ミライ図鑑ログイン
保険料の値段は、数学で決まっています

アクチュアリー

アクチュアリーは、確率や統計を使って、将来起こるかもしれないことを数字で見積もる専門家です。たとえば、30歳の人が1年以内に病気で入院する確率、車を運転する人が事故を起こす確率、会社員が退職後に何歳まで年金を受け取るかなどを計算し、生命保険や自動車保険の保険料、会社の年金の掛け金を決めます。日本では、公益社団法人日本アクチュアリー会の試験に合格した正会員が一般にアクチュアリーと呼ばれ、正会員は2,121人(2024年3月末)と、とても少ない専門職です。合格までに長い年月がかかる一方、数学を仕事の中心にできる数少ない職業です。

平均年収の目安job tagの年収は1,134.6万円令和7年若手のうちは勤め先の総合職と同じ水準、資格の段階が上がると資格手当などで上がるのが一般的
なるまでの難しさ★★★★★日本アクチュアリー会の資格試験は、第1次試験5科目と第2次試験2科目からなり、1科目ずつ合格を積み上げます。2024年度の合格率は、第1次試験で科目によって17.3%〜67.1%、第2次試験で14.3%〜26.3%でした。2024年度に全科目の合格をはたした人は154人です。働きながら毎年12月の試験に挑み続けるため、正会員になるまで8〜10年近くかかるともいわれます。
決めどき理系が中心

大学で数学・統計・物理などの理系学部に進むときが最初の決めどきです。日本アクチュアリー会の資料(2026年)では、受験資格は試験直前の3月31日時点で満18歳以上とされていて、大学在学中に1次試験の科目に合格してから保険会社などに入る人も多いです

どんな職種がある?

押すと、その職種の仕事内容・必要な力・キャリアが見られます。

アクチュアリーの年収と昇進の流れ

数理職の新人450〜650万円
入社1〜3年、22〜26歳ごろ

計算のチェックやデータ処理から始め、試験の勉強を続けます。第1次試験の科目に合格していくことが成長の目安です。数字は大手保険会社などの総合職を想定したおおまかな目安です。

研究会員・若手アクチュアリー550〜800万円
入社3〜6年、25〜30歳ごろ

保険料の計算や決算の一部を担当します。第1次試験5科目の合格を目指します。

準会員700〜1,000万円
入社5〜10年、28〜34歳ごろ

商品開発や決算の中心となり、資格手当がつく会社が多いです。第2次試験の合格が次の目標です。

正会員900〜1,300万円
入社8〜15年、30〜40歳ごろ

専門家として商品開発やリスク管理を任されます。転職市場でも評価されます。

管理職(課長・部長)1,100〜1,600万円
40代

数理部門のチームを率い、経営陣に直接説明する立場になります。

保険計理人・役員1,500〜2,500万円
40代後半〜

会社の数理面の責任者や役員として、経営の重要な判断にかかわります。ごく一部の人です。数字はおおまかな目安です。

年収は目安です。会社や地域、本人の働き方で大きく変わります。

働き方で何が違う?

