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資格はいらない。必要なのは「選ばれること」と、支える仲間です

政治家・議員秘書

政治家(議員)は、選挙で選ばれて、国や都道府県、市町村のルールや予算を決める人です。たとえば、国会議員は消費税の税率や高校の授業料の支援などを決める法律を作り、市議会議員は市の図書館をどこに建てるか、ごみの収集日を変えるか、といった身近なことを話し合って決めます。議員秘書は、議員の予定の管理、地元の人からの相談の受け付け、政策の調査などを行い、議員の仕事を支える人です。政治家になるのに資格や試験はなく、決められた年齢に達して選挙に立候補し、当選すればなれます。そのかわり、4年ごと(参議院は6年ごと)に選挙で信任を受け続けなければならない、安定とは正反対の仕事です。

平均年収の目安国会議員の歳費は月129万4千円。市議会議員(政令市を除く)の議員報酬は平均月約41万円、町村議会議員は平均月約22万円町村議員の年収300万円前後から、国会議員の年収2,000万円超まで大きな幅がある
なるまでの難しさ★★★★★試験はありませんが、選挙に勝つことが最大の壁です。国政選挙では、知名度や組織、資金がないと当選は簡単ではありません。立候補するには供託金が必要で、衆議院の小選挙区なら300万円を預け、得票が一定に届かないと没収されます。一方で、町村議会では2023年の統一地方選挙で議員の33.0%が無投票で当選しており、なり手が足りない地域もあります。目指す議会によって難しさがまったく違います。
決めどき文系が中心

決まった時期はありません。大学卒業後に秘書や会社員、公務員などを経験してから立候補する人が多く、地方議員は20代で当選する人もいます。被選挙権は衆議院・地方議員・市区町村長が25歳以上、参議院と知事が30歳以上です

どんな職種がある?

押すと、その職種の仕事内容・必要な力・キャリアが見られます。

政治家・議員秘書の年収と昇進の流れ

議員報酬の平均月額(令和4年) 町村議会議員 約22万円 市議会議員 約41万円 都道府県議会 約81万円 国会議員 129万4千円 市議会は政令市を除く。国会議員は歳費の月額 議員を支える秘書の初任給(月の目安) 私設秘書 約20万円 第二秘書 33万円程度 第一秘書 42万円程度 政策担当秘書 44万円程度 落選すると収入がなくなる 議員が落選すると、その秘書も職を失う 議会の大きさで、報酬は大きくちがう
議員報酬のほかに、6月と12月の期末手当があります。町村議員は多くの人が兼業しています
私設秘書・インターン200〜350万円
20代前半〜

議員事務所で電話対応や地元回り、選挙の手伝いなどをします。初任給の相場は月20万円程度といわれ、事務所によって待遇は違います。

公設秘書(第二秘書・第一秘書・政策担当秘書)450〜800万円
20代後半〜

初任給の目安は第二秘書が月33万円程度、第一秘書が月42万円程度、政策担当秘書が月44万円程度で、ボーナスがあります。勤続年数で上がりますが、議員が落選すると職を失います。

町村議会議員250〜400万円
当選後

議員報酬の平均月額は約22万円(令和4年)で、多くの人が兼業しています。期末手当を含めたおおまかな目安です。

市議会議員(政令市を除く)500〜800万円
当選後

議員報酬の平均月額は約41万円(令和4年)です。市の規模で大きく違います。数字は期末手当を含めた目安です。

都道府県議会議員1,000〜1,500万円
当選後

議員報酬の平均月額は約81万円(令和4年)です。都道府県全体の予算や条例を審議します。

国会議員2,000〜2,200万円
当選後

歳費は月129万4千円で、期末手当を合わせると年収は2,000万円を超えます。当選を重ねると委員長や政務官、副大臣を務めます。

大臣・党の幹部2,200〜3,000万円
当選を重ねて

大臣になると、国会議員の歳費とは別に大臣としての給与が加わる仕組みです。ただし一部を国に返納する慣行もあり、数字はおおまかな目安です。ごく一部の人しかなれません。

年収は目安です。会社や地域、本人の働き方で大きく変わります。

働き方で何が違う?

