマを考え始めます。留学中の人も多く、帰国後に就職活動の準備(インターンシップなど)を始めます。
4年卒業論文と就職活動に取り組みます。留学した人は卒業時期を半年〜1年遅らせて就職活動をすることもあります。
大学院言語学、地域研究、国際関係、通訳翻訳、日本語教育などの修士課程があります。研究者や専門の通訳者、国際機関をめざす人が進むことが多く、全体として進学する人は多くありません。

取れる資格・免許

中学・高校の教員免許(外国語)教職課程の科目を取り、教育実習を経て卒業すると取れます。英語のほか、中国語・フランス語・ドイツ語などの免許を出せる大学もあります。働くには各自治体の教員採用試験に合格する必要があります。
登録日本語教員(国家資格)2024年に始まった国家資格です。日本語教員試験(基礎試験・応用試験)に合格し、実践研修を修了して登録します。大学の登録日本語教員養成課程を修了すると基礎試験が免除されます。日本語教員試験の合格率は、令和6年度が全体62.6%(試験ルートのみでは8.7%)、令和7年度が全体67.5%(試験ルート35.9%)でした。
全国通訳案内士(国家資格)外国人旅行者に外国語で有料の観光案内をする国家資格です。大学とは別に試験を受けます。外国語、日本地理、日本歴史、一般常識、通訳案内の実務の筆記と、口述試験があり、2023年度の合格率は12.0%でした。
語学検定(TOEIC、英検、HSK、DELFなど)国家資格ではありませんが、就職活動や大学院入試、留学の選考で使われます。授業の成績評価や卒業要件に組み込む学部もあります。
学芸員・司書など大学によっては、博物館や図書館に関する科目を取ると学芸員や司書の資格も得られます。

外国語・国際系学部の卒業後の進路

外国語・国際系学部一般企業大多数商社メーカー航空・旅行・ホテル物流・海運IT・通信金融職種は営業・海外営業・企画・人事などほかの文系学部と大きくは変わらない公務員外務省専門職員・自治体の国際交流教員・日本語教師日本語教師は2024年から国家資格数は少ない通訳・翻訳・マスコミ企業で経験を積んで独立する人も国際機関・NGO多くは修士号と職務経験が必要少なめ大学院例:千葉大学国際教養学部の令和7年度の進学率は5.8%外国語「だけ」を使う仕事は数が少ない語学+業界の専門性が武器になる

卒業後は大多数が一般企業に就職し、大学院へ進む人は少なめです(例:千葉大学国際教養学部の令和7年度卒業生の進学率は5.8%)。業界は商社、メーカー、旅行・航空・ホテル、物流、IT、金融など幅広く、職種は営業、海外営業、企画、人事など、ほかの文系学部と大きくは変わりません。外国語「だけ」を使う通訳や翻訳の仕事は数が少ないため、語学を武器に、どの業界で何の専門性を持つかが大切です。公務員、教員、日本語教師、国際機関・NGOの道もあります。

