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「話す・食べる」と「見る」を取りもどす、少人数のリハビリ専門職です

言語聴覚士・視能訓練士

言語聴覚士(ST)と視能訓練士(ORT)は、どちらも国家資格のリハビリテーション・検査の専門職です。言語聴覚士は、脳卒中で言葉が出にくくなった人、生まれつき発音が苦手な子ども、耳が聞こえにくい人、うまく飲み込めない高齢者などに、話す・聞く・食べるための訓練や支援をします。視能訓練士は、眼科で視力や視野などの検査を行い、斜視や弱視の子どもの視機能を育てる訓練をする専門家です。たとえば、3歳児健診で「目の見え方に心配がある」と言われた子どもの検査や、おじいさんが病気のあともう一度家族と話せるようになるための練習を担当します。どちらも決められた養成校で学び、国家試験に合格する必要があります。

平均年収の目安約444万円約330万〜550万円(経験年数や勤め先、管理職かどうかで変わる)
なるまでの難しさ★★★★★国家試験の合格率は、言語聴覚士が66.4%(2026年実施の第28回)、視能訓練士が96.1%(2026年実施の第56回)です。視能訓練士は養成校でしっかり学べば多くの人が合格しますが、言語聴覚士は医学、言語学、心理学、音響学など学ぶ範囲がとても広く、医療系の国家試験の中でも合格率が低めです。どちらも養成校に入って3〜4年学ぶことが前提になります。
決めどき理系が中心

高校卒業後に養成校(大学・短大・専門学校)に入るのが基本。高校2〜3年で、どちらの資格を取れる学校に進むかを決める

どんな職種がある?

言語聴覚士(ST) 話す・聞く・食べる 病院 脳卒中などのリハビリ こども 発音や言葉の発達 介護・在宅 飲み込みや会話 約6割が医療機関 視能訓練士(ORT) 見る 眼科の検査 視力・視野・眼圧 斜視・弱視 子どもの検査と訓練 多くは眼科で検査 国家試験の合格率(2026年) 言語聴覚士 66.4% 視能訓練士 96.1% STは話す・食べる、ORTは見るを支える
言語聴覚士の国家試験は、医療系の中でも合格率が低めです

押すと、その職種の仕事内容・必要な力・キャリアが見られます。

言語聴覚士・視能訓練士の年収と昇進の流れ

新人(1〜3年目)300〜400万円
就職1〜3年、21〜25歳

先輩の指導を受けながら、評価・検査と訓練の基本を身につけます。一人で担当できる患者さんを増やしていくことが次の段階への条件です。

中堅スタッフ370〜470万円
就職4〜9年、25〜32歳

難しい症例も一人で担当し、後輩や実習生の指導も行います。得意な分野を見つけ、学会発表や認定資格に挑戦します。

主任・リーダー420〜520万円
就職10年前後、32〜40歳

チームのリーダーとして、業務の割りふりや新人教育を担当します。部門の運営にも関わります。

科長・技師長480〜650万円
40歳〜

リハビリ部門や眼科の検査部門全体をまとめ、病院の経営や他部門との調整にも関わります。

教員・研究者450〜800万円
大学院修了後

養成校の教員として学生を育て、研究を行います。大学の教授になると給与は大学の規程によります。

年収は目安です。会社や地域、本人の働き方で大きく変わります。

働き方で何が違う?

