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「賢い仕組み」をデータから育てる、いま最も変化の速い仕事です

AIエンジニア・機械学習研究者

AIエンジニアは、たくさんのデータからコンピューターに規則やコツを学ばせる「機械学習」という技術を使って、人の代わりに判断したり、文章や画像を作ったりする仕組みを作る仕事です。たとえば、スマートフォンの写真アプリが顔ごとに写真を分けてくれる機能、動画サイトのおすすめ、翻訳アプリ、チャット形式で質問に答えるAI、自動車の自動ブレーキなどは、すべて機械学習で作られています。新しい手法そのものを考えて論文にする人を機械学習研究者、それを実際の商品やサービスに組み込む人をAIエンジニアと呼ぶことが多いですが、両方をこなす人もたくさんいます。国の職業情報サイトでは、この仕事で働く人には修士課程(大学院の前半2年)や博士課程を出た人が多いとされていて、理系の職業の中でも特に大学院とのつながりが強い仕事です。

平均年収の目安約610万円約450万〜1,500万円以上(研究者として実績がある人や外資系IT企業では、さらに高い例もある)
なるまでの難しさ★★★★★必須の国家資格はありません。ただし、数学(線形代数、微分積分、確率・統計)とプログラミングの両方が必要で、さらに英語の論文を読み続けなければなりません。働いている人に修士・博士課程の修了者が多く、研究職を目指すなら大学院でどんな研究をしたかが選考で大きく見られます。技術が数か月単位で変わるので、就職したあとも学び続ける力が求められます。
決めどき理系が中心

高校で理系(数学III・Cまで学ぶコース)を選び、大学は情報、数学、電気電子、物理などの学科へ。研究職を目指すなら大学3〜4年で研究室を選ぶ時期が大きな分かれ目

どんな職種がある?

押すと、その職種の仕事内容・必要な力・キャリアが見られます。

AIエンジニア・機械学習研究者の年収と昇進の流れ

学生(研究室・インターン)〜200万円
大学4年〜大学院、22〜27歳

研究室で機械学習の研究をし、学会で発表します。企業のインターンで給与をもらいながら実務を経験する人もいます。研究の成果が就職の評価材料になります。

ジュニアエンジニア・研究員450〜650万円
入社1〜3年、23〜30歳

先輩の指導のもとで、データの整理、モデルの学習と評価、小さな機能の開発を担当します。一人で一つの機能を完成させられるようになることが次の段階への条件です。

エンジニア・研究者(中堅)600〜900万円
入社4〜7年、27〜34歳

一つのAI機能や研究テーマを任され、企画から公開まで責任を持ちます。後輩の指導やコードレビューも担当します。成果が評価されるとシニアに上がります。

シニアエンジニア・主任研究員800〜1,200万円
入社7〜12年、30〜40歳

複数のプロジェクトの技術的な方針を決め、チームを技術面で引っ張ります。社外の学会や勉強会で発表し、会社の技術の顔になる人もいます。

マネージャー・プリンシパル1,000〜1,600万円
35〜45歳

チームや部門をまとめるマネージャーか、会社で最上位の技術者であるプリンシパルに進みます。採用や予算の判断、研究の方向づけを担います。

AI部門長・CTO・研究所長1,200〜2,500万円
40代〜

会社全体のAI戦略を決める責任者です。どの技術に投資するか、どんな人を集めるかを決めます。人数は少なく、会社の規模によって給与の幅がとても大きいです。

年収は目安です。会社や地域、本人の働き方で大きく変わります。

働き方で何が違う?

