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面接官だけではありません。会社で働く「人」に関わることを、ほとんど全部扱う仕事です

人事

人事は、会社で働く人に関わる仕事をまとめて担当する職種です。新しい仲間を探して採用し、給料を計算して振り込み、研修で育て、がんばりを評価して昇進や異動を決めます。たとえば、みなさんがアルバイトを始めるときの面接、毎月の給料明細、学校でいう「クラス替え」や「通知表」にあたるものを、会社の中で設計して動かしているのが人事です。メーカー、銀行、IT、病院など、人が働いている組織にはほぼ必ずある仕事で、文系・理系どちらからでも目指せます。

平均年収の目安約549万円約430万円(20代)〜約775万円(50代以上)
なるまでの難しさ★★★★★人事になるのに必須の資格はなく、新卒で会社に入って人事部に配属されるか、別の部署を経験してから異動するのが一般的です。ただし、新卒でいきなり人事に配属される人は多くなく、希望しても営業などを経験してから、ということもよくあります。労働基準法や社会保険の知識が必要な労務の仕事では、社会保険労務士(合格率5.5%、2025年度)を取る人もいて、専門性を高めるほど難しさは上がります。
決めどき文系・理系どちらでも

高校では文理どちらでもよい。大学3年の就活で「人事職」を希望できる会社(職種別採用)か、総合職で入って配属を希望するかを考える

人事の中の、細かい担当

同じ人事でも、担当によって仕事はまったく違います。押すと、それぞれの仕事内容・必要な力・キャリアが見られます。

どんな会社にある?

人事は、メーカー、銀行、商社、IT企業、小売、病院、役所など、人を雇っているほぼすべての組織にあります。大企業では「人事部」の中が新卒採用課、労務課、給与課、研修課のように細かく分かれ、一人がひとつの分野を深く担当します。従業員が数十人の中小企業では、総務や経理と一緒に「管理部」として一人で何役もこなすことが多く、採用から給与計算まで全部を経験できます。また、リクルートやパーソルのような人材サービス会社、給与計算を代わりに行う会社、社会保険労務士事務所など、人事の仕事そのものを商品にしている会社もあります。

どの学部の人が多い?

人事の仕事に直接つながる学部はなく、法学部、経済学部、商学部、文学部、教育学部、理工学部など、さまざまな学部の出身者がいます。労働法や社会保険を扱う労務の仕事では法学部で学んだ知識が役立ち、人の行動や組織を扱う人材開発では心理学や社会学、経営学の知識が役立ちます。メーカーやIT企業の技術者採用では、理系出身の人事が「仕事の中身がわかる」と重宝されることもあります。学部よりも、人と話すこと、秘密を守ること、数字や制度をきちんと扱うことのほうが大切です。

人事の年収と昇進の流れ

担当(スタッフ)350〜480万円
入社1〜5年目、22〜27歳

給与計算、説明会の運営、入社手続きなど、決められた仕事を正確にこなします。担当分野を一人で回せるようになると、次の段階に進みます。

主任・リーダー450〜600万円
入社5〜10年目、28〜33歳

採用や労務など一つのチームの中心として、後輩を指導しながら施策を企画します。複数の分野を経験し、周りをまとめる力を示すと昇進につながります。

課長・マネージャー650〜900万円
35〜45歳

人事部の一つの課をまとめ、予算や人員計画、部下の評価に責任を持ちます。経営の方針を人事の施策に落とし込む力が求められます。

人事部長900〜1,300万円
45〜55歳

会社全体の人事の方針を決め、役員に提案します。労働組合との交渉や組織再編など、大きな判断を担います。

CHRO・人事担当役員1,200〜2,000万円
50歳以降

経営陣の一員として、人材戦略全体に責任を持ちます。社員数の多い大企業や外資系企業で置かれることが多い役職です。

年収は目安です。会社や地域、本人の働き方で大きく変わります。

働き方で何が違う?

