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図面1枚で何万個もの製品の形が決まる

設計・生産技術

設計・生産技術は、メーカーで「製品の形と仕組みを決める」設計と、「その製品を工場でどう作るかを決める」生産技術をまとめた職種です。設計には、部品の形や動きを考える機械設計、電気の通り道を考える電気回路設計、機械を動かすプログラムを考える制御設計などがあります。生産技術は、工場の生産ラインの機械やロボットの配置、作る順番、作業の手順を考えて、同じ品質の製品を速く安く大量に作れるようにする仕事です。たとえば、自転車のギアの形、スマホの中の基板の配線、ペットボトル飲料を1分間に何百本も詰める工場の機械は、すべて設計と生産技術の担当者が考えています。厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)では、令和7年度の機械設計技術者の有効求人倍率は3.14倍で、人手が足りていない職種の一つです。

平均年収の目安約660万〜700万円20代で約400万〜500万円、40代以降で700万〜1,000万円前後(会社の規模で差が大きい)
なるまでの難しさ★★★★★理系の大学・高専で機械、電気電子、情報などを学んでいれば、学部卒・高専卒でも採用の入口が広い職種です。大手メーカーの設計職は修士修了者も多く人気がありますが、研究職ほど大学院が前提ではありません。人手不足のため、中堅・中小メーカーや設計を専門に請け負う会社でも採用が多いです。
決めどき理系が中心

高1〜高2の文理選択、高専や工業高校への進学時、大学3年の就職活動

設計・生産技術の中の、細かい担当

同じ設計・生産技術でも、担当によって仕事はまったく違います。押すと、それぞれの仕事内容・必要な力・キャリアが見られます。

設計・生産技術の業界マップ

エンジニアを社員として雇い、メーカーなどで設計・開発をする「技術者派遣」の会社です。日本の会社と、外資系の会社に分かれます。

となりの業界

押すと、会社図鑑でその会社のくわしい解説が見られます。

どんな会社にある?

設計・生産技術の職種は、自動車、電機、機械、化学、半導体、食品など、ものを作るほぼすべてのメーカーにあります。大企業では、機械設計、電気設計、制御設計、生産技術などの部署が細かく分かれ、それぞれの専門家として働きます。中小企業では、一人の技術者が設計から工場の立ち上げまで幅広く担当することも多いです。メーカーのほかに、設計を請け負う会社、技術者を派遣する会社、工場の生産ラインを作る設備メーカー、プラントをつくるエンジニアリング会社でも設計・生産技術の技術者が働いています。

どの学部の人が多い?

設計・生産技術は、大学や高専で学んだ学科がそのまま仕事の土台になる職種です。機械設計や生産技術には機械工学科、電気回路設計には電気電子工学科、制御設計には制御工学や情報工学、プロセスエンジニアには化学工学や応用化学の出身者が多いです。工業高校や高専で機械科・電気科を学んだ人も、早くから設計や生産技術の現場で活躍しています。物理学科や数学科の出身者が、シミュレーションや制御の担当になることもあります。文系出身で設計・生産技術に就く例はほとんどありませんが、生産管理など工場のお金や計画を扱う仕事では文系出身者もいます。

設計・生産技術の年収と昇進の流れ

設計担当・生産技術担当380〜520万円
入社1〜3年(22〜27歳)

部品の設計や既存ラインの改善を、先輩の指導のもとで担当します。一人で図面を仕上げられるようになると次の段階に進みます。

主任・ユニットリーダー520〜700万円
入社4〜9年(27〜33歳)

部品のまとまりや新しいラインの一部を任されます。試作から量産までをやり切った実績が評価されます。

設計リーダー・係長650〜850万円
入社10〜14年(32〜38歳)

製品全体の設計や工場のライン計画をまとめます。後輩の図面を確認する立場になります。

課長800〜1,000万円
38〜45歳

設計課や生産技術課をまとめ、予算や人の配置を管理します。部署全体の成果が評価されます。

部長・工場長950〜1,300万円
45〜55歳

開発部門や工場全体の運営に責任を持ちます。会社の生産の計画にも関わります。

技術担当役員1,300〜2,500万円
50代〜

会社全体のものづくりの方針を決める役員です。大手では技術出身の社長も多くいます。

年収は目安です。会社や地域、本人の働き方で大きく変わります。

働き方で何が違う?

