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髪を切る技術者であり、指名で稼ぐ「小さな店の経営者」でもある

美容師

美容師は、カット、カラー、パーマ、ヘアセット、着付け、メイクなどで、お客さんの髪や見た目を整える国家資格の仕事です。美容師法で、美容師免許を持つ人だけが仕事として髪を切ったりパーマをかけたりできると決められています。全国には約27万4千の美容所(美容室)があり、約58万人の美容師が働いています(2024年3月末)。資格を取ったあとも、アシスタントからスタイリスト、店長、独立開業と、技術と指名客の数によってキャリアと収入が大きく変わる仕事です。

平均年収の目安約389万円美容師の統計値アシスタントで約200万〜300万円台、人気スタイリストや店長で500万円以上、独立して成功すれば1,000万円超も
なるまでの難しさ★★★★★美容師国家試験の合格率は、養成施設を卒業する学生が多く受ける春の試験で約87%(第53回、令和7年度)と高めです。ただし資格を取ったあと、アシスタントとして2〜3年以上練習を続けてスタイリストになり、指名客を増やしていくところに本当の難しさがある仕事です。
決めどき文系が中心

高校2〜3年(美容専門学校に出願する時期。夏のオープンキャンパスが目安)

どんな職種がある?

押すと、その職種の仕事内容・必要な力・キャリアが見られます。

美容師の年収と昇進の流れ

アシスタント 入社1〜3年 200〜300万円 ジュニアスタイリスト 入社3〜5年 250〜380万円 スタイリスト 入社5〜8年 300〜500万円 トップスタイリスト 入社8〜12年 400〜700万円 店長 入社10年前後〜 450〜800万円 オーナー・幹部 35歳〜 500〜1,200万円 0 400 800 1,200万円 技術と指名客の数で、収入が変わる 年収は目安。独立すると差がとても大きい
金額はあくまで目安です
アシスタント200〜300万円
入社1〜3年、20〜23歳

シャンプー、カラー、ブローなどを担当しながら、営業時間外にカット練習を続けます。カットを含むすべての技術テストに合格するとスタイリストになれます。

ジュニアスタイリスト250〜380万円
入社3〜5年、23〜25歳

スタイリストとしてデビューし、新規のお客さんを中心に担当します。指名客とリピートを増やすことが次の段階の条件です。

スタイリスト300〜500万円
入社5〜8年、25〜28歳

指名客が安定し、得意なデザインで選ばれるようになります。売上や指名数が一定の基準を超えるとトップスタイリストに上がる店が多いです。

トップスタイリスト・ディレクター400〜700万円
入社8〜12年、28〜32歳

店の売上の中心になり、料金も高く設定されます。後輩の教育も担当し、店長候補になります。

店長(管理美容師)450〜800万円
入社10年前後〜、30歳前後〜

店の売上、スタッフ、教育に責任を持ちます。チェーンではエリアマネージャーや本部幹部へ、個人店では独立開業へと進む人が多い段階です。

オーナー・エリアマネージャー・幹部500〜1,200万円
35歳〜

自分の店を経営するか、チェーンの複数店舗や会社全体を運営します。独立した場合は店の売上しだいで収入の幅がとても大きくなります。金額はあくまで目安です。

年収は目安です。会社や地域、本人の働き方で大きく変わります。

働き方で何が違う?

チェーン美容室の社員アシスタントで200万円台から、店長やエリアマネージャーで500万円以上の例がある

全国や地域に多くの店舗を持つ会社に、正社員として勤める働き方です。教育の仕組みが整っていて、段階的にテストを受けながらスタイリストを目指せます。社会保険や有給休暇などの福利厚生がしっかりしている会社が多く、店長、エリアマネージャー、教育担当、本部の仕事など、キャリアの選択肢が多いのも特徴です。会社のルールやメニュー、料金に合わせて働く必要があります。

良いところ教育と福利厚生が整っている、キャリアの選択肢が多い

大変なところ会社のルールに合わせる必要がある、異動がある

個人店・有名サロンのスタッフ店によって大きく異なる

オーナー美容師が経営する店で働く働き方です。オーナーから直接技術やお客さんとの関わり方を学べます。都市部の有名サロンでは、雑誌の撮影やヘアショーに関わるチャンスもあります。店によって給与や休み、教育の内容が大きく異なるため、入る前によく確認する必要があります。