大企業の人事部中小企業の人事採用の担当採用労務の担当労務給与の担当給与研修の担当研修制度の担当制度1人か数人よい点専門性が身につく大変な点全体像が見えにくいことがあるよい点人事を幅広く経験経営者との距離が近い大変な点一人に仕事が集中しやすい会社の大きさで、人事の働き方が変わる
中小企業では、総務や経理を兼ねることも珍しくありません
大企業の人事部会社の給与水準に沿って、30代で500万〜700万円、部長クラスで1,000万円前後が目安

社員数が数千人から数万人の会社では、人事部の中が採用、労務、給与、研修、制度などのチームに分かれています。一人が一つの分野を深く担当するので、専門性が身につきます。数年ごとに担当を変えて、人事の複数の分野を経験させる会社も多いです。全社に影響する大きな制度づくりに関われるのが魅力です。

良いところ専門性が身につき、研修や制度が整っている。給料が安定している

大変なところ担当範囲が細かく、人事の全体像が見えにくいことがある

中小企業の総務人事会社によって差が大きく、400万〜600万円ほどが目安

社員が数十人から数百人の会社では、一人か数人で人事の仕事を全部担当することが多くあります。総務や経理を兼ねることも珍しくありません。採用から給与計算、社会保険、退職まで一通り経験できるので、人事の全体像を早くつかめます。社長と直接話して制度を決めることもあります。

良いところ人事の仕事を幅広く経験でき、経営者との距離が近い

大変なところ一人に仕事が集中しやすく、相談できる先輩が少ないこともある

ベンチャー企業の人事経験者は600万〜1,000万円ほどもあり、ストックオプションがつく場合もある

急成長しているベンチャー企業では、毎月のように社員が増えるため、採用の仕事が中心になりがちです。評価制度や就業規則がまだ整っていないことも多く、一から仕組みを作る経験ができます。人事責任者として経営チームに入ることもあります。

良いところ会社の成長を人の面から支える手応えが大きい

大変なところ仕事の変化が速く、制度が未整備で手探りの場面が多い

外資系企業の人事30代で700万〜1,000万円以上の場合もある

外資系企業では、HRBPのように事業部と組んで働くスタイルが一般的です。海外の本社とのやりとりに英語を使う場面が多く、成果に応じた評価や給与の仕組みを運用します。

良いところ年収が高めで、グローバルな人事のやり方を学べる

大変なところ英語力が求められ、成果へのプレッシャーが大きい

人材サービス・社労士事務所会社や職種によって幅があり、営業職では成果によって大きく変わる

人材紹介会社や就職サイトの会社、給与計算の代行会社、社会保険労務士事務所などで、多くの会社の人事を外から支える働き方です。いろいろな業界の人事のやり方を知ることができます。

良いところ多くの会社の事例を知ることができ、専門性が高まる

大変なところお客さんの締め切りや目標に追われやすい

代表的な会社・職場

人材サービス大手就職情報会社転職プラットフォーム人事・労務クラウドタレントマネジメント専門家の事務所事業会社コンサルティング
リクルート ›人材サービス大手

就職サイトのリクナビや転職サービスなどを運営し、多くの会社の採用活動を支えています。

パーソルキャリア ›人材サービス大手

転職サービスdodaを運営しています。職種別の平均年収の調査も発表しています。

マイナビ ›就職情報会社

新卒向けの就職サイトのマイナビなどを運営し、会社説明会やイベントも開いています。

Visional(ビズリーチ) ›転職プラットフォーム

企業が候補者に直接声をかけるダイレクトリクルーティングのサービスなどを運営しています。

SmartHR人事・労務クラウド

入社手続きや年末調整などの人事・労務の手続きをオンラインで行えるクラウドサービスを提供しています。

カオナビタレントマネジメント

社員の顔写真や経歴、評価などを一覧で管理できるシステムを提供しています。

社会保険労務士法人・社労士事務所専門家の事務所

会社に代わって社会保険の手続きや給与計算を行い、労務の相談にのります。

大手メーカーの人事部事業会社

自動車、電機、食品など社員数の多いメーカーでは、人事部に専門のチームがあり、工場や海外拠点の人事も担当します。

メガバンク・大手金融の人事部事業会社

全国の支店で働く多くの社員の採用、異動、研修を担当します。

人事コンサルティング会社コンサルティング

会社の依頼を受けて、評価制度や給与制度の設計、組織の見直しを手伝います。

›がついた会社は、会社図鑑で詳しく解説しています。

どうやって稼いでいる?

