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モノを右から左へ流すだけじゃない、世界中の事業の「持ち主」

総合商社

総合商社は、食料・エネルギー・金属・機械・化学品・生活用品など、ありとあらゆる分野で「売りたい人」と「買いたい人」をつなぎ、さらに世界中の会社に出資して事業そのものを育てる会社です。日本独特の業態で、三菱商事・三井物産・伊藤忠商事・住友商事・丸紅の5社は「五大商社」と呼ばれます。昔は貿易の仲介で手数料をもらう商売が中心でしたが、今は鉱山、発電所、コンビニ、食品メーカーなどに出資して、その会社の利益の一部を受け取る「事業投資」が稼ぎの柱です。たとえば伊藤忠商事はコンビニのファミリーマートを子会社にしていて、お店の利益が商社の利益にもなります。社員一人ひとりが動かすお金と影響力が大きく、日本でもっとも年収が高い業界の一つとして知られています。

平均年収の目安約1,700万〜2,100万円五大商社新人で約500万〜600万円台から、30代で1,500万円前後、管理職で2,000万円超も
なるまでの難しさ★★★★★五大商社の新卒採用はどの社も毎年100人台程度と少なく、人気ランキングで常に上位に入るため、就活でもっとも競争が激しい業界の一つです。学歴だけでなく、学生時代に何に打ち込み、どう人を動かしたかを何度も面接で深掘りされます。
決めどき文系・理系どちらでも

大学3年の夏インターン(大学2年の終わり〜3年の春から準備)

総合商社の業界マップ

よく「五大商社」とひとまとめに呼ばれる5社と、ほかの総合商社に分かれます。どの会社も幅広い商品をあつかいますが、得意な分野にちがいがあります。

となりの業界

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どんな職種がある?

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総合商社の年収と昇進の流れ

新入社員・担当者500〜800万円
入社1〜3年、22〜25歳

先輩の下で取引や資料作りを学びます。業界知識と英語力を身につけ、担当を任されることが次への条件です。

担当者(海外研修・出向)800〜1,300万円
入社4〜7年、26〜30歳

自分の担当先や商品を持ち、海外研修や出資先への出向を経験します。案件をやり遂げた実績で次の段階に進みます。

主任・課長代理(駐在・案件リーダー)1,300〜1,800万円
入社8〜12年、30〜35歳

海外駐在や大型案件のリーダーとして活躍します。投資案件の成果やチームを動かす力が評価されます。

課長1,700〜2,300万円
入社13〜20年、35〜42歳

部署の数字と部下に責任を持ちます。出資先の経営を任されることもあります。

部長・本部長2,200〜3,000万円
入社20年以降、43歳〜

事業全体の戦略を決め、大きな投資を判断します。

執行役員・役員3,000〜6,000万円
50代〜

会社全体の経営にかかわります。人数はごく限られます。

年収は目安です。会社や地域、本人の働き方で大きく変わります。

働き方で何が違う?

五大商社平均約1,700万〜2,100万円(2025年3月期)

三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅の5社です。資源からコンビニまで、あらゆる分野の取引と事業投資を行います。2025年3月期の純利益はどの社も5,000億円を超えています。採用人数は少なく、就活で最難関の一つです。

良いところ年収が非常に高く、世界を舞台に大きな仕事ができます。

大変なところ時差のある仕事や海外駐在が多く、プレッシャーも大きいです。

そのほかの総合商社(豊田通商・双日など)豊田通商1,421万円、双日1,257万円(記事掲載時点の有価証券報告書ベース)

豊田通商はトヨタグループの商社で、自動車関連やアフリカ事業に強みがあります。双日は日商岩井とニチメンが統合してできた会社で、航空機や肥料などに強みがあります。五大商社より規模は小さいものの、幅広い分野を扱います。

良いところ若いうちから大きな仕事を任されやすく、得意分野で存在感があります。

大変なところ五大商社と比べると事業規模や年収はやや小さくなります。

商社のグループ会社会社により大きく異なります(伊藤忠丸紅鉄鋼1,005万円など)

総合商社の子会社には、鉄鋼商社、食品卸、化学品商社、IT企業などがあります。親会社のネットワークを生かしながら、特定の分野の仕事に深くかかわれます。

良いところ専門性を深められ、総合商社より入りやすい会社もあります。

大変なところ大きな方針は親会社の考えに左右されることがあります。

代表的な会社・職場

五大商社総合商社総合商社(中堅)

どうやって稼いでいる?

