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「迷わず使える」は偶然ではなく、だれかが設計したものです

UI/UXデザイナー

UI/UXデザイナーは、スマートフォンのアプリやウェブサイト、家電の操作画面などを、使う人にとってわかりやすく、気持ちよく使えるように設計する仕事です。UI(ユーザーインターフェース)は、ボタンや文字、色、画面の並びなど、目に見えて触れる部分のことです。UX(ユーザー体験)は、アプリを開いてから目的を果たすまでに感じる「使いやすい」「楽しい」「迷った」といった体験全体のことです。たとえば、電車の乗り換えアプリで、出発駅と到着駅を入れたらすぐ経路が出る、フリマアプリで写真を撮るだけで出品できる、といった使いやすさは、UI/UXデザイナーが利用者を観察し、試作とテストを何度もくり返して作り上げたものです。美術系の大学だけでなく、情報系や心理学系など、さまざまな学部の出身者が活躍している仕事です。

平均年収の目安約579万円約350万〜1,000万円以上(経験や勤め先によって差が大きい。事業会社のデザイン責任者などはさらに高い例もある)
なるまでの難しさ★★★★★必須の資格や試験はありません。そのかわり、就職の選考では「ポートフォリオ(作品集)」で、どんな課題をどう考えてデザインしたかを見られます。国の職業情報サイトでは、大学などでの専門教育はまだ確立されていないとされていて、デザインの技術、情報設計、人間中心設計や心理学の知識、場合によってはプログラミングの知識まで、幅広く自分で身につける必要があります。
決めどき文系・理系どちらでも

高校では文理どちらでもよい。美術・デザイン系、情報系、心理学系など進路の幅が広い。大学のうちに作品を作り、ポートフォリオを準備することが大切

どんな職種がある?

押すと、その職種の仕事内容・必要な力・キャリアが見られます。

UI/UXデザイナーの年収と昇進の流れ

ジュニアデザイナー330〜450万円
入社1〜2年、22〜25歳

先輩の指導のもとで、決まったルールに沿って画面をデザインします。一つの機能のデザインを一人で仕上げられるようになることが次の段階への条件です。

デザイナー420〜600万円
入社3〜5年、25〜29歳

一つの機能やアプリの画面全体を担当し、利用者の調査やテストにも関わります。

シニアデザイナー550〜800万円
入社6〜9年、28〜34歳

プロダクト全体のデザインを任され、デザインシステムの管理や後輩の指導も行います。

リードデザイナー・デザインマネージャー700〜1,000万円
32〜40歳

デザインチームを率い、デザインの方針を決めます。採用や評価にも関わります。

デザイン責任者(CDO・VPoDなど)900〜1,500万円
38歳〜

会社全体のデザインの責任者として、経営の判断にデザインの視点を持ちこみます。人数は少なく、会社によって大きく異なります。

年収は目安です。会社や地域、本人の働き方で大きく変わります。

働き方で何が違う?

事業会社(自社サービスを持つIT企業など)約400万〜1,000万円が目安

自社のアプリやサービスのデザインを担当します。一つのサービスに長く関わり、利用者の反応を見ながら改善を続けられます。エンジニアや企画担当と同じチームで働きます。

良いところ自分のデザインの成果を数字で確かめられる

大変なところ担当するサービスが限られ、いろいろな分野の経験は積みにくい

UI/UXデザイン会社グッドパッチの平均年間給与は784万円(2025年8月期)

