ミライ図鑑ログイン
法廷に立つ時間より、文章を書いている時間のほうがずっと長い

弁護士

弁護士は、法律の専門家として、困っている人や会社の「味方」になる仕事です。離婚や相続、交通事故、刑事事件の弁護といった身近なトラブルから、会社どうしの契約、M&A(会社の買収や合併。たとえば、大きなゲーム会社が人気スマホゲームの開発会社を買い取ることなど)、海外企業との交渉まで、あつかう分野はとても広いです。仕事の多くは裁判で争うことではなく、相談にのる、契約書を作る、相手と交渉するといった「もめごとを起こさない・大きくしない」ための仕事です。日本にはおよそ4万7千人(2025年)の弁護士がいて、法律事務所だけでなく会社や役所で働く人も増えています。

平均年収の目安約981万円約460万〜1,000万円以上(経験年数や働き方で大きく差がある)
なるまでの難しさ★★★★★司法試験を受けるには、法科大学院(ロースクール)を修了するか、合格率3〜4%の予備試験に受かる必要があります。司法試験そのものの合格率は2025年で41.2%ですが、受験者はすでに何年も法律を勉強してきた人ばかりです。さらに合格後も約1年の司法修習と「二回試験」があり、大学入学から弁護士になるまで最短でも6〜7年ほどかかるため、難しさは最高レベルです。
決めどき文系が中心

高校で文系を選び、大学(法学部が多い)1〜2年で予備試験・法曹コースを決めるのが最短

どんな職種がある?

押すと、その職種の仕事内容・必要な力・キャリアが見られます。

弁護士の年収と昇進の流れ

司法修習生200〜210万円
司法試験合格後の約1年(20代半ば)

裁判所・検察庁・法律事務所で実務を学びます。国から月13万5千円の給付金と住居給付金(最大月3万5千円)が出ます。二回試験に合格すると弁護士になれます。

アソシエイト(若手)450〜1,100万円
1〜3年目(20代後半)

先輩弁護士の下で調査や書面の下書きを担当します。少人数の事務所と大手事務所で年収の差が大きい時期です。一人で事件を担当できるようになると次の段階に進みます。

シニアアソシエイト600〜1,500万円
4〜8年目(30代前半)

一人で事件を最後まで担当し、後輩の指導もします。専門分野が固まり、留学や企業への出向を経験する人もいます。

パートナー1,000〜3,000万円
8〜15年目以降(30代後半〜)

事務所の共同経営者として、お客さんを獲得し、事務所の経営にも責任を持ちます。年収は事務所のもうけと自分の売上によって大きく変わります。

独立開業(所長弁護士)500〜3,000万円
5〜15年目以降

自分の事務所を開き、経営者として働きます。顧問先やリピーターのお客さんが増えるほど経営が安定します。

年収は目安です。会社や地域、本人の働き方で大きく変わります。

働き方で何が違う?

大手法律事務所1年目から1,000万円を超える条件のところもあるといわれる

数百人の弁護士が所属し、大企業のM&A、ファイナンス、国際取引、大きな裁判などを担当します。分野ごとに専門チームがあり、教育制度や留学支援も整っています。仕事の規模が大きく、日本経済のニュースになるような案件に関われます。そのぶん忙しく、締め切り前は深夜まで働くこともあります。

良いところ高い年収、大きな案件、留学などの成長の機会

大変なところ長時間労働になりやすく、競争も激しい

中小の法律事務所(街の弁護士)初年度は400万〜500万円程度が多いとされ、独立後は大きく変わる

弁護士1〜数人から十数人の事務所で、地域の個人や中小企業のさまざまな相談を受けます。離婚、相続、交通事故、借金、刑事事件など、幅広い分野を経験できます。お客さんと直接向き合い、感謝される機会が多い働き方です。

良いところ幅広い経験、人との距離の近さ、将来の独立につながる

大変なところ大手より年収が低めで、事務所によって教育体制に差がある

企業内弁護士1,000万〜1,250万円未満が最も多い層(2026年の調査)

会社の法務部に社員として入り、その会社のための法律の仕事をします。2025年には3,596人と、弁護士全体の7.6%まで増えています。ビジネスの最初の段階から関われ、勤務時間や休みも会社員と同じになりやすいです。

