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CMを作るだけじゃない、人の心を動かす仕組みづくり

広告・マスコミ

広告・マスコミ業界は、テレビ、新聞、出版、ラジオ、インターネットなどのメディアを通じて、情報や娯楽、企業のメッセージを人々に届ける業界です。広告会社は企業の商品やサービスを広める企画を考え、テレビ局や新聞社、出版社は番組や記事、本などのコンテンツを作ります。電通の推定によると、2025年の日本の総広告費は8兆623億円で、そのうちインターネット広告費が初めて過半数(50.2%)を占めました。業界は大きな変化の途中にあり、デジタルの力がますます求められています。

平均年収の目安約580万円(業界全体)、大手は1,000万円超中小の制作会社で300万〜500万円台、大手放送局・広告会社で1,000万円以上
なるまでの難しさ★★★★★大手のテレビ局、広告会社、出版社は人気が高く、採用人数が少ないため倍率がとても高くなります。一方、デジタル広告や制作会社など入り口は多様で、会社によって難しさに大きな差があります。
決めどき文系が中心

大学1〜2年から作品づくりや発信を始め、3年のインターンへ

広告・マスコミの業界マップ

広告をつくる広告会社と、番組や記事・本を届けるテレビ局・新聞社・出版社に分かれます。

となりの業界

押すと、会社図鑑でその会社のくわしい解説が見られます。

どんな職種がある?

押すと、その職種の仕事内容・必要な力・キャリアが見られます。

広告・マスコミの年収と昇進の流れ

新人・アシスタント300〜550万円
入社1〜3年目、22〜25歳

先輩について仕事の基本を覚えます。テレビ局ではAD、新聞社では地方支局の記者として現場を経験します。会社の規模によって給料の差が大きい段階です。

担当者(独り立ち)450〜800万円
入社4〜7年目、26〜30歳

担当の企業や番組、取材分野を任されます。話題になった仕事や受賞などの実績が次のステップにつながります。

リーダー(プロデューサー・デスク・CD)600〜1,100万円
30代

プロジェクトや番組、記事全体をまとめる立場になります。大手と中小で年収の差がさらに広がる段階です。

部長・局長・編集長800〜1,500万円
40代〜

部門を率いて方針を決めます。大手の放送局や広告会社では、この段階で高い年収になることが多いです。

役員・独立1,000〜2,000万円
50代〜

会社の経営に関わるか、独立してクリエイターや制作会社の代表として活躍します。年収の幅は非常に大きく、ここに挙げた数字は目安です。

年収は目安です。会社や地域、本人の働き方で大きく変わります。

働き方で何が違う?

総合広告会社持株会社単体で電通グループ約1,596万円、博報堂DYHD約1,168万円

電通、博報堂など、テレビからデジタル、イベントまであらゆる広告を扱う会社です。大企業の大型キャンペーンを担当することが多く、営業、クリエイティブ、マーケティング、メディアなど職種も多様です。

良いところ大きなキャンペーンに関われる

大変なところ締め切り前などは忙しくなりやすい

デジタル広告会社・IT企業セプテーニHD単体で約655万円など、会社による

サイバーエージェントやセプテーニなど、インターネット広告の運用やデータ活用を得意とする会社です。成長している分野で、若手にも大きな裁量が与えられやすいです。

良いところ成長分野でデータの力がつく

大変なところ変化が速く、学び続ける必要がある

テレビ局(キー局・地方局)キー局の持株会社単体で約1,300万〜1,600万円(2026年3月期)

