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雑誌に載らなくても、スマホとSNSからプロになれる時代

漫画家・イラストレーター

漫画家は、物語を考え、コマ割りをして絵とセリフでマンガを描く仕事です。イラストレーターは、本の表紙、広告、ゲームのキャラクター、Webサイト、商品のパッケージなどに使う絵を描く仕事です。たとえば、書店に並ぶマンガの単行本、スマホで縦にスクロールして読むWebマンガ、ライトノベルの表紙、スマホゲームのキャラクター、お菓子の袋のかわいい絵、教科書のさし絵も、すべて漫画家やイラストレーターが描いています。昔は出版社の新人賞に入選して雑誌で連載するのがほぼ唯一の道でしたが、今は電子コミックやWebマンガのアプリ、SNSでの発表、同人誌、イラストの依頼サイトなど入口がとても増えました。日本のコミック市場は2024年に約7,043億円と過去最高になり、その7割以上が電子コミックです。一方で、自営・フリーランスで働く人が大半で、収入はヒット作があるかどうかで大きく変わります。

平均年収の目安約492万円イラストレーターの統計値副業や駆け出しでは年に数万〜数十万円の人も多く、ヒット作を持つ漫画家では単行本の印税だけで年に億を超える人もいます
なるまでの難しさ★★★★★資格や学歴は要らず、誰でも今日から描き始められます。しかし、連載を持つ、仕事の依頼が途切れない、という状態になれる人は一部です。毎週・毎月の締め切りに合わせて描き続ける体力と、読者に選ばれ続ける実力が求められます。
決めどき文系・理系どちらでも

いつでも(中学・高校から描いて投稿・SNS発表を始める人が多く、大学や会社員をしながらデビューする人もいます)

どんな職種がある?

押すと、その職種の仕事内容・必要な力・キャリアが見られます。

漫画家・イラストレーターの年収と昇進の流れ

投稿・発表期〜50万円
中学〜20代前半

新人賞への投稿やSNSでの発表を続けます。仕事としての収入はほとんどなく、学業やアルバイトと並行する時期です。担当編集者がつく、依頼が来ることが次の段階の条件です。

アシスタント・新人100〜300万円
20代前半〜

漫画家のアシスタントや、小さなイラストの依頼で経験を積みます。読み切りの掲載や、継続的な依頼の獲得をめざします。

連載・継続受注200〜600万円
デビュー後数年

連載が始まり単行本が出る、指名のイラスト依頼が増えるなど、仕事として安定し始める段階です。単行本の売れ行きが収入を左右します。

ヒット作家・人気イラストレーター600〜3,000万円
実力と人気しだい

単行本が売れ、アニメ化やグッズ化につながる、大きな広告やゲームの仕事を任されるなど、収入が大きく増える段階です。さらに上の収入になる人もいます。

ベテラン・ディレクター・講師300〜1,500万円
40代〜

長期連載や新作、原作者としての活動、アートディレクター、専門学校や大学の講師など、経験を生かして働きます。

年収は目安です。会社や地域、本人の働き方で大きく変わります。

働き方で何が違う?

連載漫画家(専業)収入単行本の売れ行きしだい+ ヒットで収入が大きい- 連載が終わると途絶えるフリーのイラストレーター収入依頼の数しだい+ 仕事と場所を選べる- 収入が不安定ゲーム・アニメ会社の社員収入月給とボーナス+ 収入が安定、大きな作品- 描く内容を選べない会社員と両立(兼業・副業)収入会社員の給料+作品+ 描きたいものを描ける- 描く時間が限られるイラストレーターの88.7%は自営・フリーランス(job tag)安定と自由のどちらを取るかで、道が分かれる
兼業で書籍化や依頼の増加をきっかけに、専業になる人もいます
連載漫画家(専業)単行本の売れ行きしだいで、生活が苦しい人から年に億を超える人まで

出版社の雑誌やアプリで連載を持ち、マンガだけで生活する形です。ヒット作になれば印税やアニメ化などで大きな収入になりますが、連載が終われば収入は大きく減ります。週刊連載では休みが少なく、体力的にも大変です。アシスタントを雇う場合は、その給料も漫画家が払います。

