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講評会までに仕上げる!

美術学部・デザイン学部

絵がうまい人だけの場所じゃない

美術学部・デザイン学部は、手と頭を使って「かたち」をつくる力を身につける学部です。美術学部は絵画・彫刻・工芸など作品そのものの表現をきわめる学びが中心で、デザイン学部は、ポスター、商品パッケージ、アプリの画面、家電、建物の内装など、人が使うもののかたちを考える学びが中心です。大学によって「造形学部」「芸術学部」「芸術工学部」などの名前もあり、たとえば武蔵野美術大学は造形学部に日本画、油絵、視覚伝達デザイン、工芸工業デザイン、建築など10学科を置いています(河合塾Kei-Net)。どの学部でも、毎日の制作(課題)と講評会が学びの中心で、つくったものを人に見せて意見をもらうことをくり返します。

よくある勘違い

絵が上手な人が画家になるための学部

実は

絵画や彫刻のほか、ポスターやロゴ、スマホアプリの画面、家具や家電の形、お店の空間、映像やアニメーションなど、身のまわりのあらゆる「見た目と使いやすさ」をつくる方法を学びます。卒業生の多くはデザイナーや企画の仕事、メーカーや広告の会社などで働いています。

どんな学科・専攻がある?

美術学部・デザイン学部ではどんな授業がある?

押すと、その授業の中身が見られます。

実習・実験・研究

課題が出る数週間ごとに新しいテーマアイデア・スケッチスケッチや模型で形を考える先生と相談して仕上げる工房やアトリエで夜遅くまで講評会で発表作品を見せて意見をもらう1年に何回も4年卒業制作1年かけて大きな作品をつくる卒業制作展学内外で一般の人にも見てもらうつくる→見せる→意見をもらう、をくり返す授業時間の大半が制作

美術学部・デザイン学部では、授業時間の大半が制作です。課題が出され、アイデアを考え、スケッチや模型をつくり、先生と相談しながら仕上げて、講評会で発表する、という流れを1年に何回もくり返します。工房やアトリエで夜遅くまで作業することも多く、画材や材料、パソコンやソフトにもお金がかかります。学年が上がると、企業や自治体と一緒に商品やポスターを考える「産学連携」の授業や、学外の展覧会への出品も増えます。4年生では、卒業制作として1年かけて大きな作品やプロジェクトに取り組み、学内外の卒業制作展で一般の人にも見てもらいます。

課題制作と講評会1年生から4年生まで、数週間ごとに課題が出され、講評会で発表します。作品をつくる力と、考えを説明する力の両方がきたえられます。
工房実習木工、金属、陶芸、版画、印刷などの工房で、専門の技術職員から機械や道具の使い方を学びます。1〜2年生のうちに基本の技術を一通り身につけます。
産学連携プロジェクト企業から出されたテーマに、学生がチームで取り組みます。たとえば、文房具メーカーと新しいペンを考えたり、地元の自治体と観光ポスターをつくったりします。
展覧会・コンペへの応募学内外の展覧会に作品を出したり、デザインのコンペ(コンテスト)に応募したりします。受賞歴は、就職活動で作品をアピールするときの強みになります。
卒業制作・卒業制作展4年生の1年間をかけて作品をつくり、学内外の展示会場で発表します。多くの人が見に来て、企業の人がスカウトのために訪れることもあります。

大学生活の流れ

1年デッサン、色彩、立体構成など、どの専攻にも必要な基礎を学びます。大学によっては、1年生は専攻を決めずに広く学び、2年生から専攻に分かれるところもあります。
2年専攻の課題が本格化し、素材や技法、ソフトの使い方を深く学びます。自分がどんな表現やデザインに向いているかを見つけていく時期です。
3年企業との連携授業やコンペへの応募が増え、より社会に近い課題に取り組みます。デザイン系では、作品をまとめた「ポートフォリオ」をつくり、インターンシップや就職活動の準備を始めます。
4年卒業制作に1年かけて取り組みます。就職活動ではポートフォリオを持って面接に行くのが一般的です。大学院進学や留学をめざす人もいます。
大学院修士課程では、作品制作や研究をさらに深めます。作家として活動したい人、大学の先生をめざす人、より専門的なデザインを学びたい人が進学します。美術系のトップ校では、学部卒業生の半数以上が進学する年もあります。

取れる資格・免許

中学校・高等学校教諭一種免許状(美術)、高等学校教諭一種免許状(工芸)教職課程の科目を取り、教育実習に行くことで取得できます。学校の先生になるには、さらに教員採用試験に合格する必要があります。
学芸員博物館や美術館で、作品の収集、展示、調査研究を行うための国家資格です。大学で決められた科目を取り、博物館実習を受けると取得できます。
一級・二級建築士(受験資格)建築や空間デザインの学科で、国が指定した科目を取って卒業すると、建築士試験の受験資格が得られる大学があります。建物の設計を仕事にするための国家資格です。
色彩検定・カラーコーディネーター検定色の知識を問う民間の検定です。デザインの仕事で色の知識があることを示すのに使われます。