番組の制作と放送、CM枠の販売、配信やイベントなどの事業を行います。キー局は全国に番組を届け、地方局は地域のニュースや番組を作ります。

良いところ多くの人に届く番組を作れる

大変なところ採用人数が少なく狭き門

新聞社・出版社会社によって大きく異なる

ニュースや本、雑誌、漫画を作ります。新聞社はデジタル版の拡大、出版社は漫画やアニメの権利ビジネスに力を入れています。

良いところ社会に影響を与える報道や作品に関われる

大変なところ紙の部数が減り、ビジネスモデルの転換期にある

番組・広告の制作会社大手のメディア企業より低めの傾向

テレビ局や広告会社から依頼を受けて、番組やCMを実際に制作する会社です。現場の技術を磨けます。

良いところ早くから現場で制作の経験を積める

大変なところ待遇や労働時間は会社によって差が大きい

代表的な会社・職場

総合広告会社インターネット広告会社デジタル広告会社キー局キー局・公共放送全国紙・通信社大手出版社
電通グループ ›総合広告会社

日本最大の広告会社グループで、国内外で広告やマーケティングを手がけています。

持株会社単体の平均約1,596万円(2025年12月期)
博報堂DYホールディングス ›総合広告会社

博報堂、大広、読売広告社などを傘下に持つ広告会社グループです。

持株会社単体の平均約1,168万円(2026年3月期)
ADKホールディングス ›総合広告会社

アニメ関連にも強い総合広告会社です。

非上場のため非開示
サイバーエージェント ›インターネット広告会社

インターネット広告のほか、メディアやゲーム事業も手がけています。

有報で開示(金額は未確認)
セプテーニ・ホールディングスデジタル広告会社

インターネット広告の運用を中心とする会社です。

持株会社単体の平均約655万円
日本テレビホールディングス ›キー局

日本テレビ放送網を中心とするグループで、番組制作や配信を行っています。

持株会社単体の平均約1,398万円(2026年3月期)
TBSホールディングス ›キー局

TBSテレビを中心とするグループです。

持株会社単体の平均約1,328万円(2026年3月期)
フジ・メディア・ホールディングス ›キー局

フジテレビを中心とするグループです。

持株会社単体の平均約1,577万円(2026年3月期)
テレビ東京ホールディングス ›キー局

テレビ東京を中心とするグループで、経済番組やアニメに強みがあります。

持株会社単体の平均約1,419万円(2026年3月期)
テレビ朝日・NHKキー局・公共放送

テレビ朝日は民放のキー局、NHKは受信料で運営される公共放送です。

未確認
読売新聞・朝日新聞・日本経済新聞・共同通信全国紙・通信社

全国にニュースを届ける新聞社と、新聞社や放送局にニュースを配信する通信社です。

非上場のため非開示
集英社・講談社・小学館・KADOKAWA大手出版社

漫画、雑誌、書籍を出版し、アニメやゲームなどの権利ビジネスも行っています。

KADOKAWA以外は非上場のため非開示

›がついた会社は、会社図鑑で詳しく解説しています。

どうやって稼いでいる?

広告主(企業)商品やサービスを広めたい広告会社企画・制作し、広告枠を買うメディアテレビ・新聞・出版・ネット視聴者・読者番組や記事を見る広告費広告枠の代金番組・記事購読料・会費2025年の総広告費8兆623億円ネット50.2%四媒体28.5%他四媒体=テレビ・新聞・雑誌・ラジオ広告費の半分以上が、インターネットへ
広告会社は、買い付けた広告枠の代金の一定割合を手数料として受け取り、企画・制作の料金も得ます

広告・マスコミ業界のお金の流れの中心は広告費です。企業(広告主)が商品を広めるためにお金を払い、そのお金が広告会社を通じて、テレビ局や新聞社、インターネットのメディアに流れます。広告会社はその仲介手数料や、企画・制作の料金で収入を得ます。メディアは広告収入のほか、新聞の購読料、本や雑誌の販売、配信サービスの会費、番組や作品の権利の販売などで稼いでいます。2025年はインターネット広告費が総広告費の50.2%を占め、マスコミ四媒体は28.5%と、お金の流れが大きく変わってきています。

1
広告枠の販売(メディア)

