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重りに耐えられる?

理工学部

「なぜ」を調べる理学と「どう作るか」の工学が同じ建物に

理工学部は、数学、物理、化学、生物などの理学系の学科と、機械、電気電子、情報、建築、土木、化学工学などの工学系の学科をまとめて置いている学部です。慶應義塾大学、日本大学、中央大学、立命館大学など私立大学に多い形ですが、国立大学でも佐賀大学などで理工学部の名前が使われています。たとえば、「スマホの電池が長持ちするのはなぜか」を原子のレベルで調べるのが理学、その研究をもとに「もっと長持ちする電池を作って製品にする」のが工学です。理工学部では、この2つを同じ学部の中で学べます。卒業後は、メーカーやIT、建設、インフラなどの技術職につく人が多く、大学院(修士課程)に進んでから就職する人の割合が高いのも特徴です。

よくある勘違い

理学部と工学部の中間のようなあいまいな学部

実は

理工学部は、理学(自然のしくみを明らかにする学問)と工学(その知識を使ってものや仕組みを作る学問)の学科を1つの学部にまとめた形です。学ぶ内容の深さは理学部・工学部と変わらず、学部の中で両方の分野にふれやすいのが特徴です。

どんな学科・専攻がある?

理工学部ではどんな授業がある?

押すと、その授業の中身が見られます。

実習・実験・研究

1〜3年は、毎週このくり返し実験するデータを分析レポートを書く毎週提出毎週くり返す実験の例振り子で重力の大きさを測る化学反応の速さを調べる電子回路を組み立てる2〜3年ものづくり演習グループで橋やロボットを作る3年の夏インターンシップメーカーやIT企業で働く体験4年卒業研究研究室のゼミで発表し、卒業論文に文系の学部と比べて、自由な時間は少なめ問題を見つけて解決する力が身につく

理工学部は、実験と演習の時間がとても多い学部です。1〜2年生では、物理や化学の学生実験、プログラミング演習、製図などがあり、毎週のようにレポートや課題の提出があります。3年生になると学科ごとの専門的な実験や、グループで1つのものを作る「ものづくり演習」が増えます。4年生では研究室に所属して卒業研究を行い、先生や大学院生と一緒に、まだ答えのわかっていない問題に取り組みます。実験レポートの締め切りに追われる時期が長く、文系の学部と比べて自由な時間は少なめですが、そのぶん問題を見つけて解決する力が確実に身につきます。

学生実験1〜3年生で、毎週決まった時間に実験を行います。たとえば、振り子で重力の大きさを測る、化学反応の速さを調べる、電子回路を組み立てるなどです。実験の後には、データを分析したレポートを毎週提出します。
演習・製図数学や物理の問題を解く演習、プログラミングの演習、建築や機械の製図などがあります。授業時間内に終わらない課題を家で仕上げることも多いです。
ものづくり・プロジェクト演習2〜3年生で、グループでロボットや装置、アプリなどを作る授業があります。たとえば、決められた材料でできるだけ重い物を支える橋を作るコンテストや、自動で動くロボットを作る課題などです。
研究室配属・卒業研究3年生の終わりから4年生で研究室に所属し、1年間かけて研究を行います。週に何回か研究室のゼミで進み具合を発表し、最後に卒業論文と発表会で成果をまとめます。
インターンシップ3年生の夏などに、メーカーやIT企業などで数日から数週間働く体験をします。企業の技術者がどんな仕事をしているかを知る機会になり、就職先選びにも役立ちます。

大学生活の流れ

1年微分積分、線形代数、力学、電磁気学、化学、プログラミングなど、理工学の共通の基礎を学びます。高校の数学と理科をさらに深める内容で、授業の進むスピードが速いので、最初につまずかないことが大切です。学生実験も始まります。
2年学科ごとの専門科目が本格的に始まります。物理学科なら量子力学や統計力学、機械工学科なら材料力学や熱力学、情報系ならアルゴリズムなどです。実験や演習の課題が増え、忙しさを実感する学年です。
3年専門科目をさらに深め、専門的な実験やグループでのものづくり演習を行います。夏にはインターンシップに参加する人も多く、年度の後半には研究室を選びます。大学院に進むか就職するかを考える時期でもあります。
4年研究室に所属して卒業研究を行い、卒業論文を書きます。大学院に進む人は夏ごろに大学院の入試を受け、就職する人は春から夏に就職活動を行います。研究と進路の準備を両立させる1年です。
大学院修士課程(2年)に進む人が多く、学部での卒業研究をさらに深めます。学会での発表や論文の執筆も経験します。修士課程を修了してから、メーカーやIT企業の研究職・開発職につくのが代表的な進路です。さらに博士課程(3年)に進み、研究者を目指す人もいます。

