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1+2=3わかった!

教育学部

先生になる道も、教育を研究する道も

教育学部は、子どもの成長や学び方、授業のつくり方、学校や社会のしくみを学ぶ学部です。小学校・中学校・高校・特別支援学校などの先生を育てる「教員養成」の課程と、教育そのものを研究の対象にする課程があり、大学によって組み合わせが違います。国語・数学・理科・音楽・体育など教える教科ごとに専攻が分かれることが多く、理科や数学の専攻では実験や大学レベルの数学も学ぶので、文系と理系の両方の学びがある学部です。教員不足が社会問題になるなか、先生の働き方改革や採用試験の早期化など、制度も大きく変わりつつあります。

よくある勘違い

卒業したら全員が学校の先生になる

実は

教員養成課程では先生になる人が多いですが、全員ではありません。国立の教員養成大学・学部の令和7年3月卒業者の教員就職率は、卒業者全体を分母にすると63.4%でした(文部科学省)。企業や公務員、大学院に進む人もいます。

どんな学科・専攻がある?

教育学部ではどんな授業がある?

押すと、その授業の中身が見られます。

実習・実験・研究

教育学部の学びの山場は「教育実習」です。実際の学校で数週間、先生として授業をし、子どもと関わります。実習前には学習指導案を何度も書き直し、実習中は毎日の授業準備と実習日誌で夜遅くまで作業が続くこともあり、体力的にも精神的にもハードです。そのかわり、子どもが「わかった」と言ってくれた瞬間に、先生という仕事のやりがいを実感できます。ほかにも、1〜2年生から学校の様子を見学する授業、学校ボランティア、中学校の免許に必要な介護等体験、4年生の卒業研究などがあり、理論と現場を行き来しながら学びます。

教育実習3年生(大学によっては4年生)に、附属学校や母校などで数週間行います。法令上の単位数は小学校・中学校の免許で5単位、高校の免許で3単位(事前・事後指導を含む)で、中学校免許では3〜4週間程度、高校免許では2週間程度が一般的です。授業を何本も担当し、最後に研究授業を行います。
介護等体験小学校・中学校の教員免許をとるために必要な体験で、特別支援学校で2日間、社会福祉施設で5日間の合計7日間行うのが一般的です。障害のある人や高齢者と関わり、多様な人を理解する経験をします。
学校体験・学校ボランティア1〜2年生のうちから地域の学校で授業の補助や放課後の学習支援などを行う大学があります。早くから子どもと関わることで、先生という仕事が自分に合っているかを確かめられます。
模擬授業教科教育法の授業などで、学生が先生役、ほかの学生が生徒役になって授業を行います。終わったあとに全員で良かった点と改善点を話し合い、指導案を直します。
卒業研究・卒業論文4年生で、教科教育、教育心理、特別支援などのテーマを選び、研究をまとめます。教員採用試験と時期が重なるため、計画的に進めることが大切です。必修かどうかは大学によって異なります。
理科・数学などの専攻の実験・演習理科専攻では物理・化学・生物・地学の実験、数学専攻では演習の授業があります。子どもに見せる実験を考える授業もあり、安全に実験するための知識も身につけます。

大学生活の流れ

1年教職の基礎教育原理・教育心理学。学校見学やボランティアも2年授業をつくる練習教科教育法と模擬授業。介護等体験(ふつう7日間)3年教育実習いちばん忙しい学校で数週間、先生として授業。最後に研究授業をする4年教員採用試験と卒業研究1次試験は6月前後が多く、秋に結果が出る大学院教職大学院など教職大学院はふつう2年。現職の先生といっしょに学ぶ実習のあと、採用試験の勉強を本格的に始める3年の教育実習がいちばんの山場
教育実習は大学によって4年生に行います。卒業研究が必修かどうかも大学によって違います
1年教育原理や教育心理学など教職の基礎と、教養科目を学びます。学校を見学したり、ボランティアで子どもと関わったりする授業がある大学もあります。
2年教科の専門科目と、教科教育法の授業が増えます。介護等体験を行う人も多い時期です。模擬授業を通して、授業をつくる力をつけていきます。
3年教育実習がある大学が多く、教育学部でいちばん忙しい年です。実習後、教員採用試験に向けた勉強を本格的に始めます。最近は大学3年生で一部の試験を受けられる自治体も増えています。
4年教員採用試験を受け、卒業研究をまとめます。採用試験の1次試験は6月前後に行う自治体が多くなっていて、秋に結果が出ます。教職実践演習で4年間の学びを仕上げます。
大学院教育学研究科の修士課程や、現場の課題を研究する教職大学院(専門職大学院、ふつう2年)に進む道があります。教職大学院は、学部卒業生と現職の先生がいっしょに学ぶのが特徴です。