大手メーカー会社全体の平均年収が900万〜1,000万円前後の会社もあります(有価証券報告書)。

自動車や電機の大手メーカーは、設計者・生産技術者が何千人もいて、部署が細かく分かれています。最新の設備やシミュレーションの環境がそろい、大きな製品の一部を専門的に担当します。研修制度も充実していて、海外工場で働く機会もあります。

良いところ設備や研修が整い、大きなプロジェクトに関われます。

大変なところ担当が細かく分かれ、製品全体を見渡しにくいことがあります。

中堅・中小メーカー大手より低めのことが多いですが、会社によって差があります。

特定の部品や機械で強みを持つ中堅・中小メーカーでは、少人数で設計から生産まで幅広く担当します。お客さんの要望を直接聞いて、専用の機械を一から設計することもあります。

良いところ早いうちから製品全体を任され、幅広い経験が積めます。

大変なところ設備や人手が大手より少なく、一人の負担が大きくなることがあります。

設計受託・技術者派遣の会社メイテックグループホールディングスの単体平均は600万円(2023年3月期)です。

メーカーから設計の仕事を請け負ったり、技術者を派遣したりする会社です。いろいろなメーカーの製品に関われ、未経験者向けの研修を持つ会社もあります。

良いところさまざまな製品や業界を経験できます。

大変なところ製品の企画など上流の仕事はメーカーの社員が担当することが多いです。

設備メーカー・エンジニアリング会社会社によって差があります。

工場の生産ラインやロボット、化学プラントなどを作る会社です。ほかのメーカーの「作り方」そのものを設計します。

良いところいろいろな業界の工場づくりに関われます。

大変なところお客さんの工場での据え付けや調整で、出張が多くなることがあります。

代表的な会社・職場

完成車メーカー自動車部品メーカー総合電機計測・制御機器二輪車・輸送機器産業用ロボット・工作機械技術者派遣
トヨタ自動車 ›完成車メーカー

自動車の設計と、トヨタ生産方式で知られる生産技術で世界的なメーカーです。

単体平均1,006万円(2026年3月期)
本田技研工業(ホンダ) ›完成車メーカー

自動車、二輪車、航空機エンジンなどを設計・生産しています。

単体平均933万円(2026年3月期)
デンソー ›自動車部品メーカー

自動車の電子部品やエンジン・電動化の部品を設計・生産しています。

単体平均915万円(2026年3月期)
日立製作所 ›総合電機

鉄道車両、発電設備、産業機械など大型の製品も設計・生産しています。

単体平均995万円(2026年3月期)
三菱電機 ›総合電機

エアコン、エレベーター、工場の制御機器(FA機器)などを設計・生産しています。

単体平均913万円(2026年3月期)
パナソニック ›総合電機

家電や電池、住宅設備などを設計・生産しています。

単体平均988万円(2026年3月期)
キーエンス ›計測・制御機器

工場で使うセンサーや測定器を設計し、工場の自動化を支えています。

単体平均2,178万円(2026年3月期)
ヤマハ発動機 ›二輪車・輸送機器

オートバイ、船のエンジン、工場で使うロボットなどを設計・生産しています。

単体平均835万円(2025年12月期)
ファナック・安川電機など産業用ロボット・工作機械

ほかのメーカーの工場で使われるロボットや制御装置を設計・生産しています。

会社ごとに有価証券報告書で開示
メイテックグループホールディングス技術者派遣

自動車や電機などのメーカーに、設計・開発の技術者を派遣しています。

単体平均600万円(2023年3月期)

›がついた会社は、会社図鑑で詳しく解説しています。

どうやって稼いでいる?

