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駅前の広場も、通学路の歩道も、だれかが何年もかけて計画したものです

都市計画・まちづくりの専門家

都市計画・まちづくりの専門家は、まち全体を見わたして、道路、公園、駅前広場、住宅地、商店街などをどこにどう配置するかを考え、何年、何十年先のまちの姿を計画する人です。たとえば、駅前の再開発で古いビルを高層ビルと広場に建てかえる計画、通学路に歩道をつけて安全にする計画、人口が減った地方都市で病院やスーパーを駅の近くに集める計画、大きな地震や津波に備えた避難路の計画などを担当します。働く場所は、市役所や県庁などの役所、国土交通省、まちづくりの調査・計画を請け負う建設コンサルタント、駅前などを開発するデベロッパー、鉄道会社など、さまざまです。土木工学、建築学、都市工学の出身者が多いですが、経済学や社会学など文系の出身者も活躍している、理系と文系の両方にひらかれた仕事です。

平均年収の目安約625万円土木設計技術者の統計約400万〜1,000万円以上(勤め先によって大きく異なる。大手デベロッパーや大手建設コンサルタントの管理職はさらに高い例もある)
なるまでの難しさ★★★★★都市計画の仕事に就くために必須の国家資格はありません。ただし、役所なら公務員試験(技術職や行政職)、建設コンサルタントやデベロッパーなら就職の選考を通る必要があります。働き始めてからは、技術士(建設部門の「都市及び地方計画」)や一級建築士などの難しい国家資格を目指す人が多く、技術士の第二次試験の合格率は1割前後です。法律、交通、経済、環境、防災など幅広い知識が求められます。
決めどき文系・理系どちらでも

高校では理系なら都市工学・土木・建築系、文系なら経済・法・社会学系へ。役所の技術職や建設コンサルタントを目指すなら理系が多い。大学3〜4年の研究室選びと、公務員試験か民間かの選択が分かれ目

どんな職種がある?

押すと、その職種の仕事内容・必要な力・キャリアが見られます。

都市計画・まちづくりの専門家の年収と昇進の流れ

若手担当者330〜500万円
就職1〜5年、22〜28歳

調査、データ整理、図面づくり、住民説明会の準備などを担当し、仕事の基本を身につけます。一つの業務や計画を任されることが次の段階への条件です。

主任・担当リーダー450〜650万円
就職6〜10年、28〜34歳

一つの計画や業務を中心となって進めます。建設コンサルタントでは技術士の取得を目指す時期です。

係長・管理技術者600〜850万円
就職10〜15年、33〜40歳

役所では係長として計画を取りまとめ、建設コンサルタントでは業務の責任者として役所との窓口になります。

課長・部門の責任者750〜1,100万円
40〜50歳

都市計画課や建設コンサルタントの計画部門を率います。大きなプロジェクトの方向を決める立場です。

部長・役員900〜1,500万円
50歳〜

自治体のまちづくり全体や、会社の事業全体を率います。人数は少なく、勤め先によって給与は大きく異なります。

年収は目安です。会社や地域、本人の働き方で大きく変わります。

働き方で何が違う?

黄色=魅力 灰色=大変なところ 役所 まちのルールを決める まちの決定に関われる 異動でほかの部署も 建設コンサルタント 役所の依頼で計画づくり 多くのまちに関われる 年度末に納期が集中 デベロッパー・鉄道会社 自分の事業として再開発 大きな開発を動かせる 利益への責任が大きい まちづくり会社・NPO 住民と地域の課題に挑む 目に見える変化を起こせる 収入が安定しにくい 役所から民間へ、民間から役所への転職もある同じまちづくりでも、立場で役目がちがう
役所(市町村・都道府県・国土交通省)公務員の給与体系(若手300万〜450万円、課長級700万〜900万円が目安)

都市計画を決める権限を持つ立場で、まちのルールづくりや公共事業を担当します。公務員試験に合格して入り、数年ごとに異動しながら幅広い分野を経験します。地元のまちに長く関われるのが魅力です。

良いところまちづくりの決定に直接関われ、安定している

大変なところ異動で都市計画以外の部署を担当することも多い

建設コンサルタント大手の建設技術研究所は平均970万円(2025年12月期)。会社の規模で差がある

役所から依頼を受けて、調査や計画づくりを行う専門家集団です。全国のさまざまなまちの計画に関われます。技術士などの資格を持つ専門職として長く働けます。

良いところ専門性が高まり、多くのまちに関われる

大変なところ年度末に納期が集中し、忙しい時期がある

デベロッパー・鉄道会社大手は給与水準が高い(会社による)

