ミライ図鑑ログイン
新しい薬が薬局に並ぶ前の「最後の関門」を支える人たちです

臨床開発・治験コーディネーター

新しい薬は、研究室で生まれたあと、実際に患者さんや健康な人に使ってもらい、効き目と安全性を確かめる「治験」を通らないと、国から薬として認められません。この治験を、製薬会社の側から計画し、病院と一緒に進めるのが臨床開発の仕事で、その中心がCRA(臨床開発モニター)です。一方、病院の側で、治験に参加する患者さんを支え、医師の仕事を手伝うのがCRC(治験コーディネーター)です。たとえば、新しい花粉症の薬や、がんの薬、子どもの予防接種のワクチンも、こうした人たちが関わった治験を経て使えるようになりました。どちらも必須の国家資格はありませんが、薬学、看護、臨床検査、生命科学などを学んだ人が多く働いています。

平均年収の目安約454万円CRC)/約529万円(CRACRCは約350万〜600万円、CRAは約450万〜900万円以上(製薬会社の開発職や管理職はさらに高い例もある)
なるまでの難しさ★★★★★入るために必須の国家資格はありませんが、薬や病気、体の仕組みについての知識と、治験のルール(GCP)を正確に守る力が求められます。CRCは看護師、薬剤師、臨床検査技師などの資格を持つ人が多く、CRAは薬学部や理系の大学院を出た人が多い仕事です。働きながら2〜3年で関連資格を目指すのが一般的です。
決めどき理系が中心

高校で理系(化学・生物)を選び、薬学部、看護学部、医療系の学部、農学部・理学部の生命科学系などへ。資格職から入るなら学部選びが大きな分かれ目

どんな職種がある?

押すと、その職種の仕事内容・必要な力・キャリアが見られます。

臨床開発・治験コーディネーターの年収と昇進の流れ

新人CRC・CRA350〜500万円
入社1〜2年、22〜28歳

研修でGCPと治験の流れを学び、先輩と一緒に病院を担当します。一人で治験を担当できるようになることが次の段階への条件です。

担当者(一人前)420〜600万円
入社3〜5年、25〜32歳

複数の治験や病院を一人で担当します。CRCは公認CRCなどの認定資格に挑戦し、CRAは難しい治験も任されます。

リーダー・シニア500〜750万円
入社6〜9年、30〜37歳

チームのリーダーとして後輩を指導し、治験全体の進み具合を管理します。国の職業情報サイトでは、CRAは7〜8年ほどでリーダーになることが多いとされています。

マネージャー・プロジェクトリーダー650〜1,000万円
35〜45歳

複数のチームや大きな治験を率います。製薬会社では、開発の計画づくりに関わるプロジェクトリーダーになる人もいます。

部長・開発責任者900〜1,500万円
45歳〜

臨床開発部門やCRO・SMOの事業全体を率います。どの薬の開発を優先するかなどの判断に関わります。人数は少なく、会社によって差があります。

年収は目安です。会社や地域、本人の働き方で大きく変わります。

働き方で何が違う?

製薬会社の臨床開発部門製薬会社の給与水準に沿い、CROより高めの傾向

武田薬品工業、第一三共などの製薬会社の社員として、自社の薬の治験を計画・実施します。CRAとして病院を担当するほか、経験を積むと開発の企画に関われます。新卒は薬学部や理系大学院の出身者が中心です。

良いところ自社の薬の開発に最初から最後まで関われ、待遇がよい

大変なところ採用人数が少なく、開発の中止や部署の再編の影響を受けることがある

CRO(開発業務受託機関)約450万〜800万円が目安

シミック、EPS、IQVIAなど、製薬会社から治験の仕事を請け負う会社です。さまざまな製薬会社の、さまざまな病気の治験を担当できます。新卒採用が多く、未経験からCRAを目指しやすいのが特徴です。

良いところいろいろな薬の治験を経験でき、研修制度が整っている

大変なところ担当する治験が終わると次の治験に移るため、環境が変わりやすい

SMO(治験施設支援機関)約350万〜600万円が目安

病院と契約し、CRCを派遣して治験を手伝う会社です。CRCとして働く人の多くがSMOに所属しています。看護師や薬剤師、臨床検査技師の資格を持つ人の転職先としても人気があります。

