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ことばを置きかえるだけではなく、文化と考え方の橋をかける仕事です

通訳・翻訳者

通訳者は話されたことばを、翻訳者は書かれたことばを、別の言語に置きかえて伝える仕事です。たとえば、海外のサッカー選手が日本のチームに入ったときに記者会見で隣に立って話す人、国際会議で同時に訳した声をイヤホンに届ける人は通訳者です。いっぽう、海外のゲームやアニメの字幕、薬の説明書、会社の契約書、外国の小説などを日本語にする人は翻訳者です。どちらも、なるために必ず必要な国家資格はありませんが、外国人の観光客をお金をもらって案内する「全国通訳案内士」という国家資格もあります。フリーランス(会社に属さず個人で仕事を受ける働き方)で働く人が多いのも特徴です。

平均年収の目安通訳者 約583万円、翻訳者 約673万円約300万〜1,000万円以上(専門分野、言語、会社員かフリーランスかで大きく差がある)
なるまでの難しさ★★★★★仕事に必須の国家資格はありませんが、プロとして仕事を受けるには、母語と外国語の両方を非常に高いレベルで使いこなす力に加えて、医療、法律、金融、ITなどの専門知識が必要です。会議通訳者は、大学や通訳学校で何年も訓練を重ねてデビューするのが一般的です。全国通訳案内士試験の最終合格率は、2023年度で12.0%(英語は12.9%)でした。
決めどき文系が中心

高校で英語などの外国語の力を伸ばし、大学は外国語学部、国際系の学部、文学部などに進む人が多い。理系の専門を持つ翻訳者も多いため、文理はどちらでもよい

どんな職種がある?

押すと、その職種の仕事内容・必要な力・キャリアが見られます。

通訳・翻訳者の年収と昇進の流れ

学習・訓練期(通訳学校・社内アシスタント)250〜400万円
20代前半

通訳学校や翻訳学校で学びながら、派遣社員や社内アシスタントとして仕事を経験します。エージェントや翻訳会社のテストに合格することが次の段階への条件です。

デビュー(ジュニア通訳者・翻訳者)300〜500万円
経験1〜3年、25〜30歳

小さな会議の逐次通訳や、社内通訳、一般的な文書の翻訳を担当します。得意な分野を作り、安定して質の高い仕事ができることが次につながります。

中堅(専門分野を持つ通訳者・翻訳者)450〜800万円
経験4〜9年、30〜38歳

専門分野の会議の同時通訳や、専門性の高い文書の翻訳を任されます。お客さんから指名されるようになることが次の段階への条件です。

シニア(指名される専門家)700〜1,200万円
経験10年〜、38歳〜

大きな国際会議や企業の重要な会議の通訳、話題の本の翻訳などを担当します。後輩の指導やチェックも任されます。

トップクラス・指導者900〜1,500万円
経験15年〜

首脳会談や重要な国際会議を担当する通訳者や、評価の高い翻訳者です。大学や通訳学校で教えたり、翻訳会社を経営したりする人もいます。

年収は目安です。会社や地域、本人の働き方で大きく変わります。

働き方で何が違う?

フリーランスの会議通訳者1日・半日単位の料金。年収は数百万円〜1,000万円以上(差が大きい)

通訳エージェントに登録したり、お客さんから直接依頼を受けたりして、国際会議や企業の会議で通訳します。同時通訳と逐次通訳の両方をこなし、仕事のたびに専門分野の予習を重ねます。

良いところいろいろな分野の最前線にふれられ、実力しだいで高い収入になる

大変なところ仕事の量が月によって変わり、予習に多くの時間がかかる

社内通訳者・社内翻訳者(会社員・派遣)300万〜700万円ほどが目安

外資系企業やメーカー、IT企業などに勤め、社内の会議の通訳や文書の翻訳を担当します。一つの会社の事業や製品にくわしくなり、専門用語に強くなります。

良いところ収入が安定し、会社の事業を深く理解できる

大変なところあつかう分野がかぎられ、会社の都合で仕事の内容が変わることがある

フリーランスの翻訳者文字数・単語数あたりの料金。専門分野と量で大きく変わる

翻訳会社に登録したり、お客さんから直接依頼を受けたりして、自宅などで翻訳します。医薬、特許、金融、IT、ゲームなど、専門分野を持つ人が多いです。

良いところ場所や時間を選ばずに働ける。専門分野を持てば単価が上がる

大変なところ締め切りに追われやすく、機械翻訳の広がりで単価が下がる分野もある

全国通訳案内士(通訳ガイド)1日ごとのガイド料。通訳ガイドの平均年収は約403万円(job tag)