AIの研究開発を本業とする会社(AIスタートアップ・AI専業企業)500万〜1,500万円以上(PKSHA Technologyの平均年間給与は923万円、2025年9月期)

Preferred Networks、Sakana AI、PKSHA Technologyなど、AIそのものを開発して売る会社です。社員の多くがエンジニアや研究者で、最新の技術に触れる機会が多いです。大学院卒の割合が高く、論文発表を推奨する会社もあります。会社の成長段階によって、仕事の範囲や安定性が大きく変わります。

良いところ最先端の技術に集中でき、能力に応じて評価されやすい

大変なところ成果へのプレッシャーが大きく、会社の経営状況に左右されやすい

大手IT・通信会社500万〜1,200万円が目安

NTT、ソフトバンク、LINEヤフー、KDDIなどの大きな会社のAI部門です。自社の大量のデータを使えるのが強みで、何千万人もが使うサービスにAIを組み込めます。研究所を持つ会社も多く、基礎研究から製品開発まで幅広く働けます。

良いところ使えるデータや計算機が多く、研修制度も整っている

大変なところ組織が大きく、新しいことを始めるまでに調整が必要なことがある

メーカー・一般企業のAI部門500万〜1,000万円が目安(会社の給与水準による)

自動車、家電、製薬、銀行、小売などの会社の中で、自社の製品や業務にAIを入れる部門です。たとえば自動車会社なら自動運転、製薬会社なら薬の候補を探すAIに取り組みます。その業界の専門家と一緒に働けるのが特徴です。

良いところ業界の知識が身につき、安定した会社が多い

大変なところAI以外の業務との調整が多く、最新技術の採用に慎重なこともある

大学・国の研究所500万〜1,000万円が目安(職位や機関による)

大学の研究室や、理化学研究所、産業技術総合研究所などで研究者として働きます。研究テーマを自分で選び、長期的な基礎研究に取り組めます。学生の指導も大事な仕事です。任期つきの職から始まることが多いです。

良いところ研究の自由度が高く、社会的な信頼がある

大変なところ若いうちは任期つきの職が多く、研究費の申請に時間がかかる

代表的な会社・職場

AIスタートアップAI専業(上場)大手通信大手IT大手メーカー自動車メーカー国の研究所外資系IT
Preferred NetworksAIスタートアップ

深層学習の技術を中心に、AI用の半導体や大規模言語モデルの開発、製造業や医療へのAI応用を行う日本の会社です。

非上場のため公表なし
Sakana AIAIスタートアップ

東京を拠点に、自然界の仕組みにヒントを得た新しいAIの研究開発を行う会社です。研究者の割合が高いのが特徴です。

非上場のため公表なし
PKSHA TechnologyAI専業(上場)

自然言語処理や画像認識などのAIを、企業のコールセンターや社内の問い合わせ対応などに提供しています。

923万円(2025年9月期、有価証券報告書)
NTT(日本電信電話) ›大手通信

独自の大規模言語モデルの開発や、通信網へのAI活用などを研究所で行っています。

有価証券報告書で公表(持株会社単体の数字)
ソフトバンク ›大手通信

国内での大規模言語モデルの開発や、AI用の計算基盤の整備に取り組んでいます。

有価証券報告書で公表
LINEヤフー ›大手IT

検索、ニュース、メッセージアプリ、広告などのサービスで、おすすめや不正検知にAIを使っています。

有価証券報告書で公表
ソニーグループ(Sony AI) ›大手メーカー

ゲーム、カメラ、エンターテインメントなどでAIを研究し、レースゲームで人と競うAIなどを発表しています。

有価証券報告書で公表
トヨタ自動車・ウーブン・バイ・トヨタ自動車メーカー

自動運転や、運転を助ける機能のためのAIを開発しています。

有価証券報告書で公表
理化学研究所 革新知能統合研究センター(AIP)国の研究所

機械学習の基礎理論から、医療や防災への応用まで、AIを幅広く研究する国の研究拠点です。

機関の給与規程による
産業技術総合研究所 人工知能研究センター国の研究所

産業で使えるAI技術の研究と、企業との共同研究を行っています。

機関の給与規程による
外資系IT企業の日本法人(Google、Microsoftなど)外資系IT

世界規模のAIサービスの開発や、日本の企業へのAI導入の支援を行っています。

非公表(一般に高い水準とされる)

›がついた会社は、会社図鑑で詳しく解説しています。

どうやって稼いでいる?