良いところ日勤中心で、患者さんと直接関われる

大変なところ給与は医療職として病院で働く場合と同じくらいか低めのこともある

病院(院内CRC・治験事務局)病院の給与体系による

大学病院や大きな病院の職員として、治験の部署で働きます。看護師や薬剤師が院内で異動して担当することが多いです。医師主導の臨床研究の支援にも関われます。

良いところ病院の職員として安定して働け、医療チームの一員として関われる

大変なところ異動で別の部署に戻ることもあり、治験の専門職として続けられるとは限らない

代表的な会社・職場

国内大手製薬外資系製薬CRO外資系CROSMO医療機関
武田薬品工業 ›国内大手製薬

日本最大の製薬会社で、世界中で治験を行い、新しい薬を開発しています。

有価証券報告書で公表
第一三共 ›国内大手製薬

がんの薬などの開発に力を入れ、国内外で多くの治験を行っています。

有価証券報告書で公表
アステラス製薬 ›国内大手製薬

泌尿器、がん、眼の病気などの薬を開発しています。

有価証券報告書で公表
中外製薬 ›国内大手製薬

抗体医薬などのバイオ医薬品に強い製薬会社です。

有価証券報告書で公表
ファイザー(日本法人) ›外資系製薬

世界最大級の製薬会社の日本法人で、国際共同治験を多く行っています。

非公表
シミックCRO

日本で最初のCROとして始まり、治験のモニタリングやデータ管理、医薬品の製造支援などを行っています。

有価証券報告書で公表(持株会社)
EPSCRO

国内の大手CROで、モニタリングや統計解析などを製薬会社から請け負っています。グループにSMOの会社もあります。

非公表
IQVIAサービシーズジャパン外資系CRO

世界最大級のCROの日本法人で、国際共同治験を多く担当しています。

非公表
パレクセル・インターナショナル(日本法人)外資系CRO

世界で治験を受託するCROの日本法人です。

非公表
日本SMO協会の加盟企業SMO

加盟23社で国内SMO市場の9割以上を占めるとされ、合わせて2,891人のCRCが働いています(2023年度のデータ)。

非公表
大学病院・国立病院機構の病院医療機関

治験管理室や臨床研究センターを置き、院内CRCや治験事務局の職員が働いています。

病院の給与規程による

›がついた会社は、会社図鑑で詳しく解説しています。

どうやって稼いでいる?

製薬会社 治験の費用を出す 受託料 治験費用 CRO 治験を請け負う会社 CRAが所属 病院 医師・患者さん 治験を引き受ける CRAが確認 SMO 病院を手伝う会社 CRCが所属 CRCを派遣 支援料 国(PMDA) 審査して承認 薬の価格も決める 承認された薬の売上が、次の開発費になる 4つの立場が分担して、1つの治験を進める
SMOの費用は、治験を依頼する製薬会社が病院を通じて負担するのが一般的です

新しい薬を開発するには、長い年月と莫大な費用がかかります。その費用を出すのは製薬会社で、薬が承認されて売れると、その売上で開発費を取り戻します。治験の仕事の多くは、製薬会社が自分で行うのではなく、CRO(開発業務受託機関)やSMO(治験施設支援機関)という専門の会社に任されます。CROは製薬会社からモニタリングなどを請け負い、SMOは病院から治験の手伝いを請け負います。病院も、治験を引き受けると製薬会社から費用を受け取ります。こうして、製薬会社、CRO、SMO、病院がそれぞれの役目を分担して、一つの治験を進めています。

1
製薬会社の薬の売上

承認された薬が病院や薬局で使われると、製薬会社に売上が入ります。その売上が、次の薬の研究開発や治験の費用になります。

2
CROの受託料

CROは製薬会社から、モニタリング、データ管理、統計解析などの業務を請け負い、その代金を受け取ります。日本CRO協会の会員29社の売上の合計は2,537億円(2023年)でした。

3
SMOの支援料

SMOは病院と契約し、CRCを派遣して治験の手伝いをします。費用は、治験の依頼者である製薬会社が病院を通じて負担するのが一般的です。日本SMO協会の加盟23社のSMO事業の売上の合計は約475億円(2023年度のデータ)です。

4
病院の治験費用

病院は治験を引き受けると、検査や事務、患者さんの来院ごとの費用などを製薬会社から受け取ります。参加した患者さんの交通費などの負担を軽くするお金も支払われます。

5
国の承認と薬の価格

薬はPMDAの審査を経て国が承認し、保険で使える薬は国が価格(薬価)を決めます。治験のデータが、承認と価格の両方の根拠になります。

入ってからどうなっていく?