取れる資格・免許

小学校教諭一種免許状教員養成課程で所定の単位と教育実習、介護等体験を修めて卒業すると取れます。公立小学校の先生になるには、さらに都道府県・政令市の教員採用試験に合格する必要があります。
中学校・高等学校教諭一種免許状教科ごとの免許で、専攻の教科と教職課程の単位、教育実習などを修めて取ります。小学校免許とあわせて取る人も多いです。
特別支援学校教諭免許状特別支援教育の専攻や課程で取れます。小学校などの基礎となる免許とセットで取る必要があります。
幼稚園教諭免許状・保育士資格幼児教育の課程で取れます。保育士資格は、保育士養成の指定を受けた課程で取れる大学があります。認定こども園では両方を持つ保育教諭が求められます。
養護教諭免許状養護教諭の養成課程で取れる免許で、学校の保健室の先生として働くために必要です。
社会教育士(称号)社会教育主事養成の科目を修めると名乗れる称号です。学校の外での学びの場をつくる専門性を示せます。
学芸員・司書・司書教諭所定の科目を修めると取れる資格です。司書教諭は、教員免許を持つ人が学校図書館の運営を担うための資格です。

教育学部の卒業後の進路

教育学部公立学校の先生もっとも多い教員採用試験に合格して小・中・高・特別支援学校の先生に私立学校の先生学校ごとの採用。適性検査を受け、面接や模擬授業へ講師として働きながら受験臨時的任用や非常勤講師をしながら採用試験を受け続ける人も教育関連企業塾・予備校・教材の出版社・学習アプリの会社など公務員・一般企業教育行政や子どもに関わる専門職、企業の人事・研修・営業など大学院・教職大学院専門性を深め、研究者や指導主事などをめざす研究系の課程では、一般企業や公務員が中心教員養成課程は先生になる人がいちばん多い
国立の教員養成大学・学部の令和7年3月卒業者は、大学院進学者と保育士就職者を除いた人の70.7%が教員に就職(文部科学省)

教員養成課程の卒業生は、学校の先生になる人がいちばん多いです。国立の教員養成大学・学部の令和7年3月卒業者では、大学院進学者と保育士就職者を除いた人のうち70.7%が教員に就職しました(文部科学省、正規採用と臨時的任用の合計)。そのほか、公務員、教育関連企業、一般企業、大学院に進む人がいます。研究系の課程では、一般企業や公務員になる人が中心です。

公立学校の先生 ›もっとも多い進路です。都道府県・政令市の教員採用試験に合格して、小学校・中学校・高校・特別支援学校の先生になります。令和6年度(令和5年度実施)の採用試験の競争率は全体で3.2倍、小学校2.2倍、中学校4.0倍、高校4.3倍でした(文部科学省)。
私立学校の先生私立の中学校・高校などは学校ごとに採用を行います。私学協会の適性検査を受けて、各学校の面接や模擬授業を受けるのが一般的です。
臨時的任用・講師から正規へ採用試験に合格するまで、臨時的任用教員や非常勤講師として働きながら受験を続ける人もいます。現場の経験を積めるので、翌年の合格につながることも多いです。
教育関連企業(塾・予備校・教材・EdTech) ›学習塾、予備校、教材や参考書の出版社、学習アプリなどを作る教育IT企業で、講師や教材開発、営業、企画として働きます。たとえば、みなさんが使っている問題集や、スマホで動画を見ながら勉強できるアプリを作る仕事です。教育の知識がそのまま生きる進路です。公務員(行政職・教育委員会など) ›市役所や県庁の行政職として、子育て支援や教育行政に関わる人もいます。家庭裁判所調査官や児童相談所の児童福祉司など、子どもに関わる専門職をめざす人もいます。一般企業(人事・研修・営業など) ›人に教える力や説明する力を生かし、企業の人事や研修担当、営業職として働く人もいます。たとえば、新入社員にビジネスマナーや仕事の進め方を教える研修を企画するのも、教育学部の学びが生きる仕事です。金融やメーカー、IT企業など業界はさまざまです。
保育士・幼稚園教諭幼児教育の課程の卒業生は、保育所、幼稚園、認定こども園で働く人が多いです。
大学院・教職大学院専門性を深めるために、教職大学院や教育学研究科に進む人がいます。研究者や指導主事、スクールカウンセラー(公認心理師など)をめざす人もいます。

