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「なんでも屋」ではなく、会社という家を丸ごと切り盛りする司令塔

総務

総務は、会社で働く人が仕事に集中できるように、職場の環境とルールと会議を整える職種です。たとえば、オフィスの机やパソコンの手配、建物の防災訓練、社員証や名刺の発行、健康診断の段取り、株主総会や取締役会の準備まで、ほかの部署が担当しない「会社全体のこと」をまとめて引き受けます。学校でいえば、校舎の管理をする事務室、行事を回す生徒会、校則を作る職員会議の事務局をひとつにしたような役割です。目立つ仕事ではありませんが、地震や感染症の流行のような非常時には、社員の安全を守る最前線に立ちます。

平均年収の目安約525万円約350万〜1,000万円(会社の規模と役職で差が大きい)
なるまでの難しさ★★★★★総務になるために必須の資格や学部はありません。多くは新卒で会社に入り、配属で総務部に来ます。ただし、会社法、労働安全衛生法、消防法など関係する法律が多く、株主総会のように1回の失敗が会社の信用に直結する仕事もあるため、一人前になるには幅広い知識と経験が必要です。入り口はやさしく、奥が深い職種です。
決めどき文系・理系どちらでも

大学3年の就活で「管理部門(コーポレート部門)」を志望するか、入社後の配属で決まることが多い

総務の中の、細かい担当

同じ総務でも、担当によって仕事はまったく違います。押すと、それぞれの仕事内容・必要な力・キャリアが見られます。

どんな会社にある?

総務はほぼすべての会社や団体にあります。メーカー、銀行、商社、IT企業、病院、学校法人、市役所まで、人が集まって働く場所には必ず「会社全体の面倒を見る人」が必要だからです。社員が数万人いる大企業では、ファシリティ(建物)担当、株主総会担当、防災・BCP担当、社内規程担当のように細かく分かれ、それぞれに専門家がいます。社員30人ほどの中小企業では、総務・人事・経理を2〜3人で兼ねることも多く、1人で給料計算から郵便物の仕分け、来客対応までこなします。

どの学部の人が多い?

総務に多い学部は法学部、経済学部、商学部、経営学部ですが、文学部や理系出身の人もたくさんいます。法学部で学ぶ会社法や民法は、株主総会、契約書、社内規程の仕事で直接役に立ちます。建物や設備を担当するファシリティマネジメントでは、建築学科や電気系の知識を持つ人が強みを発揮します。学部よりも、ていねいさ、段取り力、社内のいろいろな人と話せる力のほうが大切です。

総務の年収と昇進の流れ

担当者(スタッフ)350〜500万円
入社1〜5年、22〜27歳

庶務や担当業務を先輩の指示を受けながら進めます。担当分野を一人で回せるようになると、主任への昇格が見えてきます。

主任・係長450〜700万円
入社6〜12年、28〜35歳

担当分野の主担当として後輩を指導し、オフィス改装や総会運営などのプロジェクトを回します。大きなプロジェクトを成功させた実績が次の昇進につながります。

課長650〜1,000万円
35〜45歳

総務課全体の予算と人員を管理し、経営陣からの依頼に責任を持って対応します。部下の育成と、全社的な改善の実績が求められます。

部長900〜1,300万円
45〜55歳

総務部全体を率い、株主総会や危機管理の最終責任者になります。人事・経理・法務など他の管理部門との連携も担います。

管理本部長・執行役員1,200〜2,000万円
50歳以降

管理部門全体を統括し、経営会議のメンバーとして会社の方針づくりに加わります。取締役として経営そのものを担う人もいます。

年収は目安です。会社や地域、本人の働き方で大きく変わります。

働き方で何が違う?

