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国のルールを作り、世界と交渉する。日本の「設計図」を書く仕事です

外交官・国家公務員総合職

国家公務員総合職は、国の役所(省庁)で、法律や予算、国の政策の企画を担当する幹部候補の公務員です。たとえば、高校の授業料の支援の仕組み(文部科学省)、電車や道路のルール(国土交通省)、年金や医療の制度(厚生労働省)などは、総合職の職員が案を作り、国会で決まって動き出します。外交官は、そのなかでも外務省で働き、外国の政府と交渉したり、海外にある日本の大使館や総領事館で日本人を守ったりする仕事です。外務省には、総合職試験で入る道と、外務省専門職員採用試験で入る道があり、2025年度は総合職35人、専門職59人が採用されました。

平均年収の目安初任給 約24万2千円総合職・大卒、2025年の人事院勧告若手で年400万円前後、本省の課長級で1,000万円を超える目安(役職と勤務地で大きく変わる)
なるまでの難しさ★★★★★2025年度の国家公務員総合職試験(春)は、申込者12,028人に対して最終合格者は1,793人で、申込倍率は6.7倍でした。さらに、試験に合格しても、自分で省庁を訪ねて面接を受ける「官庁訪問」で選ばれないと採用されません。外務省の総合職採用は毎年30人台と少なく、外務省専門職員採用試験も2025年度は受験者208人に対して最終合格者58人(倍率3.6倍)と狭き門です。
決めどき文系・理系どちらでも

高校では文理どちらでもよい。大学2〜3年で試験勉強を始め、3〜4年で受験する人が多い

どんな職種がある?

押すと、その職種の仕事内容・必要な力・キャリアが見られます。

外交官・国家公務員総合職の年収と昇進の流れ

係員 350〜450万円 外務省:研修生(海外で語学) 係長 450〜600万円 大使館:三等・二等書記官 課長補佐 650〜900万円 大使館:一等書記官 企画官・室長 850〜1,100万円 大使館:参事官 本省課長 1,000〜1,300万円 大使館:公使 審議官・局長 1,300〜1,800万円 大使館:大使・総領事 事務次官 1,800〜2,400万円 大使館:外務審議官 上の行 本省の役職 下の行 外交官の役職 本省と海外の大使館を行き来して上がる
年齢と年収は目安です。海外の大使館などでは在勤手当が別に出ます
係員(本省)/研修生(外務省)350〜450万円
入省1〜3年、22〜26歳

資料作りや会議の準備を担当し、仕事の基本を覚えます。外交官は海外で研修語を学びます。

係長/三等・二等書記官450〜600万円
入省4〜7年、26〜30歳

政策の実務を担い、在外公館では相手の国の政府と直接やりとりします。担当分野で成果を出すことが次の段階への条件です。

課長補佐/一等書記官650〜900万円
入省8〜15年、30〜38歳

法律や予算の案を作る中心的な役目です。外交官は大使館で交渉の実務を取りまとめます。

企画官・室長/参事官850〜1,100万円
入省15〜20年、38〜43歳

一つの政策分野のまとめ役になります。課長に上がるには、組織を動かす力と実績が求められます。

本省課長/公使1,000〜1,300万円
入省20年前後〜、43〜50歳

課の責任者として政策に責任を持ちます。大使館では公使として大使を支えます。

審議官・局長/大使・総領事1,300〜1,800万円
50歳前後〜

省の幹部として大きな方針を決めます。外交官は大使として国を代表します。

事務次官・外務審議官1,800〜2,400万円
50代後半〜

省の職員のトップです。外務省では事務次官と外務審議官が最上位の役職です。

年収は目安です。会社や地域、本人の働き方で大きく変わります。

働き方で何が違う?

