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何を専門にしよう?理系文系学際

教養学部・リベラルアーツ

専門を決めずに入って、自分で組み立てる

まず名前の似た学部との区別です。「国際教養学部」は英語の授業や留学の必修など国際性を強く打ち出した学部で、「教養学部」は日本語の授業が中心のところも多く、文系と理系をまたいで幅広く学んでから専門を選ぶことに重点があります。また、どの大学でも1〜2年生が受ける「教養科目」と、学部としての「教養学部」は別のものです。教養学部は、英語で「リベラルアーツ(Liberal Arts)」と呼ばれる学び方をする学部です。入学の時点では専門を決めず、人文科学、社会科学、自然科学の授業を幅広く受けたあとで、自分の専門を選びます。たとえば国際基督教大学(ICU)の教養学部アーツ・サイエンス学科では、31のメジャー(専修分野)があり、2年次の終わりに専攻を決めます(東進)。ほかにも、東京大学の教養学部(後期課程)のように、3年生から特定の分野を深く学ぶ学部や、埼玉大学の教養学部のように人文・社会系の専修課程を置く学部など、同じ「教養学部」でも中身は大学によって大きくちがいます。

よくある勘違い

なんとなく広く浅く学ぶだけの、専門のない学部

実は

入学後に幅広い分野を学んでから専門(メジャー)を選び、文系と理系をまたいで深く学ぶ学部です。卒業論文まで書くのが一般的で、「何を専門にするか」を自分で決める力が求められます。

どんな学科・専攻がある?

教養学部・リベラルアーツではどんな授業がある?

押すと、その授業の中身が見られます。

実習・実験・研究

教養学部の学びは、少人数の授業での議論、レポートの執筆、卒業論文が中心です。1つの授業で毎週何十ページもの文章を読み、自分の意見をまとめて発表することが求められます。メジャーによっては、実験、フィールドワーク、インタビュー調査なども行います。留学やインターンシップ、ボランティアなど、教室の外での学びを単位として認める大学も多くあります。最後には、自分で問いを立てて1年以上かけて卒業論文を書き上げます。

ゼミ・セミナー3〜4年生を中心に、少人数のゼミに所属し、専門の本を読んだり、自分の研究を発表したりします。先生や仲間との距離が近いのが特徴です。
フィールドワーク・調査社会学や文化人類学、地域研究などのメジャーでは、地域や海外に出かけて人に話を聞いたり観察したりします。夏休みなどに数日から数週間行うこともあります。
実験・演習自然科学や心理学のメジャーでは、実験室での実験や、データの分析の演習を行います。結果をレポートにまとめて提出します。
留学1学期から1年ほど海外の大学に留学する学生も多くいます。協定を結んだ大学への交換留学なら、留学先でとった単位を卒業に必要な単位として認めてもらえる場合があります。
卒業論文3年生の後半ごろからテーマを決め、4年生の1年間で書き上げます。文字数の目安は大学やメジャーによってちがいます。

大学生活の流れ

1年文系と理系の入門を幅広く外国語とライティングで基礎2年興味のある分野を多めに取りメジャーを決める準備3年メジャーの専門科目とゼミ留学やインターンも4年卒業論文1年以上かけて書く入るときは、専門を決めなくてよい広く学んでから、自分で専門をしぼる
1年文系と理系の入門的な授業を幅広く受け、アカデミック・ライティングや外国語で基礎をかためます。どの分野に興味があるのかを探す時期です。
2年興味のある分野の授業を多めに取り、メジャーを決める準備をします。大学によっては、2年生の終わりにメジャーを決めます。
3年メジャーの専門科目を中心に学び、ゼミに所属します。留学やインターンシップに行く人も多い時期です。就職活動の準備も始まります。
4年卒業論文に取り組みます。就職する人は就職活動、大学院に進む人は入試の準備を並行して進めます。
大学院メジャーの分野や、学際的な分野の大学院に進む人がいます。教養学部で幅広く学んだことを生かして、文系から理系、理系から文系の大学院に進む人もいます。

取れる資格・免許

中学校・高等学校教諭一種免許状(英語、社会、理科、数学など)大学によっては教職課程があり、メジャーに対応した教科の免許がとれます。どの教科の免許がとれるかは大学ごとにちがいます。
学芸員博物館や美術館の専門職の国家資格です。決められた科目と博物館実習を修了すると取得できる大学があります。
社会調査士アンケートやインタビューの調査の方法とデータの分析を学んだことを示す資格です。社会学系のメジャーで取得できる大学があります。
英語の検定・スコア資格ではありませんが、英語の授業や留学を通じて、TOEFLやIELTS、TOEICなどのスコアを伸ばす人が多くいます。留学や就職活動で使われます。