AIでお金が生まれる、おもな形 自社サービス おすすめや自動回答を賢く 売上アップ・費用ダウン AIの利用料 チャットAIなどを提供 月額料金・API料金 受託開発 AIを使いたい会社から 開発の代金を受け取る 製品に組み込む 自動ブレーキなどに 製品の価格に含まれる 大学・国の研究所 国の研究費や、企業との共同研究費で研究 AIで売上を増やすか、AIそのものを売る
大学や研究所の研究成果が、大学発ベンチャーにつながることもあります

AIの仕事でお金が生まれる仕組みはいくつかあります。ひとつは、自分の会社のサービスにAIを組み込んで、売上を増やしたり費用を減らしたりする方法です。たとえば、通販サイトのおすすめが上手になると買い物をする人が増え、問い合わせへの自動回答が上手になるとコールセンターの人件費が減ります。もうひとつは、AIそのものを商品として売る方法です。チャットAIの月額料金や、企業がAIを呼び出すたびに払う利用料(API料金)がその例です。さらに、AIを導入したい会社から依頼を受けて開発を請け負う会社や、AIの計算に使う半導体やクラウドを貸す会社もあります。大学や国の研究所の研究者は、国の研究費や企業との共同研究費で研究を進めます。

1
自社サービスの改善

おすすめ、検索、広告の表示などをAIで賢くして、利用者や売上を増やします。動画配信、通販、SNS、ゲームの会社に多い形です。

2
AIの利用料(サブスクリプション・API)

チャットAIや画像生成AIを、月額料金や使った分だけの料金で提供します。個人だけでなく、会社が自分のシステムにAIを組み込むときにも料金を払います。

3
受託開発・コンサルティング

AIを使いたい会社から依頼を受けて、データの分析からAIの開発・導入までを請け負い、代金を受け取ります。PKSHA Technologyのような会社や、大手のIT企業の一部門が担います。

4
製品への組み込み

自動車、家電、カメラ、工場の機械などにAIを入れて、製品の価値を上げます。たとえば自動ブレーキやロボット掃除機の障害物よけです。製品の価格の中にAIの開発費が含まれています。

5
研究費・共同研究費

大学や国の研究所では、国から配られる研究費や、企業からの共同研究費で研究者の給料や計算機の費用をまかないます。研究成果が新しい会社の立ち上げ(大学発ベンチャー)につながることもあります。

入ってからどうなっていく?

大学1〜4年基礎づくり数学、プログラミング、統計を学びます。3年生ごろに研究室を選び、4年生で卒業研究に取り組みます。AIのコンペ(データ分析の腕を競う大会)やインターンシップに参加する学生もいます。
大学院(修士2年・博士3年)研究の経験を積む修士課程で一つのテーマを深く研究し、学会で発表します。研究者を目指す人は博士課程に進み、国際学会で論文を発表することを目標にします。国の職業情報サイトでも、修士・博士の修了者が多い仕事とされています。
就職1〜3年目現場で鍛えられる時期企業ではデータの整理や評価、小さな機能の開発から始めます。研究所では先輩研究者と共同で研究を進め、自分の名前で論文を出すことを目指します。
4〜10年目中心メンバーになる時期一つのAI機能や研究テーマを任され、後輩の指導もするようになります。この時期に、より大きな会社や、外資系企業、スタートアップに転職する人が多いです。
30代後半〜40代リーダー・専門家の時期チームや研究室を率いるマネージャーになるか、技術を極めるプリンシパル(最上位の技術者)になるかに分かれます。大学では准教授や教授として研究室を持ちます。
40代〜50代組織や分野を引っ張る時期会社のAI戦略を決める責任者(CTOやAI部門長)、研究所長、大学教授などになる人がいます。自分でAIの会社を立ち上げる人もいます。