駅前や大きな土地の再開発を、自分たちの事業として企画し、実現します。地権者との交渉や事業の収支も担当します。

良いところ大きなまちづくりを自分たちの手で動かせる

大変なところ事業の利益への責任が大きく、ほかの部署への異動もある

まちづくり会社・NPO・地域おこし団体や事業によって大きく異なる

商店街の活性化、空き家の活用、移住の促進など、住民に近いところで地域の課題に取り組みます。

良いところ住民と一緒に、目に見える変化を起こせる

大変なところ収入が安定しにくく、資金集めも必要

代表的な会社・職場

地方自治体国の行政機関建設コンサルタント(上場)建設コンサルタント大手デベロッパー鉄道会社独立行政法人
市町村・都道府県の都市計画部局地方自治体

用途地域などのまちのルールを決め、道路や公園、再開発などを進めます。

自治体の給与規程による
国土交通省(都市局など)国の行政機関

都市計画の制度づくりや、全国のまちづくりの支援を行います。

国家公務員の給与規程による
建設技術研究所建設コンサルタント(上場)

河川、道路、都市計画など、幅広い分野の調査・計画・設計を行う大手の建設コンサルタントです。

970万円(2025年12月期、有価証券報告書)
パシフィックコンサルタンツ建設コンサルタント

交通、都市、防災などの計画や設計を手がける大手の建設コンサルタントです。

非上場のため公表なし
日本工営建設コンサルタント

国内外でインフラやまちづくりの計画・設計を行い、海外の仕事も多い会社です。

持株会社の有価証券報告書で公表
オリエンタルコンサルタンツ建設コンサルタント

道路、交通、まちづくりなどの計画・設計を行う会社です。

持株会社の有価証券報告書で公表
三井不動産 ›大手デベロッパー

日本橋や東京ミッドタウンなどの大規模な再開発を手がけています。

有価証券報告書で公表
三菱地所 ›大手デベロッパー

東京の丸の内・大手町エリアのまちづくりを長く進めています。

有価証券報告書で公表
森ビル ›大手デベロッパー

六本木ヒルズや虎ノ門ヒルズなど、大規模な複合開発を手がけています。

非上場のため公表なし
東急 ›鉄道会社

渋谷駅周辺の再開発や、田園都市線沿線のまちづくりを進めています。

有価証券報告書で公表
都市再生機構(UR) ›独立行政法人

大都市の再開発、災害復興のまちづくり、団地の再生などを行います。

機構の給与規程による

›がついた会社は、会社図鑑で詳しく解説しています。

どうやって稼いでいる?

まちづくりのお金の中心は役所 役所(市役所・国土交通省など) 税金と国の補助金で、道路や公園を整備する 調査・計画を発注 高さのルールを緩和 広場・道路を整備 建設コンサルタント 調査や計画をつくる 代金が会社の売上に デベロッパー・鉄道会社 自分のお金でビルを建てる 賃料や販売で利益を得る 完成したあと エリアマネジメント 広場のイベント・広告・駐車場で収入を得て そのお金を清掃やにぎわいづくりに使う 税金と民間のお金を組み合わせる役所が決め、民間と一緒につくる
入札やプロポーザルで、どの建設コンサルタントに頼むかが決まります

都市計画やまちづくりのお金の流れは、役所が中心になっています。役所は税金や国の補助金を使って、建設コンサルタントに調査や計画づくりを発注し、道路や公園を整備します。再開発では、デベロッパーや鉄道会社が自分たちのお金でビルを建て、オフィスやお店の賃料、マンションの販売などで利益を得ます。役所は、再開発で広場や道路を整備してもらう代わりに、建物を高くできるようにルールを緩和するなど、民間のお金を使ってまちを良くする工夫をしています。最近は、まちのにぎわいを生むことで、地域の不動産の価値を高めるエリアマネジメントという考え方も広がっています。

1
役所からの業務発注(建設コンサルタント)

市役所や国土交通省が、都市計画の調査や計画づくりを建設コンサルタントに発注し、その代金が建設コンサルタントの売上になります。入札やプロポーザルで受注先が決まります。