美術学部・デザイン学部の卒業後の進路

美術学部・デザイン学部デザイン系の学科 企業への就職が多い広告・グラフィックポスター・パッケージ・ロゴメーカーのデザイナー家電・自動車・文房具の製品UI・ウェブデザイナーアプリやサイトの画面ゲーム・アニメ・映像キャラクター・背景・3DCG空間・インテリアお店の内装や展示のブース美術系の学科 大学院や作家が多い大学院に進む作品や研究をさらに深める作家・アーティスト最初はほかの仕事と両立も美術の先生・学芸員学芸員は募集がとても少ないデザイン系は企業へ、美術系は大学院や作家へ学科によって進路の傾向がちがう
例:武蔵野美術大学造形学部は2024年度の卒業者901人のうち就職462人・進学124人、東京藝術大学美術学部は240人のうち133人が進学(河合塾Kei-Net)

美術学部・デザイン学部の卒業生の進路は、デザイナーやクリエイターとして企業に就職する道、作家やフリーランスとして活動する道、大学院に進む道、学校の先生や美術館の仕事に進む道などに分かれます。デザイン系の学科は企業への就職が比較的多く、絵画や彫刻などの美術系の学科は大学院進学や作家活動を選ぶ人が多い傾向があります。たとえば、武蔵野美術大学の造形学部では、2024年度の卒業者901人のうち、就職が462人、進学が124人でした(河合塾Kei-Net)。東京藝術大学の美術学部では、同じ年の卒業者240人のうち133人が進学しています。

グラフィック・広告デザイナー ›広告会社、デザイン事務所、印刷会社などで、ポスター、広告、パッケージ、ロゴなどをデザインします。視覚デザイン系の学科から多く進む仕事です。メーカーのインハウスデザイナー ›家電、自動車、文房具、化粧品などのメーカーのデザイン部門で、自社の製品をデザインします。プロダクトデザイン系の学科から多く進みます。UI・ウェブデザイナー ›IT企業やウェブ制作会社で、アプリやウェブサイトの画面をデザインします。デジタル系の授業を学んだ人が多く進む分野です。ゲーム・アニメ・映像の制作会社 ›キャラクターデザイン、背景美術、3DCG、エフェクト、映像編集などを担当します。絵を描く力とデジタルの技術の両方が求められます。
空間・インテリアデザイナー、設計事務所お店の内装、展示会のブース、オフィスなどの空間をデザインします。建築学科から設計事務所や建設会社に進む人もいます。
作家・アーティスト作品を制作し、ギャラリーでの展示や販売、コンペや芸術祭への参加を通じて活動します。最初はほかの仕事と組み合わせながら制作を続ける人が多い道です。
美術の先生・美術館の学芸員 ›中学や高校の美術の先生、美術館の学芸員として働きます。学芸員は募集がとても少なく、大学院で研究を深めてから応募する人も多い仕事です。
一般企業の企画・営業職デザインと関係ない部署で、企画、営業、販売などの仕事をする人もいます。発想力や、見せ方を工夫する力が評価されることがあります。

もっと知りたい人へ

似た名前の学部とのちがい

「かたち」を学べる学部にはいくつもの名前があります。美術学部は、絵画や彫刻、工芸など作品そのものの表現をきわめることが中心です。デザイン学部は、人が使う製品や情報、空間を、使う人の立場に立って考えることが中心です。芸術工学部やデザイン工学部、工学部のデザイン系学科は、工学や人間の科学の知識を使ってデザインを考える理系寄りの学部で、たとえば九州大学芸術工学部は「技術の人間化」を理念に、文系・理系・芸術系の区別にとらわれない教育を掲げています。芸術学部は、美術に加えて音楽や映像、演劇などもまとめて置いていることが多い学部です。

美術大学と総合大学のちがい

美術大学は、学生全員が美術やデザインを学ぶので、まわりの刺激が大きく、工房などの設備も充実しています。総合大学のデザイン系学部は、ほかの学部の授業も取りやすく、工学や経営と組み合わせて学びやすいのが特徴です。

入試のちがい

美術大学や美術学部では、デッサンや色彩構成などの実技試験が中心になることが多いです。工学部系のデザイン学科では、数学や理科の学科試験が中心で、実技がない大学もあります。

向いている人

ものをつくることが好きで、思いどおりにならなくても何度もやり直せる人に向いています。上手に描けるかどうかよりも、よく観察する人、身のまわりのデザインに「なぜこの形なんだろう」と疑問をもつ人が伸びます。講評会で厳しい意見を言われても、それを次の作品に生かせる前向きさも大切です。デザイン系では、人の困りごとに気づいて、それを解決する方法を考えるのが好きな人にも向いています。

美術系に向いている人

自分の表現したいことがはっきりあり、長い時間1つの作品と向き合える人に向いています。結果が出るまで時間がかかっても、つくり続けられる粘り強さが必要です。

デザイン系に向いている人

人の話を聞くのが好きな人、チームで何かをつくるのが好きな人、パソコンやデジタルの道具をあつかうのが好きな人に向いています。

高校生のうちに(文理・受験科目)