生命保険会社会社の総合職の給与体系+資格手当

アクチュアリーがもっとも多く働く職場です。生命保険や医療保険の保険料の計算、責任準備金の計算、リスク管理を担当します。何十年も先を見通す長期の計算が特徴です。

良いところアクチュアリーの仲間が多く、育成の仕組みが整っている

大変なところ試験と仕事の両立が求められる

損害保険会社会社の総合職の給与体系+資格手当

自動車保険や火災保険など、1年ごとの契約が多い保険を扱います。自然災害のリスク分析や、データを使った保険料の細かい設定が特徴です。

良いところデータ分析や自然災害の分析など、新しい技術に触れやすい

大変なところ大きな災害が続くと、分析や対応で忙しくなる

信託銀行信託銀行の総合職の給与体系

企業年金の数理計算が中心です。顧客の会社の人事部と話し合う機会が多く、年金制度の設計の相談にも乗ります。

良いところ多くの会社の年金制度にかかわれる

大変なところ年金数理の分野に専門が絞られやすい

コンサルティング会社・監査法人・外資系成果によって差が大きく、高い水準になることもある

保険会社などに外から助言をしたり、監査をしたりする仕事です。経験を積んだアクチュアリーが転職してくることが多いです。英語を使う機会も多くあります。

良いところいろいろな会社の課題に取り組める、収入を上げやすい

大変なところ成果へのプレッシャーが大きい

代表的な会社・職場

大手生命保険大手損害保険信託銀行専門サービス
日本生命保険 ›大手生命保険

日本最大級の生命保険会社です。数理職としてアクチュアリー候補を採用しています。

相互会社のため有価証券報告書での開示なし
第一生命保険 ›大手生命保険

第一生命ホールディングスの中核の生命保険会社です。国内外で保険事業を展開しています。

持株会社の平均年収は社員全体の数字で、アクチュアリー個人の年収ではありません
明治安田生命保険 ›大手生命保険

大手の生命保険会社で、アクチュアリーが商品開発やリスク管理を担当しています。

相互会社のため有価証券報告書での開示なし
住友生命保険 ›大手生命保険

健康増進型の保険などを扱う大手の生命保険会社です。

相互会社のため有価証券報告書での開示なし
東京海上日動火災保険 ›大手損害保険

東京海上ホールディングスの中核の損害保険会社です。自動車保険や火災保険などを扱っています。

会社の給与体系による
損害保険ジャパン ›大手損害保険

SOMPOホールディングスの中核の損害保険会社です。

会社の給与体系による
三井住友海上火災保険 ›大手損害保険

MS&ADインシュアランスグループの中核の損害保険会社です。

会社の給与体系による
三井住友信託銀行 ›信託銀行

企業年金の受託や数理計算を行う大手の信託銀行です。

会社の給与体系による
三菱UFJ信託銀行 ›信託銀行

企業年金の受託や数理計算を行う大手の信託銀行です。

会社の給与体系による
監査法人・数理コンサルティング会社専門サービス

保険会社の監査や、数理面の助言を行います。外資系の会社も多くあります。

会社の給与体系による

›がついた会社は、会社図鑑で詳しく解説しています。

どうやって稼いでいる?

たくさんの契約者 毎月・毎年、少しずつ保険料を払う 保険料 例:1万人が毎年1万円ずつで1億円 保険会社 集めたお金を国債などで運用し 将来の支払いに備えて積み立てる 保険金 入院給付金など 病気・事故にあった人 その年に入院した人などに払う アクチュアリーが保険料を計算する 安すぎる 支払いが足りず 会社がつぶれる ちょうどよい 確率と統計で 計算する 高すぎる お客さんが 他社に移る ちょうどよい保険料を、数学で決める
たとえば1万人が毎年1万円ずつ払えば、1億円が集まります

アクチュアリーが働く保険会社のビジネスは、多くの人から少しずつ保険料を集め、その中から事故や病気にあった人に保険金を払う仕組みです。たとえば、1万人が毎年1万円ずつ払えば1億円が集まり、その年に入院した人たちに入院給付金を払えます。このとき、保険料が安すぎると支払いに足りず会社がつぶれ、高すぎるとお客さんが他社に移ってしまいます。そのちょうどよい値段を、確率と統計で計算するのがアクチュアリーの役割です。

1
保険料の収入

契約者が毎月や毎年払う保険料が、保険会社の主な収入です。この金額をアクチュアリーが計算して決めます。

2
資産運用の収益

生命保険は何十年も先に保険金を払うため、集めた保険料を国債や株式などで運用して増やします。アクチュアリーは、運用でどれくらい増えるかの見通し(予定利率)も計算に入れます。

3
責任準備金の積み立て

将来の保険金の支払いに備えて、法律にもとづいてお金を積み立てます。その金額の計算がアクチュアリーの大切な仕事です。

4
企業年金の受託

信託銀行や生命保険会社は、会社の企業年金を預かって運用し、手数料を受け取ります。掛け金の計算をアクチュアリーが担います。

5
コンサルティング料

コンサルティング会社や監査法人は、保険会社などに数理の専門的な助言をして報酬を受け取ります。

入ってからどうなっていく?

