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病院の外、家や会社や学校でも働いている

看護師

看護師は、病気やけがをした人の体と心のケアをし、医師の診療を助ける国家資格の仕事です。点滴や採血などの医療処置だけでなく、患者さんの小さな変化に気づき、食事やトイレ、着替えなど生活のサポートもします。2024年末の時点で働いている看護師は約136万人と、医療の仕事の中で最も多く、そのうち約3分の2が病院で働いています。病院だけでなく、訪問看護、介護施設、学校、会社、自衛隊など、活躍の場はとても広いです。

平均年収の目安約525万円新人で年収400万円台前後から、役職や夜勤の回数によって600万円以上も
なるまでの難しさ★★★★★看護師になるには、看護系の大学・短大・専門学校などで3〜4年学び、国家試験に合格する必要があります。国家試験の合格率は2026年の第115回で88.3%(新卒者94.1%)と高めですが、在学中は病院での臨地実習が多く、記録やレポートに追われる大変さがあります。学校の入試は大学によって難易度がさまざまで、資格を取る道すじがはっきりしているので、難しさは中くらいです。
決めどき理系が中心

高校2年ごろまでに看護系の進学先を決める(理系がやや有利だが文系からも受験できる学校が多い)

どんな職種がある?

押すと、その職種の仕事内容・必要な力・キャリアが見られます。

看護師の年収と昇進の流れ

新人看護師350〜450万円
1年目(22〜23歳ごろ)

プリセプターの先輩について、基本的な看護技術と夜勤を覚えます。一人で受け持ちができるようになると一人前への第一歩です。

一般スタッフ(中堅)420〜550万円
2〜7年目(20代)

一人で患者さんを受け持ち、新人の指導やその日のリーダー役も担当します。スペシャリストを目指すか、管理職を目指すかを考える時期です。

主任・スペシャリスト500〜650万円
8〜15年目(30代)

主任として病棟の運営を支えるか、認定看護師などとして専門性を発揮します。看護師長への昇進には、管理者向けの研修を受けることが多いです。

看護師長600〜750万円
15〜25年目(40代)

病棟全体をまとめる責任者です。スタッフの勤務表づくり、人材育成、病棟の運営を担います。

看護部長700〜900万円
25年目以降(50代)

病院全体の看護師をまとめる責任者で、病院の経営にも関わります。副院長を兼ねる人もいます。

年収は目安です。会社や地域、本人の働き方で大きく変わります。

働き方で何が違う?

大学病院・大きな総合病院夜勤手当を含めて比較的高めで、ボーナスや福利厚生も安定しているといわれる

重い病気や珍しい病気の患者さんが多く、最先端の医療にかかわれる職場です。新人教育の体制が整っていて、さまざまな診療科を経験できます。夜勤があり、忙しい病棟も多いです。

良いところ教育体制、専門性、安定した待遇

大変なところ夜勤と忙しさ、覚えることの多さ

クリニック夜勤がないぶん病院より低めになることが多い

地域の診療所で、外来の患者さんの診察の介助や採血などを担当します。基本的に夜勤がなく、生活のリズムを整えやすい職場です。少人数のため、受付などの業務を手伝うこともあります。