¥会社の売上営業や開発が稼ぐ人件費給料・研修費・社会保険料人事が配分どの部署に何人、いくらで置くか人が活躍よい人を採り、育て、長く働く払う使い道売上が伸びる社員が次々に辞めると代わりの採用費と育成の時間がかかる。働きやすい制度は、大きな節約になる人の面から、会社の成長を支える
人事はお金を稼ぐ部署ではなく、人件費の使い方を決めて会社を支える部署です

人事は会社の中でお金を「かせぐ」部署ではなく、会社を支える部署(バックオフィス、管理部門)です。会社の費用の中でも人件費は大きな割合を占めることが多く、人事はその使い方を決める役割を持っています。よい人を採用し、育て、長く活躍してもらえれば、営業や開発の部署が売上を伸ばせます。逆に、採用に失敗したり、社員が次々に辞めたりすると、採用や教育にかけたお金が無駄になります。人事の成果は数字で見えにくいですが、会社の成長を人の面から支えています。

1
人件費の配分

会社は売上の中から社員の給料や社会保険料、研修費などの人件費を払います。人事は、どの部署にどれだけ人を置き、どのくらいの給料を払うかを決めて、人件費を経営に合った形で使います。

2
採用コスト

中途採用で人材紹介会社を使うと、採用が決まった人の年収に応じた手数料(成功報酬)を払うしくみが一般的です。就職サイトへの掲載料や説明会の費用もかかるため、人事は限られた予算でよい人を採る工夫をします。

3
離職を防ぐ効果

社員が辞めると、代わりの人の採用費と育成の時間がかかります。働きやすい制度を作って社員に長く働いてもらうことは、目に見えにくいですが大きな節約になります。

4
人材サービス会社の売上

人事の仕事を外から支える会社もあります。たとえば、就職サイトの掲載料、人材紹介の成功報酬、給与計算の代行料、人事システムの月額利用料などが、人材サービス会社の売上になります。

入ってからどうなっていく?

1〜3年目人事の基本を覚える給与計算のチェック、説明会の運営、入社手続きなど、決まった作業を正確にこなします。営業など別の部署を経験してから人事に異動する人も多いです。
4〜7年目担当分野を一人で回す新卒採用や労務など一つの分野をまかされ、面接官や社員の相談対応を一人でこなします。社会保険労務士などの資格に挑戦する人も出てきます。
30代前半主任・リーダー採用チームや労務チームのリーダーとして後輩を指導し、制度の見直しや新しい施策を企画します。人事の複数の分野を経験しておくと、のちの昇進に役立ちます。
30代後半〜40代課長・マネージャー人事部の一つの課をまとめ、予算や人員計画に責任を持ちます。HRBPとして事業部を担当したり、ベンチャー企業の人事責任者として転職したりする人もいます。
40代後半〜50代人事部長会社全体の人事の方針を決め、役員会で報告します。労働組合との交渉や、組織の大きな再編など、会社の将来に関わる判断を担います。
50代以降CHRO・役員、独立CHRO(最高人事責任者)として経営陣の一員になる人もいます。社会保険労務士として独立したり、人事コンサルタントとして複数の会社を支援したりする道もあります。

一人の社員が入社してから活躍するまで

入社まで1採用計画どの部署に何人、どんな人が必要か2募集・選考就職サイトなどで募集し、面接で選ぶ3内定・入社手続き雇用契約、社会保険、給与口座の登録入社してから4研修・配属研修で基本を学んでもらい、部署へ5評価・育成目標を立てて評価し、昇給や賞与に6異動・昇進希望や適性を見て、異動や昇進を決める辞めるとき7退職社会保険の手続きと最後の給与計算入社前から退職まで、人事がかかわる
一人の社員が入社してから退職するまでの流れです
1
採用計画

