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会社の「成績表」がウソをついていないか確かめる、お金の名探偵

公認会計士

公認会計士は、会社が発表する決算書(会社の1年間の成績表)が正しいかどうかをチェックする「監査」を、法律で独占的に行える国家資格の仕事です。たとえば、みなさんが知っているトヨタやソニー、任天堂のような上場会社は、毎年もうけや財産を発表していますが、その数字にまちがいやウソがないかを、会社の外の立場から確かめるのが公認会計士です。監査のほかにも、会社の買収(M&A)のときの調査、新しく株式市場に上場したい会社の手伝い、税金の相談、コンサルティングなど、お金と数字にかかわる幅広い仕事をしています。2025年末の時点で、日本公認会計士協会の会員・準会員は44,465人です。

平均年収の目安約811万円監査法人の1年目で年収500万円前後から、マネージャーで1,000万円前後、パートナーでそれ以上
なるまでの難しさ★★★★★公認会計士試験は、2025年(令和7年)の最終合格率が7.4%で、弁護士の司法試験と並ぶ最難関の国家試験の一つです。受験資格に制限はなく誰でも受けられますが、会計・監査・法律・税金と範囲がとても広く、合格者の多くは大学在学中から2〜3年かけて専門学校で勉強しています。合格したあとも3年以上の実務経験と実務補習、最後の修了考査があり、正式に公認会計士になるまでには長い道のりがあります。
決めどき文系・理系どちらでも

大学1〜2年で受験を決める人が多い(高校生のうちに簿記を始める人もいる)

どんな職種がある?

押すと、その職種の仕事内容・必要な力・キャリアが見られます。

公認会計士の年収と昇進の流れ

監査法人での段階(年収は目安) スタッフ 1〜3年目 500〜650万円 シニアスタッフ 4〜7年目 600〜850万円 マネージャー 8〜12年目 900〜1,200万円 シニアマネージャー 12〜15年目 1,100〜1,400万円 パートナー 15年目前後〜 1,500〜3,000万円 シニアスタッフで公認会計士に登録 この時期に転職する人も多い パートナーは監査報告書に名前を書く
段階ごとの金額は監査法人の一般的な目安で、法人や評価によって差があります
スタッフ500〜650万円
入所1〜3年目(20代前半〜半ば)

監査の現場で、決算書の一部分を担当します。実務補習に通いながら、3年以上の実務経験と修了考査の合格を目指します。

シニアスタッフ600〜850万円
4〜7年目(20代後半〜30代前半)

公認会計士として登録し、現場のチームをまとめるインチャージを担当します。会社の担当者とのやりとりの中心になり、後輩の指導も行います。

マネージャー900〜1,200万円
8〜12年目(30代)

複数の会社の監査を管理し、スケジュールやメンバーの調整、会社の役員との話し合いを担当します。成果と評価によってシニアマネージャーへ進みます。

シニアマネージャー1,100〜1,400万円
12〜15年目(30代後半〜40代前半)

大きな会社の監査の実質的な責任者として、難しい判断を担います。パートナーになるための審査に向けて、実績を積む段階です。

パートナー1,500〜3,000万円
15年目前後〜(40代〜)

監査法人の共同経営者として監査報告書に名前を書き、最終的な責任を負います。新しいお客さんを獲得することや、法人の経営にも関わります。

年収は目安です。会社や地域、本人の働き方で大きく変わります。

働き方で何が違う?