会社の大きさで、総務の仕事はこう変わる 大企業の本社 担当が細かく分かれる ファシリティ 株主総会 防災 社内規程 年収の目安 30代 600万〜800万円 課長 900万〜1,200万円 よい点 専門性を深められる 大変な点 全体が見えにくい 中小企業 総務・人事・経理を 2〜3人で兼ねる 給料計算 郵便物 来客対応 年収の目安 300万〜550万円前後 よい点 幅広い経験・社長が近い 大変な点 一人の仕事量が多い 大きな会社は深く、小さな会社は広く
年収は目安です。ベンチャーや、総務を支える専門の会社で働く道もあります
大企業の本社総務30代で600万〜800万円、課長で900万〜1,200万円前後が目安

社員が数千〜数万人いる会社の本社では、総務の仕事が細かく分かれ、ファシリティ、株主総会、防災、規程などそれぞれの専門家がいます。一つの分野を深く経験でき、扱うお金や影響の大きさも桁ちがいです。数年ごとに異動があり、いろいろな担当を経験しながら昇進します。給料は会社全体の水準で決まるため、比較的高めです。

良いところ専門性を深められ、待遇も安定している

大変なところ担当が細かく分かれ、会社全体の動きが見えにくいことがある

中小企業の総務300万〜550万円前後が目安

社員が数十〜数百人の会社では、総務・人事・経理を少人数でまとめて担当することが多いです。給料計算から郵便物、来客対応まで、何でもこなすことになります。社長との距離が近く、自分の提案がすぐに実行されることもあります。

良いところ幅広い経験が積め、経営者の近くで働ける

大変なところ一人あたりの仕事量が多く、専門性を深めにくい

ベンチャー・上場準備中の会社400万〜900万円前後。ストックオプションがつくこともある

成長中のベンチャーでは、総務の仕組みがまだ整っていないことが多く、規程づくりやオフィス移転を一から行います。上場を目指す会社では、株主総会や取締役会の仕組みを整える仕事があり、管理部長として大きな責任を持ちます。

良いところ仕組みを一から作れる、上場の経験は市場価値が高い

大変なところ仕事の量と変化が激しく、安定性は大企業より低い

総務を支える専門の会社会社によって350万〜800万円前後

ビル管理会社、総務アウトソーシング会社、福利厚生サービス会社、オフィス移転を手がける会社などで、お客さんの会社の総務を支える仕事です。多くの会社の総務を見られるので、ノウハウがたまりやすいです。

良いところ専門性が身につき、多くの会社のやり方を学べる

大変なところお客さんの都合に合わせる必要があり、自分の会社の方針だけでは決められない

代表的な会社・職場

事業会社ビル管理会社信託銀行(証券代行)福利厚生サービスオフィス家具メーカーオフィス家具・文具メーカー地方自治体
上場企業の本社総務部事業会社

メーカー、商社、金融など大企業の本社で、株主総会やファシリティを担当します。総務の専門性がもっとも身につく職場です。

会社全体の平均年収に準じる
三井不動産ファシリティーズビル管理会社

三井不動産グループで、オフィスビルなどの設備管理や清掃、警備を行います。お客さんの会社のファシリティを支えます。

日本管財ビル管理会社

オフィスビル、病院、公共施設などの建物の管理を幅広く手がける会社です。

三菱UFJ信託銀行 証券代行部信託銀行(証券代行)

上場企業に代わって株主名簿を管理し、株主総会の招集通知の発送や議決権の集計を行います。

三井住友信託銀行 証券代行部信託銀行(証券代行)

株主総会の運営支援や株式の事務を、多くの上場企業から引き受けています。

ベネフィット・ワン福利厚生サービス

会社の代わりに福利厚生のサービスを用意し、社員がレジャーや健康サービスを割引で使えるようにしています。

リロクラブ福利厚生サービス

福利厚生の代行サービス「福利厚生倶楽部」を運営し、多くの会社の総務を支えています。

オカムラ ›オフィス家具メーカー

オフィスの机や椅子を作るだけでなく、働き方に合わせたオフィスのレイアウト提案も行います。

コクヨ ›オフィス家具・文具メーカー

文房具とオフィス家具を手がけ、オフィスづくりのコンサルティングも行っています。

市役所・県庁の総務課地方自治体

庁舎の管理、議会の準備、条例の管理など、会社の総務に近い仕事を公共の立場で行います。

›がついた会社は、会社図鑑で詳しく解説しています。

どうやって稼いでいる?