2
公共事業の予算

道路、公園、駅前広場などの整備は、国や自治体の予算(税金)で行われます。国からの補助金や交付金が使われることも多いです。

3
再開発のビルの賃料・販売

デベロッパーは、再開発で建てたオフィスやお店を貸して賃料を受け取ったり、マンションを販売したりして利益を得ます。

4
鉄道会社の沿線開発

鉄道会社は、駅の周りに住宅や商業施設を開発し、沿線に住む人や訪れる人を増やすことで、運賃収入と不動産の収入の両方を得ます。

5
エリアマネジメントの収入

まちづくり会社などが、広場でのイベントや広告、駐車場の運営などで収入を得て、そのお金をまちの清掃やにぎわいづくりに使います。

入ってからどうなっていく?

大学1〜4年まちを学ぶ基礎都市工学科、土木工学科、建築学科などで、都市計画、交通、建築、環境、防災などの基礎を学びます。演習では、実際のまちを歩いて調べ、計画案を作って発表します。3〜4年で研究室に入り、卒業研究に取り組みます。
大学院(修士2年)専門を深める都市計画や交通計画の研究室で、まちの課題を調べる研究をします。建設コンサルタントやデベロッパーの専門職では、修士まで進んでから就職する人も多いです。
就職1〜5年目現場で基本を身につける役所なら都市計画や道路などの部署で、建設コンサルタントなら調査や図面づくりで、仕事の基本を身につけます。役所では数年ごとに異動して幅広い分野を経験します。
6〜10年目担当者として活躍一つの計画や業務を任されるようになります。建設コンサルタントでは技術士の資格に挑戦する人が多い時期です。デベロッパーでは再開発のプロジェクトに加わります。
30代後半〜40代責任者として率いる役所では係長・課長として計画全体を取りまとめ、建設コンサルタントでは管理技術者として業務の責任者になります。大きな再開発のプロジェクトリーダーになる人もいます。役所から民間へ、民間から役所への転職もあります。
40代〜50代まちづくりを導く自治体の部長、建設コンサルタントの部長や役員、大学教員などとして、まちづくりの方向を示す立場になります。独立して計画事務所やまちづくり会社を立ち上げる人もいます。

駅前の再開発ができるまで

1 課題を見つける 古い建物・狭い道・駅前の混雑 役所・地域の人 2 構想をつくる 調査して、まちの将来像をまとめる 役所・コンサル 3 地権者・住民と合意をつくる 何年もかけて話し合う 4 都市計画を決める 区域や建物の高さを決める 都市計画審議会 5 設計と工事 古い建物を壊し、ビルと広場を建てる デベロッパーなど 6 完成とまちの運営 イベントなどでにぎわいを育てる 役所・コンサル・デベロッパーがリレーでつなぐ駅前が変わるまで、何年もかかる
都市計画では、再開発の区域や建物の高さなどを決めます
1
課題を見つける