大学(4〜6年)医療・生命科学の基礎を学ぶ薬学部(6年制または4年制)、看護学部、医療系学部、生命科学系の学部などで、体の仕組み、病気、薬の働きを学びます。薬剤師、看護師、臨床検査技師などの国家資格を取る人も多いです。
入社1〜2年目治験の基本を覚えるCROやSMO、製薬会社に入り、数か月の研修でGCPや治験の流れを学びます。その後、先輩について病院を担当し、実務を覚えます。看護師や薬剤師として数年働いてから転職する人もいます。
3〜5年目一人前の担当者一人で複数の治験や病院を担当できるようになります。CRCは日本SMO協会の公認CRCなどの資格に挑戦します。CRAは難しい病気の治験や国際共同治験を任されるようになります。
6〜10年目リーダーへチームをまとめるリーダーになり、後輩の指導や治験全体の進み具合の管理を担当します。CRCからCRAへ、CROから製薬会社へ転職する人が多い時期です。
30代後半〜40代専門性を広げる臨床開発の企画、品質管理、医薬品の安全性情報の管理、承認申請、メディカルアフェアーズなど、開発に関わるほかの専門職に進む人もいます。管理職として部門を率いる人もいます。
40代〜50代開発を率いる製薬会社の臨床開発部門の部長や、CRO・SMOの事業責任者などになります。外資系企業では、アジア地域全体の開発を担当する人もいます。

新しい薬が承認されるまで(治験の部分)

CRA(製薬会社・CRO) CRC(病院) 治験の計画 国に届け出る 病院に依頼 審査を受けて契約 病院の準備 院内の準備を進める 患者さんの参加 来院や検査を支える データの記録 症例報告書に入力 データの確認 カルテと照らし合わせ データの固定・解析 効き目と安全性を判定 承認申請 PMDAの審査を経て承認 CRCが病院で支え、CRAが外から確かめる
CRAはカルテと症例報告書を照らし合わせて、データが正しいかを確かめます
1
治験の計画

製薬会社が、どんな人に、どのくらいの期間、どんな方法で薬を使ってもらうかを計画書にまとめ、国に治験の届け出をします。

2
病院の準備

CRAが病院を選んで依頼し、病院の治験審査委員会で審査を受けて契約します。CRCが院内の準備を進めます。

3
患者さんの参加

条件に合う患者さんに説明し、同意を得て治験が始まります。CRCが来院や検査を支えます。

4
データの記録と確認

CRCが記録したデータを、CRAが病院を訪れてカルテと照らし合わせて確認します。

5
データの固定と解析

すべてのデータを点検して固定し、統計解析で薬の効き目と安全性を判定します。

6
承認申請と審査

製薬会社が結果をまとめて国に申請し、PMDAの審査を経て承認されると、薬として使えるようになります。

日本SMO協会 公認CRC(民間の認定資格。働くのに必須ではない)

合格率協会のホームページでは合格率の数字は公表されていない。在職中の公認CRCは1,592人(日本SMO協会データ2023)
勉強時間の目安CRCとして2年以上の実務経験を積んだうえで受験する。働きながら2〜3年で関連資格を目指すのが一般的
受験資格協会が定めるCRC導入教育研修を修了し、修了日から2年以上のCRCの実務経験があり、継続教育の基準を満たしていること
国家試験ではなく、すでに2年以上の実務経験がある人が受ける試験なので、日ごろの業務をきちんと理解していれば合格を目指せる内容とされています。ただし、GCPなどのルールは細かく、正確な知識が求められます。日本臨床薬理学会の認定CRCも、実務経験や研修の受講、症例の報告などが必要な資格です。どちらも、持っていると専門性の証明になり、職場での評価や転職で役立ちます。
試験科目(押すと中身が見られます)
合格までの流れ
  1. 導入教育研修の修了協会が定める研修を受け、修了証をもらいます。
  2. 実務経験CRCとして2年以上働きます。
  3. 公認CRC試験受験料を払って試験を受けます。
  4. 認定と更新合格すると公認証が発行されます。有効期間は5年で、更新試験に合格するか、研修でポイントを集めて更新します。

