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今日は牧場実習!

獣医学部

ペットの病院だけでなく、食卓と感染症の最前線へ

獣医学部は、動物の体のしくみや病気、その治療と予防を学び、獣医師を育てる学部です。獣医学科は6年制で、卒業すると獣医師国家試験の受験資格が得られます。獣医学科がある大学は全国に17校しかなく(国立10、公立1、私立6)、入学定員も少ないため、入試は難関です。学ぶ対象は、ペットの犬や猫だけでなく、牛や豚、鶏、馬、野生動物まで広く、さらに食中毒を防ぐ食品衛生や、鳥インフルエンザのような感染症の予防といった「人の健康を守る」分野も含まれます。たとえば、みなさんがスーパーで買う牛肉や豚肉は、食肉衛生検査所で獣医師が1頭ずつ検査してから出荷されています。

よくある勘違い

犬や猫の病気の治し方を学ぶ学部

実は

犬や猫だけでなく、牛・豚・鶏などの家畜、野生動物、実験動物まで幅広い動物を学びます。さらに、食肉や牛乳の安全、動物から人にうつる感染症の予防など、人の健康を守るための学びも大きな柱です。

どんな学科・専攻がある?

獣医学部ではどんな授業がある?

押すと、その授業の中身が見られます。

実習・実験・研究

基礎の実習 体のしくみと動物の扱い方実験室解剖・生理・微生物体のしくみを確かめる牧場・農場牛・馬・豚の扱い方健康チェック・搾乳4年ごろ 共用試験vetCBT(知識)・vetOSCE(診察の基本)合格後 臨床と現場の実習附属動物病院5〜6年が中心診察・検査・手術の補助行政の現場食肉衛生検査所や家畜保健衛生所など犬や猫だけでなく、牛や馬、食肉の検査まで6年間で実習の場所が広がっていく

獣医学部では、動物を相手にする実習が6年間を通してたくさんあります。前半は解剖学や生理学、微生物学などの実験実習が中心で、動物の体の構造や病気のしくみを自分の手で確かめます。4年生ごろに共用試験(vetCBTとvetOSCE)に合格すると、5年生から大学の動物病院や牧場で臨床実習に進み、実際の患者動物の診察や治療に参加します。また、多くの大学では4〜6年生に研究室に所属して卒業研究を行い、6年生は卒業論文と国家試験の両方に取り組みます。牛や馬などの大きな動物を扱う実習では体力が必要で、命と向き合う場面も多いため、気持ちの面でも強さが求められます。

解剖実習主に1〜2年生で、犬や牛などの体を解剖し、骨、筋肉、内臓、血管、神経の位置を確かめます。動物の種類ごとの違いを比べながら学びます。実習のあとに慰霊祭を行う大学が多いです。
牧場実習・産業動物実習大学の附属牧場や農場で、牛や馬、豚などの扱い方、健康チェック、搾乳、エサやりなどを学びます。北海道や九州などの畜産の盛んな地域では、農業共済組合の獣医師と一緒に農家を回る実習もあります。
共用試験(vetCBT・vetOSCE)臨床実習に進む前に受ける全国共通の試験です。vetCBTでは知識を、vetOSCEでは動物の保定(安全に押さえること)や基本的な診察を正しくできるかを確かめます。
臨床実習(附属動物病院)5〜6年生を中心に、大学の動物病院で、指導する獣医師のもと、犬や猫などの診察、検査、手術の補助を行います。夜間や休日の当番がある大学もあります。
公衆衛生・行政の実習食肉衛生検査所、家畜保健衛生所、保健所、動物愛護センターなどを訪ね、公務員獣医師の仕事を学びます。たとえば、牛や豚の食肉検査の現場を見学します。
卒業研究4〜6年生にかけて研究室に所属し、テーマを決めて実験や調査を行い、卒業論文にまとめます。たとえば、ペットのがんの新しい治療法、牛の病気を早く見つける方法、野生動物が持つウイルスの調査などです。

