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広告を買わずにニュースになる、会社の「声」と「顔」をつくる仕事

広報・PR

広報・PRは、会社が何を考え、何をしているかを、世の中の人に正しく伝え、信頼してもらうための職種です。たとえば、新しいお菓子の発売をテレビや新聞のニュースで取り上げてもらう、社長のインタビュー記事を雑誌に載せる、会社の公式SNSを運用する、社員向けの社内報を作る、といった仕事があります。広告がお金を払って枠を買うのに対して、広報は記者に「ニュースとして伝えたい」と思ってもらうことで情報を届けるのが大きなちがいです。工場の事故や不祥事が起きたときには、記者会見を開いて説明する危機管理の役割も担います。

平均年収の目安約525万円約350万〜1,200万円(会社の規模・役職・業界で差が大きい)
なるまでの難しさ★★★★★広報になるのに必須の資格はありません。ただ、広報部は1社あたりの人数が少なく、新卒でいきなり配属される枠は多くありません。社内のことをよく知っている人が向いているため、営業や企画を経験してから異動する人が多いです。記者との信頼関係づくりや、危機のときの判断には経験が必要で、一人前になるまでに時間がかかります。
決めどき文系が中心

大学3年の就活で志望を伝えるか、入社数年後の異動や社内公募で広報部へ。PR会社なら新卒で直接入れる

広報・PRの中の、細かい担当

同じ広報・PRでも、担当によって仕事はまったく違います。押すと、それぞれの仕事内容・必要な力・キャリアが見られます。

どんな会社にある?

広報は、ある程度の規模の会社ならほぼどの業界にもあります。特に、食品、化粧品、自動車、家電など一般の消費者に商品を売る会社では、ニュースやSNSで話題になることが売上に直結するため、広報部の役割が大きいです。上場企業では、投資家向けのIR広報も欠かせません。大企業では報道対応、社内広報、SNS、IRなどに分かれた数十人規模の部署があることもありますが、中小企業やベンチャーでは1〜2人、あるいは社長自らが広報を兼ねることも珍しくありません。病院、大学、市役所、プロスポーツチームなどにも広報担当がいます。

どの学部の人が多い?

広報に多いのは、文学部、社会学部、法学部、経済学部、メディア系の学部の出身者ですが、学部で決まる職種ではありません。社会学部やメディア学部で学ぶメディア論や世論の研究は、記者の考え方を理解するのに役立ちます。製薬会社やIT企業、メーカーの技術広報では、理系出身者が専門的な内容をわかりやすく説明する役割で活躍しています。文章力と、人の気持ちを想像する力のほうが、学部よりもずっと大切です。

広報・PRの年収と昇進の流れ

広報担当(スタッフ)400〜600万円
広報配属1〜4年、25〜30歳

記事の集計、リリースの下書き、社内報の取材、SNS投稿の作成などを担当します。自分で記者に提案して記事を出せるようになると、次の段階が見えてきます。

主任・シニア550〜800万円
30〜35歳

重要な発表や大きな取材を任され、後輩の指導も行います。記者との信頼関係と、発表を成功させた実績が評価されます。

広報課長・マネージャー750〜1,050万円
35〜45歳

チームを率い、会社全体の発信計画を立てます。危機のときの対応で中心的な判断を担うことが求められます。

広報部長950〜1,400万円
45〜55歳

広報部全体の責任者として、社長の発言や会社の方針の伝え方に責任を持ちます。経営陣の相談役としての役割も大きくなります。

執行役員・CCO(最高コミュニケーション責任者)1,300〜2,000万円
50歳以降

広報、IR、ブランディング、サステナビリティなど、会社の対外的なコミュニケーション全体を統括します。経営会議のメンバーとして重要な判断に加わります。

年収は目安です。会社や地域、本人の働き方で大きく変わります。

働き方で何が違う?