Big4監査法人1年目で500万円前後から、マネージャーで1,000万円前後が目安

トーマツ、あずさ、EY新日本、PwC Japanの4つの大手監査法人です。日本を代表する大企業や外資系企業の監査を多く担当し、世界的な会計事務所のネットワークにつながっています。研修制度が充実していて、合格者の多くが最初に就職する職場です。アドバイザリーや税理士法人などのグループ会社への異動の道もあります。

良いところ大きな会社の仕事、海外駐在、充実した研修、キャリアの選択肢の広さ

大変なところ組織が大きく、若いうちは仕事の一部分しか見えにくいことがある

準大手・中小監査法人Big4と近い水準から、法人によってやや低めまでさまざま

Big4以外の監査法人で、上場会社や中堅企業、学校法人などの監査を担当します。チームが小さいので、若いうちから監査の全体を見渡し、会社の役員と直接話す機会が多いといわれます。仕事の進め方を自分で工夫しやすい職場です。

良いところ早くから幅広い経験が積める、経営者と近い

大変なところ海外案件や研修の数はBig4より少ないことが多い

事業会社(経理・財務・CFO)会社によるが、大企業の管理職では1,000万円を超えることも

メーカー、商社、IT企業などに社員として入り、決算書を作る側として働きます。会社の経営に近いところで数字を扱い、将来はCFOを目指すこともできます。監査法人での経験が評価されて転職する人が多いです。

良いところ経営に近い、働き方が安定しやすい

大変なところ会社の給料体系に合わせるため、年収が下がる場合もある

独立開業お客さんの数によって大きく変わる

自分の会計事務所を開いて、中小企業の会計・税金・経営の相談、学校法人などの監査、社外役員などを手がけます。どんな仕事をどれだけ受けるかを自分で決められます。

良いところ自由度が高く、定年がない、経営者の相談相手になれる

大変なところ営業が必要で、軌道に乗るまで収入が不安定なこともある

代表的な会社・職場

Big4監査法人準大手監査法人Big4系アドバイザリー税務企業内会計士官公庁
有限責任監査法人トーマツ ›Big4監査法人

デロイト トウシュ トーマツのメンバーファームで、日本の大企業や上場会社の監査を多く担当しています。

有限責任あずさ監査法人 ›Big4監査法人

KPMGのメンバーファームで、上場会社の監査やIPO支援、金融機関の監査などを行っています。

EY新日本有限責任監査法人 ›Big4監査法人

EY(アーンスト・アンド・ヤング)のメンバーファームで、数百社を超える上場会社をクライアントにしています。

PwC Japan有限責任監査法人 ›Big4監査法人

PwCのメンバーファームで、監査に加えてサステナビリティ(環境などの情報)の保証などにも力を入れています。

太陽有限責任監査法人準大手監査法人

Big4に次ぐ規模の監査法人の一つで、上場会社や中堅企業の監査を担当しています。

デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーBig4系アドバイザリー

トーマツのグループで、M&Aの調査、企業価値評価、事業再生などを専門に行っています。

KPMG FASBig4系アドバイザリー

あずさ監査法人と同じKPMGのグループで、M&Aや事業再生の財務アドバイスを行っています。

税理士法人(Big4グループ)税務

デロイト トーマツ税理士法人、KPMG税理士法人、EY税理士法人、PwC税理士法人など、大企業の税金や国際税務を専門にする法人です。

事業会社の経理・財務部企業内会計士

メーカー、商社、IT企業などで、決算書の作成や資金調達、M&Aの判断を担当します。

金融庁・公認会計士・監査審査会官公庁

監査法人の仕事の質をチェックし、会計や監査のルールを整える国の機関で、公認会計士が任期付き職員として働くこともあります。

›がついた会社は、会社図鑑で詳しく解説しています。

どうやって稼いでいる?

上場会社など 決算書の監査を受ける 監査法人 会社の規模と、かかる時間で料金 公認会計士 監査法人から給料を受け取る 監査チーム 監査報酬 毎年の契約 給料 パートナーになると、法人のもうけを分け合う 監査のほかにも、こんな稼ぎ方 アドバイザリー M&Aの調査や 会社の値段の計算 IPO支援 上場したあとは 毎年の監査契約へ 税務・会計顧問 毎月決まった額の 顧問料 社外役員 上場会社などから 役員報酬 毎年の監査報酬 + プロジェクトの報酬 = 監査法人の収入
監査の料金は、会社の規模や監査にかかる時間によって決まります