外務省 総合職国家公務員の給料表による(海外勤務では在勤手当が加わる)

外交政策全体を担当する幹部候補です。主要な言語を研修語として学び、本省と在外公館を行き来しながら、地域や分野を幅広く経験します。毎年の採用は30人台と少なく、総合職試験に合格したうえで官庁訪問を通る必要があります。

良いところ国の外交の中心で働け、大使や幹部を目指せる

大変なところ異動が多く、国会や国際会議の前は特に忙しい

外務省 専門職国家公務員の給料表による(海外勤務では在勤手当が加わる)

特定の言語や地域、分野の専門家として働きます。研修語は40以上の言語から指定され、その国や地域で何度も勤務します。外務省専門職員採用試験に合格すれば採用されます。

良いところ言語と地域の専門家になれ、現場の第一線で長く活躍できる

大変なところ研修語によっては、治安や生活環境の厳しい国での勤務が多くなる

他の省庁の総合職国家公務員の給料表による

財務省、経済産業省、厚生労働省、文部科学省、国土交通省などで、それぞれの分野の政策を担当します。国内の制度づくりが中心ですが、国際交渉や大使館への出向もあります。

良いところ暮らしや経済に直結する制度を作れ、出向や留学で幅広い経験ができる

大変なところ国会対応や予算の時期は長時間働くことが多い

技術系の総合職国家公務員の給料表による

工学、農学、理学などの専門を生かして、インフラやエネルギー、農業、環境などの政策を担当します。本省と地方の出先機関を行き来しながら、現場の工事や技術の基準づくりにもかかわります。

良いところ専門知識を国の大きなプロジェクトに生かせる

大変なところ災害のときは現場の対応で長期間忙しくなる

代表的な会社・職場

省庁(外交)省庁(経済)省庁(社会)省庁(インフラ)省庁(行政)外務省の海外拠点独立行政法人
外務省省庁(外交)

外国との交渉、条約の締結、海外の日本人の保護、経済協力などを担当する省です。

国家公務員の給料表による
財務省省庁(経済)

国の予算づくり、税金の制度、国債の管理などを担当する省です。

国家公務員の給料表による
経済産業省省庁(経済)

産業の振興、エネルギー、貿易、中小企業の支援などを担当する省です。

国家公務員の給料表による
厚生労働省省庁(社会)

医療、年金、介護、働き方のルールなどを担当する省です。

国家公務員の給料表による
文部科学省省庁(社会)

学校教育、大学、科学技術、スポーツ、文化などを担当する省です。

国家公務員の給料表による
国土交通省省庁(インフラ)

道路、鉄道、空港、港、河川、住宅、観光などを担当する省です。

国家公務員の給料表による
総務省省庁(行政)

地方自治、選挙、通信・放送、統計などを担当する省です。

国家公務員の給料表による
在外公館(大使館・総領事館・政府代表部)外務省の海外拠点

世界各地にある日本の役所で、外交官が相手の国の政府との交渉や領事業務を行います。

国家公務員の給料表+在勤手当
JICA(国際協力機構) ›独立行政法人

途上国への技術協力や資金協力を行う機関です。外交官が協力して仕事をする相手です。

機構の給与規程による

›がついた会社は、会社図鑑で詳しく解説しています。

どうやって稼いでいる?

税金と国債 所得税・法人税・消費税など 予算が決まるまで(毎年) 夏 各省庁が要求 年末 政府の予算案 国会 予算が成立 総合職が案を作り、社会を動かす 法律・制度 育児休業や 最低賃金の決め方 外交・条約 貿易や人の 行き来のルール ODA 途上国に学校・ 病院・道路 職員の給料 法律の給料表。人事院が毎年見直す 2025年は初任給+1万2,000円の勧告 もうけでなく、税金の使い道を考える
国の予算の中で最も大きな割合をしめるのは、年金や医療などの社会保障です

国家公務員の仕事は、会社のように商品を売ってもうけるものではありません。国の活動のお金は、主に税金と国債(国の借金)でまかなわれ、国会で決まった予算の中で仕事をします。たとえば、国の予算の中で最も大きな割合をしめるのは、年金や医療などの社会保障です。総合職の職員は、このお金をどこにどう使うかの案を作り、法律や制度を通じて社会を動かします。職員の給料も法律で決まっていて、民間の会社の給料に合わせて毎年人事院が見直しを勧告します。

1
税金と予算

国民や会社が払う所得税、法人税、消費税などが国の主な収入です。各省庁は毎年夏に必要な予算を財務省に要求し、年末に政府の予算案が決まり、国会で成立します。

2
法律と制度

総合職の職員は、社会の問題を解決するための法律の案を作ります。法律ができると、国全体のルールが変わり、たとえば育児休業の取りやすさや最低賃金の決め方が変わります。