海外の生産者ブラジルの大豆農家など 総合商社間に入って買って売る メーカー食品メーカー・製鉄会社など 買う代金安め 売る代金高め 出資先コンビニ・銅山 お金を出す利益の取り分 20%出資なら利益100億円のうち20億円が商社に 配当金も株主として受け取る 売買の差額 + 出資先の利益の取り分・配当 = 商社のもうけ
今の商社の利益の多くは、出資先の利益の取り分から生まれています

総合商社の稼ぎ方は大きく二つあります。一つは、モノの売り買いの間に入って差額や手数料を得る「トレーディング」です。たとえば、ブラジルの農家から大豆を買って日本の食品メーカーに売るような取引です。もう一つは、世界中の会社に出資して、その会社が出した利益のうち出資比率に応じた分を受け取る「事業投資」です。たとえば、コンビニチェーンや食品メーカー、海外の銅山の株を持ち、一緒に経営して利益を分けてもらう仕組みです。たとえば三井物産では、2025年3月期の純利益のうち約3割を金属資源の部門が稼いでおり、鉱山などの権益が大きな利益源になっています。一方で伊藤忠商事のように、食料・繊維・コンビニなど生活に近い「非資源」分野を強みにする会社もあります。2025年3月期の純利益は三菱商事9,507億円、三井物産9,003億円、伊藤忠商事8,803億円、住友商事5,619億円、丸紅5,030億円で、いずれも日本の大企業の中でもトップクラスの規模です。

1
トレーディング収益(売買の差額・手数料)

海外の生産者から買ったモノを、国内外の企業に売るときの差額や手数料です。一つひとつの利ざやは小さくても、扱う量が非常に多いので大きな金額になります。物流や保険、代金回収まで含めて引き受けることで、取引先から選ばれます。

2
持分法による投資損益(出資先の利益の取り分)

出資している会社が利益を出すと、出資比率に応じた分が商社の利益として計上されます。たとえば20%出資している会社が100億円の利益を出せば、20億円が商社の利益になるイメージです。今の商社の利益の多くはこの仕組みから生まれています。

3
受取配当金

出資先の会社から、株主として配当金を受け取ります。資源会社やインフラ会社など、安定してお金を生む会社からの配当は、商社にとって大切な収入です。

4
資源の権益収入

鉱山やガス田の「権益」(掘り出した資源の一部を受け取る権利)を持ち、そこから出た資源を売って利益を得ます。資源価格が上がると大きく儲かり、下がると利益が大きく減るため、商社の業績が年ごとに上下する原因になります。

5
事業売却益(投資の回収)

育てた出資先の会社の価値が上がったところで、株を売って利益を得ることがあります。逆に、うまくいかない事業からは撤退し、損失を出してでも資金を次の投資に回します。投資と売却を繰り返して会社全体を入れ替えていく考え方を「資産の入れ替え」と呼びます。

6
子会社の売上・利益(連結)

50%を超えて出資している会社は子会社として、売上も利益も丸ごと商社の決算に入ります。コンビニ、食品卸、自動車販売会社など、身近な会社が実は商社の子会社ということもよくあります。

入ってからどうなっていく?

1〜3年目修行期(現場を知る)営業部門やコーポレート部門に配属され、受発注、契約書のチェック、物流の手配、会議の資料作りなど基礎を学びます。先輩について取引先を回り、業界の言葉や商習慣を覚えます。英語での電話やメールにもこの時期に慣れていきます。
4〜7年目担当を持つ時期・海外研修特定の取引先や商品を一人で担当し、自分の判断で取引を進めるようになります。多くの会社に若手を海外に1〜2年送り出す研修制度があり、語学や現地ビジネスを学びます。早い人は出資先に出向して経営の現場を経験します。
8〜15年目(30代)海外駐在・投資案件の中心海外駐在や出資先への出向で、大きな案件の実務リーダーを任されます。投資の検討、相手との交渉、買収後の統合などを中心になって進めます。この時期の実績が、その後の昇進を大きく左右します。
40代管理職・事業会社の経営課長・部長として部署の数字に責任を持ちます。出資先の社長やCFOとして経営を任される人もいます。部下の育成や、社内の投資判断に関わる仕事が増えます。
50代本部長・役員・グループ会社トップ本部長や執行役員として、何千億円規模の事業全体を率いる人もいます。グループ会社の社長として転じる人も多く、商社の外で経営者として活躍し続ける人もいます。
転職・独立よくある別ルート商社で身につけた投資と経営の経験を生かし、投資ファンド、コンサルティング会社、事業会社の経営企画、スタートアップの経営陣などに転じる人がいます。自分で起業する人もいます。「商社出身」は転職市場でも評価が高い経歴の一つです。