国会議員歳費月129万4千円と期末手当(年収2,000万円超)

国の法律と予算を決める仕事です。東京の国会と地元を行き来し、公設秘書3人と私設秘書たちとチームで動きます。衆議院は任期4年ですが、解散があるためいつ選挙になるかわかりません。参議院は任期6年で解散はありません。

良いところ国全体の政策にかかわれる、影響力が大きい

大変なところ選挙が厳しい、休みが少ない、常に注目される

地方議員(都道府県・市区町村)平均月額は都道府県約81万円、市約41万円、町村約22万円(令和4年)

住んでいる地域のことを決める政治家です。住民と直接話す機会が多く、身近な課題に取り組めます。報酬は自治体の規模によって大きく違い、町村議会ではほかの仕事と兼業する人が多いです。

良いところ住民の声が直接届く、兼業もできる、若くても挑戦しやすい議会もある

大変なところ小さな自治体では報酬だけで暮らすのが難しい

首長(知事・市区町村長)自治体ごとに条例で決まる

役所のトップとして実際に行政を動かす仕事です。議会に予算案を出し、職員を指揮します。1人で選挙を戦い、責任も1人で背負います。

良いところ自分の考えで地域を動かせる

大変なところ責任が重い、災害時などは休む間もない

議員秘書(公設・私設)公設秘書の初任給は月33万〜44万円程度、私設秘書は月20万円程度が相場

政治家を支える仕事です。政策づくり、予定の管理、地元回り、選挙の準備など仕事は幅広く、議員の考え方によって任される仕事も違います。将来自分が政治家になるための修業の場と考える人もいます。

良いところ政治の現場を間近で学べる、人脈が広がる

大変なところ議員が落選すると職を失う、長時間労働になりやすい

代表的な会社・職場

国会議員事務所都道府県議会市議会町村議会議会の専門スタッフ議員の調査部門政党
衆議院国会

定数465人の議院で、任期は4年ですが解散があります。予算の議決や総理大臣の指名で参議院より強い権限を持ちます。

議員の歳費は月129万4千円
参議院国会

定数248人の議院で、任期は6年、3年ごとに半数が改選されます。解散はありません。

議員の歳費は月129万4千円
衆議院議員会館・参議院議員会館議員事務所

東京・永田町にある、国会議員1人ずつの事務所が入った建物です。公設秘書の多くがここで働きます。

公設秘書の給料は国が支給
東京都議会都道府県議会

東京都の条例と予算を決める議会です。都の予算は国の小さな国と同じくらいの規模があります。

都道府県議会議員の報酬平均月額は約81万円(全国、令和4年)
全国の市議会市議会

全国に約800ある市の議会です。市民の暮らしに身近な条例や予算を決めます。

平均月額約41万円(政令市を除く、令和4年)
全国の町村議会町村議会

全国に約900ある町や村の議会です。議員の多くが兼業しています。

平均月額約22万円(令和4年)
衆議院法制局・参議院法制局議会の専門スタッフ

議員が法律案を作るとき、条文の書き方や他の法律との関係を専門的に手伝う組織です。

職員は国家公務員の給与
国立国会図書館 調査及び立法考査局議員の調査部門

国会議員の依頼を受けて、政策に関する調査や資料作りを行う部門です。

職員は国家公務員の給与
各政党の本部政党

選挙の準備、政策づくり、広報などを行う政党の組織です。職員として働く人もいます。

政党ごとに異なる

どうやって稼いでいる?