3
外交と国際約束

外務省は、外国との条約や協定を結び、貿易や安全保障、人の行き来のルールを決めます。たとえば、ビザなしで旅行できる国が増えるのも、外交の成果です。

4
政府開発援助(ODA)

途上国に学校や病院、道路をつくるお金や技術を支援します。外務省とJICA(国際協力機構)が中心となって進めます。

5
給料の決まり方

公務員の給料は法律の給料表で決まり、人事院が民間企業の給料を調べて毎年見直しを勧告します。2025年は総合職(大卒)の初任給を1万2,000円引き上げる勧告が出ました。

入ってからどうなっていく?

大学時代試験勉強と官庁訪問法学部、経済学部、国際関係の学部、理系の学部などで学びながら、大学3〜4年で総合職試験や外務省専門職員採用試験を受けます。総合職試験に合格したら、働きたい省庁を訪ねて面接を受ける官庁訪問で内定を得ます。
1〜3年目係員として基礎を学ぶ省庁に入り、資料作り、会議の準備、国会対応の補助などを担当します。外務省では入省後まもなく研修語の国へ行き、2〜3年ほど語学と地域の研修を受けます。
4〜10年目係長・在外公館での実務省庁では係長として政策の実務を担い、海外の大学院への留学や、自治体、国際機関への出向を経験する人も多いです。外交官は大使館の書記官として、相手の国の政府と直接やりとりします。
30代課長補佐として政策の中心に課長補佐は、法律や予算の案を実際に作る中心的な役目です。外交官は、本省で担当の国や分野の実務を取りまとめたり、大使館の一等書記官として交渉にあたったりします。
40代課長・参事官・公使本省の課長として、一つの分野の政策に責任を持ちます。外交官は大使館の参事官や公使として、大使を支えて大使館を動かします。民間企業や大学に転職する人もいます。
50代以降局長・大使・事務次官局長、審議官、大使、総領事などの幹部になります。外務省では外務審議官や事務次官が最上位です。退官後に大学の教員や国際機関、民間企業で働く人もいます。

首脳会談が行われるまで(外交の仕事の流れ)