経営計画をもとに、どの部署に何人、どんな人が必要かを決めます。人件費の予算もこの段階で考えます。

2
募集・選考

就職サイトや人材紹介を使って募集し、書類選考と面接で候補者を選びます。

3
内定・入社手続き

内定を出し、入社日に向けて雇用契約、社会保険の加入、給与口座の登録などを行います。

4
研修・配属

入社後の研修でビジネスの基本や会社のことを学んでもらい、部署に配属します。

5
評価・育成

半年や1年ごとに目標を立てて評価し、昇給や賞与、次の研修につなげます。

6
異動・昇進

本人の希望や適性を見ながら、新しい部署への異動や昇進を決めます。

7
退職

退職するときは、社会保険の手続きや最後の給与の計算を行い、送り出します。

社会保険労務士試験(人事・労務で役立つ国家資格)

合格率5.5%(2025年度、受験者43,421人・合格者2,376人)
勉強時間の目安科目数が多く、働きながら1〜2年以上かけて合格をめざす人が多い
受験資格大学・短大・高専などの卒業(一定の学歴)、労働社会保険の実務経験3年以上、または厚生労働大臣が認めた国家試験の合格などのいずれか
合格率は毎年おおむね5〜7%前後と低く、法律系の国家資格の中でも難しい部類に入ります。科目ごとに合格基準点があるため、得意科目で点を稼いでも苦手な科目が一つあると不合格になるのが難しいところです。法律の改正や統計の数字など、毎年新しい内容を覚える必要もあります。人事の仕事をしながら勉強すると、実務と知識がつながりやすいというメリットがあります。
試験科目(押すと中身が見られます)
合格までの流れ
  1. 受験申込春に申し込みます。受験資格を証明する書類が必要です。
  2. 本試験(8月)選択式と択一式の2つの形式の試験を1日で受けます。科目ごとに最低点が決まっていて、一つでも足りないと不合格になります。
  3. 合格発表(秋)合格したあと、実務経験が2年未満の人は事務指定講習を受けます。
  4. 登録全国社会保険労務士会連合会に登録すると、社会保険労務士として名乗れるようになります。

人事のある1日

9:00

メールとチャットを確認し、社員からの休みの申請や手続きの問い合わせに返信します。

9:30

採用チームの朝会で、今週の面接の予定と応募の数を共有します。

10:00

オンラインで中途採用の一次面接を2件行い、候補者の経験や転職の理由を聞きます。

12:00

昼休み。ほかの部署の同期とランチをしながら、現場の雰囲気を聞きます。

13:00

営業部長と打ち合わせ。来年度に何人増やしたいか、どんな人がほしいかを聞き取ります。

14:30

今月の残業時間の一覧をチェックし、多すぎる人がいる部署の上司に連絡します。

15:30

新入社員研修の資料を作り、講師をお願いする先輩社員と内容をすり合わせます。

17:00

面接の評価をまとめて、現場の面接官と合否を相談します。

18:00

明日の説明会の準備を確認して退社します。

もっと知りたい人へ

そもそも人事とは

人事は、会社にとって大切な「ヒト・モノ・カネ・情報」のうち、ヒトを担当する職種です。社員を採用し、育て、評価し、配置し、給料を払い、安全に働ける環境を整えるところまで、社員が入社してから退職するまでのすべてに関わります。学校でたとえると、生徒の募集(入試)、時間割や行事の計画、通知表、クラス替え、保健室、校則づくりを一つの部署でまとめて担当しているようなものです。人事の仕事は「人を管理する」ことではなく、社員が力を発揮できる仕組みを作って会社を強くすることです。

人事と総務のちがい

総務は、オフィスの備品や建物の管理、株主総会の準備、社内行事など、会社全体の運営を支える仕事です。人事は社員そのものに関わる仕事を担当します。中小企業では「総務人事部」として同じ人が両方を担当することもよくあります。

人事は面接官だけではない

就活生が会う人事は採用担当なので、「人事=面接官」というイメージを持つ人が多いです。しかし実際には、給与計算や社会保険、労務管理など、学生からは見えない仕事のほうが人数も仕事量も多いのが一般的です。