入ってくるお金 税金から 支援者から 歳費・議員報酬 議員の生活のための報酬 国会議員は月129万4千円 活動のための経費 国会議員は月100万円 地方は政務活動費 政党交付金 国民1人あたり年250円 をもとに政党へ配る 寄付・パーティー 後援会の会費も寄付 金額や相手に制限あり 政治家 活動に使う 活動にかかるお金 事務所の家賃 秘書の給料 チラシの印刷代 選挙の費用 収支報告書で公開する 法律で報告が決まり、だれでも見られる 報酬は税金から 活動のお金は集めて、報告する
国会議員の公設秘書3人分の給料は、議員ではなく国が秘書本人に直接払います

政治家は会社員のように給料をもらう仕事ではなく、議員としての報酬(国会議員は歳費)を受け取ります。報酬は法律や条例で決まっていて、税金から支払われます。一方で、政治活動には事務所の家賃、秘書の給料、チラシの印刷代、選挙の費用など多くのお金がかかります。そのため政治家は、個人や団体からの寄付、政党から配られる交付金、政治資金パーティーの収入などで活動費をまかないます。こうしたお金の流れは政治資金規正法で報告が義務づけられていて、誰でも収支報告書を見ることができます。

1
歳費・議員報酬

議員本人の生活のための報酬です。国会議員は月129万4千円と期末手当、地方議員は自治体ごとの条例で決まった額を受け取ります。

2
調査研究広報滞在費・政務活動費

国会議員には月100万円、地方議員には自治体ごとに政務活動費が支給されます。議員の調査研究や広報など、活動のための経費です。政務活動費は使い道の報告が必要です。

3
政党交付金

国民1人あたり年250円をもとに計算したお金が、条件を満たす政党に配られます。政党はそれを所属議員の活動や選挙に使います。

4
個人・団体からの寄付

支持する人から寄付を受けます。たとえば、後援会の会費も寄付の一種です。金額や相手には法律で制限があります。

5
政治資金パーティー

会費を集めて開く集会で、活動資金を集めます。近年は収入の記載漏れが大きな問題になり、ルールが厳しくなっています。

6
公設秘書の給与(国費)

国会議員の公設秘書3人分の給料は国が直接支払います。議員の収入ではなく、秘書本人に支払われます。

入ってからどうなっていく?

高校〜大学社会の課題に関心を持つ生徒会、ボランティア、学生団体などで、人をまとめたり意見を発信したりする経験を積む人が多いです。大学の学部は法学部・政治経済学部が多いですが、どの学部からでも目指せます。
20代秘書・会社員・公務員として経験を積む議員事務所で秘書として働いて政治の現場を学ぶ人、会社員や公務員、弁護士、医師、地元の家業などで専門性を身につける人がいます。25歳を過ぎると衆議院や地方議員に立候補できます。
20代後半〜30代初めての立候補市区町村議会や都道府県議会に立候補して政治家になる人が多いです。政党の公認を得て、党が公募する候補者に応募する道もあります。落選しても次を目指して地域活動を続ける人もいます。
1期目(4年)新人議員議会のルールを覚え、委員会での質問や住民の相談を通じて実績を積みます。次の選挙で再選されることが最初の大きな関門です。
2〜3期目中堅議員委員会の委員長や議会の役職を任されます。地方議員から国会議員や首長に挑戦する人も出てきます。
当選を重ねて(40〜60代)ベテラン議員・役職国会議員なら政務官、副大臣、大臣、党の幹部などを務めます。地方議員なら議長などを務めます。
引退・落選後次の道へ政界を引退して後継者に地盤を引き継ぐ人、落選して民間企業や大学、団体で働く人など、その後の道はさまざまです。

議員の提案が法律になるまで(議員立法の流れ)

議員と事務所で準備する 課題を見つける 地元の声・団体の要望・ニュースから 1 調査と素案づくり 秘書や議会の法制局と一緒に 2 仲間を集めて提出 3 衆議院では20人以上の賛成者 予算を伴うなら50人以上 衆議院 委員会で審議 本会議で採決 参議院 委員会で審議 本会議で採決 4 5 6 可決 7 法律が成立・公布 公布されて国民に知らされる 2つの議院で可決されて、法律になる
衆議院で可決されたあと、参議院でも同じように審議と採決をします
1
課題を見つける

