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社会学部

「あたりまえ」を疑うところから始まる

社会学部は、家族、学校、会社、地域、インターネットなど、人が集まってできる「社会」の仕組みを研究する学部です。たとえば「なぜ制服の着こなしにクラスごとのルールができるのか」「なぜ若い人ほど地方から東京に出ていくのか」といった疑問を、アンケート(社会調査)やインタビュー、統計データを使って確かめます。法律や経済のように一つのルールを深く学ぶのではなく、「人の行動や考え方は、まわりの社会からどんな影響を受けているか」という見方を身につけるのが特徴です。卒業後は特定の資格職に直結しにくいぶん、メーカー、金融、IT、マスコミ、公務員など、幅広い業界に就職しています。

よくある勘違い

社会学部は「社会科」の続きで、地理や歴史や公民を深く勉強するところ

実は

実は、学ぶのは「人と人のつながり」や「みんなが当然だと思っていること」がどうやって生まれるかです。SNSでの炎上、いじめ、家族の形、地方の過疎、推し活まで、身近な現象をアンケートやインタビューで調べて説明します。

どんな学科・専攻がある?

社会学部ではどんな授業がある?

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実習・実験・研究

社会調査実習(2〜3年、1年かけて)班で調べるテーマの例大学生のアルバイトと学業の両立1テーマを決める2質問紙(アンケート用紙)をつくる3配って、回収する思うように集まらないことも4データを入力する5パソコンで分析する6報告書にまとめるゼミ(3〜4年)10〜20人ほど。文献の発表と議論卒業論文2万字前後を求める大学が多い苦労した経験は、就職活動で話せる材料にも自分でデータを集めて、確かめる

社会学部の「手を動かす学び」の中心は、社会調査実習、ゼミ、卒業論文です。社会調査実習では、少人数の班で、テーマ決め、質問紙(アンケート用紙)づくり、配布と回収、データ入力、分析、報告書づくりまでを1年かけて行います。たとえば「大学生のアルバイトと学業の両立」をテーマに数百人に回答してもらい、結果を報告書にまとめます。ゼミでは3〜4年生の2年間、一人の先生のもとで文献を読み、自分の研究テーマを決めて発表をくり返します。卒業論文は2万字前後を求める大学が多く、自分で集めたデータや資料をもとに書きます。地味な作業が多く、アンケートが思うように集まらない、インタビュー相手が見つからないといった苦労がありますが、その経験は就職活動で話せる強い材料にもなります。

社会調査実習2〜3年生で1年間かけて行う授業です。班でアンケートやインタビューを計画し、実際に調査して報告書を作ります。社会調査士の資格を取るための必修科目(G科目)になっていることが多いです。
フィールドワーク地域の商店街、祭り、農村、外国人が多く住む団地などに出かけ、観察や聞き取りをします。数日間泊まりがけで地方に行くゼミもあります。
ゼミ(演習)3〜4年生で10〜20人ほどの少人数クラスに入り、一人の先生の指導を受けます。毎週のように文献の発表や議論をします。
卒業論文4年生の1年間をかけて、自分でテーマを決めて書く論文です。調査の計画、データの分析、考察までを自分で行います。卒論が必修でない大学もあります。
データ分析演習国や研究機関が公開している大規模な調査データを使い、パソコンで分析する授業です。たとえば国勢調査のデータから、地域ごとの高齢化の進み方を比べます。

大学生活の流れ

1年社会学概論などの入門科目と、英語、第二外国語、一般教養を幅広く学びます。「社会学的なものの見方」に慣れる時期です。基礎ゼミで、レポートの書き方や文献の探し方も練習します。
2年社会調査法、社会統計学など、調べるための道具を学びます。家族、メディア、都市など専門の講義が増え、自分の関心がしぼれてきます。コースやゼミを選ぶ準備をする時期です。
3年ゼミに入り、文献を読んで発表し、議論する毎日になります。社会調査実習やフィールドワークで、実際にデータを集める経験もします。夏ごろからインターンシップなど就職活動の準備が始まります。
4年卒業論文に取り組みながら、就職活動を進めます。春から夏に内定が出ることが多く、秋以降は卒論の分析と執筆に集中します。
大学院研究者や、社会調査の専門家をめざす人が進みます。修士課程は2年で、修士論文を書きます。社会学部からの大学院進学は少数派で、多くの人は学部卒で就職します。