大企業の広報部30代で600万〜900万円、部長で1,000万円以上が目安

報道対応、社内広報、SNS、IR、ブランディングなどに担当が分かれ、それぞれの分野で専門性を磨けます。会社の知名度が高いので記者から取材の依頼が来ることも多く、メディアへの影響力も大きいです。一方で、発表までに社内の多くの確認が必要で、自由に動ける範囲は限られます。

良いところ専門性が身につき、影響力の大きい仕事ができる

大変なところ社内の調整が多く、スピード感に欠けることがある

ベンチャー・中小企業の広報400万〜800万円前後が目安

1〜2人で広報のすべてを担当することが多く、記者への提案からSNS、採用広報まで幅広く手がけます。知名度が低い会社をメディアに取り上げてもらうには、工夫と行動力が必要です。社長と直接相談しながら進められるので、スピード感があります。

良いところ裁量が大きく、成果が会社の成長に直結する

大変なところ教えてくれる人が少なく、一人で抱え込みやすい

PR会社若手で400万円前後から、平均で600万円台(プラップジャパンは約662万円、2025年度)

多くのクライアントの広報を担当し、さまざまな業界の知識と、記者とのネットワークが身につきます。新卒から広報の専門家として経験を積める場所です。複数の案件を同時に進めるので、忙しい時期が重なることもあります。

良いところ若いうちから広報の専門性が身につき、転職にも強い

大変なところクライアントの都合に合わせる必要があり、自分の会社の商品ではない

自治体・大学・病院の広報公務員や学校法人の給料表による。400万〜700万円前後が目安

市役所、大学、病院、プロスポーツチームなどの広報です。住民、受験生、患者さん、ファンなど、伝える相手がはっきりしているのが特徴です。営利目的ではない分、公共性や正確さがより重視されます。

良いところ社会や地域の役に立つ実感がある

大変なところ予算が限られ、大胆な企画を実行しにくいことがある

代表的な会社・職場

PR会社プレスリリース配信サービス事業会社の広報地方自治体
ベクトルPR会社

国内最大級のPR会社グループで、PR、ネット広告、プレスリリース配信などを手がけています。

プラップジャパンPR会社

1970年創業の独立系PR会社で、報道対応、危機管理、デジタルPRなどを行います。

約662万円(2025年度、有価証券報告書)
共同ピーアールPR会社

1964年創業の老舗PR会社で、多くの企業や自治体の広報を支援しています。

電通PRコンサルティングPR会社

電通グループのPR会社で、企業の広報戦略や危機管理などを手がけています。

サニーサイドアップグループPR会社

話題づくりを得意とするPR会社で、食品やスポーツ選手のマネジメントなども行います。

PR TIMESプレスリリース配信サービス

会社がプレスリリースをネット上で配信できるサービスを運営しています。

トヨタ自動車 広報部事業会社の広報

自社メディア「トヨタイムズ」を運営するなど、会社が自ら情報を発信する取り組みで知られています。

サントリーホールディングス コーポレートコミュニケーション本部事業会社の広報

飲料・食品の大手で、商品広報と企業ブランドの発信を幅広く行っています。

資生堂 コミュニケーション部門事業会社の広報

化粧品の大手で、国内外に向けたブランドの発信を担当しています。

市役所・県庁の広報課地方自治体

広報誌の作成や公式SNS、記者発表などで、住民に行政の情報を届けます。

どうやって稼いでいる?

広告会社広告枠見る人お金を払う伝える広報会社記者・メディア見る人情報を提供ニュース第三者が伝えるので、信頼されやすい評判は、ここに効く¥売上採用株価取引会社の評判という財産を、守り増やす
不祥事への対応をまちがえると、売上が大きく落ちたり株価が下がったりします

広報は、直接商品を売ってお金を稼ぐ部署ではありません。しかし、会社が信頼され、名前を知られることは、売上、採用、株価、取引のすべてに影響します。広告が「お金を払って伝える」のに対し、広報は「第三者であるメディアに伝えてもらう」ので、同じ情報でも信頼されやすいという強みがあります。たとえば、テレビのニュースで「行列ができている新しいパン屋」と紹介されると、広告よりも多くの人が実際に足を運ぶことがあります。逆に、不祥事への対応をまちがえると、売上が大きく落ちたり、株価が下がったりします。広報は、会社の評判という目に見えない財産を守り、増やす仕事です。

1
パブリシティ(報道による露出)

新聞やテレビのニュースで取り上げられると、広告費をかけずに多くの人に知ってもらえます。広報の成果を、同じ大きさの広告を買ったら何円かかるかで計算する会社もあります。

2
ブランド価値と売上

会社や商品への好感や信頼が高まると、同じ値段でも選ばれやすくなります。SNSでのファンづくりも、長い目で見ると売上を支えます。

3
株価と資金調達(IR)

投資家に会社の将来性を正しく伝えると、株価が適正に評価され、会社が新しいお金を集めやすくなります。

4
採用力

会社の取り組みがニュースやSNSで伝わると、その会社で働きたいという学生や転職者が増えます。採用のための費用を減らす効果もあります。

5
危機の損失をおさえる

不祥事や事故のときに正しく説明できれば、信頼の傷を小さくでき、売上や株価の大きな下落を防げます。

6
PR会社の収入の仕組み

PR会社は、クライアントから毎月決まった額を受け取る契約(リテナー契約)や、発表会などのプロジェクトごとの料金で収入を得ます。

入ってからどうなっていく?