良いところ収入の安定、働き方の安定、ビジネスへの深い関わり

大変なところ一つの会社の仕事に限られ、法廷に立つ機会は少ない

公共・行政(法テラス・自治体など)公的な給料体系で、法律事務所より低めになることもある

法テラスのスタッフ弁護士、自治体や国の任期付き職員、児童相談所の弁護士などとして働きます。お金に困っている人や子どもなど、弱い立場の人を支える仕事が中心です。

良いところ社会への貢献、行政の仕組みに関われる

大変なところ任期があることが多く、年収は大手事務所より低め

代表的な会社・職場

五大法律事務所公的機関中小規模の事務所企業内弁護士行政
西村あさひ法律事務所・外国法共同事業五大法律事務所

日本最大級の法律事務所の一つで、M&A、ファイナンス、国際案件、事業再生などを幅広く扱っています。

アンダーソン・毛利・友常法律事務所 外国法共同事業五大法律事務所

国際的な企業法務に強い大手事務所で、M&Aや金融、知的財産などを扱っています。

長島・大野・常松法律事務所五大法律事務所

大企業のM&Aやファイナンス、紛争解決などを扱う大手事務所です。

森・濱田松本法律事務所五大法律事務所

M&A、ファイナンス、紛争、危機管理など、企業法務の幅広い分野を扱う大手事務所です。

TMI総合法律事務所五大法律事務所

知的財産、エンタメ、IT分野などにも強い大手事務所です。

法テラス(日本司法支援センター)公的機関

国がつくった法律相談の窓口で、お金に余裕がない人の相談や弁護士費用の立て替えを行っています。

街の法律事務所中小規模の事務所

全国にある弁護士1〜数人の事務所で、地域の個人や中小企業の相談を幅広く受けています。

企業の法務部企業内弁護士

メーカー、金融機関、IT企業などの法務部で、社員として会社の法律問題を担当します。

国・地方自治体行政

省庁や市役所、児童相談所などで、任期付きの職員として法律の専門家の役割を担います。

どうやって稼いでいる?

弁護士が受け取る、おもな報酬 着手金・報酬金 離婚・交通事故など 着手金 依頼したとき 報酬金 解決したとき 事件を進める タイムチャージ 企業法務 1時間3万円 × 5時間 = 15万円 働いた時間で計算(金額は事務所ごとにちがう) 顧問料 会社・お店 1月 12月 毎月決まった額で、いつでも相談にのる 独立した弁護士の経営の土台 事務所や会社に雇われている弁護士は、給料を受け取る 弁護士の商品は「自分の時間と知識」
タイムチャージの金額は例で、事務所によってさまざまです

弁護士の収入は基本的に「お客さんから受け取る報酬」です。個人のお客さんからは、事件を始めるときの着手金と、うまく解決できたときの報酬金を受け取る形が多いです。会社のお客さんからは、働いた時間に応じて払ってもらうタイムチャージ(1時間いくら)や、毎月決まった額の顧問料を受け取ります。法律事務所に雇われている弁護士は事務所から給料をもらい、事務所の共同経営者(パートナー)になると、事務所全体のもうけを分け合います。弁護士は売る商品が「自分の時間と知識」なので、どの分野を専門にし、どんなお客さんを持つかで収入が大きく変わります。

1
着手金・報酬金

離婚や交通事故などの事件で、依頼を受けたときに払ってもらうのが着手金、解決したときに結果に応じて払ってもらうのが報酬金です。たとえば相手から賠償金をとれた場合、その金額の何%かを報酬金とする決め方がよく使われます。

2
タイムチャージ

企業法務でよく使われる仕組みで、弁護士が働いた時間×1時間あたりの料金で請求します。たとえば、1時間3万円の弁護士が契約書のチェックに5時間かけたら15万円、というように計算します(金額は事務所によってさまざまです)。経験の長い弁護士ほど1時間の料金が高くなり、大きな案件ではチーム全体の時間を合計して請求します。

3
顧問料

会社やお店と顧問契約を結び、毎月決まった金額を受け取って、いつでも相談にのる仕組みです。たとえば、地元のスーパーや工務店から「お客さんからクレームが来た」「アルバイトの雇い方はこれで大丈夫か」といった相談を電話で受けます。毎月安定した収入になるので、独立した弁護士にとって経営の土台になります。

4
法律相談料

30分や1時間ごとの相談料です。最初の相談は無料にしている事務所も多く、相談から正式な依頼につながることで収入になります。

5
国選弁護・法テラスの報酬

お金に余裕がない人の刑事事件や民事事件では、国や法テラスが弁護士費用を立て替えたり負担したりします。1件あたりの金額は高くありませんが、社会に必要な仕事として多くの弁護士が担っています。

6
給与(企業内弁護士・勤務弁護士)

会社や役所、法律事務所に雇われている弁護士は、毎月の給料とボーナスを受け取ります。日本組織内弁護士協会の2026年の調査では、企業内弁護士の年収は1,000万〜1,250万円未満が最も多い層でした。

入ってからどうなっていく?