良いところ作品が多くの人に届く、ヒットすれば収入が大きい

大変なところ締め切りが厳しい、連載が終わると収入が途絶える

フリーランスのイラストレーター統計の平均は約492万円だが、依頼数しだいで差が大きい

出版社、広告会社、ゲーム会社、企業などから依頼を受けて絵を描く形です。好きな仕事を選べ、場所を選ばずに働けますが、依頼が来なければ収入はありません。見積もりや契約、確定申告なども自分で行います。job tagの調査では、イラストレーターの約9割がこの形です。

良いところ仕事と働く場所を選べる、自分の名前で仕事ができる

大変なところ収入が不安定、営業やお金の管理も自分で行う

ゲーム・アニメ会社の社員会社の給与規定による(会社ごとの差が大きい)

ゲーム会社やアニメ制作会社に社員として入り、チームで作品を作る形です。毎月の給料とボーナスがあり、社会保険も整っています。大きな作品に関われる一方、自分の名前が前に出ることは少なく、描く内容も会社の方針で決まります。

良いところ収入が安定、大きな作品に関われる、チームで学べる

大変なところ描く内容を自分で選べない、締め切り前は忙しい

会社員と両立する兼業・副業会社員の給料+作品・依頼の収入

別の仕事の会社員として働きながら、夜や週末に描いて、SNS、同人誌、依頼サイトなどで活動する形です。生活が安定しているので、自分の描きたいものを描き続けられます。書籍化や依頼の増加をきっかけに専業になる人もいます。

良いところ生活が安定する、描きたいものを描ける

大変なところ描く時間が限られる、締め切りが重なると大変

代表的な会社・職場

大手出版社出版社出版・ゲームマンガアプリWebtoonスタジオイラストの勤め先イラストの依頼主
集英社 ›大手出版社

週刊少年ジャンプなどのマンガ雑誌と、マンガアプリの少年ジャンプ+を運営する出版社です。

非上場のため有価証券報告書での開示なし
講談社 ›大手出版社

週刊少年マガジンなどのマンガ雑誌と、マンガアプリのマガポケを運営する出版社です。

非上場のため開示なし
小学館 ›大手出版社

週刊少年サンデーやコロコロコミックなどのマンガ雑誌と、マンガアプリのマンガワンなどを運営する出版社です。

非上場のため開示なし
KADOKAWA ›大手出版社

マンガ、ライトノベル、アニメ、ゲームなどを幅広く手がける出版社です。

約872万円(2026年3月期・単体、有価証券報告書)
白泉社出版社

少女マンガ雑誌の花とゆめや、青年マンガ雑誌のヤングアニマルなどを発行する出版社です。

非上場のため開示なし
スクウェア・エニックス ›出版・ゲーム

ゲーム会社であると同時に、少年ガンガンなどのマンガ雑誌とマンガアプリも運営しています。

持株会社の有価証券報告書で開示
LINEマンガ・ピッコマなどのマンガアプリマンガアプリ

スマホでマンガを配信するサービスで、縦読みマンガのオリジナル作品も配信しています。

運営会社による
縦読みマンガの制作スタジオWebtoonスタジオ

縦読みマンガをチームで分業して制作する会社です。線画や着色などのスタッフを採用しています。

会社や雇用形態による
ゲーム会社・アニメ制作会社イラストの勤め先

キャラクターデザイン、背景美術、カードイラストなどを担当するイラストレーターを社員として採用しています。

会社による
広告制作会社・デザイン事務所イラストの依頼主

広告やパンフレット、パッケージに使うイラストを、フリーのイラストレーターに依頼したり社員として採用したりします。

会社や依頼による

›がついた会社は、会社図鑑で詳しく解説しています。

どうやって稼いでいる?