病院(急性期・回復期)約330万〜550万円が目安

脳卒中や頭のけが、がんなどで入院している患者さんのリハビリや検査を担当します。言語聴覚士の約6割が医療機関で働いています。チーム医療の中で専門性を発揮できます。

良いところさまざまな症例を経験でき、研修や学会の機会も多い

大変なところ担当する患者さんの数が多く、記録の仕事も多い

介護施設・訪問リハビリ病院と同じくらいか、訪問は手当で高めになることもある

介護老人保健施設やデイサービス、訪問看護ステーションなどで、高齢者の飲み込みや会話を支えます。高齢化で需要が増えている分野です。

良いところ生活の場で長く関われ、食べる楽しみを支えられる

大変なところ訪問では一人で判断する場面が多く、経験が求められる

子どもの発達支援・教育施設や自治体の給与体系による

療育センター、児童発達支援の施設、小児科、特別支援学校などで、子どもの言葉や聞こえの発達を支えます。

良いところ子どもの成長を長く見守れる

大変なところ保護者の不安に寄りそう精神的な負担もある

眼科病院・眼科クリニック約300万〜500万円が目安

視能訓練士の主な職場です。大学病院では斜視・弱視の訓練や難しい検査、クリニックでは多くの患者さんの日常的な検査を担当します。

良いところ検査の専門家として技術を磨ける

大変なところ一日の検査数が多く、集中力が求められる

代表的な会社・職場

医療機関介護施設在宅医療福祉施設教育機関
大学病院(リハビリテーション部・眼科)医療機関

難しい病気の患者さんが集まり、専門的な評価や検査、研究に関われます。

病院の給与規程による
国立病院機構の病院医療機関

全国にある国立の病院グループで、言語聴覚士や視能訓練士が働いています。

機構の給与規程による
回復期リハビリテーション病院医療機関

脳卒中などの患者さんが自宅に戻るための集中的なリハビリを行う病院です。

病院の給与規程による
眼科専門病院・眼科クリニック医療機関

白内障や緑内障の診療、手術を多く行い、視能訓練士が検査を担当します。

病院の給与規程による
介護老人保健施設介護施設

病院から自宅に戻る前の高齢者がリハビリを受ける施設です。

施設の給与規程による
訪問看護ステーション在宅医療

自宅で暮らす人を訪ねて、看護やリハビリを行う事業所です。

事業所の給与規程による
療育センター・児童発達支援事業所福祉施設

発達に心配のある子どもの支援を行う施設です。

施設や自治体の給与規程による
特別支援学校(聴覚障害など)教育機関

耳の聞こえに障害のある子どもなどの教育の場で、言語聴覚士が関わることもあります。

自治体の規程による
養成校(大学・専門学校)教育機関

経験を積んだ言語聴覚士・視能訓練士が教員として学生を育てています。

学校の給与規程による

どうやって稼いでいる?

病院で検査やリハビリを受けると 1〜3割 残りは健康保険から 患者さんが 窓口で 国が決めた点数(診療報酬) 病院の収入 そこから職員として給料を受け取る 働く場所で、お金の出どころが変わる 病院・クリニック 医療保険 介護施設・訪問 介護保険 子どもの発達支援 障害福祉の制度 3歳児健診など 自治体の事業 自分で開業する仕事ではなく、職員として働く お金のほとんどは公的な保険や制度から
窓口で払う割合は多くの場合1〜3割です

言語聴覚士や視能訓練士の仕事のお金は、多くが公的な保険から支払われています。病院でリハビリや検査を受けると、患者さんは窓口で費用の一部(多くは1〜3割)を払い、残りは健康保険から病院に支払われます。リハビリや検査には国が決めた点数(診療報酬)があり、それが病院の収入になります。介護施設や訪問リハビリでは、介護保険から支払われる介護報酬が収入になります。子どもの発達支援では、福祉の制度からのお金が施設の収入になります。言語聴覚士や視能訓練士は病院の職員として給料をもらうのが一般的で、自分で開業できる仕事ではありません。

1
医療保険(診療報酬)

病院で行う言語聴覚療法のリハビリや、眼科の検査には国が決めた点数があり、健康保険から病院に支払われます。

2
介護保険(介護報酬)

介護施設やデイサービス、訪問リハビリでの訓練は、介護保険から事業所に支払われます。

3
障害福祉の制度

子どもの発達支援の施設では、児童福祉法にもとづく制度から支払われるお金が主な収入になります。

4
自費のサービス

眼鏡やコンタクトレンズの販売、保険の対象にならない一部の訓練や相談など、自費で提供するサービスもあります。

5
健診・自治体の事業

3歳児健診での目の検査や、ことばの相談などは、自治体の事業として行われ、その費用が支払われます。

入ってからどうなっていく?