大学〜大学院勉強と試験の時期法学部などで法律を学び、法科大学院に進むか、予備試験に挑戦します。司法試験は法科大学院在学中にも受けられるようになり、早い人は大学4年〜大学院1年で合格します。2025年の司法試験合格者の平均年齢は26.8歳でした。
合格後の約1年司法修習生司法試験に受かると司法修習生になり、約1年、裁判所・検察庁・法律事務所で実際の事件にふれながら学びます。最後の「二回試験」に合格すると、弁護士・裁判官・検察官のどれかになれます。弁護士になる人は、この時期に就職先の事務所を決めます。
1〜3年目アソシエイト(若手弁護士)法律事務所に入り、先輩弁護士(パートナー)の下で、調査、書面の下書き、相談への同席などをしながら仕事を覚えます。大量の書類を正確に読み書きする力を身につけ、少しずつ自分で担当する事件が増えていきます。
4〜7年目一人前の弁護士・専門分野を決める時期一人で事件を最後まで担当できるようになり、自分の得意分野が固まってきます。大手事務所では海外留学(ニューヨークなどのロースクール)をする人が多い時期です。この時期に企業内弁護士へ転職したり、独立して自分の事務所を開いたりする人も出てきます。
8〜15年目(30代後半〜40代前半)パートナー・独立開業事務所の共同経営者(パートナー)になると、自分でお客さんを見つけ、若手を指導し、事務所の経営にもかかわります。独立した場合は、顧問先を増やすことが経営の安定につながります。企業内弁護士なら法務部の課長や部長クラスになる人もいます。
40代〜50代専門家として名前で選ばれる時期特定の分野で「この分野ならあの先生」と言われるようになると、大きな案件や講演、本の執筆の依頼も増えます。弁護士会の役員、大学の教員、会社の社外取締役、役所の審議会の委員などを務める人もいます。裁判官になる「弁護士任官」の制度もあります。
60代以降定年のない働き方弁護士には定年がないので、体力に合わせて仕事量を調整しながら長く働く人が多いです。若手に事務所を引き継いだり、社会貢献の活動に力を入れたりする人もいます。

離婚の相談が解決するまで

法律相談 見通しと、時間・費用を説明する 証拠を集める 通帳・給料の明細・メッセージなど 相手方と交渉 相手方やその弁護士と話し合う まとまらなければ 家庭裁判所で調停 調停委員が間に入り、月1回ほど まとまらなければ 裁判(訴訟) 準備書面を出し合い、法廷で話を聞く 和解や判決で 解決とその後 養育費の支払いなどを確認して報告 まとまれば 合意を書面に まとまれば 解決へ 話がまとまらないときだけ、次の段階へ
離婚の相談の例
1
法律相談

依頼者から話を聞き、どんな解決が考えられるか、どのくらい時間と費用がかかるかを説明します。たとえば、親権、養育費、財産の分け方などについて見通しを伝えます。

2
依頼を受けて証拠を集める

正式に依頼を受けたら、預金通帳や給料の明細、やりとりのメッセージなど、主張を支える資料を集めます。

3
相手方と交渉

相手方やその弁護士に連絡し、条件について話し合います。ここでまとまれば、合意の内容を書面にします。

4
家庭裁判所での調停

話し合いがまとまらなければ、家庭裁判所に調停を申し立てます。調停委員が間に入り、月1回ほどのペースで話し合いを重ねます。

5
裁判(訴訟)

調停でもまとまらない場合は、裁判を起こします。準備書面を出し合い、必要なら本人や証人に法廷で話を聞きます。

6
解決とその後

和解や判決で解決したら、養育費の支払いなどが約束どおりに行われるよう手続きを確認し、依頼者に報告して事件が終わります。

司法試験(予備試験・二回試験を含む)