良いところ夜勤なし、休みがとりやすい

大変なところ年収は低め、学べる医療処置の幅は病院より狭い

訪問看護ステーション病棟看護師と同程度のところが多い

患者さんの自宅を訪問してケアを行います。患者さんの暮らしに寄り添い、一人ひとりにじっくり向き合えるのが魅力です。高齢化で需要が伸びている分野です。

良いところ一人ひとりとじっくり関われる、需要が伸びている

大変なところ一人で判断する場面が多く、オンコールがある

介護施設病院より低めから同程度まで、施設による

高齢者が暮らす施設で、健康管理や医療処置を行います。急な処置は病院より少なく、長く同じ人と関わることができます。

良いところ生活に寄り添う看護、比較的落ち着いた環境

大変なところ医療処置の経験は積みにくい、看護師の人数が少ない

代表的な会社・職場

大学病院公的病院グループ自治体病院民間医療機関在宅医療介護施設行政
大学病院(東京大学医学部附属病院など)大学病院

高度な医療と研究・教育を行う病院で、多くの看護師が働いています。

国立病院機構 ›公的病院グループ

全国に病院を持ち、看護師の採用と育成を広く行っています。附属の看護学校もあります。

日本赤十字社(赤十字病院)公的病院グループ

全国の赤十字病院で、救急医療や災害救護に取り組んでいます。看護大学や看護専門学校も運営しています。

済生会公的病院グループ

全国に病院や福祉施設を持つ社会福祉法人です。

都道府県立・市立病院自治体病院

地域の中心となる病院で、看護師は地方公務員などの立場で働きます。

民間病院・クリニック民間医療機関

全国にある民間の病院や診療所で、看護師の大きな職場です。

訪問看護ステーション在宅医療

全国に数多くある事業所で、在宅で療養する人を支えています。

介護老人保健施設・特別養護老人ホーム介護施設

高齢者の暮らしと健康を支える施設で、看護師が健康管理を担っています。

保健所・市町村の保健センター行政

保健師が地域の人々の健康づくりや感染症対策を担当しています。

›がついた会社は、会社図鑑で詳しく解説しています。

どうやって稼いでいる?

患者さん窓口で費用の一部を払う 病院国が決めた診療報酬を受け取る 健康保険残りの費用を病院に払う 一部看護 残り 看護師病院に雇われる 給料夜勤手当など 訪問看護では訪問1回ごとに保険から報酬 7対1など患者さん7人に看護師1人 看護師を多く配置するほど、 入院基本料が高くなる
看護師は、病院の質と収入の両方を支えています

看護師の多くは病院やクリニックに雇われて働き、給料を受け取ります。病院の収入は主に国が決めた「診療報酬」で、その中には看護師の人数に応じて決まるお金があります。たとえば、みなさんが入院したとき、窓口で払うのは費用の一部で、残りは健康保険から病院に支払われ、その金額は「その病棟に看護師が何人いるか」でも変わります。たとえば入院患者さんに対して看護師を多く配置している病院ほど、入院基本料という報酬が高くなる仕組みがあります。つまり看護師は、病院の質と収入の両方を支える存在です。訪問看護ステーションは、訪問1回ごとに医療保険や介護保険から支払われる報酬で運営されています。

1
入院基本料と看護配置

病院が受け取る入院基本料は、患者さん何人に看護師1人をつけているか(たとえば7対1)によって金額が変わります。看護師を多く配置するほど報酬が高くなるので、病院は看護師の確保に力を入れています。

2
訪問看護療養費・介護報酬

訪問看護では、1回の訪問ごとに医療保険または介護保険から報酬が支払われます。看護師が独立して訪問看護ステーションを立ち上げ、経営者になることもできます。

3
看護師の給料と夜勤手当

看護師の給料は、基本給に夜勤手当、残業手当、資格手当などが加わります。夜勤の回数が多いほど給料が上がる仕組みのところが多いです。

4
処遇改善のための加算

国は看護師などの給料を上げるため、診療報酬に「ベースアップ評価料」などの加算を設けています。たとえば、患者さんが受診するたびに少しずつ上乗せされるお金を、病院が職員の毎月の給料アップにあてる仕組みです。条件を満たした病院は、そのお金を職員の賃上げに使います。

5
派遣・単発の仕事

健康診断の会場、イベントの救護、ツアーの付き添いなど、単発や派遣で働く看護師もいます。資格があれば短期間でも働きやすいのが特徴です。

入ってからどうなっていく?