入社〜5年目現場を知る・広報の基礎を学ぶ事業会社では営業や企画などで会社の商品と現場を学ぶ時期です。広報部に配属された場合は、記事の集計、リリースの下書き、社内報の取材から始めます。
5〜10年目広報担当として独り立ち報道対応、SNS、社内広報などの担当を持ち、自分で記者に提案し、記事を出す実績を積みます。記者との信頼関係がこの時期の財産になります。
10〜15年目主任・課長としてチームを率いる会社の重要な発表や、危機のときの対応で中心的な役割を担います。社長のスピーチ原稿や、会社全体の発信方針を考えるようになります。
15〜25年目広報部長・コミュニケーション責任者広報部全体を統括し、経営陣の一員として会社の評判に責任を持ちます。社長の発言や経営判断に、世の中の見え方の観点から意見を言う立場です。
転職・独立PR会社・ベンチャー・独立ベンチャー企業の広報責任者として転職する、PR会社でコンサルタントになる、フリーランスの広報として複数の会社を支える、といった道もよくあります。

新商品の発表がニュースになるまで

発表まで1情報を集めるどこがニュースになるか考える2発表の計画いつ、どの記者に、どう伝える3リリースを作る要点はタイトルと最初の段落に発表日4記者に届ける配信し、記者に個別に提案発表のあと5取材に対応担当者の予定を調整し立ち会う6効果を測る記事の数やSNSの反応を集計結果を集めて、次の発表に生かす
新商品の発表がニュースになるまでの例です
1
情報を集める

開発部やマーケティング部から、新商品の特徴、発売日、開発の背景などを聞き取ります。どこがニュースになりそうかを考えます。

2
発表の計画を立てる

いつ、どの記者に、どんな方法で伝えるかを決めます。記者発表会を開くか、リリースだけにするかも判断します。

3
リリースを作る

タイトルと最初の段落で要点が伝わるように文章を作り、写真を用意します。法務部や開発部に内容を確認してもらいます。

4
記者に届ける

発表日にリリースを配信し、関心がありそうな記者には個別に電話やメールで提案します。

5
取材に対応する

取材の依頼が来たら、開発担当者や役員の予定を調整し、取材に立ち会います。

6
効果を測る

記事やニュースになった数、SNSでの反応を集計し、次の発表に生かします。

PRプランナー資格認定試験(日本パブリックリレーションズ協会)

合格率1次試験の合格基準は正答率70%以上(2次・3次の合格率は公表資料で確認できず)
勉強時間の目安1次試験は公式テキストを使って数十時間〜100時間程度の勉強で受ける人が多いとされます
受験資格受験資格の制限はありません
国家資格ではなく、持っていないと広報になれないわけではありません。1次試験は基礎知識が中心で、しっかり勉強すれば合格を目指せます。3次まで進むと実際の広報計画を作る力が問われ、実務経験がないと難しくなります。
試験科目(押すと中身が見られます)
合格までの流れ
  1. 1次試験広報の基礎知識を問う試験です。合格するとPRプランナー補になります。
  2. 2次試験実務の知識を問う試験です。合格すると准PRプランナーになります。
  3. 3次試験広報計画やリリースの作成などの実技試験です。合格し、広報の実務経験などの条件を満たすとPRプランナーとして認定されます。