外国人観光客を外国語で案内します。旅行会社のツアーや、自分で企画したツアーで仕事をします。日本の地理、歴史、文化の知識と、お客さんを楽しませる力が求められます。

良いところ日本の魅力を直接伝えられ、外国の人と交流できる

大変なところ観光の繁忙期と閑散期で仕事の量が大きく変わり、体力も必要

代表的な会社・職場

通訳会社翻訳会社事業会社エンタメ出版観光公的な職場
通訳エージェント通訳会社

国際会議や企業の会議に通訳者を手配する会社です。登録している通訳者に仕事を割りふり、通訳者の育成のための通訳学校を運営する会社もあります。

-
翻訳会社翻訳会社

会社や役所から翻訳の仕事を受け、登録している翻訳者に割りふる会社です。社員として翻訳のチェックやプロジェクトの管理を担当する人もいます。

外資系企業事業会社

海外に本社がある会社で、本社との会議や文書のやりとりのために社内通訳者・翻訳者が働いています。

勤め先の給与水準による
大手メーカー・総合商社事業会社

海外の工場や取引先とのやりとりが多く、社内通訳者や翻訳者を置いている会社があります。

勤め先の給与水準による
ゲーム会社エンタメ

日本のゲームを海外向けに、海外のゲームを日本向けにローカライズする部署があり、翻訳者が働いています。

勤め先の給与水準による
映像制作会社・字幕制作会社エンタメ

映画やドラマ、アニメの字幕や吹き替えの台本を作る会社です。フリーランスの映像翻訳者に仕事を依頼します。

出版社出版

外国の本の日本語版を出版する会社で、出版翻訳者に翻訳を依頼します。

-
旅行会社観光

外国人観光客向けのツアーを企画し、全国通訳案内士にガイドを依頼します。

-
裁判所・病院・国際交流協会公的な職場

法廷通訳人、医療通訳者、地域の外国人を支える通訳者として働く場所です。

1回ごとの報酬や各機関の規程による

どうやって稼いでいる?

お客さんの会社 料金を払う 通訳エージェント・翻訳会社 仕事を割りふり、品質もチェック 手数料を引いて払う 通訳者・翻訳者 多くはフリーランス 料金の決まり方 会議の通訳 1日・半日ごと 翻訳 文字数・単語数ごと 本の翻訳 売れた部数で印税 通訳ガイド ツアー1日ごと 会社員・派遣なら、勤め先から給料 いくつかの会社に登録して仕事を受ける専門分野にくわしいほど、単価が上がる
契約書や薬の書類など、専門性の高い文書ほど単価が高くなります

通訳・翻訳者の多くはフリーランスで、通訳エージェントや翻訳会社から仕事を紹介されて報酬を受け取ります。たとえば、会社が国際会議の通訳を頼みたいとき、通訳エージェントに依頼し、エージェントが通訳者を手配します。会社はエージェントに料金を払い、エージェントは手数料を引いた金額を通訳者に払います。翻訳では、原文の文字数や単語数に応じて料金が決まることが多く、翻訳会社が会社から受けた仕事を、登録している翻訳者に割りふります。会社員や派遣社員として働く人は、勤め先から給料を受け取ります。

1
通訳料(1日・半日単位)

会議通訳では、1日や半日の単位で料金が決まることが多いです。準備にかかる時間も料金に含まれていると考えられていて、経験が長く、専門分野にくわしい通訳者ほど料金が高くなります。

2
翻訳料(文字数・単語数単位)

翻訳では、原文の文字数や単語数あたりの料金が一般的です。たとえば、契約書や薬の書類など専門性の高い文書ほど、単価が高くなります。

3
通訳エージェント・翻訳会社

お客さんの会社と通訳者・翻訳者をつなぐ会社です。お客さんから仕事を受け、登録している人に割りふり、品質のチェックも行います。ほとんどの通訳者・翻訳者が、いくつかの会社に登録して仕事を受けています。

4
印税(出版翻訳)

本の翻訳では、本の値段と売れた部数に応じて印税を受け取ることが多いです。たくさん売れた本を訳すと、収入が大きくなります。

5
ガイド料(通訳案内士)

通訳案内士は、1日のツアーごとに料金を受け取るのが一般的です。旅行会社から受ける仕事と、自分で企画して直接お客さんから受ける仕事があります。

6
給料(社内通訳・社内翻訳)

会社に雇われて働く人は、毎月の給料を受け取ります。派遣会社に登録して、会社に派遣される働き方も多いです。

入ってからどうなっていく?