取れる資格・免許

社会調査士社会調査協会が認定する資格です。大学で決められた科目(A〜Gの7区分で、EとFはどちらか)の単位を取り、卒業時に申請します。アンケートの作り方やデータ分析の基礎ができる証明になり、市場調査会社や広告会社、役所の調査部門などで評価されることがあります。
専門社会調査士大学院で調査や分析の科目を学び、調査を使った研究論文を書いた人が申請できる上位の資格です。研究者や調査の専門家をめざす人向けです。
社会福祉士国家資格です。社会福祉学科などで指定の科目と実習を修めると、卒業時に国家試験を受けられます。病院、福祉施設、市役所、学校などで、困っている人の相談にのる仕事に使います。
教員免許(中学社会・高校公民など)教職課程を取ると、中学校の社会や高校の公民の教員免許を取れる大学が多いです。卒業単位に加えて教職の授業と教育実習が必要で、時間割はかなり忙しくなります。
認定心理士社会心理学の授業が多い学部では、日本心理学会が認定する認定心理士の単位をそろえられる場合があります。心理学の基礎を学んだ証明ですが、国家資格ではありません。
統計検定データ分析の力を測る民間の検定です。社会統計学の授業と相性がよく、2級を取ると就職活動でアピールする人もいます。

社会学部の卒業後の進路

社会学部社会学部で身につく2つの力人がなぜそう行動するかを考えるアンケートで事実を確かめる学んだことが、そのまま仕事になる市場調査会社・シンクタンクアンケートやデータ分析が専門福祉・医療ソーシャルワーカー社会福祉士の資格。社会福祉学科に多い公務員地域社会や福祉の知識がまちづくりにマスコミ・広告メディア系の学科で目立つ。倍率が高い身につけた力が、いろいろな仕事で生きるメーカー食品・化粧品など。商品の企画に調査の力金融銀行・保険・証券。お客さんへの説明IT・通信使う人の気持ちを考える企画の仕事小売・サービスお客さんの行動を見て売り場づくり特定の業界にかたよらず、幅広く就職する企画・広告・人事・営業で調べる力が生きる

社会学部の卒業生は、特定の業界にかたよらず、メーカー、金融、IT、小売、マスコミ、公務員など幅広い分野に就職します。学部で学んだ内容がそのまま仕事になる職業は少ないものの、「人がなぜそう行動するのかを考える力」や「アンケートで事実を確かめる力」は、商品の企画、広告、人事、営業など多くの仕事で使われます。メディア系の学科では、新聞社、テレビ局、広告会社をめざす人が目立ちます。研究者や専門職(社会福祉士など)をめざす人は少数ですが、確実にいます。

メーカー(食品・化粧品・日用品など) ›就職先として多い分野の一つです。営業、マーケティング、人事などで働きます。たとえば「新しいお菓子を中高生がどんな場面で食べたいか」を調べる仕事に、社会調査の力が生きます。金融(銀行・保険・証券) ›文系学部全体で多い就職先で、社会学部も例外ではありません。お客さんへの説明や相談の仕事が中心です。IT・通信 ›近年増えている就職先です。営業や企画の職種で、アプリやサービスを使う人の気持ちを考える仕事をします。データ分析が得意な人はデータ分析の職種に進むこともあります。マスコミ・広告 ›メディア系の学科を中心に、新聞社、出版社、テレビ局、広告会社をめざす人がいます。採用人数が少なく倍率が高い業界です。小売・サービス ›百貨店、スーパー、旅行会社、ホテルなどです。お客さんの行動を観察し、売り場づくりや企画に生かします。公務員 ›市役所、県庁、国の役所などです。地域社会学や社会福祉の知識が、まちづくりや福祉の仕事に直結します。市場調査会社・シンクタンク ›アンケートやデータ分析を専門にする会社です。社会調査を本格的に学んだ人が活躍しやすい分野です。
福祉・医療ソーシャルワーカー社会福祉士の資格を取り、病院、福祉施設、市役所などで相談の仕事をします。社会福祉学科の卒業生に多い進路です。