良いところオーナーから直接学べる、個性を出しやすい

大変なところ福利厚生や待遇が店によってばらつく

独立開業(自分の店を持つ)店の売上しだいで、数百万円から1,000万円超まで幅が大きい

自分で美容室を開き、経営者として働く働き方です。メニュー、料金、内装、営業時間など、すべて自分で決められます。売上から家賃や材料費、人件費を払った残りが収入になるため、うまくいけば大きな収入になりますが、お客さんが集まらなければ赤字になるリスクがあります。

良いところ自分の理想の店をつくれる、成功すれば収入が大きい

大変なところ開業資金が必要、経営のリスクを自分で負う

業務委託・シェアサロン売上に応じて変わる(指名客の数しだい)

美容室と業務委託契約を結んだり、シェアサロンのいすを借りたりして、フリーランスとして働く働き方です。売上の一定割合を受け取るため、指名客が多い人ほど収入が増えやすくなります。出勤日や時間を自分で決めやすく、子育てとの両立もしやすい働き方です。

良いところ働く時間を選べる、売上が収入に反映されやすい

大変なところ社会保険や有給休暇がない、集客や確定申告を自分で行う

ヘアメイク・ブライダル・訪問美容働き方や契約によって大きく異なる

撮影現場、結婚式場、ホテル、介護施設や病院への訪問など、美容室以外で美容師免許をいかす働き方です。たとえば訪問美容では、外出が難しいお年寄りの家や施設に出向いて髪を切ります。

良いところ美容室とはちがうやりがいがある、専門性を持てる

大変なところ仕事の量が安定しないことがある、早朝や休日の仕事が多い

代表的な会社・職場

上場美容室チェーン大手美容室チェーンカット専門チェーン個人経営・中規模サロンブライダルヘアメイク訪問美容メーカー
アルテサロンホールディングス上場美容室チェーン

首都圏を中心に美容室「Ash」などを展開し、フランチャイズ方式の店舗も持っています。

有価証券報告書で開示
田谷上場美容室チェーン

美容室「TAYA」などを百貨店や商業施設を中心に展開しています。

有価証券報告書で開示
AB&Company上場美容室チェーン

美容室「Agu hair」などを全国にフランチャイズ方式で展開しています。

有価証券報告書で開示
EARTH(アース・ホールディングス)大手美容室チェーン

美容室「EARTH」を全国に多くの店舗で展開しています。

非上場のため公表なし
低価格カット専門店カット専門チェーン

短い時間と手ごろな料金でカットを提供する店で、駅や商業施設に多くあります。

都市部の有名サロン個人経営・中規模サロン

表参道や銀座などにある、デザイン力で知られる美容室で、雑誌の撮影やヘアショーにも関わります。

結婚式場・ホテルの美容室ブライダル

花嫁や参列者のヘアセット、メイク、着付けを担当します。

ヘアメイク事務所ヘアメイク

テレビ、雑誌、広告、映画などの撮影現場にヘアメイクアーティストを派遣します。

訪問美容の事業者訪問美容

介護施設や病院、家庭に出向いて、カットなどのサービスを提供します。

化粧品・ヘアケアメーカーメーカー

美容室向けのカラー剤やシャンプーを開発・販売し、美容師向けの講習も行います。美容師免許を持つ社員が講師として活躍することもあります。

どうやって稼いでいる?

お客さんの数 新しく集める 客単価 1回の金額 来店の回数 また来てもらう × × = 美容室の売上 客単価を上げる カットとカラーを一緒に 人気スタイリストの指名料 シャンプーなどの店販 成人式・ブライダル おもな費用 スタッフの人件費 店の家賃 カラー剤などの材料費 予約サイトの掲載料 美容所は全国に約27万4千(2024年3月末) 新しいお客さんと、また来るお客さんの両方
売上から人件費・家賃・材料費などを払った残りが、お店のもうけになります