学生(3〜4年)看護学生看護の大学・短大・専門学校で、人体の仕組み、病気、看護の方法を学びます。2年生ごろから病院や施設での臨地実習が始まり、実際の患者さんを受け持ちます。最終学年の2月に国家試験を受けます。
1〜3年目新人・若手看護師病院の病棟などに配属され、先輩看護師がマンツーマンで指導するプリセプター制度などで仕事を覚えます。1年目は採血や点滴、夜勤の流れを身につけるのに精いっぱいの時期です。3年目くらいで、新人の指導役を任されることもあります。
4〜7年目中堅看護師・方向を決める時期リーダーとして病棟の業務をまとめるようになります。この時期に、認定看護師や専門看護師などのスペシャリストを目指すか、訪問看護やクリニックへ転職するか、保健師・助産師の資格をとるかなど、キャリアの方向を考える人が多いです。
8〜15年目スペシャリスト・主任認定看護師や特定行為研修を修了した看護師として専門性を発揮したり、主任として病棟の運営を支えたりします。大学院で学んで専門看護師になる人もいます。結婚や出産で働き方を変え、時短勤務や日勤のみの働き方を選ぶ人もいます。
40代看護師長(管理職)病棟全体をまとめる看護師長として、スタッフの勤務表づくりや人材育成、病棟の運営を担います。現場で患者さんのケアを続けたい人は、ベテランのスタッフとして活躍し続けることもできます。
50代以降看護部長・教育・地域へ病院全体の看護師を統括する看護部長や副院長になる人もいます。看護の学校の教員、訪問看護ステーションの経営、介護施設の管理者など、経験を生かした道も多いです。資格に定年はないので、60代以降も働き続ける人が多いです。

入院患者さんの看護計画が進むまで

1 情報を集める歩けるか・食事は 2 課題を見つける転びやすい など 3 計画を立てるベッドの高さを調整 4 看護を実施チームで同じ計画 5 評価する目標を確かめる 6 退院の支援家族・訪問看護と うまくいかなければ計画を見直す 計画・実施・評価をくり返して、退院まで支える
チームの看護師全員が同じ計画にそってケアできるよう、記録に残します
1
情報を集める(アセスメント)

入院した患者さんの話を聞き、体の状態、生活の習慣、家族の状況などの情報を集めます。たとえば、ふだん一人で歩けるか、食事はとれているかを確かめます。

2
看護の課題を見つける

集めた情報から、その人にとって何が問題かを考えます。たとえば「手術のあとで転びやすい」「痛みで眠れない」といった課題です。

3
看護計画を立てる

課題ごとに目標を決め、どんな看護をするかを計画します。たとえば、転ばないようにベッドの高さを調整し、歩くときは付き添う、といった内容です。

4
看護を実施する

計画にそって毎日のケアを行います。チームの看護師全員が同じ計画にそってケアができるよう、記録に残します。

5
評価して見直す

目標が達成できたかを確かめ、うまくいかないところは計画を見直します。

6
退院の支援

家に帰ってからの生活に困らないよう、家族への説明や、訪問看護・介護サービスとの連携を進めます。

看護師国家試験

合格率88.3%(2026年・第115回、受験者59,614人中52,666人合格、新卒者94.1%)
勉強時間の目安看護の学校での3〜4年間の学習が前提で、最終学年は国家試験の対策に力を入れる
受験資格文部科学大臣または都道府県知事が指定した看護の大学・短大・専門学校などを卒業した人(卒業見込みを含む)など
看護師国家試験の合格率は90%前後と高く、学校でしっかり勉強すれば合格できる試験です。ただし、必修問題で8割をとらなければ不合格になるため、基本を確実に覚えることが欠かせません。医師国家試験(2026年の合格率91.6%)とほぼ同じくらいの合格率ですが、薬剤師国家試験(2026年の合格率68.49%)よりは高めです。一番の山場は試験よりも、在学中の臨地実習といわれます。
試験科目(押すと中身が見られます)
合格までの流れ
  1. 看護の学校に入学大学・短大・専門学校などで学びます。
  2. 講義と演習体の仕組みや病気、看護技術を学び、学校の実習室で練習します。
  3. 臨地実習病院や施設で実際の患者さんを受け持ちます。
  4. 看護師国家試験(2月)1日で240問を解き、3月に合格発表があります。
  5. 免許の申請と就職合格後に免許を申請し、4月から看護師として働きます。

看護師のある1日

8時〜カルテ・申し送り 9時〜体温測定 10時〜体を拭く 11時半〜食事 12時半〜休憩 13時半〜回診 14時半〜話し合い 15時半〜記録 16時半終わり 帯の長さ=かける時間(日勤の例) 夜勤の日は、夕方から翌朝まで病棟を見守る 申し送りで始まり、申し送りで終わる
病棟看護師の日勤の例
8:00