古い建物の密集、狭い道路、駅前の混雑など、まちの課題を役所や地域の人が話し合います。

2
構想をつくる

役所や建設コンサルタントが調査を行い、まちの将来像と再開発の構想をまとめます。

3
地権者・住民と合意をつくる

土地を持つ人や住民と何年もかけて話し合い、再開発への合意を得ます。

4
都市計画を決める

再開発の区域や建物の高さなどを都市計画として決めます。都市計画審議会で審議されます。

5
設計と工事

デベロッパーなどが設計事務所やゼネコンに依頼し、古い建物を壊して新しいビルや広場を建てます。

6
完成とまちの運営

完成後は、ビルの運営や、広場でのイベントなどのエリアマネジメントで、まちのにぎわいを育てます。

技術士(建設部門・都市及び地方計画)※必須ではないが代表的な国家資格

合格率第二次試験の全部門の合格率11.8%、建設部門9.8%(いずれも令和5年度)。第一次試験の全部門の合格率39.7%(令和5年度)
勉強時間の目安第一次試験に合格したあと、実務経験(技術士補として4年を超える期間、指導者のもとで4年を超える期間、または7年を超える実務経験のいずれか)を積んでから第二次試験を受ける。働きながら数年かけて合格する人が多い
受験資格第一次試験は年齢・学歴を問わず受験できる。第二次試験は第一次試験の合格などに加えて、決められた実務経験が必要
技術士の第二次試験は合格率が1割前後で、国家資格の中でも難しい試験の一つです。知識を覚えるだけでなく、実際の業務の経験をもとに、課題を見つけて解決策を論文で書く力が求められます。建設コンサルタントでは、業務の責任者になるために技術士が求められることが多く、多くの技術者が働きながら挑戦しています。一級建築士の総合合格率も11.4%(2025年)と難しい試験です。
試験科目(押すと中身が見られます)
合格までの流れ
  1. 第一次試験マークシート式の試験に合格すると「修習技術者」になります。大学の指定された課程を修了した人は免除されることもあります。
  2. 実務経験決められた年数の実務経験を積みます。
  3. 第二次試験(筆記)論文形式の試験で、専門知識と応用力が問われます。
  4. 第二次試験(口頭)面接で、実務経験や考え方を確かめます。
  5. 登録合格後に登録すると、技術士を名乗れます。

都市計画・まちづくりの専門家のある1日

9:00

(建設コンサルタントの場合)出社。メールで役所の担当者からの質問を確認します。

9:30

チームの打ち合わせ。担当する3つの業務の進み具合と、締め切りを確認します。

10:00

GISで人口の将来予測と病院やスーパーの位置を地図に重ね、課題を整理します。

12:00

昼休み。

13:00

電車で市役所へ。都市計画課の担当者と、計画案の方向性について打ち合わせをします。

15:00

市内の駅前を歩いて、歩道の幅や人の流れ、空き店舗の様子を写真に撮って記録します。

16:30

会社に戻り、週末に開く住民ワークショップの進め方と資料を準備します。

18:00

報告書の原稿を書き進めます。年度末(2〜3月)は納期が集中して忙しくなります。

19:00

退社。ワークショップや説明会は、住民が参加しやすい夜や週末に開くこともあります。

もっと知りたい人へ

そもそも都市計画・まちづくりとは

都市計画とは、まちの土地をどう使うか、道路や公園、下水道などをどこに整備するかを、法律(都市計画法など)にもとづいて計画することです。たとえば、住宅地の真ん中に大きな工場が建たないように、地域ごとに建ててよい建物の種類を決めるのも都市計画です。まちづくりは、それより広い意味で、住民や役所、会社が協力して、地域をより良くしていく活動全体を指します。都市計画が「ルールと骨組み」を作り、まちづくりが「中身とにぎわい」を育てるとイメージするとわかりやすいです。

都市計画が決めていること

都市計画では、用途地域(住宅地、商業地、工業地など)、建物の高さや大きさの制限、道路や公園、駅前広場などの位置、再開発をする区域などを決めます。これらは役所が住民の意見を聞き、都市計画審議会で審議して決めます。決まったルールに沿って、建物が建てられ、道路が造られていきます。

いま都市計画が向き合う課題

日本では人口が減り、高齢化が進んでいます。郊外に広がったまちをそのままにしておくと、バスの路線や病院、お店を維持するのが難しくなります。そこで、生活に必要な施設を駅の近くなどに集める「コンパクトシティ」という考え方が広がっています。ほかにも、地震や水害への備え、空き家の増加、脱炭素など、都市計画が向き合う課題は多くあります。

理系と文系の両方が活躍する

都市計画には、道路や建物を計画する土木・建築の知識だけでなく、人口や経済の分析、法律、住民との合意づくりなど、文系の知識も必要です。そのため、工学部の出身者だけでなく、経済学部や法学部、社会学部の出身者も活躍しています。役所では、技術職と行政職が協力して都市計画を進めています。

なるためのルート

都市計画の仕事に就く代表的な道は三つあります。一つは、公務員試験に合格して市役所や県庁、国土交通省で働く道です。二つ目は、建設コンサルタントに就職して、役所から依頼された計画づくりに関わる道です。三つ目は、デベロッパーや鉄道会社に就職して、再開発に関わる道です。いずれの場合も、大学で都市工学、土木工学、建築学などを学んでおくと仕事の土台になりますが、文系の学部から役所の行政職やデベロッパーに入って都市計画に関わる人もいます。