取れる資格・免許

中学校・高等学校教諭一種免許状(数学・理科・情報・工業)教職課程の授業を取り、教育実習を行うと、卒業時に取得できます。数学科や物理学科、化学科などでは、先生を目指して取る人が多いです。
一級建築士・二級建築士の受験資格建築学科で指定の科目を学んで卒業すると、建築士試験を受けられます。一級建築士は、学んだ単位数に応じて2〜4年の実務経験を積むと免許を登録できます。
技術士補(JABEE認定課程)JABEEという認定を受けた学科を卒業すると、技術士の第一次試験が免除され、技術士補になれます。技術士は、建設や機械などの分野で技術者の力を国が認める資格です。
電気主任技術者・電気工事士電気電子工学科で指定の科目を学んで卒業すると、実務経験によって電気主任技術者の資格を得られる道があります。ビルや工場の電気設備を安全に管理するための資格です。
危険物取扱者・毒物劇物取扱責任者化学系の学科で学んだ人が取りやすい資格です。化学工場やガソリンスタンドなどで、危険な薬品を扱うために必要になります。化学系の学科を卒業すると、毒物劇物取扱責任者になれる場合があります。
基本情報技術者・応用情報技術者ITの基礎知識を証明する国家試験です。情報系の学科の学生が在学中に取ることが多く、IT企業への就職のときに知識の証明になります。

理工学部の卒業後の進路

理工学部どの学科からどの業界へ多く進む?学科業界数学・物理化学・生命機械電気電子情報建築・土木メーカーIT・情報通信インフラ建設・不動産コンサル・金融大学院(修士)を出てから就職が多い研究職・開発職は修士修了を求められることが多い。教員や技術職の公務員になる人もいるITには情報系以外の学科からも進む学科で学ぶ専門が、業界につながる

理工学部の卒業生の多くは、メーカー、IT、建設、電力・ガス・鉄道などのインフラ企業で、技術職として働きます。大学院(修士課程)に進んでから就職する人が多く、大学や学科によっては半分以上が大学院に進みます。研究職や開発職を目指す場合は、修士課程を修了していることが求められることが多いです。一方で、学んだ論理的な考え方を生かして、コンサルティング、金融、商社などに進む人もいます。

メーカー(自動車・電機・機械・化学・素材) ›理工学部の卒業生が最も多く進む業界の一つです。製品の研究、開発、設計、生産技術、品質管理などを担当します。たとえば、自動車メーカーで新しいエンジンを設計する、化学メーカーでスマホの画面に使う材料を開発する、などです。IT・情報通信 ›情報系の学科だけでなく、数学科や物理学科、機械工学科からもIT企業に進む人が増えています。システムエンジニア、プログラマー、データサイエンティストなどとして働きます。研究職・開発職 ›企業の研究所や、国の研究機関で、新しい技術や製品のもとになる研究を行います。修士課程や博士課程の修了者が多い職種です。建設・不動産 ›建築学科や土木工学科の卒業生が多く進みます。ゼネコンで工事の施工管理をする、設計事務所で建物を設計する、デベロッパーでまちづくりの計画を立てる、などです。電力・ガス・鉄道・通信などのインフラ ›電気電子、機械、土木などの学科から多く進みます。発電所や送電網、鉄道の線路や車両、通信ネットワークなど、社会を支える設備を守り、つくります。コンサル・金融・商社 ›理系の論理的な考え方や数字に強い点を生かして、コンサルティング会社、銀行や証券会社のデータ分析・システム部門、商社などに進む人もいます。数学科から保険会社のアクチュアリーを目指す人もいます。教員・公務員 ›中学・高校の数学や理科の先生、国や自治体の技術職の公務員(道路や河川の管理、建築の審査など)になる人もいます。