なるためのルート

人事になる道は大きく分けて、新卒で人事に配属される道、別の部署から異動する道、転職で人事職に就く道の三つがあります。大企業では総合職として入社し、最初は営業や店舗などを経験してから人事に異動するケースがよく見られます。最初から人事として採用する「職種別採用」を行う会社も増えています。中途採用では、人事の実務経験がある人が求められることが多いです。

  1. 高校・大学文系・理系どちらの学部からでも目指せます。大学ではアルバイトやサークル、ゼミで人をまとめた経験が、面接で話せる材料になります。
  2. 就職活動人事職の職種別採用がある会社に応募するか、総合職として入社して人事への配属を希望します。人材サービス会社に入って、企業の人事を外から支える道もあります。
  3. 配属・異動人事部に配属されたら、給与や採用の補助から始めます。別の部署に配属された場合も、社内公募や面談で人事への異動を希望できる会社があります。
  4. 専門性を高める労務や給与に進む人は社会保険労務士、研修や組織づくりに進む人はキャリアコンサルタントなどの資格を取ることがあります。
  5. 管理職・転職経験を積んで課長・部長になるか、人事の経験を武器にベンチャー企業や外資系企業の人事責任者として転職する人もいます。
最初から人事に配属されるとは限らない

人事部は社員数に比べて人数が少ないため、新卒で人事に配属される人は限られます。現場を知っている人のほうが社員の気持ちがわかるという考えから、あえて営業などを経験させる会社も多いです。

人材業界という選択肢

就職サイトや人材紹介、派遣を行う人材サービス会社では、毎日多くの会社の人事担当者とやりとりします。人材業界で経験を積んでから、事業会社の人事に転職する人も多くいます。

試験・選考の詳細

人事になるために必須の資格や試験はありません。就職活動では、一般的なエントリーシート、適性検査、面接で選考されます。人事職を希望する場合、「なぜ人事なのか」「人と組織についてどう考えるか」を具体的に話せるとよいでしょう。働き始めてから役立つ資格には、社会保険労務士(国家資格)、キャリアコンサルタント(国家資格)、メンタルヘルス・マネジメント検定などがあります。

社会保険労務士

労働や社会保険の法律の専門家であることを示す国家資格です。2025年度の試験は受験者約4万3千人に対して合格者は2,376人、合格率は5.5%でした。人事、とくに労務や給与の担当者が持っていると、専門家として頼られます。

キャリアコンサルタント

働く人の進路や仕事の悩みの相談にのる専門家の国家資格です。人材育成やキャリア面談を担当する人事が取ることがあります。

年収のリアル

人事の平均年収は約549万円で、20代は約430万円、50代以上では約775万円が目安です(doda、2025年版)。人事は営業のように成果に応じた歩合給がつくことは少なく、会社の給与水準に沿って安定して上がっていくのが特徴です。そのため、どの会社の人事になるかで年収が大きく変わります。商社や金融、大手メーカーなど給与水準の高い会社では人事の年収も高く、人事部長や外資系企業の人事責任者では1,000万円を超える人もいます。

会社選びで差がつく

人事は会社の「平均的な給料」をもらう職種なので、業界全体の給与水準の影響を強く受けます。同じ人事の仕事でも、業界によって年収が数百万円違うこともあります。

専門性で上がる

採用の専門家、人事制度の専門家、労務の専門家として力をつけると、転職市場で評価されやすくなります。外資系企業のHRBPや、ベンチャー企業の人事責任者は年収が高めの傾向があります。

やりがい

人事のやりがいは、人の人生の大切な場面に関われることです。自分が面接した学生が入社して活躍する姿を見たときや、悩んでいた社員が新しい部署で生き生きと働き始めたときに、大きな喜びを感じる人が多いです。また、制度を作ると会社全体の働き方が変わるので、何百人、何千人の社員に影響を与える仕事ができます。会社の経営に近い場所で、組織がどう動くかを学べるのも魅力です。