テレビ局はCMの時間、新聞社や出版社は紙面、ウェブメディアは画面の広告スペースを広告主に販売します。2025年の地上波テレビの広告費は1兆6,333億円、新聞は3,136億円でした。

2
広告会社の手数料(マージン)

広告会社は、広告主の代わりにメディアの広告枠を買い付け、その金額の一定割合を手数料として受け取ります。たとえば、旅行会社の代わりに人気ドラマの合間のCM時間を買い、その代金の一部を広告会社の取り分にする仕組みです。

3
企画・制作フィー

CMやポスター、ウェブサイト、動画などを企画・制作して、その料金を受け取ります。クリエイティブの質が収入につながる部分です。

4
購読料・販売収入・配信の会費

新聞の購読料、本や雑誌、漫画の販売、動画配信サービスの会費など、読者や視聴者から直接お金を受け取る収入です。

5
ライツ(権利)ビジネス

番組や漫画、アニメなどの権利を、海外の放送局や配信サービス、グッズ会社などに販売します。日本のコンテンツは海外でも人気があり、成長している分野です。

6
イベント・不動産などの事業

テレビ局や新聞社は、展覧会やコンサートなどのイベント、所有する不動産の賃貸などでも収入を得ています。

入ってからどうなっていく?

1〜3年目現場で基礎を学ぶ広告会社では営業やクリエイティブ、デジタルの部署に配属され、先輩について仕事を覚えます。テレビ局ではAD(アシスタントディレクター)として番組づくりの現場を支え、新聞社では地方支局で警察や行政を担当する記者からスタートすることが多いです。
4〜7年目担当を持って独り立ち広告会社では顧客企業を担当し、キャンペーン全体を回せるようになります。テレビ局ではディレクターとしてコーナーや番組の演出を任され、記者は本社の担当分野で取材します。賞の受賞や話題になった仕事が評価につながります。
8〜15年目チームのリーダー広告会社ではチームのリーダーとして大型の案件をまとめ、クリエイターはクリエイティブディレクターを目指します。テレビ局ではプロデューサーとして番組の責任者になり、記者はデスクとして記事のチェックや後輩の指導を担当します。
40代管理職・専門職部長や局長として部門を率いるか、特定の分野の専門家として第一線で活躍し続けます。編集長や報道局長、クリエイティブの責任者など、組織の顔になる役割です。
50代〜経営・独立役員として会社の経営に関わる人、独立して自分の会社や事務所を作る人、大学で教える人などがいます。有名なクリエイターや放送作家の中には、独立して活躍する人も多いです。
よくある転職パターンデジタル企業・事業会社へ広告会社からIT企業やSNS企業、事業会社のマーケティング部門へ、テレビ局から配信サービスや制作会社へ、記者からウェブメディアや企業の広報へ移る例が多く見られます。

テレビCMが流れるまで

決める1オリエンテーション広告主が商品・相手・予算を伝える2企画・提案作戦と表現を考えてプレゼン3絵コンテの決定CMの場面を絵で描いて確定つくる4キャスティング出演者・場所・スタッフを決める5撮影1日から数日かけて撮る6編集・音入れ音楽やナレーションを入れる届ける7放送・配信番組の時間帯やネットで流す8効果の検証売上や認知度、SNSの反応を調べる次の広告へ1本のCMは、8つの工程をへて流れる
メディアプランナーが、どの番組の時間帯やネット上で流すかを決めます
1
オリエンテーション