商社が海外の事業に投資するまで

総合商社出資先を育てる 1 案件を探す情報を集める 2 価値を分析会社の価値を計算 3 詳しく調べる隠れた借金を確認 4 社内で承認投資委員会で説明 5 契約する出資比率を交渉 6 経営に参加役員を送り込む 7 持つか売るか売って次の投資へ 投資と売却をくり返して、事業を入れ替える
役割を終えた会社は売り、そのお金を次の投資に回します
1
案件を見つける

海外の拠点や取引先、銀行などから「この会社が出資先を探している」といった情報を集めます。たとえば、東南アジアで伸びている食品会社などです。

2
分析する

相手の会社の決算書や市場の将来性を調べ、どのくらいの価値があるかを計算します。

3
詳しく調べる(デューデリジェンス)

弁護士や会計士と一緒に、隠れた借金や法律上の問題がないかを確認します。

4
社内で承認を得る

投資委員会で、いくら出資し、何年で回収できるかを説明して承認をもらいます。

5
契約する

相手と出資比率や役員の人数、経営のルールなどを交渉して契約を結びます。

6
経営に参加して価値を上げる

役員を送り込み、販路の拡大やコスト削減を一緒に進めます。商社の取引網を使って売上を伸ばすことも多いです。

7
持ち続けるか、売るか

利益を生み続ける会社は持ち続け、役割を終えた会社は売却して、そのお金を次の投資に回します。

総合商社のある1日

7時半〜ニュース 9時〜メール・会議 11時〜取引先を訪問 12時半〜ランチ 14〜16時投資の試算 16時〜法務と相談 18時〜ヨーロッパと会議 19時半退社 22時アメリカ 帯の長さ=かける時間 黄色=海外とのやりとり 時差があるので、夕方や夜も海外とやりとり
18時はヨーロッパ、22時はアメリカが朝を迎える時間です
7:30

出社前に、海外の市況や為替、取引先の国のニュースをスマホでチェックします

9:00

出社して、夜のあいだに届いた海外拠点や取引先からのメールに返信します

10:00

部内の定例会議で、案件の進み具合や今月の数字を報告します

11:00

国内の取引先(たとえば製鉄会社や食品メーカー)を訪問し、来年度の量や価格を打ち合わせます

12:30

取引先や同期とランチをします。業界の最新の話を聞く大事な時間でもあります

14:00

投資案件の検討資料をつくります。出資先の事業計画をエクセルで試算します

16:00

法務・審査部門と、契約書のリスクについて打ち合わせます

18:00

時差のあるヨーロッパの出資先とオンライン会議をします

19:30

退社します。週に何度かは取引先との会食や、社内の勉強会に参加します

22:00

アメリカが朝を迎える時間です。急ぎの案件があれば自宅からメールを確認します

もっと知りたい人へ

そもそも総合商社とは

総合商社は、特定の商品だけでなく「ラーメンからミサイルまで」と言われるほど幅広い分野を扱う、日本独特の会社の形です。海外にはまったく同じ形の会社はほとんどなく、英語でもそのまま「Sogo Shosha」と呼ばれることがあります。かつては日本の工業製品を海外に売り、海外の資源を日本に運ぶ貿易の担い手でした。今は自分で事業を持ち、経営する「投資会社」や「事業会社」の性格が強くなっています。たとえば、海外の発電所を自分で建てて電気を売ったり、スーパーやコンビニの経営に加わったりしています。社員数は単体で数千人ほど(三菱商事は2025年3月末で4,477名)と大企業のわりに少なく、そのぶん一人あたりの担当する金額が大きいのが特徴です。