「この会社に入ってよかった」の声

内定者や新入社員から「人事の人がいたからこの会社に決めました」と言われることがあります。会社の第一印象を作る採用担当ならではのうれしさです。

働き方を変える

育児休業を取りやすくしたり、在宅勤務の制度を作ったりすると、社員の生活が変わります。自分が作ったルールで誰かが助かったと実感できる仕事です。

大変なこと・きついこと

人事は社員の給料や評価、異動、退職など、人の人生を左右する情報を扱うため、責任と気苦労が大きい仕事です。社員から不満や苦情を受けることもあり、ハラスメントや長時間労働の問題、社員の病気など、重い相談にも向き合わなければなりません。会社の方針で人員を減らすときや、問題のある社員に注意するときなど、つらい役回りを担うこともあります。また、仕事の成果が数字で見えにくく、ほめられるより「まちがえたときに怒られる」ことが多いと感じる人もいます。

秘密を抱える

誰が昇進するか、誰の給料がいくらか、誰が辞めるかといった情報を、友人の社員にも話すことはできません。社内で気軽に話しにくいと感じる人もいます。

繁忙期が重なる

新卒採用の面接が集中する時期、年末調整の時期、4月の入社と異動の時期など、一年の中で忙しさの山がいくつもあります。

向いている人

人事に向いているのは、人に興味があり、相手の話をじっくり聞ける人です。一方で、気持ちだけでなく、法律や数字を正確に扱えることも大切です。秘密を守れる誠実さ、公平に判断できるバランス感覚、そして経営と社員の間に立って両方の言い分を理解できる力が求められます。「人と話すのが好き」だけでなく、「人がもっと活躍できる仕組みを考えるのが好き」な人ほど向いています。

こんな経験がある人

部活動やクラスで、みんなの意見をまとめたり、後輩の相談にのったりした経験がある人は、人事の仕事に近い力を使っています。

向いていないかもしれない人

細かい手続きや数字のチェックがとても苦手な人、人の悩みを聞くと引きずってしまう人は、最初は大変に感じるかもしれません。ただし人事の中にも分野がいろいろあるので、自分に合う担当が見つかることも多いです。

高校生のうちにできること

高校生のうちから人事の仕事に近づく方法はいくつもあります。部活動の部長や生徒会、文化祭の実行委員など、人をまとめて役割を分担する経験は、人事の考え方そのものです。また、アルバイトを始めるときにもらう雇用契約書や給料明細をよく読んでみると、労働時間や社会保険のしくみが見えてきます。公民や政治・経済の授業で学ぶ労働基準法や社会保障は、人事の仕事の基礎になる知識です。

アルバイトの給料明細を読む

給料明細には、働いた時間、時給、所得税などが書かれています。何が引かれているのかを調べるだけで、給与担当の仕事を少し体験できます。

文理の選び方

人事は文理どちらからでも目指せます。法学部や経済学部に進むと労働法や経営学を学べますし、心理学を学べる学部も人材開発に役立ちます。

代表的な会社・職場

人事は、ほぼすべての会社にある職種です。大手メーカー、金融機関、商社、IT企業などの人事部では、それぞれの分野の専門チームで働きます。また、人事の仕事を外から支える人材サービス会社、人事クラウドサービスの会社、社会保険労務士事務所、人事コンサルティング会社など、人事の知識を商品にしている会社もあります。

事業会社の人事部

自社の社員のために働く人事です。社員数の多い会社ほど、人事部の人数も多く、分野ごとに専門の担当者がいます。

人事を支える会社

就職サイト、人材紹介、派遣、給与計算の代行、人事システム、研修など、人事の仕事の一部を請け負う会社がたくさんあります。ここで働くと、多くの会社の人事のやり方を知ることができます。

人事の一年

人事の仕事には、毎年決まった時期にやってくる行事がたくさんあります。4月は新入社員の入社式と研修、人事異動の手続きで大忙しです。夏から冬にかけては次の年の新卒採用のインターンシップ、3月からは説明会、6月からは面接が本格化します。夏には社会保険料を見直す手続き、秋から冬にかけては年末調整、そして年に1〜2回の評価と賞与の計算があります。