総合商社・専門商社 ›海外との取引が多く、外国語学部の卒業生も多く働いています。英語に加えて、アジアや中南米など特定地域の言語や知識が強みになることもあります。たとえば、オーストラリアから鉄鉱石を、ブラジルから大豆を輸入したり、日本の食品を東南アジアに売り込んだりする仕事です。メーカー(海外営業・調達など) ›自動車、電機、食品などのメーカーで、海外の取引先との営業や部品の調達、海外拠点の管理を担当します。海外駐在のチャンスがある会社もあります。たとえば、自動車メーカーでタイの工場と部品の納期を調整したり、中東のお客さまに日本製の車を売り込んだりします。航空・旅行・ホテル ›客室乗務員、空港のグランドスタッフ、旅行会社の企画、ホテルなど、外国人のお客さまと接する仕事です。訪日外国人が増えるなかで、語学を使う場面が多い業界です。たとえば、空港のカウンターで外国人のお客さまの乗り継ぎを案内したり、海外ツアーを企画したりします。物流・海運 ›船や飛行機で世界中にものを運ぶ会社です。海外の港や代理店とのやりとりが日常的にあります。たとえば、通販で海外から届く荷物や、コンビニに並ぶ輸入食品も、こうした会社が船や飛行機で運んでいます。IT・通信 ›外資系IT企業や、海外向けサービスを持つ企業で、営業、マーケティング、ローカライズ(ソフトやゲームの翻訳・現地化)などを担当します。たとえば、日本のゲームやアプリを英語や中国語に翻訳し、その国の文化に合わせて表現を直す仕事(ローカライズ)があります。金融(銀行・証券・保険) ›海外支店や外国為替、国際的な取引に関わる部門で語学を使います。ふだんの業務は国内の仕事が中心のことも多いです。たとえば、日本企業が海外に工場を建てるときのお金を貸したり、ドルと円の両替(外国為替)を扱ったりします。国家公務員(外務省専門職員など)・地方公務員 ›外務省専門職員は特定の言語・地域の専門家として外交を支える仕事で、採用後に国内研修(1年3か月程度)と2〜3年の在外研修があります。2025年度の最終合格者は58人でした。自治体の国際交流担当や、出入国在留管理庁なども進路になります。たとえば、海外の日本大使館で、旅行中にパスポートをなくした日本人を助けたり、現地の政府と交渉したりします。
教員・日本語教師中学・高校の英語教員や、国内外の日本語学校・大学などで日本語を教える仕事です。日本語教師は2024年から国家資格(登録日本語教員)ができ、日本語教育機関の認定制度も始まりました。たとえば、日本の日本語学校で留学生に教えたり、海外の高校で日本語の授業を受け持ったりします。
通訳・翻訳・マスコミ ›専門の通訳者や翻訳者は、企業で経験を積んでから独立する人も多い仕事です。新聞社・テレビ局の国際報道、出版社の翻訳書の編集なども進路になります。たとえば、海外のスポーツ選手の通訳、海外映画の字幕翻訳、新聞社やテレビ局の海外特派員などです。
国際機関・NGO・JICAなど国連などの国際機関で働くには、多くの場合、修士号と職務経験が求められます。まず企業や大学院で専門性を身につけてから応募する人が多いです。たとえば、ユニセフ(国連児童基金)で子どもの予防接種や教育を支える活動などがあります。

もっと知りたい人へ

外国語学部と国際系学部のちがい

外国語学部は「特定の言語と地域」を深く学ぶのが基本で、1〜2年生は語学の授業が中心です。国際関係学部や国際教養学部などの国際系学部は、英語を共通の道具として、政治・経済・文化などを幅広く学ぶスタイルが多いです。どちらも名前だけでは中身が分からないので、専攻できる言語、英語で行う授業の割合、留学が必修かどうかを比べて選びましょう。

専攻言語の数は大学で大きく違う

例えば東京外国語大学の言語文化学部では、英語からウルドゥー語、ベンガル語、ペルシア語まで27の専攻言語が募集単位になっています。英語と数言語だけの大学もあるので、学びたい言語があるかを最初に確認しましょう。

「国際」がつく学部はとても多い

国際関係、国際文化、国際コミュニケーション、グローバルスタディーズなど名前は多様です。語学が中心の学部も、政治経済が中心の学部も、観光が中心の学部もあります。

留学のリアル

外国語・国際系学部の大きな魅力は留学しやすいことです。協定校への交換留学なら、留学先の授業料が免除される(自分の大学の授業料を払う)しくみが多く、奨学金も用意されています。ただし人気の留学先は学内選考があり、語学のスコアと成績が必要です。留学すると就職活動の時期と重なりやすく、卒業を延ばす人もいます。

お金はどのくらい?

交換留学でも、渡航費、生活費、保険などは自分で用意します。国や地域、物価によって必要な金額は大きく変わるので、大学の留学説明会で具体的な数字を確認しましょう。

留学しても話せるようになるとは限らない

日本人どうしで過ごしてしまうと、思ったほど伸びないこともあります。現地の授業で発言し、現地の友人をつくる努力が必要です。

AI翻訳の時代に外国語を学ぶ意味

機械翻訳はとても便利になり、簡単な文章ならすぐに訳せます。一方で、交渉や信頼関係づくり、文化の背景を踏まえた判断、訳の誤りを見抜くことは、人の力が必要な場面が多く残ります。外国語学部で学ぶのは、ことばの裏にある社会や考え方を理解する力です。AIを使いこなしつつ、その地域を深く理解している人材は、これからも求められると考えられます。

翻訳の仕事は変化している

機械翻訳した文章を人が確認して直す「ポストエディット」という仕事も増えています。翻訳者には、専門分野の知識や品質を判断する力がより求められるようになっています。

言語学はAIとつながる

言語学の知識は、AIの言語処理(自然言語処理)の研究とも関係があります。情報系の大学院に進む人もいます。

向いている人

外国の文化や人に興味がある人、毎日コツコツ練習を続けられる人、自分と違う考え方を面白いと思える人に向いています。語学は才能より継続がものをいうので、今英語が得意でなくても、続ける力があれば伸びます。一方、「英語が好きだから」だけで選ぶと、地域研究や言語学の授業に戸惑うこともあります。