専門商社とのちがい

専門商社は鉄鋼、化学品、食品、機械など特定の分野に絞って取引をする会社です。総合商社は全分野を扱い、さらに事業投資の規模が大きい点がちがいます。どちらが上ということではなく、専門商社のほうがその分野に深く関われるという魅力もあります。

五大商社とその次のグループ

売上や利益の規模から、三菱商事・三井物産・伊藤忠商事・住友商事・丸紅の5社が「五大商社」と呼ばれます。その次に、豊田通商、双日などの総合商社があり、まとめて「七大商社」と呼ぶこともあります。豊田通商はトヨタグループの商社で、自動車関連やアフリカ事業に強みがあります。

なぜ日本にだけあるのか

明治時代以降、日本は資源が少なく、海外との取引のノウハウを持つ会社が限られていました。そこで、さまざまな企業の代わりに貿易をまとめて引き受ける会社が育ちました。それが今の総合商社のルーツです。

総合商社のビジネスの変化

商社の歴史は「商社不要論」との戦いでもありました。メーカーが自分で海外と直接取引できるようになると、仲介するだけの商社はいらなくなると言われたのです。そこで商社は、資源の権益を持つ、発電所を建てて運営する、食品メーカーや小売チェーンに出資するなど、自分で事業を持つ方向に大きく変わりました。今では利益の多くが事業投資から生まれています。最近は、脱炭素の流れの中で、石炭などの資源から再生可能エネルギーや水素、アンモニアなどに投資先を移す動きも進んでいます。

資源と非資源

商社の利益を「資源(鉄鉱石、銅、石炭、LNGなど)」と「非資源(食料、生活用品、機械、化学品など)」に分けて考えることがよくあります。資源は価格が上がると大きく儲かりますが、下がると利益が一気に減ります。非資源は大儲けは少なくても安定しやすいので、各社とも両方のバランスを意識しています。

バリューチェーンという考え方

商社は、原料を掘る・育てるところから、加工、流通、小売まで、一つの商品の流れ全体に関わろうとします。たとえば食料なら、海外の農場、穀物の輸送、国内の食品工場、スーパーやコンビニまでつなげることで、どこか一部だけより大きな利益と影響力を持てます。

海外の投資家からの注目

近年、海外の有名な投資家が五大商社の株を買ったことが話題になり、商社の稼ぐ力があらためて世界から注目されました。株価の上昇や増配も続き、商社の存在感は以前より高まっています。

なるためのルート

総合商社の総合職になる一般的なルートは、大学(または大学院)を卒業して新卒で入社することです。学部の指定はなく、法学部、経済学部、商学部、文学部、理工学部など、さまざまな学部から採用されています。人数としては文系学部の出身者が多いですが、資源・エネルギーや化学品などの部門を中心に理系出身者も活躍しています。中途採用もありますが、新卒入社が中心の業界です。

  1. 高校で基礎を固める英語を中心に、受験勉強で幅広い科目の基礎を作ります。ニュースを見て、世界の出来事と日本の暮らしのつながりに興味を持つことが第一歩です。
  2. 大学に進学する学部は自由です。在学中に留学、長期インターン、部活やサークルでのリーダー経験など、人に話せる挑戦をしておくと就活で強みになります。
  3. 大学3年の夏にインターンに参加各社が夏や冬にインターンシップを開きます。参加者の中から早期選考に進めるケースもあるので、大学2年の終わりごろから準備する人が多いです。
  4. エントリーシートと適性検査志望動機や学生時代の経験を書いたエントリーシートと、Webテストで最初の選考が行われます。人気企業のため、ここで多くの応募者が絞られます。
  5. 複数回の面接・内定グループディスカッションや、社員・役員との面接が何度も行われます。大学4年の初めごろに内定が出るのが一般的なスケジュールです。
  6. 入社・配属入社後の研修を経て、各部門に配属されます。配属先の希望は聞かれますが、必ずしも希望どおりになるとは限りません。
文系・理系どちらでも

商社の仕事は特定の学問の知識より、交渉力、数字の感覚、語学、行動力が問われます。そのため文理はほとんど問われません。理系の場合、プラント、エネルギー、化学品、IT関連などで専門知識を生かしやすい場面があります。

留学や体育会の経験

留学経験者や、体育会の部活で主将などを務めた人が多いと言われます。ただしそれ自体が条件ではなく、「困難な状況でどう考え、周りを巻き込んで結果を出したか」を語れることが大切です。