地元の人の声や、関係する団体の要望、ニュースなどから、変えるべき問題を見つけます。

2
調査と素案づくり

秘書や議会の法制局と一緒に、今の法律の問題点を調べ、新しい法律の素案を作ります。

3
仲間を集める

衆議院では20人以上(予算を伴う場合は50人以上)の賛成者を集めて法律案を提出します。政党内での了承も必要です。

4
委員会での審議

担当の委員会で、提出した議員が説明し、ほかの議員から質問を受けます。

5
本会議での採決

委員会で可決されたら本会議で採決します。

6
もう一方の議院での審議

衆議院で可決されたら参議院でも同じように審議・採決します。

7
成立と公布

両院で可決されると法律が成立し、天皇が公布して国民に知らされます。

国会議員政策担当秘書資格試験(政策担当秘書になる場合)

合格率対受験者9.7%(令和7年度。申込者241人、受験者144人、最終合格者14人)
勉強時間の目安公的な目安はありません。国家公務員総合職と同程度の教養と、政策について論じる力が求められます
受験資格大学卒業者または卒業見込みの人など
合格者は毎年10人前後と非常に少なく、令和7年度は受験者144人に対し最終合格者14人でした。ただし、政治家そのものになるための試験ではなく、政策担当秘書という特定の役職のための試験です。政治家にとって本当の「試験」は選挙で、こちらは勉強だけでは突破できません。
試験科目(押すと中身が見られます)
合格までの流れ
  1. 申し込み衆議院・参議院が共同で実施する試験に申し込みます。
  2. 第1次試験教養問題と総合論文を受けます。
  3. 第2次試験口述試験(面接)を受けます。
  4. 合格・登録合格すると政策担当秘書の資格を得られます。
  5. 採用資格があるだけではなれず、国会議員に政策担当秘書として採用されて初めて働けます。

政治家・議員秘書のある1日

7:00

駅前で街頭に立ち、通勤する人にあいさつをして活動報告のチラシを配ります(国会議員の地元での一日の例)。

8:30

議員会館の事務所に入り、秘書と今日の予定と新聞の記事を確認します(国会の開会中の例)。

9:00

所属する政党の部会に出席し、新しい法律案について省庁の説明を受けて意見を言います。

10:00

委員会に出席します。今日は大臣に質問をする日なので、準備した質問をします。

12:00

昼食をとりながら、業界団体の人から要望を聞きます。

13:00

衆議院本会議に出席し、法律案の採決に参加します。

15:00

事務所で地元からの陳情団に会い、話を聞きます。

16:30

政策担当秘書と、次の質問のテーマについて打ち合わせをします。

18:30

勉強会や会合に出席します。夜に複数の会合をはしごすることもあります。

21:00

帰宅。SNSで今日の活動を報告します。金曜の夜には地元に戻ります。

もっと知りたい人へ

そもそも政治家・議員秘書とは

政治家は、選挙で選ばれた住民や国民の代表として、社会のルールとお金の使い道を決める人です。国会では法律と国の予算、地方議会では条例と自治体の予算を決めます。政治家には資格も試験もなく、年齢の条件を満たせば誰でも立候補できます。議員秘書は、そうした政治家の活動を支える人で、国会議員には国が給料を出す公設秘書が3人まで認められています。

政治家の数

国会議員は衆議院465人と参議院248人です。地方議員は全国に3万人以上いて、政治家の大半は地方議員です。

議会と首長の関係

国では、国会議員の中から総理大臣が選ばれます(議院内閣制)。地方では、議員と首長(知事・市長)を住民が別々の選挙で選びます(二元代表制)。たとえば、市長が出した予算案を、市議会が修正したり否決したりできます。

なるためのルート

政治家になるには、選挙で当選することがすべてです。立候補には年齢の条件(衆議院・地方議員・市区町村長は25歳以上、参議院・知事は30歳以上)と、供託金というお金が必要です。多くの人は、政党の公認や推薦を受けて立候補します。政党は候補者を公募していることもあり、会社員や主婦、学生などから応募して候補者になる人もいます。議員秘書には特別な資格はありませんが、政策担当秘書になるには資格試験の合格などが必要です。