大学生活の流れ

1年英語、化学、生物、物理、統計などの教養科目と、獣医学の入門を学びます。動物の扱い方の基本を学ぶ実習が始まる大学もあります。獣医師の多様な仕事を知る講義もこの時期に行われます。
2年解剖学、生理学、生化学などの基礎獣医学が本格的に始まり、解剖実習で動物の体の構造を学びます。覚える量が増え、勉強の大変さを実感する学年です。
3年病理学、微生物学、寄生虫学、薬理学、公衆衛生学など、病気のしくみと予防を学ぶ科目が中心になります。顕微鏡や実験室での実習が多くなります。
4年内科、外科、繁殖、画像診断などの臨床系の講義が本格化し、研究室に所属して研究が始まる大学が多いです。年度の後半には共用試験(vetCBTとvetOSCE)があり、臨床実習に進むための関門になります。
5年大学の動物病院や牧場での臨床実習が本格的に始まります。犬や猫だけでなく、牛や馬などの産業動物の実習もあります。研究室での卒業研究も並行して進めます。
6年卒業研究をまとめて卒業論文を書きながら、2月に行われる獣医師国家試験の勉強に取り組みます。就職活動もこの時期に行い、動物病院、公務員、企業などの内定を得ます。
大学院獣医師免許を取ったあと、4年制の博士課程に進む人がいます。感染症、がん、再生医療、野生動物など、さまざまな研究を行います。大学の教員や研究者、専門性の高い獣医師を目指す人が進みます。

取れる資格・免許

獣医師免許獣医学の課程(6年制)を卒業して獣医師国家試験に合格すると取得できます。2026年の第77回では、受験者1,433人のうち980人が合格し、合格率は68.4%(新卒者83.9%、既卒者32.4%)でした。動物病院、公務員、企業など獣医師のすべての仕事の土台になる資格です。
愛玩動物看護師獣医保健看護学科など、指定された学科で学び、愛玩動物看護師国家試験に合格すると取得できます。動物病院で獣医師の指示のもと、採血や検査、入院動物の世話などを行います。
食品衛生管理者・食品衛生監視員(任用資格)獣医学を修めた人は、法律にもとづいてこれらの役職につく資格があります。食品衛生監視員は、保健所などで飲食店や食品工場の衛生をチェックする公務員の役職です。
家畜人工授精師など牛や豚の人工授精を行うための資格で、獣医師は獣医師免許があれば人工授精を行えます。獣医学科以外の動物系学科では、講習を受けて取得する人もいます。

獣医学部の卒業後の進路

獣医学科(6年)獣医師が働く分野(2024年の届出)小動物診療(動物病院)約42%犬や猫などのペットを診る産業動物診療約11%牛・豚・鶏などの家畜を診る公務員2割以上食肉の検査・伝染病を防ぐ教員・民間企業など約15%大学・製薬会社など動物病院の獣医師が最も多いが半分以上はペットの病院以外で働く
全国の届出をもとにした割合。足しても100%にならない分はほかの分野です

獣医学科の卒業生のほとんどは獣医師国家試験に合格し、獣医師として働きます。2024年の届出では、小動物診療(犬や猫などの動物病院)に関わる獣医師が約42%で最も多く、産業動物診療が約11%、公務員(農林水産分野と公衆衛生分野)が合わせて2割以上、教員や民間企業などが約15%です。つまり、半分以上の獣医師はペットの病院以外で働いています。公務員や産業動物の分野は全国的に人手が足りず、修学資金などで学生を支援する自治体もあります。

動物病院(小動物臨床) ›最も多くの卒業生が進む道です。犬や猫などのペットを診察し、ワクチン、検査、手術などを行います。経験を積んで自分の動物病院を開業する人も多いです。都道府県・国の公務員獣医師 ›家畜保健衛生所で家畜の伝染病を防いだり、食肉衛生検査所で食肉の安全を確かめたり、保健所や動物愛護センターで働いたりします。空港や港の動物検疫所で、海外から病気が入らないよう守る仕事もあります。産業動物診療(農業共済組合など) ›牛や豚、鶏などの家畜を診ます。農業共済組合(NOSAI)や農協の獣医師として、担当地域の農家を車で回ります。北海道や九州など畜産の盛んな地域で特に必要とされています。製薬会社・動物薬・ペットフードの会社 ›人や動物の薬を開発する研究職、安全性を確かめる試験の担当、獣医師に薬の情報を伝える学術の担当などとして働きます。ペットフードやペット保険の会社に進む人もいます。
動物園・水族館動物園や水族館の獣医師として、展示動物の健康管理や治療、繁殖を担当します。採用は少なく、狭き門です。
大学・研究機関大学院に進み、大学の教員や研究所の研究者として、感染症やがん、再生医療などの研究を行います。