1
会談の日程の調整

相手の国の外務省と、会談の日時や場所、時間の長さを話し合って決めます。

2
情報の収集と分析

大使館から相手の国の政治や経済の状況、相手の首脳の関心ごとの報告を集めます。

3
方針と発言の案づくり

本省で、日本として何を伝え、何を求めるかを決め、総理大臣の発言の案と想定問答を作ります。

4
関係省庁との調整

経済、防衛、環境など、関係する省庁と日本の主張をすり合わせます。

5
事務レベルの協議

会談の前に、両国の担当者どうしで、発表する共同声明の文言などを細かく交渉します。

6
会談当日

外交官が通訳や記録、警備との連絡などを担当し、会談が円滑に進むように支えます。

7
結果の発表と実行

会談の結果を発表し、合意したことを実行に移すための具体的な作業を続けます。

国家公務員採用総合職試験/外務省専門職員採用試験

大学3〜4年で受験 国家公務員 総合職試験 外務省専門 職員採用試験 第1次試験 基礎能力と専門 第2次試験 論文・討議・面接 最終合格 申込の6.7倍 12,028人→1,793人 官庁訪問 2つ目の関門 省庁を訪ねて面接 内定 外務省は毎年30人台 第1次試験 記述式・外国語など 第2次試験 外国語の面接など 最終合格 受験の3.6倍 208人→58人 ここで採用が決まる 総合職は、試験に受かっても終わりではない 試験と官庁訪問の二重の関門
人数は2025年度。総合職は春の試験の数字です
合格率総合職(春)は申込者12,028人に対し最終合格1,793人(申込倍率6.7倍、2025年度)。外務省専門職員は受験者208人に対し最終合格58人(倍率3.6倍、2025年度)
勉強時間の目安大学2〜3年から1〜2年ほど準備する人が多い。勉強時間は1,000〜1,500時間ほどと言われることが多い
受験資格受験する年の4月1日に21歳以上30歳未満(総合職の大卒程度試験は21歳未満でも大学卒業見込みなどなら可、院卒者試験は30歳未満で修士課程修了見込みなど)。日本国籍が必要
国家公務員総合職試験は、2025年度の申込倍率が6.7倍(大卒程度試験は9.3倍)と高く、国の最難関の採用試験の一つです。試験に合格しても、官庁訪問で省庁から選ばれなければ採用されないため、二重の関門があります。外務省の総合職の採用は毎年30人台しかなく、特に人気の高い省の一つです。外務省専門職員採用試験も倍率は3倍台ですが、受験者の多くが外国語や国際法を長く準備してきた人たちで、記述式の専門試験や外国語の試験が求めるレベルは高いです。
試験科目(押すと中身が見られます)
合格までの流れ
  1. 申し込み(春)総合職試験(春)は3月ごろ、外務省専門職員採用試験も春ごろに申し込みます。
  2. 第1次試験筆記試験を受けます。総合職は基礎能力と専門の多肢選択式、外務専門職は記述式の専門試験や外国語などです。
  3. 第2次試験論文や討議、人物試験(面接)などを受けます。外務専門職は外国語の面接もあります。
  4. 最終合格総合職試験の最終合格者は、採用候補者名簿に載ります。外務専門職は最終合格で採用が決まります。
  5. 官庁訪問・内定(総合職)総合職試験の合格者は、働きたい省庁を訪ねて面接を受け、内定を得ます。

外交官・国家公務員総合職のある1日

9:30

本省に出勤し、海外の大使館から夜のうちに届いた報告(公電)と、国内外のニュースを確認します(外務省の本省勤務の例)。

10:00

課の会議で、来月の外相会談の準備の分担を決めます。

11:00

相手の国の大使館の担当者と会い、会談で取り上げるテーマについて意見を交わします。

12:30

昼休みです。省内の食堂で同期と食事をとります。

13:30

外相会談の発言の案と、想定される質問への答えの資料を作ります。

15:30

経済産業省や防衛省など、関係する省庁と打ち合わせをして、日本としての主張をすり合わせます。

17:00

上司に資料を説明し、直すところの指示を受けます。

18:30

国会で翌日に大臣が答える質問が届き、答弁の案を作り始めます。

21:00

答弁の案を仕上げて退庁します。国会の時期や大きな会議の前は、さらに遅くなることがあります。

もっと知りたい人へ

そもそも外交官・国家公務員総合職とは

国家公務員総合職は、国の行政機関で政策の企画や立案を担当する職員で、将来の幹部候補として採用されます。昔は「キャリア官僚」とも呼ばれました。たとえば、新しい感染症がはやったときのワクチンの配り方、大学の奨学金の制度、電気自動車を増やすための補助金などは、総合職の職員が案を作り、国会や内閣で決まって実行されます。外交官は、外務省の職員として、外国との関係を担当する公務員です。日本の大使館や総領事館は世界中にあり、そこで働く職員が、相手の国との交渉や、現地にいる日本人の保護を行っています。

総合職・一般職・専門職のちがい

国家公務員の試験には、政策の企画を担う幹部候補の「総合職」、事務の実務を担う「一般職」、税務署の職員や刑務官、外務省専門職員など特定の仕事の「専門職」などがあります。外務省では、総合職、専門職、一般職がそれぞれの役目で外交を支えています。

外交官の仕事は交渉だけではない

外交官の仕事には、外国政府との交渉のほかに、海外で事故や災害にあった日本人を助ける領事の仕事、日本のアニメや食文化を紹介する広報文化の仕事、途上国を支援する経済協力の仕事などがあります。パスポートの発行や、海外で生まれた子どもの出生届の受け付けも、大使館や総領事館の大切な仕事です。

なるためのルート

国家公務員総合職になるには、人事院が行う国家公務員採用総合職試験に合格し、働きたい省庁の官庁訪問で採用の内定を得ます。外務省の総合職もこのルートです。外務省の専門職になるには、外務省が行う外務省専門職員採用試験に合格します。こちらは官庁訪問がなく、試験の合格がそのまま採用につながります。どちらも、受験する年の4月1日に21歳以上30歳未満であることが条件で(総合職の大卒程度試験は、21歳未満でも大学を卒業見込みなどなら受験できます)、日本国籍が必要です。