養成校(3〜4年)専門知識と実習大学、短大、専門学校の養成課程で、医学の基礎と専門科目を学びます。最終学年では、病院などで数週間ずつの臨床実習を行い、国家試験に向けて勉強します。
1〜3年目基本を身につける病院や眼科クリニックに就職し、先輩の指導を受けながら評価・検査や訓練の基本を身につけます。担当する患者さんを少しずつ増やしていきます。
4〜7年目一人前として活躍難しい症例も一人で担当し、後輩や実習生の指導を任されます。自分の得意な分野(失語症、嚥下、こども、斜視・弱視など)が見えてくる時期です。
8〜15年目専門性を深める学会で発表したり、認定資格を取ったりして専門性を深めます。病院から在宅や子どもの分野へ移るなど、働く場所を変える人もいます。
30代後半〜40代部門をまとめるリハビリ部門や眼科の検査部門の主任、科長などの管理職として、チームをまとめます。
40代〜50代教育・地域を支える養成校の教員として後進を育てたり、地域の医療・福祉のネットワークづくりに関わったりします。大学院で研究を続けて大学の教員になる人もいます。

言語聴覚士のリハビリの流れ

医師からの依頼 評価(検査) 言葉・発話・飲み込みを調べる 目標と計画 チームで決める 訓練 言葉・発音・飲み込み 再評価 改善を確かめる くり返す 計画を 見直す 退院・生活への支援 家族に会話のコツや食事の工夫を伝える 検査と訓練をくり返し、生活に戻る
病院の言語聴覚士の例
1
医師からの依頼

医師が、言葉や飲み込みのリハビリが必要と判断し、言語聴覚士に依頼します。

2
評価(検査)

言葉の理解や発話、飲み込みの状態などを、検査や観察でくわしく調べます。

3
目標と計画

チームで話し合い、退院時にどうなっていたいかという目標と、そのための訓練計画を決めます。

4
訓練

言葉の練習、発音の練習、飲み込みの練習などを、患者さんのペースに合わせて続けます。

5
再評価

定期的に検査をして、どのくらい改善したかを確かめ、計画を見直します。

6
退院・生活への支援

家族に会話のコツや食事の工夫を伝え、退院後の生活につなげます。

言語聴覚士国家試験・視能訓練士国家試験

合格率言語聴覚士66.4%(2026年第28回。受験者2,187人、合格者1,453人)、前年の第27回は72.9%。視能訓練士96.1%(2026年第56回。受験者804人、合格者773人、新卒者は98.5%)、前年の第55回は96.8%
勉強時間の目安養成校で3〜4年学ぶことが前提。最終学年は臨床実習のあと数か月かけて国家試験の勉強をする人が多い
受験資格国が指定した養成校(大学・短大・専門学校など)で必要な課程を修めた人
視能訓練士の試験は合格率が9割を超え、養成校でしっかり学べばほとんどの人が合格できます。一方、言語聴覚士の試験は合格率が7割前後かそれ以下で、医療系の国家試験の中でも低めです。言語聴覚士は医学だけでなく、言語学、心理学、音響学など文系・理系にまたがる幅広い知識が問われるためです。どちらも、養成校の授業と実習をしっかりこなし、計画的に勉強することが合格への近道です。
試験科目(押すと中身が見られます)
合格までの流れ
  1. 養成校で学ぶ3〜4年かけて、基礎医学と専門科目を学びます。
  2. 臨床実習病院などで、実際の患者さんへの評価や訓練・検査を経験します。
  3. 国家試験どちらも毎年2月に行われるマークシート式の試験です。
  4. 合格・登録合格後に名簿に登録すると、資格を名乗って働けます。

