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どの条文?判例では…六法

法学部

ルールで社会を読みとく

法学部は、法律がどんな考え方で作られ、社会の中でどう使われているのかを学ぶ学部です。憲法・民法・刑法などの基本の法律に加え、会社法や労働法、国際法など幅広い分野があり、政治学や国際関係を学べる学科を置く大学も多いです。条文を丸暗記するのではなく、具体的な事件にどの条文をどう当てはめるかを、判例や学説を比べながら考えるのが中心です。卒業後は一般企業や公務員が多く、法科大学院を経て弁護士・裁判官・検察官をめざす人もいます。

よくある勘違い

法学部は弁護士や裁判官になる人だけが行くところ

実は

弁護士などの法曹になる人は一部で、卒業生の多くは企業や公務員として働いています。法学部で身につくのは、ルールを読みとき、利害がぶつかる場面で筋道を立てて結論を出す力です。

どんな学科・専攻がある?

法学部ではどんな授業がある?

押すと、その授業の中身が見られます。

実習・実験・研究

法学部の手を動かす学びの中心は、少人数のゼミ(演習)です。ゼミでは実際の判例を1つ担当し、事実関係、争点、裁判所の判断、学説の評価を調べてレポートにまとめ、発表します。ほかの学生から反論を受け、自分の考えを守ったり修正したりするなかで、議論する力がつきます。模擬裁判や、大学対抗の法律の弁論大会(模擬仲裁や交渉の大会)に参加する学生もいます。卒業論文は必修でない大学も多いですが、ゼミ論文を書くゼミもあり、テーマを決めて判例や文献を調べ、自分の結論を論じる経験は大きな力になります。

専門演習(ゼミ)3年生から2年間所属するのが一般的です。憲法、民法、刑法、会社法、国際法など分野ごとにゼミがあり、判例報告と議論をくり返します。人気のゼミは選考があります。
判例研究・判例報告1つの判例について、どんな事件で何が争われ、裁判所がどんな理由で結論を出したかを分析し、ほかの判例や学説と比べて評価します。法学の研究の基本となる作業です。
模擬裁判学生が裁判官、検察官、弁護人、証人などの役になり、架空の事件で裁判を再現します。脚本づくりから本番まで数か月かけて準備する大学もあり、学園祭で一般公開することもあります。
ゼミ論文・卒業論文4年生で、自分でテーマを選んで判例や学説を調べ、論文にまとめます。必修かどうかは大学やゼミによって違います。
インターンシップ・リーガルクリニック法律事務所や自治体、企業の法務部でのインターンシップを授業として行う大学があります。法科大学院では、弁護士の指導のもとで実際の法律相談にかかわるリーガルクリニックもあります。
交渉・仲裁の大会大学対抗で、国際取引の紛争などを題材に、交渉や仲裁の手続きを英語や日本語で競う大会があります。チームで何か月も準備する、法学部ならではの活動です。

大学生活の流れ

ふつう法曹1年目入門憲法・民法2年目基本行政法・商法3年目ゼミ専門を選ぶ4年目進路へ就活・試験5年目6年目学部 4年法科大学院(既修)学部 3年法科大学院2年司法修習へ法曹コースは3年で早期卒業して法科大学院へ大学入学から最短5年で司法修習に進める
法科大学院は既修者コース2年・未修者コース3年。法曹コースは成績などの条件を満たした人が対象
1年法学入門、憲法、民法総則、刑法総論など基本科目の入門と、教養科目を学びます。法律の文章の読み方や答案の書き方に慣れる時期です。
2年民法・刑法の続きや、行政法、商法など基本科目をくわしく学びます。法曹コースの人は、この時期の成績が早期卒業の条件にかかわることがあります。
3年ゼミに所属し、会社法、労働法、知的財産法など興味のある専門分野を選びます。公務員試験の勉強や就職活動の準備を始める人が多く、法曹コースの人は早期卒業して法科大学院に進むこともできます。
4年ゼミ論文、就職活動、公務員試験、法科大学院入試などそれぞれの進路に向けて動きます。公務員試験は春から夏にかけて本番を迎えます。
大学院法曹をめざす人は法科大学院(法学既修者コース2年、法学未修者コース3年)に進みます。研究者をめざす人は法学研究科の修士・博士課程に進みます。