公認会計士が働く監査法人は、監査を受ける会社から「監査報酬」を受け取って運営されています。たとえば、ある上場会社は、1年間の監査の料金として監査法人にお金を払い、監査法人はその会社に公認会計士のチームを送り込みます。監査の料金は、会社の規模や、監査にかかる時間によって決まります。アドバイザリーやコンサルティングでは、プロジェクトごとの料金や、働いた時間に応じた料金(タイムチャージ)を受け取ります。公認会計士は、雇われていれば監査法人や会社から給料を受け取り、パートナーになると法人のもうけを分け合う立場になります。

1
監査報酬

上場会社や大きな会社が、決算書の監査を受けるために監査法人に払う料金です。毎年の契約なので、監査法人にとって安定した収入の柱になります。

2
アドバイザリー報酬

M&Aの調査、会社の値段の計算、不正の調査、会社の立て直しの支援などで、プロジェクトごとに受け取る料金です。大きな案件では大きな金額になります。

3
IPO支援の報酬

上場を目指す会社に、準備のアドバイスや上場前の監査を行うことで受け取る料金です。上場したあとは、毎年の監査の契約につながります。

4
税務・会計顧問の報酬

会社や個人の税金の申告や、日々の会計の相談にのることで受け取る料金です。毎月決まった額の顧問料を受け取る形が多く、独立した会計士の経営の土台になります。

5
社外役員の報酬

上場会社などの社外監査役や社外取締役になると、その会社から役員報酬を受け取ります。経験豊富な公認会計士が務めることが多い役割です。

入ってからどうなっていく?

大学在学中受験生大学1〜2年ごろから専門学校(予備校)に通い、簿記や会計の勉強を始める人が多いです。12月と5月の短答式試験、8月の論文式試験を受け、11月に合格発表があります。2025年の合格者の平均年齢は24.6歳で、合格者の55.3%が学生でした。
合格〜1年目監査法人に入所・スタッフ合格者の多くは、合格発表のあとに監査法人に入ります。大学在学中に合格した人は、大学に通いながら非常勤で働き、卒業後に正式に働き始めることもあります。先輩の指導を受けながら、監査の基本的な作業を覚えます。
1〜3年目スタッフ・実務補習監査の現場で、売上や現金など決算書の一部分を担当します。働きながら、週末や夜に「実務補習」という研修に通い、3年かけて単位をとります。3年以上の実務経験を積み、最後の「修了考査」に合格すると、正式に公認会計士として登録できます。
4〜7年目シニアスタッフ・公認会計士登録公認会計士として登録し、現場のチームをまとめるシニアスタッフ(インチャージ)になります。この時期に、アドバイザリー会社、事業会社の経理、ベンチャー企業、コンサルティング会社などへ転職する人が多いです。海外の事務所に駐在する人もいます。
8〜12年目マネージャー複数の会社の監査を管理し、スケジュールやチームのメンバーの調整、会社の役員との話し合いを担当します。若手の育成も大切な仕事になります。独立して自分の事務所を開く人も出てくる時期です。
40代前後〜パートナー・CFO・独立監査法人のパートナーとして、監査報告書に名前を書いて責任を負い、法人の経営にも関わります。事業会社に転じた人は経理部長やCFOに、独立した人は事務所の経営者として活躍します。上場会社の社外役員を務める人もいます。
50代以降経験を社会に生かす時期監査法人には定年がありますが、そのあとも独立して、社外役員や大学の教員、自治体の監査委員など、経験を生かした仕事を続ける人が多いです。資格に定年はないので、長く働き続けられます。

会社の決算をチェックする1年

1
監査の計画(夏〜秋)

担当する会社のビジネスや、前の年の決算書を調べて、どこにまちがいが起きやすいかを考え、監査の計画を立てます。たとえば、新しく海外に工場を作った会社なら、その工場のお金の流れを重点的に調べます。

2
内部統制の確認(秋〜冬)

会社の中で、まちがいや不正を防ぐ仕組みがきちんと働いているかを確かめます。たとえば、商品を出荷したときに必ず伝票が作られているかを、サンプルを選んでチェックします。