総務 商品を売らない「お金を使う側」 それでも、こうして会社の利益を支える コストを減らす 家賃・委託費・リース代を見直す 損をする危険を小さく 防災・保険・社内のルール 信頼を守る 株主総会・取締役会を法律どおりに 仕事をはかどらせる 働きやすいオフィスと仕組み 辞めにくい会社に 社宅や社員食堂などの福利厚生 直接は稼がないけれど 会社の利益に間接的に貢献
総務は、むだを減らし損を防ぐことで、会社の利益に貢献しています

総務は、商品を売ってお金を稼ぐ部署ではありません。会社のお金の流れの中では「コストを使う側」で、そのため「間接部門」「バックオフィス」とも呼ばれます。それでも総務が大切なのは、むだなコストを減らし、事故や不祥事で大きな損をする危険を小さくし、社員が本業に集中できる時間を増やすことで、会社の利益に間接的に貢献しているからです。たとえば、オフィスの面積を2割減らして年間数億円の家賃を節約すれば、その分だけ利益が増えます。株主総会をきちんと運営することは、株主からの信頼、つまり会社がお金を集めやすくなることにもつながります。

1
コスト削減(オフィス・備品・契約)

家賃、電気代、清掃や警備の委託費、コピー機のリース代などは、毎年かかる大きな費用です。総務が契約を見直して1割減らせば、そのまま会社の利益が増えます。

2
リスクを減らす(防災・保険・規程)

火事や地震、情報の持ち出しなどの事故は、会社に何億円もの損害を与えることがあります。総務は備えと保険とルールで、その損を小さくします。

3
信頼を守る(株主総会・取締役会)

法律どおりに会議を運営することで、株主や取引先からの信頼が保たれます。信頼される会社は、銀行からお金を借りやすく、株価も安定しやすくなります。

4
生産性を上げる(働く環境づくり)

快適なオフィスや使いやすい仕組みがあれば、社員一人ひとりの仕事がはかどります。社員1万人の会社で1日10分のむだが減れば、会社全体で大きな時間が生まれます。

5
人が辞めにくい会社をつくる(福利厚生)

社宅や社員食堂などの福利厚生は、社員の満足度を上げ、採用や定着に役立ちます。人を新しく採用して育てるには大きなお金がかかるので、辞める人が減ることは会社にとって得になります。

入ってからどうなっていく?

1〜3年目庶務で会社を知る郵便物、備品、来客対応、会議室管理などの庶務から始めます。社内のあらゆる部署とやりとりするので、誰が何をしているかを覚え、会社の全体像をつかむ時期です。
4〜7年目担当を持つファシリティ、株主総会、防災、規程などの担当を任されます。衛生管理者や簿記などの資格を取り、自分の担当分野の専門性を高めます。
8〜12年目主任・係長として現場をまとめる後輩を指導しながら、オフィス移転や総会運営などの大きなプロジェクトの中心になります。この時期に法務、人事、経営企画へ異動して経験の幅を広げる人もいます。
13〜20年目課長として総務課を率いる総務課全体の予算と人を管理し、経営陣からの急な依頼にも対応します。危機管理の責任者として、災害時に対策本部を動かす立場になることもあります。
20年目以降部長・管理本部長へ総務部長として人事・経理・法務などの管理部門全体を見る役割になり、取締役や執行役員になる人もいます。中小企業や上場準備中のベンチャーの管理部長として転職する道もよくあります。

本社オフィスを移転するまで

総務が、社外のいろいろな相手と進める 1 方針を決める 何人が働くか・広さ・予算 経営陣 2 物件を探す 家賃・交通の便・耐震性を比べる 不動産会社 3 契約する 賃料と期間を交渉する ビルのオーナー 4 レイアウト 座席・会議室・受付の配置 設計・内装会社 5 工事と準備 ネットワークや住所変更の届け出 引っ越し業者 6 引っ越し 翌日から問題なく働けるように 週末などに 社内外をつないで動かす、移転の司令塔
本社オフィスを移転する場合の例
1
方針を決める