試験・選考の詳細

商社の選考に資格試験はありません。そのかわり、エントリーシート、Webテスト(SPIや玉手箱などの適性検査)、グループディスカッション、複数回の面接で、時間をかけて人物を見られます。面接では「なぜ商社なのか」「なぜこの会社なのか」「学生時代に一番頑張ったことは何か」が深く聞かれます。商社各社は扱う分野が似ているので、各社の強みのちがいを理解して話せるかもポイントです。TOEICなどの英語スコアは必須ではない会社が多いですが、入社後に一定の英語力が求められます。

ケース面接やディスカッション

「ある国で新しい事業を立ち上げるなら何をするか」などのテーマで、短い時間でグループで議論することがあります。正解を出すことより、筋の通った考え方と、周りの意見を生かす姿勢が見られます。

OB・OG訪問

実際に働く先輩社員に話を聞くOB・OG訪問は、商社の就活でよく行われます。仕事のリアルを知り、志望動機を深めるのに役立ちます。大学のキャリアセンターやゼミの先輩経由でつながることが多いです。

学歴について

採用実績のある大学には有名大学が多いのは事実ですが、大学名だけで決まるわけではありません。大学に入ってから何をしたかが重視されます。

年収のリアル

五大商社の平均年収は、2025年3月期の有価証券報告書で、三菱商事2,112万円、三井物産1,996万円、伊藤忠商事1,804万円、住友商事1,744万円、丸紅1,708万円です。国税庁の調査(令和6年分)では日本の給与所得者の平均給与は478万円なので、およそ3〜4倍にあたります。ただしこれは平均年齢42歳前後の会社全体の平均で、新人のうちは500万〜600万円台程度からのスタートです。30歳前後で1,000万円を超えるのが一般的と言われ、その後は業績連動の賞与で大きく増えます。豊田通商は1,421万円、双日は1,257万円、兼松は1,202万円(いずれも記事掲載時点の各社有価証券報告書ベース)と、五大商社以外の総合商社も高水準です。

賞与が大きく変わる

商社の給料は、基本給に加えて会社の業績に連動する賞与の割合が大きいのが特徴です。資源価格が上がって最高益が出た年は年収が大きく増え、逆の年は下がります。数年単位で見ると上下があることを知っておきましょう。

海外駐在中の手当

海外駐在中は、住宅や子どもの教育費などの補助、海外勤務の手当が出る会社が多く、生活費を抑えながら働けると言われます。特に生活環境が厳しい地域では手当が手厚くなることがあります。

高い年収の裏側

年収が高いぶん、成果への期待も高く、時差のある国との仕事や長時間の出張、会食なども多い仕事です。年収だけを目標にすると続けるのが大変になるかもしれません。

やりがい

自分が関わった仕事が、国のエネルギーや食料の確保、新興国のインフラ整備など、社会の大きな仕組みにつながっていることを実感できます。若いうちから大きな金額と裁量を任され、海外の経営者や政府関係者と対等に交渉する経験ができます。一つの分野にとどまらず、人事異動でまったく別のビジネスに関われるのも、総合商社ならではの面白さです。出資先の経営に関わることで、「会社を動かす」経験を早くから積めます。

国をまたぐ仕事

たとえば、オーストラリアの鉱山から鉄鉱石を運び、日本の製鉄所に届け、その鉄が自動車や橋になるまでの流れに関われます。ニュースで見る世界の出来事が、自分の仕事に直結します。

人とのつながり

取引先、出資先、政府、銀行など、さまざまな立場の人と信頼関係を作るのが商社の仕事の土台です。何年もかけて築いた人脈で大きな案件がまとまったときの達成感は大きいです。

大変なこと・きついこと

時差のある国と取引するため、早朝や深夜の会議やメールが日常的にあります。海外駐在や長期出張で、家族や友人と離れて暮らす期間が長くなることもあります。資源価格や為替、相手国の政治情勢など、自分ではどうにもできない要因で案件がだめになることも少なくありません。投資の失敗は会社に大きな損失を与えるため、プレッシャーは相当なものです。配属先や駐在先を自分で選べないことも多く、希望と違う分野で働く覚悟も必要です。