臨床開発・治験コーディネーターのある1日

8:30

(CRCの場合)担当する病院に出勤し、今日来院する治験の患者さんと検査の予定を確認します。

9:00

1人目の患者さんが来院。体調の変化を聞き取り、採血や心電図の検査に付き添います。

10:30

医師の診察に同席し、治験薬の効き目や副作用について医師が判断するのを手伝います。

11:30

次回の来院日を患者さんと相談し、治験薬の受け取りと飲み方の確認をします。

12:30

昼休み。午後の来院予定を見直します。

13:30

製薬会社のCRAが来院。カルテと報告書の確認に立ち会い、質問に答えます。

15:00

新しく始まる治験の説明会に参加し、医師や薬剤部と準備の段取りを相談します。

16:00

今日の診察と検査の結果を、症例報告書(EDC)に入力します。

17:30

SMOの事務所に報告を送り、仕事を終えます。CRAの場合は病院訪問のあと報告書を書き、出張で別の病院に移動することもあります。

もっと知りたい人へ

そもそも臨床開発・治験コーディネーターとは

薬が生まれるまでには、研究室で薬の候補を探す研究、動物などで安全性を調べる試験、そして人で確かめる治験という段階があります。治験の目的は、薬が本当に効くのか、どんな副作用があるのかを、科学的に正しい方法で確かめることです。臨床開発は、この治験を計画し、実行し、データをまとめて国の承認を目指す仕事全体を指します。治験コーディネーター(CRC)は、その中でも病院の現場で患者さんと医師を支える役割を担います。

治験と臨床試験のちがい

人で薬や治療法を試す研究を「臨床試験」と呼びます。その中でも、国に薬として承認してもらうためのデータを集める臨床試験を「治験」といいます。治験は法律(医薬品医療機器等法)とGCPというルールに従って、厳しく管理されて行われます。

治験の3つの段階

治験は、少数の健康な人などで安全性や体の中での薬の動きを調べる第I相、少数の患者さんで効き目と適切な量を調べる第II相、多くの患者さんで効き目と安全性を確かめる第III相の順に進みます。どこかの段階で十分な結果が出なければ、開発は中止されます。

CRCとCRAの関係

CRCは病院の側、CRAは製薬会社の側に立つ仕事です。CRCが病院で集めたデータを、CRAが確認しに来ます。立場は違いますが、どちらも「正しいデータで、患者さんの安全を守りながら薬を世に出す」という同じ目標に向かって協力しています。

なるためのルート

CRCは、看護師、薬剤師、臨床検査技師などの医療の資格を持つ人が多く、病院で数年働いてからSMOに転職したり、病院内で治験の部署に移ったりする人がたくさんいます。一方、SMOの中には、薬学部や生命科学系の学部を卒業した新卒を採用して育てる会社もあります。CRAは、薬学部や理系の学部・大学院を出て、製薬会社やCROに新卒で入るのが代表的な道です。国の職業情報サイトでも、CRAは薬学、医学、関連する理系の出身者が多いとされています。

  1. 高校で理系を選ぶ化学と生物を中心に学ぶと、薬学部や看護学部、生命科学系の学部の受験に対応できます。
  2. 医療・生命科学系の学部に進む薬学部、看護学部、医療系学部(臨床検査学科など)、農学部・理学部の生命科学系などで、体と薬の基礎を学びます。
  3. 資格を取る(任意)薬剤師、看護師、臨床検査技師などの国家資格を取ると、CRCやCRAとして評価されやすくなります。
  4. CRO・SMO・製薬会社・病院に就職新卒で入るか、医療の現場で経験を積んでから転職します。入社後に研修で治験の基礎を学びます。
  5. 実務を積んで認定資格を取るCRCは2年以上の実務経験のあと、日本SMO協会の公認CRCや日本臨床薬理学会の認定CRCを目指します。
  6. 専門性を広げるCRCからCRAへ、CRAから開発企画や安全性管理へと、経験に応じて仕事の幅を広げます。
医療資格から入るルート