3
四半期レビュー(3か月ごと)

上場会社は3か月ごとにも決算を発表するので、その数字に大きな問題がないかを確認します。

4
期末の手続き(3月末前後)

決算日には、倉庫の在庫を数える棚卸に立ち会い、取引先や銀行に残高を確認する手紙を送ります。

5
期末監査(4〜5月)

会社が作った決算書の数字を、一つずつ根拠の資料と照らし合わせて確かめます。一番忙しい時期です。

6
審査と監査報告書(5〜6月)

チームの結論を、監査法人の中の別の公認会計士がもう一度チェック(審査)します。問題がなければ、パートナーが監査報告書に名前を書いて会社に出します。

7
株主総会と翌年への準備(6月〜)

決算書と監査報告書は株主総会で報告され、世の中に公開されます。チームはその年の反省をいかして、翌年の監査の計画づくりを始めます。

公認会計士試験(短答式・論文式)+修了考査

受験資格の制限なし(だれでも受験できる) 短答式試験(12月・5月) マークシートで4科目 論文式試験(8月) 3日間で5科目を記述式 公認会計士試験に合格 最終合格率7.4%(2025年) 実務経験 監査法人などで3年以上 実務補習 原則3年、講義と考査 + 修了考査 合格率76.4%(2025年度) 公認会計士として登録 合格者の平均年齢は24.6歳 55.3%が学生(2025年)
短答式に合格すると、その後2年間は短答式が免除されます
合格率最終合格率7.4%(2025年・令和7年、願書提出者22,056人のうち合格1,636人)
勉強時間の目安大学在学中から2〜3年かけて合格する人が多い(2025年の合格者の平均年齢24.6歳、55.3%が学生)
受験資格制限なし(年齢・学歴・国籍を問わず誰でも受験できる)
公認会計士試験の最終合格率は2025年で7.4%で、弁護士の司法試験(受験資格を得るための予備試験の合格率は2025年で3.64%)と並び、文系の国家資格の中で最難関クラスといわれます。範囲は会計、監査、法律、税金、経営と広く、短答式と論文式の両方に合格しなければなりません。一方で、受験資格の制限がなく、大学在学中に合格する人が多いのも特徴です。合格後も、働きながら実務補習と修了考査に取り組む必要があります。
試験科目(押すと中身が見られます)
合格までの流れ
  1. 短答式試験(12月・5月)年2回のマークシート試験で、4科目・500点満点です。合格すると、その後2年間は短答式が免除されます。
  2. 論文式試験(8月)3日間で5科目の記述式試験を受けます。11月に合格発表があり、合格すると公認会計士試験の合格者になります。
  3. 実務経験(3年以上)監査法人などで、監査や会計の仕事を3年以上経験します。
  4. 実務補習(原則3年)実務補習所で講義や考査、課題研究を受けて単位をとります。
  5. 修了考査実務補習の最後の試験です。2025年度の合格率は76.4%でした。
  6. 公認会計士登録日本公認会計士協会に登録して、正式に公認会計士になります。