広告主が、商品の特長、届けたい相手、予算、発売日などを広告会社に伝えます。

2
企画・提案

営業、マーケター、クリエイターで作戦と表現を考え、広告主にプレゼンします。

3
絵コンテの決定

CMの場面を絵で描いた絵コンテを作り、広告主と内容を確定します。

4
キャスティング・準備

出演者や撮影場所、スタッフを決め、撮影の準備をします。

5
撮影

監督やカメラマンと一緒に、1日から数日かけて撮影します。

6
編集・音入れ

映像をつなぎ、音楽やナレーションを入れて完成させます。

7
放送・配信

メディアプランナーが決めた番組の時間帯やネット上で広告が流れます。

8
効果の検証

売上や認知度、SNSの反応を調べ、次の広告に生かします。

広告・マスコミのある1日

9:30

出社します(広告会社の営業の例)。メールと担当案件の進み具合を確認します。

10:00

社内で企画会議をします。クリエイターやメディア担当と、新商品キャンペーンのアイデアを出し合います。

12:00

昼食です。チームでランチをしながら、最近話題の広告やSNSの動きを情報交換します。

13:30

広告主の企業でプレゼンテーションをします。キャンペーンの企画とスケジュール、予算を提案します。

15:30

CM撮影の準備をします。撮影場所やキャスティングについて制作会社と打ち合わせます。

17:00

ウェブ広告の結果レポートを確認します。クリック数や購入数を見て、次の改善策を考えます。

18:30

提案資料を修正します。広告主からの意見を反映します。

19:30

退社します。撮影の日やイベント当日は早朝から夜遅くまで現場に立ち会うこともあります。

もっと知りたい人へ

そもそも広告・マスコミとは

マスコミとは、マスコミュニケーションの略で、テレビ、新聞、雑誌、ラジオなど、たくさんの人に一度に情報を届けるメディアのことです。広告業界は、企業の商品やサービスを広めるために、これらのメディアやインターネットを使った広告を企画・制作・配信する業界です。広告とマスコミは深くつながっていて、マスコミの多くは広告収入で番組や記事を作り、広告会社はマスコミの広告枠を広告主に届けています。

日本の広告費はどのくらい?

電通の「2025年 日本の広告費」によると、総広告費は8兆623億円(前年比105.1%)で、4年連続で過去最高を更新しました。内訳は、インターネット広告費が4兆459億円、テレビメディア広告費が1兆7,556億円、プロモーションメディア広告費が1兆7,184億円です。

マスコミ四媒体とは

テレビ、新聞、雑誌、ラジオの4つのメディアをまとめた呼び方です。2025年の広告費の合計は2兆2,980億円(前年比98.4%)で、新聞は3,136億円(同91.8%)、ラジオは1,153億円、雑誌は1,135億円でした。

インターネット広告の伸び

2025年のインターネット広告費は前年比110.8%で、総広告費に占める割合が初めて50%を超えました。動画広告が伸びを引っ張り、テレビ局が配信する動画の広告費も805億円(前年比123.3%)と大きく伸びています。

なるためのルート

広告・マスコミ業界に入るのに必要な資格はありません。大手のテレビ局、広告会社、新聞社、出版社の多くは大学卒業者を対象に新卒採用を行っており、学部は問われないことがほとんどです。クリエイティブ職や映像制作の現場では、専門学校や美術系大学の出身者も多く活躍しています。job tagの広告ディレクターのページでは、働いている人の学歴は大卒が多く、次いで専門学校卒が多いとされています。

  1. 高校で幅広い興味を持つ国語の表現力、社会への関心、流行やエンタメへの好奇心が土台になります。
  2. 大学や専門学校に進む学部は自由です。クリエイター志望なら美術系や映像系の学校も選択肢です。
  3. 作品づくりや発信を始める映像、文章、デザイン、SNSでの発信など、自分の作品や活動を積み重ねます。
  4. インターンシップに参加広告会社やテレビ局のインターンでは、実際に企画を考える課題が出されます。
  5. 選考を受けるエントリーシート、筆記試験、面接、クリエイティブ試験などを受けます。
  6. 入社して現場で経験を積む配属された部署で先輩から学び、担当を任されるようになります。
職種別採用と総合職採用

