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スポーツ科学部・体育学部

運動の得意・不得意より「なぜ」を追う

スポーツ科学部・体育学部は、スポーツと運動、そして健康を科学的に研究する学部です。大学によって「スポーツ健康科学部」「健康スポーツ学部」「体育専門学群」などの名前があります。研究の対象はトップアスリートだけではありません。たとえば、ハイスピードカメラで野球の投球フォームを分析してけがを防ぐ研究、運動が高齢者の認知症予防にどう役立つかの研究、プロスポーツチームの観客を増やすマーケティングの研究など、とても幅広いです。卒業後は保健体育の先生、スポーツ用品メーカー、フィットネスクラブ、一般企業、公務員(警察・消防など)と、進路もさまざまです。

よくある勘違い

毎日運動ばかりしている体育会系の学部

実は

実技の授業もありますが、運動生理学、バイオメカニクス、スポーツ心理学、スポーツビジネスなどを研究する学問の学部です。データや実験を使い、スポーツと健康を科学的に考えます。

どんな学科・専攻がある?

スポーツ科学部・体育学部ではどんな授業がある?

押すと、その授業の中身が見られます。

実習・実験・研究

スポーツ科学部では、体を動かす実技と、実験室での測定・分析の両方を行います。実験室では、ランニングマシンで走りながら吐く息を測ったり、ハイスピードカメラでジャンプの動きを撮影したりして、データを集めます。実技の授業では、さまざまな種目を体験し、教える側の視点も学びます。教員を目指す人は教育実習、トレーナーを目指す人は大学の運動部などでの現場実習があります。体育会の部活動に所属しながら学ぶ学生も多く、練習と授業、レポートを両立させる体力と時間管理の力が必要です。

運動生理学・バイオメカニクス実験2年生ごろに行います。心拍数、血液中の乳酸、筋肉の電気信号、体の動きなどを測定し、結果をレポートにまとめます。
スポーツ実技1〜2年生を中心に、陸上、水泳、球技、器械運動、ダンス、武道などを学びます。大学によっては夏に海での実習、冬にスキー実習などの集中授業があります。
教育実習保健体育の教員免許を目指す人は、4年生ごろに中学校や高校で2〜4週間ほど実習します。実際に体育の授業を担当し、生徒の前に立ちます。
トレーナー現場実習トレーナー系の資格を目指す人は、大学の運動部や地域のスポーツチームで、けがの予防や手当て、コンディション管理を実際に経験します。
ゼミ・卒業研究3年生からゼミに入り、4年生で卒業論文を書きます。たとえば「女子サッカー選手の前十字靭帯けがの予防」「地域の総合型スポーツクラブの運営」など、自分の競技や関心と結びつけたテーマが多いです。

大学生活の流れ

1年広く基礎を学ぶ入門・解剖学・生理学・いろいろな実技2年専門と実験が始まる運動生理学・バイオメカニクスなど心拍数や体の動きを測って分析3年ゼミで専門を深める教職課程・トレーナーの科目も本格化後半から就活・採用試験の勉強4年卒業研究体育会では最後のシーズンの人も教員志望の人教育実習(2〜4週間)+夏の採用試験大学院研究者・専門スタッフへトップのコーチやトレーナーを目指す実技と実験を両方こなし4年で卒業研究と採用試験が重なる
1年スポーツ科学の入門、解剖学、生理学の基礎、さまざまな種目の実技を学びます。理系と文系の両方の科目を広く学ぶ1年です。
2年運動生理学、バイオメカニクス、スポーツ心理学など専門科目が増えます。実験の授業も始まり、自分の興味のある分野を絞り込みます。
3年ゼミに入り、専門をさらに深めます。教職課程やトレーナー資格の科目も本格化します。後半からは就職活動の準備や教員採用試験の勉強が始まります。
4年卒業研究が中心です。教員志望の人は教育実習と、夏の教員採用試験を受けます。体育会の部活動では最後のシーズンを迎える人も多いです。
大学院研究者、トップレベルのコーチやトレーナー、スポーツ科学の専門スタッフを目指す人が進みます。国立スポーツ科学センターのような研究機関で働く人もいます。