製品のコストの多くは、設計で決まる1個あたり10円安く年に100万個利益が1,000万円×=利益につながる4つの工夫製品の売上売れる製品を設計原価を下げる部品や材料を見直す生産性アップ作れる数を増やす不良品を減らすむだと返品を減らす図面と工場の工夫が、利益に直結する
大量に作る製品ほど、1個あたりのわずかな削減が大きな利益になります

設計・生産技術は、製品の値段と品質の大部分を決める職種です。製品のコストの多くは設計の段階で決まると言われ、どんな材料を使い、何個の部品で作るかによって、作るのにかかるお金が大きく変わります。生産技術は、その製品を工場で作るときの時間や人手、不良品の数を減らして、会社の利益を増やします。たとえば、1個あたり10円安く作れるようになれば、年に100万個売れる製品では1,000万円の利益が増えます。設計や生産技術の工夫は、売上と利益の両方に直結します。

1
製品の売上

設計した製品が売れることで、会社にお金が入ります。使いやすく、壊れにくい製品を設計することが、売上を伸ばすことにつながります。

2
原価の削減

部品の数を減らしたり、安い材料に変えたりして、1個あたりの作る費用(原価)を下げます。大量に作る製品ほど、わずかな削減が大きな利益になります。

3
生産性の向上

生産ラインを工夫して、1時間に作れる数を増やしたり、作業する人の手間を減らしたりします。同じ工場でより多く作れれば、利益が増えます。

4
不良品の削減

作った製品の中の不良品を減らすと、材料や時間のむだがなくなります。お客さんからの返品や修理の費用も減ります。

5
設計の受託料・派遣料

設計を請け負う会社や技術者派遣の会社は、メーカーから設計の作業料や技術者の派遣料を受け取ります。技術者の時間と技術そのものが商品になります。

入ってからどうなっていく?

高専・大学・大学院専門の基礎を学ぶ機械、電気電子、制御、化学工学などの学科で、力学や回路、製図、プログラミングを学びます。学生フォーミュラやロボットコンテストなどのものづくり活動の経験も、設計職の選考で評価されます。
入社1〜3年目部品の設計・ラインの改善先輩の指導を受けながら、小さな部品の設計や、既存の生産ラインの改善を担当します。工場の現場で実際の作り方を学ぶ研修がある会社も多いです。
4〜9年目ユニット・新ラインの担当いくつかの部品のまとまりや、新製品の生産ラインの一部を任されます。試作から量産までを一通り経験し、海外工場の立ち上げに関わる人もいます。
30代後半〜40代設計リーダー・課長製品全体の設計や、工場全体のラインの計画をまとめます。部下の図面を確認し、他部署や取引先との調整を担います。
40代〜50代部長・工場長・専門職開発部門や生産技術部門全体を率いたり、工場長として工場の運営に責任を持ったりします。特定の技術の専門家として、社内外で頼られる人もいます。
転職・独立のパターン他メーカー・設備メーカー・独立同じ業界の他メーカーや、自動車部品、半導体、設備メーカーに転職する人が多いです。経験を積んでから、設計事務所を開いたり、フリーランスの設計者として独立したりする人もいます。

新しい電動自転車が工場で作られるまで

設計(形と仕組みを決める)1目標を決める距離・重さ・値段を決める2構想設計モーターや電池の置き場所3詳細設計部品の形・回路・プログラム4試作と評価走らせて強度や安全性を試験生産技術(作り方を決める)5ライン準備組み立ての配置と手順6量産試作品質と速さは目標どおりか7量産・改善不良を減らし時間を短く直す設計が形を決め、生産技術が作り方を決める
試作で問題があれば設計を直し、量産のあとも改善を続けます
1
目標を決める