体力勝負の場面

出張では、一週間で複数の国を回ることもあります。慣れない食事や気候の中で、交渉や会食をこなす体力が求められます。

新興国での生活

駐在先が新興国の場合、治安、医療、子どもの教育などで苦労することがあります。一方で、その国の成長を間近で見られる貴重な経験でもあります。

向いている人

知らない人と話すのが苦にならず、立場の違う人の間に入って利害を調整するのが好きな人に向いています。数字やお金の動きに興味がある人、世界のニュースに自然と目がいく人も向いています。正解のない状況で自分なりに考え、行動しながら修正していける人は商社で強いです。英語は入社時に完璧である必要はありませんが、学び続ける意欲は必要です。体力とメンタルの強さ、そして困ったときに周りを頼れる素直さも大切です。

こんな高校生はチャンスあり

文化祭や部活でまとめ役をしてきた人、海外の文化や地理が好きな人、ニュースを見て「なぜ値段が上がったのか」を考えるのが好きな人は、商社の仕事と相性がいいかもしれません。

合わないかもしれない人

一つのことを一人でじっくり極めたい人や、転勤や海外生活を絶対に避けたい人には、総合商社の総合職は合わない可能性があります。その場合は、研究職や専門職、地域に根ざした会社なども検討してみましょう。

高校生のうちにできること

まずは英語です。読む・書くだけでなく、話す練習をしておくと大学で留学や国際交流のチャンスをつかみやすくなります。次に、地理や世界史、政治・経済の授業を「仕事につながる知識」として意識して学びましょう。ニュースでは、原油価格、為替、食料品の値上げなど、お金とモノの動きに注目すると商社の仕事が見えてきます。部活や生徒会、文化祭などで人をまとめた経験は、大学での挑戦の土台になります。大学選びでは、留学制度や国際系のプログラムが充実しているかも見ておくとよいでしょう。

身近な商品の裏側を調べる

コンビニのおにぎりのお米や海苔、ガソリンの原油などが、どこの国から、どの会社を通って届いているのかを調べてみましょう。商社の名前が意外なところで見つかるはずです。

各社の統合報告書を眺める

商社各社は、事業の内容や数字をまとめた「統合報告書」を公開しています。全部読む必要はありませんが、図や写真を見るだけでも、どんな事業をしているかがわかります。

代表的な会社・職場

五大商社は三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅です。そのほかの総合商社には、トヨタグループの豊田通商、日商岩井とニチメンが統合してできた双日などがあります。兼松のように、総合商社の流れをくみつつ電子・食料などの分野に強みを持つ会社もあります。本社はいずれも東京にあり、世界中に拠点を持っています。入社後は、本社のほか、海外拠点や出資先の事業会社で働くことも多くあります。

各社の強みの例

三菱商事は資源から生活分野まで幅広い事業投資、三井物産は鉄鉱石などの資源権益、伊藤忠商事は繊維・食料・コンビニなど生活消費分野、住友商事はメディア・デジタルや不動産など非資源の幅広さ、丸紅は食料と電力に強みがあると言われます。

子会社・関連会社で働く道

商社のグループには、食品卸、鉄鋼商社、化学品商社、IT企業など多くの会社があります。グループ会社に入社して、商社グループの一員として働く道もあります。

総合商社の部門と扱う商品

総合商社の組織は、扱う商品や事業ごとに「営業本部」や「グループ」に分かれています。代表的なのは、金属資源、エネルギー、機械・インフラ、化学品、食料、生活産業、情報・金融などの部門です。どの部門に配属されるかで、取引先も仕事の進め方も大きく変わります。たとえば金属資源なら鉱山会社や製鉄所、食料なら農家や食品メーカー、機械なら自動車メーカーやプラント会社が相手になります。社内にまったく違う業界が同居しているので、「一つの会社の中に何十もの会社がある」と表現されることもあります。

エネルギー部門

LNG(液化天然ガス)や原油の取引、ガス田の権益、発電所の建設・運営などを担当します。最近は再生可能エネルギーや水素、アンモニアなど、脱炭素につながる分野の比重が高まっています。

食料・生活産業部門

穀物の輸入、食品メーカーへの出資、コンビニやスーパーとの取引、アパレルブランドの展開などを担当します。毎日の暮らしに一番近い部門で、自分の仕事を身近な店で見かけることもあります。