看護師や薬剤師として病院や薬局で働いた経験は、CRCやCRAの仕事にそのまま役立ちます。患者さんの体調の変化に気づく力や、薬の知識があるからです。国の職業情報サイトでも、CRAの中途採用では薬剤師や看護師として数年の臨床経験がある人が多いとされています。

理系の学部・大学院から入るルート

薬剤師などの資格がなくても、農学部、理学部、工学部の生命科学系などで学んだ人は、CROや製薬会社のCRAとして採用されています。大学院(修士)で生命科学を研究した人も多いです。統計解析やデータマネジメントは、数学や情報系の出身者が活躍しています。

試験・選考の詳細

CRCにもCRAにも、働くために必須の国家資格はありません。就職の選考では、医療や薬の知識、コミュニケーションの力、正確に仕事をする姿勢が見られます。働き始めてから取る民間の認定資格として、CRC向けには日本SMO協会の公認CRCと日本臨床薬理学会の認定CRC、CRA向けにはCRA教育研修の修了認定などがあります。日本SMO協会の公認CRCは2005年から試験が行われていて、受験するにはCRCとしての2年以上の実務経験が必要です。

新卒採用の選考

CROや製薬会社の新卒採用では、エントリーシート、適性検査、複数回の面接が一般的です。「なぜ治験の仕事なのか」「大学で何を学び、研究したか」がよく聞かれます。全国の病院へ出張することが多い仕事なので、体力や移動への抵抗がないかも確認されます。

認定資格の更新

日本SMO協会の公認CRCの有効期間は5年で、更新するには継続教育の基準を満たして更新試験に合格するか、決められた研修会でポイントを集める必要があります。治験のルールは変わり続けるので、学び続けることが求められます。

年収のリアル

国の統計をもとにした平均年収は、治験コーディネーターが約454万円(平均37.6歳)、臨床開発モニターが約529万円(平均44歳)です(いずれも令和7年調査の目安)。CRCは看護師や薬剤師と同じくらいか、やや低めになることもありますが、夜勤がなく、土日が休みの職場が多いのが特徴です。CRAは、CROより製薬会社のほうが給与が高めの傾向があり、経験を積んで製薬会社の開発職に転職すると年収が大きく上がる例もあります。

働き方と給与のバランス

病院で働く看護師は夜勤手当で給与が上がることがありますが、CRCは日勤中心です。給与だけでなく、生活のリズムや休みの取りやすさで選ぶ人も多いです。

経験で変わるCRAの給与

CRAは経験年数が評価されやすい仕事で、がんや希少な病気などの難しい治験、国際共同治験の経験があると、転職のときに高く評価されます。英語ができると、さらに選べる仕事が広がります。

やりがい

自分が関わった治験の薬が承認されて、薬局や病院で使われるようになったとき、大きな達成感があります。治療法がなかった病気の患者さんに、新しい選択肢を届けることにつながります。CRCは、治験に参加した患者さんから「話を聞いてもらえて安心できた」と感謝されることも多く、一人ひとりの患者さんと長く関われることがやりがいになります。CRAは、全国の病院を回りながら、医療の最前線で働く医師たちと一緒に仕事ができます。

医療の進歩に関われる

医師や看護師のように直接治療をするわけではありませんが、治験がなければ新しい薬は生まれません。未来の患者さんのための仕事だと感じられることが、この仕事の大きな魅力です。

専門性が身につく

治験のルール、病気の知識、データの扱い方など、医療と科学の専門性が身につきます。その経験は、製薬業界のさまざまな仕事に生かせます。

大変なこと・きついこと

治験のルール(GCP)はとても厳しく、記録の一つひとつに正確さが求められます。小さなミスでもデータの信頼性が損なわれるため、確認作業に多くの時間を使います。CRCは、患者さんの来院日に合わせて動くため、予定が急に変わることもあります。CRAは、全国の病院への出張が多く、移動時間が長くなりがちです。また、治験の期限やスケジュールが厳しく、患者さんがなかなか集まらないときには大きなプレッシャーがかかります。