大学(3年生〜)第1次試験に挑む数学科、統計学、物理学などで学びながら、日本アクチュアリー会の試験を受けられます(受験資格は試験直前の3月31日時点で満18歳以上)。在学中に数学などの科目に合格しておくと、就職のときにアピールできます。
入社1〜3年目数理部門で実務を学ぶ保険会社や信託銀行の数理系の部署に配属され、先輩の計算のチェックやデータ処理から始めます。毎年12月の試験に向けて、仕事のあとや休日に勉強を続けます。
入社3〜7年目準会員第1次試験の5科目すべてに合格すると準会員になれます。商品開発や決算の計算を一人で担当できるようになります。
入社7〜12年目正会員第2次試験の2科目に合格し、研修を受けると正会員になれます。商品開発やリスク管理の中心的な役割を担います。
30代後半〜40代管理職・専門家数理部門の課長や部長になり、チームを率います。転職してコンサルティング会社や外資系の保険会社で働く人もいます。
40代〜50代保険計理人・役員経験を積んだ正会員の中から、会社の数理面の最終的な責任者である保険計理人や、リスク管理の責任者、役員になる人もいます。

新しい保険ができるまで

1
商品のアイデア

営業や商品企画の部署が、お客さんのニーズから新しい保険のアイデアを考えます。

2
データを集める

アクチュアリーが、入院率や死亡率などの統計や、会社の過去の支払いデータを集めます。

3
保険料を計算する

確率と統計を使い、将来の支払いと運用の見込みから、適正な保険料を計算します。

4
収支をシミュレーションする

さまざまな条件で、会社が赤字にならないかを何万通りも計算します。

5
認可を申請する

金融庁に商品の内容と保険料の計算方法を申請し、認可を受けます。

6
発売と見直し

発売後も、実際の支払いが予想どおりかを確かめ、必要があれば保険料を見直します。

日本アクチュアリー会 資格試験

第1次試験(毎年12月) 数学・生保数理など5科目 合格率は科目別に17.3〜67.1% 準会員 第1次の5科目すべてに合格 入社3〜7年目ごろ 第2次試験 専門科目2つを記述式で 合格率は14.3〜26.3% 正会員 研修を受け、承認を得る 入社7〜12年目ごろ 正会員は全国で 2,121人 (2024年3月末) 下から順に、1科目ずつ合格を積み上げる 正会員まで8〜10年近くかかることも 多くの人が働きながら受験を続ける
合格率は2024年度のものです
合格率2024年度:第1次試験は科目別に17.3%〜67.1%、第2次試験は14.3%〜26.3%。全科目合格者は154人
勉強時間の目安第1次試験は1科目あたり200時間以上が目安。正会員まで8〜10年近くかかるともいわれる
受験資格試験直前の3月31日時点で満18歳以上(以前は大学3年生程度以上などの条件があった)
1科目ずつの合格率は数十%ですが、7科目すべてに合格するには長い年月がかかります。数学の問題は大学の専門レベルで、第2次試験では実務の判断も問われます。多くの人が働きながら受験するため、毎年の試験に向けて勉強時間を確保し続けることが最大の壁です。
試験科目(押すと中身が見られます)
合格までの流れ
  1. 受験の申し込み日本アクチュアリー会の試験に申し込みます。
  2. 第1次試験(12月)コンピューターで受ける選択式の試験です。科目ごとに合格を積み上げます。
  3. 準会員第1次試験5科目すべてに合格し、承認を受けると準会員になります。
  4. 第2次試験コースを選び、専門科目2つを記述式で受けます。
  5. 研修と正会員プロフェッショナリズム研修などを受け、理事会の承認を得て正会員になります。