いろいろな会社からデザインの仕事を請け負います。グッドパッチのような会社では、銀行、医療、スタートアップなど、さまざまな業界のプロジェクトに関われます。

良いところ多くの業界のプロジェクトを経験でき、デザインの専門家が多い

大変なところお客さんの要望や締め切りに合わせる必要がある

ウェブ制作会社約300万〜600万円が目安

会社やお店のウェブサイト、キャンペーンページなどを制作します。デザインからコーディングまで担当することも多いです。

良いところたくさんの案件を経験し、早く力をつけられる

大変なところ給与は事業会社より低めのことが多く、案件が重なると忙しい

フリーランス仕事の量と単価によって大きく変わる

会社に所属せず、個人で複数の会社の仕事を受けます。経験を積んだデザイナーが独立することが多いです。

良いところ働く時間や場所、仕事を自分で選べる

大変なところ収入が安定しにくく、仕事を取る力やお金の管理も必要

代表的な会社・職場

UI/UXデザイン会社(上場)大手ITIT(フリマアプリ)IT・インターネット広告IT(業務ソフト)大手メーカー自動車メーカー国の行政機関制作会社
グッドパッチUI/UXデザイン会社(上場)

さまざまな会社のアプリやサービスのUI/UXデザインを手がけるデザイン会社です。

784万円(2025年8月期、有価証券報告書)
LINEヤフー ›大手IT

メッセージアプリ、検索、ニュース、決済など多くのサービスを持ち、多くのデザイナーが働いています。

有価証券報告書で公表
メルカリ ›IT(フリマアプリ)

フリマアプリを運営し、だれでも簡単に出品・購入できる体験のデザインに力を入れています。

有価証券報告書で公表
サイバーエージェント ›IT・インターネット広告

動画配信、ゲーム、広告など幅広い事業で、多くのデザイナーを採用しています。

有価証券報告書で公表
freeeIT(業務ソフト)

会計や人事の業務をインターネットで行えるサービスを作っています。

有価証券報告書で公表
SmartHRIT(業務ソフト)

人事や労務の手続きをインターネットで行えるサービスを作り、デザインシステムを公開していることでも知られています。

非上場のため公表なし
ソニーグループ ›大手メーカー

家電、カメラ、ゲーム機などの製品の操作画面や、関連するアプリのデザインを担当する部門があります。

有価証券報告書で公表
トヨタ自動車 ›自動車メーカー

車の中の画面やカーナビ、スマートフォンのアプリなどのデザインを担当する部門があります。

有価証券報告書で公表
デジタル庁国の行政機関

国や自治体の手続きをわかりやすいデジタルサービスにするため、民間出身のデザイナーも働いています。

国家公務員の給与規程などによる
ウェブ制作会社制作会社

会社やお店のウェブサイト、キャンペーンページなどを制作する会社で、全国にたくさんあります。

›がついた会社は、会社図鑑で詳しく解説しています。

どうやって稼いでいる?

① 自社のサービスを持つ会社の場合 使いやすいデザイン 売上が増える 途中でやめる 人が減る 解約が減る 使い続けて もらえる 費用が減る 問い合わせ が減る 会社の売上・利益が増える そこから デザイナーの給料 ② デザイン会社・フリーランスの場合 お客さん の会社 デザイン会社 フリーランス 制作会社も デザインを頼む 代金を払う デザインの力が、事業の成功を左右する使いやすさが、そのまま売上になる
フリーランスは、仕事ごと、または時間ごとの料金で報酬を受け取ります

UI/UXデザイナーの仕事がお金につながる仕組みは、主に二つあります。一つは、アプリやサービスを運営する会社(事業会社)の中で働く場合です。使いやすいデザインにすることで、利用者が増え、途中でやめる人が減り、買い物や課金をする人が増えます。その結果として会社の売上が増え、デザイナーの給料もそこから出ます。もう一つは、デザイン会社やウェブ制作会社、フリーランスとして、ほかの会社からデザインの仕事を請け負い、その代金を受け取る場合です。最近は、デザインの力が事業の成功を左右すると考える会社が増え、経営の中心にデザイナーを置く会社も出てきています。