AIがサービスに入るまで

1 課題を決める 任せたいことと必要な精度 2 データを集めて整える ここに時間の多くがかかる 3 モデルを学習させる GPUで数時間〜数週間 4 評価して改善する 苦手な例を調べて直す 5 サービスに組み込む 一部で試してから全体に公開 6 見張って学び直す 新しいデータで性能を保つ く り 返 す 学 び 直 す 公開して終わりではなく、学び直しが続く
問い合わせメールの自動振り分けなど、AIに任せたいことから始まります
1
課題を決める

「問い合わせメールを自動で振り分けたい」など、AIに任せたいことと、どのくらいの精度が必要かを決めます。

2
データを集めて整える

過去のデータを集め、間違いや個人情報を取り除き、正解のラベルをつけます。ここに時間の多くがかかります。

3
モデルを学習させる

手法を選んでモデルを学習させます。GPUを使って数時間から数週間かけることもあります。

4
評価して改善する

学習に使っていないデータで精度を測り、苦手な例を調べて、データや手法を改善します。何度もくり返します。

5
サービスに組み込む

アプリやシステムから呼び出せるようにして、まずは一部の利用者で試し、問題がなければ全体に公開します。

6
見張って学び直す

公開後も精度が落ちていないかを監視し、新しいデータで学習し直して性能を保ちます。

E資格(JDLA Deep Learning for ENGINEER)※必須ではない民間資格

合格率69.17%(2026年第1回。受験者1,317人、合格者911人)。AIを使う人向けのG検定は73.69%(2025年第1回。受験者4,633人、合格者3,414人)
勉強時間の目安大学で情報系を学んでいる人なら数か月、未経験なら半年〜1年ほど学ぶ人が多い
受験資格協会が認めた講座(JDLA認定プログラム)を試験日の前2年以内に修了していること
E資格は、受験の前に認定講座を修了する必要があるため、受験者はすでに勉強を積んだ人が中心で、合格率は7割前後です。数学とプログラミングの両方が問われるので、高校数学に不安がある人には難しく感じられます。ただし、あくまで知識の証明で、持っていなくてもAIエンジニアとして働けます。採用では資格よりも研究や開発の実績が重視されます。
試験科目(押すと中身が見られます)
合格までの流れ
  1. 認定プログラムの受講協会が認定した講座を受けて修了します。大学の授業が認定されている場合もあります。
  2. 試験の申し込み年2回ほど行われる試験に申し込みます。
  3. 試験(オンライン会場型)指定のテストセンターでパソコンを使って選択式の問題に答えます。
  4. 合格・認定合格するとE資格の認定を受け、名刺や履歴書に書けます。

AIエンジニア・機械学習研究者のある1日

9:30

出社またはリモートで仕事開始。チャットで夜のうちに回しておいた学習の結果を確認します。

10:00

チームの朝会。昨日やったこと、今日やること、困っていることを15分ほどで共有します。

10:30

学習結果の分析。モデルが間違えた例を一つずつ見て、どんなデータが苦手かを調べます。

12:00

昼休み。社内の勉強会(ランチ会)で、新しく出た論文を紹介し合う日もあります。

13:00

データを追加・修正するためのプログラムを書き、新しい条件で学習を始めます。

15:00

企画担当との打ち合わせ。精度の改善状況を説明し、公開する日程を相談します。

16:00

ほかのエンジニアが書いたプログラムを確認し、改善点をコメントします(コードレビュー)。

17:00

英語の論文を1本読み、使えそうな手法をメモします。

18:30

夜のあいだに回す学習の設定を確認してから仕事を終えます。

もっと知りたい人へ

そもそもAIエンジニア・機械学習研究者とは

AIエンジニアは、機械学習という方法でコンピューターに判断のしかたを学ばせ、役に立つ仕組みを作る仕事です。昔のプログラムは、人が「もしこうならこうする」と一つずつ決まりを書いていました。機械学習では、たくさんの例(データ)を見せて、コンピューター自身に決まりを見つけさせます。たとえば、ネコの写真を何万枚も見せると、ネコの特徴を自分で覚えて、初めて見る写真でもネコだとわかるようになります。この「学ばせ方」を新しく考える人が研究者、学んだAIを実際のサービスで役立てる人がエンジニアです。