高校・大学時代語学の基礎を固める英語などの外国語を集中的に学び、留学や海外での生活を経験する人も多いです。外国語学部、国際系の学部、文学部などに進む人が多いですが、理系の学部や法学部、医療系の学部を出て、専門分野を生かす翻訳者もいます。
20代前半訓練と最初の仕事通訳学校や翻訳学校、大学院の通訳翻訳コースで、通訳や翻訳の技術を学びます。同時に、会社員や派遣社員として、社内通訳・翻訳や、海外との取引の仕事で経験を積みます。
20代後半〜30代前半デビューと専門分野づくり通訳エージェントや翻訳会社のトライアルに合格して、フリーランスとして仕事を受け始めます。医療、IT、金融、法律、ゲームなど、得意な分野を作ることが、仕事を安定させるかぎです。
30代実績を積む中堅大きな会議や専門性の高い翻訳を任されるようになります。お客さんから指名されることが増え、単価も上がります。社内の通訳者から、フリーランスへ独立する人もいます。
40代トップレベルの専門家国際会議や首脳会談、大企業の重要な会議の通訳を担当したり、話題の本を訳したりします。通訳学校や大学で後輩を教える人も出てきます。
50代以降指導者・長く活躍する専門家通訳・翻訳の技術と知識は経験とともに深まるため、長く現役で活躍する人が多いです。教育、翻訳会社の経営、品質管理の責任者などになる人もいます。

国際会議の通訳ができるまで(通訳の仕事の流れ)

準 備 本 番 1 依頼を受ける 日時・テーマ・同時か逐次か 2 資料をもらう 議題・スライド・原稿・参加者 3 予習と単語リスト作り 専門用語や人名の訳語をまとめる 4 パートナーと打ち合わせ 交代の順番と訳し方をそろえる 5 当日の機材確認 通訳ブースのマイクとヘッドホン 6 本番の通訳 15〜20分ごとに交代する 休む人は数字や固有名詞をメモ 7 振り返り 単語リストを直して次の仕事へ 仕事のたびに、専門分野の予習を重ねる本番の前に、準備が5つある
同時通訳では、2人の通訳者が交代しながら訳します
1
依頼の受付

通訳エージェントから、会議の日時、テーマ、通訳の方法(同時か逐次か)、言語の組み合わせを聞いて引き受けます。

2
資料の入手

会議の議題、発表のスライド、原稿、参加者のリストなどを、主催者からできるだけ早くもらいます。

3
予習と単語リスト作り

テーマについて調べ、専門用語や人名、組織名の訳語をまとめたグロッサリーを作ります。

4
パートナーとの打ち合わせ

一緒に担当する通訳者と、交代の順番や難しい用語の訳し方をそろえます。

5
当日の機材確認

会場で通訳ブースのマイクやヘッドホンを確認し、発表者に原稿の最新版がないかを確かめます。

6
本番の通訳

15〜20分ごとに交代しながら同時通訳をします。休んでいる通訳者は、数字や固有名詞をメモして助けます。

7
振り返り

うまく訳せなかった表現を見直し、次の仕事のために単語リストを更新します。

全国通訳案内士試験(通訳・翻訳の仕事に必須の資格はない)