もっと知りたい人へ

先生になるまでのルート

公立学校の先生になるには、まず大学で教員免許を取り、そのうえで都道府県・政令市の教員採用試験に合格する必要があります。教員免許は教育学部でなくても、教職課程を置く大学ならほかの学部でも取れます。ただし小学校の免許は、取れる大学が教育学部などにほぼ限られます。採用試験は、筆記(教職教養・一般教養・専門教養)、論作文、面接、模擬授業、実技などで構成され、自治体ごとに内容が違います。

採用試験の早期化

文部科学省は、第1次選考の日程を早めるよう自治体に求めていて、令和7年度実施(令和6年度)の目安は6月16日、令和8年度実施の目安は5月11日とされました。大学3年生で筆記試験の一部を受けられる自治体も広がっています。

教員免許更新制の廃止

以前は10年ごとに講習を受けて免許を更新する必要がありましたが、2022年7月に免許更新制は廃止されました。今は、先生になったあとの研修の記録を活用するしくみに変わっています。

先生の働き方と給料

先生の長時間労働は大きな社会問題になっていて、国は「働き方改革」を進めています。2025年6月には給特法などの改正法が成立し、残業代のかわりに支給される「教職調整額」を基本給の4%から段階的に10%まで引き上げることや、学校の中心となる「主務教諭」という新しい職を設けることが決まりました。公立学校の先生は地方公務員なので、給料は自治体の条例で決まり、年齢とともに上がっていくのが基本です。

部活動の地域移行

休日の部活動を地域のクラブなどに移す「地域移行」も進められています。たとえば、土日のサッカー部の練習を、地域のスポーツクラブのコーチが担当するような形です。先生の負担を減らすとともに、子どもが専門的な指導を受けられるようにするねらいがあります。

やりがいと大変さ

子どもの成長を間近で見られることは、ほかの仕事にない大きなやりがいです。一方で、授業準備、生徒指導、保護者対応、行事など仕事の範囲が広く、時間の使い方の工夫が必要です。

教員養成課程と研究系の課程のちがい

同じ「教育学部」でも、国立大学の多くにある教員養成課程と、旧帝大などにある研究系の課程では、目的がまったく違います。教員養成課程は、教員免許を取って先生になることを前提にカリキュラムが組まれ、教育実習が必修です。研究系の課程は、教育を社会科学として研究するのが目的で、教員免許の取得は任意です。志望校がどちらのタイプかは、必ず調べましょう。

教員養成課程が向いている人

先生になりたいという気持ちがはっきりしている人です。同じ目標をもつ仲間と4年間学べ、採用試験の対策も大学がサポートしてくれることが多いです。

研究系の課程が向いている人

教育の問題を社会全体の視点から考えたい人、教育政策や教育産業、心理学に関心がある人です。卒業後の進路は一般企業や公務員が中心になります。

向いている人

人に説明したり、相手がわかるまで工夫したりするのが好きな人に向いています。子どもや人の成長に興味がある人、教える教科そのものが好きな人にも合っています。先生は授業だけでなく、子ども一人ひとりの悩みや家庭の状況にも向き合う仕事なので、相手の立場に立って考えられることも大切です。

人前で話すのが苦手でも大丈夫?