春は入社と異動

4月1日の入社や異動に合わせて、社員データの更新、給与の変更、研修の運営が集中します。人事部が一年でいちばん忙しい時期の一つです。

冬は年末調整と評価

11月から12月にかけては年末調整の書類が全社員から集まり、同じ時期に下半期の評価や冬の賞与の計算が重なる会社もあります。

これからの人事

働き方の変化とともに、人事の仕事も大きく変わっています。在宅勤務や副業を認める会社が増え、働き方のルールを作り直す必要が出てきました。年功序列からジョブ型雇用への見直し、人的資本の情報開示、女性や外国人、シニアなど多様な人が活躍できる職場づくりも、人事の大きなテーマです。また、給与計算や勤怠管理はクラウドシステムで自動化が進み、人事はデータを使って組織の課題を見つける仕事により時間を使うようになっています。

人的資本経営

社員を「コスト」ではなく、会社の価値を生み出す「資本」と考える経営の考え方です。社員の学びや働きがいにどれだけ投資しているかを、投資家にも説明する時代になっています。

データで人事を考える

退職した人の傾向や、活躍している社員の特徴をデータで分析する「ピープルアナリティクス」という取り組みが広がっています。人事にも数字やITに強い人が求められるようになっています。

よくある質問

人事になるにはどの学部がいいですか?

人事に直結する学部はなく、法学部、経済学部、文学部、理工学部など、さまざまな学部の出身者がいます。労務に進みたいなら法学部で労働法を学ぶと役立ちますし、人材育成に興味があるなら心理学や教育学も関係があります。学部よりも、人と関わる経験や、物事を公平に考える姿勢が大切です。

新卒ですぐに人事になれますか?

人事職として新卒採用を行う会社もありますが、多くはありません。総合職として入社し、営業などを経験してから人事に異動するケースがよく見られます。どうしても最初から人事をしたい場合は、職種別採用をしている会社を探すとよいでしょう。

人事は面接ばかりしているのですか?

面接をするのは主に採用担当で、人事の仕事のほんの一部です。給与計算、社会保険の手続き、勤怠管理、研修、評価制度づくりなど、社員を支える仕事が人事の中心です。

人事に資格は必要ですか?

必須の資格はありません。ただし、労務や給与を担当する人は社会保険労務士を取ると専門性を示せます。社会保険労務士試験の合格率は2025年度で5.5%と、難しい国家資格です。

人事の仕事はAIに置き換えられますか?

給与計算や勤怠の集計、書類のチェックなどは、システムやAIによる自動化が進んでいます。一方で、社員の相談にのる、組織の問題を見つけて解決する、経営陣と方針を決めるといった仕事は、人の判断が必要な部分が多く残ると考えられています。

人事は社員から嫌われる仕事ですか?

評価や異動など、社員にとってうれしくない知らせを伝える役回りになることはあります。しかし、制度を良くしたり、困っている社員を助けたりする場面も多く、信頼される人事も多くいます。公平で誠実な対応を続けることが大切です。

理系でも人事になれますか?

なれます。メーカーやIT企業では、技術者の採用や育成に理系の知識が役立つため、理系出身の人事も活躍しています。データ分析が得意なら、人事データの分析などでも強みを発揮できます。

人事と社会保険労務士はどう違いますか?

人事は会社の社員として、自分の会社の人に関わる仕事を幅広く担当する職種です。社会保険労務士は国家資格で、労働や社会保険の手続きを会社に代わって行う専門家です。会社の人事が社労士資格を持っていることもあれば、外部の社労士事務所に手続きを頼むこともあります。

人事に向いている性格はありますか?

人の話を聞くのが好きな人、秘密を守れる人、公平に物事を考えられる人が向いています。明るく社交的である必要はかならずしもなく、落ち着いて正確に仕事を進められる人も人事で活躍しています。

この分野のことば

年収について:転職サービスdoda「平均年収ランキング(2025年版)」の職種「人事」の平均(2024年9月〜2025年8月の登録者データ)。大企業の人事部か中小企業か、管理職かどうかで差が大きく、人事部長や役員クラスでは1,000万円を超える人もいます。

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