言語聴覚士・視能訓練士のある1日

8:30

(病院の言語聴覚士の場合)出勤。カルテで担当する患者さんの夜の様子や食事の状況を確認します。

9:00

リハビリ室で失語症の患者さんの訓練。絵カードを使って、物の名前を言う練習をします。

10:00

病棟で、飲み込みが心配な患者さんの朝食後の様子を確認し、食事の形について看護師と相談します。

11:00

新しく入院した患者さんの評価(検査)を行います。

12:00

病棟で昼食時に、飲み込みの訓練中の患者さんの食事の様子を観察します。

13:00

昼休み。

14:00

医師、看護師、理学療法士などとカンファレンス。退院に向けた目標を話し合います。

15:00

発音が不明瞭になった患者さんの構音訓練。口や舌の動かし方を練習します。

16:00

退院が近い患者さんの家族に、会話のコツと食事の作り方を説明します。

17:00

カルテの記録と、翌日の訓練の準備をして終業です。

もっと知りたい人へ

そもそも言語聴覚士・視能訓練士とは

言語聴覚士は、言語聴覚士法(1997年)で定められた国家資格で、話す、聞く、食べることに障害がある人の評価と訓練を行います。視能訓練士は、視能訓練士法(1971年)で定められた国家資格で、目の検査と、斜視や弱視の訓練を行います。どちらも医師の指示のもとで働く医療職で、理学療法士や作業療法士と並ぶリハビリ・検査の専門職です。人数は看護師などに比べてずっと少なく、専門性の高い仕事です。

言語聴覚士が関わる障害

言語聴覚士が関わるのは、脳の病気で言葉がうまく使えなくなる失語症、口や舌がうまく動かず発音が不明瞭になる構音障害、声が出にくくなる音声障害、言葉の発達の遅れ、吃音、耳の聞こえの障害(聴覚障害)、そして飲み込みの障害(嚥下障害)などです。人がコミュニケーションをとり、口から食べるという生活の基本を支えます。

視能訓練士が関わる検査と訓練

視能訓練士は、視力、屈折(近視や遠視の度合い)、視野、眼圧、目の奥の写真など、眼科のさまざまな検査を行います。斜視や弱視の子どもの訓練、視覚障害のある人が残された視力を生かして生活できるよう支えるロービジョンケアも担当します。

人数の少ない専門職

国の職業情報サイトによると、言語聴覚士の国家試験の合格者は毎年1,600〜2,000人程度で、累計の有資格者は2024年3月時点で4万人を超えています。視能訓練士の国家試験の合格者は、2026年の第56回で773人でした。どちらも、病院の中で少人数で専門性を発揮する仕事です。

なるためのルート

どちらの資格も、国が指定した養成校で学び、国家試験に合格する必要があります。言語聴覚士は、高校卒業後に3〜4年制の大学・短大・専門学校で学ぶのが基本です。4年制大学を卒業した人は、2年制の専門学校や大学院の専攻科で学ぶ道もあります。視能訓練士は、高校卒業後に3年制以上の専門学校、または視能訓練の課程がある4年制大学で学ぶのが基本です。短大や看護学校などで決められた科目を修めた人は、1年制の養成校で学ぶ道もあります。

  1. 高校で進路を決めるどちらの資格を目指すかを決め、養成課程のある大学・短大・専門学校を調べます。理系でも文系でも受験できる学校があります。
  2. 養成校に入学する大学なら4年、専門学校なら3年が一般的です。医学の基礎から専門科目まで学びます。
  3. 臨床実習を行う病院やクリニックなどで、実際の患者さんへの評価や訓練・検査を、指導者のもとで経験します。
  4. 国家試験に合格する言語聴覚士は毎年2月、視能訓練士も毎年2月に国家試験が行われます。
  5. 登録して就職する合格後に名簿に登録すると、言語聴覚士・視能訓練士として働けます。病院、クリニック、施設などに就職します。
大学と専門学校のちがい