読者アプリや書店で読む出版社雑誌・アプリ・単行本を出す漫画家物語と絵をかく代金単行本・電子書籍原稿原稿料(1ページごと)印税(売れた部数)印税の計算の例定価500円売れた部数10万部印税1割××漫画家に約500万円ほかにも、こんな収入がある二次利用料アニメ化・グッズ化の使用料の一部イラスト依頼料表紙・広告・ゲーム1点ごとの報酬直接販売同人誌・グッズファンの支援会社員の給料ゲーム・アニメ会社などで月給ヒット作になるほど、印税と使用料が増える
印税は定価の1割前後が一般的とされ、売れた部数によって収入が決まります

マンガのお金の流れの中心は、出版社です。出版社は漫画家に原稿料を払って雑誌やアプリに作品を載せ、単行本や電子書籍を売って利益を得ます。漫画家には、売れた部数に応じて印税が支払われます。たとえば、定価500円の単行本が10万部売れて印税が1割なら、漫画家に約500万円が入る計算です。作品がアニメ化、映画化、グッズ化されると、出版社が窓口になって使用料を受け取り、その一部が漫画家にも分配されます。イラストレーターは、依頼主(出版社、広告会社、ゲーム会社、企業など)から1点ごとの依頼料を受け取るのが基本です。最近は、マンガアプリの広告収入や課金、SNS経由の依頼、同人誌やグッズの直接販売など、作家が自分で収入を得る道も増えています。

1
原稿料

雑誌やアプリに作品が載るときに、1ページごとに支払われる報酬です。新人とベテランで単価が違い、連載中の安定した収入になりますが、アシスタント代などの経費もかかります。

2
印税(単行本・電子書籍)

単行本や電子書籍が売れた分だけ支払われるお金です。定価の1割前後が一般的とされ、ヒット作になると漫画家の収入の大部分を占めます。

3
二次利用料(アニメ化・グッズ化など)

作品がアニメ、映画、ドラマ、ゲーム、グッズなどに使われたときの使用料です。出版社が窓口になり、契約に応じて作家に分配されます。

4
イラストの依頼料

本の表紙、広告、ゲーム、パッケージなどのイラストを描いたときの報酬です。使う期間や媒体、大きさなどで金額が変わります。

5
会社員としての給料

ゲーム会社、アニメ会社、Webマンガのスタジオなどに社員として勤める場合は、月給とボーナスを受け取ります。

6
同人誌・グッズ・ファンからの支援

同人誌即売会やネットでの直接販売、スタンプやグッズの売上、ファンが月額で支援するサービスなどからの収入です。

入ってからどうなっていく?

中学・高校描き始める時期ノートやタブレットで描き始め、美術部や漫画研究部に入ったり、SNSや投稿サイトに作品を発表したりします。高校生で新人賞に投稿したり、受賞してデビューしたりする人もいます。
18〜22歳学ぶ・投稿する時期美術大学、マンガ学科のある大学、専門学校などで学ぶ人と、別の学部に進みながら描き続ける人がいます。新人賞への投稿や出版社への持ち込み、SNSでの発表を続け、担当編集者がつくことをめざします。
デビュー前後(20代前半〜)アシスタント・読み切りの時期漫画家のアシスタントをしながら、読み切り作品を描いて雑誌やアプリに載せます。イラストレーターはゲーム会社やデザイン会社に就職したり、フリーで小さな依頼から始めたりします。
20代後半初連載・本格的な仕事の時期連載が決まり単行本が出る、イラストの指名依頼が増えるなど、仕事として形になり始めます。ここで結果が出ないと、会社員として働きながら続ける道を選ぶ人もいます。
30代代表作をつくる時期ヒット作が出るとアニメ化やグッズ化につながり、収入が大きく増えます。イラストレーターは得意分野が定まり、指名の仕事や大きな広告の仕事が増えていきます。
40代〜ベテランの時期長期連載を続ける、新作に挑戦する、原作者として絵を描く人と組む、専門学校や大学で教える、アートディレクターになるなど、経験を生かした働き方に広がります。

マンガ1話が読者に届くまで

漫画家担当編集者アシスタント① 打ち合わせ次の話で何を描くか② ネームコマ割りチェック直して戻す③ 下描きペン入れ④ 仕上げ人物を仕上げ手伝い背景・トーン⑤ 入稿誤字のチェック⑥ 掲載・単行本化雑誌やアプリで公開。話数がたまると単行本に1話は、編集者やアシスタントとのチームで完成
今はタブレットで描く人が多く、アシスタントがリモートで手伝うこともあります
1
打ち合わせ