病棟に着いて、担当する患者さんの情報をカルテで確認します(日勤の場合)。

8:30

夜勤の看護師から申し送りを受けます。夜の間の様子や注意点を聞きます。

9:00

担当の患者さんを順番に回り、体温・血圧・脈拍などを測って体調を聞きます。点滴の準備や交換も行います。

10:00

体を拭く清拭や、お風呂の介助、シーツ交換をします。検査に行く患者さんの付き添いもします。

11:30

昼食の準備と配膳をします。食べるのが難しい患者さんの食事を手伝い、食後の薬を確認します。

12:30

交代で休憩をとります。

13:30

医師の回診に同行したり、手術を終えた患者さんを病棟に受け入れたりします。

14:30

カンファレンスで、医師やリハビリの担当者と退院に向けた計画を話し合います。

15:30

看護記録を電子カルテに入力します。患者さんの状態や行ったケアを正確に書き残します。

16:30

夜勤の看護師へ申し送りをして、勤務終了です。夜勤の日は夕方から翌朝まで、少ない人数で病棟全体を見守ります。

もっと知りたい人へ

そもそも看護師とは

看護師は、保健師助産師看護師法という法律で定められた国家資格の仕事で、「療養上の世話」と「診療の補助」を行うと決められています。療養上の世話とは、食事、排せつ、清潔など、患者さんの生活を支えるケアのことで、看護師が自分の判断で行う大切な仕事です。診療の補助とは、医師の指示のもとで、点滴、採血、注射などの医療処置を行うことです。患者さんのそばに24時間いて、体と心の両方を見守るのが看護師の大きな特徴です。

看護師と准看護師のちがい

看護師は国家資格で厚生労働大臣が免許を出しますが、准看護師は都道府県知事が免許を出す資格です。准看護師は医師や看護師の指示を受けて仕事をします。准看護師として働いたあと、学校に通って看護師の資格をとる人もいます。

男性看護師も増えている

2024年末で働く看護師のうち男性は約11万8千人で、全体の約9%です。以前は「看護婦」と呼ばれていましたが、2002年から男女ともに「看護師」という名前になりました。体力が必要な場面や、精神科・救急・手術室などで活躍する男性看護師が増えています。

チーム医療の要

看護師は、医師、薬剤師、理学療法士、栄養士、ソーシャルワーカーなど、たくさんの職種をつなぐ役割を担います。患者さんの一番近くにいる看護師の情報が、チーム全体の判断を支えています。

なるためのルート

看護師になるには、文部科学大臣または都道府県知事が指定した看護の学校で学び、看護師国家試験に合格する必要があります。主なルートは、4年制の看護大学・看護学部、3年制の短大、3年制の看護専門学校です。高校の看護科と専攻科をあわせた5年一貫の教育で、最短20歳で国家試験を受けられる道もあります。大学では看護師に加えて保健師や助産師の受験資格がとれるところもあります。

  1. 看護系の学校を選ぶ大学・短大・専門学校の中から、自分に合った学校を選びます。オープンキャンパスで実習の様子や国家試験の合格率を確かめましょう。
  2. 入学試験に合格大学では英語・数学・理科(化学基礎・生物基礎など)・国語が多く、専門学校では国語・数学・英語に加えて面接や作文があるところが多いです。
  3. 看護の基礎と専門を学ぶ解剖生理学や病理学などの基礎から、成人・老年・小児・母性・精神・在宅などの看護の専門分野を学びます。
  4. 臨地実習病院や介護施設、保育園などで実際の患者さんや利用者さんを受け持ち、看護計画を立ててケアを行います。
  5. 看護師国家試験に合格最終学年の2月に国家試験を受け、3月に合格発表があります。
  6. 看護師免許を取得し、就職合格後に免許の申請をし、4月から病院などで看護師として働き始めます。
大学と専門学校のちがい

大学は4年間で、看護の知識に加えて研究の方法や幅広い教養も学べます。専門学校は3年間で、実習の時間が多く、早く現場に出られるのが特徴です。どちらも同じ国家試験を受け、合格すれば同じ看護師免許がもらえます。