法科大学院 修了(在学中も受験可) 予備試験 合格率3.64%(2025年) または 司法試験(7月ごろ) 合格率41.20%(2025年) 司法修習(約1年) 裁判所・検察庁・法律事務所で学ぶ 二回試験 5科目を5日間で受ける最後の試験 弁護士 弁護士会に登録 裁判官 検察官 大学入学から合格まで、最短で4〜5年 合格者の平均年齢は26.8歳(2025年)
合格率は2025年のものです
合格率司法試験41.20%(2025年・令和7年、受験者3,837人中1,581人合格)、予備試験3.64%(2025年)
勉強時間の目安合格までに数千時間の勉強が必要といわれ、大学入学から合格まで最短で4〜5年
受験資格法科大学院の修了者(最終学年での在学中受験も可)、または予備試験の合格者
司法試験の合格率は2025年で41.2%ですが、受験者はすでに法科大学院や予備試験で何年も勉強してきた人ばかりです。予備試験の最終合格率は3.64%(2025年)で、日本の国家試験の中でも最難関レベルです。公認会計士試験(2025年の最終合格率7.4%)と並んで、文系の資格試験の頂点といわれます。論文式は1科目2時間の記述試験で、暗記ではなく、事例に法律を当てはめて自分の言葉で書く力が必要です。
試験科目(押すと中身が見られます)
合格までの流れ
  1. 受験資格を得る法科大学院を修了するか(在学中受験も可)、予備試験に合格します。
  2. 司法試験(7月ごろ)短答式(憲法・民法・刑法)と論文式を4日間で受けます。11月ごろに合格発表があります。
  3. 司法修習(約1年)裁判所・検察庁・法律事務所で実務を学び、司法研修所でも研修を受けます。
  4. 二回試験5科目を5日間で受ける最後の試験です。不合格者は毎年10人前後とされます。
  5. 弁護士登録弁護士会に入り、日弁連の名簿に登録して弁護士になります。

弁護士のある1日

8:30

事務所に着いて、メールとその日の予定を確認します。裁判所や相手方の弁護士から届いた書面に目を通します。

10:00

地方裁判所で民事裁判の期日に出ます。実際のやりとりは書面の確認や次回の予定決めが中心で、10〜15分ほどで終わることも多いです。

11:00

事務所に戻り、依頼者と電話で打ち合わせをします。裁判の進み具合と、相手から出てきた主張への考えを説明します。

12:00

昼食をとります。若手のころは先輩と一緒に食べながら、事件の進め方について相談することもあります。

13:00

新しいお客さんの法律相談を1時間受けます。相続でもめている兄弟の話を聞き、遺産分割の流れと費用を説明します。

14:30

企業の顧問先とオンライン会議をします。たとえば、新しく始めるフリマアプリの利用規約について、法律上の問題点をアドバイスします。

16:00

裁判所に出す準備書面を書きます。判例や本を調べながら、相手の主張に反論する文章を何ページも書く、弁護士の仕事の中心となる作業です。

18:00

警察署へ行き、逮捕された人と接見(面会)します。取り調べの様子を聞き、黙秘権などの権利を説明します。

19:30

事務所に戻って、翌日の打ち合わせの資料を準備します。大きな案件の前は夜遅くまで書面を仕上げることもあります。

20:30

帰宅します。法律の改正や新しい判例は、通勤時間や休日に勉強してキャッチアップします。

もっと知りたい人へ

そもそも弁護士とは

弁護士は、弁護士法という法律で「基本的人権を擁護し、社会正義を実現すること」を使命とすると定められた仕事です。お金をもらって他人の法律問題を代わりに処理できるのは、原則として弁護士だけです。裁判官・検察官とあわせて「法曹三者」と呼ばれ、この3つは同じ司法試験と司法修習を通ってなります。テレビドラマでは法廷での対決シーンが目立ちますが、実際の仕事時間の多くは、書面を書く、調べる、相談にのる、交渉するといった地道な作業です。

裁判官・検察官とのちがい

裁判官は中立の立場で判決を出し、検察官は国の代表として犯罪をした疑いのある人を裁判にかけます。それに対して弁護士は、依頼してくれた人の側に立ち、その人の利益を守るのが役目です。裁判官と検察官は国家公務員ですが、弁護士は基本的に民間の立場で働きます。

弁護士会への登録が必要

弁護士として働くには、各地の弁護士会に入り、日本弁護士連合会(日弁連)の名簿に登録しなければなりません。弁護士会には会費を払い、研修を受ける義務もあります。弁護士会は、弁護士が悪いことをしたときに懲戒する役目も持っています。