担当編集者と、次の話で何を描くか、どこで盛り上げるかを話し合います。

2
ネーム

コマ割り、セリフ、構図を簡単に描いた設計図を作り、編集者のチェックを受けて直します。

3
下描き・ペン入れ

ネームをもとに人物や背景を下描きし、きれいな線で仕上げます。今はタブレットで描く人が多いです。

4
仕上げ

ベタ、トーン、効果線、背景などを入れて完成させます。アシスタントが手伝うことも多い工程です。

5
入稿・校正

完成した原稿を編集部に渡し、セリフの文字や誤字をチェックして、雑誌やアプリに載せる準備をします。

6
掲載・単行本化

雑誌やアプリで公開され、読者の反応を見ます。話数がたまると単行本として出版され、印税が入ります。

漫画家・イラストレーターのある1日

9:00

起床。メールやメッセージで担当編集者や依頼主からの連絡を確認する

10:00

ネーム作業。次の話のコマ割りとセリフを考える

12:00

昼食。散歩やストレッチで体をほぐす(座りっぱなしを防ぐため)

13:00

作画。タブレットでペン入れをして、人物を仕上げる

15:00

リモートのアシスタントに背景の指示を送り、上がってきたデータを確認する

17:00

担当編集者とオンラインで打ち合わせ。ネームの修正点を話し合う

19:00

夕食

20:00

仕上げ作業や、別の依頼のイラストのラフを描く

23:00

SNSに告知を投稿し、資料の本を読んで就寝

もっと知りたい人へ

そもそも漫画家・イラストレーターとは

漫画家は、絵とセリフ、コマの並びで物語を伝える仕事で、ストーリーづくりから作画までを一人で、またはチームで担当します。イラストレーターは、依頼主の目的に合わせて一枚の絵で何かを伝える仕事です。たとえば、同じ「かわいい猫の絵」でも、マンガでは物語の中で猫がどう動き、どんな気持ちかを描き、イラストではお菓子の袋や本の表紙で見た人が思わず手に取りたくなる一枚を描きます。どちらも、日本のアニメ、ゲーム、出版、広告を支える大切な仕事です。

マンガ原作者と作画担当

物語を考える原作者と、絵を描く作画担当が分かれて一つの作品を作ることもあります。絵が苦手でも物語を作るのが得意な人が原作者になったり、絵が得意な人が作画を担当したりします。

デジタル化で変わった描き方

今はタブレットとパソコンで描くデジタル作画が主流になりました。紙とペンで描く人もいますが、デジタルなら色塗りや修正が速く、データでのやりとりができるので、地方や海外に住みながら仕事をする人も増えています。

なるためのルート

漫画家・イラストレーターには決まった資格はなく、なり方はとても多様です。漫画家なら、出版社の新人賞に投稿する、編集部に作品を持ち込む、マンガアプリの投稿機能やSNSで作品を発表してスカウトされる、同人誌で人気を得て声をかけられる、といった道があります。イラストレーターなら、美術大学や専門学校を出てゲーム会社やデザイン会社に就職する、SNSやポートフォリオサイトで作品を公開して依頼を受ける、コンテストで受賞する、などがあります。学歴は関係ありませんが、デッサンやデザインを学んだ人は多いです。

  1. とにかく描く好きなマンガやイラストを模写したり、オリジナルのキャラクターを描いたりして、描く量を増やします。
  2. 基礎を学ぶデッサン、人体の構造、遠近法、色彩、ストーリーの組み立てなどを、学校、本、ネットの講座で学びます。
  3. 作品を完成させて発表する1本のマンガやイラストを最後まで仕上げ、新人賞への投稿、持ち込み、SNSや投稿サイトで発表します。
  4. 評価を受けて直す編集者のアドバイスや読者の反応を受けて、作品を直したり新しい作品に生かしたりします。
  5. デビュー・受注開始読み切りの掲載、連載の開始、イラストの依頼の受注、ゲーム会社への就職などで、プロとしての仕事が始まります。
  6. 仕事を続けて代表作をつくる締め切りを守りながら作品を出し続け、ヒット作や指名の依頼につなげます。
新人賞と持ち込み