1
サービスの利用者・売上の増加

通販アプリで買い物の手順を短くすると、途中でやめる人が減って売上が増えます。使いやすいデザインは、そのまま会社の収入につながります。

2
サブスクリプションの継続

動画配信や学習アプリなど、月額料金のサービスでは、使い続けてもらうことが大切です。わかりやすく楽しい体験を作ることで、解約する人を減らします。

3
デザインの受託料

デザイン会社やウェブ制作会社は、お客さんの会社からアプリやウェブサイトのデザインを請け負い、代金を受け取ります。グッドパッチのような会社がこの形です。

4
問い合わせ・サポートの費用の削減

わかりやすい画面にすると、「使い方がわからない」という問い合わせが減り、サポートにかかる人件費を減らせます。

5
フリーランスの報酬

個人のデザイナーは、仕事ごと、または時間ごとの料金でお客さんから報酬を受け取ります。

入ってからどうなっていく?

大学・専門学校デザインと考え方の基礎美術・デザイン系ではデザインの基礎を、情報系ではプログラミングや人間とコンピューターの関係を、心理学系では人の認知や行動を学びます。授業や個人で作品を作り、ポートフォリオにまとめます。
1〜2年目画面を作る力をつける事業会社やデザイン会社、制作会社に入り、先輩の指導のもとで画面のデザインを担当します。会社のデザインのルールや、エンジニアとの仕事の進め方を覚えます。
3〜5年目一つの機能を任される一つの機能やアプリ全体の画面を担当し、利用者の調査やテストにも関わります。UIからUXへ、仕事の幅を広げる時期です。より大きな会社やスタートアップに転職する人も多いです。
6〜10年目リードデザイナーへプロダクト全体のデザインを任され、後輩の指導やデザインシステムの管理も行います。プロダクトデザイナーやUXリサーチャーなど、得意な方向を深めます。
30代後半〜40代チームを率いるデザインチームのマネージャーや、デザイン部門の責任者になります。フリーランスとして独立する人や、デザイン会社を立ち上げる人もいます。
40代〜50代経営にデザインを生かす会社のデザイン責任者(CDOなど)として、経営の判断にデザインの視点を持ちこむ人がいます。大学の教員として、次の世代のデザイナーを育てる人もいます。

アプリの新しい機能ができるまで

1 課題を見つける 利用データや インタビューから 2 アイデアを出す チームで出し合い 試す案を決める 3 画面を設計する ワイヤーフレーム からFigmaで完成形 4 試作してテスト 利用者に使ってもらい 迷う所を直す 5 実装する エンジニアが作り 細かい動きを確認 6 公開して改善 利用データで 効果を確かめる くり返す 利用者 公開して終わりではない使ってもらい、直して、またくり返す
1
課題を見つける

利用データやインタビューから、利用者がどこで困っているかを見つけます。

2
アイデアを出す

チームで解決策のアイデアを出し合い、どれを試すかを決めます。

3
画面を設計する

ワイヤーフレームで画面の配置を考え、Figmaで完成形の画面をデザインします。

4
試作してテストする

プロトタイプを作って利用者に使ってもらい、迷うところを見つけて直します。

5
実装する

エンジニアがデザインをもとにアプリを作ります。デザイナーは細かい動きを確認します。

6
公開して改善する

公開後、利用データを見て効果を確かめ、さらに改善を続けます。

UI/UXデザイナーのある1日

9:30 コメントを確認 チャット 10:00 朝会で作業を共有 PM・エンジニア 10:30 Figmaで画面をデザイン 画面を作る 12:00 昼休み 13:00 利用者インタビュー 利用者 14:30 付せんで改善点を整理 チーム 15:30 実装の動きを相談 エンジニア 16:30 デザインレビュー デザイナー 18:00 テストの準備をして終了 相手 =だれかと話す 画面を作る =ひとりで 利用者・エンジニア・デザイナーと話して直す画面を作る時間と、人と話す時間
事業会社で働くUI/UXデザイナーの1日の例です
9:30