大手の広告会社やテレビ局では、職種を決めずに総合職として採用し、入社後に配属を決める会社と、クリエイティブ職、技術職、記者職などに分けて採用する会社があります。希望する職種に就ける可能性がどのくらいあるかは、会社ごとに確認しましょう。

制作会社やデジタル企業から入る道

番組制作会社、広告制作会社、デジタル広告の会社、ウェブメディアなどから業界に入り、経験を積んで大手に転職する人もいます。最近はデジタルの経験を持つ人の中途採用が増えています。

試験・選考の詳細

広告・マスコミの選考は、一般企業と比べて独自の工夫が多いのが特徴です。エントリーシートでは「あなたを表すキャッチコピーを書いてください」のような発想力を見る質問が出たり、自由なレイアウトで自分を表現するシートを求められたりします。テレビ局では作文や企画書、新聞社では時事問題や作文の試験、広告会社ではグループで企画を考えるワークや、クリエイティブ試験が行われることがあります。面接では、何に興味があり、どんな経験から何を感じたのかが深く聞かれます。

人気企業の選考は早い

テレビ局や大手広告会社の選考は、一般的な企業より早い時期に行われることが多いです。大学3年生の夏や冬のインターンシップが選考に関わる場合もあり、早めの準備が大切です。

記者職の筆記試験

新聞社や通信社の記者職では、時事問題、一般常識、作文などの筆記試験が行われることがあります。日頃から新聞やニュースに触れ、社会の出来事について自分の意見を持っておくことが対策になります。

ポートフォリオ

クリエイター職やデザイナー職では、自分の作品をまとめたポートフォリオの提出が求められることがあります。学生時代に作った作品の量と質が評価されます。

年収のリアル

広告・マスコミ業界の年収は、会社の規模によって大きな差があります。job tagでは広告ディレクターの年収を約583万円(令和7年賃金構造基本統計調査)としています。一方、有価証券報告書に載っている持株会社の平均年間給与は、電通グループ約1,596万円、博報堂DYホールディングス約1,168万円、フジ・メディア・ホールディングス約1,577万円、日本テレビホールディングス約1,398万円などと高い水準です。ただし、持株会社は社員数が少なく、グループの事業会社や制作会社の社員の平均とは異なります。

大手と中小の差

大手のテレビ局や広告会社は高い給料で知られていますが、番組制作会社や広告制作会社、中小の出版社などでは年収が業界平均を下回ることも多いです。同じ業界でも、どの会社に入るかで待遇は大きく変わります。

デジタル人材は評価が高まる

インターネット広告の拡大で、データ分析や広告運用ができる人材の需要が高まっています。デジタルの専門性を持つ人は、転職市場でも評価されやすい傾向があります。

やりがい

広告・マスコミのやりがいは、自分が関わった仕事が多くの人に届き、反応が直接返ってくることです。作ったCMが話題になったり、手がけた番組が高い視聴率を取ったり、書いた記事が社会を動かしたりすることがあります。人の心を動かし、世の中の流行や空気を作る一端を担えるのは、この業界ならではの魅力です。

社会に問いを投げかける

報道の仕事は、権力を監視し、社会の問題を明らかにする役割があります。調査報道によって制度が変わるなど、社会に大きな影響を与えることもあります。

毎回違う仕事

広告なら担当する商品が、番組ならテーマや出演者が毎回変わります。いろいろな業界や人と関われるので、飽きることが少ない仕事です。

大変なこと・きついこと

広告・マスコミは、締め切りや放送日が決まっている仕事が多く、それに間に合わせるために忙しくなることがあります。撮影やイベント、事件や災害の取材などでは、早朝や深夜、休日に働くこともあります。また、作った広告や番組、記事は多くの人の目に触れるため、批判やSNSでの炎上のリスクもあります。かつては長時間労働が社会問題になり、業界全体で働き方改革が進められています。

業界の構造変化

新聞の広告費は2025年に前年比91.8%と減少が続き、テレビも横ばいです。インターネットへの移行が進む中で、従来のビジネスモデルを変えていく必要があり、会社によっては事業の見直しやリストラが行われることもあります。