大学では4年間かけて、専門科目に加えて一般教養や研究の方法も学び、卒業研究に取り組みます。専門学校は3年制が多く、早く資格を取って働き始めたい人に選ばれています。国家試験の受験資格はどちらも同じです。

大学卒業後に目指すルート

言語聴覚士は、一般の4年制大学を卒業したあとに、2年制の専門学校や大学院で学んで資格を取る人がいます。文系の学部を卒業してから目指す人もいて、社会人からの挑戦が多いのも特徴です。

試験・選考の詳細

言語聴覚士国家試験は年1回、2月に行われます。2026年2月の第28回は受験者2,187人、合格者1,453人で、合格率は66.4%でした。前年の第27回は受験者2,342人、合格者1,707人で、合格率は72.9%です。視能訓練士国家試験も年1回、2月に行われます。2026年2月の第56回は受験者804人、合格者773人で、合格率は96.1%(新卒者は98.5%)でした。前年の第55回は合格率96.8%です。

言語聴覚士の試験が難しい理由

言語聴覚士の試験は、医学、歯科学、音声・言語学、心理学、音響学、社会福祉など、とても広い範囲から出題されます。さらに、失語症、構音障害、嚥下障害、聴覚障害、子どもの言葉の発達など、専門分野も多岐にわたります。新卒以外の受験者や、大学卒業後に2年制で学んだ人も多く、合格率は医療系の国家試験の中でも低めです。

視能訓練士の試験の特徴

視能訓練士の試験は、目の解剖や生理、目の病気、検査の方法、斜視・弱視の訓練などから出題されます。範囲は目に集中しているため、養成校でしっかり学べばほとんどの人が合格します。受験者のほとんどが新卒者です。

年収のリアル

国の統計をもとにした言語聴覚士・視能訓練士の平均年収は約444万円(令和7年調査、平均36.2歳)です。ただし、この数字は理学療法士や作業療法士などとまとめて集計されています。病院の職員として働くのが一般的で、年齢や経験年数に応じて少しずつ上がる給与体系が多いです。公立の病院では地方公務員の給与体系になります。夜勤はほとんどなく、生活のリズムが安定しやすい仕事です。

給与を上げるには

主任や科長などの管理職になる、訪問リハビリなど手当のつく働き方を選ぶ、認定資格を取って専門性を高める、などの方法があります。大学の教員になる人もいます。

求人の状況

言語聴覚士は理学療法士や作業療法士に比べて人数が少なく、病院や介護施設、子どもの発達支援の施設などで求人があります。視能訓練士は眼科の病院やクリニックが主な就職先で、都市部に求人が多い傾向があります。

やりがい

言葉が出なかった患者さんが、家族の名前を呼べるようになったとき、むせて食べられなかった人が、もう一度好きなものを口から食べられるようになったときの喜びは、何にもかえられません。視能訓練士なら、弱視の子どもの視力が訓練でぐんぐん伸びていく様子を、保護者と一緒に喜べます。人が人らしく生きるための「話す」「食べる」「見る」を支える、とても意味のある仕事です。

一人ひとりとじっくり向き合える

リハビリは、一人の患者さんと何週間、何か月もかけて行います。小さな変化を一緒に喜び、信頼関係を築きながら進められることが、この仕事の魅力です。

チーム医療の一員として

医師、看護師、理学療法士、作業療法士、管理栄養士などとチームで患者さんを支えます。言語聴覚士や視能訓練士の専門的な意見が、治療方針に生かされます。

大変なこと・きついこと

言語聴覚士の訓練は、成果が出るまでに長い時間がかかることが多く、なかなか改善しない患者さんもいます。患者さん本人や家族の落ち込みに向き合う精神的な負担もあります。飲み込みの訓練では、誤嚥のリスクがあるため、常に細心の注意が必要です。視能訓練士は、一日に多くの患者さんの検査を正確にこなす必要があり、集中力が求められます。どちらも職場の人数が少ないため、一人で多くの患者さんを担当することもあります。