社会人から目指す

看護の学校には社会人入試を設けているところも多く、一度ほかの仕事をしてから看護師になる人もいます。仕事を辞めて学校に通う人のために、国の教育訓練給付金などの支援制度もあります。

病院の奨学金

病院によっては、看護学生に奨学金を貸し、卒業後にその病院で一定期間働けば返済が免除される制度があります。学費の負担を減らせますが、働く病院が決まるので、よく考えて利用しましょう。

試験・選考の詳細

看護師国家試験は毎年2月に1日で行われ、全部で240問です。2026年の第115回試験は受験者59,614人、合格者52,666人で、合格率は88.3%(新卒者は94.1%)でした。問題は、看護師として必ず知っておくべき「必修問題」、知識を問う「一般問題」、患者さんの事例をもとに判断を問う「状況設定問題」に分かれています。必修問題は50点中40点以上(8割)が必要で、さらに一般問題と状況設定問題をあわせた点数でも基準を超えなければ合格できません。

合格基準のしくみ

第115回の試験では、必修問題と一般問題は1問1点、状況設定問題は1問2点で採点されました。合格には、必修問題で50点中40点以上、一般問題と状況設定問題の合計で249点中166点以上をとる必要がありました。一般・状況設定の合格ラインは、毎年の問題の難しさによって変わります。

状況設定問題とは

「70歳の男性が手術後に…」のように、具体的な患者さんの状況を読んで、どの看護を優先するかなどを判断する問題です。暗記だけでなく、実習での経験や考える力が問われます。

就職試験

病院の採用試験は、多くの場合、最終学年の春から夏にかけて行われます。面接、小論文、適性検査などがあり、病院見学やインターンシップに参加してから応募する人が多いです。

年収のリアル

看護師の平均年収は、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」をもとにすると約525万円(平均年齢42.1歳)が目安です。日本の働く人全体の平均とくらべると高めで、資格があるため景気に左右されにくく、安定しています。ただし、看護師の給料には夜勤手当が大きくふくまれていて、夜勤をしない働き方を選ぶと年収は下がる傾向があります。役職につくと手当がつき、看護師長や看護部長になると年収はさらに上がります。

夜勤手当の大きさ

病棟看護師は月に数回の夜勤があり、1回ごとに手当がつきます。夜勤の回数によって、年収が数十万円以上変わることもあります。

勤務先による差

大学病院や公立病院は給料や福利厚生が安定していて、ボーナスも比較的多いといわれます。クリニックは夜勤がないぶん年収は低めになることが多いですが、生活リズムを整えやすいメリットがあります。

国の賃上げの動き

国は看護職員の給料を引き上げるため、2022年から補助金や診療報酬の加算を設けています。看護師の待遇は、こうした制度の見直しによっても変わっていきます。

やりがい

看護師のやりがいは、患者さんの回復を一番近くで見守り、「ありがとう」と直接言ってもらえることです。病気で不安な人の手をにぎり、話を聞くだけで、表情がやわらぐ瞬間に立ち会えます。自分の観察や気づきが患者さんの命を救うことにつながることもあり、専門職としての誇りを感じられます。全国どこでも、ライフステージが変わっても働き続けられる資格であることも大きな魅力です。

人生の大切な場面に立ち会える

赤ちゃんの誕生、手術からの回復、そして人生の最期まで、看護師は人生のさまざまな場面に寄り添います。その人らしく過ごせるよう支えることは、ほかの仕事では得がたい経験です。

専門性を深められる

認定看護師、専門看護師、特定行為研修など、経験を積んで専門性を高める道がたくさん用意されています。学び続けることで、できることがどんどん増えていきます。

働き方を選べる

病院、クリニック、訪問看護、施設、企業など、自分の生活や興味に合わせて職場を選べます。一度離れても資格があれば復帰しやすいのも強みです。

大変なこと・きついこと

看護師の仕事は体力的にも精神的にもハードな面があります。病棟では夜勤があり、生活リズムが不規則になりがちです。患者さんの体を支えたり移動を手伝ったりする力仕事も多く、腰を痛める人もいます。命にかかわる仕事なので、薬の量や点滴のまちがいが許されない緊張感の中で、たくさんの業務を同時にこなさなければなりません。