  1. 社会の課題を知る学校や地域の活動、仕事を通じて、変えたいことを見つけます。
  2. 政治の現場を経験する議員事務所のインターンや秘書、選挙ボランティアで、政治の仕組みと選挙の実際を学びます。
  3. 仲間と資金を集める応援してくれる人(後援会)を作り、選挙に必要な資金を準備します。
  4. 公認・推薦を得る政党の公認や推薦を得るか、無所属で立候補するかを決めます。
  5. 立候補して選挙を戦う供託金を納めて立候補し、選挙運動を行います。
  6. 当選して議員になる当選すると任期の間、議員として活動します。次の選挙で再選されることを目指します。
よくあるルート

国会議員では、地方議員からの転身、議員秘書の経験者、官僚出身者、弁護士や医師、会社経営者、親が政治家だった人(世襲)などが多く見られます。地方議員では、地元で商売や仕事をしている人、PTAや町内会の活動をしてきた人なども多いです。

政治塾や公募

政党や政治家、民間団体が開いている政治塾で学び、候補者として声がかかる人もいます。政党の公募では、書類と面接で候補者が選ばれます。

試験・選考の詳細

政治家に試験はありませんが、選挙が事実上の「選考」です。立候補には供託金が必要で、衆議院の小選挙区と参議院の選挙区は300万円、都道府県議会議員は60万円、特別区(東京23区)の区議会議員は30万円などと決まっています。得票が一定の基準に届かないと没収されます。議員秘書のうち政策担当秘書には、国会が行う政策担当秘書資格試験があり、2025年度(令和7年度)は申込者241人、最終合格者14人(対受験者の合格率9.7%)でした。

政策担当秘書資格試験

受験資格は大学卒業程度などで、1次試験は教養の択一式と論文、2次試験は面接です。合格者は毎年10人前後と非常に少なく、難関です。司法試験や公認会計士試験に合格した人などは、選考で資格を得られる仕組みもあります。

政党の公認の選考

政党の公認を得るには、党の選考委員会などの審査があります。経歴、地域とのつながり、当選の見込みなどが見られます。公募では書類、論文、面接で選ばれることが多いです。

年収のリアル

国会議員の歳費は月129万4千円で、6月と12月の期末手当を合わせると年収は2,000万円を超えます。地方議員の議員報酬は自治体の規模で大きく違い、平均月額は都道府県議会議員が約81万円、市議会議員(政令市を除く)が約41万円、町村議会議員が約22万円です(令和4年)。町村議員は報酬だけで生活するのが難しく、多くの人がほかの仕事と兼業しています。また、選挙のたびに多くの費用がかかり、落選すると収入がなくなるという大きなリスクがあります。

活動費とのちがい

国会議員の調査研究広報滞在費(月100万円)や地方議員の政務活動費は、議員個人の給料ではなく、政治活動のための経費です。使い道については、公開を求める声が強まっています。

秘書の給料

公設秘書の給料は国が決めた基準で支払われ、初任給の目安は第二秘書で月33万円程度、政策担当秘書で月44万円程度です。私設秘書は議員事務所ごとに待遇が違い、月20万円程度が相場といわれます。

やりがい

自分が提案した政策が実現し、暮らしが変わるのを目の前で見られることが最大のやりがいです。たとえば、市議会議員が通学路の危ない交差点に信号をつけるよう働きかけ、実際に信号がついたとき、地域の人から感謝されます。国会議員なら、法律を作ることで日本中の人の生活を変えられます。秘書は、政治の最前線で動く手ごたえと、議員と一緒に政策を形にする達成感があります。