「法律の通訳」という役割

法律は専門用語が多く、ふつうの人には読みにくいものです。弁護士は、依頼者の話を法律の言葉に置きかえて裁判所や相手に伝え、逆に法律の結論をわかりやすく依頼者に説明します。この「通訳」の力が弁護士の価値です。

なるためのルート

弁護士になるには、司法試験に合格し、約1年の司法修習を終えて、最後の二回試験に受かる必要があります。司法試験を受ける資格を得る道は大きく2つで、法科大学院(ロースクール)を修了する(または在学中に一定の条件を満たす)か、予備試験に合格するかです。法学部の3年+法科大学院の2年で進む「法曹コース」を使うと、大学入学から最短5年で司法試験を受けられます。予備試験は年齢や学歴に関係なく誰でも受けられ、2025年には19歳の合格者も出ています。

  1. 高校で文系を選ぶ(理系でもなれる)法学部は文系学部なので、高校では文系を選ぶ人が多いです。ただし理系出身の弁護士もいて、知財の分野などで活躍しています。
  2. 大学に入学(法学部が多い)法学部に入ると、憲法・民法・刑法などの基礎をしっかり学べます。法曹コースがある大学なら、3年で早期卒業して法科大学院に進めます。
  3. 予備試験に合格、または法科大学院へ進学大学在学中に予備試験に挑戦するか、法科大学院に進みます。どちらを選んでも、予備校を利用して勉強する人が多いです。
  4. 司法試験に合格毎年7月ごろに、短答式(マークシート)と論文式の試験を4日間で受けます。11月ごろに合格発表があります。
  5. 司法修習(約1年)司法修習生として、全国の裁判所・検察庁・法律事務所で実務を学び、埼玉県和光市の司法研修所でも研修を受けます。修習中は国から月13万5千円の給付金が出ます。
  6. 二回試験に合格し、弁護士登録修習の最後の試験(二回試験)に合格したら、弁護士会に入り、日弁連の名簿に登録して弁護士として働きはじめます。
法科大学院ルート

法科大学院には、法学部などで法律を学んだ人向けの2年制の「既修者コース」と、法律を初めて学ぶ人向けの3年制の「未修者コース」があります。2023年から、法科大学院の最終学年で一定の単位をとれば、在学中に司法試験を受けられるようになりました。2025年の在学中受験者の合格率は52.66%でした。

予備試験ルート

予備試験は、法科大学院を出た人と同じくらいの力があるかを確かめる試験で、合格すると司法試験を受けられます。2025年は受験者12,432人のうち最終合格者は452人で、合格率は3.64%でした。そのかわり、予備試験合格者の司法試験合格率は2025年で90.68%と非常に高いです。

受験回数の制限

司法試験は、受験資格を得てから5年以内に5回まで受けられます。この期間を過ぎると、もう一度法科大学院を修了するか予備試験に受かる必要があります。

試験・選考の詳細

司法試験は、短答式試験と論文式試験の2つからなります。短答式は憲法・民法・刑法の3科目のマークシート、論文式は公法系(憲法・行政法)、民事系(民法・商法・民事訴訟法)、刑事系(刑法・刑事訴訟法)に加えて、倒産法や知的財産法などから1科目を選ぶ選択科目があります。2025年の司法試験は受験者3,837人、最終合格者1,581人、合格率41.20%でした。論文式は1科目2時間の長い記述問題で、事例を読んで法律をどう当てはめるかを自分の言葉で書く力が試されます。

予備試験の3段階

予備試験は、短答式(7月ごろ)、論文式(9月ごろ)、口述式(翌年1月ごろ)の3段階で、1つずつ合格しないと次に進めません。2025年の短答式の合格者は2,744人で、そこからさらに論文と口述でしぼられました。口述式は試験官と1対1で質問に答える面接形式です。

二回試験

司法修習の最後にある「司法修習生考試」で、民事裁判・刑事裁判・検察・民事弁護・刑事弁護の5科目を、1日1科目、5日間で受けます。1科目あたり7時間半もの長い試験で、大量の事件記録を読んで書面を書きます。不合格になるのは毎年10人前後とされ、大半の人は合格します。

法律事務所の就職活動

大手法律事務所は、司法試験の合格発表の前から、法科大学院生や予備試験合格者向けのサマークラーク(インターンのような事務所体験)を行い、早めに内定を出すことがあります。中小の事務所は修習中に採用活動をするところも多く、面接で人柄や熱意を見られます。