心の負担

患者さんの死に向き合うこともあり、つらい気持ちを抱えることがあります。また、痛みや不安でいらだっている患者さんやご家族から、強い言葉を向けられることもあります。

学生時代の実習

在学中の臨地実習では、毎日の看護記録や看護計画づくりに追われ、睡眠時間が短くなることもあるといわれます。看護学生にとって最大の山場です。

人手不足の職場もある

地域や職場によっては看護師が足りず、一人あたりの負担が大きいこともあります。就職先を選ぶときは、看護師の人数や教育体制、離職率なども確かめておきましょう。

向いている人

看護師に向いているのは、人の役に立ちたいという気持ちがあり、相手の立場に立って考えられる人です。患者さんのちょっとした表情や言葉の変化に気づける観察力も大切です。また、医師や他の看護師とチームで働くので、報告・連絡・相談ができる協調性が求められます。たくさんの仕事を同時に進めるので、優先順位をつけてテキパキ動ける人も向いています。

体力と自己管理

夜勤や立ち仕事が多いので、体力があることや、睡眠や食事など自分の体調を管理できることが大事です。自分が元気でいることが、よい看護につながります。

気持ちの切りかえ

つらいことがあっても、次の患者さんの前では笑顔で接する必要があります。休日にリフレッシュするなど、気持ちを切りかえる方法を持っている人は長く続けやすいです。

学び続ける姿勢

医療は常に進歩しているので、新しい知識や技術を学び続けることが求められます。勉強が好き、新しいことを知るのが楽しいと思える人に向いています。

高校生のうちにできること

看護の学校の入試では、生物や化学などの理科、数学、英語、国語が出題されることが多いです。大学によって必要な科目がちがうので、早めに志望校の入試科目を調べておきましょう。生物の知識は入学後の解剖生理学などの土台になるので、しっかり学んでおくと有利です。また、面接で看護師を目指す理由を聞かれるので、自分の経験と結びつけて話せるようにしておきましょう。

一日看護体験に参加する

多くの病院や看護協会が、夏休みに高校生向けの「ふれあい看護体験」などのイベントを行っています。実際に看護師の仕事を見たり、患者さんと話したりでき、進路を考える大きなヒントになります。

人と関わる経験を増やす

部活動やボランティア、アルバイトなどで、いろいろな年代の人と話す経験を積んでおきましょう。とくに高齢者や子どもと関わる経験は、看護の仕事に直接役立ちます。

学校選びは実習先と合格率もチェック

学校を選ぶときは、学費や通いやすさに加えて、どんな病院で実習ができるか、国家試験の合格率はどのくらいかを確かめましょう。

代表的な会社・職場

看護師の最大の職場は病院です。大学病院、国立病院機構の病院、日本赤十字社の病院、済生会の病院、都道府県立・市立病院、民間の医療法人の病院など、全国にたくさんあります。そのほか、クリニック、訪問看護ステーション、介護老人保健施設や特別養護老人ホームなどの介護施設、保健所や市役所(保健師)、助産院(助産師)などがあります。

大学病院

最先端の医療を行う病院で、重い病気の患者さんや珍しい病気の患者さんが多く集まります。教育体制が整っていて、新人看護師の研修が充実しているところが多いです。

訪問看護ステーション

地域の在宅医療を支える事業所で、数人から数十人の看護師が働いています。看護師が管理者となって経営しているところも多いです。

病院以外の職場

企業の健康管理室、学校、保育園、自衛隊、治験を行う会社、医療機器メーカーなど、看護の知識を生かせる職場は幅広くあります。

看護のスペシャリスト制度

看護師には、経験を積んだあとで特定の分野の専門家になる道があります。日本看護協会が認める「認定看護師」は、がん看護、感染管理、緩和ケア、皮膚・排泄ケアなどの分野で高い実践力を持つ看護師です。「専門看護師」は、大学院の修士課程で学んだうえで認定され、より複雑な問題を持つ患者さんへのケアや、看護師への相談・教育を担います。