もっと知りたい人へ

社会学部と社会科学部のちがい

名前が一文字ちがうだけですが、中身は大きくちがいます。社会学部は「社会学」という一つの学問を深く学ぶ学部です。一方、社会科学部(早稲田大学などにあります)は、法学、政治学、経済学、商学、社会学など、社会を研究するさまざまな学問(社会科学)をまとめて学ぶ学部です。たとえば「少子化」を考えるとき、社会学部では「結婚や家族への考え方がどう変わったか」を中心に調べますが、社会科学部では、育児休業の法律、子育て支援の予算、出生率の経済分析まで、いろいろな学問の道具を組み合わせて考えます。社会学を深くやりたいなら社会学部、法律も経済も政治もまんべんなく学びたいなら社会科学部が合っています。

学べる科目の広さ

社会科学部では、民法や憲法、ミクロ経済学、会計学などの授業も選べます。社会学部でも他学部の授業を取れる大学はありますが、中心はあくまで社会学です。

就職先のちがい

どちらも就職先は幅広く、大きな差はありません。ただ社会科学部は、法律や経済の科目を多く取った人が金融や公務員に進むなど、履修の選び方で進路の色が変わりやすいです。

社会福祉学部・人間科学部との関係

社会福祉学部は、社会学部の中の福祉の分野が独立したような学部です。人間科学部(大阪大学、早稲田大学など)は、社会学、心理学、教育学、生物学などを合わせた学部で、社会学も学べます。

社会学ってどんな見方?

社会学の一番の特徴は、一人ひとりの行動の背景にある「社会の力」を見ることです。たとえば、ある生徒が大学に進学しなかったとき、「本人のやる気がなかった」で終わらせず、家の経済状況、住んでいる地域に大学があるか、まわりの大人に大学出身者がいるか、などの条件を調べます。すると、本人の努力だけでは決まらない「かたより」が見えてきます。この見方は、人の行動を責めるのではなく、仕組みを変えるヒントを探すためのものです。ニュースやSNSの話題を「なぜこうなるのか」と一歩引いて考えるクセがつきます。

「あたりまえ」を疑う

たとえば「入学式は桜の季節」は日本では当然ですが、多くの国では9月入学です。自分にとっての当然が、時代や国によってちがうことに気づくのが社会学の入り口です。

データで確かめる

社会学は感想を言い合う学問ではありません。「若者の読書離れ」と言われても、実際に調査データを見ると、本の種類によってはむしろ読まれている、ということもあります。思い込みを数字で確かめる姿勢が大切にされます。

向いている人

身の回りのできごとに「なぜ?」と感じることが多い人に向いています。たとえば、クラスのグループ分けや、流行がどうやって広がるかに興味がある人です。人の話をじっくり聞くのが好きな人、ニュースの裏側を知りたい人にも合っています。反対に、はっきりした正解が一つあるほうが好きな人は、最初はもどかしく感じるかもしれません。社会学では、同じ現象にいくつもの説明があり、データで比べながら考えるからです。

人と話すのが好きな人

インタビューやフィールドワークでは、初めて会う人に話を聞きます。話し上手より、聞き上手な人が力を発揮しやすいです。

数字にも少しなじめる人

統計の授業は必修のことが多いです。数学が得意である必要はありませんが、表やグラフを読むのがきらいではない人のほうが楽しめます。

高校生のうちに(文理・受験科目)