人と話すのが苦手でも大丈夫

会話の授業はありますが、読む・書く・分析することが好きな人に向いた研究分野(言語学や翻訳、文学など)もたくさんあります。

マイナー言語を選ぶ人

学ぶ人が少ない言語は、その地域の専門家として頼りにされます。ただし、その言語を直接使う仕事は限られるので、英語力も一緒にきたえておくと安心です。

高校生のうちに(文理・受験科目)

ふつうは文系コースから受験します。英語の配点が高い入試が多く、国語と地理歴史(または公民)を組み合わせるのが一般的です。英語以外の言語を専攻する場合も、入試は英語で受けることが多いです。英検などの英語の資格・検定試験のスコアを出願資格や得点に使える大学もあるので、早めに募集要項を確認しましょう。

英語の「4技能」をのばす

大学では、読む・聞く・書く・話すの全部を使います。高校のうちに音読やシャドーイング、英作文の練習をしておくと、入学後がぐっと楽になります。

世界史・地理もきっと役立つ

地域研究や国際関係では、世界の歴史や地理の知識が土台になります。受験で使わなくても、ニュースに出てくる国の場所や歴史を調べる習慣をつけておきましょう。

よくあるギャップ

入学してから「思っていたより地味な勉強が多い」と感じる人がいます。毎日の単語・文法の暗記や予習は大変で、会話ばかり楽しむ授業ではありません。また、周りに帰国生や留学経験者がいて、最初は自信をなくす人もいます。ただ、ゼロから始めた言語は全員が同じスタートなので、努力がそのまま結果に出やすい面もあります。

就職で語学「だけ」は武器になりにくい

企業は語学力に加えて、その人が何を考え、何を成し遂げたかを見ます。ゼミや留学で何に取り組んだかを語れるようにしておくことが大切です。

専攻を変えるのは難しいことも

外国語学部は入試の段階で専攻言語を決める大学が多く、入学後の変更は簡単ではありません。オープンキャンパスなどで、その言語と地域に本当に興味があるかを確かめましょう。

よくある質問

英語が得意じゃなくても外国語学部に入れますか?

入試では英語の得点が重視されることが多いので、一定の英語力は必要です。ただ、英語以外の言語は入学後にゼロから始める人がほとんどです。入学後の努力で十分に伸ばせます。

英語以外の言語を専攻すると、英語はやらなくなりますか?

多くの大学で英語の授業も続きます。就職では英語力も求められることが多いので、専攻言語と英語の両方をきたえる人が多いです。

留学は必ずしないといけませんか?

大学によります。国際教養系の学部では1年間の留学を必修にしていることがあります。外国語学部では必修ではないことが多いですが、留学する人は多いです。

通訳や翻訳家になれますか?

なる人もいますが、外国語学部を出ただけですぐにプロになるのは簡単ではありません。企業で経験を積んだり、通訳翻訳の大学院や専門の養成機関で訓練を受けたりしてから仕事にする人が多いです。

外交官になるにはどうすればいいですか?

外務省で働くには、国家公務員の総合職試験に合格して外務省に採用されるか、外務省専門職員採用試験に合格する道があります。専門職員は特定の言語の専門家として採用され、採用後に海外で2〜3年の研修を受けます。

AI翻訳があれば外国語学部はいらなくなりませんか?

簡単な翻訳はAIでできるようになりましたが、交渉や信頼関係づくり、文化の違いを踏まえた判断、訳の誤りに気づくことは人の力が必要です。外国語学部で学ぶのは、ことばの裏にある社会を理解する力なので、学ぶ意味はなくなりません。

理系の仕事にはつけませんか?

文系学部なので、研究開発などの技術職につく人は少ないです。ただし、ITエンジニアなどは文系出身者も多く採用されています。言語学からAIの言語処理の研究へ進む人もいます。

日本語教師になるには?

2024年から国家資格「登録日本語教員」ができました。日本語教員試験に合格し、実践研修を修了して登録します。大学の登録日本語教員養成課程を修了すると、試験のうち基礎試験が免除されます。

外国語学部と英文学科(文学部)は何が違う?

文学部の英文学科は英米の文学や英語学の研究が中心です。外国語学部は語学の運用力の訓練と、地域の社会・政治・文化の研究に重点を置くことが多いです。ただ大学によって重なる部分も多いので、カリキュラムを比べましょう。

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