アクチュアリーのある1日

9:00

出社してメールを確認し、今日の作業を整理します(生命保険会社の商品開発部門の例)。

9:30

新しい医療保険の保険料を計算するため、入院率の統計データを集計します。

11:00

営業企画の部署と打ち合わせ。保険料の案と、保障の内容を変えたときの影響を説明します。

12:00

昼食。

13:00

計算のプログラムを動かし、何万通りもの条件で将来の収支をシミュレーションします。

15:00

後輩が作った計算をチェックし、間違いがないかを確かめます。

16:00

金融庁に提出する認可申請の書類を作ります。

17:30

上司に今日の結果を報告して退社します。

19:00

自宅で、12月の試験に向けて年金数理の問題を解きます。試験前は勉強の時間を増やします。

もっと知りたい人へ

そもそもアクチュアリーとは

アクチュアリーは、確率や統計などの数学を使って、将来の不確かなことを評価し、保険や年金、リスク管理の分野で働く専門家です。伝統的には、保険料の計算と、決算のときの責任準備金の計算が中心の仕事です。日本では日本アクチュアリー会の正会員が一般にアクチュアリーと呼ばれ、2024年3月末の会員数は正会員2,121人、準会員1,462人、研究会員2,018人です。

どこで働いているか

2024年3月末の会員の所属は、生命保険が40.6%、損害保険が15.4%、信託銀行が6.2%、その他が37.8%です。その他には、コンサルティング会社、監査法人、共済、官庁などが含まれます。

法律で決まった役割

保険会社には、保険計理人という数理面の責任者を置くことが保険業法で決まっていて、日本アクチュアリー会の正会員などの条件を満たす人が選ばれます。企業年金にも年金数理人という役割があります。

なるためのルート

アクチュアリーになるには、日本アクチュアリー会の資格試験に合格し、正会員になる必要があります。多くの人は、大学で数学や統計を学び、保険会社や信託銀行に「アクチュアリー候補」や「数理職」として入社し、働きながら試験に合格していきます。試験は満18歳以上なら受験でき、第1次試験の科目に1つ合格すると研究会員、5科目すべてに合格すると準会員、第2次試験にも合格して研修を受けると正会員になれます。

  1. 大学で数学・統計を学ぶ確率、統計、微積分、線形代数などを学びます。
  2. 第1次試験の科目に合格大学在学中から受験でき、1科目合格すると研究会員になれます。
  3. 保険会社・信託銀行などに入社数理職として入社し、実務を学びます。
  4. 第1次試験5科目に合格すべてに合格すると準会員になれます。
  5. 第2次試験2科目に合格生保・損保・年金のコースから選んで、専門科目2つに合格します。
  6. 研修を受けて正会員にプロフェッショナリズム研修などを受け、理事会の承認を得て正会員になります。
数理職の採用

生命保険会社、損害保険会社、信託銀行などは、新卒採用でアクチュアリーを目指す人の枠(数理職、アクチュアリーコースなど)を設けていることが多いです。採用では、数学の力や、試験にすでに合格した科目があるかが見られます。

学部は理系が多い

数学科、統計学科、物理学科、情報系の学部の出身者が多いですが、経済学部などから目指す人もいます。高校数学の微積分や確率の土台は欠かせません。

試験・選考の詳細

第1次試験(基礎科目)は、数学、生保数理、損保数理、年金数理、会計・経済・投資理論の5科目で、毎年12月にコンピューターで受ける選択式の試験です。第2次試験(専門科目)は、生保・損保・年金の3つのコースから1つを選び、2科目を記述式で受けます。どちらも1科目ずつ合格を積み上げる方式で、合格した科目はずっと有効です。

2024年度の合格率

第1次試験は、数学46.2%、生保数理17.3%、損保数理67.1%、年金数理18.9%、会計・経済・投資理論29.7%でした。第2次試験は、生保1が26.3%、生保2が20.7%、損保1が15.4%、損保2が24.5%、年金1が19.7%、年金2が14.3%でした。合格率は年によって大きく変わります。

勉強時間

第1次試験は1科目あたり200時間以上の勉強が目安とされます。多くの人は働きながら勉強するため、1年に1〜2科目ずつ合格していくのが一般的です。

年収のリアル

アクチュアリーの多くは会社員なので、給料は勤め先の給与体系で決まります。job tagでは、アクチュアリーの年収は1,134.6万円(令和7年)と示されていますが、これは関連する職業を含む分類の数字で、平均年齢39.4歳の人たちの数字です。若手のうちは同じ会社の総合職とほぼ同じ水準で、試験に合格して準会員・正会員になると資格手当がついたり、専門職として評価されたりして上がっていくのが一般的です。