企画部門と一緒に、どれくらいの距離を走れて、重さはどれくらいで、いくらで売るかを決めます。

2
構想設計

モーターや電池をどこに置くか、全体の形と仕組みの大まかな案を作ります。

3
詳細設計

機械・電気・制御の設計者が、部品の形や回路、プログラムを細かく決めて図面にします。

4
試作と評価

試作車を作って走らせ、強度や電池の持ち、安全性を試験し、問題があれば設計を直します。

5
生産ラインの準備

生産技術の担当者が、組み立てラインのレイアウトや作業手順を決め、設備を工場に入れます。

6
量産試作

実際のラインで少しずつ作り、品質と作る速さが目標どおりかを確かめます。

7
量産開始・改善

本格的に生産を始めます。そのあとも不良を減らし、作る時間を短くする改善を続けます。

技術士(機械部門・電気電子部門など。関係する国家資格・必須ではない)

合格率令和7年度 機械部門 第一次試験27.6%・第二次試験16.2%、電気電子部門 第一次試験33.1%・第二次試験10.1%
勉強時間の目安第一次試験は大学の専門科目の復習を中心に数か月〜1年、第二次試験は実務経験を積んだあと1年以上かけて準備する人が多いです
受験資格第一次試験は誰でも受験できます。第二次試験は、第一次試験の合格などのあと一定年数の実務経験が必要です
第一次試験は大学で学んだ内容が中心で、在学中に合格する学生もいます。第二次試験は実務での経験を論文で示す必要があり、合格率は機械部門で16.2%、電気電子部門で10.1%(令和7年度)です。設計の仕事に必須ではありませんが、技術者としての実力の証明になり、取引先からの信頼にもつながります。工場の電気設備を扱う場合は、電験三種(令和7年度の合格率は上期12.9%、下期13.1%)も役立つ資格です。
試験科目(押すと中身が見られます)
合格までの流れ
  1. 第一次試験マークシートで3科目を受験し、合格すると修習技術者になれます。
  2. 実務経験設計や生産技術などの実務を一定年数積みます。
  3. 第二次試験筆記試験(論文)と口頭試験を受けます。
  4. 登録合格後に登録すると、技術士を名乗れます。

設計・生産技術のある1日

8:30

出社して、メールと試作部品の到着予定を確認します。

9:00

チームの朝会で、設計の進み具合と今日の試験の予定を共有します。

9:30

3D-CADで新しい部品の形を設計します。強度のシミュレーションも同時に進めます。

12:00

昼休み。工場の食堂で現場の人と話すと、作りにくいところの情報が入ってきます。

13:00

試作品を試験室で動かし、耐久試験のデータを取ります。

14:30

部品メーカーの担当者とオンラインで打ち合わせをして、加工方法と値段を相談します。

15:30

工場の生産技術の担当者と設計審査(デザインレビュー)を行い、作りやすさを確認します。

16:30

審査で出た意見をもとに図面を修正します。

17:30

設計変更の内容を書類にまとめ、関係部署に連絡して退社します。

もっと知りたい人へ

そもそも設計・生産技術とは

設計は、製品の形や仕組みを決めて図面にする仕事です。生産技術は、その図面の製品を工場でどう作るかを決める仕事です。たとえば、新しい掃除機を作るとき、モーターの大きさ、ゴミをためる箱の形、電気の回路を決めるのが設計で、その掃除機を工場で1日に何千台も同じ品質で組み立てられるように、ラインや作業手順を整えるのが生産技術です。どちらも、アイデアを実際の「もの」にするための仕事です。

研究・開発とのちがい

研究・開発は新しい技術や商品の種を生み出す仕事で、設計は決まった目標に合わせて製品を具体的な形にする仕事です。会社によっては「開発設計」と呼び、研究・開発と設計を同じ部署で行うこともあります。研究・開発より、製品が発売される時期に近い段階を担当します。

設計と生産技術の関係

設計がどれだけすばらしくても、工場で作れなければ製品になりません。そのため、設計の段階から生産技術の担当者が加わって、作りやすい形を一緒に考えます。設計と生産技術の両方を経験する人も多いです。