マンガ雑誌の多くは新人賞を開いていて、入選すると担当編集者がつき、デビューへの道が開けます。直接編集部に原稿を見せる持ち込みも、今はオンラインで受け付ける出版社が増えています。

SNS・Web発のデビュー

SNSに投稿したマンガが話題になり、出版社から書籍化の声がかかる例はとても多くなりました。マンガアプリの投稿コーナーから連載が決まることもあります。

学校で学ぶ

美術大学、マンガ学科やアニメ学科のある大学、専門学校では、デッサン、構図、色彩、ストーリーづくり、デジタル作画などを学べます。学校に行かずに独学でプロになる人もいて、ネットの講座や本で学ぶことも可能です。

試験・選考の詳細

漫画家やイラストレーターに国家試験はありません。そのかわりに、出版社の新人賞、編集部の持ち込みでの評価、ゲーム会社などの採用試験、コンテストが「選考」にあたります。新人賞では、決められたページ数(たとえば16〜45ページ程度)の読み切りマンガを描いて応募し、編集部や審査員の漫画家が審査します。ゲーム会社の採用では、ポートフォリオ(作品集)の提出と、決められたテーマで絵を描く実技試験、面接が一般的です。どの選考でも、作品の完成度だけでなく、伸びしろや個性が見られます。

新人賞で見られること

絵のうまさだけでなく、キャラクターの魅力、物語のわかりやすさ、最後まで読ませる力が見られます。受賞しなくても、編集者から声がかかって担当がつくこともあります。

ポートフォリオのつくり方

イラストレーターの就職や営業では、ポートフォリオが名刺がわりになります。自分の得意な絵柄だけでなく、依頼主が使いたい場面を想像した作品を入れると評価されやすいといわれます。

年収のリアル

漫画家・イラストレーターの収入は、ヒット作があるかどうかで大きく変わります。厚生労働省の統計ではイラストレーターの年収は約492万円(令和7年賃金構造基本統計調査)ですが、イラストレーターの約9割は自営・フリーランスで、この数字は実態の一部しか表していません。漫画家の場合、連載中の原稿料はアシスタント代や機材代にあてられることが多く、収入の柱は単行本の印税です。たとえば定価500円、印税1割の単行本が1万部売れると約50万円、100万部売れると約5,000万円が入る計算です。単行本が出なかったり、売れなかったりすると、生活が苦しくなることもあります。そのため、会社員やアルバイト、アシスタント、イラストの依頼を組み合わせて生活する人も多いです。

会社員のイラストレーター

ゲーム会社やアニメ会社の社員として働くイラストレーターは、毎月の給料とボーナスがあり、収入が安定しています。フリーランスより収入の上限は低いこともありますが、生活の安定を重視する人に向いています。

経費と税金

フリーランスは、タブレットやパソコン、ソフト、資料の本、アシスタント代などの経費を自分で払い、確定申告で税金を計算します。売上がそのまま収入になるわけではないことを知っておきましょう。

やりがい

自分が描いた作品が、たくさんの人に読まれ、見られ、心を動かすことが最大のやりがいです。たとえば、自分のマンガを読んで「勉強をがんばろうと思えた」という感想が届いたり、書店で自分が表紙を描いた本が平積みされているのを見かけたりする瞬間は、何にもかえがたい喜びだといいます。日本のマンガは世界中で読まれていて、翻訳されて海外のファンに届くこともあります。自分の好きなことを仕事にでき、一生かけて表現を深めていけるのも魅力です。

作品が広がっていく喜び

ヒット作になると、アニメ化、映画化、ゲーム化、グッズ化などで作品の世界が広がります。自分が生み出したキャラクターが動き、声がつく体験は、漫画家ならではです。

場所を選ばず働ける

デジタルで描けば、地方や海外に住みながら仕事をすることもできます。家族の事情や好きな暮らし方に合わせて働けるのも、この仕事の良さです。

大変なこと・きついこと

締め切りに追われる生活が続き、特に週刊連載では休みがほとんどないこともあります。長時間座って描き続けるため、腰痛や肩こり、腱鞘炎、目の疲れなど体の不調が出やすい仕事です。人気が出なければ連載が終わり、次の仕事が決まるまで収入が途絶えることもあります。SNSでは作品への厳しい意見を受けることもあり、心の負担も大きくなりがちです。フリーランスの場合は、依頼主との契約やお金のトラブルにも自分で対応しなければなりません。