会社による違い

国内の大手保険会社や信託銀行は、一般の会社員より高い水準の会社が多いです。外資系の保険会社やコンサルティング会社では、さらに高い水準になることもあるといわれますが、成果による差も大きくなります。

転職で上がる人も

正会員は人数が少なく、企業からの需要が高いため、転職でより高い待遇を得る人もいます。ただし、どのくらい上がるかは経験や担当分野によります。

やりがい

自分が得意な数学で、社会に欠かせない保険や年金の仕組みを支えられることが大きなやりがいです。たとえば、自分が計算した保険料で新しい保険が発売され、病気になった人の生活を支えていると思うと、数学が人の役に立っていることを実感できます。また、試験に1科目ずつ合格していく達成感や、限られた人しかなれない専門家としての誇りもあります。

会社の経営にかかわれる

アクチュアリーの計算は、新商品を出すか、どれくらいの保険料にするか、会社がどれだけのリスクに耐えられるかといった、経営の大切な判断のもとになります。経営陣に直接説明する機会も多くあります。

活躍の場が広がっている

最近では、データサイエンスやリスク管理の分野でもアクチュアリーの力が求められています。保険以外の会社で働くアクチュアリーも増えています。

大変なこと・きついこと

もっとも大変なのは、正会員になるまでの長い道のりです。働きながら毎年の試験に向けて勉強を続ける必要があり、何年も不合格が続くこともあります。仕事でも、計算の小さなミスが会社の大きな損失につながるため、常に正確さが求められます。決算の時期は忙しくなり、残業が増えることもあります。

試験と仕事の両立

平日は仕事、夜と休日は試験勉強という生活が何年も続くことがあります。試験は年1回なので、1回落ちると1年待つことになります。

説明する力も必要

計算ができるだけでは十分ではありません。数学に詳しくない営業の人や経営陣に、計算の意味や結果をわかりやすく説明できないと、仕事が進みません。

向いている人

数学が好きで、特に確率や統計に面白さを感じる人に向いています。何時間も問題に向き合える集中力と、何年も勉強を続けられる粘り強さが必要です。細かい数字の間違いに気づける慎重さも大切です。一方で、数字を人にわかりやすく伝えることや、チームで仕事を進めることも求められます。

こんな人は楽しめる

数学の問題を解くのが好きな人、データからパターンを見つけるのが好きな人、プログラミングで計算を自動化するのが楽しい人は、この仕事の面白さを感じやすいです。

理系の中でも珍しい道

理系の人の就職先というと、研究者やエンジニアを思い浮かべることが多いですが、アクチュアリーは数学そのものを使って金融の世界で働ける珍しい職業です。

高校生のうちにできること

まずは、数学、特に数学Bの統計的な推測や、数学Aの確率、数学IIIの微積分をしっかり学びましょう。大学では数学科、統計学科、物理学科、情報系などの理系学部が多いので、理系を選ぶのが自然です。保険会社のホームページには、アクチュアリーの仕事を紹介するページがあることも多いので、読んでみると仕事のイメージがつかめます。

確率を身近で考える

たとえば、「くじ引きで当たる確率」や「天気予報の降水確率」など、身の回りの確率について考えてみましょう。保険は、こうした確率をたくさんの人に当てはめて値段を決めています。

プログラミングに触れる

アクチュアリーの仕事では、表計算ソフトやPython、Rなどを使ってデータを分析します。高校の情報の授業やプログラミングの学習は、大学やその先で役立ちます。

代表的な会社・職場

アクチュアリーの職場は、生命保険会社、損害保険会社、信託銀行が中心です。ほかに、再保険会社、数理のコンサルティング会社、監査法人、共済団体、金融庁などの官庁でも働いています。外資系の保険会社やコンサルティング会社では、英語を使って海外のアクチュアリーと一緒に仕事をすることもあります。