美容室の収入の中心は、お客さんが払う施術料金です。たとえばカット、カラー、パーマ、トリートメント、ヘッドスパなどのメニューを組み合わせて、1回あたりの単価(客単価)が決まります。美容室の売上は、「お客さんの数×客単価×来店の回数」で決まるため、新しいお客さんを集めることと、同じお客さんにまた来てもらうこと(リピート)の両方が大切です。費用で大きいのは、スタッフの人件費、店の家賃、カラー剤やシャンプーなどの材料費、予約サイトへの掲載料です。美容所の数は約27万4千(2024年3月末)と、街のコンビニよりもずっと多く、競争が激しい業界です。

1
施術料金

カット、カラー、パーマ、トリートメント、ヘッドスパなどの料金です。たとえばカットだけより、カットとカラーを一緒に頼むと客単価が上がります。

2
指名料・ランク別料金

人気のスタイリストやトップスタイリストを指名すると料金が上がる仕組みの店があります。技術と人気がそのまま料金に反映されます。

3
店販(商品販売)

シャンプー、トリートメント、スタイリング剤などのヘアケア商品を店で売る収入です。たとえば施術のあとに「家ではこのオイルを使うと長持ちします」と提案します。

4
ブライダル・着付け・出張

結婚式や成人式、七五三などで、ヘアセット、メイク、着付けを行う収入です。成人式の朝は、早朝から多くの予約が入る美容室もあります。

5
フランチャイズ・面貸し

チェーンの本部が加盟店から受け取る加盟料や、シェアサロンがいすを貸して受け取る利用料です。美容師が独立しやすくなる仕組みとして広がっています。

入ってからどうなっていく?

専門学校1〜2年国家資格を目指す時期美容師養成施設(美容専門学校など)で、カット、パーマ、カラー、メイク、着付けなどの実技と、法律や衛生、皮膚科学などの学科を学びます。2年生の冬から春にかけて国家試験を受け、合格して免許を取ります。
1〜3年目アシスタントの時期美容室に入り、シャンプー、カラー、ブローなどを担当しながら、営業時間外にカットの練習を重ねます。段階ごとのテストに合格し、スタイリストデビューを目指します。
3〜6年目スタイリストの時期自分のお客さんを担当し、指名客を少しずつ増やしていきます。SNSでヘアスタイルを発信し、得意なデザイン(ショートヘア、髪質改善、ハイトーンカラーなど)を持つ人が多くなります。
6〜10年目トップスタイリスト・店長の時期指名客が安定し、店の売上の中心になります。店長として店の運営や後輩の教育を任されることも多く、管理美容師の資格を取る人もいます。
10年目〜独立・幹部・別の道の時期自分の店を開く、業務委託やシェアサロンで働く、チェーンの幹部や教育担当になる、ヘアメイクや美容学校の講師になるなど、道が分かれます。
転職・独立の例よくある別ルート美容室を変わる転職はとても多く、より教育が充実した店や、待遇の良い店に移る人がいます。化粧品やヘアケア商品のメーカーで、美容室向けの営業や講習を担当する人、美容学校の教員になる人もいます。

お客さんが来店してから帰るまで

1
予約・受付

ネットや電話で予約を受け、来店したら受付をして、前回の施術内容をカルテで確認します。

2
カウンセリング

希望の髪型、髪の悩み、普段の手入れのしかたを聞き、写真なども見ながらデザインを決めます。

3
シャンプー

アシスタントがシャンプーをして、頭皮や髪の状態を確かめます。

4
施術(カット・カラー・パーマ)