年収のリアル

弁護士の年収は、働き方によって大きく変わります。厚生労働省のjob tagでは、弁護士の年収は約981万円(令和7年賃金構造基本統計調査をもとにした目安)、平均年齢は46.5歳です。日弁連の「弁護士実勢調査」(2020年)では、全体の収入(売上)の中央値が1,437万円、経費を引いた所得の中央値が770万円でした。若手(70期以降)の所得の中央値は461万円、経験20年前後の55〜59期では1,000万円と、経験を積むほど上がっていく傾向があります。

大手事務所は初年度から高め

東京の大手法律事務所では、1年目から年収1,000万円を超える条件のところもあるといわれます。そのぶん仕事量は多く、深夜まで働くことも珍しくありません。一方、少人数の事務所では初年度の年収が400万〜500万円程度のことも多いとされます。

企業内弁護士の年収

日本組織内弁護士協会の2026年の調査では、企業内弁護士の年収は1,000万〜1,250万円未満が26.0%で最も多く、1,000万円以上の人は約75%でした。会社員としての給与なので、事務所で働くより収入は安定しやすいです。

独立すると「売上-経費」

独立した弁護士は、売上から事務所の家賃、事務員さんの給料、弁護士会費などの経費を引いた残りが収入になります。お客さんが多ければ数千万円の所得になる人もいますが、なかなか依頼が来なければ収入は低くなります。会社員よりも「経営者」に近い働き方です。

やりがい

弁護士の一番のやりがいは、困っている人から「先生のおかげで救われました」と直接感謝されることです。人生で一度あるかないかのトラブルの真っただ中にいる人を、法律という武器で支えられます。会社の仕事では、新しいビジネスを法律面から支え、社会に出ていくのを手伝えます。法律や判例は日々変わるので、一生勉強が続き、知的な刺激が大きいのも魅力です。

社会を変える裁判にかかわれる

弁護士が起こした裁判がきっかけで、法律が変わったり、新しいルールが作られたりすることがあります。公害や薬害、労働問題など、弱い立場の人の声を社会に届ける役割を担うこともできます。

自分の名前で仕事ができる

弁護士は資格と腕があれば、どこにいても自分の名前で仕事ができます。独立する、地方で開業する、会社に入る、海外で働くなど、人生の選び方の自由度が高いのも大きな魅力です。

定年がない

体と頭が元気なら何歳まででも働けます。経験を重ねるほど信頼が増し、年齢が武器になる珍しい仕事です。

大変なこと・きついこと

弁護士になるまでの勉強期間が長く、時間もお金もかかります。働きはじめてからも、裁判の書面には締め切りがあり、大きな案件の前は長時間労働になりがちです。依頼者は大きな悩みをかかえているので、感情的になっている人の話を受け止める精神的な強さも必要です。相手方から強い言葉をぶつけられることもあります。

結果が出ないこともある

どんなにがんばっても、裁判で負けたり、依頼者の希望どおりにならなかったりすることがあります。法律や証拠の限界を正直に伝えるのも弁護士の大事な仕事ですが、つらい場面です。

競争と営業

弁護士の数は2000年代以降に大きく増えたため、地域や分野によってはお客さんの取り合いになっています。独立すると、ホームページやセミナーなどで自分を知ってもらう営業活動も必要になります。

お金のかかる道のり

法科大学院の学費や予備校の費用、勉強に専念する期間の生活費がかかります。奨学金や大学の学費免除制度を使う人もいますが、計画的に考えておく必要があります。

向いている人

弁護士に向いているのは、文章を読むこと・書くことが苦にならない人です。仕事の多くは書面づくりなので、長い文章を正確に読み、筋道を立てて書く力が欠かせません。また、相手の話を最後まで聞ける人、感情的な場面でも冷静でいられる人も向いています。「なぜそうなるのか」を考えるのが好きで、ルールの意味を考えることにおもしろさを感じられる人はぴったりです。

粘り強さ

司法試験の勉強には数千時間かかるといわれ、仕事でも1つの事件が何年も続くことがあります。すぐに結果が出なくても、コツコツ続けられる粘り強さが大切です。

人の立場に立てる

たとえ世間から悪く言われている人でも、その人の言い分を聞いて味方になるのが弁護士です。先入観にとらわれず、いろいろな立場から物事を見られる人が向いています。

話し上手より聞き上手

弁護士というと弁が立つイメージがありますが、実際には依頼者から事実を正確に聞き出す力のほうが大事です。質問の仕方を工夫して、相手が話しやすい雰囲気を作れる人は強いです。