  1. 大学で学ぶ法学、経済学、国際関係、理系の専門など、大学での学びが試験の土台になります。外交官を目指すなら外国語にも力を入れます。
  2. 試験の申し込み総合職試験(春)は3月ごろ、外務省専門職員採用試験も春ごろに申し込みます。
  3. 第1次試験総合職試験は基礎能力試験と専門試験(多肢選択式)、外務省専門職員採用試験は専門試験(記述式)、時事論文、基礎能力試験、外国語試験です。
  4. 第2次試験総合職試験は政策課題討議や論文、人物試験、外務省専門職員採用試験は外国語の面接と人物試験(個別面接とグループ討議)です。
  5. 官庁訪問・採用総合職試験の合格者は官庁訪問で内定を得ます。外務省専門職員は最終合格で採用が決まります。翌年の4月に入省します。
官庁訪問とは

総合職試験に合格した人は、働きたい省庁を自分で訪ね、何度も面接を受けます。試験の点数だけでなく、その省庁で何をしたいか、どんな人柄かが見られます。省庁ごとに採用する人数は限られていて、試験に合格しても官庁訪問で内定が出ないと採用されません。

社会人から目指すルート

外務省では、民間企業などで経験を積んだ人を採用する経験者採用の試験もあります。総合職相当の課長補佐級や係長級、専門職相当の書記官級などの採用があり、国際的な仕事の経験がある人が応募します。

試験・選考の詳細

2025年度の国家公務員総合職試験(春)は、院卒者試験と大卒程度試験を合わせて申込者12,028人、最終合格者1,793人で、申込倍率は6.7倍でした。女性の合格者は630人(35.1%)で、割合は過去最高でした。合格者の出身大学は、国立大学が64.9%、私立大学が30.8%です。外務省専門職員採用試験は、2025年度の受験者208人に対して最終合格者58人で、倍率は3.6倍でした。

外務省専門職員採用試験の科目

第1次試験は、国際法(必須)と憲法か経済学から1つを選ぶ専門試験(記述式、各2時間)、時事論文(1時間30分)、基礎能力試験(多肢選択式)、外国語試験(和文を外国語に、外国語を和文に訳す記述式、2時間)です。第2次試験は、外国語の面接、個別面接とグループ討議の人物試験、身体検査です。配点では人物試験が最も大きく、全体の11分の5をしめます。

総合職試験の区分

総合職試験には、法律、経済、政治・国際・人文、工学、数理科学・物理・地球科学、化学・生物・薬学、農業科学・水産などの区分があり、自分の専門に合わせて選びます。秋には、大学2〜3年生も受けられる教養区分の試験もあります。

年収のリアル

国家公務員の給料は、法律で決められた給料表にもとづきます。2025年の人事院勧告では、総合職(大卒)の初任給は月24万2,000円となり、東京の本府省に勤める場合は手当を含めて月30万1,200円です。これにボーナスにあたる期末・勤勉手当が年に約4.5か月分つきます。若いうちは民間の大企業より低めですが、課長補佐、課長と上がるにつれて伸び、本省の課長級になると年収1,000万円を超えるのが目安です。

外交官の在外勤務の手当

海外の大使館や総領事館で働くときは、国内の給料に加えて、現地の物価や生活の大変さに合わせた在勤手当が出ます。住居の費用の手当もあり、海外勤務の期間は国内より収入が多くなるのが一般的です。

残業代と働き方

国家公務員にも超過勤務手当(残業代)があります。国会の時期などは残業が多くなりますが、近年は国全体で働き方の見直しが進められていて、テレワークやフレックスタイムの仕組みも広がっています。

やりがい

外交官や総合職のいちばんのやりがいは、自分の仕事が国全体や世界に影響を与えることです。たとえば、自分が企画にかかわった制度で、全国の高校生が授業料の支援を受けられるようになったり、交渉にかかわった協定で日本の農産物が海外で売れるようになったりします。外交官なら、首脳会談の場に立ち会い、歴史が動く瞬間を間近で見ることもあります。若いうちから大きな責任のある仕事を任されるのも特徴です。