取れる資格・免許

司法試験(弁護士・裁判官・検察官)法科大学院を修了するか予備試験に合格すると受験できます。所定の条件を満たせば法科大学院在学中の受験も可能です。令和7年の合格者は1,581人、合格率は41.20%でした。合格後、司法修習を経て法曹になります。
司法試験予備試験法科大学院に行かなくても司法試験の受験資格を得られる試験で、受験資格の制限はありません。令和6年の最終合格者は449人で、短答式受験者に対する合格率は3.57%という難関です。
司法書士登記や供託、簡易裁判所での訴訟代理などを行う国家資格です。令和6年度の合格率は5.27%(合格者737人)で、法学部在学中から勉強を始める人もいます。
行政書士役所に出す書類の作成や手続きの代理を行う国家資格です。受験資格はなく、令和7年度の合格率は14.54%でした。法学部の学びと重なる部分が多い資格です。
宅地建物取引士不動産の取引で重要事項の説明などを行う国家資格です。民法の知識が役立ち、不動産業界や金融機関を志望する学生が在学中に取ることも多いです。
中学校社会・高等学校公民の教員免許教職課程を置く大学では、所定の単位と教育実習を修めて取れます。

法学部の卒業後の進路

法学部一般企業二本柱金融・メーカー・商社・不動産など営業・総務・人事・法務の仕事公務員(国家・地方)二本柱行政職、裁判所事務官、国税専門官試験の内容が法学部の科目と重なる弁護士・裁判官・検察官一部法科大学院予備試験司法試験司法修習司法書士・行政書士など在学中や卒業後に国家資格を取り、事務所で働く・独立する一般企業と公務員が二本柱法曹は一部。司法試験を通って進む

法学部の卒業生は、一般企業への就職と公務員が二本柱です。企業では業界を問わず、営業、総務、人事、法務などの職種につきます。公務員は国家公務員・地方公務員の行政職のほか、裁判所事務官や国税専門官などの専門職もあり、法学部の科目と試験の内容が重なるため志望者が多いです。弁護士などの法曹をめざす人は法科大学院に進むか、予備試験を受けます。

公務員(国家・地方) ›法学部の代表的な進路です。県庁や市役所、中央省庁の行政職として、法律や条例をもとに政策をつくり、実行します。たとえば、市の子育て支援の補助金の条件を決める、自転車の安全利用の条例をつくる、といった仕事です。公務員試験の専門科目には憲法・民法・行政法などが出るため、法学部の学びがそのまま生きます。弁護士・裁判官・検察官(法曹) ›法科大学院を経て、または予備試験に合格して司法試験に挑戦します。人数は法学部生の中では一部ですが、法学部ならではの進路です。企業内弁護士として会社で働く人も増えています。銀行・証券・保険などの金融 ›採用人数が多く、法学部からも多くの人が就職します。融資の契約や債権の回収、コンプライアンス(法令遵守)など、法律の知識が役立つ場面が多い業界です。たとえば、お金を貸した会社が返せなくなったとき、どの順番でだれが返してもらえるのかは法律で決まっています。メーカーの法務・総務・営業 ›企業の法務部で契約書のチェックやトラブル対応、株主総会の準備などを担当します。たとえば、お菓子メーカーが人気キャラクターとコラボ商品を作るとき、キャラクターの使用料や使ってよい範囲を決める契約書をチェックするのが法務の仕事です。新卒では営業などに配属され、のちに法務に異動する人もいます。総合商社 ›国際的な取引の契約や交渉が多い業界で、法律の知識と語学力を生かせます。たとえば、外国から小麦を大量に輸入するとき、船が遅れたら誰が損をかぶるのかを契約書で決めておきます。採用倍率は高いですが、法学部から就職する人もいます。不動産・建設 ›土地や建物の売買、賃貸、開発には、民法や借地借家法、都市計画法など多くの法律がかかわります。宅地建物取引士の資格を取って入社する人もいます。コンサルティング・IT ›企業の課題を論理的に分析する力を生かし、コンサルティング会社やIT企業に進む人もいます。個人情報保護やデータの扱いなど、ITと法律が交わる分野は今後も重要です。たとえば、アプリが集めた利用者の位置情報を広告に使ってよいかは、法律の問題です。新聞・放送などのマスコミ ›裁判や政治の取材には法律と政治の知識が欠かせません。記者として社会部や政治部で活躍する法学部出身者もいます。
司法書士・行政書士などの士業在学中や卒業後に国家資格を取り、事務所で働いたり独立したりする人もいます。