高校生のうちにできること

まずは国語の力、とくに長い文章を正確に読んで要約する力をきたえましょう。現代文の評論や小論文の練習は、そのまま司法試験の論文につながります。ニュースで裁判や新しい法律の話題が出たら、「なぜこの判決になったのか」を考えるクセをつけるのもおすすめです。実際に裁判所へ行って裁判を見学(傍聴)することもでき、多くの裁判は予約なしで誰でも見られます。

裁判を傍聴してみる

全国の地方裁判所では、平日に多くの裁判が開かれていて、高校生でも自由に傍聴できます。入口の開廷表を見て、気になる裁判の法廷に静かに入るだけです。ドラマとのちがいを自分の目で確かめると、仕事のイメージがぐっとリアルになります。

ディベートや模擬裁判に参加する

高校生向けの模擬裁判選手権や、ディベート大会があります。根拠をもって主張し、相手の主張に反論する経験は、弁護士の仕事そのものです。

英語と社会もしっかり

企業法務や国際案件では英語の契約書を読む機会が多いです。また、政治・経済や公共の授業で学ぶ憲法や経済の知識は、大学の法律の勉強の土台になります。

代表的な会社・職場

弁護士の職場で一番多いのは法律事務所です。東京には数百人の弁護士がいる大手法律事務所があり、西村あさひ法律事務所、アンダーソン・毛利・友常法律事務所、長島・大野・常松法律事務所、森・濱田松本法律事務所、TMI総合法律事務所などは「五大法律事務所」と呼ばれます。一方で、弁護士1〜数人の「街の法律事務所」も全国にたくさんあります。会社の法務部(企業内弁護士)、国や自治体、法テラスなども職場になります。

法テラス(日本司法支援センター)

国がつくった法人で、お金に余裕がない人の法律相談や弁護士費用の立て替えを行っています。スタッフ弁護士として、弁護士の少ない地域の事務所に赴任する働き方もあります。

企業の法務部

メーカー、商社、銀行、IT企業など、さまざまな会社が弁護士を社員として採用しています。とくに大企業や外資系企業の法務部には、複数の弁護士が在籍していることが多いです。

外資系法律事務所

アメリカやイギリスの法律事務所の東京オフィスで働く日本の弁護士もいます。国際的な取引が中心で、英語を使う機会がとても多い職場です。

弁護士の専門分野

弁護士はすべての法律をあつかえますが、実際には得意分野を持つ人がほとんどです。大きく分けると、個人を相手にする分野(離婚・相続・交通事故・借金・刑事事件・労働者側の労働問題など)と、会社を相手にする分野(契約・M&A・知的財産・労働者を雇う会社側の労働問題・独占禁止法・税務・倒産など)があります。最近は、IT・個人情報、スポーツ、エンタメ、医療、環境など、新しい分野を専門にする弁護士も増えています。

家事事件(離婚・相続)

夫婦の離婚、子どもの親権や養育費、家族が亡くなったときの遺産の分け方などをあつかいます。家庭裁判所での調停という話し合いの手続きが中心で、感情のもつれをほどく力が求められます。

労働問題

残業代の未払いや不当な解雇など、働く人と会社のトラブルです。働く人の側に立つ弁護士と、会社の側に立つ弁護士に分かれていることが多いです。

倒産・事業再生

会社が借金を返せなくなったときに、会社をたたむ「破産」や、立て直す「民事再生」などの手続きを担当します。たとえば、経営が苦しくなった旅館やアパレル会社が、お店を続けながら借金を減らしてもらう話し合いを、裁判所の手続きの中で進めます。会社の財産を守り、働く人や取引先への影響をできるだけ小さくする大事な仕事です。

法律事務所の種類

法律事務所には、規模や得意分野によっていろいろな種類があります。数百人規模の大手事務所は、大企業の大きな取引や国際案件を多くあつかい、分野ごとにチームを組んで仕事をします。数十人規模の中堅事務所は、企業法務を中心にしつつ、特定の分野に強みを持つところが多いです。弁護士1〜数人の小規模事務所は、地域の個人や中小企業のさまざまな相談を受けます。

ブティック型事務所

知的財産だけ、労働問題だけ、税務だけ、というように特定の分野に特化した事務所です。小さくても専門性が高く、大企業から依頼が来ることもあります。

全国展開の事務所

交通事故、借金の整理、相続など、個人向けの分野で全国に支店を出し、広告で多くのお客さんを集める事務所もあります。若手のうちにたくさんの事件を経験できる職場です。

どの事務所を選ぶかで最初のキャリアが決まる

最初に入った事務所で何を経験するかによって、得意分野や働き方が大きく変わります。司法修習中に複数の事務所を見学し、自分に合う場所を選ぶことが大切です。

よくある質問

法学部に行かないと弁護士になれませんか?