収入の不安定さ

連載が終わったり、依頼が減ったりすると、収入がすぐに減ります。貯金をしておく、複数の仕事を持つ、会社員と両立するなど、生活を守る工夫が必要です。

AIと著作権の問題

画像を作るAIの広がりで、イラストの仕事の一部が置きかわる心配や、自分の絵が無断で学習に使われる問題が議論されています。著作権の知識を持ち、自分の作品を守ることも大切になっています。

向いている人

描くことが好きで、毎日描き続けられる人に向いています。うまく描けなくても、何枚でも描き直せる根気が大切です。漫画家なら、本や映画、日常の出来事から「これを物語にしたら面白い」と思いつく人、人の気持ちに関心がある人に素質があります。イラストレーターなら、依頼主の希望をくみ取って形にするのが好きな人、いろいろな絵柄に挑戦できる人が向いています。締め切りを守る、お金を管理するなど、自分で自分を管理できる力も欠かせません。

絵のうまさだけでは決まらない

絵が上手でも、締め切りを守れない、編集者や依頼主とうまくやりとりできない、という場合は仕事が続きにくいといわれます。逆に、絵が個性的でも、物語の面白さや誠実な仕事ぶりで長く活躍する人もいます。

向いていないかもしれない人

安定した収入や決まった休みを最優先にしたい人には、フリーランスはつらいかもしれません。その場合は、ゲーム会社などの会社員として描く道や、副業として描く道もあります。

高校生のうちにできること

まずは、たくさん描いて、最後まで完成させる経験を積みましょう。途中でやめずに1本のマンガや1枚のイラストを仕上げることが、プロへの第一歩です。美術部や漫画研究部に入る、文化祭で作品を展示する、SNSや投稿サイトで発表するのも良い経験になります。マンガ雑誌の新人賞には年齢制限がないものが多く、高校生で受賞してデビューする人もいます。また、美術の授業のデッサンは、人物や物の形を正確に描く力の基礎になります。

インプットを増やす

マンガだけでなく、小説、映画、ドラマ、美術館の絵、写真集など、いろいろな作品に触れると、物語や構図のアイデアが広がります。歴史や科学などの勉強も、作品の題材になります。

SNSで発表するときの注意

作品を発表するときは、個人情報を書かない、他人の作品をまねして自分の作品として出さない、など基本的なルールを守りましょう。ネットでのトラブルから身を守ることも大切です。

代表的な会社・職場

漫画家が作品を発表する主な場は、集英社、講談社、小学館、KADOKAWA、白泉社、スクウェア・エニックスなどの出版社の雑誌やマンガアプリです。LINEマンガやピッコマなどのマンガアプリ、縦読みマンガの制作スタジオも重要な職場になっています。イラストレーターは、ゲーム会社、アニメ制作会社、広告制作会社、デザイン事務所、出版社などから依頼を受けたり、社員として働いたりします。

出版社と担当編集者

出版社の担当編集者は、作品づくりのパートナーです。物語の相談、ネームのチェック、締め切りの管理、単行本の企画などを一緒に進めます。

ゲーム会社・アニメ会社

スマホゲームの開発会社やアニメ制作会社では、キャラクターデザイン、背景美術、カードイラストなどを担当するイラストレーターを社員として採用しています。

紙から電子へ、変わるマンガの市場

日本のコミック市場は2024年に推定約7,043億円となり、7年連続で伸びて過去最高になりました。そのうち電子コミックが約5,122億円で7割以上を占め、紙の単行本は約1,472億円、マンガ雑誌は約449億円と減り続けています。たとえば、書店で紙の雑誌を買う人より、スマホのマンガアプリで毎日1話ずつ読む人のほうが多くなっています。この変化で、雑誌に載らなくてもアプリで連載したり、SNSで人気を得てデビューしたりする道が広がりました。一方で、無料で読める作品が増え、読者に選ばれ続けるための競争は激しくなっています。