合格率12.0%(2023年度・全10言語。受験者3,638人、最終合格者436人。英語は受験者2,764人中357人で12.9%)
勉強時間の目安外国語の力に加えて、日本地理、日本歴史、一般常識、通訳案内の実務の勉強が必要。数百時間から、人によっては数年かけて準備する
受験資格制限なし(年齢・学歴・国籍を問わずだれでも受験できる)
全国通訳案内士試験の最終合格率は12.0%(2023年度)で、外国語の力だけでなく、日本の地理や歴史、文化について幅広い知識が求められるのが特徴です。外国語が得意な人でも、日本の地理や歴史の細かい知識で苦労することが多いです。ただし、通訳や翻訳の仕事そのものには必須の資格がなく、プロとしての本当の難しさは、試験に合格することよりも、実際の仕事で信頼を得て、何年も実力を磨き続けることにあります。会議通訳者として第一線に立つまでには、多くの場合、長年の訓練と経験が必要です。
試験科目(押すと中身が見られます)
合格までの流れ
  1. 申し込み(6〜7月ごろ)受験する言語を選んで申し込みます。
  2. 第1次試験(筆記・8月ごろ)5科目の筆記試験を受けます。外国語以外の科目には、ほかの資格などによる免除の制度があります。
  3. 第2次試験(口述・12月ごろ)選んだ言語で、プレゼンテーション、質疑応答、逐次通訳の試験を受けます。
  4. 最終合格発表(翌年2月ごろ)第2次試験の結果で最終合格が決まります。
  5. 登録都道府県に登録すると、全国通訳案内士として名乗れるようになります。

通訳・翻訳者のある1日

8時〜 資料と単語リスト 9時〜 機材と用語の確認 12時〜 昼休みに資料を読む 17時〜 あいさつして帰宅 18時半 依頼のメールに返事 19時半 来週の会議の予習 21時〜 語学のトレーニング 10〜12時 午前の同時通訳 15〜20分ごとに交代 13〜17時 午後の同時通訳 休む間は、相手のために 数字や固有名詞をメモ 質疑応答は特に集中 通訳する 準備・勉強 そのほか 帯の長さ=かける時間 会議が終わって帰ってからも、次の仕事の予習本番は2人で交代、夜は次の準備
フリーランスの会議通訳者の1日の例です。濃い青と淡い青の縞は、パートナーとの交代を表しています
8:00

今日の会議の資料と、昨夜作った単語リストを見直します(フリーランスの会議通訳者の一日の例)。

9:00

会場に入り、通訳ブースの機材を確認します。パートナーの通訳者と、交代の順番や難しい用語を確認します。

10:00

会議が始まり、同時通訳をします。15〜20分ごとにパートナーと交代し、休んでいるあいだは相手のために数字や固有名詞をメモして助けます。

12:00

昼休みです。午後の発表者の資料が新しく届いたので、食事をしながら目を通します。

13:00

午後の会議の同時通訳をします。質疑応答では、準備していない話題が出るため、特に集中力が必要です。

17:00

会議が終わり、主催者にあいさつをして会場を出ます。

18:30

帰宅して、エージェントからのメールを確認し、来週の仕事の依頼に返事をします。

19:30

来週の会議のテーマについて、ニュースや専門の資料を読んで予習を始めます。

21:00

英語のニュースやポッドキャストを聞いて、語学力を保つためのトレーニングをします。

もっと知りたい人へ

そもそも通訳・翻訳者とは

通訳者と翻訳者は、どちらも異なる言語を話す人どうしをつなぐ仕事ですが、あつかうものが違います。通訳者は話しことばを、その場で別の言語に置きかえます。翻訳者は書きことばを、時間をかけて正確に別の言語の文章にします。たとえば、海外のアーティストが来日したときのインタビューで話を訳すのは通訳者、そのアーティストの自伝を日本語の本にするのは翻訳者です。どちらも、ことばを一語ずつ置きかえるのではなく、話し手や書き手が伝えたい意味や気持ちを、相手の文化に合わせて伝えることが大切です。

必須の資格はない

弁護士や医師と違い、通訳や翻訳の仕事をするために必ず必要な国家資格はありません。実力と実績が評価される世界で、資格よりも「この人に頼めば安心」という信頼が仕事につながります。一方で、英語のTOEICや英検、翻訳の検定などのスコアや資格は、実力を示す一つの目安として使われます。

全国通訳案内士は名称独占の資格

全国通訳案内士は、観光庁が担当する国家資格です。2018年の法律の改正で、資格がなくてもお金をもらって外国人を観光案内できるようになりましたが、「全国通訳案内士」と名乗れるのは試験に合格して登録した人だけです。

なるためのルート

通訳・翻訳者になる決まったルートはありませんが、多くの人は、大学などで語学を身につけたあと、通訳学校・翻訳学校や大学院で専門の訓練を受け、会社員として経験を積みながらデビューします。翻訳者の場合は、翻訳会社のトライアル(採用試験として課される翻訳)に合格して登録するのが一般的です。会議通訳者は、通訳エージェントのテストや紹介を通じて仕事を受けるようになります。医療、法律、ITなどの分野で働いた経験を生かして、その分野の翻訳者になる人も多いです。