教養学部・リベラルアーツの卒業後の進路

教養学部メーカー・商社営業・企画・海外事業。英語や異文化の理解が生きる金融(銀行・証券・保険)法人営業、企画、市場の分析などIT・コンサルティング論理的に考えて説明する力が生きるマスコミ・出版・広告幅広い知識と文章力が生きる公務員・国際機関・NGO国際関係や開発を学んだ人が多い大学院文系から理系、理系から文系の大学院へ進む人もいる中学・高校の先生英語・社会・理科など「この学部ならこの仕事」という決まった道はない特定の業界に集中せず、選べる範囲が広い

教養学部の卒業生は、特定の業界に集中せず、メーカー、商社、金融、IT、コンサルティング、マスコミ、公務員など、幅広い分野に進みます。専門の学部のように「この学部ならこの仕事」という決まった道はありませんが、そのぶん選べる範囲が広いとも言えます。英語の力や留学経験を生かして外資系企業や国際機関をめざす人、大学院に進んで研究者や専門職をめざす人もいます。

メーカー・商社 ›営業、企画、海外事業などで働きます。英語や異文化の理解が生かせる仕事です。金融(銀行・証券・保険) ›銀行や証券会社、保険会社で、法人営業や企画、市場の分析などを担当します。IT・コンサルティング ›IT企業やコンサルティング会社で、システムの企画や、企業の課題を解決する提案をします。論理的に考えて説明する力が生かせます。マスコミ・出版・広告 ›新聞社、テレビ局、出版社、広告会社などで、記事や番組、広告の企画にかかわります。幅広い知識と文章力が生かせます。公務員・国際機関・NGO ›国家公務員や地方公務員、国際協力の機関、NGOなどで働きます。国際関係や開発を学んだ人が多く進みます。
大学院進学人文学、社会科学、自然科学、学際分野の大学院に進みます。海外の大学院に進む人もいます。
教員中学や高校の英語や社会、理科の先生になる人もいます。

もっと知りたい人へ

国際教養学部とのちがい

国際教養学部は、英語で行う授業が多く、海外への留学を必修にしているところもある学部です。目的は、世界のどこでも活躍できる人を育てることで、英語の力が入学後すぐに必要になります。教養学部は、大学によって英語の授業の多さはさまざまで、日本語の授業が中心のところも多くあります。文系と理系の両方を学べる大学が多いのも教養学部の特徴です。国際教養学部をめざす場合は英語の力を、教養学部をめざす場合は幅広い教科の基礎を大切にするとよいです。

どちらを選ぶか

英語で学び、留学を経験したい気持ちが強いなら国際教養学部、文系と理系をまたいでいろいろ学んでから専門を決めたいなら教養学部、と考えると選びやすくなります。

学費や留学費用

留学が必修の学部では、授業料に加えて留学中の生活費や渡航費がかかることがあります。大学の奨学金制度もあわせて調べておきましょう。

「教養」とは何をすることか

ここでいう教養は、物知りになることではありません。いろいろな分野の考え方を知ったうえで、ものごとを自分で考え、判断する力のことです。たとえば「スマホは高校生の学力を下げるのか」という問いに答えるには、教育学のデータ、心理学の実験、経済学の考え方、倫理学の議論など、いくつもの視点が必要になります。リベラルアーツはもともと、古代ギリシャ・ローマで「自由な市民」が身につけるべき学問とされたものに由来する考え方です。アメリカでは、少人数で幅広く学ぶ「リベラルアーツ・カレッジ」という大学の形が広く知られています。

専門の学部との比べ方

法学部や工学部などの専門の学部は、1年生からその分野の授業が多く、資格や職業に直結しやすい学び方です。教養学部は、幅広く学んでから専門を選ぶので、入学の時点で進みたい分野が決まっていない人でも選びやすいのが特徴です。

「浅く広く」で終わらせないために

幅広く学べるぶん、自分で専門を決めて深めないと、何を学んだのか説明できない状態で卒業してしまうこともあります。卒業論文やゼミを通じて、1つの分野を深める意識が大切です。