経営陣と相談し、なぜ移転するのか、何人が働くのか、予算はいくらかを決めます。在宅勤務の割合なども考えて必要な広さを計算します。

2
物件を探す

不動産会社と一緒に候補のビルを見て回り、家賃、交通の便、耐震性などを比べます。

3
契約する

ビルのオーナーと賃料や期間を交渉し、賃貸借契約を結びます。今のビルの解約の連絡も期限までに行います。

4
レイアウトを設計する

設計会社や内装会社と、座席、会議室、受付などの配置を決めます。社員にアンケートをとり、意見を取り入れます。

5
工事と準備

内装工事を進めながら、電話やネットワーク、引っ越し業者、住所変更の届け出などを手配します。

6
引っ越しと立ち上げ

週末などに引っ越しを行い、翌日から問題なく働けるように確認します。移転後もしばらくは不具合の対応を続けます。

衛生管理者(第一種・第二種)

合格率第一種46.3%、第二種49.8%(令和6年度、学科試験)
勉強時間の目安働きながら2〜3か月ほど勉強して合格する人が多いです
受験資格大学・短大・高専を卒業して1年以上、高校卒業後3年以上など、労働衛生の実務経験が必要です
合格率は50%前後で、国家資格の中では取りやすい部類です。それでも科目ごとに4割以上、全体で6割以上の点が必要で、法律の細かい数字を覚える必要があります。第一種は有害業務も対象なので第二種より範囲が広く、製造業や建設業の職場では第一種が求められます。
試験科目(押すと中身が見られます)
合格までの流れ
  1. 受験資格の確認会社から実務経験の証明書をもらい、受験の申し込みをします。
  2. 学科試験全国の安全衛生技術センターで、マークシート形式の試験を受けます。
  3. 合格・免許申請合格したら免許を申請し、職場で衛生管理者として選ばれます。

総務のある1日

8:45

出社して、夜のうちに届いた社内外からのメールと、ビル管理会社からの報告を確認します

9:00

郵便物と宅配便を仕分けし、重要な書類を担当部署に届けます

10:00

6月の株主総会に向けて、招集通知の原稿を法務部と読み合わせます

11:30

来月の防災訓練について、ビルの管理会社と消防署への届け出を相談します

12:00

昼休みです。社員食堂の混み具合を見て、時間差で使う案を考えることもあります

13:00

オフィス改装の打ち合わせで、内装会社から出てきたレイアウト図面と見積もりを比べます

15:00

社員から「出張の日当のルールが分からない」という問い合わせに、規程を確認して答えます

16:00

取締役会の議題を各部署から集め、資料のそろい具合を確認します

17:30

翌日の来客と会議室の予約を確認し、退社します

もっと知りたい人へ

そもそも総務とは

総務は「総合的な事務」の略で、会社全体にかかわる仕事のうち、ほかの部署が担当しないものをまとめて引き受ける部署です。営業部は商品を売り、経理部はお金の記録をつけ、人事部は人を採用しますが、建物や会議やルールのように「全員にかかわるけれど誰の担当でもない仕事」が会社にはたくさんあります。総務はそれを一手に引き受けるので、「会社の何でも屋」と呼ばれることもあります。ただし実際には、会社法や労働安全衛生法など多くの法律を知っていないとできない専門的な仕事です。学校にたとえると、校舎の修理、避難訓練、全校集会の準備、校則の管理をすべて担当する係のようなものです。

総務部と管理部のちがい

大企業では総務部、人事部、経理部、法務部が別々にあります。中小企業やベンチャーでは、これらをまとめて「管理部」や「コーポレート本部」と呼ぶことが多いです。名前はちがっても、会社を内側から支える役割は同じです。

戦略総務という考え方

最近は、言われたことをこなすだけでなく、オフィスや仕組みを変えて会社を強くする「戦略総務」という考え方が広がっています。たとえば、社員どうしの会話が増えるようにオフィスの配置を変える、紙のハンコをなくして決裁を早くする、といった提案を総務から行います。