  1. 外国語の力を伸ばす高校や大学で外国語を集中的に学び、留学や海外での生活でことばと文化を身につけます。
  2. 専門の訓練を受ける通訳学校・翻訳学校や、大学院の通訳翻訳コースで、通訳や翻訳の技術を学びます。
  3. 仕事で経験を積む社内通訳・翻訳、派遣、翻訳会社のチェッカーなどとして、実際の仕事を経験します。
  4. トライアル・テストに合格する翻訳会社や通訳エージェントのテストに合格して、フリーランスとして登録します。
  5. 専門分野で実績を積む得意な分野で仕事を重ね、お客さんから指名される通訳者・翻訳者を目指します。
会社員を経てなるルート

商社、メーカー、外資系企業などで働きながら、海外とのやりとりで語学を鍛え、社内通訳や翻訳を担当するようになる人がいます。専門分野の知識と実務の経験は、フリーランスになってからの大きな強みになります。

専門分野から翻訳者になるルート

たとえば、製薬会社の研究者が医薬の翻訳者に、エンジニアがIT翻訳者に、弁護士事務所の職員が法律翻訳者になるように、専門の知識を生かして翻訳者になる人も多いです。専門知識がある翻訳者は、単価の高い仕事を受けやすくなります。

試験・選考の詳細

通訳・翻訳の仕事に必須の試験はありませんが、実力を示すための試験や資格があります。代表的な国家資格が全国通訳案内士で、第1次試験(筆記)は外国語、日本地理、日本歴史、産業・経済・政治・文化に関する一般常識、通訳案内の実務の5科目、第2次試験(口述)はプレゼンテーションと逐次通訳などです。英語、中国語、韓国語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、イタリア語、ポルトガル語、ロシア語、タイ語の10言語で受けられます。2023年度は全言語で受験者3,638人に対して最終合格者436人、合格率は12.0%でした。

翻訳会社のトライアル

フリーランスの翻訳者として仕事を受けるには、翻訳会社が出す数百語ほどの課題を訳すトライアルに合格する必要があることが多いです。訳の正確さ、日本語の自然さ、専門用語の使い方などが評価されます。

語学の検定

英語ではTOEICや英検、国連英検などのスコアや級が、語学力の目安としてよく使われます。ただし、高いスコアを持っていても、それだけで通訳や翻訳ができるわけではなく、専門の訓練が必要です。

年収のリアル

厚生労働省のjob tagでは、通訳者の平均年収は約583万円、翻訳者は約673万円、通訳ガイドは約403万円です(令和7年賃金構造基本統計調査をもとにした目安)。これらは雇われて働く人を中心にした数字で、フリーランスの通訳・翻訳者は、受けた仕事の量と単価で収入が決まります。トップクラスの会議通訳者や、医薬・特許・金融などの専門翻訳者は1,000万円を超えることもありますが、仕事が少ない時期には収入が下がることもあり、人による差がとても大きい仕事です。

言語によって違う

英語は仕事の量が最も多い一方で、通訳者・翻訳者の数も多い言語です。英語以外の言語では、通訳者・翻訳者が少ないため、特定の分野で重宝されることがあります。

機械翻訳の影響

AIによる機械翻訳の質が上がり、簡単な文書の翻訳の単価は下がる傾向があると言われています。一方で、機械翻訳の結果をチェックして直す仕事や、正確さが特に求められる文書、文学作品などでは、人間の翻訳者の力が必要とされています。

やりがい

通訳・翻訳者のやりがいは、ことばの壁を越えて、人と人、国と国をつなげることです。たとえば、自分の通訳で国際会議の話し合いがまとまったときや、自分が訳した本を読んだ子どもから「おもしろかった」という感想が届いたときには、大きな達成感があります。仕事のたびに、新しい分野や最新の技術、世界の出来事にふれられるので、知的な好奇心が満たされる仕事でもあります。

歴史の場面に立ち会える

会議通訳者は、首脳会談や国際会議など、ニュースになる場面のすぐ近くで仕事をすることがあります。世界の動きを、自分の声を通して人々に伝える責任とやりがいがあります。