いいえ、法学部でなくてもなれます。法科大学院には法律を初めて学ぶ人向けの3年制の未修者コースがあり、予備試験は学歴に関係なく誰でも受けられます。ただし最短で目指すなら、法学部で法曹コースに入るのが一番近道です。

弁護士になるまで何年かかりますか?

法曹コースを使って在学中に司法試験に合格すると、大学入学から約5年で合格、その後の司法修習1年を足して約6年で弁護士になれます。予備試験に大学在学中に合格すれば、さらに早くなることもあります。一般的には大学入学から7〜8年くらいかかる人が多いです。

司法試験はどのくらい難しいですか?

2025年の司法試験の合格率は41.2%ですが、受験生は法科大学院や予備試験を通ってきた人ばかりなので、決して簡単ではありません。合格するまでに数千時間の勉強が必要といわれます。予備試験の合格率は3.64%(2025年)で、こちらは日本でもトップクラスの難しさです。

理系でも弁護士になれますか?

なれます。理系の知識は、特許などの知的財産の分野や、IT・医療の分野で大きな武器になります。司法試験の選択科目に知的財産法があるので、理系出身でその分野を選ぶ人もいます。

弁護士はみんなお金持ちですか?

人によって大きくちがいます。日弁連の2020年の調査では、所得の中央値は770万円で、ふつうの会社員より高めですが、全員が何千万円も稼いでいるわけではありません。大手事務所や企業内弁護士は高い年収を得やすく、独立した弁護士は営業や経営の力によって大きく差がつきます。

悪いことをした人を弁護するのはなぜですか?

日本の法律では、どんな人にも弁護人をつける権利が保障されています。罪をおかした人であっても、事実と違う重い罪にされたり、不当な取り調べを受けたりしないよう守る人が必要だからです。刑事弁護は、無実の人がまちがって罰せられることを防ぐ大切な役割も持っています。

AIが進むと弁護士の仕事はなくなりますか?

契約書のチェックや判例の検索など、一部の作業はAIで速くなっています。しかし、依頼者の気持ちをくみとって最適な解決策を考える、交渉する、裁判で責任をもって主張するといった仕事は、人間の弁護士にしかできない部分が大きいです。AIを使いこなせる弁護士がこれから求められるといわれています。

女性の弁護士は多いですか?

2024年3月時点で女性弁護士は約20%で、まだ少ないですが少しずつ増えています。企業内弁護士では女性が41.0%(2025年)と多く、出産や子育てと両立しやすい働き方として選ぶ人もいます。

弁護士と司法書士・行政書士のちがいは?

司法書士は登記(不動産や会社の登録)の手続きや、一定の金額以下の簡易な裁判の代理などを、行政書士は役所に出す書類の作成などを専門にしています。弁護士はそれらも含めて、あらゆる法律問題の代理・交渉・裁判を担当できる、最も業務範囲の広い資格です。

高校生のうちから法律の勉強をしたほうがいいですか?

無理に法律の勉強を始める必要はありません。それより、国語の読解力や作文力、社会の知識をしっかり身につけておくほうが、大学に入ってからの伸びにつながります。興味があれば、中高生向けの法律の入門書を読んだり、裁判を傍聴したりしてみましょう。

この分野のことば

年収について:厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)」の弁護士の年収です(令和7年賃金構造基本統計調査をもとにした目安で、雇われて働く弁護士が中心です)。日弁連「弁護士実勢調査」(2020年)では、全体の所得の中央値は770万円、経験の浅い70期以降の所得の中央値は461万円、55〜59期では1,000万円でした。独立した弁護士は売上から経費を引いた「所得」で考えるため、人によって差がとても大きいです。

数字はすべて公開データにもとづく目安です。出典は出典・サイトポリシーにまとめています。

ほかの仕事も見てみる