公認会計士のある1日

8:45

監査を担当している会社の会議室に出勤します。公認会計士は、監査のあいだは担当先の会社に通うことが多いです。

9:00

チームで朝の打ち合わせをします。その日に調べる項目と、だれが何を担当するかを確認します。

9:30

会社の経理担当者にヒアリングをします。たとえば「この月だけ売上が急に増えているのはなぜですか」と質問し、理由と証拠の資料を出してもらいます。

11:00

請求書や契約書、銀行の記録を一つずつ照らし合わせ、帳簿の数字の根拠を確かめます。

12:00

チームのメンバーと昼食をとります。

13:00

会計データを分析ツールにかけて、休日に入力された取引や、金額が不自然な取引がないかを調べます。

15:00

調べた内容を監査調書という記録にまとめます。あとで誰が見てもわかるように、根拠と結論を書き残します。

16:30

マネージャーに進み具合を報告し、気になった点について相談します。

17:30

会社を出て、事務所またはオンラインで別の会社の資料を確認します。

18:30

帰宅します。決算が集中する4〜5月は忙しく、夜遅くまで働く日もありますが、夏は長めの休みをとりやすい職場が多いです。

もっと知りたい人へ

そもそも公認会計士とは

公認会計士は、公認会計士法という法律で定められた国家資格で、「監査及び会計の専門家として、独立した立場において、財務書類その他の財務に関する情報の信頼性を確保すること」を使命としています。たとえば、みなさんがお小遣い帳をつけていて、親に「今月はこれだけ使った」と見せるとき、本当にそのとおりかを第三者がレシートと照らし合わせて確かめるようなものです。会社の場合、その帳簿の金額は何百億円、何兆円にもなり、たくさんの投資家や銀行がその数字を信じてお金を出します。だからこそ、会社から独立した立場で数字をチェックする公認会計士が必要なのです。

医師・弁護士と並ぶ三大国家資格

公認会計士は、医師、弁護士と並んで「三大国家資格」と呼ばれることがあります。どれも難しい試験を通らなければなれず、その資格を持つ人だけができる独占業務がある点が共通しています。公認会計士の独占業務は「監査」です。

税理士とのちがい

税理士は、税金の申告や相談を専門にする資格です。公認会計士は監査を専門にしていますが、税理士として登録すれば税金の仕事もできます。一方で、税理士は監査をすることはできません。

なぜ監査が必要なのか

もし会社が実際よりもうかっているように見せかけた決算書を発表すると、それを信じて株を買った人が大きな損をします。過去には、大きな会社が決算書の数字をごまかしていた事件がいくつも起きました。監査は、そうした不正を防ぎ、お金の流れの信頼を守るための社会の仕組みです。

なるためのルート

公認会計士になるには、公認会計士試験(短答式と論文式)に合格し、3年以上の実務経験を積み、実務補習所での研修を修了して、最後の修了考査に合格する必要があります。そのうえで日本公認会計士協会に登録すると、正式に公認会計士を名乗れます。公認会計士試験には年齢・学歴などの受験資格の制限がなく、高校生でも受験できます。2025年の試験では最年少16歳の合格者が出ています。

  1. 簿記の勉強を始めるまずは日商簿記などで、会社のお金の記録のつけ方(簿記)の基本を学ぶ人が多いです。高校生のうちに簿記検定に挑戦する人もいます。
  2. 専門学校などで試験勉強大学に通いながら専門学校の講座を受け、会計学、監査論、企業法などを本格的に勉強します。
  3. 短答式試験に合格12月と5月の年2回あるマークシートの試験で、財務会計論、管理会計論、監査論、企業法の4科目です。
  4. 論文式試験に合格8月に3日間で行われる記述式の試験で、会計学、監査論、企業法、租税法と選択科目の5科目です。合格すると公認会計士試験の合格者になります。
  5. 監査法人などで実務経験(3年以上)と実務補習監査法人などで働きながら、実務補習所に通って単位をとります。
  6. 修了考査に合格し、登録実務補習を修了したら修了考査を受けます。合格して日本公認会計士協会に登録すると、公認会計士として名乗れるようになります。
大学在学中の合格が多い

2025年の合格者のうち55.3%が学生でした。大学1〜2年生から専門学校に通い、在学中に合格して、卒業前から監査法人で働き始める人もいます。どの学部からでも目指せますが、商学部、経済学部、経営学部の学生が多いです。

実務経験は3年以上に

2023年の法律の改正で、登録に必要な実務経験の期間が2年以上から3年以上に延びました。多くの人は、監査法人で働きながらこの実務経験を積みます。一般の会社の経理部などで経験を積む方法もあります。