職場に同じ職種が少ない

病院によっては言語聴覚士が数人しかいないこともあり、相談相手が少なく感じることがあります。学会や研修会で、ほかの病院の言語聴覚士とつながって学ぶ人が多いです。

学び続ける必要

医療は日々進歩していて、新しい検査方法や訓練方法が出てきます。就職後も、研修会や学会で学び続ける必要があります。

向いている人

人の話をじっくり聞くことができ、相手のペースに合わせて関われる人に向いています。言語聴覚士は、なかなか言葉が出ない人を待つ忍耐力や、相手の気持ちをくみ取る力が大切です。視能訓練士は、機械を正確に扱う几帳面さと、子どもから高齢者まで幅広い人に合わせて声をかけられる柔軟さが求められます。どちらも、小さな変化に気づく観察力が大きな武器になります。

言葉や心に興味がある人に

言語聴覚士の勉強には、言語学や心理学の内容もたくさん含まれます。人がどうやって言葉を覚え、話すのかに興味がある人は、楽しく学べるはずです。

子どもが好きな人に

言語聴覚士の子どもの分野や、視能訓練士の斜視・弱視の訓練では、子どもと関わる機会が多くあります。遊びの中で検査や訓練を進められる人が活躍しています。

高校生のうちにできること

養成校の入試では、生物、化学、数学、英語、国語などが課されることが多いです。特に生物(体の仕組み、神経、感覚器)は入学後の学びに直結します。言語聴覚士を目指すなら、国語や英語で言葉の仕組みに興味を持つことも役立ちます。病院の見学や、医療系の職業体験イベント、養成校のオープンキャンパスに参加して、実際の仕事を見ておくのもおすすめです。

文系でも目指せる?

言語聴覚士の養成校には、文系の科目で受験できる学校もあります。言語学や心理学など文系的な内容も多いため、文系出身で活躍している人もいます。ただし、入学後は医学や生物の勉強が多いので、生物の基礎は学んでおくと安心です。

ボランティア体験

高齢者施設や、障害のある子どもが通う施設でのボランティアに参加すると、コミュニケーションに困っている人の気持ちを知るきっかけになります。

代表的な会社・職場

言語聴覚士の職場は、国の職業情報サイトによると医療機関が全体の6割を占め、そのほか介護施設、福祉施設、複合施設が多いとされています。具体的には、大学病院、総合病院、リハビリテーション病院、介護老人保健施設、訪問看護ステーション、子どもの発達支援センター、特別支援学校などです。視能訓練士の職場は、大半が病院や眼科診療所などの医療機関で、大学病院の眼科、総合病院の眼科、眼科クリニックのほか、眼鏡店や医療機器メーカーで働く人もいます。

回復期リハビリテーション病院

脳卒中や骨折などの治療を終えた患者さんが、自宅に戻るための集中的なリハビリを受ける病院です。言語聴覚士が多く働いている職場の一つです。

眼科クリニック

地域の眼科クリニックでは、視能訓練士が毎日たくさんの患者さんの検査を担当します。白内障の手術を多く行うクリニックでは、手術前の検査も重要な仕事です。

大学の学部・学科とのつながり

言語聴覚士の養成課程は、大学ではリハビリテーション学部、保健医療学部、医療福祉学部などの中に「言語聴覚学科」「言語聴覚療法学専攻」として置かれていることが多いです。たとえば、国際医療福祉大学、北里大学、新潟医療福祉大学、川崎医療福祉大学などに言語聴覚の課程があります。視能訓練士の養成課程は、大学では医療技術学部や保健医療学部の「視能矯正学科」「視能療法学科」として置かれています。たとえば、北里大学医療衛生学部、川崎医療福祉大学、帝京大学医療技術学部などに視能訓練士の課程があります。