取れる資格・免許

中学校・高等学校教諭一種免許状(保健体育)教職課程の科目と教育実習を修めて卒業すると取れます。公立学校の先生になるには、教員採用試験に合格する必要があります。保健体育はスポーツ科学部・体育学部の卒業生にとって代表的な免許です。
健康運動指導士健康・体力づくり事業財団が認定する資格です。4年制の体育系大学の卒業者などが養成講座を修了し、認定試験に合格すると取れます。健康づくりのための運動プログラムを作る専門家として、病院やフィットネスクラブなどで使います。
健康運動実践指導者同じ財団が認定する資格で、運動を実際に指導する人向けです。体育系の学校を卒業した人などが受けられます。
日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー日本スポーツ協会が認定する資格で、承認された大学で科目を修めて試験に合格すると取れます。選手のけがの予防や応急手当、競技復帰までのリハビリを担当します。
日本スポーツ協会公認スポーツ指導者(コーチなど)種目ごとのコーチの資格で、承認された大学では授業で一部の講習が免除されることがあります。地域のクラブや学校の部活動での指導に役立ちます。
NSCA認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト(CSCS)アメリカに本部がある団体の資格で、学士号を持つ人などが試験を受けられます。選手の筋力トレーニングを専門に指導するトレーナーに多い資格です。

スポーツ科学部・体育学部の卒業後の進路

免許・資格・試験が必要な道必要なもの保健体育の教員体育・保健・部活動教員免許+教員採用試験トレーナー・コーチけがの予防・手当てアスレティックトレーナーなどの資格公務員警察・消防・自衛官など体力試験のある採用試験知識や経験が生きる道生きる力スポーツ用品メーカーフィットネスクラブもスポーツ科学の知識が直接生きるプロスポーツチーム運営スタッフ・イベント人気で採用は少ないインターンで早めに一般企業銀行・商社など体育会の経験が評価されやすい免許や資格がいる道と体育会の経験が生きる道がある
研究者やトップレベルのコーチ・トレーナーを目指す人は大学院に進みます

進路は大きく、教員、スポーツ関連企業、一般企業、公務員、大学院進学に分かれます。保健体育の教員は伝統的に多い進路ですが、近年はスポーツ用品メーカーやフィットネスクラブ、スポーツビジネス、IT企業なども増えています。体育会の部活動で鍛えた体力やチームワーク、目標に向けて努力する経験は、一般企業の採用でも評価されやすいです。警察官や消防官、自衛官など体力が求められる公務員を目指す人も多くいます。

保健体育の教員中学校や高校の保健体育の先生として、体育の授業と保健の授業、部活動の指導などを担当します。教員採用試験に合格する必要があり、私立学校の先生になる人もいます。
スポーツ用品メーカー・小売 ›シューズやウェア、ボールなどの商品企画、営業、販売を担当します。たとえば、ランニングシューズの開発で選手の走り方を分析するなど、スポーツ科学の知識が直接生きる仕事もあります。フィットネスクラブ・健康産業 ›スポーツジムのトレーナーや店舗の運営、健康づくりのプログラム開発などをします。高齢者向けの介護予防の運動教室を担当することもあります。公務員(警察・消防・自衛官など) ›体力試験がある公務員を目指す人が多いです。市役所のスポーツ振興の担当として、地域の大会やスポーツ施設の運営に関わる人もいます。一般企業の営業・総合職 ›銀行、商社、メーカーなどの営業職を中心に、幅広い業界に就職します。体育会での経験は、目標に向かってねばり強く取り組む力として評価されやすいです。プロスポーツチーム・スポーツビジネス ›プロ野球やJリーグ、Bリーグのクラブの運営スタッフ、イベント会社、スポーツメディアなどです。人気が高く採用人数は少ないので、インターンシップなどで早めに経験を積むことが大切です。
トレーナー・コーチ・研究者アスレティックトレーナーやストレングスコーチとして、チームや選手を支えます。大学院に進んで研究者やスポーツ科学の専門家になる人もいます。

もっと知りたい人へ

向いている人

スポーツが好きなだけでなく、「なぜ速く走れる人と走れない人がいるのか」「どうすればけがをしにくくなるのか」と、スポーツを考えることが好きな人に向いています。自分が競技を続けたい人はもちろん、選手を支えたい人、スポーツの楽しさを人に伝えたい人、スポーツをビジネスとして盛り上げたい人にも合っています。運動が得意かどうかよりも、スポーツへの興味と探究心が大切です。

人に教えることが好きな人

部活動で後輩に教えるのが好きだった人は、体育の先生やコーチ、トレーナーに向いています。相手に合わせて説明を工夫できる力が大切です。

データや機械が好きな人

最近のスポーツ科学では、センサーやカメラ、データ分析が欠かせません。スポーツとデータの両方に興味がある人は、新しい分野で活躍できます。

高校生のうちに(文理・受験科目)

スポーツ科学部は文系型の入試で受けられる大学が多いですが、理系型の入試を用意している大学もあります。また、実技試験やスポーツの実績で評価する総合型選抜・学校推薦型選抜も多いのが特徴です。入学後は生物(からだのしくみ)や物理(力学)の知識を使うので、文系の人も生物基礎はしっかり学んでおきましょう。数学Iのデータの分析も研究で使います。