向いている人

興味のあることがたくさんあって、1つに決めきれない人に向いています。本を読んだり、人と議論したりするのが好きな人、なぜだろうと考えるのが好きな人も向いています。一方で、自分で授業を選び、専門を決める自由があるぶん、自分で考えて行動する力が求められます。決められた道を進むほうが安心する人には、少し大変に感じるかもしれません。

文理の両方に興味がある人

たとえば、生物学と哲学、数学と経済学のように、文系と理系の両方に興味がある人には、教養学部はとても学びやすい場所です。

将来の職業がまだ決まっていない人

入学してから専門を選べるので、高校生の時点で将来の仕事が決まっていない人にも向いています。ただし、入学後に積極的に探す姿勢が大切です。

高校生のうちに(文理・受験科目)

教養学部の入試科目は大学によって大きくちがいます。国公立大学では共通テストで幅広い科目が必要で、二次試験は英語、国語、小論文などが課されることが多いです。私立大学では、英語、国語、社会または数学の3科目型が多いですが、英語の比重が高い大学もあります。教養学部では、入学後に文系と理系の両方の授業を受けるので、苦手な科目もある程度は勉強しておくと入学後に困りません。英語はどの大学でも重要なので、読む力と書く力を伸ばしておきましょう。

普段からできること

新聞やニュースを読んで「なぜそうなったのか」を考える、気になったことを本で調べる、自分の意見を文章にまとめる、といった習慣が入学後に役立ちます。

総合型選抜も多い

教養学部では、志望理由書や面接、小論文で選ぶ総合型選抜や学校推薦型選抜を行う大学も多くあります。自分が何に興味をもっているのかを言葉にしておくことが大切です。

よくあるギャップ

入学すると、授業の選び方の自由さにとまどう人が多くいます。時間割を自分で組み立て、どのメジャーを選ぶかも自分で決める必要があるからです。また、少人数の授業では毎週大量の文章を読み、発表やレポートが続くので、思っていたより勉強が大変だと感じる人もいます。就職活動では「何を専門に学んだのか」を説明できるように、ゼミや卒業論文での学びを言葉にしておくことが大切です。

メジャーの人気に偏りがある

大学によっては、人気のメジャーに希望者が集中することがあります。メジャーを決める時期までの成績が影響する場合もあるので、1年生から授業に力を入れておくと安心です。

資格には直結しにくい

教養学部は、特定の国家資格に直結する学部ではありません。資格が必要な仕事をめざす場合は、必要な科目がとれるかを入学前に確認しましょう。

よくある質問

教養学部は就職に不利ではありませんか。

多くの企業は、文系の学部によって採用の扱いを大きく変えていません。教養学部の卒業生も、メーカー、金融、IT、マスコミ、公務員など幅広い分野に就職しています。大切なのは、大学で何を深く学び、何を身につけたかを説明できることです。

理系の分野も学べますか。

大学によってちがいます。ICUのように数学、物理、生物、情報科学などのメジャーを置く大学もあれば、人文・社会系の分野が中心の教養学部もあります。志望大学のメジャーの一覧を確認しましょう。

教養学部と国際教養学部はどうちがいますか。

国際教養学部は英語での授業や留学を重視し、国際的に活躍する人を育てることを目的にしています。教養学部は、文系と理系をまたいで幅広く学んでから専門を選ぶことに重点があり、日本語の授業が中心のところもあります。

東京大学の教養学部はほかの大学とちがうのですか。

東京大学では、1〜2年生は全員が教養学部の前期課程で学び、進学選択を経て3年生から各学部に進みます。後期課程の教養学部は、そのうえで教養学科、学際科学科、統合自然科学科の3学科で専門的に学ぶ学部です。

入学後にメジャーを決められなかったらどうなりますか。

多くの大学では、メジャーを決める時期までに先生と面談したり、説明会があったりします。いくつかの授業を受けてみて、いちばん続けたいと思える分野を選ぶとよいです。2つの分野を組み合わせられる大学もあります。

英語が苦手でも大丈夫ですか。

教養学部でも英語の授業は多く、英語で講義を受ける授業がある大学もあります。入学前から英語の力をつけておくと安心ですが、入学後に集中的に学べるしくみを用意している大学もあります。

留学はしやすいですか。

教養学部は、海外の大学との交換留学の制度が充実している大学が多くあります。留学先でとった単位を卒業に必要な単位として認めてもらえる場合もあります。

大学院に進む人は多いですか。

大学によってちがいますが、幅広く学んだうえで興味をもった分野を深めるために、大学院に進む人もいます。文系から理系、理系から文系の大学院に進む人もいるのが教養学部らしい特徴です。

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