どの学部に置かれているか

同じ資格でも、大学によって学部や学科の名前が違います。「リハビリテーション学部」「保健医療学部」「医療技術学部」「医療福祉学部」などの中に置かれていることが多いので、学部名だけでなく、取れる資格で学校を探すとよいです。

4年制大学から2年制へ

言語聴覚士は、心理学部、文学部(言語学)、教育学部などの4年制大学を卒業してから、2年制の養成校に入り直す人もいます。大学で学んだ言語学や心理学の知識が、言語聴覚士の仕事に役立ちます。

専門学校の割合

国の職業情報サイトでは、視能訓練士で働く人は専門学校卒が多いとされ、言語聴覚士は大卒と専門学校卒の両方が多いとされています。大学か専門学校かは、学びたい内容や学費、通える場所で選ぶ人が多いです。

大学院は必要?

言語聴覚士・視能訓練士として病院で働くのに、大学院は必要ありません。養成校を卒業して国家試験に合格すれば働けます。ただし、研究者や養成校の教員を目指す場合は、大学院で修士や博士を取ることが多いです。働きながら社会人大学院に通い、臨床で感じた疑問を研究する人もいます。大学院の専攻科で言語聴覚士の資格を取るルートもあります。

教員・研究者になる道

大学の言語聴覚学科や視能矯正学科の教員の多くは、臨床経験を積んだあと大学院で学位を取っています。失語症や嚥下、視機能の研究を通じて、新しい評価方法や訓練方法を生み出す仕事です。

認定資格で専門性を高める

大学院に行かなくても、日本言語聴覚士協会の認定言語聴覚士など、職能団体の認定制度で専門性を高めることができます。

よくある質問

言語聴覚士と理学療法士・作業療法士はどう違いますか?

理学療法士は立つ・歩くなど体の動き、作業療法士は着替えや料理など生活の動作、言語聴覚士は話す・聞く・食べることのリハビリを担当します。三つの職種がチームで患者さんを支えます。

視能訓練士と眼科医はどう違いますか?

眼科医は目の病気を診断し、治療や手術を行う医師です。視能訓練士は、医師の指示のもとで検査や訓練を行う専門職です。医師が正しく診断するためのデータを集める大切な役割です。

言語聴覚士の国家試験は難しいですか?

合格率は66.4%(2026年の第28回)で、医療系の国家試験の中では低めです。学ぶ範囲が広いため、養成校の授業と計画的な勉強が大切です。

文系でもなれますか?

なれます。文系の科目で受験できる養成校もあります。入学後は医学や生物を学ぶので、生物の基礎を学んでおくと安心です。

男性も働いていますか?

女性が多い職種ですが、男性の言語聴覚士・視能訓練士も働いています。

子どもと関わる仕事がしたいのですが?

言語聴覚士なら子どもの発達支援や療育の分野、視能訓練士なら斜視・弱視の訓練や小児眼科で、子どもと多く関わることができます。

結婚や出産のあとも続けやすいですか?

国家資格なので、一度離れても復職しやすい仕事です。夜勤がほとんどなく、パートタイムで働く人もいます。

開業はできますか?

医師の指示のもとで働く職種なので、自分で病院のように開業することはできません。ただ、言語聴覚士が訪問リハビリの事業所の管理者になったり、保険外の相談サービスを行ったりする例はあります。

どの学校を選べばいいですか?

国家試験の合格率、実習先の病院、卒業生の就職先、学費、通える場所などを比べましょう。オープンキャンパスで在校生や先生に話を聞くのがおすすめです。

この分野のことば

年収について:厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)」の言語聴覚士・視能訓練士の平均年収443.6万円(令和7年賃金構造基本統計調査をもとにした目安、平均36.2歳)。統計上は理学療法士・作業療法士などとまとめて集計されているため、両方の職業で同じ数字になっています。病院の給与体系によって差があります。

数字はすべて公開データにもとづく目安です。出典は出典・サイトポリシーにまとめています。

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