人の声を形にできる

困っている人の声を直接聞き、それを議会で取り上げて制度を変えられるのは、政治家ならではの仕事です。

幅広い人と出会える

政治家や秘書は、企業の経営者、農家、医師、学生、子育て中の親など、さまざまな立場の人と会って話を聞きます。社会の全体を知ることができる仕事です。

大変なこと・きついこと

もっとも大きいのは、選挙で落選すれば仕事を失うという不安定さです。任期中も、休日は地元の行事や会合で埋まり、家族と過ごす時間が少なくなりがちです。また、発言や行動が常に注目され、SNSなどで批判されることも多い仕事です。選挙にはお金がかかり、資金集めの苦労もあります。秘書は、議員が落選すると自分も職を失い、長時間労働になりやすい仕事です。

プライバシーが少ない

政治家は公人として見られるため、家族を含めて私生活が注目されることがあります。どこに行っても「議員」として見られるため、気が休まらないと感じる人もいます。

政治とお金の問題

政治資金の不正な処理は、法律違反として厳しく問われます。近年、政治資金パーティーの収入の記載漏れが大きな問題となり、政治資金の透明性を高めるための法律改正が行われました。お金の扱いには細心の注意が必要です。

向いている人

社会の問題を「誰かが何とかしてくれる」ではなく「自分が変えたい」と思える人に向いています。人前で自分の考えをわかりやすく話せること、反対意見の人とも話し合えること、批判されても折れない強さも必要です。秘書には、議員を支えることにやりがいを感じ、細かい段取りや調整が得意な人が向いています。

こんな経験が生きる

生徒会長や部活の部長として、意見の違う人たちをまとめた経験は、政治の仕事に通じます。地域のボランティアで、困っている人の声を聞いた経験も大切です。

こんな人は大変かも

安定した収入や決まった休日を重視する人、人から批判されるのが極端に苦手な人には、きつく感じられるかもしれません。

高校生のうちにできること

18歳になったら選挙で投票できます。まずは、ニュースで政治の話題にふれ、自分の住む市の議会がどんなことを話し合っているかを調べてみましょう。市議会の本会議は誰でも傍聴でき、インターネットで中継している議会も多いです。生徒会や地域のボランティアに参加して、意見をまとめる経験を積むのもおすすめです。

議会を見てみる

市役所のホームページから議会の中継や会議録を見られます。たとえば、自分の通う学校の地域の通学路や部活動の地域移行について、議員がどんな質問をしているか探してみると、政治が身近に感じられます。

インターンシップ

大学生になると、議員事務所でインターンとして働けるプログラムがあります。政治の現場を実際に体験でき、秘書や政治家を目指すきっかけになる人も多いです。

代表的な会社・職場

政治家の職場は、国会(衆議院・参議院)と、都道府県議会、市区町村議会です。国会議員の事務所は東京・永田町の議員会館にあり、地元にも事務所を持ちます。秘書は議員事務所のほか、政党の本部で働く職員もいます。政治家を目指す人が集まる政治塾もあります。

政党の本部職員

政党の本部では、選挙の準備、政策の調査、広報などを担当する職員が働いています。政治家ではありませんが、政治の現場に深くかかわる仕事です。

議会事務局

議会には、議員の活動を支える議会事務局があり、地方公務員や国家公務員が働いています。衆議院・参議院の事務局や法制局は、議員が法律案を作るのを専門的に手伝います。

国会議員と地方議員のちがい

国会議員は国全体の法律と予算を決め、地方議員は住んでいる地域の条例と予算を決めます。国会議員は東京と地元を行き来し、公設秘書が3人つきます。地方議員の多くは秘書を持たず、自分で住民の相談に対応します。報酬も大きく違い、国会議員の歳費は月129万4千円ですが、町村議会議員の報酬は平均月約22万円です。

地方議員のなり手不足

町村議会では、議員の平均年齢が64.4歳(2023年7月)と高く、2023年の統一地方選挙では町村議員の33.0%が無投票で当選しました。若い人や女性の議員を増やすため、報酬を上げたり、夜や休日に議会を開いたりする自治体もあります。