  1. 高校で文理を選ぶ理系なら物理・数学を学び、都市工学・土木・建築系を目指します。文系なら経済・法・政策系を目指します。
  2. 大学で都市計画の基礎を学ぶ都市計画、交通計画、建築、法律、統計などを学びます。まちを調べて計画案を作る演習が多くあります。
  3. 研究室・大学院都市計画や交通計画の研究室で卒業研究をします。専門職を目指すなら修士まで進む人も多いです。
  4. 就職先を選ぶ公務員試験を受けて役所に入るか、建設コンサルタント、デベロッパー、鉄道会社などの採用試験を受けます。
  5. 現場で経験を積む調査、計画、住民との話し合いなどを経験しながら、まちづくりの専門性を身につけます。
  6. 資格で専門性を示す技術士(建設部門・都市及び地方計画)や一級建築士、再開発プランナーなどの資格を目指します。
理系のルート

都市工学科、土木工学科(社会基盤工学科、社会環境工学科など)、建築学科で学び、役所の技術職(土木、建築など)や建設コンサルタントに入るのが代表的です。建設コンサルタントの専門職では、大学院の修士まで進んでから就職する人も多いです。

文系のルート

経済学部、法学部、政策系の学部などで学び、役所の行政職や、デベロッパー、鉄道会社の総合職に入る道があります。役所の行政職は、数年ごとの異動の中で都市計画の部署を担当することがあります。デベロッパーでは、文系の出身者が再開発の地権者との交渉や事業の企画を担当することが多いです。

試験・選考の詳細

都市計画の仕事に就くのに必須の資格はありませんが、勤め先ごとに選考があります。役所で働くには公務員試験に合格する必要があり、技術職(土木、建築など)では専門科目の試験が、行政職では法律や経済などの試験が課されます。建設コンサルタントやデベロッパーでは、ふつうの就職活動と同じく、エントリーシート、適性検査、面接で選ばれます。働き始めてから目指す資格としては、技術士、一級建築士、再開発プランナー、認定都市プランナーなどがあります。

技術士(建設部門)

技術士は、科学技術の高い専門性を証明する国家資格です。建設部門の中に「都市及び地方計画」という専門の科目があり、建設コンサルタントの都市計画担当にとって代表的な資格です。役所の業務では、責任者に技術士の資格を求めることが多く、昇進や仕事の受注に直結します。

一級建築士

一級建築士は、大きな建物の設計ができる国家資格です。建築学科の出身者が、再開発や建物の計画に関わるときに役立ちます。2025年の試験の総合合格率は11.4%でした。

まちづくりの民間資格

再開発の事業を進める専門家の資格として「再開発プランナー」、都市計画の専門家としての実績を認める「認定都市プランナー」などがあります。どちらも実務の経験を積んだ人が取る資格です。

年収のリアル

都市計画の専門家だけの公的な統計はありませんが、近い職業の土木設計技術者の平均年収は約625万円(令和7年調査、平均46歳)です。建設コンサルタント大手の建設技術研究所の平均年間給与は970万円(2025年12月期)と高い水準です。役所で働く場合は公務員の給与体系で、安定して少しずつ上がります。大手デベロッパーは給与水準が高く、勤め先によって年収に大きな差がある仕事です。

資格で変わる給与

建設コンサルタントでは、技術士の資格を持つと資格手当がついたり、業務の責任者になれたりするため、給与が上がります。技術士は、会社にとっても仕事を受注するために必要な資格なので、取得を強くすすめる会社が多いです。

公務員の安定

役所の給与は、民間の大手企業ほど高くないこともありますが、景気に左右されにくく、休みも取りやすい傾向があります。地元のまちづくりに長く関われることにやりがいを感じる人が多いです。

やりがい

自分が関わった計画が形になり、まちが変わっていく様子を見られることが、この仕事の最大のやりがいです。新しい駅前広場で子どもが遊んでいたり、安全になった通学路を小学生が歩いていたりする光景は、何年もの努力が報われる瞬間です。まちは何十年、何百年と残るものなので、自分の仕事が未来の人たちの暮らしを支えることになります。住民と話し合い、意見の違う人たちの間で合意をつくっていく過程にも、大きな達成感があります。

まち全体を相手にする

建物一つではなく、まち全体を見て考える仕事です。交通、住まい、商業、自然、防災など、さまざまな要素を組み合わせて、より良いまちの姿を描く面白さがあります。

災害からの復興

大きな地震や水害のあと、被災したまちを再建する計画づくりも、都市計画の専門家の大切な仕事です。住民と一緒に、より安全なまちを作り直す仕事には、大きな使命感があります。