コンプライアンスの厳しさ

広告や番組の表現には、法律や業界のルール、社会の感覚に合っているかのチェックが欠かせません。人権や多様性への配慮も強く求められるようになっています。

下積みの時期

テレビ番組のADや新聞社の地方支局の記者など、若いうちは体力的にも精神的にも大変な時期があります。この時期を乗り越えることで、現場の力がつくともいわれます。

向いている人

広告・マスコミに向いているのは、好奇心が強く、世の中の流行や人の気持ちに敏感な人です。新しいアイデアを考えるのが好きな人、人と話すのが好きな人、チームで何かを作り上げるのが好きな人にも向いています。また、締め切りに向けてやり切る粘り強さや、批判を受けても前向きに改善できる心の強さも大切です。

クリエイティブ以外の力も大事

広告・マスコミというと発想力が注目されますが、実際には調整力、データを読む力、事実を確かめる慎重さなど、さまざまな力が必要です。自分の得意を生かせる職種がきっと見つかります。

向いていないかもしれない人

決まった時間に決まった仕事をこなしたい人、変化が苦手な人は、予定が変わりやすいこの業界で苦労するかもしれません。

高校生のうちにできること

まずは、いろいろなメディアやコンテンツに触れて、なぜ面白いのか、なぜ心に残るのかを考える習慣をつけましょう。好きなCMや番組、記事について、誰に向けて何を伝えようとしているのかを分析してみるのがおすすめです。文章を書く、写真や動画を撮って編集する、SNSで発信する、学校新聞や放送部、文化祭の企画に関わるなど、自分で作る経験も大きな財産になります。

国語と社会の力を伸ばす

文章を読む力、書く力はどの職種でも必要です。小論文や作文の練習、新聞のコラムを読むことは、将来の選考対策にもなります。社会の出来事に関心を持つことも大切です。

データにも強くなる

これからの広告業界ではデータ分析がますます重要になります。数学や情報の授業で学ぶ統計やプログラミングの基礎も、きっと役に立ちます。

代表的な会社・職場

広告会社では電通グループ、博報堂DYホールディングス(博報堂、大広、読売広告社など)、ADKホールディングス、サイバーエージェント、セプテーニ・ホールディングスなどがあります。テレビ局では日本テレビ、TBSテレビ、フジテレビ、テレビ朝日、テレビ東京などの在京キー局、NHK、全国の地方局があります。新聞社では読売新聞、朝日新聞、毎日新聞、日本経済新聞、産経新聞、共同通信、時事通信など、出版社では集英社、講談社、小学館、KADOKAWAなどが知られています。

インターネット企業もメディア

検索サービス、SNS、動画配信サービス、ニュースアプリなどを運営するIT企業も、今では大きなメディアです。広告業界の人材がこうした企業で活躍する例も増えています。

番組・広告の制作会社

番組制作会社やCM制作会社、デザイン事務所など、実際の制作を担う会社も業界を支えています。現場で技術を磨きたい人にとって大切な職場です。

広告会社のしくみ

広告会社は、広告主とメディアの間に立つ仲介役であり、同時に企画と制作のプロ集団です。広告主から依頼を受けると、営業がチームを作り、マーケティングの担当が消費者を分析し、クリエイターが表現を考え、メディアの担当が広告を出す場所を決めます。完成した広告は、テレビやウェブ、屋外の看板などで世の中に出ていきます。最近は、広告を作るだけでなく、企業のマーケティング全体やデジタル化、新しい事業づくりまで支援する会社も増えています。

総合広告会社とデジタル広告会社

電通や博報堂のような総合広告会社は、テレビからデジタルまであらゆる広告を扱います。サイバーエージェントやセプテーニのようなデジタル広告会社は、インターネット広告の運用やデータ活用を得意としています。