場所を選ばず働ける

翻訳者はパソコンとインターネットがあれば、自宅でも地方でも海外でも仕事ができます。オンラインの通訳も増え、住む場所にしばられない働き方がしやすくなっています。

大変なこと・きついこと

通訳・翻訳者の大変なところは、勉強に終わりがないことです。ことばは毎日変わり、新しい技術や出来事に合わせて新しい用語が生まれます。通訳者は本番の前に何日もかけて予習し、本番では極度の集中力を求められます。翻訳者は締め切りに追われることが多く、長い時間パソコンに向かう体の負担もあります。フリーランスの場合は、仕事の量が月によって大きく変わり、収入が安定しにくい面があります。

ミスが許されない場面

医療や裁判、契約書などでは、訳し間違いが人の命や財産、権利に直接かかわります。正確に訳す責任の重さは、とても大きいです。

AIとの競争

機械翻訳の発達で、翻訳の仕事のやり方は大きく変わっています。AIを道具として使いこなしながら、人間にしかできない価値を出すことが求められています。

向いている人

通訳・翻訳者に向いているのは、ことばが好きで、外国語と日本語の両方の表現にこだわれる人です。たとえば、英語の歌詞を自分なりに日本語に訳してみるのが楽しい人や、本を読んでいて「この表現はうまい」と感じることが多い人は、翻訳者に向いています。通訳者には、人前で落ち着いて話せる度胸と、とっさに判断する力が必要です。どちらも、新しいことを知るのが好きで、こつこつ勉強を続けられる人に合っています。

こんな高校生は向いているかも

海外のドラマやアニメを見て、字幕のことばの選び方が気になる人や、外国から来た留学生の手伝いをするのが好きな人は、通訳・翻訳の仕事に向いているかもしれません。

向いていないかもしれない人

細かいことばの違いを気にするのが苦手な人や、一人で長い時間机に向かうのがつらい人は、翻訳の仕事を大変に感じるかもしれません。人前で話すのがとても苦手な人には、通訳は負担が大きいでしょう。

高校生のうちにできること

高校生のうちは、英語などの外国語の4つの力(読む・書く・聞く・話す)をバランスよく伸ばすことが大切です。あわせて、国語の力もとても重要です。翻訳では、最後にできあがるのは日本語の文章なので、日本語の語彙や表現力がそのまま仕事の質になります。世界史、地理、政治・経済などで、世界の出来事や文化を学んでおくと、通訳や翻訳の背景知識として役立ちます。

好きな作品を訳してみる

好きな洋楽の歌詞や英語の絵本、海外のニュース記事を、自分で日本語に訳してみましょう。同じ文でも、いろいろな訳し方があることに気づくはずです。プロの訳と比べてみるのもよい勉強になります。

留学や国際交流に参加する

短期の留学や、学校の国際交流のプログラム、地域の国際交流協会のイベントに参加すると、外国語を実際に使う経験ができます。異なる文化の人と話すことで、ことばの奥にある考え方の違いにも気づけます。

代表的な会社・職場

通訳・翻訳者の多くはフリーランスで、通訳エージェントや翻訳会社に登録して仕事を受けます。会社員として働く場合は、翻訳会社、外資系企業、海外との取引が多いメーカーや商社、IT企業、ゲーム会社、製薬会社、放送局などが主な職場です。プロスポーツチームの通訳、国の役所や国際機関の翻訳官、裁判所の法廷通訳人、病院の医療通訳者などとして働く人もいます。

翻訳会社・通訳エージェント

お客さんから通訳や翻訳の仕事を受け、登録している通訳者・翻訳者に割りふる会社です。社員として、翻訳のチェックやプロジェクトの管理を担当する人もいます。

ゲーム・エンタメ業界

日本のゲームやアニメを海外向けに翻訳したり、海外の作品を日本向けにしたりする「ローカライズ」の仕事があります。ことばだけでなく、遊び方や文化に合わせて作品を作り直す仕事です。

同時通訳と逐次通訳のちがい

通訳には、主に同時通訳と逐次通訳があります。同時通訳は、話し手が話しているのとほぼ同時に訳す方法で、国際会議などで使われます。聞きながら訳して話すため、とても高い集中力が必要で、2〜3人で15〜20分ごとに交代するのが一般的です。逐次通訳は、話し手が一区切り話したあとに、まとめて訳す方法で、記者会見や商談、インタビューなどで使われます。話し手の内容をメモにとる「ノートテイキング」という技術が欠かせません。