患者さんが集まらない

治験に参加できる人には細かい条件があり、条件に合う患者さんを見つけるのが難しいことがよくあります。予定の人数が集まらないと、治験全体が遅れてしまいます。

書類の量が多い

治験では、行ったことをすべて記録に残すことが求められます。同意書、報告書、問い合わせへの回答など、扱う書類の量はとても多いです。正確さと根気が必要です。

向いている人

医療や薬に興味があり、人の役に立ちたい気持ちが強い人に向いています。CRCは、患者さんの話をよく聞き、不安な気持ちに寄りそえる人が活躍しています。CRAは、全国を飛び回る行動力と、医師と対等に話し合える知識と説明力が求められます。どちらも、決められたルールをきちんと守り、細かい記録を正確に残せる几帳面さが大切です。

医療資格を持っていなくても大丈夫?

CRCもCRAも、資格がなくても働けます。ただ、看護師や薬剤師などの資格を持っている人が多く、知識の面で有利になることがあります。資格がない人は、入社後の研修と自分の勉強で知識を補っていきます。

人と話すのが好きな人に

CRCは患者さんや医師、看護師、薬剤師と、CRAは医師やCRC、社内のさまざまな部署と、毎日多くの人と話します。人と協力して物事を進めるのが好きな人に向いています。

高校生のうちにできること

化学と生物をしっかり学ぶことが、薬学部や医療系の学部に進むための土台になります。特に、体の仕組み(生物の恒常性や免疫)、化学の有機化合物の分野は、大学での学びに直結します。また、薬がどのように作られるのかを、製薬会社のホームページや、製薬業界が中高生向けに出している資料で調べてみるのもおすすめです。数学の確率や統計も、治験のデータを理解するときに役立ちます。

薬の説明書を読んでみる

家にある薬の箱に入っている説明書(添付文書)を読んでみると、効き目、飲み方、副作用、注意することが書かれています。これらはすべて治験などのデータをもとに書かれたものです。

オープンキャンパスで学部を比べる

薬学部、看護学部、臨床検査学科などのオープンキャンパスに参加して、どんな資格が取れ、卒業生がどこで働いているかを聞いてみましょう。治験の仕事に就いた卒業生がいる学部もあります。

代表的な会社・職場

主な職場は、製薬会社、CRO、SMO、病院の4つです。製薬会社には武田薬品工業、第一三共、アステラス製薬、中外製薬などの国内の大手や、ファイザー、ノバルティスなどの外資系の日本法人があります。CROには、シミック、EPS、IQVIAサービシーズジャパン、パレクセルなどがあります。SMOは日本SMO協会の加盟企業が国内市場の9割以上を占めるとされ、加盟23社で2,891人のCRCが働いています(2023年度のデータ)。病院では、大学病院や国立病院機構の病院などに治験の部署があります。

CROとSMOのちがい

CROは製薬会社の仕事を代わりに行う会社で、CRAが多く働いています。SMOは病院の仕事を手伝う会社で、CRCが多く働いています。名前が似ていますが、立場が逆なので注意しましょう。

外資系と国内企業

外資系の製薬会社やCROでは、世界中の国で同時に行う国際共同治験が多く、英語を使う機会が多いです。国内企業では、日本の病院との関係が深く、国内の治験を中心に担当することが多いです。

大学の学部・学科とのつながり

CRCで多いのは、看護学部(看護師)、薬学部(薬剤師)、医療系学部の臨床検査学科(臨床検査技師)の出身者です。国の職業情報サイトでも、CRCは大卒に加えて専門学校卒も多いとされていて、看護や臨床検査の専門学校から資格を取って働いてからCRCになる人もいます。CRAで多いのは、薬学部、そして農学部・理学部・工学部の生命科学系(生物学科、生命科学科、生物工学科など)の出身者です。データマネージャーや統計解析担当には、数学科、情報系の学科、医学部の公衆衛生学や疫学の大学院の出身者もいます。