もっと知りたい人へ

法曹(弁護士・裁判官・検察官)になるルート

法曹になるには司法試験に合格し、約1年の司法修習を終えて最後の試験(二回試験)に合格する必要があります。司法試験を受けるルートは大きく2つで、法科大学院を修了する(または在学中に条件を満たして受験する)ルートと、予備試験に合格するルートです。令和7年の司法試験では、法科大学院在学中に受験した人の合格率が52.66%、予備試験合格者の合格率が90.68%でした。

法曹コースで最短ルート

法学部の法曹コースで学び、3年で早期卒業して法科大学院の既修者コース(2年)に進むと、大学入学から最短5年で司法修習に進めます。法科大学院在学中に司法試験を受けて合格すれば、さらに早く法曹になれる可能性があります。

予備試験ルート

予備試験は受験資格の制限がなく、大学生のうちに合格する人もいます。ただし最終合格率は数%で、非常に難しい試験です。

公務員をめざすなら

公務員試験は、教養試験と専門試験、論文、面接などで構成されます。行政系の専門試験では憲法・民法・行政法などの法律科目の比重が大きく、法学部の授業がそのまま対策になります。国家公務員総合職試験には「法律」区分のほか、法律や経済の専門試験がない「教養」区分もあります。2025年度の国家公務員総合職試験(春)の申込者は12,028人、最終合格者は1,793人でした(人事院)。

公務員の種類

中央省庁で政策をつくる国家公務員総合職・一般職、県庁や市役所の地方公務員のほか、裁判所事務官、国税専門官、財務専門官、労働基準監督官などの専門職があります。

勉強はいつから?

3年生の春から夏ごろに本格的に始める人が多いです。大学の公務員講座や予備校を利用する人もいます。

法律を学ぶとどんな力がつく?

法学部で鍛えられるのは、ばらばらの事実の中から重要なポイントを見つけ、ルールを当てはめて結論を出す力です。また、相手の立場に立ってどんな反論がくるかを考え、それに答える準備をする力もつきます。こうした力は、契約の交渉や社内のルールづくり、トラブルの解決など、どんな仕事でも役立ちます。

リーガルマインドとは

法律の知識そのものより、公平さを意識しながら、筋道を立てて妥当な結論を出す考え方のことを「リーガルマインド」と呼ぶことがあります。法学部で4年間かけて身につける力の中心です。

暗記だけでは通用しない

条文や判例を覚えることは必要ですが、試験では見たことのない事例が出題されます。覚えた知識を使って考える力がないと、答案は書けません。

向いている人

ルールの「理由」を考えるのが好きな人、ものごとを両方の立場から考えられる人、長い文章をていねいに読める人に向いています。正義感がある人はもちろん、相手を説得するのが好きな人、ディベートが好きな人も法学部の学びを楽しめます。地道に条文や判例を読みこむ作業が多いので、コツコツ取り組める人にも合っています。