(事業会社のUI/UXデザイナーの場合)出社またはリモートで仕事開始。チャットで昨日のデザインへのコメントを確認します。

10:00

チームの朝会。プロダクトマネージャーやエンジニアと、今日の作業を共有します。

10:30

Figmaで新しい機能の画面をデザインします。いくつかの案を並べて比べます。

12:00

昼休み。

13:00

利用者インタビュー。オンラインで利用者にアプリの使い方を見せてもらい、困っている点を聞きます。

14:30

インタビューの内容をチームで共有し、付せんで整理して改善点を話し合います。

15:30

エンジニアと打ち合わせ。デザインを実装するときの細かい動きを相談します。

16:30

デザインレビュー。ほかのデザイナーに画面を見てもらい、意見をもらって修正します。

18:00

明日のユーザビリティテストの準備をして、仕事を終えます。

もっと知りたい人へ

そもそもUI/UXデザイナーとは

UI/UXデザイナーは、人がデジタルの道具を使うときの「わかりやすさ」と「心地よさ」を設計する仕事です。UIは画面のボタンや文字、色など目に見える部分、UXはそれを使ったときの体験全体を指します。見た目をきれいにすることだけが仕事ではなく、「なぜこの順番で並べるのか」「なぜこのボタンはここにあるのか」を、利用者の行動や気持ちをもとに説明できることが大切です。国の職業情報サイトでも、デザインの知識に加えて、情報設計、人間中心設計、心理学の知識が求められるとされています。

UIとUXのちがい

たとえば、レストランにたとえると、UIはメニューの見やすさやテーブルの配置、UXはお店に入ってから食べ終わって帰るまでの体験全体です。メニューがきれいでも、注文してから料理が出るまでに時間がかかれば、体験はよくありません。アプリでも、画面のデザインだけでなく、目的を果たすまでの流れ全体を考える必要があります。

人間中心設計

人間中心設計(HCD)とは、作る側の思い込みではなく、実際に使う人を中心に考えて設計する方法です。利用者を観察し、課題を見つけ、試作を作ってテストし、改善するというサイクルをくり返します。この考え方は国際規格(ISO 9241-210)にもなっています。

グラフィックデザイナーとのちがい

グラフィックデザイナーは、ポスターや雑誌、ロゴなど、主に「見るもの」をデザインします。UI/UXデザイナーは、アプリやウェブサイトなど、人が「操作して使うもの」をデザインします。国の職業情報サイトでは、グラフィックデザイナーやシステム開発の経験を経て、UI/UXデザイナーになる人が多いとされています。

なるためのルート

UI/UXデザイナーになるための決まったルートや資格はありません。美術・デザイン系の大学や専門学校で学んでから就職する人、情報系の学部でプログラミングや人とコンピューターの関係を学んでからデザイナーになる人、心理学を学んでUXリサーチャーになる人など、さまざまです。国の職業情報サイトでは、大学などでの専門教育はまだ確立されておらず、グラフィックデザイナーやシステム開発の経験を経て転身する人が多いとされています。一方で、新卒を社内で集中的に育てる会社も増えています。

  1. 高校で興味の方向を決める美術が好きなら美術・デザイン系、プログラミングが好きなら情報系、人の心に興味があるなら心理学系など、得意を生かせる進路を考えます。
  2. 大学・専門学校で学ぶデザインの基礎、情報設計、人間中心設計、プログラミングの基礎などを学びます。
  3. 作品を作る授業の課題や、身近な不便を解決するアプリのデザインなどを作り、考えた過程も含めて記録します。
  4. ポートフォリオをまとめる作品と、その作品で何を考え、どう工夫したかをまとめた作品集を作ります。
  5. インターンに参加するIT企業やデザイン会社のインターンに参加し、実際の仕事を体験します。
  6. 就職して経験を積む事業会社、デザイン会社、制作会社などに入り、実務を通じて力を伸ばします。
新卒で入るには

IT企業やデザイン会社では、デザイナーの新卒採用を行うところがあります。選考では、ポートフォリオ(作品集)がとても重視されます。大学の授業の課題、個人で作ったアプリのデザイン、デザインのコンテストへの応募作品などをまとめておくことが大切です。