社会学部は文系の学部なので、高校では文系を選ぶ人がほとんどです。私立大学の一般入試は、英語、国語、地理歴史または公民(または数学)の3科目が多いです。国公立大学では、共通テストで数学や理科も必要になります。入学後に統計を学ぶので、数学Iの「データの分析」はしっかり理解しておくと楽になります。日ごろから新聞やニュースサイトを読み、気になった社会問題について「なぜだろう」と考えてメモする習慣をつけると、総合型選抜(旧AO入試)の志望理由書にも役立ちます。

公共・政治経済の授業を大事に

高校の「公共」で習う社会保障や労働の話は、大学の授業の入り口になります。用語の意味を説明できるようにしておきましょう。

探究学習でアンケートをしてみる

総合的な探究の時間に、クラスや学年でアンケートをとってみるのはとてもよい練習です。質問の作り方で答えが変わることを、実際に体験できます。

よくあるギャップ

入学前は「楽しそうなテーマを自由に話し合う学部」と思っていた人が、統計や理論の授業のかたさにおどろくことがあります。また、「社会学部を出たら何になるのか」が見えにくく、就職活動の前に不安になる人もいます。実際には就職先は幅広いのですが、学部名だけでアピールできる資格がないぶん、ゼミや調査で何をしたかを自分の言葉で話す必要があります。一方で、「身近なことを研究テーマにできる」という自由さは、入学後に良い意味でのギャップになる人が多いです。

楽そうに見えて課題は多い

レポートの量は多めです。授業ごとに2,000〜4,000字のレポートを求められ、学期末に重なると大変です。

テーマが自由すぎて迷う

卒論のテーマはほとんど何でもよいので、逆に決められずに困る人がいます。1〜2年生のうちから、気になったことをメモしておくと助かります。

よくある質問

社会学部と社会科学部はどっちがいいですか?

どちらが上ということはありません。社会学をじっくり学びたいなら社会学部、法律や経済や政治も幅広く学びたいなら社会科学部が合っています。気になる大学のカリキュラム(授業の一覧)を見比べるのが一番確実です。

社会学部は就職に弱いと聞きました。本当ですか?

就職先は幅広く、極端に弱いということはありません。ただし、資格に直結する学部ではないので、ゼミや調査、アルバイトなどで何をしてきたかを自分の言葉で伝えることがより大切になります。

数学が苦手でも大丈夫ですか?

入試で数学を使わずに入れる大学は多いです。ただ、入学後に社会統計学などで平均やグラフ、簡単な計算は使います。高校の数学Iの「データの分析」を復習しておけば、ついていける内容です。

社会学部で心理学も学べますか?

社会心理学の授業は多くの社会学部にあります。ただし、カウンセリングなど臨床心理学を本格的に学びたいなら、心理学部や心理学科のほうが向いています。

マスコミに就職したいなら社会学部がいいですか?

メディア社会学科などではメディアの仕組みを学べるので、関心のある人は多いです。ただ、マスコミは学部を問わず採用しているので、社会学部でなければいけないわけではありません。

社会福祉士になりたい場合はどう選べばいいですか?

社会福祉士の国家試験を受けるには、指定された科目と実習を大学で修める必要があります。社会学部の中でも社会福祉学科やコースがある大学を選びましょう。社会福祉学部を選ぶ方法もあります。

社会学の卒論ではどんなテーマが多いですか?

家族、恋愛・結婚、SNS、アイドルやアニメのファン文化、地域の祭り、外国人労働者、ジェンダー、部活動など本当にさまざまです。身近なテーマを、調査やデータで説明できればよいとされています。

公務員をめざすのに社会学部は向いていますか?

地域社会学や社会福祉の知識は、市役所などの仕事に役立ちます。ただ、公務員試験では法律や経済の科目も出るので、別に勉強が必要です。学部の授業だけで試験対策が完了するわけではありません。

理系から社会学部に入れますか?

入れます。理系の科目で受けられる入試方式がある大学や、共通テストの理科や数学を使える国公立大学もあります。統計が得意な理系出身の学生は、データ分析の授業で力を発揮しやすいです。

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