大変なこと・きついこと

まちづくりは時間がかかります。駅前の再開発は、計画を始めてから完成まで十年以上かかることも珍しくありません。その間、地権者や住民の意見がまとまらなかったり、景気の変化で計画が見直しになったりすることもあります。また、住民説明会では、反対の意見や厳しい言葉を受けることもあります。建設コンサルタントでは、役所の年度末(2〜3月)に納期が集中し、とても忙しくなる時期があります。

意見の対立と向き合う

まちの計画は、多くの人の暮らしや財産に関わります。道路を広げれば家を移らなければならない人が出ることもあり、すべての人が賛成する計画はまずありません。対立する意見の間に立ち、粘り強く話し合う力が求められます。

成果が見えるまでが長い

自分が関わった計画が形になるのは、何年も先のことが多いです。役所では異動があるため、完成を見届けずに別の部署に移ることもあります。

向いている人

まちを歩くのが好きで、「なぜここに道があるのか」「なぜこの商店街はにぎわっているのか」と考えるのが楽しい人に向いています。多くの人と話し合い、意見をまとめるのが得意な人も活躍しています。また、データを集めて分析したり、図や地図でわかりやすく伝えたりする力も大切です。長い時間をかけて物事を進める根気と、未来を想像する力がある人に向いています。

地図や鉄道が好きな人に

地図を眺めるのが好きな人、鉄道やバスの路線に興味がある人は、都市計画や交通計画の仕事に興味を持ちやすいです。その興味が、まちの課題を見つける力につながります。

社会の課題に関心がある人に

人口減少、高齢化、災害、環境問題など、社会の大きな課題に、まちという具体的な形で向き合える仕事です。社会のために役立ちたいという気持ちが強い人に向いています。

高校生のうちにできること

まず、自分の住むまちを歩いて観察してみましょう。駅前、商店街、住宅地、公園などを歩き、便利なところ、不便なところ、危ないところを地図に書き込んでみると、都市計画の調査と同じことができます。市役所のホームページで「都市計画マスタープラン」を探して読んでみると、自分のまちがどんな将来を目指しているかがわかります。地理や公共の授業、数学の統計も、都市計画の基礎になります。

まちづくりの活動に参加する

市役所が開くまちづくりのワークショップや、高校生向けのまちづくりのコンテストに参加できることがあります。実際に大人と一緒にまちの将来を話し合う体験は、大きな学びになります。

地図アプリや統計で遊ぶ

国や自治体が公開している統計や地図のデータ(地域経済分析システム「RESAS」や国土地理院の地図など)を使うと、人口の変化や土地の使われ方を自分で調べられます。

代表的な会社・職場

都市計画の専門家の主な職場は、役所(市町村、都道府県、国土交通省)、建設コンサルタント、デベロッパー、鉄道会社、都市再生機構(UR)、設計事務所、シンクタンクなどです。建設コンサルタントには、建設技術研究所、パシフィックコンサルタンツ、日本工営、オリエンタルコンサルタンツ、八千代エンジニヤリングなどがあり、都市計画を専門とする計画事務所もあります。デベロッパーでは三井不動産、三菱地所、住友不動産、森ビル、東急不動産など、鉄道会社では東急、JR各社などが再開発を手がけています。

都市再生機構(UR)

URは、国の方針にもとづいて、大都市の再開発や、災害からの復興のまちづくり、団地の再生などを行う独立行政法人です。役所と民間の間の立場で、大きなまちづくりのプロジェクトを進めています。

シンクタンク・大学

シンクタンクでは、都市や地域の政策について調査・研究し、国や自治体に提言します。大学の研究者として、都市計画の研究と教育に関わる人もいます。

大学の学部・学科とのつながり

都市計画の専門家が多く出ている学科は、都市工学科、土木工学科(社会基盤工学科、社会環境工学科、都市環境学科など名前はさまざま)、建築学科です。都市計画を名前に掲げる学科としては、東京大学工学部都市工学科、筑波大学理工学群社会工学類(都市計画主専攻)、横浜国立大学都市科学部、日本大学理工学部まちづくり工学科などがあります。建築学科では、建物の設計に加えて都市計画の授業や研究室があります。文系では、経済学部(都市経済学、地域経済学)、法学部(行政法)、政策系の学部(地域政策、公共政策)などから、役所やデベロッパーに入って都市計画に関わる人がいます。