ディープラーニングと生成AI

今のAIの中心は、ディープラーニング(深層学習)という方法です。人間の脳の神経細胞のつながりをまねた計算のしくみを何層にも重ねたもので、画像や音声、文章を扱うのが得意です。文章や画像を新しく作り出すAIは生成AIと呼ばれ、チャットAIや画像生成AIがその代表です。生成AIの登場で、AIの仕事は一気に広がりました。

AIエンジニアとプログラマーのちがい

一般的なプログラマー(ソフトウェアエンジニア)は、決まった動きをするプログラムを正確に作るのが仕事です。AIエンジニアは、それに加えて「データからどれだけ正しく学べたか」を数学と統計で評価し、改善します。そのため、数学、特に線形代数と確率・統計の知識がよく求められます。逆に、AIエンジニアにもふつうのプログラミングの力は欠かせません。

国の資料での位置づけ

国の職業情報サイトでは、AIエンジニアに必要な資格はないとしつつ、大学院で情報科学や工学、理学を学んだ人が多いと説明しています。新卒の採用では、大学での研究の実績、国際学会での発表、AIのコンペでの入賞が評価されるとも書かれています。資格よりも、何を作り、何を研究してきたかが見られる仕事です。

なるためのルート

AIエンジニアになるための決まった道はありませんが、もっとも多いのは、大学の理系学部で情報や数学を学び、大学院の修士課程で機械学習の研究をしてから企業に就職する道です。研究者になる場合は、さらに博士課程に進んで博士号を取るのが一般的です。一方で、学部卒でソフトウェアエンジニアとして就職し、働きながらAIを学んで担当になる人もたくさんいます。文系の学部から統計やプログラミングを独学してデータサイエンティストになる人もいます。

  1. 高校で理系を選ぶ数学III・Cまで学ぶコースを選ぶと、情報系や工学系の学部の受験科目に対応できます。物理を選ぶ人が多いです。
  2. 情報・数学・工学系の学部に進む情報工学科、情報科学科、数学科、電気電子工学科、データサイエンス学部などで、プログラミングと数学の基礎を固めます。
  3. 研究室で機械学習を研究する3〜4年生で、機械学習や画像認識、自然言語処理などを扱う研究室に入り、卒業研究に取り組みます。
  4. 大学院(修士)に進む2年間、研究をさらに深め、学会で発表します。企業の研究開発職を目指すなら、ここまで進む人が多いです。
  5. 就職または博士課程へ企業のAI部門や研究所に就職するか、研究者を目指して博士課程(3年)に進みます。
  6. 働きながら学び続ける就職後も新しい論文や技術を学び続けます。社会人になってから大学院に入り直す人もいます。
学部卒と大学院卒のちがい

学部卒でもAIを使う仕事に就くことはできます。ただ、企業の研究所や、AIの研究開発を本業とする会社では、修士以上を応募の条件にしているところが多いです。研究者の求人では博士号を求めるものが中心です。将来どちらに進みたいかで、大学院に行くかどうかを考えるとよいです。

高専からのルート

高等専門学校(高専)の情報系や電気電子系の学科で学び、そのまま就職したり、大学の3年生に編入したりする道もあります。高専では早くからプログラミングに触れられ、ロボコンやプログラミングコンテストで経験を積めます。編入後に大学院まで進む人もいます。

試験・選考の詳細

AIエンジニアになるために必要な国家資格はありません。そのかわり、就職の選考で「何ができるか」をくわしく見られます。企業の選考では、ふつうの面接に加えて、プログラミングの試験、機械学習の知識を問う技術面接、これまでの研究や作品の発表などがあります。研究職では、学会で発表した論文の中身について深く質問されます。関連する民間の資格として、日本ディープラーニング協会(JDLA)のG検定とE資格があり、学んだことの証明として受ける人もいます。