もっと知りたい人へ

理学部・工学部とのちがい

理学部は「自然はどうなっているのか」を明らかにすることを目的にし、工学部は「その知識を使ってどう役に立つものを作るか」を目的にします。理工学部は、この理学系と工学系の学科を1つの学部にまとめた形です。たとえば、ある大学では理学部と工学部が別々にあり、別の大学では理工学部の中に数学科と機械工学科が並んでいる、というように、大学ごとに組織の分け方が違うだけで、学科で学ぶ内容の深さは大きく変わりません。理工学部の良いところは、同じ学部の中にいろいろな分野の先生や学生がいるので、分野をまたいだ授業を取りやすく、研究室選びの幅も広いことです。

大学ごとに名前が違う

東京大学や京都大学のように理学部と工学部が別々の大学もあれば、早稲田大学のように「基幹理工学部・創造理工学部・先進理工学部」の3つに分けている大学、慶應義塾大学のように「理工学部」1つにまとめている大学もあります。学部名だけで判断せず、どんな学科があるかを見て選ぶことが大切です。

理学寄りか工学寄りか

同じ「物理」でも、物理学科は宇宙や素粒子のような基本的な法則の研究が多く、応用物理学科は半導体やレーザーなど技術に近い研究が多いです。化学科と応用化学科も同じような関係です。研究室のテーマを見ると、理学寄りか工学寄りかがわかります。

学科の選び方

理工学部は学科の数が多いので、どの学科を選ぶかがとても大切です。選ぶときは、高校で好きな科目だけでなく、「何を知りたいか」「何を作りたいか」から考えるとよいです。たとえば、宇宙の始まりを知りたいなら物理学科、新しい薬や材料を作りたいなら化学系、ロボットを作りたいなら機械工学科や電気系、アプリやAIを作りたいなら情報系、建物やまちをつくりたいなら建築や土木です。大学によっては、1年生では学科を決めずに広く学び、2年生から学科を選べる仕組みもあります。

入学後に学科を選べる大学

たとえば、1年生は「学門」や「系」などの大きな単位で入学し、成績や希望をもとに2年生から学科に分かれる大学があります。高校生のうちに学科を決めきれない人には選びやすい仕組みです。

オープンキャンパスで見るポイント

研究室の紹介や、学生実験の見学ができることがあります。大学院への進学率、卒業生の就職先、学科の雰囲気を在学生に聞いてみると、パンフレットだけではわからないことがわかります。

向いている人

理工学部に向いているのは、「なぜだろう」と考えるのが好きな人、ものを作ったり分解したりするのが好きな人です。数学や物理、化学が得意であれば学びやすいですが、それ以上に大切なのは、わからないことにぶつかっても粘り強く考え続けられることです。実験がうまくいかないことは日常茶飯事なので、失敗から原因を考えてやり直せる人が伸びます。また、研究はチームで行うことも多いので、自分の考えを説明し、人と協力する力も必要です。

こんな経験が生きる

たとえば、プラモデルやロボットを作った経験、家電を分解して中を見た経験、プログラミングでゲームを作った経験、理科の自由研究に夢中になった経験は、理工学部の学びにつながります。

数学が苦手でも大丈夫?

理工学部では、どの学科でも1年生で大学レベルの数学を学びます。高校の数学で苦手な部分があっても、授業と演習にきちんと取り組めば追いつけますが、ある程度の数学の力は必要です。

高校生のうちに(文理・受験科目)

理工学部は理系の学部で、入試では数学(数学IIIを含むことが多い)、理科(物理と化学が中心)、英語が課されるのが一般的です。物理学科や機械、電気、建築などの学科では物理が、化学系や生命系の学科では化学や生物が大切になります。国立大学の理工学部では共通テストで5教科7科目程度が必要です。高校で数学IIIまで学んでおくと、大学1年生の微分積分の授業がずっと理解しやすくなります。

物理を選んでおくと有利

理工学部の多くの学科で、1年生で力学や電磁気学を学びます。受験で物理を使わなかった人は、最初の授業で苦労しやすいので、高校でできるだけ物理を学んでおくことをおすすめします。