社会人から目指す人も

働きながら、または会社を辞めて勉強に専念して合格する社会人もいます。2025年の合格者の最年長は54歳でした。

試験・選考の詳細

公認会計士試験は、短答式試験と論文式試験の2段階です。2025年(令和7年)の試験では、願書を出した人が22,056人、短答式試験の受験者19,800人のうち合格者は2,409人、論文式試験の受験者4,665人のうち最終合格者は1,636人で、最終合格率は7.4%でした。論文式試験の合格基準は、全体の得点比率52.2%以上で、さらに1科目でも40%未満の科目があると不合格になります。短答式試験に一度合格すると、その後2年間は短答式試験が免除され、論文式試験に集中できます。

短答式試験の科目

短答式試験は、財務会計論(120分・200点)、管理会計論、監査論、企業法(各60分・100点)の4科目で、合計500点満点のマークシート試験です。財務会計論には、簿記の計算問題と、会計のルールについての理論問題が出ます。

論文式試験の科目

論文式試験は、会計学(300分・300点)、監査論、企業法、租税法、選択科目(各120分・100点)の5科目で、3日間にわたって行われます。選択科目は、経営学、経済学、民法、統計学から1つを選びます。

修了考査

試験合格後、実務補習を修了した人が受ける最後の試験です。2025年度(令和7年度)の修了考査は受験者1,785人、合格者1,364人で、合格率は76.4%でした。

監査法人の採用

大手監査法人は、論文式試験の合格発表(11月)の直後に採用活動を行い、多くの合格者がその年の12月や翌年2月ごろに入所します。

年収のリアル

公認会計士の年収は、厚生労働省のjob tagによると約811万円(令和7年賃金構造基本統計調査をもとにした目安、平均年齢42.2歳)です。監査法人に入った1年目でも、ほかの大学卒の仕事より高めの給料から始まることが多いといわれます。そこから、シニアスタッフ、マネージャー、パートナーと段階が上がるごとに年収も大きく上がっていく仕組みです。事業会社に転職したり独立したりすると、年収は会社や本人の働き方によって大きく変わります。

残業代とボーナス

監査法人では、決算が集中する時期に残業が多くなり、そのぶん残業代が年収に加わります。ボーナスは、法人の業績や本人の評価によって変わります。

パートナーになると

パートナーは監査法人の共同経営者で、法人のもうけから報酬を受け取ります。責任は重くなりますが、年収も大きく上がるといわれます。

資格の安心感

公認会計士の資格を持っていれば、監査法人を離れても、事業会社、コンサルティング会社、金融機関などで評価されます。転職しやすく、収入が安定しやすいことも大きな魅力です。

やりがい

公認会計士のやりがいは、会社のお金の流れを通じて、社会の信頼を支えられることです。自分がチェックした決算書を、何万人もの投資家が信じて判断の材料にします。また、仕事を通じてさまざまな業界の会社の内側を見られるので、たとえば自動車メーカー、テレビ局、鉄道会社、ゲーム会社など、いろいろなビジネスの仕組みを深く知ることができます。若いうちから会社の役員と直接話す機会があるのも、この仕事ならではです。

キャリアの選択肢が広い

監査の経験を積んだあとは、M&A、コンサルティング、事業会社の経理やCFO、ベンチャー企業、独立など、たくさんの道があります。資格が「一生使えるパスポート」になります。

数字で会社を理解できる

決算書を読めるようになると、ニュースで見る会社がどのくらいもうかっていて、どこにお金を使っているのかがわかるようになります。ビジネスの世界を数字で読み解く力は、どんな仕事でも役立ちます。

働き方を選びやすい

監査法人は、繁忙期以外は休みをとりやすく、在宅勤務を取り入れているところも多いといわれます。子育て中の人が時短勤務で働くこともできます。

大変なこと・きついこと

公認会計士になるまでの試験勉強はとても大変で、何年も勉強を続ける覚悟が必要です。監査法人に入ってからも、多くの会社の決算が集中する4〜5月などの繁忙期は、夜遅くまで働く日が続くことがあります。監査は会社から見ると「チェックされる」仕事なので、厳しいことを伝えなければならない場面もあります。会計のルールや税金の法律は毎年のように変わるので、勉強も一生続きます。