技術面接で聞かれること

「このモデルを選んだ理由は何ですか」「データが足りないときはどうしますか」「精度が上がらないとき、どこから原因を調べますか」といった質問がよく出ます。正しい答えを暗記しているかより、自分の頭で筋道を立てて考えられるかを見られます。ホワイトボードやオンラインの画面でその場でプログラムを書く試験もあります。

研究実績とポートフォリオ

研究職では、国際学会で発表した論文が大きな評価材料になります。エンジニア職では、自分で作ったアプリや、GitHub(プログラムを公開・共有するサイト)に載せたプログラム、データ分析コンペの成績が「作品集(ポートフォリオ)」として見られます。

長期インターンシップ

AIの会社の中には、学生を数か月間のインターンとして受け入れ、実際の開発に参加させるところがあります。インターンでの働きぶりが評価されて、そのまま採用につながることもあります。大学院生の参加が多いです。

年収のリアル

国の統計をもとにしたAIエンジニアの平均年収は約610万円(令和7年調査、平均42.2歳)です。ただし、この数字には近い職業もまとめて入っているため、実際は勤め先によって大きく違います。AIの研究開発を本業とする会社や外資系のIT企業では、経験者に1,000万円を超える給与を出す例があります。上場企業の例では、PKSHA Technologyの平均年間給与は923万円(2025年9月期)です。一方、新卒の初任給は、一般の大手企業の技術職と同じくらいから始まる会社も多いです。

専門性で給与が決まる会社が増えている

これまでの日本の会社では、年齢や勤続年数で給与が上がるしくみが一般的でした。AIの分野では、優秀な人を集めるために、新卒でも能力に応じて高い給与を出す会社が出てきています。そのため、同じ年齢でも給与の差が大きいのが特徴です。

大学の研究者の場合

大学の教員は、国立大学なら国の給与のしくみに近く、企業の研究者より低めになることが多いです。そのかわり、研究テーマを自分で決められる自由があります。大学と企業の両方に所属して働く研究者もいます。

やりがい

自分が作ったAIが、たくさんの人の生活の中で毎日使われることは大きなやりがいです。たとえば、翻訳アプリの精度が上がれば、海外旅行先で困る人が減ります。工場の検査AIが傷を見つければ、不良品が届くことを防げます。研究者なら、自分の論文の手法が世界中の研究者や企業に使われることもあります。技術が速く進むので、昨日できなかったことが今日できるようになる楽しさを味わえる仕事です。

答えのない問題に挑む面白さ

AIの開発では、教科書に答えが載っていない問題ばかりです。なぜ精度が上がらないのかを仮説を立てて調べ、試し、ようやく改善できたときの喜びは大きいです。数学の問題を自分で作って解くような面白さがあります。

いろいろな分野に関われる

AIは医療、農業、金融、ゲーム、自動車など、あらゆる分野で使われています。一つの技術を身につけると、興味のある分野に応用できます。転職して分野を変えても、AIの力はそのまま生かせます。

大変なこと・きついこと

いちばん大変なのは、技術の変化がとても速いことです。数年前の主流の手法が、今ではほとんど使われていないこともあります。そのため、仕事が終わったあとや休日にも論文や技術情報を追い続ける人が多いです。また、AIは「やってみないと精度がわからない」ため、何週間もかけて学習させても期待した結果が出ないことがよくあります。依頼した側から「AIなら何でもできるはず」と思われて、説明に苦労することもあります。

データ集めと整理が地味で大変

AIの開発の時間の多くは、実はデータを集めて整える作業に使われます。ラベルの間違いを直したり、足りないデータを集めたりする作業は地味ですが、ここを手抜きするとAIの性能が上がりません。華やかなイメージとのギャップを感じる人もいます。

責任と倫理の問題

AIが間違った判断をしたり、学習データのかたよりのせいで特定の人に不利な結果を出したりすると、大きな問題になります。個人情報や著作権への配慮も必要です。便利さだけでなく、社会への影響を考え続ける責任があります。

向いている人

数学やプログラミングが好きで、わからないことを自分で調べて解決するのが苦にならない人に向いています。うまくいかない実験を何度もくり返せる粘り強さも大切です。英語の論文や資料を読むことが多いので、英語への抵抗が少ないと有利です。さらに、AIを使う人の困りごとに関心を持てる人は、役に立つAIを作れます。

数学が得意でなくても大丈夫?