英語も大切

研究では英語の論文を読み、国際学会で発表することもあります。大学院の入試でも英語の試験(TOEICなど)が使われることが多いので、英語の力も伸ばしておきましょう。

よくあるギャップ

入学前は「好きなものを作れる」「最先端の研究ができる」とイメージして入る人が多いですが、1〜2年生は数学や物理の基礎科目と、毎週の実験レポートに追われることが多いです。好きな分野の研究ができるのは、研究室に入る4年生からというのが一般的です。また、文系の学部と比べて授業の数や課題が多く、アルバイトやサークルに使える時間が少なめだと感じる人もいます。一方で、大学院まで進んでから就職する人が多いので、学部の4年間だけでなく6年間を見通して計画を立てることが大切です。

大学院に進む人が多い

理工系では、修士課程に進んでから就職するのが一般的な大学や学科が多いです。研究職や開発職を目指す場合は、修士課程を修了していることが求められることが多いので、入学のときから大学院まで考えておくとよいです。

実験レポートの大変さ

学生実験では、毎週実験をしてレポートを提出します。データの整理、グラフ作り、考察を書くのに何時間もかかることがあり、1〜3年生の大きな負担になります。

理工学部で身につく力

理工学部で身につくのは、数学や物理などの専門知識だけではありません。問題を見つけ、仮説を立て、実験やプログラムで確かめ、結果をレポートや発表で説明するという、問題を解決する力全体がきたえられます。この力は、技術職だけでなく、企画、コンサルティング、データ分析など幅広い仕事で求められています。また、数字やデータに強いことは、どんな業界でも大きな強みになります。

データを扱う力

実験データの分析やプログラミングの経験は、今の社会で特に求められている力です。たとえば、お店の売り上げデータから、どの商品をどこに並べれば売れるかを考える仕事でも、理工学部で学んだ統計やプログラミングが役立ちます。

説明する力

研究室のゼミや学会での発表、卒業論文の執筆を通して、自分の考えを筋道立てて説明する力が身につきます。企業に入ってからも、技術を知らない人にわかりやすく説明する場面はたくさんあります。

よくある質問

理工学部と工学部はどちらがよいですか?

どちらがよいということはありません。大学によって組織の分け方が違うだけで、学科で学ぶ内容は大きく変わりません。学部の名前より、自分の学びたい学科や研究室があるかで選びましょう。

大学院には行かないといけませんか?

必ず行く必要はありません。学部卒で就職する人もたくさんいます。ただし、研究職や開発職を目指す場合は修士課程の修了が求められることが多く、理工系では大学院に進む人の割合が高いです。

女子学生は少ないですか?

学科によって違いますが、機械や電気の学科では女子学生が少なめです。一方、化学系、生命系、建築学科などでは女子学生の割合が高めの傾向があります。女子学生を増やす取り組みをしている大学も多いです。

文系科目が得意でも理工学部に進めますか?

入試では数学と理科が必要なので、高校では理系を選ぶのが基本です。ただし、文章を書く力や英語の力は、レポートや論文、発表でとても役立ちます。

プログラミングの経験がなくても大丈夫ですか?

大丈夫です。多くの理工学部では、1年生でプログラミングの基礎から学びます。ただし、情報系の学科では早いうちから課題が難しくなるので、高校のうちに少しさわっておくと安心です。

就職は有利ですか?

理工系の学生は、メーカー、IT、建設、インフラなどで技術職の求人が多く、就職先の選択肢は幅広いです。大学から推薦を受けて応募する「学校推薦」の仕組みがある企業もあります。

研究室はどうやって決まるのですか?

多くの大学では3年生の後半に、学生の希望と成績をもとに決まります。人気の研究室は希望者が多いので、成績がよい人から希望が通ることもあります。

理工学部から医療の仕事に進めますか?

医師や看護師などの資格は取れませんが、医療機器メーカーで機器を開発する、製薬会社で薬の研究をする、病院のシステムを作るなど、技術で医療を支える仕事に進む人がいます。

学費はどのくらいですか?

私立の理工学部は、実験設備などにお金がかかるため、文系の学部より学費が高めです。国立大学は、学部による学費の違いは基本的にありません。

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