なるためのルート

設計・生産技術の職種に就くには、大学の工学部、高専、工業高校などで機械、電気電子、情報、化学などを学び、メーカーに技術職として入社するのが一般的です。大手メーカーでは学部卒と修士修了の両方を採用しています。高専卒や工業高校卒で入社して、現場で経験を積みながら設計者になる人もいます。

  1. 高校で理系を選ぶ、または高専・工業高校に進む数学と物理が特に大切です。中学卒業時に高専や工業高校に進む道もあります。
  2. 工学部などで専門を学ぶ機械工学、電気電子工学、情報工学、化学工学などの学科で、力学や回路、製図を学びます。
  3. 研究室やものづくり活動を経験する卒業研究や、学生フォーミュラ、ロボコンなどで、実際に設計して作る経験を積みます。
  4. メーカーの技術職に応募学校推薦や自由応募で応募し、技術面接で学んだことや作ったものについて話します。
  5. 配属・研修工場での実習やCADの研修を受けてから、設計部門や生産技術部門に配属されます。
高専という選択肢

高専(高等専門学校)は、中学卒業後に5年間、機械や電気などの専門を学ぶ学校です。卒業生はメーカーの技術職として求人が多く、設計や生産技術の現場で活躍しています。さらに専攻科や大学に編入して学びを深める人もいます。

未経験から設計者をめざす

設計の受託や技術者派遣の会社には、入社後にCADなどを学ぶ研修を用意しているところもあります。大学で別の分野を学んだ人が、このような会社から設計者になる例もあります。

試験・選考の詳細

設計・生産技術の職種に就くために必須の国家資格はありません。選考では、大学や高専で学んだ専門の内容、研究室での研究、ものづくりの経験が重視されます。技術面接では、自分が設計したものや研究の中身について、工夫したところや苦労したところを具体的に聞かれます。

関係のある資格

機械設計技術者試験やCAD利用技術者試験は、設計の知識やCADの技術を示せる民間の試験です。工場の電気設備を扱うなら電験三種(第三種電気主任技術者)が役に立ち、令和7年度の合格率は上期12.9%、下期13.1%でした。国家資格の技術士は、実務経験を積んだあとに取る技術者の上位資格です。

面接で見られるところ

設計職の面接では、手を動かしてものを作った経験があるかどうかがよく聞かれます。授業の課題でも、部活動でも、自分で考えて形にした経験を具体的に話せると強みになります。

年収のリアル

job tagに掲載された令和7年賃金構造基本統計調査では、機械設計技術者の年収は約659万円、電気技術者は約703.9万円、生産・品質管理技術者は約703.9万円です。平均年齢はどれも42歳前後です。設計・生産技術の年収は、職種よりも勤める会社の規模や業界で大きく変わります。自動車や電機、化学の大手メーカーでは、会社全体の平均年収が900万円を超えるところもあります。

会社の規模による違い

大手メーカーの設計者は、会社全体の給料体系に沿って年収が決まり、30代で700万円前後、管理職で900万円以上になる会社もあります。中小メーカーや設計の受託会社では、これより低めになることが多いです。

人手不足と年収

機械設計技術者の有効求人倍率は令和7年度で3.14倍と高く、技術者が足りていません。経験を積んだ設計者や生産技術者は、転職で年収を上げやすい職種とされています。

やりがい

設計・生産技術のいちばんのやりがいは、自分が図面に描いたものが実際の製品になり、多くの人に使われることです。たとえば、自分が設計した部品が入った車が街を走っているのを見たとき、自分が立ち上げた生産ラインから毎日何千個もの製品が出荷されるのを見たときの達成感は大きいと言われます。

工夫が数字で見える

設計で部品の数を減らしたり、ラインの改善で作る時間を短くしたりすると、その効果がコストや生産数の数字ではっきりわかります。自分の工夫が会社の利益に直接つながる実感が持てます。