インハウスという流れ

広告主の企業が、自社の中に広告やマーケティングのチームを持つ「インハウス化」も進んでいます。広告会社の経験者が、事業会社のマーケティング部門に転職する例も増えています。

テレビ・新聞・出版のこれから

テレビ、新聞、出版などの伝統的なメディアは、インターネットの広がりによって大きな変化の時期を迎えています。テレビ局は配信サービスでの番組提供や、テレビ局関連の動画広告に力を入れており、2025年のテレビメディア関連動画広告費は805億円と前年比123.3%に伸びました。新聞社は紙の新聞の部数が減る中でデジタル版の有料会員を増やす取り組みを進め、出版社は漫画やアニメの権利ビジネスを世界に広げています。

コンテンツの力は変わらない

メディアの形が変わっても、面白い番組、信頼できるニュース、心を動かす作品を作る力の価値は変わりません。むしろ配信サービスの広がりで、日本のコンテンツが世界中で見られるチャンスが増えています。

新しい職種の誕生

動画の配信戦略を考える担当、SNSアカウントの運用担当、データを使ってニュースを分析するデータジャーナリストなど、新しい職種が次々に生まれています。

よくある質問

広告・マスコミ業界に入るのに有利な学部はありますか?

特定の学部が必要なわけではなく、文学部、法学部、経済学部、社会学部、理工学部などさまざまな学部の出身者が働いています。大切なのは、何に興味を持ち、どんな経験をしてきたかです。

テレビ局に入るのはどのくらい難しいですか?

在京キー局などの大手テレビ局は採用人数が少なく、人気が高いため、とても狭き門とされています。番組制作会社や地方局、配信サービスなど、番組づくりに関われる道はほかにもあります。

絵やデザインが得意でないとクリエイターになれませんか?

コピーライターやCMプランナーのように、言葉やアイデアで勝負するクリエイターもいます。アートディレクターやデザイナーを目指すなら、美術系の学校で技術を磨く人が多いです。

広告業界はなくなりませんか?

総広告費は2025年に8兆623億円と過去最高を更新しています。広告の中身はテレビや新聞からインターネットへと移っていますが、企業が商品を広める必要がある限り、広告の仕事はなくならないと考えられます。

新聞記者になるにはどうすればいいですか?

新聞社や通信社の記者職の採用試験を受けるのが一般的です。時事問題や作文の試験があることが多いので、日頃から新聞を読み、自分の意見を文章にする練習をしておきましょう。

マスコミは激務って本当ですか?

締め切りや放送日に合わせて忙しくなる時期はあります。以前は長時間労働が社会問題になり、今は業界全体で労働時間の管理や働き方の改善が進められています。

YouTuberやインフルエンサーも広告業界と関係ありますか?

あります。企業がインフルエンサーに商品を紹介してもらう広告は、インターネット広告の一部として広がっています。広告会社がインフルエンサーと企業をつなぐ仕事もしています。

出版社で漫画の編集者になるには?

大手出版社の新卒採用を受けるのが一般的です。漫画の編集者は作家と一緒に作品を作る仕事なので、漫画をたくさん読み、なぜ面白いのかを分析する力が求められます。

理系でも広告・マスコミ業界で働けますか?

働けます。デジタル広告のデータ分析、放送技術、配信システムの開発など、理系の知識が生きる仕事が増えています。テレビ局には技術職の採用もあります。

この分野のことば

年収について:job tag掲載の令和7年賃金構造基本統計調査で広告ディレクターは約583万円です(平均41.7歳)。有価証券報告書ベースでは、持株会社単体の平均年間給与が電通グループ約1,596万円(2025年12月期)、博報堂DYホールディングス約1,168万円、日本テレビホールディングス約1,398万円、TBSホールディングス約1,328万円(いずれも2026年3月期)です。持株会社の数字はグループ全体の平均ではない点に注意してください。

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