こんな高校生はとくに合う

校則の理由が気になる、ニュースの裁判の話題が気になる、友だちのけんかの仲裁をよく頼まれる、という人は法学の考え方と相性がよいかもしれません。

注意したい点

法学は、自分の感情や正義感だけで結論を出すことを許しません。気持ちとしては納得できない結論でも、条文と判例から導かれるならそれを受け入れる冷静さが求められます。

高校生のうちに(文理・受験科目)

ふつうは文系コースから受験します。国語・英語・地理歴史または公民が中心で、国立大学では共通テストで数学や理科も必要になることが多いです。法学部の授業では長い文章を正確に読む力が大事なので、現代文の力が直接役立ちます。数学で受験できる私立大学も増えています。

今からできること

新聞やニュースで裁判や国会の話題を追ってみましょう。裁判所の法廷は誰でも傍聴できるので、実際の裁判を見に行くのもおすすめです。

公民の知識は入口になる

「公共」や「政治・経済」で学ぶ憲法や国会、裁判所のしくみは、大学の法学の入口です。授業を大事にしておくと、入学後の理解が早くなります。

よくあるギャップ

入学後に多いのは「ドラマのような法廷の話が多いと思っていたのに、地味な条文の解釈ばかり」というギャップです。法学部の授業の多くは大教室の講義で、1年生のうちは少人数の議論が少ない大学もあります。また、法律の専門用語や独特の言い回しに慣れるまで時間がかかります。一方で、ゼミに入って判例を深く読むようになると、法律が社会の具体的な問題とつながっていることを実感でき、おもしろさが増していきます。

試験のギャップ

大学の定期試験では、事例問題に対して何千字もの答案を書くことがあります。高校までの選択式や短い記述の試験とは大きく違います。

進路のギャップ

法学部に入ったら弁護士になるものだと思っていたけれど、勉強するうちに公務員や企業の法務に興味が移る人もたくさんいます。法学の学びは、どの道にも生かせます。

よくある質問

法学部に入れば弁護士になれますか?

法学部を卒業しただけではなれません。法科大学院を修了するか予備試験に合格して司法試験に合格し、司法修習を終える必要があります。法学部はその土台を学ぶ場所です。

法学部以外からでも弁護士になれますか?

なれます。法科大学院には法律を学んだことがない人向けの未修者コース(3年)があり、予備試験も受験資格の制限がありません。

法律の条文をたくさん暗記しないといけませんか?

試験では条文を見ながら解く形式も多く、丸暗記より、条文の意味や判例の考え方を理解して使えることが大切です。もちろん基本的な知識は覚える必要があります。

司法試験はどのくらい難しいですか?

令和7年の合格率は41.20%ですが、受験できるのは法科大学院修了者や予備試験合格者などに限られ、何年も勉強した人たちの中での数字です。予備試験の最終合格率は数%で、非常に難しい試験です。

法学部は公務員になる人が多いですか?

多いです。公務員試験の専門科目に憲法・民法・行政法などの法律科目が多く出るため、法学部の学びがそのまま役立ちます。ただし公務員試験は学部を問わず受けられます。

数学ができなくても大丈夫ですか?

法学部の授業で数学を使うことはあまりありません。ただし国立大学の入試では共通テストで数学が必要なことが多く、私立大学でも数学で受験できる方式があります。

政治学科と法律学科はどう違いますか?

法律学科は法律の解釈と運用を中心に学び、政治学科は選挙や政策、国際政治などを中心に学びます。同じ法学部なら、お互いの授業をある程度取れることが多いです。

在学中に取れる資格はありますか?

行政書士、宅地建物取引士、司法書士などは在学中に受験できます。予備試験に在学中に合格する人もいます。どれも試験に合格する必要があり、卒業で自動的にもらえる資格はほとんどありません。

法曹コースとは何ですか?

法学部と法科大学院が連携して、法曹になるための教育を一貫して行うプログラムです。成績などの条件を満たせば3年で早期卒業して法科大学院に進めます。

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