広報・PRのある1日

8:30

出社前に、新聞各紙とネットニュースで自社と業界の記事をチェックします

9:00

朝のミーティングで、今日報道された記事と、SNSでの反応を部内で共有します

10:00

来週発表する新商品のプレスリリースを、開発部と法務部に確認してもらいます

11:00

経済新聞の記者から取材依頼の電話を受け、社内の担当役員の予定を調整します

12:00

記者とランチをしながら、業界の動きについて情報交換します

13:30

公式SNSの来月の投稿計画をチームで話し合います

15:00

テレビ番組の取材に立ち会い、工場の撮影で映してはいけない場所を案内します

17:00

社内報の次号の企画会議で、取材する部署を決めます

18:00

夕方のニュースで自社の話題が出ていないか確認し、退社します

もっと知りたい人へ

そもそも広報・PRとは

PRはパブリック・リレーションズの略で、会社と世の中の人々との良い関係をつくる活動のことです。ここでいう世の中の人々には、お客さんだけでなく、株主、社員、地域の住民、取引先、メディアなども含まれます。広報はその中心となる仕事で、会社の情報を社外と社内に伝え、同時に世の中の声を会社に持ち帰る役割を持ちます。よく広告と混同されますが、広告はお金を払ってテレビCMやネット広告の枠を買うのに対し、広報は記者に「伝える価値がある」と判断してもらい、記事やニュースにしてもらう点が大きくちがいます。

広報と宣伝・マーケティングのちがい

宣伝やマーケティングは、商品を売ることを主な目的にしています。広報は、商品だけでなく会社そのものへの信頼をつくることを目的にしているので、業績が悪いときや不祥事のときも、正直に説明する責任があります。

双方向のコミュニケーション

広報は情報を出すだけでなく、世の中が会社をどう見ているかを調べて経営陣に伝えることも大切な仕事です。たとえば、SNSで多かった不満を開発部に届け、商品の改善につなげることもあります。

なるためのルート

広報になるルートは大きく3つあります。1つ目は、事業会社に入社して営業や企画を経験したあと、広報部に異動するルートで、これがもっとも多いパターンです。2つ目は、新卒で入社してすぐに広報部に配属されるルートですが、枠は少なめです。3つ目は、PR会社に新卒で入り、広報の専門家として経験を積むルートです。新聞記者やテレビ局のディレクターなど、メディア出身の人が会社の広報に転職するケースもあります。

  1. 高校国語力と、ニュースへの関心を育てます。新聞部、放送部、生徒会の広報担当などの経験が役立ちます。
  2. 大学学部は問われませんが、文章を書く機会、人前で話す機会を多く持つとよいです。学生団体の広報やSNS運用、PR会社でのインターンも経験になります。
  3. 就職活動事業会社に総合職で入るか、PR会社に入るかを選びます。面接では、伝える工夫をした経験を具体的に話せるようにします。
  4. 入社後現場で会社のことを深く学び、広報への異動希望を出します。PR会社なら、先輩について担当クライアントの仕事を覚えます。
  5. 広報担当として成長記者との関係を築き、発表や危機対応を経験しながら専門性を高めます。
社内公募という道

大企業には、社員が自分から希望の部署に手を挙げる社内公募の制度があることが多く、広報部の募集に応募して異動する人もいます。

ベンチャーの広報

成長中のベンチャー企業では、広報経験が浅くても意欲のある人に任せることがあります。早い段階から責任ある仕事を経験できる一方、教えてくれる先輩がいないことも多いです。

試験・選考の詳細

広報になるための国家資格はありません。新卒の選考は、ほかの事務系総合職と同じく、エントリーシート、適性検査、面接で行われます。PR会社では、企画を提案する課題やグループワークが出されることもあります。関連する民間資格として、日本パブリックリレーションズ協会のPRプランナー資格があり、1次試験に合格するとPRプランナー補、2次試験で准PRプランナー、3次試験でPRプランナーとなります。受験資格に制限はなく、1次試験の合格基準は正答率70%以上です。

PRプランナー資格の位置づけ

この資格がないと広報になれないわけではありませんが、広報の知識を体系的に学べるため、担当になってから取る人もいます。2007年の制度開始からの1次試験の累計受験者は1万8千人あまりです。

IR担当に役立つ資格

IR広報では、日本IR協議会のIRプランナーや、証券アナリストなど、会計や財務の知識を示す資格が評価されます。

年収のリアル

広報の年収は、どの会社に勤めているかで大きく変わります。厚生労働省のjob tagでは、広報・PR担当の年収の目安は525.2万円(令和7年、平均年齢44.9歳)ですが、これは事務職全体の統計を加工した数字です。大企業の本社広報では会社全体の給料表が適用されるので、30代で700万円前後、広報部長で1,000万円を超える例もあります。PR会社では、プラップジャパンの平均年間給与が約662万円(2025年度)です。中小企業やベンチャーでは、400万円台から始まることが多いです。