機械・インフラ部門

自動車や建設機械の海外販売、鉄道や空港、発電所などの大型インフラの建設に関わります。何年もかけて一つの案件を進めることが多い部門です。

総合商社とメーカー・金融のちがい

就活では、総合商社とメーカー、銀行、コンサルティング会社を比べる人が多くいます。メーカーは自分の会社で製品を作り、その製品を売ることが中心です。銀行はお金を貸して利息を得るのが基本で、自分で事業を経営することは基本的にありません。商社は、モノの取引と事業への出資・経営の両方を手がけ、いろいろな業界をまたいで動ける点が特徴です。そのぶん、特定の技術や商品を極めるというより、ビジネスの仕組み全体を作るのが仕事になります。

商社と投資ファンド

投資ファンドも会社に出資しますが、数年で売却して利益を得ることが前提です。商社は長く持ち続けて、取引も含めて一緒に事業を育てることが多い点がちがいます。

どれを選ぶか迷ったら

「モノづくりに関わりたい」ならメーカー、「お金の仕組みを極めたい」なら金融、「業界をまたいで事業を作りたい」なら商社、というように、自分が何に一番わくわくするかで考えると選びやすくなります。

よくある質問

総合商社って、結局なにを売っている会社なの?

特定の商品はなく、エネルギー、金属、食料、機械、化学品、衣料品などほぼすべてを扱います。さらに今は「モノを売る」より「会社に出資して事業を育てる」ことが利益の中心です。身近なコンビニや食品メーカーが商社のグループ会社であることも多いです。

英語がペラペラじゃないと入れない?

入社時点で完璧な英語力が求められるわけではありません。ただ、仕事では英語を使う場面が多いので、入社後も勉強を続ける必要があります。高校のうちから英語に慣れておくと、大学での留学や就活で有利に働く場面が多いです。

理系でも総合商社に入れる?

入れます。人数は文系出身者のほうが多いですが、エネルギー、化学品、プラント、ITなどの部門では理系の知識が生きる場面があります。商社の仕事では学部の専門より、行動力や交渉力が重視されます。

本当に20代で年収1,000万円を超えるの?

五大商社では、30歳前後で1,000万円を超えるのが一般的と言われています。ただし業績連動の賞与の割合が大きく、年や会社によって差があります。平均年収2,000万円前後という数字は、平均年齢42歳前後の会社全体の平均です。

海外駐在は必ずあるの?

総合職の多くは、キャリアのどこかで海外駐在や海外研修を経験します。ただし時期や回数、行き先は人によってさまざまです。駐在を希望する人も多く、むしろチャンスと考える人が多い職場です。

どんな大学から入っているの?

有名大学の出身者が多いのは事実ですが、大学名だけで決まるわけではありません。大学時代に何に挑戦し、どんな成果を出したかが面接で深く聞かれます。学部も文系・理系を問いません。

総合商社と専門商社、どっちがいい?

どちらが上ということはありません。総合商社は幅広い分野と大きな投資、専門商社は特定の分野を深く極められるのが魅力です。扱いたい商品や働き方で選ぶのがおすすめです。

商社はなくならない?AIに仕事を奪われない?

仲介だけの仕事は減ると言われ続けてきましたが、商社は事業投資へと形を変えて成長してきました。人と人の信頼関係で成り立つ交渉や、経営の判断はAIだけでは代わりにくい部分です。一方で、データ分析などAIを使いこなす力は今後ますます求められます。

女性も活躍できる?

活躍できます。各社とも女性総合職の採用や管理職の登用を増やす目標を掲げ、海外駐在をする女性社員も増えています。育児と仕事を両立するための制度づくりも進んでいます。

高校の文理選択はどうすればいい?

どちらを選んでも商社を目指せます。大学で学びたいことや得意科目を優先して選んで大丈夫です。どちらを選んでも、英語と社会のニュースへの関心は持ち続けましょう。

この分野のことば

年収について:五大商社の平均年収は各社の有価証券報告書(2025年3月期・単体)で、三菱商事2,112万円、三井物産1,996万円、伊藤忠商事1,804万円、住友商事1,744万円、丸紅1,708万円です(平均年齢はいずれも42〜43歳)。総合職と一般職などを含む会社全体の平均で、業績連動の賞与が大きいため年ごとに上下します。年代別の金額は採用情報や報道からの目安です。

数字はすべて公開データにもとづく目安です。出典は出典・サイトポリシーにまとめています。

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