スタイリストがカットをし、必要に応じてカラーやパーマを行います。薬剤を置いている時間に別のお客さんを担当することもあります。

5
仕上げ

ブローやアイロンで仕上げ、スタイリング剤で形を整えます。家での再現のしかたも説明します。

6
会計・次回予約

会計をして、商品を提案し、次回の来店時期の予約をおすすめします。

7
カルテの記録

今回の施術内容や会話の内容をカルテに記録し、次回の参考にします。

美容師国家試験

合格率第53回(令和7年度・春)87.0%、第54回(令和8年度・秋)64.9%
勉強時間の目安美容師養成施設で2年以上(昼間・夜間)または3年以上(通信)学ぶことが受験の条件。在学中に国家試験の対策授業がある
受験資格美容師養成施設を卒業した人(卒業見込みを含む)
春の試験の合格率は約87〜88%と、国家資格の中では高めです。医師や弁護士などの試験と比べると合格しやすい試験ですが、実技は時間内に正確に仕上げる練習を何百回もくり返す必要があります。筆記は全体の約6割以上の正解に加えて、どの科目も0点でないことが条件のため、苦手科目を作らないことが大切です。不合格になった人が受ける秋の試験は合格率が60%前後に下がり、一度でしっかり合格することが重要です。
試験科目(押すと中身が見られます)
合格までの流れ
  1. 養成施設で学ぶ2年以上(通信は3年以上)学び、卒業(見込み)になります。
  2. 受験の申し込み理容師美容師試験研修センターに申し込みます。試験は年2回あります。
  3. 実技試験衛生上の取扱いと、カッティング、オールウェーブセッティングなどの課題を受けます。春の試験は2月ごろに行われます。
  4. 筆記試験マークシート式で、各科目から出題されます。春の試験は3月上旬ごろに行われます。
  5. 合格発表と免許申請実技と筆記の両方に合格したら、美容師名簿への登録を申請し、免許証を受け取ります。

美容師のある1日

9:00

出勤して開店準備をします。床やシャンプー台を掃除し、タオルや器具を準備します(アシスタントは早めに来て練習することもあります)。

9:45

朝礼で今日の予約と、お客さんの髪の情報(前回の施術内容など)を確認します。

10:00

開店。最初のお客さんのカウンセリングをして、カットとカラーを始めます。

12:00

カラーを置いている時間に、別のお客さんのカットを並行して進めます。

14:00

予約の合間に交代で短い昼休みをとります。

15:00

パーマやトリートメントの施術、仕上げのあとにSNS用の写真を撮ります。

18:00

仕事帰りのお客さんが増える時間帯で、施術が続きます。

20:00

閉店後、店の片付けとその日の売上の確認をします。

20:30

アシスタントはウィッグやモデルでカットの練習、スタイリストは練習の指導やSNSの投稿をします。

もっと知りたい人へ

そもそも美容師とは

美容師は、美容師法という法律で決められた国家資格の仕事です。法律では、美容とは「パーマネントウエーブ、結髪、化粧などの方法で、容姿を美しくすること」とされ、これを仕事として行えるのは美容師免許を持つ人だけです。たとえば友だちの髪を無料で切るのは問題ありませんが、お金をもらって切るには免許が必要です。美容室は、保健所に届け出て検査を受けた「美容所」でなければ営業できません。よく似た仕事に理容師(床屋さん)がありますが、理容師は顔そり(シェービング)ができ、美容師はメイクや着付けが中心という違いがあります。

美容師と理容師のちがい

理容師は「頭髪の刈込、顔そり等の方法で容姿を整える」仕事、美容師は「パーマ、結髪、化粧等で容姿を美しくする」仕事と法律で分けられています。たとえば顔そりは理容師の仕事で、美容師は化粧に付随する軽い顔そりなどに限られます。両方の免許を持つ人もいます。

美容師の人数

2024年3月末時点で、全国の美容所は約27万4千施設、働いている美容師は約58万人です。美容所の数は毎年少しずつ増えていて、一人や少人数で営業する小さな店も多くあります。

なるためのルート

美容師になるには、都道府県知事が指定した美容師養成施設で、昼間課程・夜間課程なら2年以上、通信課程なら3年以上学んで卒業し、美容師国家試験に合格する必要があります。job tagによると、働いている美容師の約92%が専門学校卒です。最も多いのは、高校を卒業して美容専門学校の昼間課程に2年通い、卒業する年の春に国家試験を受けるルートです。美容室で働きながら通信課程で学ぶ方法や、一部の短期大学や高校にある養成課程で学ぶ方法もあります。

  1. 美容師養成施設を選ぶ昼間・夜間(2年以上)か通信(3年以上)かを選びます。高校2〜3年でオープンキャンパスに行き、学費、国家試験の合格率、就職先を比べます。
  2. 養成施設で学ぶ実技と学科を学び、ウィッグを使ってカットやワインディング(パーマのロッド巻き)の練習を重ねます。
  3. 美容師国家試験を受ける実技試験と筆記試験の両方に合格する必要があります。多くの学生は卒業する年の2月(実技)と3月(筆記)に受験します。
  4. 免許を申請する合格後、美容師名簿への登録を申請すると、美容師免許証が交付されます。
  5. 美容室に就職するアシスタントとして入社し、スタイリストを目指して練習を続けます。
専門学校ルート(最も多い)