大手の生命保険会社

日本生命、第一生命、明治安田生命、住友生命などの大手の生命保険会社は、毎年アクチュアリー候補を採用しています。

損害保険会社と信託銀行

東京海上日動、損害保険ジャパン、三井住友海上などの大手損害保険会社や、三井住友信託銀行、三菱UFJ信託銀行などの信託銀行も、アクチュアリーが多く働く職場です。

準会員・正会員・保険計理人のちがい

日本アクチュアリー会の会員には、研究会員、準会員、正会員の3つの段階があります。研究会員は第1次試験の科目に1つ以上合格した人、準会員は第1次試験の5科目すべてに合格した人、正会員は第2次試験にも合格し研修を受けた人です。保険計理人は、保険会社ごとに選ばれる数理面の責任者で、法律にもとづいて会社の財務の健全性を確かめる重い役割を持ちます。

保険計理人の役割

保険計理人は、責任準備金が正しく積み立てられているか、会社が将来も保険金を払い続けられるかを確認し、その意見を会社の取締役会に出します。会社の経営陣に対しても独立した立場で意見を言うことが求められます。

年金数理人

企業年金の掛け金の計算などを確かめる専門家で、日本アクチュアリー会や日本年金数理人会の資格と実務経験などが条件になります。

アクチュアリーとデータサイエンス

アクチュアリーは昔から、大量のデータを統計で分析し、将来を予測してきた職業です。最近では、機械学習などのデータサイエンスの手法を保険の分野に取り入れる動きが進んでいます。たとえば、健康診断のデータから病気のなりやすさを予測したり、車の運転の記録から事故のリスクを見積もったりする保険が生まれています。

国際的な資格

アメリカやイギリスにもアクチュアリーの団体があり、それぞれ資格試験を行っています。外資系の会社では、海外の資格を持つアクチュアリーが働いていることもあります。

新しい会計ルール

保険会社の決算のルールは国際的に見直しが進んでいて、保険契約の価値を時価で評価する新しい考え方が広がっています。こうした変化への対応にも、アクチュアリーの専門性が欠かせません。

よくある質問

数学が得意でないとアクチュアリーになれませんか

試験は確率・統計・微積分を中心とした数学の問題が多いので、数学が得意であることは大きな強みです。ただし、天才的なひらめきより、地道に問題を解き続ける力が求められます。

文系からでも目指せますか

経済学部などから目指す人もいますが、数は少ないです。文系から目指す場合は、大学で数学や統計の授業を積極的に取ることが大切です。

アクチュアリーの試験は何回でも受けられますか

回数の制限はありません。合格した科目はずっと有効なので、1科目ずつ合格を積み上げていくことができます。

大学生のうちに試験に合格できますか

受験資格は試験直前の3月31日時点で満18歳以上なので、大学1年生から挑戦できます。在学中に数学などの科目に合格する人もいます。在学中に合格した科目があると、保険会社の採用でアピールになります。

保険の営業もするのですか

アクチュアリーは、お客さんに保険を売る営業の仕事は基本的にしません。会社の中で、保険料の計算やリスクの分析など、数理の専門的な仕事を担当します。

AIに仕事を奪われませんか

計算そのものはコンピューターがしますが、どんな前提で計算するか、結果が正しいか、経営にどう生かすかを判断するのはアクチュアリーの仕事です。むしろAIやデータ分析の技術を使いこなすアクチュアリーが求められています。

女性のアクチュアリーは多いですか

数理職として採用される人には女性も多く、正会員として活躍する女性も増えています。仕事は会社の中でのデスクワークが中心で、働き方の制度を整えている会社も多いです。

公認会計士とどちらが難しいですか

試験の仕組みが違うので単純には比べられません。公認会計士は短い期間に集中して合格を目指す試験で、アクチュアリーは働きながら何年もかけて科目を積み上げる試験です。どちらも難関の資格です。

この分野のことば

年収について:厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)では、アクチュアリーの年収は1,134.6万円、平均年齢39.4歳(令和7年賃金構造基本統計調査を加工)です。ただし、これはアクチュアリーだけでなく関連する職業を含む分類の数字です。多くのアクチュアリーは生命保険会社、損害保険会社、信託銀行などの社員として働き、給料はその会社の給与体系で決まります。準会員や正会員になると資格手当を出す会社が多いとされますが、金額は会社によって違います。

数字はすべて公開データにもとづく目安です。出典は出典・サイトポリシーにまとめています。

ほかの仕事も見てみる