研究者を目指すなら、数学はかなり深く学ぶ必要があります。エンジニアやデータサイエンティストなら、高校数学をしっかり理解し、大学の線形代数と確率・統計を使いこなせれば仕事を始められます。苦手意識より、必要なところを学び直す姿勢のほうが大切です。

人と話すのが苦手でもできる?

一人で集中する時間は長いですが、チームで開発し、企画担当や現場の人に結果を説明する場面もたくさんあります。話すのが得意である必要はありませんが、自分の考えを図や文章でわかりやすく伝える力は求められます。

高校生のうちにできること

まず、数学(特に数学B・Cのベクトル、行列の考え方、確率・統計)をしっかり理解しておくことが大きな土台になります。情報の授業で習うプログラミングを入り口に、Pythonを無料の教材で学んでみるのもおすすめです。身近なデータ、たとえば部活の記録や気温のデータをグラフにして、何が言えるかを考えるだけでも、データ分析の練習になります。英語の長文読解も、将来論文を読むときに役立ちます。

コンテストに参加してみる

高校生向けのプログラミングコンテストや情報オリンピック、データ分析のコンペには、学生でも参加できるものがあります。順位よりも、問題を解く過程で学べることが大きいです。

AIを使うだけでなく仕組みを調べる

チャットAIや画像生成AIを使ってみて、「なぜこう答えたのか」「どんなデータで学んだのか」を調べてみましょう。仕組みに興味を持つことが、作る側への第一歩です。

代表的な会社・職場

AIエンジニアの働く場所はとても広いです。AIの研究開発を本業とする会社(Preferred Networks、Sakana AI、PKSHA Technologyなど)、大手のIT・通信会社(NTT、ソフトバンク、LINEヤフー、KDDIなど)、外資系のIT企業の日本法人、AIを製品に組み込むメーカー(トヨタ自動車、ソニーグループ、日立製作所など)、そして国の研究所(理化学研究所、産業技術総合研究所)や大学があります。最近は銀行、保険会社、小売業などでもAIの専門チームを作る会社が増えています。

スタートアップで働く

AIの分野には、創業から数年の若い会社(スタートアップ)がたくさんあります。一人が担当する範囲が広く、早くから大きな仕事を任されやすいのが特徴です。そのかわり、会社の経営が安定しているとは限りません。

研究所で働く

理化学研究所の革新知能統合研究センター(AIP)や、産業技術総合研究所の人工知能研究センターなど、国の研究所でもAIの研究者が働いています。基礎的な研究に長く取り組めるのが特徴です。

大学の学部・学科とのつながり

AIエンジニアが多く出ている学科は、情報工学科、情報科学科、計算機科学科などの情報系です。東京大学の情報理工学系研究科、京都大学の情報学研究科、東京科学大学(旧東京工業大学)の情報理工学院などは、機械学習の研究室が多い大学院として知られています。ほかに、数学科、物理学科、電気電子工学科、機械工学科(ロボットの研究)から来る人も多いです。最近は、データサイエンス学部(滋賀大学、横浜市立大学など)のように、統計とプログラミングを中心に学ぶ学部も増えています。

数学科・物理学科から来る人

数学科や物理学科では、AIの理論の土台になる数学や、大量の計算を扱う方法を深く学びます。研究者の中には、物理学で博士号を取ってからAIの研究に移った人もいます。数学の力が強いと、新しい手法を理解したり考えたりするときに有利に働きます。

文系学部から目指す場合

経済学部や心理学部でも、統計学を使ってデータを分析する授業があります。そこからデータサイエンティストを目指す人もいます。ただし、AIの研究開発の中心は理系の情報系・工学系なので、文系から目指すなら大学のうちにプログラミングと数学を自分で補う必要があります。

研究室の選び方

同じ情報系の学科でも、機械学習を研究する研究室もあれば、ネットワークやハードウェアを研究する研究室もあります。大学のホームページで研究室の一覧や論文を見ると、どんなAIの研究をしているかがわかります。オープンキャンパスで研究室を見学するのもおすすめです。

大学院は必要?