美容専門学校の昼間課程では、2年間でカット、パーマ、カラー、メイク、着付け、ネイルなどの実技と、法律、衛生、皮膚科学などの学科を学びます。国家試験の対策授業があり、多くの学生が卒業の年に合格します。学校によっては、ヘアメイク、ブライダル、エステなどのコースを選べたり、美容室への就職を紹介してくれたりします。

大学・短大との関係

4年制大学の多くは美容師養成施設ではないため、大学を卒業しただけでは受験資格は得られません。たとえば大学で経営やデザインを学んでから専門学校に入り直す人や、通信課程と組み合わせて学ぶ人もいます。一部の短期大学には養成施設の指定を受けた学科があり、短大卒の学位と受験資格の両方を目指せます。将来お店を経営したい人は、経営の知識を大学などで学んでおくことも役に立ちます。

試験・選考の詳細

美容師国家試験は、公益財団法人理容師美容師試験研修センターが年2回行っています。実技試験は、衛生上の取扱い、カッティング(第1課題)、オールウェーブセッティングなど(第2課題)が出題され、減点が決められた点数以下なら合格です。筆記試験は、関係法規・制度、衛生管理、保健、香粧品化学、文化論、美容技術理論などから出題され、全体で約6割以上の正解と、どの科目も0点でないことが合格の条件です。養成施設の卒業見込みの学生が多く受ける春の試験の合格率は約87〜88%ですが、秋の試験は再受験の人が多く約55〜65%にとどまります。

合格率の推移

第51回(令和6年度・春)は88.1%、第53回(令和7年度・春)は87.0%、秋に行われた第52回は65.4%、第54回は64.9%でした。春は卒業見込みの学生、秋は不合格だった人などが中心に受けるため、合格率に差があります。

美容室の採用

国家試験とは別に、美容室への就職活動は在学中の1年生の後半から2年生にかけて行うのが一般的です。サロン見学や体験入社、面接、簡単な実技チェックなどがあり、教育制度や給与の仕組み、休みの日数を比べて選びます。

年収のリアル

job tagでは、美容師の年収は約388.5万円(令和7年賃金構造基本統計調査)で、平均年齢は30歳と若いのが特徴です。アシスタントの時期は年収200万〜300万円台のことが多く、スタイリストになって指名客が増えると、歩合給によって収入が上がっていきます。たとえば同じ28歳でも、指名客が少ない人と、毎月たくさんの指名がある人では、年収に大きな差が出ます。独立開業や業務委託で成功すれば年収1,000万円を超える人もいますが、その分リスクも自分で負うことになります。

歩合給の仕組み

多くの美容室では、基本給に、担当したお客さんの売上の一定割合を足す仕組みを取っています。たとえば売上が上がるほど歩合の割合が上がる店もあり、技術と人気がそのまま収入に表れます。

待遇の改善

有効求人倍率が5倍を超える(令和7年度、job tag)ほど人手不足のため、社会保険の完備や週休2日、練習時間を勤務時間に含めるなど、待遇を良くする美容室が増えています。就職先を選ぶときは、給与だけでなく休みや教育の仕組みも比べることが大切です。

やりがい

お客さんが鏡を見て「かわいい」「気に入った」と笑顔になる瞬間を、目の前で見られるのがいちばんのやりがいです。たとえば成人式や結婚式など、人生の大切な日の準備を任されることもあります。同じお客さんに何年も通ってもらい、学生から社会人、親になるまでの人生に寄り添えるのも美容師ならではです。技術を磨けば磨くほど指名客が増え、自分の努力がはっきりと結果に表れる仕事でもあります。

自分の名前で選ばれる

指名制度がある美容室では、「あなたに切ってほしい」と選ばれます。SNSで自分の作品を見て遠くから来てくれるお客さんもいて、自分の名前がブランドになる喜びがあります。