責任の重さ

もし見逃した不正があとで発覚すると、監査を担当した公認会計士や監査法人が責任を問われることがあります。一つ一つの確認作業をていねいに行う必要があります。

地道な作業

監査の仕事には、大量の資料を一つずつ照らし合わせる地道な作業が多くあります。最近はデータ分析ツールなどで効率化が進んでいますが、細かい作業が苦手な人には大変に感じることもあります。

向いている人

公認会計士に向いているのは、数字を扱うのが好きで、細かいところまで気を配れる人です。といっても、難しい数学が必要なわけではなく、足し算や引き算、割合の計算が正確にできれば大丈夫です。それよりも、「なぜこの数字になるのか」を考える論理的な思考力や、会社の人から話を聞き出すコミュニケーション力が大切です。長い試験勉強を乗り越えるための、計画的にコツコツ努力できる力も必要です。

文系・理系どちらでも

公認会計士試験の科目は会計・法律・経営などで、文系の学部の学生が多いですが、理系の学生も合格しています。選択科目には統計学もあり、数学が得意な人の強みも生かせます。

正義感と冷静さ

会社にとって都合の悪いことでも、まちがいはまちがいと伝えなければなりません。相手に流されない芯の強さと、冷静に話し合える落ち着きが求められます。

高校生のうちにできること

高校生のうちにできる一番の準備は、簿記の勉強を始めてみることです。日商簿記3級は、会社のお金の記録のつけ方の基本を学べる試験で、高校生でもたくさんの人が合格しています。商業高校では簿記の授業があり、在学中に2級や1級に合格する人もいます。また、ニュースで会社の決算発表を見て、「この会社は今年もうかったのか」を意識してみると、数字への興味が広がります。

家計簿やお小遣い帳をつける

自分のお金の出入りを記録してみると、簿記の考え方の入り口になります。何にいくら使ったかを分類して、月ごとにまとめるだけでも、お金の流れを見る目が育ちます。

大学選びの考え方

公認会計士はどの学部からでも目指せますが、商学部、経営学部、経済学部では会計の授業が多く、勉強と試験の内容が重なります。大学によっては、公認会計士を目指す学生向けの講座や奨学金を用意しているところもあります。

英語も大切に

大手監査法人は海外の会計事務所と提携していて、英語の資料を読んだり、海外のチームとやりとりしたりする機会があります。英語ができると、海外駐在などのチャンスも広がります。

代表的な会社・職場

公認会計士の最大の職場は監査法人です。とくに大きな4つの監査法人、有限責任監査法人トーマツ、有限責任あずさ監査法人、EY新日本有限責任監査法人、PwC Japan有限責任監査法人は「Big4(ビッグフォー)」と呼ばれ、世界的な会計事務所のグループに加わっています。そのほか、準大手や中小の監査法人、Big4グループのアドバイザリー会社や税理士法人、事業会社の経理・財務部、コンサルティング会社、金融機関、官公庁など、職場は多岐にわたります。

準大手・中小監査法人

Big4ほど大きくはありませんが、上場会社の監査を担当する監査法人がたくさんあります。たとえば太陽有限責任監査法人などが準大手と呼ばれます。チームが小さいぶん、若いうちから幅広い仕事を任されることが多いといわれます。

官公庁

金融庁や公認会計士・監査審査会では、監査法人の仕事の質をチェックする仕事があり、公認会計士が任期付きの職員として働くこともあります。

監査法人の仕事の1年

監査の仕事には、はっきりとした1年のリズムがあります。日本の多くの会社は3月末に1年の決算をしめるので、4〜5月はたくさんの会社の決算書のチェックが集中する一番の繁忙期です。夏以降は、3か月ごとの決算(四半期)のチェックや、翌年に向けた計画づくり、社内のチェック体制(内部統制)の確認などを行います。繁忙期が終わる6月以降は、まとまった休みをとりやすくなります。