ほかの職種からの転身

エンジニア、グラフィックデザイナー、ウェブデザイナー、マーケティング担当などから、UI/UXデザイナーに移る人が多くいます。働きながらオンライン講座や書籍で学び、社内の異動や転職でデザイナーになる道もあります。

試験・選考の詳細

UI/UXデザイナーに必須の資格や試験はありません。就職の選考では、ポートフォリオの審査、デザインの課題(決められたお題で画面をデザインする)、面接などが行われます。面接では、作品の見た目のよさよりも、「だれのどんな課題を解決しようとしたのか」「なぜそのデザインにしたのか」「テストをして何がわかったのか」を説明できるかが重視されます。関連する民間資格として、人間中心設計推進機構(HCD-Net)の「人間中心設計専門家」「人間中心設計スペシャリスト」などがあります。

ポートフォリオに入れるもの

完成した画面だけでなく、課題の発見、調査、アイデア出し、試作、テスト、改善という過程を見せることが大切です。失敗して作り直した経験も、考える力を示す材料になります。

HCD-Netの認定資格

人間中心設計スペシャリストは2年以上、人間中心設計専門家は5年以上の実務経験が必要で、どちらも専門能力を示す実践事例が3つ以上求められます。2つの資格を合わせて約1,900人が認定されています(2023年時点の資料)。学生ではなく、働いてから取る資格です。

年収のリアル

国の統計をもとにしたUX/UIデザイナーの平均年収は約579万円(令和7年調査、平均37.1歳)です。上場企業の例では、UI/UXデザインの会社グッドパッチの平均年間給与は784万円(2025年8月期、平均36.0歳)です。経験やスキル、勤め先によって差が大きく、大手IT企業や外資系企業のデザイナー、デザイン責任者などは1,000万円を超える例もあります。一方、ウェブ制作会社の若手デザイナーは、300万円台から始まることもあります。

スキルで変わる給与

画面を作るだけでなく、利用者の調査やデータの分析、事業の視点まで持てるデザイナーは、高く評価されやすいです。英語ができると、外資系企業や海外のプロジェクトにも関われます。

事業会社と制作会社のちがい

自社のサービスを持つ事業会社のほうが、ウェブ制作会社より給与が高めの傾向があります。ただ、制作会社ではいろいろなお客さんの仕事を経験でき、早く力をつけられるという良さがあります。

やりがい

自分がデザインしたアプリやサイトを、何万人、何百万人という人が毎日使ってくれることは、大きなやりがいです。電車の中でだれかが自分のデザインした画面を操作しているのを見かけたときの嬉しさは、この仕事ならではです。また、利用者の「使いにくい」という声を聞いて改善し、「使いやすくなった」と言ってもらえたときにも、大きな達成感があります。人の役に立つものを、自分の手で形にできる仕事です。

答えを自分で見つける楽しさ

デザインには、たった一つの正解はありません。利用者を観察し、仮説を立て、試して、改善していく過程は、謎を解いていくような面白さがあります。

いろいろな分野に関われる

医療、教育、金融、交通、エンターテインメントなど、あらゆる分野でアプリやウェブサイトが使われています。デザインの力は、どの分野でも生かせます。

大変なこと・きついこと

デザインは、多くの人の意見が集まる仕事です。企画担当、エンジニア、営業、経営者など、それぞれの立場から違う意見が出るため、それをまとめながら最適なデザインを考える必要があります。時間をかけて作ったデザインが、テストの結果やチームの判断で大きく作り直しになることもあります。また、デザインツールや流行、技術の変化が速く、常に学び続ける必要があります。

「センス」で片づけられない

デザインは「好き嫌い」で判断されがちですが、UI/UXデザイナーは、なぜそのデザインがよいのかを、データや利用者の声をもとに説明しなければなりません。説明する力がないと、デザインを通すのが難しくなります。

締め切りとの戦い

新しい機能の公開日やキャンペーンの開始日など、締め切りが決まっている仕事が多く、その前は忙しくなることがあります。

向いている人

人がどう考え、どう行動するかに興味がある人に向いています。身の回りの道具やアプリを使って「ここが使いにくい」「なぜこうなっているのだろう」と気づける人は、UI/UXデザイナーの素質があります。また、自分の考えを言葉や図で説明できる人、人の意見を素直に聞いて改善できる人も活躍しています。絵が上手であることより、観察力と考える力が大切な仕事です。

絵が苦手でもなれる?