一生使える技術

国家資格と技術があれば、全国どこでも、年齢を重ねても働けます。たとえば結婚や引っ越しをしても、別の街の美容室で働き続ける人は多くいます。

大変なこと・きついこと

一日中立ちっぱなしで、腕や腰、手首を使うため、体力的にきつい仕事です。シャンプーやカラー剤で手が荒れる「手荒れ」に悩む人も多くいます。アシスタントの時期は、営業時間のあとに練習があり、給料も高くないため、この時期にやめてしまう人も少なくありません。土日や祝日、年末年始が忙しいため、休みは平日になることが多い仕事です。

お客さんの期待とのずれ

お客さんが見せた写真と同じ髪型にするのが難しい場合もあり、期待とちがうと言われることもあります。たとえば髪質やダメージの状態によってできないことを、ていねいに説明する力が必要です。

競争の激しさ

美容室の数がとても多いため、新しいお店ができたり、近くに安い店ができたりすると、お客さんが減ることがあります。独立開業しても、すべての店が長く続くわけではありません。

向いている人

人と話すことが好きで、相手の気持ちをくみ取れる人に向いています。手先が器用であることも大切ですが、それ以上に、うまくなるまで何度でも練習を続けられる根気が必要です。流行のファッションやヘアスタイルに興味があり、常に新しいものを取り入れたい人も向いています。長時間立って働くので、体力に自信がある人のほうが続けやすい仕事です。

向いている人の例

たとえば、友だちの髪をアレンジしてあげるのが好きな人、文化祭や体育祭で友だちのヘアセットを頼まれる人、雑誌やSNSで髪型を見るのが好きな人は、美容師の素質があります。

人見知りでも大丈夫?

最初は人見知りでも、仕事をしながら会話が上手になる人は多くいます。大切なのは、お客さんの話をしっかり聞く姿勢です。

高校生のうちにできること

美容専門学校のオープンキャンパスに参加して、実際にカットやヘアアレンジを体験してみましょう。複数の学校を見比べると、学費、国家試験の合格率、就職先の違いがわかります。自分や家族の髪をアレンジしてみる、美容室に行ったときに美容師さんの仕事をよく観察する、というのも良い準備になります。学校の勉強では、国家試験の筆記にある化学(薬剤の働き)や生物(皮膚や髪の構造)の基礎を学んでおくと役に立ちます。

文理の選び方

美容師は文系・理系どちらからでも目指せます。ただし、カラー剤やパーマ液の仕組みは化学、皮膚や髪の構造は生物の知識と関係があるので、苦手にしないでおくと専門学校の学科で楽になります。

お金のことも調べる

美容専門学校の学費は、入学金・授業料・実習費・教材費(ハサミやウィッグなど)を合わせると2年間で数百万円になり、学校によって大きく異なります。奨学金や、美容室が学費を支援する制度もあるので、家族と一緒に調べてみましょう。

代表的な会社・職場

美容師の職場は、全国や地域に何店舗も展開するチェーンの美容室、オーナー美容師が経営する個人の美容室、都市部の有名サロン、低価格のカット専門店、結婚式場やホテルの美容室、撮影現場などさまざまです。上場している美容室の会社には、アルテサロンホールディングス(Ash)、田谷(TAYA)、AB&Company(Agu hair)などがあります。理容と美容を両方行う店や、まつ毛エクステやネイルを一緒に提供する店もあります。

チェーン店と個人店のちがい

チェーン店は、教育の仕組みや福利厚生が整っていることが多く、店長やエリアマネージャー、本部の仕事など、キャリアの選択肢が多いのが特徴です。個人店は、オーナーから直接技術を学べ、お店の雰囲気がアットホームなことが多いです。

美容師免許をいかせる職場

美容室以外にも、結婚式場、ホテル、テレビ局や撮影スタジオ、介護施設や病院への訪問美容、化粧品メーカー、美容学校などで美容師免許をいかせます。

アシスタントからスタイリストへの道

美容室に入って最初の数年は、アシスタントとして技術を一つずつ身につける期間です。多くの店では、シャンプー、ブロー、カラー、パーマ、カットなどの技術ごとにテストがあり、合格すると実際のお客さんに担当できるようになります。たとえば最初の半年でシャンプーのテストに合格し、1年目でカラー、2年目でパーマ、3年目でカットのテストに合格してスタイリストデビュー、という流れが一つの例です。最近は、教育を効率化して1年半〜2年でデビューできる店や、カットだけを専門にする店も増えています。