自分の競技を記録・分析してみる

練習の記録をつけたり、スマホで自分のフォームを撮影して分析したりするのは、スポーツ科学の入口になります。その経験は総合型選抜の志望理由書にも生かせます。

実技試験の準備

体育学部では、入試に実技試験がある大学があります。種目や内容は大学ごとにちがうので、募集要項を早めに確認しましょう。

よくあるギャップ

「運動ばかりする学部」と思って入学すると、生理学や物理、統計などの座学の多さに驚くことがあります。実技の授業は全体の一部で、レポートや実験の課題がたくさんあります。また、プロスポーツの仕事にあこがれて入学しても、プロチームの職員やトレーナーの求人はとても少なく、狭き門です。一方で、スポーツの経験を生かして一般企業で活躍する卒業生が多いことは、入学後に知る人も少なくありません。

体育会とそれ以外の学生

スポーツ科学部には、トップレベルの競技を続ける体育会の学生と、スポーツを研究したい一般の学生がいます。授業や生活のリズムがちがうので、自分がどちらのスタイルかを考えておきましょう。

理学療法士や柔道整復師にはなれない

けがのリハビリをする理学療法士や、整骨院で働く柔道整復師になるには、それぞれ国が指定した養成校で学ぶ必要があります。スポーツ科学部では受験資格が得られないことが多いので注意しましょう。

スポーツビジネスの広がり

スポーツは、見る人、する人、支える人が集まる大きな産業です。たとえば、プロ野球の試合では、チケット、球場の飲食、グッズ、テレビやネットの放映権、スポンサー企業の広告など、多くのお金が動いています。最近は、選手の動きをデータで分析するスポーツテック、オンラインで試合を配信するサービス、スポーツを観光に結びつけるスポーツツーリズムなど、新しい仕事も生まれています。

部活動の地域移行

中学校の休日の部活動を、地域のクラブや民間のスポーツ団体に任せる取り組みが進められています。指導者の確保が課題になっており、スポーツ科学を学んだ人の活躍の場が広がる可能性があります。

健康寿命とスポーツ

高齢化が進む中で、運動によって元気に長く暮らす「健康寿命」をのばすことが社会の大きなテーマになっています。自治体や企業の健康づくりの仕事でも、スポーツ科学の知識が求められています。

代表的な大学と特徴

体育・スポーツ系の学部は、国立大学では筑波大学の体育専門学群や鹿屋体育大学(国立で唯一の体育大学)、私立大学では日本体育大学、順天堂大学のスポーツ健康科学部、早稲田大学のスポーツ科学部、立命館大学のスポーツ健康科学部など、各地にあります。教員養成に強い大学、トップアスリートが多い大学、研究設備が充実した大学、スポーツビジネスに力を入れる大学など、特徴はさまざまです。

設備をチェックしよう

大学によって、トレーニング施設や実験室の設備は大きくちがいます。オープンキャンパスで、どんな機械を使ってどんな研究をしているかを見てみましょう。

教員免許の取りやすさ

保健体育の教員を目指すなら、教職課程の充実度や、教員採用試験の対策講座の有無も確認しておくと安心です。

よくある質問

運動が得意でなくても入れますか?

入れます。一般選抜では学力試験だけで受けられる大学も多いです。ただし実技の授業はあるので、体を動かすことへの抵抗がないほうが楽しめます。

スポーツ科学部は文系ですか、理系ですか?

文系と理系の両方の性格を持っています。運動生理学やバイオメカニクスは理系、スポーツ社会学やマネジメントは文系です。入試は文系型が多いですが、入学後は両方を学びます。

体育の先生になるには?

保健体育の教員免許が取れる学部で教職課程をとり、卒業後に教員採用試験に合格する必要があります。スポーツ科学部や体育学部の多くで、この免許が取れます。

プロのトレーナーになれますか?

日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナーなどの資格を目指せる大学があります。ただし、プロチームの専属になれる人は多くないので、大学院や現場での経験を積みながら目指すのが一般的です。

部活動と勉強は両立できますか?

多くの学生が両立していますが、実験のレポートや実技の授業もあり、時間の管理が大切です。体育会の学生向けに授業の時間割を工夫している大学もあります。

一般企業への就職は難しいですか?

難しくありません。むしろ、体育会での経験やチームワークは多くの企業で評価されます。営業職を中心に、幅広い業界に就職しています。

スポーツビジネスを学ぶなら経営学部とどちらがよいですか?

スポーツに特化して学びたいならスポーツ科学部のマネジメント系、経営学全体を広く学んでから応用したいなら経営学部が合っています。経営学部でスポーツビジネスのゼミがある大学もあります。

女子学生は多いですか?

大学によりますが、男子学生がやや多い傾向があります。女子アスリートのサポートや女性の健康づくりの研究も盛んで、女子学生も増えています。

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