期中監査と期末監査

1年の途中に行う監査を期中監査、決算のあとに行う監査を期末監査と呼びます。期中に会社の仕組みや取引の流れを理解しておくことで、期末の監査をスムーズに進められます。

内部統制監査

上場会社では、決算書そのものに加えて、会社の中でまちがいや不正を防ぐ仕組み(内部統制)がきちんと働いているかも監査します。たとえば、お金を払うときに上司の承認が必ず必要になっているか、といった点を確かめます。

Big4と中小監査法人・独立のちがい

同じ公認会計士でも、どこで働くかによって仕事の内容や働き方が変わります。Big4は、世界的な大企業の監査や大型のM&Aなど、規模の大きな仕事が多く、研修制度も充実しています。中小の監査法人では、一人が担当する範囲が広く、若いうちから会社の役員と直接やりとりする機会が多いといわれます。独立すると、地域の中小企業の会計や税金、経営の相談役として、お客さんと近い距離で仕事ができます。

Big4の強み

海外の提携事務所とつながっているので、海外駐在や、外国の会社の監査を担当するチャンスがあります。アドバイザリーなど、監査以外の部門への異動の選択肢も多いです。

中小・独立の強み

会社全体の動きが見えやすく、経営者と近い距離で仕事ができます。自分の裁量で働き方を決めやすいのも魅力です。

よくある質問

公認会計士試験は誰でも受けられますか?

はい、年齢や学歴、国籍などの受験資格の制限はありません。高校生でも受験でき、2025年の試験では16歳の合格者も出ています。

数学が苦手でも公認会計士になれますか?

なれます。公認会計士試験で必要な計算は、主に足し算・引き算・かけ算・割り算や割合の計算です。難しい数学よりも、正確に計算する力と、ルールを理解して当てはめる力のほうが大切です。

公認会計士試験に合格するにはどのくらい勉強しますか?

多くの合格者は、大学1〜2年ごろから専門学校に通い、2〜3年かけて合格しています。2025年の合格者の平均年齢は24.6歳でした。毎日長い時間をかけてコツコツ勉強を続ける必要があります。

公認会計士と税理士はどちらが難しいですか?

試験の形がちがうので単純には比べられません。公認会計士試験は一度に全科目の合格を目指す試験で、税理士試験は1科目ずつ合格を積み重ねる試験です。なお、公認会計士は税理士として登録できるので、両方の仕事ができます。

商業高校に行ったほうが有利ですか?

商業高校では簿記を学べるので、会計の基礎を早くから身につけられます。ただし、公認会計士は普通科から大学に進んで目指す人も多く、どちらからでもなれます。大学で学びたいことと合わせて考えましょう。

AIが進んだら監査の仕事はなくなりますか?

大量の取引のチェックなど、一部の作業はAIやデータ分析ツールで速く正確になっています。しかし、会社の人に話を聞いて不自然な点を見抜き、決算書が正しいかを最終的に判断して責任を負うのは公認会計士です。AIを使いこなせる会計士がこれから求められます。

女性の公認会計士は多いですか?

2025年末で日本公認会計士協会の会員・準会員のうち女性は16.9%です。まだ少ないですが、2025年の試験の合格者では24.0%が女性で、少しずつ増えています。

公認会計士はどんな学部の人が多いですか?

商学部、経営学部、経済学部の人が多いですが、法学部や理系の学部の人も合格しています。どの学部からでも目指せる資格です。

監査法人はブラックですか?

決算が集中する4〜5月などの繁忙期は残業が多くなりますが、それ以外の時期は休みをとりやすく、在宅勤務を取り入れているところも多いといわれます。働き方改革も進んでいて、繁忙期と閑散期のメリハリがある職場です。

この分野のことば

年収について:厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)」の公認会計士の年収です(令和7年賃金構造基本統計調査をもとにした目安で、平均年齢は42.2歳です)。段階ごとの金額は監査法人の一般的な目安で、法人や個人の評価によって差があります。

数字はすべて公開データにもとづく目安です。出典は出典・サイトポリシーにまとめています。

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