働く時間の特徴

広報は、ニュースが起きたら時間に関係なく対応が必要になる仕事です。夜に記者から電話がかかってきたり、休日に会社の話題がSNSで広がったりすることもあります。

年収を上げる道

大企業での広報部長への昇進、ベンチャーの広報責任者としての転職、IRや危機管理など専門性の高い分野をきわめることが、年収を上げる代表的な方法です。

やりがい

広報のやりがいは、自分が伝えたことが新聞やテレビのニュースになり、多くの人に届く瞬間です。新商品がニュースで紹介されて店頭で売り切れになったときや、社員の地道な取り組みが記事になって本人が喜んでくれたときは、大きな達成感があります。社長や役員と近い距離で仕事をし、会社が大きな判断をする場面に立ち会えることも魅力です。危機のときに会社の信頼を守る役割を果たせたときには、ほかの仕事では得られない責任感と手応えがあります。

会社の一番のファンになれる

広報は会社のいいところを探して伝える仕事なので、自然と会社のことを深く知り、好きになっていきます。社員の努力に光を当てられるのも広報ならではです。

世の中の動きを肌で感じる

記者と話したり、ニュースを毎日読んだりするので、世の中の動きに敏感になります。社会の変化を会社の中に伝える窓口としての面白さもあります。

大変なこと・きついこと

広報の仕事は、思いどおりの結果が出るとは限りません。力を入れて準備した発表が、ほかの大きなニュースと重なって記事にならないこともよくあります。記者は会社の味方ではないので、会社にとって都合の悪い記事が出ることもあり、その対応に追われる日もあります。不祥事や事故の際には、夜中や休日でも対応し、記者会見で厳しい質問を受ける会社の顔の一人になります。SNSの投稿一つで炎上する危険があり、常に気を張っている必要があります。

成果を数字で示しにくい

記事の数や広告に換算した金額で成果を測ることはできますが、「会社の評判がよくなった」ことを正確に示すのは難しいです。社内で広報の価値を理解してもらう工夫が必要です。

社内と社外の板ばさみ

社内は「良いことだけ伝えたい」、記者は「本当のことを知りたい」と考えます。広報はその間で、正直さと会社の立場の両方を守るバランスを取らなければなりません。

向いている人

広報に向いているのは、人と話すのが好きで、相手の立場に立って考えられる人です。記者が何を知りたいのか、読者がどう受け止めるのかを想像する力が欠かせません。文章を書くのが好きな人、ニュースやSNSをよく見ている人、好奇心が強くていろいろなことに興味を持てる人も向いています。危機のときに慌てず冷静に行動できること、悪いニュースでもごまかさず正直に伝える誠実さも大切です。

聞き上手であること

社内の取材でも記者との会話でも、相手の話をよく聞いて面白いポイントを見つける力が役立ちます。話がうまいことより、聞き出す力のほうが重要な場面も多いです。

向いていないかもしれない人

自分の意見を強く主張して周りを従わせたい人や、急な予定の変更が苦手な人には、つらく感じることがあるかもしれません。

高校生のうちにできること

高校生のうちにできる準備は、たくさんのニュースに触れること、そして伝える経験を積むことです。新聞やニュースサイトを読み、なぜこの話題がニュースになったのかを考えてみましょう。新聞部や放送部、生徒会の広報、文化祭のSNS運用などは、広報の仕事そのものの練習になります。読書感想文や小論文で、限られた字数でわかりやすく書く練習をすることも、プレスリリースを書く力につながります。

企業のプレスリリースを読んでみる

好きなお菓子やゲームの会社のホームページには、ニュースリリースのページがあります。どんなふうに新商品を伝えているかを読み比べると、広報の工夫が見えてきます。

公式SNSを観察する

企業の公式SNSアカウントを見て、人気のある投稿とそうでない投稿のちがいを考えてみましょう。言葉の選び方や写真の工夫など、多くの発見があります。

代表的な会社・職場

広報部は、多くの大企業、特に食品、飲料、化粧品、自動車、家電、ゲームなど消費者向けの商品を扱う会社で大きな役割を持っています。上場企業では、IRを担当する部署もあります。広報を専門に請け負うPR会社としては、ベクトル、プラップジャパン、共同ピーアール、電通PRコンサルティング、サニーサイドアップなどがあります。プレスリリースの配信サービスを提供するPR TIMESのような会社もあります。病院、大学、自治体、プロスポーツチーム、NPOなどにも広報担当がいます。

PR会社と広告会社のちがい

広告会社はテレビCMやネット広告の枠を売り、広告を作ることが中心です。PR会社は、記事やニュースとして取り上げてもらうための活動が中心で、記者とのつながりを強みにしています。