なるためのルート

総務は資格が必要な職種ではないため、ほとんどの人は会社に入ってから配属で総務部に来ます。新卒で総合職として入社し、最初の配属先が総務部というパターンと、営業や工場などの現場を数年経験してから総務部に異動するパターンがあります。会社によっては、新卒採用の段階で「管理部門コース」「コーポレートスタッフ職」として募集していることもあります。転職では、経験者が中小企業やベンチャーの総務責任者として迎えられることが多いです。

  1. 高校文系・理系どちらでもかまいません。生徒会や部活のマネージャーなど、みんなのために段取りをする経験が役に立ちます。
  2. 大学法学部、経済学部、商学部、経営学部が多いですが、学部は問われません。簿記やパソコンの資格を取っておくと、事務の基礎があることを示せます。
  3. 就職活動メーカーや金融など志望する業界の会社に総合職として応募し、面接で管理部門への関心を伝えます。管理部門コースがある会社なら、その枠で応募します。
  4. 入社・配属研修のあと、総務部に配属されるか、現場を数年経験してから異動します。
  5. 資格取得と専門化衛生管理者、防火管理者、簿記などの資格を取りながら、ファシリティや株主総会などの専門担当になります。
現場経験が強みになる理由

工場や支店で働いた経験がある人は、現場の困りごとが分かるので、使いやすいルールや設備を考えられます。そのため、大企業ではあえて現場を経験させてから総務に配属することがあります。

一般職と総合職

会社によっては、決められた範囲の事務を担当する一般職と、将来の管理職候補として異動しながら経験を積む総合職に分かれています。総務部にはどちらの人もいて、担当する仕事の範囲や転勤の有無が異なります。

試験・選考の詳細

総務になるための国家試験はありません。新卒の選考は、エントリーシート、適性検査、複数回の面接という、ほかの事務系総合職と同じ流れです。面接では「縁の下で人を支えた経験」や「複数の人の意見をまとめた経験」がよく聞かれます。入社後には、仕事に必要な資格を会社の費用で取らせることが多く、代表的なものが衛生管理者です。第一種衛生管理者の令和6年度の合格率は46.3%、第二種は49.8%で、しっかり勉強すれば取れる資格です。

衛生管理者が求められる理由

労働安全衛生法では、常時50人以上の労働者が働く事業場ごとに衛生管理者を選ぶことが義務になっています。そのため、総務部の社員が会社の指示で受験することがとても多いです。

転職のときに見られるもの

経験者の転職では、株主総会を何回運営したか、オフィス移転を何件担当したか、といった具体的な実績が重視されます。上場準備にかかわった経験は特に評価されます。

年収のリアル

総務の年収は、会社の規模と役職で大きく変わります。厚生労働省のjob tagでは、総務事務の年収の目安は525.2万円(令和7年、平均年齢44.9歳)、総務課長は966.8万円(平均年齢51.5歳)です。大企業の本社では、総務も営業と同じ給料表で決まるため、30代で700万円前後、課長で1,000万円前後になる例もあります。中小企業では、総務担当者の年収は300万〜450万円台のことも多いです。総務だから低い、ということはなく、勤めている会社の給料水準がそのまま反映されます。

残業は時期によって大きく変わる

普段は比較的定時で帰りやすい職種ですが、株主総会の前、オフィス移転の直前、決算期などは残業が増えます。災害が起きたときには休日でも出社して対応することがあります。

年収を上げる方法

管理職に昇進すること、株主総会やファシリティなど専門性の高い担当になること、上場準備中のベンチャーの管理部長として転職することなどが、年収を上げる代表的な道です。

やりがい

総務のやりがいは、会社で働く全員の役に立てることです。新しいオフィスに引っ越した日に社員から「働きやすくなった」と言われたり、株主総会が無事に終わって社長から声をかけられたりする瞬間は、大きな達成感があります。地震などの非常時に、準備していた安否確認や備蓄品が役に立ったときには、社員の命を守る仕事をしている実感があります。社長や役員と直接話す機会も多く、会社の経営が動く場面を近くで見られることも魅力です。