もっと知りたい人へ

獣医学部と農学部・畜産系のちがい

動物について学べる学部は、獣医学部だけではありません。農学部や畜産系の学部にも、動物の飼育、繁殖、栄養などを学ぶ学科があります。大きな違いは、獣医師の資格が取れるかどうかです。獣医師国家試験を受けられるのは、6年制の獣医学科(共同獣医学科を含む)を卒業した人だけで、4年制の動物系学科では受けられません。動物の病気を診断して治療する仕事がしたいなら獣医学科、動物の飼育や生産、行動の研究がしたいなら農学部や動物系の学科、と考えるとわかりやすいです。

動物系学科から目指せる仕事

動物系学科の卒業生は、畜産や食品の会社、ペット関連の会社、動物園の飼育員、研究職などに進みます。たとえば、乳牛の飼育を研究して酪農の会社に進む人もいます。獣医師の資格は取れませんが、動物と関わる仕事は幅広くあります。

獣医学部を置く大学

国立は帯広畜産大学、北海道大学、岩手大学、東京大学、東京農工大学、岐阜大学、鳥取大学、山口大学、宮崎大学、鹿児島大学、公立は大阪公立大学、私立は酪農学園大学、北里大学、日本獣医生命科学大学、麻布大学、日本大学、岡山理科大学です。

ペットと家畜で考え方がちがう

同じ獣医学でも、ペットを診るのか家畜を診るのかで、目標が大きく変わります。ペットの診療では、1匹の命と暮らしの質をできるだけ守ることが目標で、飼い主が望めば高度な治療も行います。一方、家畜の診療では、牛乳や肉を生産するという目的があり、治療にかかる費用とその家畜の経済的な価値のバランスを考えます。また、家畜は群れで飼われるので、1頭を治すことより、群れ全体を病気にさせない予防が大切になります。獣医学部では、この両方の考え方を学びます。

群れの健康を守る

たとえば、何万羽もの鶏を飼う養鶏場では、1羽ずつ治療することはできません。ワクチンの計画、鶏舎の温度や換気、エサの管理などで群れ全体の健康を守ります。これを「予防獣医療」や「衛生管理」といいます。

ワンヘルス

人、動物、環境の健康は一つにつながっているという考え方です。鳥インフルエンザや狂犬病のように、動物から人にうつる病気を防ぐには、医師と獣医師、環境の専門家の協力が欠かせません。獣医学部では、この考え方を大切にした授業が増えています。

向いている人

獣医学部に向いているのは、動物が好きなことに加えて、生き物のしくみに強い興味がある人です。動物は自分で症状を話せないので、小さな変化に気づく観察力が必要です。また、治療方法を決め、治療費を払うのは飼い主や農家なので、人と話すことが得意な人ほど活躍しやすいです。大きな動物の実習や、夜中のお産への立ち会いもあるので、体力も大切です。命と向き合う場面が多い学部なので、悲しい場面でも冷静に判断できる強さも求められます。

こんな経験が生きる

たとえば、家でペットの世話を毎日してきた人、生物部で生き物を飼育・観察してきた人、牧場や動物園でのボランティア経験がある人は、獣医学部での学びにつながる経験をしています。

動物好きだけでは足りない理由

獣医学部では、解剖実習、病理解剖、実験動物を使った実習があります。かわいいと感じる気持ちだけでなく、動物の命を守るために必要な学びとして向き合う姿勢が大切です。

高校生のうちに(文理・受験科目)

獣医学部は理系の学部で、入試では数学、理科(化学と生物が多い)、英語が中心です。国立大学では共通テストで5教科7科目程度と、二次試験で数学・理科・英語が課されるのが一般的です。全国に17校しかなく、1校あたりの入学定員も少ないため、国公立は医学部に次ぐような難しさになることがあります。入学後は生物と化学の知識を多く使うので、受験で物理を選んだ人も生物の基礎を学んでおくと安心です。

志望理由を深める

「動物が好き」だけでなく、なぜ獣医師なのか、どの分野で働きたいのかを考えておきましょう。たとえば、ニュースで見た鳥インフルエンザの対応に関心を持った、牧場で働く獣医師の姿を見た、など具体的なきっかけがあると説得力が増します。

見学や体験

オープンキャンパスでは、大学の動物病院や牧場を見学できることがあります。地域の動物病院や獣医師会、動物愛護センターなどが中高生向けの職業体験を行っていることもあるので、調べてみましょう。