人の命と安全を守る

海外で大きな地震やテロ、紛争が起きたとき、外交官は現地の日本人の安否を確認し、避難を手伝います。困っている人を直接助けられるのは、外交官ならではのやりがいです。

いろいろな世界を経験できる

外交官は数年ごとに国や担当が変わり、さまざまな国の文化や人々にふれられます。総合職も、異動や出向で、地方の役所、国際機関、海外の大学院など、幅広い経験を積めます。

大変なこと・きついこと

国家公務員総合職の大変なところは、忙しさと責任の重さです。国会の時期には、議員からの質問に大臣が答えるための答弁の案を、夜遅くまで作ることがあります。災害や国際的な事件が起きれば、休日でもすぐに対応しなければなりません。外交官の場合は、2〜3年ごとに国内外の異動があり、治安や医療の状況がよくない国で働くこともあります。家族の仕事や子どもの学校をどうするかなど、生活面の悩みもつきものです。

批判を受けることもある

国の政策には賛成の人も反対の人もいて、どんなによく考えた制度でも批判を受けることがあります。公務員は政治的に中立の立場を守りながら、決まった方針を実行しなければなりません。

すぐに結果が見えない

法律や制度の効果が表れるまでには、何年もかかることがあります。外交の交渉も、何年もかけて少しずつ進むものが多く、根気が求められます。

向いている人

外交官・総合職に向いているのは、社会や世界の問題に関心があり、「どうすればもっとよくなるか」を考えるのが好きな人です。たとえば、ニュースを見て「この問題はなぜ解決しないのだろう」と考える人は、政策の仕事を楽しめます。いろいろな立場の人の意見を聞いてまとめる力、文章を正確に速く書く力、体力も大切です。外交官を目指すなら、外国語を学ぶことや、異なる文化の人と話すことが好きな人が向いています。

こんな高校生は向いているかも

生徒会で、いろいろな意見をまとめて学校のルールを変えた経験がある人や、模擬国連やディベートが好きな人は、政策や外交の仕事に向いているかもしれません。

向いていないかもしれない人

決まった時間にきっちり帰りたい人や、転勤や引っ越しが苦手な人には、大変に感じる場面があるかもしれません。ただし、働き方の改善は少しずつ進んでいます。

高校生のうちにできること

高校生のうちは、公民(公共、政治・経済)や世界史、地理で、国の仕組みや国際関係の基礎をしっかり学んでおくことが大切です。英語は外交官にとって欠かせない道具なので、読む・書く・話す・聞くの力をバランスよく伸ばしましょう。新聞やニュースを毎日見る習慣をつけると、試験の時事問題や面接の準備にもつながります。総合職の合格者は国立大学の出身者が多いですが、私立大学からも毎年多くの合格者が出ています。

模擬国連に参加する

模擬国連は、生徒が各国の大使になりきって、国連の会議のように議論し、決議を作る活動です。高校生向けの全国大会もあり、交渉や英語での議論を体験できます。

省庁の見学や説明会

各省庁は、中高生向けの見学会や、夏休みの「こども霞が関見学デー」などを開いています。実際の職員の話を聞くと、仕事のイメージがぐっと具体的になります。

代表的な会社・職場

総合職の職場は、東京の霞が関にある各省庁です。外務省、財務省、経済産業省、厚生労働省、文部科学省、国土交通省、総務省、法務省、農林水産省、環境省、防衛省、警察庁、金融庁、デジタル庁、こども家庭庁などがあります。外交官は、外務省の本省と、世界各地の大使館、総領事館、国際機関の日本政府代表部で働きます。

在外公館

大使館は相手の国の首都にあり、大使が日本を代表して相手の国の政府とやりとりします。総領事館は主要な都市にあり、パスポートや日本人の保護などの領事業務を中心に行います。国連などの国際機関には、日本政府代表部が置かれています。

出向先

総合職の職員は、地方の県庁や市役所、国際機関、海外の大使館、民間企業などに出向することがあります。外務省以外の省庁の職員が、大使館で専門分野の担当として働くこともあります。