会社全体が見える

総務は全部署とやりとりするので、若いうちから会社全体の仕組みや人のつながりが分かります。この経験は、将来どの部署に行っても役に立ちます。

成果が形に残る

オフィス改装や新しいルールづくりは、完成すると目に見える形で残ります。自分が考えたレイアウトで何千人もが働く、という経験はほかの職種ではなかなか味わえません。

大変なこと・きついこと

総務の仕事は、うまくいって当たり前、失敗すると目立つという面があります。エアコンが効かない、会議室が足りないといった不満が直接届くこともあります。株主総会のように一日の本番に向けて何か月も準備する仕事は、締め切りのプレッシャーが大きいです。担当する範囲が広いため、急な依頼が次々と入り、自分の計画どおりに仕事が進まない日もあります。成果を数字で示しにくく、営業のように売上で評価されないため、自分から改善の実績を説明する工夫が必要です。

板ばさみになりやすい

経営陣は「コストを下げたい」、社員は「もっと快適にしてほしい」と考えることが多く、総務はその間で調整役になります。両方が納得できる案を探すのは簡単ではありません。

非常時の責任

地震や感染症の流行などが起きると、総務は真っ先に動きます。休みの日でも連絡が入ることがあり、責任の重さを感じる場面です。

向いている人

総務に向いているのは、人の役に立つことにやりがいを感じる人、細かいところに気がつく人、いくつもの仕事を同時に段取りよく進められる人です。文化祭の実行委員や部活のマネージャーのように、みんなが気持ちよく動けるよう裏で準備するのが好きな人には特に合っています。社長から新入社員まで、立場のちがう人と気さくに話せる力も大切です。一方で、自分が主役として目立ちたい人や、一つの専門だけを深く追いかけたい人には、物足りなく感じるかもしれません。

意外と必要な交渉力

ビルのオーナーや業者と家賃や料金を交渉する場面も多いため、言うべきことをはっきり言える人は活躍できます。

変化を楽しめる人

法律の改正、在宅勤務の広がり、新しいITサービスの登場など、総務の仕事は時代とともに変わります。新しいやり方を試すことを楽しめる人に向いています。

高校生のうちにできること

高校生のうちにできる準備は、行事の運営を経験することです。文化祭、体育祭、修学旅行の係などで、予算を考え、日程を組み、先生や業者とやりとりする経験は、総務の仕事そのものに近いものです。表計算ソフト(ExcelやGoogleスプレッドシート)で名簿や予算表を作る練習をしておくと、大学や社会人になってから役立ちます。また、ニュースで株主総会や企業の不祥事の記事を読むと、会社がどんなルールで動いているかが少しずつ分かってきます。

避難訓練を観察してみる

学校の避難訓練で、誰がどんな準備をしているかを観察してみましょう。避難経路の決め方、放送の内容、点呼の方法など、総務の防災担当が考えていることとほとんど同じです。

簿記に触れてみる

日商簿記3級は高校生でも受験でき、会社のお金の流れの基本が分かります。総務の固定資産管理や経理との連携で役立つ知識です。

代表的な会社・職場

総務はほぼすべての会社にあるため、「総務の会社」というものはありません。ただし、株主総会や本社ビルの管理など総務の専門性が高い仕事は、上場している大企業の本社に集中しています。また、総務の仕事の一部を引き受ける専門の会社もあり、ビルの管理を行う会社、株主総会の事務を行う信託銀行の証券代行部門、福利厚生サービスを提供する会社、オフィスの移転や内装を手がける会社などがあります。こうした会社で総務を支える側として働く道もあります。

総務アウトソーシング

最近は、受付、郵便、備品管理などを外部の会社に任せる「総務アウトソーシング」が広がっています。社内の総務は、外部の会社を管理しながら、企画や判断などの仕事に集中するようになっています。

公務員の総務課

市役所や県庁にも総務課があり、庁舎の管理、議会の準備、条例の管理などを担当します。会社の総務と似た仕事を、公共の立場で行います。

株主総会ができるまで

上場企業の総務にとって、株主総会は一年でいちばん大きな仕事です。3月決算の会社では、6月下旬に総会が集中します。総務は前の年の秋ごろから日程と会場を決め、決算が固まる4〜5月に招集通知を作り、株主に案内を届けます。並行して、株主から出そうな質問を予想し、社長や担当役員がどう答えるかを想定問答集にまとめます。本番の数日前には、本物と同じ会場で何度もリハーサルを行い、マイクの位置や質問者への対応まで確認します。