カットモデル

アシスタントはテストの前に、友人や知人にモデルになってもらい、実際の人の髪を切って練習します。たとえば駅前で「カットモデルを探しています」と声をかける練習も、お客さんと話す練習になります。

スタイリストデビュー後

デビュー後は、新規のお客さんを担当しながら、また来たいと思ってもらえるかが勝負です。リピート率(再来店の割合)が高い人ほど、指名客が安定していきます。

管理美容師と独立開業

美容師が2人以上いる美容所には、「管理美容師」を置くことが法律で決められています。管理美容師になるには、美容師免許を取ってから3年以上美容の仕事をし、決められた講習を修了する必要があります。独立して美容室を開くときは、保健所に開設の届けを出し、設備の検査を受けます。たとえばシャンプー台の数、消毒の設備、床面積などに基準があります。独立は、指名客を十分に持ち、経営の知識も身につけてから行う人がほとんどです。

開業に必要なお金

店舗の家賃や内装工事、シャンプー台やいすなどの設備に多くのお金がかかります。自己資金のほか、銀行や日本政策金融公庫の融資を使う人が多くいます。

シェアサロンという選択

最近は、自分で店を持たずに、シェアサロンのいすを借りて独立する人も増えています。初期費用を抑えて独立できるのが特徴です。

よくある質問

美容師になるのに大学に行く必要はありますか?

必要ありません。美容師国家試験を受けるには、美容師養成施設(主に専門学校)を卒業することが条件で、4年制大学を出ただけでは受験できません。経営を学びたい人は、大学で学んでから専門学校に入り直す人もいます。

美容師国家試験は難しいですか?

春の試験の合格率は約87%(令和7年度)で、養成施設でしっかり勉強すれば多くの人が合格できます。ただし実技は練習量がものを言い、筆記はどの科目も0点だと不合格になるため、まんべんなく勉強する必要があります。

スタイリストになるまで何年かかりますか?

お店によってちがいますが、一般的に2〜3年ほどと言われます。教育を効率化して1年半ほどでデビューできる店や、4年ほどかける店もあります。

美容師の給料は低いと聞きますが本当ですか?

job tagの平均年収は約388.5万円(令和7年)で、平均年齢が30歳と若いこともあり、全職業の平均より低めです。ただし、指名客が多い人や独立して成功した人は高い収入を得ていて、差が大きい仕事です。

手荒れが心配です。

シャンプーや薬剤で手荒れする人は多いですが、手袋の着用やハンドクリームでのケアで対策できます。最近は手にやさしい薬剤や、手袋をして施術する美容室も増えています。

美容師は何歳まで働けますか?

定年のない個人店や独立開業では、60代、70代になっても働いている美容師がいます。長年通ってくれるお客さんがいれば、年齢を重ねても続けられる仕事です。

美容師免許があればネイルやまつ毛エクステもできますか?

まつ毛エクステンションは美容師免許が必要とされています。ネイルは美容師免許がなくても仕事にできますが、ネイルの技術や検定は別に学ぶ必要があります。

高校の校則で髪を染められません。美容師になれますか?

もちろんなれます。専門学校に入ってから、カラーやパーマを自分でも体験しながら学ぶ人がほとんどです。今は髪型やファッションに興味を持ち、情報を集めておくことが大切です。

男性の美容師も多いですか?

美容師は女性が多い仕事ですが、男性の美容師も多く活躍しています。メンズカットを得意とする美容室や、男性のお客さん向けのサロンも増えています。

この分野のことば

年収について:厚生労働省「job tag」の美容師の年収は約388.5万円(令和7年賃金構造基本統計調査、平均年齢30歳)。会社員の美容師を対象にした数字で、独立開業した人や業務委託の美容師は含まれていません。美容師は平均年齢が若く、20代の割合が高いことも平均値に影響しています。歩合給の割合が大きく、指名客の数によって同じ年齢でも収入差が大きくなります。

数字はすべて公開データにもとづく目安です。出典は出典・サイトポリシーにまとめています。

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