UI/UXデザイナーの仕事では、デッサンのような絵の上手さはあまり求められません。それよりも、情報を整理して並べる力や、使う人の気持ちを想像する力が大切です。色やレイアウトの基礎は、学べば身につけられます。

理系・文系どちらが向いている?

どちらでも活躍できます。理系の人はデータの分析やエンジニアとの協力が得意なことが多く、文系の人は利用者へのインタビューや文章の設計が得意なことが多いです。それぞれの強みを生かせる仕事です。

高校生のうちにできること

まず、毎日使っているアプリやウェブサイトを、「なぜ使いやすいのか」「なぜ使いにくいのか」という目で観察してみましょう。気づいたことをノートにまとめるだけでも、UXデザインの練習になります。美術の授業で色や構成の基礎を学ぶこと、情報の授業でウェブページを作ってみること、国語で相手に伝わる文章を書く練習をすることも、すべて役立ちます。無料で使えるデザインツール(Figmaには学生向けの無料プランがあります)を試してみるのもおすすめです。

身近な不便を解決してみる

学校の文化祭の案内、部活の連絡方法など、身近な「わかりにくい」を見つけて、どうすればわかりやすくなるかを考えて形にしてみましょう。それが最初のポートフォリオの作品になります。

人の話を聞く練習

家族や友だちに、ふだん使っているアプリで困っていることを聞いてみましょう。相手の話を最後まで聞き、「なぜそう思うの?」と深く聞く練習は、ユーザーインタビューの基本になります。

代表的な会社・職場

UI/UXデザイナーの主な職場は、自社のアプリやサービスを持つIT企業(LINEヤフー、メルカリ、サイバーエージェント、freee、SmartHRなど)、UI/UXデザインを専門とするデザイン会社(グッドパッチなど)、ウェブ制作会社、大手の電機メーカーや自動車メーカーのデザイン部門(ソニー、パナソニック、トヨタなど)、銀行や鉄道会社などのデジタル部門です。最近は、国や自治体のデジタル化を進めるデジタル庁でもデザイナーが働いています。

事業会社のデザイナー

自社のサービスを持つ会社では、一つのサービスに長く関わり、利用者の反応を見ながら改善を重ねられます。エンジニアや企画担当と同じチームで働くことが多いです。

メーカーのデザイン部門

家電、カメラ、自動車などのメーカーでは、製品の操作画面や、製品と連携するアプリのデザインを担当します。テレビのリモコンの操作画面や、自動車のカーナビの画面もUIデザインの対象です。

大学の学部・学科とのつながり

UI/UXデザイナーの出身学部はとても幅広いのが特徴です。美術・デザイン系では、多摩美術大学の情報デザイン学科、武蔵野美術大学の視覚伝達デザイン学科やデザイン・データサイエンス学科などの出身者が多くいます。国公立では、九州大学芸術工学部、千葉大学工学部のデザインコース、公立はこだて未来大学のシステム情報科学部(情報アーキテクチャ学科)などで、デザインと情報技術を組み合わせて学べます。情報系の学部では、ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)の研究室で、人とコンピューターの関わりを研究した人がUXデザイナーになることもあります。心理学部や認知科学の出身者は、UXリサーチャーとして活躍しています。