バーチャル株主総会

最近は、会場に来なくてもインターネットで総会を見たり、質問したりできるハイブリッド型の総会も増えています。総務は配信の仕組みや通信トラブルへの備えも考える必要があります。

株主からの質問

株主総会では、業績のことだけでなく、環境問題、女性の役員の数、配当の金額などさまざまな質問が出ます。最近は投資家が会社に提案をする株主提案も増え、総務の準備はより複雑になっています。

総務の仕事を変える新しい動き

総務の仕事は、この十数年で大きく変わってきています。紙の書類とハンコによる決裁を、電子契約や電子決裁に切り替える会社が増えました。在宅勤務が広がったことで、全員分の固定席をやめて自由に席を選ぶフリーアドレスにしたり、会議室を減らしてオンライン会議用の個室ブースを増やしたりする動きもあります。受付をタブレットで無人化したり、郵便物を外部の会社がスキャンして届けたりと、仕組みで仕事を減らす工夫が進んでいます。

働き方の変化とオフィス

オフィスは「全員が毎日来て作業する場所」から「集まって話し合う場所」へと役割が変わりつつあります。総務は、どんなオフィスなら社員が集まりたくなるかを考える立場になっています。

サステナビリティへの対応

省エネや再生可能エネルギーの導入、ごみの削減など、環境への取り組みも総務の担当になることが多いです。会社の二酸化炭素排出量を報告するための数字を集める仕事も増えています。

よくある質問

総務は誰でもできる簡単な仕事ですか

郵便物の仕分けなど入り口の仕事はだれでも始められますが、株主総会、建物の管理、防災などは法律の知識と経験が必要な専門的な仕事です。経験を積むほど頼られる職種です。

総務になるのに有利な学部はありますか

法学部、経済学部、商学部などの出身者が多いですが、どの学部からでもなれます。法学部で学ぶ会社法は株主総会や規程の仕事で役に立ちます。

総務は残業が少ないって本当ですか

普段は比較的定時で帰りやすい会社が多いですが、株主総会前やオフィス移転の時期には忙しくなります。災害時には休日でも対応することがあります。

総務の仕事はAIでなくなりませんか

備品の発注や問い合わせ対応など、決まった作業は自動化が進んでいます。一方で、オフィスづくりや非常時の判断、関係者の調整などは人が担う仕事として残り、むしろ重要になると考えられています。

総務から別の職種に移れますか

移れます。総務は会社全体を知る部署なので、人事、法務、経営企画などへ異動する人はたくさんいます。総務での経験は、管理職になってからも役立ちます。

中小企業の総務はどんな感じですか

人数が少ないので、総務・人事・経理をまとめて担当することが多いです。仕事の範囲は広いですが、そのぶん若いうちから経営者の近くで幅広い経験を積めます。

総務に資格は必要ですか

必須の資格はありませんが、衛生管理者、防火管理者、日商簿記などを会社の指示で取ることが多いです。持っていると仕事の幅が広がります。

女性が多い職種ですか

事務職全体では女性の割合が高めですが、総務部長や管理本部長には男女どちらもいます。性別よりも経験と専門性で評価される職種です。

総務でキャリアアップはできますか

できます。総務課長、総務部長、管理本部長と昇進し、取締役になる人もいます。上場を目指すベンチャーの管理部長として転職し、年収を上げる人もいます。

この分野のことば

年収について:厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)」の総務事務の年収525.2万円(令和7年賃金構造基本統計調査をもとにした目安、平均年齢44.9歳)。同じくjob tagの総務課長は966.8万円(平均年齢51.5歳)。事務職全体の統計を加工した数字のため、大企業の本社総務はこれより高く、中小企業では低めになる傾向があります。

数字はすべて公開データにもとづく目安です。出典は出典・サイトポリシーにまとめています。

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