土木と建築のちがい

土木工学は、道路、橋、鉄道、上下水道、河川など、まちの基盤(インフラ)を計画・設計する学問です。建築学は、建物を設計する学問です。都市計画は両方にまたがり、土木の出身者は交通や基盤整備、建築の出身者は建物と街並みの計画を担当することが多いです。

地理学や社会学から

文学部や理学部の地理学科では、土地の使われ方やまちの成り立ちを学びます。社会学部では、地域のコミュニティや人々の暮らしを学びます。こうした学問も、まちづくりの仕事に役立ちます。

研究室の選び方

同じ土木工学科でも、構造や材料、水理などを研究する研究室と、都市計画や交通計画を研究する研究室があります。都市計画に進みたいなら、3〜4年で計画系の研究室を選ぶことが大切です。

大学院は必要?

役所で働くなら、大学院は必須ではなく、学部卒で公務員試験を受ける人が多いです。建設コンサルタントの専門職では、修士課程まで進んでから就職する人が多く、研究室で学んだ都市計画や交通計画の専門知識が評価されます。デベロッパーは学部卒の採用が中心ですが、建築や都市計画の専門職として大学院卒を採用する会社もあります。研究者や大学教員を目指すなら博士課程まで進みます。

修士で身につく力

修士課程では、まちの課題を自分で見つけ、データを集めて分析し、解決策を提案する研究をします。この経験は、建設コンサルタントでの調査や計画づくりにそのまま生かせます。

技術士との関係

技術士の第一次試験に合格したあと、第二次試験を受けるには実務経験が必要です。大学院で研究した期間は、一定の範囲で実務経験に含められる場合があります。

よくある質問

文系でも都市計画の仕事ができますか?

できます。役所の行政職や、デベロッパー、鉄道会社の総合職として都市計画や再開発に関わる文系出身者はたくさんいます。ただし、建設コンサルタントの専門職は理系出身者が中心です。

建築家とはどう違いますか?

建築家は主に一つひとつの建物を設計します。都市計画の専門家は、建物だけでなく道路や公園、まち全体の配置やルールを考えます。両方に関わる人もいます。

公務員と民間のどちらがいいですか?

役所は都市計画を決める立場で、地元のまちに長く関われます。建設コンサルタントはいろいろなまちの計画に関われ、デベロッパーは自分たちで事業を動かせます。何をしたいかで選ぶとよいです。

技術士は必ず取らないといけませんか?

必須ではありません。ただ、建設コンサルタントでは業務の責任者になるために技術士が求められることが多く、多くの人が取得を目指します。

まちづくりに関わるのに資格がなくても大丈夫ですか?

大丈夫です。地域のNPOや、地域おこし協力隊、まちづくり会社など、資格がなくても関われる仕事はたくさんあります。

地方でも仕事はありますか?

全国の市町村に都市計画の担当部署があり、人口減少や災害への備えなど、地方ならではの課題も多くあります。地元で働きたい人は、地元の役所を目指す道もあります。

数学はどのくらい必要ですか?

土木や都市工学の学科では、数学や物理を使います。都市計画の仕事では、統計を使ってデータを分析することが多いです。高校の数学をしっかり学んでおくと安心です。

絵が描けないとだめですか?

絵の上手さは必須ではありません。計画をわかりやすく伝えるための図や地図は、CADやGISなどのソフトで作ることが多いです。

海外のまちづくりにも関われますか?

建設コンサルタントの中には、海外の都市計画や交通計画を手がける会社があります。国際協力機構(JICA)の事業として、途上国のまちづくりを支援する仕事もあります。

この分野のことば

年収について:都市計画の専門家だけを集計した公的な統計はないため、近い職業として厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)」の土木設計技術者の平均年収625万円(令和7年賃金構造基本統計調査をもとにした目安、平均46歳)を示しています。上場企業の例では、建設コンサルタント大手の建設技術研究所の平均年間給与が970万円(2025年12月期、平均42.2歳)です。役所で働く人は地方公務員・国家公務員の給与体系になります。

数字はすべて公開データにもとづく目安です。出典は出典・サイトポリシーにまとめています。

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