薬学部の4年制と6年制

薬学部には、薬剤師の国家試験を受けられる6年制の学科と、研究者などを育てる4年制の学科があります。6年制で薬剤師の資格を取ってからCRAになる人も、4年制から大学院に進んでCRAになる人もいます。

生命科学系の学部からの道

農学部の応用生命科学科や理学部の生物学科などで学び、大学院の修士課程まで進んでからCROや製薬会社に入る人も多いです。実験やデータの扱いに慣れていることが評価されます。

臨床検査学科・看護学科からの道

臨床検査技師は、血液検査などの検査値を読むのが得意で、治験の検査データの管理に強みがあります。看護師は、患者さんの体調の変化に気づき、寄りそう力が評価されます。

大学院は必要?

CRCになるのに大学院は必要ありません。看護師や薬剤師などの資格と、病院での経験のほうが役立ちます。CRAは、学部卒でも採用されますが、国の職業情報サイトでは修士課程卒が多いとされていて、薬学部の4年制学科や生命科学系の学部から修士まで進んでCRAになる人が多いです。統計解析の仕事では、統計学や疫学の修士・博士を持つ人が多く働いています。

大学院で身につく力

大学院の研究では、論文を読み、実験を計画し、データをまとめて発表する経験を積みます。治験の計画書を読み解いたり、データの意味を考えたりするときに、この経験が生きます。

働きながら学ぶ道

治験の仕事を始めてから、社会人向けの大学院で臨床研究や公衆衛生を学ぶ人もいます。専門性を高めて、開発企画や統計の専門家を目指す人に選ばれています。

よくある質問

治験に参加するのは危なくないのですか?

治験は、動物などで安全性を確かめたうえで、国のルールに従って行われます。参加は本人の自由で、いつでもやめられます。CRCや医師が体調の変化を細かく確認し、安全を守る仕組みが整えられています。

看護師の資格がないとCRCになれませんか?

資格がなくてもなれます。薬学部や生命科学系の学部の卒業生を新卒で採用するSMOもあります。ただし、看護師や薬剤師、臨床検査技師の資格を持つ人が多いのは事実です。

CRAとMR(医薬情報担当者)はどう違いますか?

MRは、承認されて発売された薬の情報を医師に伝える仕事です。CRAは、発売前の薬の治験が正しく行われているかを確認する仕事です。どちらも製薬会社で病院の医師と関わりますが、役割は違います。

文系でもなれますか?

医療や薬の知識が必要なので、理系の学部の出身者が中心です。文系の出身でCROなどに入り、研修で学んで働いている人もいますが、高校で理系を選んで医療・生命科学系に進むのが最短です。

出張は多いですか?

CRAは担当する病院が全国に散らばっていることも多く、出張がよくあります。CRCは担当する病院に通うのが中心なので、CRAほど出張は多くありません。

英語は必要ですか?

外資系の製薬会社やCRO、国際共同治験では、英語の計画書や資料を読むことが多いです。CRCでも英語の資料を読む機会があります。英語ができると仕事の幅が広がります。

結婚や出産のあとも続けやすいですか?

CRCは日勤中心で土日休みの職場が多く、子育てと両立しながら働く人が多い仕事です。CRAも在宅勤務やリモートモニタリングが広がり、働き方の選択肢が増えています。

AIで仕事がなくなりませんか?

データの点検や書類づくりはAIやシステムで効率化が進んでいます。ただ、患者さんへの説明や体調の聞き取り、医師との話し合いなど、人にしかできない部分は残ります。新しい道具を使いこなす力がより大切になります。

この分野のことば

年収について:厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)」の治験コーディネーターの平均年収454.2万円(平均37.6歳)、臨床開発モニターの平均年収528.7万円(平均44歳)。いずれも令和7年賃金構造基本統計調査をもとにした目安で、近い職業もまとめて集計されています。勤め先が製薬会社か、CRO・SMOか、病院かで差があります。

数字はすべて公開データにもとづく目安です。出典は出典・サイトポリシーにまとめています。

ほかの仕事も見てみる