自治体や大学の広報

市役所では広報誌の作成や住民への情報発信を担当し、大学では受験生向けの情報発信や研究成果の発表を担当します。会社とはまた別のやりがいがあります。

プレスリリースの書き方

プレスリリースは、記者に「これは記事にしたい」と思ってもらうための文書です。一番大事なのはタイトルで、何がどう新しいのかを1行で伝えます。続く最初の段落に、いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように、という要点をまとめます。そのあとに詳しい説明、商品の写真、開発者のコメント、会社の情報などを載せます。記者は毎日たくさんのリリースを受け取るので、最初の数行で興味を持ってもらえないと読まれません。

ニュースになる要素

記者がニュースだと感じやすいのは、日本初や業界初などの新しさ、季節や社会の話題とのつながり、数字で示せる意外性、人の思いが伝わるストーリーなどです。広報はこれらを意識してリリースを作ります。

誇張は逆効果

目立とうとして大げさに書くと、記者からの信頼を失います。正確な数字と事実にもとづいて書くことが、長く記者と付き合うための基本です。

危機管理広報の基本

危機管理広報で大切なのは、早く、正直に、一貫して伝えることです。何かが起きたとき、まず事実を確認し、分かっていることと分かっていないことを分けて発表します。お客さんや地域の人に何をしてほしいか、たとえば商品を使わないでほしい、といった行動もはっきり伝えます。記者会見では、責任者が自分の言葉で説明し、質問に誠実に答えることが求められます。隠したり、後から事実が次々に出てきたりすると、最初の問題よりも対応のまずさが大きく批判されます。

ふだんの準備がすべて

危機は突然起こるので、ふだんから連絡網、判断する人、発表の手順を決めておくことが重要です。多くの会社が、年に1回程度、模擬記者会見の訓練を行っています。

SNS時代の危機

今は、会社が発表する前にSNSで情報が広がることが多くなりました。ネットの動きを常に見守り、誤った情報が広がっていれば、正しい情報を素早く出すことが求められます。

よくある質問

広報と広告は何がちがうのですか

広告はお金を払ってテレビやネットの枠を買い、伝えたい内容をそのまま出します。広報は記者にニュースとして取り上げてもらう活動で、お金を払わない代わりに、記事の内容は記者が決めます。

広報になるにはどの学部がよいですか

決まった学部はありません。文学部、社会学部、法学部、経済学部などが多いですが、理系出身者が技術の広報で活躍することもあります。

新卒でいきなり広報になれますか

会社によってはなれますが、枠は多くありません。現場を経験してから異動する人が多いです。新卒から広報の仕事をしたいなら、PR会社に入るという方法もあります。

SNSが得意なら広報に向いていますか

SNSの感覚は大きな強みになります。ただし、会社の公式アカウントは個人とちがい、会社の信頼を背負っているので、表現に慎重さが必要です。

英語は必要ですか

国内向けの報道対応なら必須ではありません。ただし、海外の投資家とやりとりするIR広報や、外資系企業の広報では英語力が求められます。

記者会見で謝るのも広報の仕事ですか

謝罪をするのは社長や担当役員ですが、会見の準備、台本や想定問答の作成、当日の進行は広報が担当します。会社の信頼を守るためにとても大切な仕事です。

広報はAIに置き換えられますか

記事の集計やリリースの下書きなどはAIで効率化が進んでいます。一方で、記者との信頼関係や、危機のときの判断は人にしかできない部分が大きく、広報の役割はなくならないと考えられています。

PR会社はどんな会社ですか

お客さんの会社に代わって広報の計画を立て、メディアへの提案や発表会の運営を行う専門の会社です。いろいろな業界の仕事にかかわれるのが特徴です。

広報の仕事は残業が多いですか

普段は落ち着いていても、発表の前後や危機のときには急に忙しくなります。ニュースは時間を選ばないので、夜や休日に対応が必要になることもあります。

この分野のことば

年収について:厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)」の広報・PR担当の年収525.2万円(令和7年賃金構造基本統計調査をもとにした目安、平均年齢44.9歳)。IR広報担当は528.7万円(平均年齢44歳)。事務職全体の統計を加工した数字のため、大企業の広報部長などはこれより高くなります。PR会社のプラップジャパンの平均年間給与は約662万円(有価証券報告書、2025年度、平均年齢36.3歳)。

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