よくあるギャップ

入学前に多いイメージは「犬や猫の治療を学ぶ」ことですが、実際には牛や馬、豚、鶏、魚、野生動物まで学ぶ範囲が広く、最初の数年は基礎科目の講義と暗記が中心です。また、公衆衛生や食品衛生の授業が想像以上に多く、獣医師が人の健康を守る仕事でもあることに驚く学生が多いです。就職についても、動物病院の新人の給料は医師や歯科医師と比べて低めのことが多く、思っていたより厳しいと感じる人もいます。一方で、公務員や産業動物の分野は人手が足りず、思っていなかった分野に魅力を感じて進む学生もいます。

大きな動物の実習

牛や馬は体重が数百キロあり、実習では安全に押さえる技術や、けがをしないための体の使い方を学びます。小さな動物が好きで入学した人にとっては、最初は戸惑う実習です。

国家試験と卒業研究の両立

6年生では卒業論文と国家試験の勉強を同時に進める必要があり、時間の使い方が大切になります。既卒者の国家試験合格率は約3割と低いので、新卒のときに合格することが重要です。

公務員獣医師という選択肢

獣医師のうち2割以上は、国や都道府県、市の公務員として働いています。都道府県では、家畜の伝染病を防ぐ家畜保健衛生所、食肉の安全を守る食肉衛生検査所、食品衛生や動物愛護を担う保健所や動物愛護センターなどがあります。国では、農林水産省や厚生労働省、空港や港の動物検疫所などで働きます。豚熱や鳥インフルエンザが発生したときに、現場で検査や消毒、移動制限などの防疫を指揮するのも公務員獣医師です。全国的に人手が足りず、初任給の調整や手当、学生向けの修学資金などで獣医師を集めようとする自治体が増えています。

食肉衛生検査所

牛や豚などを食肉にする施設で、獣医師が1頭ずつ病気がないかを検査します。病気が見つかった場合は出荷を止めます。私たちが安心して肉を食べられるのは、こうした検査があるからです。

動物検疫所

空港や港で、海外から入ってくる動物や肉製品が病気を持ち込まないかを確かめる国の機関です。たとえば、旅行者が海外からソーセージなどを持ち込もうとしたとき、検疫で止めることがあります。

よくある質問

獣医学部はどのくらい難しいですか?

全国に17校しかなく入学定員も少ないため、難関です。国公立は医学部や歯学部に近い難しさになることがあり、私立も人気が高く倍率が高い大学が多いです。

獣医学部は何年で卒業しますか?

獣医学科は6年制です。卒業見込みの状態で2月に国家試験を受け、合格すると獣医師になれます。動物看護系や動物応用科学系の学科は4年制です。

4年制の動物系学科でも獣医師になれますか?

なれません。獣医師国家試験を受けられるのは、6年制の獣医学科(共同獣医学科を含む)を卒業した人などに限られます。進学先を選ぶときに必ず確かめましょう。

動物が苦手な種類もありますが大丈夫ですか?

大学では牛、馬、豚、鶏、犬、猫などいろいろな動物を扱う実習があり、一通り触れることになります。すべてを得意にする必要はなく、就職後は自分の得意な分野を選べます。

解剖や動物実験はありますか?

あります。体のしくみや病気を理解するために、解剖実習や病理解剖、実験動物を使った実習があります。命への感謝を表すために慰霊祭を行う大学が多いです。

私立の獣医学部の学費はどのくらいですか?

大学によって違いますが、6年間で1,000万円台後半から2,000万円程度かかる大学が多いです。国立は6年間で約350万円です。奨学金や地域の修学資金もあります。

女子学生は多いですか?

多いです。2024年の届出では獣医師の約35%が女性で、獣医学部の学生では女性が半数前後を占める大学も多くなっています。

獣医師は人の病気を診られますか?

診られません。人の診療は医師の仕事です。ただし、人と動物の両方にうつる感染症の研究や予防では、医師と協力して働きます。

動物園の獣医師になるにはどうすればいいですか?

獣医師免許を取ったあと、動物園や水族館の採用試験を受けます。公立の動物園では自治体の獣医師として採用され、動物園に配属される場合もあります。採用は少ないので、動物病院などで経験を積んでから目指す人もいます。

うさぎや爬虫類などの珍しい動物も学べますか?

大学で学ぶのは犬や猫、家畜が中心です。うさぎ、鳥、爬虫類などのエキゾチックアニマルは、卒業後に専門の動物病院で学ぶ人が多いです。

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