美術大学や美術学部の入試では、鉛筆デッサン、色彩構成、立体構成などの実技試験が課されることが多く、学科試験は英語と国語が中心です。国公立では共通テストも必要です。実技試験に向けて、多くの受験生は高校1〜2年生ごろから美術系の予備校(画塾)に通い、デッサンを積み重ねます。最近は、実技なしで学科試験やポートフォリオ、面接で受けられる入試も増えています。工学部系のデザイン学科をめざす場合は、数学や物理を得意にしておくことが大切です。

普段からできること

身近なものをスケッチする習慣をつける、美術館やデザインの展覧会に行く、気になるポスターやパッケージを集めて「なぜよいと感じるのか」を考える、といったことが力になります。

学費と画材費

私立の美術大学の学費は、ほかの学部より高めです。たとえば、武蔵野美術大学の視覚伝達デザイン学科などの初年度納入金は約193万円です(2026年度入学者、河合塾Kei-Net)。画材やパソコン、ソフトの費用も別にかかります。

よくあるギャップ

入学してまず驚くのは、課題の量と締め切りの厳しさです。自由に好きなものを描けると思っていたら、テーマや条件が細かく決められた課題が次々に出されます。また、デザイン系では、絵の上手さよりも、アイデアの考え方や説明の仕方、ソフトの技術が重視されることにとまどう人もいます。さらに、作家だけで生活できる人は少なく、多くの人がデザインの仕事や教える仕事をしながら制作を続けているという現実もあります。

お金がかかる

画材、材料、印刷代、展示の費用など、授業料以外にもお金がかかります。アルバイトと制作の両立に苦労する学生も多いです。

就職活動ではポートフォリオが必須

デザイナーの採用では、自分の作品をまとめたポートフォリオを見せるのが一般的です。1〜3年生の課題をきちんと残しておくことが、あとで大きな差になります。

デザインの仕事のしくみ

企業がお金をかけてデザインを頼むのは、デザインが「売れる」「使いやすい」「伝わる」ことにつながるからです。たとえば、同じ中身のお菓子でも、パッケージを変えただけで売り上げが大きく変わることがあります。デザイナーの働き方には、メーカーなどの社内でその会社の製品だけをデザインする「インハウスデザイナー」と、デザイン事務所や広告会社で、いろいろな会社から依頼を受けてデザインする働き方があります。フリーランスとして独立し、直接仕事を受ける人もいます。

インハウスデザイナー

自社の製品やブランドに長くかかわれるのが特徴です。開発、営業、工場の人などと一緒に、製品が完成するまで深くかかわります。

デザイン事務所・広告会社

飲料、車、銀行、自治体など、いろいろな業界の仕事にかかわれるのが特徴です。締め切りが多く、忙しい時期もありますが、幅広い経験を積めます。

よくある質問

絵が上手でないとデザインは学べませんか。

デッサンの力は役に立ちますが、デザインで大切なのは、人の困りごとに気づき、解決のアイデアを考え、伝える力です。実技試験のない入試方式もあるので、絵に自信がなくてもデザインに興味があれば調べてみましょう。

美術系の予備校には通ったほうがいいですか。

デッサンなどの実技試験がある大学をめざすなら、多くの受験生が予備校に通っています。高校の美術の先生に相談し、予備校の体験講習に参加してみると、今のレベルと必要な準備がわかります。

イラストレーターやマンガ家になるにはどの学部がよいですか。

美術大学の絵画系やデザイン系の学科のほか、マンガやイラストの学科を置く大学や専門学校もあります。大学では描く力に加えて、美術史や表現の考え方を幅広く学べるのが特徴です。

美術大学を出ると就職できないのですか。

デザイン系の学科では、メーカー、広告、IT、ゲームなどの会社に就職する人が多くいます。絵画や彫刻の学科では大学院進学や作家活動を選ぶ人が多いですが、一般企業に就職する人もいます。

パソコンは必要ですか。

デザイン系の学科では、ノートパソコンやデザインソフトが必要になることが多いです。大学によっては推奨機種を指定しているので、入学前に確認しましょう。

文系と理系、どちらで受験すればいいですか。

美術大学の多くは、英語と国語の学科試験で受けられます。一方で、芸術工学部や工学部のデザイン学科は理系の入試が中心です。学びたい内容と入試科目の両方を見て決めましょう。

建築を学びたい場合、美術大学と工学部のどちらがいいですか。

美術大学の建築学科は、デザインや空間の表現を重視する傾向があります。工学部の建築学科は、構造や設備などの工学の内容を深く学びます。どちらでも建築士の受験資格につながる大学があるので、カリキュラムを比べましょう。

学芸員になるのは難しいですか。

学芸員の資格は大学で取得できますが、美術館の学芸員の募集はとても少なく、競争が激しいです。大学院で美術史などの研究を深めてから応募する人が多い仕事です。

ゲーム会社でデザインの仕事をしたいです。

キャラクターや背景、3DCG、UIなど、ゲームにはさまざまなデザインの仕事があります。美術大学やデザイン学部で基礎を学び、作品をポートフォリオにまとめて応募するのが一般的です。

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