縦読みマンガの広がり

韓国で生まれたWebtoon(縦読みマンガ)は、日本でも広がっています。フルカラーで、スマホで読みやすい形が特徴で、チームで分業して作るスタジオが増えています。

海外への広がり

日本のマンガは翻訳され、世界中で読まれています。海外向けの配信サービスも増え、海外のファンから直接支持される作家も出ています。

会社員・副業との両立

漫画家やイラストレーターの中には、会社員として働きながら描き続ける人がたくさんいます。会社の仕事が終わった夜や週末に作品を描き、SNSや同人誌で発表したり、イラストの依頼を受けたりします。安定した給料があるので、売れるかどうかを気にせず、描きたい作品を描けるのが良さです。仕事が増えてきたら専業になる人もいれば、あえて両立を続ける人もいます。会社員としての経験が、職場が舞台のマンガやお仕事マンガの題材になることもあります。

副業のルール

会社によっては副業に届け出が必要だったり、禁止されていたりします。始める前に会社の規則を確認し、収入が一定を超えたら確定申告も必要になります。

時間のつくり方

毎日1時間でも描く時間を決める、通勤時間にスマホでネームを考える、週末にまとめて作画するなど、工夫しながら続ける人が多いです。

よくある質問

漫画家になるには、美術大学や専門学校に行かないといけませんか?

行かなくてもなれます。学歴の条件はなく、独学でデビューした漫画家もたくさんいます。学校ではデッサンやデジタル作画、ストーリーづくりを体系的に学べ、仲間や先生とのつながりができるのが良さです。

絵が上手くないと漫画家にはなれませんか?

絵のうまさは大切ですが、それだけで決まるわけではありません。物語の面白さやキャラクターの魅力で人気になる作品もあります。絵が苦手な人は、マンガ原作者として物語を担当する道もあります。

何歳でデビューする人が多いですか?

10代から30代以降まで幅広いです。高校生で新人賞を受賞する人もいれば、会社員を経て30代、40代でデビューする人もいます。年齢よりも、作品を描き続けることが大切です。

デジタルとアナログ、どちらで描けばいいですか?

今はデジタルで描くプロが多数派ですが、アナログで描くプロもいます。デジタルは修正や色塗りが速く、データでやりとりできるのが利点です。まずは描きやすい方法で、完成させる経験を積みましょう。

漫画家の収入はどのくらいですか?

人によって大きく違います。連載中の原稿料と、単行本の印税(定価の1割前後が一般的)が主な収入で、ヒット作があれば年に数千万円以上になる一方、単行本が売れなければ生活が苦しいこともあります。

会社員をしながら漫画家やイラストレーターになれますか?

なれます。夜や週末に描いてSNSや同人誌で発表し、書籍化や依頼につなげる人はたくさんいます。会社の副業ルールは事前に確認しましょう。

イラストレーターとして会社に就職することはできますか?

できます。ゲーム会社、アニメ制作会社、広告制作会社などが、イラストレーターやデザイナーを社員として採用しています。採用ではポートフォリオと実技試験が重視されます。

AIで絵が描ける時代に、イラストレーターの仕事はなくなりますか?

簡単な絵の一部はAIに置きかわる可能性があります。一方で、依頼主の目的をくみ取ってオリジナルの世界を作る力や、作家の個性はAIでは代わりにくいとされます。著作権のルールづくりも進められています。

この分野のことば

年収について:厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)」のイラストレーターの年収は約492.2万円(令和7年賃金構造基本統計調査、平均年齢39.8歳)。ただしjob tagによるとイラストレーターの88.7%が自営・フリーランスで、統計の対象になりにくい人が大半です。漫画家の公的な年収統計はありません。単行本の印税は定価の1割前後が一般的とされ、売れた部数によって収入が決まるため、人による差がきわめて大きい仕事です。

数字はすべて公開データにもとづく目安です。出典は出典・サイトポリシーにまとめています。

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