大使館で働く人と外交官の階級

大使館には、日本を代表する大使をトップに、公使、参事官、一等書記官、二等書記官、三等書記官といった肩書きの外交官が働いています。外交官の肩書きは、本省の役職とおおむね対応していて、たとえば本省の課長補佐級の人が大使館では一等書記官、課長級の人が参事官や公使になることが多いです。大使館には、外務省の職員だけでなく、警察庁、防衛省、経済産業省など他の省庁から出向した職員も働いています。

大使は天皇陛下が認証する

特命全権大使は、内閣が任命し、天皇陛下が認証する「認証官」です。相手の国では、日本の国を代表する人として、国王や大統領に信任状を渡して仕事を始めます。

外交特権

外交官は、国際的な約束(ウィーン条約)により、赴任した国で逮捕されないなどの特権を持っています。これは、外交官が相手の国の圧力を受けずに仕事ができるようにするためのものです。

外務省の総合職と専門職のちがい

外務省の総合職は、さまざまな地域や分野を幅広く経験し、外交政策全体をまとめる幹部を目指す職員です。研修語は英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、中国語、ロシア語、アラビア語などから決まります。専門職は、40以上の言語の中から研修語が決まり、その言語を使う国や地域、または経済や条約などの分野の専門家として長く活躍します。2025年度の採用は総合職35人、専門職59人で、専門職のほうが多く採用されています。

どちらを選ぶか

日本の外交全体の方針を決める仕事がしたい人は総合職、特定の国や地域、言語の専門家として現場で力を発揮したい人は専門職が向いています。専門職からも大使や総領事になる人がいます。

一般職の外交官

外務省の一般職は、会計、文書の管理、通信、領事の事務、大使館の建物の管理などを通じて、国内外で外交を支えています。2025年度は大卒程度で8人、高卒程度で61人が採用されました。

よくある質問

東京大学でないと総合職になれませんか

そんなことはありません。2025年度の総合職試験の合格者は153校の出身で、国立大学が64.9%、私立大学が30.8%、公立大学が3.6%でした。東京大学や京都大学の出身者は多いですが、さまざまな大学から合格者が出ています。

外交官になるには英語がペラペラでないとだめですか

試験の段階で、外務省専門職員採用試験には外国語の記述と面接の試験があり、一定の英語力などが求められます。ただし、入省後に研修語を海外で本格的に学ぶ制度があるので、最初から完璧である必要はありません。学び続ける意欲が大切です。

理系でも総合職になれますか

なれます。総合職試験には工学、数理科学・物理・地球科学、化学・生物・薬学、農業科学・水産などの区分があり、技術系の職員として国土交通省や経済産業省、農林水産省などで働きます。理系から事務系の区分を受ける人もいます。

総合職の仕事はブラックだと聞きました

国会の時期などに長時間働くことがあるのは事実です。一方で、国全体で業務の見直しやテレワーク、勤務時間の柔軟化が進められており、省庁によって状況は異なります。説明会で現役の職員に直接聞いてみるのがおすすめです。

外交官はずっと海外に住むのですか

いいえ。外交官は東京の本省と海外の在外公館を、2〜3年ごとに行き来するのが一般的です。キャリア全体で見ると、半分くらいを海外で過ごす人が多いと言われています。

外国籍でも受験できますか

国家公務員総合職試験と外務省専門職員採用試験には、日本国籍が必要です。また、外務公務員については、日本国籍とあわせて外国の国籍を持っている人はなれないと決められています。

女性の外交官は多いですか

増えています。2025年度の外務省の採用は、総合職35人のうち女性13人、専門職59人のうち女性37人でした。総合職試験全体でも、女性の合格者の割合は35.1%で過去最高でした。

何歳まで受験できますか

総合職試験の大卒程度試験と外務省専門職員採用試験は、受験する年の4月1日に30歳未満であることが条件です。院卒者試験も30歳未満が条件です。社会人には経験者採用の試験があります。

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年収について:人事院の2025年勧告による総合職(大卒)の初任給は月24万2,000円で、東京の本府省に勤める場合は地域手当などを含めて月30万1,200円です。国家公務員の給料は法律の給料表で決まり、年に約4.5か月分のボーナス(期末・勤勉手当)が出ます。海外の大使館などで働く外交官には、現地の生活費などに合わせた在勤手当が別に出ます。

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