最初から上手な人はほとんどいません。模擬授業や教育実習をくり返すうちに、話し方や板書、時間配分が上達していきます。

子どもが好きなだけで足りる?

子どもが好きなことは大事ですが、それだけでは務まりません。教科の深い知識、授業を組み立てる力、同僚や保護者と協力する力も必要です。

高校生のうちに(文理・受験科目)

国立の教育学部は、共通テストで文系・理系の両方の科目を広く使うことが多いです。小学校の専攻はすべての教科を教えるので、苦手科目を作らないことが大切です。理科や数学の専攻では理系の科目、音楽・美術・体育の専攻では実技試験がある場合もあります。志望する専攻ごとに入試科目が違うので、早めに確認しましょう。

文系・理系の選び方

国語・社会・英語の先生をめざすなら文系、数学・理科の先生をめざすなら理系が基本です。小学校の先生をめざす人はどちらからでも受験できる大学が多いです。

今からできること

部活動の後輩に教える、地域の子ども会や学習ボランティアに参加するなど、人に教える経験を積んでおくと、自分が先生に向いているか確かめられます。

よくあるギャップ

入学後に「教育学部は楽しく子どもと遊ぶところだと思っていた」と驚く人がいます。実際には、教育の理論や法律、心理学の授業が多く、学習指導案を何度も書き直す地道な作業が続きます。また、教育実習で初めて現場の大変さを知り、進路を考え直す人もいます。逆に、教育実習で子どもと関わって「やっぱり先生になりたい」と思いを強くする人も多いです。

免許の取り方のギャップ

複数の免許をとろうとすると時間割がぎっしりになり、アルバイトやサークルの時間が限られることがあります。どの免許を取るか、早めに計画を立てましょう。

採用試験のギャップ

採用試験の倍率が下がっているとはいえ、中学校や高校の一部の教科、都市部以外の人気自治体では、依然として競争があります。教科や地域によって状況が大きく違います。

よくある質問

教育学部に入らないと先生になれませんか?

中学校・高校の先生は、ほかの学部の教職課程でも免許が取れます。ただし小学校の免許を取れる大学は教育学部などに限られることが多いので、小学校の先生をめざすなら教育学部が最短です。

教員採用試験は難しいですか?

令和6年度(令和5年度実施)の全国の競争率は3.2倍、小学校は2.2倍でした。倍率は下がっていますが、筆記、面接、模擬授業など準備することは多く、教科や地域によっては倍率が高いこともあります。

教育学部は文系ですか、理系ですか?

両方です。国語・社会・英語などの専攻は文系、数学・理科・技術などの専攻は理系の学びが中心です。国立大学では共通テストで両方の科目を使うことが多いです。

ピアノが弾けなくても小学校の先生になれますか?

なれます。大学の授業で基本から練習します。採用試験で音楽の実技がある自治体もありますが、弾き歌いなど課題が決まっていることが多いので、練習すれば対応できます。

先生は忙しすぎると聞きますが本当ですか?

長時間労働は大きな問題になっていて、国は働き方改革を進めています。2025年の法改正で教職調整額の引き上げや業務の見直しが決まり、部活動の地域移行なども進められています。

先生にならなかったらどうなりますか?

教育学部で学んだ、説明する力、人を育てる視点、心理学の知識は、企業の人事や研修、教育関連企業、公務員など多くの仕事で生かせます。実際に一般企業に就職する人もいます。

教育実習はどこで行いますか?

国立大学では附属学校で行うことが多いです。私立大学などでは、自分の出身校(母校)に依頼して行うことが多く、早めに母校へお願いする必要があります。

大学3年生で採用試験を受けられるのですか?

一部の自治体では、大学3年生のうちに筆記試験の一部を受けられるしくみを始めています。文部科学省もこうした取り組みが広がっていると紹介しています。受けられるかどうかは自治体によって違います。

特別支援学校の先生になるには?

小学校などの基礎となる教員免許に加えて、特別支援学校教諭免許状を取るのが基本です。特別支援教育の専攻がある教育学部で学ぶのが近道です。

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