ウィスパリング

通訳を必要とする人が1〜2人のときは、その人の耳元でささやくように同時通訳する「ウィスパリング」という方法も使われます。会議の参加者の一部だけが外国人の場合などに使われます。

リモート通訳

オンライン会議の広がりで、自宅や専用の施設からインターネットを通じて通訳する「リモート通訳」が増えています。移動の時間がかからないため、1日に複数の仕事を受けられることもあります。

機械翻訳・AIと通訳・翻訳の未来

機械翻訳やAIの進歩で、通訳・翻訳の仕事は大きく変わりつつあります。たとえば、スマートフォンのアプリで、旅行のときの簡単な会話や、メールの大まかな意味は、すぐに訳せるようになりました。翻訳の現場でも、機械翻訳の訳を人間が確認して直す「ポストエディット」が広がっています。一方で、契約書や薬の書類のように正確さが命の文書、小説や映画のように表現の工夫が大切な作品、人の気持ちや文化の違いをくみとる必要がある通訳などでは、人間の専門家が欠かせないと考えられています。

AIを使いこなす翻訳者

これからの翻訳者には、AIの訳のどこが間違いやすいかを見抜き、効率よく直す力が求められます。用語集や過去の訳を管理して、AIの訳の質を高める仕事も生まれています。

人間にしかできない価値

話し手の立場や気持ち、その場の雰囲気を読みとって、相手に伝わることばを選ぶのは、人間の通訳者の強みです。信頼関係が大切な交渉や、命にかかわる医療の場面では、人間の通訳者が求められ続けています。

よくある質問

帰国子女でないと通訳者になれませんか

そんなことはありません。日本で生まれ育ち、日本の学校で英語を学んでから、大学や通訳学校で訓練を重ねてプロになった通訳者はたくさんいます。大切なのは、外国語と日本語の両方を高いレベルで使いこなすための継続的な努力です。

英語ができれば通訳や翻訳ができますか

英語が話せることと、通訳や翻訳ができることは別のことです。通訳には聞きながら瞬時に訳す特別な技術が、翻訳には正確で自然な日本語を書く力と専門知識が必要です。そのため、多くのプロは専門の訓練を受けています。

AIがあれば通訳や翻訳の仕事はなくなりませんか

簡単な文書や日常会話の翻訳はAIで十分な場面も増えています。一方で、正確さが求められる専門文書、表現力が大切な文学や映像、人の気持ちをくみとる必要がある通訳などでは、人間の専門家が求められています。AIを道具として使いこなす力が大切になっています。

英語以外の言語でも仕事はありますか

あります。中国語、韓国語、スペイン語、ベトナム語、ポルトガル語など、さまざまな言語で通訳・翻訳の仕事があります。日本で働く外国人が増えるなかで、医療や役所などでの通訳の必要性も高まっています。

どんな大学に行けばよいですか

外国語学部や国際系の学部、文学部に進む人が多いですが、必須ではありません。医学、法律、工学、経済などを学び、その専門を生かして翻訳者になる人もいます。大学院の通訳翻訳コースで専門的に学ぶ道もあります。

全国通訳案内士の資格がないとガイドの仕事はできませんか

2018年の法律の改正で、資格がなくてもお金をもらって外国人観光客を案内できるようになりました。ただし、「全国通訳案内士」と名乗れるのは、試験に合格して登録した人だけです。資格は、日本の地理や歴史、文化についての知識の証明として、旅行会社などから信頼されます。

フリーランスは不安定ではありませんか

仕事の量が月によって変わるため、収入が安定しにくい面があります。そのため、いくつかの翻訳会社やエージェントに登録したり、専門分野を持ったり、社内通訳などの安定した仕事と組み合わせたりして、収入を安定させる人が多いです。

通訳と翻訳、両方できるようになるべきですか

両方をこなす人もいますが、必要な力が違うため、どちらかを専門にする人も多いです。社内通訳翻訳者のように、会社の中では両方を求められることがよくあります。

この分野のことば

年収について:厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)」の通訳者・翻訳者の平均年収(令和7年賃金構造基本統計調査をもとにした目安)。雇われて働く人の数字が中心で、フリーランスの人は受ける仕事の量と単価で収入が決まるため、人による差がとても大きいです。通訳ガイドは約403万円(同)です。

数字はすべて公開データにもとづく目安です。出典は出典・サイトポリシーにまとめています。

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