特定行為研修

国が定めた研修を修了した看護師は、医師があらかじめ作成した手順書にもとづいて、決められた医療行為(特定行為)を行えます。医師の働き方改革の中で、タスクシフトの担い手として注目されています。

診療看護師(NP)

大学院で学び、より高度な医療行為を担える看護師を目指す道もあります。日本では制度づくりが議論されている段階ですが、救急や在宅医療の現場で活躍が広がっています。

夜勤と勤務体制

病棟で働く看護師は、24時間患者さんを見守るために交代制で働きます。主なものは、日勤・準夜勤・深夜勤の3つに分ける「3交代制」と、日勤と長い夜勤の2つに分ける「2交代制」です。2交代制では夜勤が16時間程度になることもあり、途中で仮眠をとりながら働きます。夜勤は大変ですが、夜勤手当がつくことや、平日に休みをとりやすいことをメリットと考える人もいます。

夜の病棟の仕事

夜は看護師の人数が昼より少なくなり、一人で多くの患者さんを受け持ちます。眠れない患者さんの話を聞いたり、急に具合が悪くなった患者さんに対応したりと、責任の大きい時間帯です。

夜勤のない働き方

外来、クリニック、健診センター、訪問看護(オンコールはある場合も)、企業の健康管理室などは、基本的に夜勤がない職場です。生活リズムを重視する人や、子育て中の人に選ばれています。

よくある質問

看護師になるには大学と専門学校のどちらがいいですか?

どちらでも同じ国家試験を受けて、同じ看護師免許がとれます。大学は4年間で保健師などの受験資格もとれる場合があり、将来、管理職や教員、研究を目指すときに有利になることがあります。専門学校は3年間で早く現場に出られ、実習が充実しているのが特徴です。

看護師国家試験は難しいですか?

2026年の第115回試験の合格率は88.3%、新卒者では94.1%と高いです。学校でしっかり勉強すれば合格できる試験ですが、必修問題で8割をとらなければならないので、基本を確実に覚えることが大切です。

文系でも看護師になれますか?

なれます。看護の学校の中には、国語・英語・数学だけで受験できるところや、理科を1科目選ぶだけのところも多いです。ただし入学後は生物や化学の知識を使うので、高校で生物基礎や化学基礎を学んでおくと安心です。

男性でも看護師になれますか?

もちろんなれます。2024年末で働く看護師の約9%、約11万8千人が男性で、年々増えています。精神科、救急、手術室、ICUなどで活躍する男性看護師も多いです。

看護師と准看護師はどうちがいますか?

看護師は国家資格、准看護師は都道府県の資格です。准看護師は医師や看護師の指示を受けて働き、看護師より給料が低い傾向があります。准看護師から看護師を目指せる進学コースもあります。

看護師は結婚や出産をしても続けられますか?

続けやすい仕事です。看護師の資格は一生有効で、全国どこでも求人があるので、引っ越しや子育てで一度離れても復帰しやすいです。病院内の保育所や時短勤務、夜勤免除などの制度を設けている職場も多くあります。

注射や血を見るのが苦手ですが大丈夫ですか?

最初は苦手でも、学校での練習や実習を通して慣れていく人がほとんどです。また、訪問看護や企業の健康管理室、保健師など、注射や処置の少ない働き方もあります。

保健師や助産師になるにはどうすればいいですか?

どちらも看護師の資格に加えて、それぞれの国家試験に合格する必要があります。大学で指定の科目を学ぶか、看護の学校を卒業してから専門の学校で1年以上学ぶのが一般的です。助産師は女性のみがなれる資格です。

看護師の仕事はAIで減りますか?

記録の入力や情報の整理などはAIや機械で効率化が進むと考えられますが、患者さんの体にふれてケアをすることや、不安な気持ちに寄り添うことは人にしかできない仕事です。高齢化で看護の需要はむしろ増えるとみられています。

この分野のことば

年収について:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」をもとにした看護師の平均年収の目安です(524万7,200円、平均年齢42.1歳)。夜勤手当の有無や回数、勤務先(大学病院・民間病院・クリニック・訪問看護)によって差があります。

数字はすべて公開データにもとづく目安です。出典は出典・サイトポリシーにまとめています。

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