エンジニアとして働くだけなら、大学院は必須ではありません。ただ、国の職業情報サイトでも働く人に修士・博士の修了者が多いとされていて、研究開発をする会社では修士以上を求めることが多いです。研究者になりたいなら、博士課程まで進むのがふつうです。大学院では、自分で問題を見つけ、実験し、論文にまとめる経験ができ、これがAIの仕事にそのまま役立ちます。

修士で就職する人が多い

企業でAIの開発をしたい人の多くは、修士課程の2年間で研究の経験を積んでから就職します。修士の研究は、企業の選考で「どんな課題をどう解いたか」を話す材料になります。

博士課程の意味

博士課程では3年ほどかけて、世界で誰もやっていない研究を自分の力で進め、論文として認められることを目指します。博士号は「一人前の研究者」の証明とされ、企業や海外の研究所の研究職で求められます。大学院では、研究室によっては授業料の支援や給与のような手当が出る制度もあります。

よくある質問

AIエンジニアになるのに資格は必要ですか?

必要な国家資格はありません。日本ディープラーニング協会のG検定やE資格は、知識の証明として受ける人がいますが、なくても働けます。それよりも、研究や作品で何ができるかを見られます。

文系でもAIエンジニアになれますか?

データサイエンティストなど、文系出身の人が活躍している職種もあります。ただし、統計やプログラミング、数学を自分で補う必要があります。AIの研究開発を中心にやりたいなら、高校で理系を選び、情報系や工学系の学部に進むのが最短です。

AIがAIを作るようになったら、この仕事はなくなりませんか?

AIを使ってプログラムを書く作業は速くなっていますが、何をAIに任せるか決め、結果が正しいかを判断し、社会に出して責任を持つのは人の仕事です。道具が変わる中で、学び続ける人の需要は続くと考えられます。

数学はどのくらいできればいいですか?

高校の数学III・Cまでをしっかり理解したうえで、大学で線形代数、微分積分、確率・統計を学びます。研究者を目指すなら、さらに最適化などの専門的な数学も必要です。

大学院に行かないと不利ですか?

エンジニアとして働くなら学部卒でも道はあります。ただ、研究開発を本業にする会社や研究職では修士・博士を求めることが多いです。どんなAIの仕事をしたいかで判断するとよいです。

英語は必要ですか?

最新の論文や技術資料のほとんどは英語なので、読む力はほぼ必須です。外資系企業や研究職では、英語で話したり論文を書いたりする力も求められます。

パソコンはどんなものが必要ですか?

学び始めは、ふつうのノートパソコンと無料のオンライン学習環境で十分です。大きなAIを学習させるときは、大学や会社の計算機やクラウドを使います。

女性のAIエンジニアは少ないですか?

現状では男性が多い分野ですが、企業や大学では女性の研究者・エンジニアを増やす取り組みが進んでいます。データサイエンスの分野では、さまざまな出身の人が活躍しています。

高校生でもAIを作れますか?

作れます。Pythonと無料のライブラリを使えば、手書き数字を見分けるAIなどを自分で動かせます。小さなものから作ってみると、仕組みがよくわかります。

この分野のことば

年収について:厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)」のAIエンジニアの平均年収609.8万円(令和7年賃金構造基本統計調査をもとにした目安、平均年齢42.2歳)。統計上は近い職業もまとめて集計されているため、実際のAI専門職の年収は勤め先によって大きく異なります。上場企業の例では、AIの開発を本業とするPKSHA Technologyの平均年間給与が923万円(2025年9月期、平均36.1歳)です。

数字はすべて公開データにもとづく目安です。出典は出典・サイトポリシーにまとめています。

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