兼業できるかどうか

地方議員は、ほかの仕事を続けながら議員を務める人が多く、町村議会では議員専業の人は24.3%にとどまります(2023年7月)。国会議員は国会の仕事が忙しく、兼業は難しいのが実情です。

選挙のしくみとお金

選挙に立候補するには、供託金が必要です。衆議院の小選挙区と参議院の選挙区は300万円、比例代表は600万円、都道府県議会議員は60万円などです。一定の得票に届かないと、供託金は国や自治体のものになります。選挙運動にはポスター、チラシ、選挙カー、事務所の家賃などの費用がかかりますが、一部は公費で負担される仕組み(選挙公営)があります。選挙運動のやり方は公職選挙法で細かく決まっていて、たとえば有権者にお金や物を配ることは禁止されています。

ネット選挙

2013年からインターネットを使った選挙運動が認められ、候補者はSNSや動画で政策を訴えられるようになりました。ただし、18歳未満の人は選挙運動ができないので、高校生が候補者の投稿をシェアすることは禁止されています。

地盤・看板・かばん

選挙に強い政治家の条件として、地盤(支持してくれる組織)、看板(知名度)、かばん(資金)の3つがよく挙げられます。親が政治家の人はこれを引き継げるため有利だといわれ、世襲議員をめぐる議論があります。

よくある質問

政治家になるのに大学を出ている必要はありますか

必要ありません。学歴の条件はなく、年齢と日本国籍などの条件を満たせば誰でも立候補できます。実際に高校卒業後に働きながら地方議員になった人もいます。

何歳から政治家になれますか

衆議院議員、都道府県議会議員、市区町村議会議員、市区町村長は25歳以上、参議院議員と都道府県知事は30歳以上で立候補できます。

議員秘書になるには資格がいりますか

第一秘書・第二秘書・私設秘書には資格は必要ありません。政策担当秘書になるには、政策担当秘書資格試験に合格するか、一定の資格や経歴をもとに選考を受ける必要があります。

政党に入らないと政治家になれませんか

無所属で立候補して当選する人もいます。とくに地方議員には無所属の人が多くいます。ただし、国政選挙では政党の組織や資金の支援がある候補者が有利なのが実情です。

落選したらどうなるのですか

議員としての報酬はなくなります。次の選挙を目指して地域活動を続ける人、元の仕事に戻る人、別の仕事に転職する人などさまざまです。

政治家の仕事に休みはありますか

決まった休日はありません。平日は議会、週末は地元の行事や会合というように、休みが取りにくい仕事です。地方議員は議会の会期以外は自分で予定を組めますが、地域の行事が多い時期は忙しくなります。

高校生でも政治活動はできますか

政治について学んだり、意見を発信したりすることはできます。ただし、18歳未満の人は選挙運動をすることが法律で禁止されています。18歳になれば投票も選挙運動もできます。

女性の政治家は多いですか

日本は女性の議員の割合が国際的に見て低い国です。候補者の男女の数をできるだけ同じにするよう政党に求める法律ができ、女性の議員を増やす取り組みが進められています。

政治家の子どもでないと政治家になれませんか

そんなことはありません。会社員、公務員、秘書などから立候補して当選する人はたくさんいます。ただ、親から支援組織や知名度を引き継げる世襲の候補者が選挙で有利になりやすいのは事実です。

この分野のことば

年収について:国会議員の歳費は月額129万4千円で、これに6月と12月の期末手当が加わります。別に調査研究広報滞在費が月100万円支給されますが、これは活動のための経費です。地方議員の議員報酬の平均月額は、総務省「令和4年 地方公務員給与の実態」によると、都道府県議会議員81万2,881円、市議会議員(政令市を除く)40万8,153円、町村議会議員21万6,665円です。議員は落選すると収入がなくなり、選挙や事務所の費用もかかるため、報酬の額だけで暮らしぶりは判断できません。

数字はすべて公開データにもとづく目安です。出典は出典・サイトポリシーにまとめています。

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