世界で活躍できる

日本のメーカーは海外にも多くの工場を持っています。生産技術の担当者は、海外工場の立ち上げで現地の人と一緒に働くことも多く、世界を舞台に仕事ができます。

大変なこと・きついこと

設計は、性能、値段、重さ、大きさ、作りやすさなど、たがいにぶつかり合う条件をすべて満たさなければならない仕事です。軽くすれば弱くなり、丈夫にすれば高くなる、という中で最適な答えを探します。発売日や量産開始日という締め切りがあり、試作で問題が見つかると、短い期間で設計を直す必要があります。

不具合が起きたときの責任

発売後に製品の不具合が見つかると、設計の担当者は原因を急いで調べ、対策を考えなければなりません。リコールにつながるような大きな問題では、何か月も対応に追われることもあります。

生産技術の現場の忙しさ

新しい生産ラインの立ち上げの時期は、工場に泊まり込むほど忙しくなることもあります。ラインが止まると生産に大きな影響が出るため、トラブルがあれば夜間や休日に呼ばれることもあります。

向いている人

設計・生産技術に向いているのは、ものの仕組みに興味があり、「どうすればもっと良くなるか」を考えるのが好きな人です。頭の中で立体的な形を思い浮かべるのが得意な人は、設計に向いています。生産技術は、現場をよく観察して小さなむだに気づける人、工場の人たちと協力して物事を進められる人に向いています。

こんな高校生は向いているかも

プラモデルやレゴを作るのが好きだった人、家電や自転車を分解して中を見てみたくなる人、文化祭の準備で効率のよい作り方を考えるのが得意な人は、設計・生産技術に向いているかもしれません。

チームで働く力も大事

一つの製品には、機械、電気、ソフトウェア、生産技術、品質保証など、たくさんの部署が関わります。自分の担当だけでなく、他の人の考えも聞いて全体の最適を考えられる人が、設計・生産技術で活躍します。

高校生のうちにできること

設計・生産技術をめざすなら、数学と物理をしっかり勉強することが大切です。機械設計で使う力学や、電気回路設計で使う電磁気は、高校の物理がそのまま土台になります。図形やベクトル、微分積分も、大学での設計の勉強に欠かせません。

ものづくりを体験する

ロボットコンテストや、ものづくりの部活動に参加すると、設計して作って試すという流れを体験できます。最近は無料で使える3D-CADソフトもあり、家で立体を描いてみることもできます。

工場見学に行く

自動車や食品などの工場見学に行くと、生産ラインでロボットが動く様子や、人がどんな手順で作業しているかを見られます。生産技術の仕事を具体的にイメージする助けになります。

代表的な会社・職場

設計・生産技術の職種が多いのは、自動車、自動車部品、電機、機械、化学・素材、半導体のメーカーです。トヨタ自動車やホンダのような完成車メーカー、デンソーのような自動車部品メーカー、日立製作所や三菱電機のような電機メーカーには、何千人もの設計者・生産技術者が働いています。設計を請け負う会社や技術者派遣の会社、工場の設備を作る会社も大きな職場です。

工作機械・ロボットのメーカー

ファナックや安川電機、DMG森精機などは、工場で使うロボットや工作機械を作るメーカーです。ここでは、ほかのメーカーの生産ラインで使われる機械そのものを設計します。

技術者派遣・設計受託の会社

メイテックなどの技術者派遣の会社は、自動車や電機のメーカーに設計者を送り出しています。いろいろなメーカーの製品に関わりたい人の選択肢になります。

機械・電気・制御の設計のちがい

製品の設計は、機械、電気、制御(ソフトウェア)の3つの分野が組み合わさってできています。たとえばロボット掃除機なら、車輪やブラシ、本体の形を決めるのが機械設計、電池やモーターに電気を送る回路を決めるのが電気回路設計、部屋の形を覚えて効率よく掃除する動きを決めるのが制御設計です。3つの分野の設計者が協力して、一つの製品を作り上げます。