美術系大学と専門学校

美術系の大学では、デザインの基礎に加えて、考え方や表現を深く学びます。専門学校では、デザインツールの使い方やウェブの制作技術を実践的に学び、早く現場で働けるようになります。国の職業情報サイトでは、UI/UXデザイナーで働く人には大卒がとても多く、修士や専門学校卒の人もいるとされています。

情報系の学部から

情報工学科や情報科学科では、プログラミングに加えて、使いやすさを評価する方法などを学べる研究室があります。エンジニアの視点を持ったデザイナーは、開発チームと協力しやすく、重宝されます。

心理学・認知科学から

人がどのように物を見て、考え、判断するかを学ぶ心理学や認知科学は、UXデザインの土台になる学問です。インタビューや実験の方法を学んだ経験は、ユーザー調査にそのまま生かせます。

大学院は必要?

UI/UXデザイナーとして働くのに、大学院は必要ありません。多くの人が大学や専門学校を卒業して就職しています。ただし、国の職業情報サイトでは修士課程卒の人も多いとされていて、デザインや情報系の大学院で、人間中心設計やHCIの研究をしてからUXデザイナーやリサーチャーになる人もいます。研究の経験は、調査の設計や結果の分析に役立ちます。大学の教員を目指す場合は、大学院で学位を取るのが一般的です。

大学院で学べること

大学院では、利用者の行動を科学的に調べる方法や、新しい操作方法(音声、ジェスチャー、VRなど)の研究ができます。最先端の技術と人の関わりを研究した経験は、新しいサービスを作る会社で評価されます。

海外の大学院

海外には、インタラクションデザインやHCIを専門に学べる大学院があり、留学してから日本や海外の企業で働くデザイナーもいます。

よくある質問

絵が描けなくてもUI/UXデザイナーになれますか?

なれます。デッサンのような絵の上手さより、情報を整理する力や、使う人の気持ちを想像する力が大切です。色やレイアウトの基礎は、学べば身につけられます。

美術系の大学に行かないとなれませんか?

そんなことはありません。情報系、心理学系、文系の学部など、さまざまな学部の出身者が活躍しています。大学のうちに作品を作り、ポートフォリオを準備することが大切です。

プログラミングはできたほうがいいですか?

必須ではありませんが、HTMLやCSSの基礎がわかると、エンジニアと話しやすくなります。国の職業情報サイトでも、場合によってはプログラミングの知識が必要とされています。

資格はありますか?

必須の資格はありません。人間中心設計推進機構の認定資格や、ウェブデザインの技能検定などがありますが、選考ではポートフォリオのほうが重視されます。

AIでデザインの仕事はなくなりませんか?

AIで画面の案を作ることはできるようになっていますが、だれのどんな課題を解決するかを考え、利用者を観察し、チームで判断するのは人の仕事です。AIを道具として使いこなす力が大切になっています。

フリーランスで働けますか?

経験を積んだあとにフリーランスになる人は多くいます。ただ、仕事を取る力や、お金の管理も必要なので、まずは会社で経験を積むのが一般的です。

在宅で働けますか?

IT企業やデザイン会社では、リモートワークを取り入れている会社が多くあります。ただ、利用者へのインタビューやチームでの話し合いのために出社することもあります。

ゲームの画面のデザインもUIデザインですか?

はい、ゲームのメニュー画面や、体力・アイテムの表示などもUIデザインです。ゲーム会社にもUIデザイナーがいます。

英語は必要ですか?

必須ではありませんが、デザインの最新情報やツールの情報は英語のものが多いです。外資系企業では英語で働くこともあります。

この分野のことば

年収について:厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)」のUX/UIデザイナーの平均年収578.5万円(令和7年賃金構造基本統計調査をもとにした目安、平均37.1歳)。統計上は近い職業もまとめて集計されています。上場企業の例では、UI/UXデザインの会社グッドパッチの平均年間給与が784万円(2025年8月期、平均36.0歳)です。

数字はすべて公開データにもとづく目安です。出典は出典・サイトポリシーにまとめています。

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