メカトロニクス

機械(メカニクス)と電子(エレクトロニクス)を組み合わせた技術をメカトロニクスと呼びます。今の製品の多くはメカトロニクスでできており、複数の分野がわかる設計者が求められています。

どの学科がどの設計に近いか

機械工学科は機械設計、電気電子工学科は電気回路設計、情報工学科や制御工学の研究室は制御設計に進む人が多いです。ただし入社後に別の分野を学び、複数の分野を担当できるようになる人もいます。

ものづくりのデジタル化

設計・生産技術の仕事は、デジタル技術で大きく変わっています。3D-CADで描いた形をそのまま使って、コンピューターの中で強度や動きを確かめるシミュレーションが当たり前になりました。工場では、機械にセンサーを付けて動きをデータで見える化し、故障の予兆をつかんだり、AIで不良品を見分けたりする取り組みが進んでいます。

デジタルツイン

工場や製品を、コンピューターの中にそっくりそのまま再現する技術をデジタルツインと呼びます。実際に工場を作る前に、コンピューターの中でラインを動かしてみて問題を見つけることができます。

3Dプリンターでの試作

3Dプリンターを使うと、設計した部品をその日のうちに形にして確かめることができます。試作にかかる時間とお金が大きく減り、設計のスピードが上がっています。

よくある質問

設計の仕事には絵のうまさが必要ですか?

今の設計はCADというソフトで描くので、手で絵を上手に描く力はあまり必要ありません。それよりも、頭の中で立体を思い浮かべる力や、力学などの知識が大切です。

設計職と生産技術職はどちらが人気ですか?

一般的には、製品の形を決める設計職のほうが志望者が多い傾向があります。ただ、生産技術は工場全体を動かすダイナミックな仕事で、海外で働く機会も多く、やりがいを感じる人も多い職種です。

高専卒でも設計者になれますか?

なれます。高専卒はメーカーの技術職として求人が多く、設計や生産技術の部署で活躍している人がたくさんいます。

女性の設計者はいますか?

機械系の学科は男子学生が多いため、設計者も男性が多いのが現状です。ただ、メーカーは女性技術者を増やそうとしており、設計や生産技術の部署で働く女性も増えています。

文系から設計の仕事に就くことはできますか?

力学や回路などの理系の知識が必要なため、文系出身で設計者になるのは難しいです。ただし、技術者派遣の会社などで、入社後の研修で基礎から学んで設計者になる例もあります。

設計の仕事はAIにうばわれませんか?

AIが形の候補を出したり、図面のチェックを手伝ったりする技術は進んでいます。一方で、どんな製品を作るか、どの条件を優先するかを決めるのは人の仕事で、AIを道具として使いこなせる設計者の需要は高いと考えられています。

工場に勤めるのは大変ですか?

生産技術の担当者は工場で働くことが多く、工場は地方にあることも多いです。工場の現場は安全のルールが厳しく、作業着で働きます。一方で、自分の考えたラインが目の前で動く様子を見られるのは大きな魅力です。

海外で働くことはありますか?

日本のメーカーは海外に多くの工場を持っているため、生産技術の担当者は海外工場の立ち上げや指導のために出張や赴任をすることがよくあります。英語や現地の言葉を学んでおくと役に立ちます。

設計の仕事に役立つ高校の科目は何ですか?

いちばん大事なのは物理と数学です。力学は機械設計、電磁気は電気回路設計の土台になります。英語も、海外の部品の資料を読んだり海外工場とやりとりしたりするときに役立ちます。

この分野のことば

年収について:job tag掲載の令和7年賃金構造基本統計調査では、機械設計技術者の年収は約659万円(平均42.3歳)、電気技術者は約703.9万円(平均42.1歳)、生産・品質管理技術者は約703.9万円(平均42.1歳)です。大手メーカーは会社全体の給料体系に沿ってこれより高い場合が多く、目安として見てください。

数字はすべて公開データにもとづく目安です。出典は出典・サイトポリシーにまとめています。

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