ミライ図鑑ログイン
バス問題をどう解く?

総合政策学部・総合科学(文理融合)

問題から始めて、必要な学問を自分で集める

総合政策学部や総合科学部は、文系と理系の枠をこえて学ぶ「文理融合」の学部です。代表的なのは慶應義塾大学の総合政策学部で、1990年に湘南藤沢キャンパス(SFC)に環境情報学部と一緒にできました。テクノロジー、サイエンス、デザイン、ポリシー(政策)を組み合わせ、社会の課題を解決することを目指しています。たとえば「地方のバスが減って、お年寄りが買い物に行けない」という問題に対して、交通政策(法律・行政)、利用者のデータ分析(統計)、予約アプリの開発(情報技術)、地域の人への聞き取り(社会学)を組み合わせて解決策を考えます。中央大学の総合政策学部、関西学院大学の総合政策学部、広島大学の総合科学部など、同じような考え方の学部がほかの大学にもあります。

よくある勘違い

「総合」だから、いろいろ少しずつかじるだけの学部

実は

実は、解きたい社会の問題を先に決め、そのために必要な政策、プログラミング、データ分析、デザインなどを組み合わせて深く学ぶ学部です。

どんな学科・専攻がある?

総合政策学部・総合科学(文理融合)ではどんな授業がある?

たとえば地方のバスが減ってお年寄りが買い物に行けない交通政策法律・行政授業:公共政策データ分析利用者を統計で授業:データサイエンス予約アプリ情報技術で作る授業:プログラミング聞き取り調査地域の人に聞く授業:社会調査組み合わせて、解決策を考える1つの問題に、文系と理系の授業を自分で集めて組み合わせる
授業の名前や組み合わせ方は大学によって違います

押すと、その授業の中身が見られます。

実習・実験・研究

総合政策学部や文理融合の学部では、プロジェクト型の学びが中心です。慶應義塾大学のSFCでは、研究会(ゼミ)に1年生から参加でき、学年にとらわれずに科目を取ることができます。研究会では、たとえば地方自治体と協力して観光アプリを作る、災害時の避難のデータを分析する、海外の都市の交通を調べるなど、実際の社会の課題に取り組みます。卒業プロジェクト(卒業論文や作品)も必修です。自分でテーマを決めて動く必要があるため、受け身でいると何も身につかないという厳しさがあります。

研究会(プロジェクト型ゼミ)1年生から参加できる少人数の研究グループです。先生と学生が一緒に、社会の課題に取り組むプロジェクトを進めます。
卒業プロジェクト4年生で、自分で決めたテーマの研究や作品をまとめます。論文だけでなく、アプリや政策提言などの形もあります。
フィールドワーク地域、企業、海外などに出かけて調査します。4学期制の大学では、学期の区切りを使って長めのフィールドワークや留学に行きやすくなっています。
プログラミング・データ分析の演習パソコンを使って実際にプログラムを書いたり、データを分析したりする授業です。毎週の課題で手を動かして身につけます。
政策提案コンテスト自治体や企業が出した課題に対して、学生が政策や事業のアイデアを提案する活動です。授業の一部として参加することもあります。

大学生活の流れ

1年外国語、情報処理、データサイエンスなどの基礎を学びます。慶應義塾大学のSFCでは、1年生から研究会に参加することもできます。自分が取り組みたい課題を探す時期です。
2年政策、経済、法律、情報、環境など、関心のある分野の科目を積み上げます。研究会に入り、プロジェクトに関わる人が増えます。
3年研究会での活動が中心になり、自分のテーマで調査や開発を進めます。留学やインターンシップに行く人も多い時期です。
4年卒業プロジェクトに取り組みながら就職活動を進めます。在学中に起業する人や、大学院に進む人もいます。
大学院慶應義塾大学の政策・メディア研究科など、学部と同じように分野をまたいで研究できる大学院があります。研究者や政策の専門家、起業家を目指す人が進みます。

取れる資格・免許

教員免許(中学社会・高校公民・情報など)大学によっては、教職課程で社会や情報の教員免許を取ることができます。高校の「情報」の先生を目指す人もいます。
基本情報技術者試験IT系の国家試験です。プログラミングやコンピュータの基礎を学ぶ授業と内容が重なり、IT企業を目指す人が取ることがあります。
統計検定データ分析の力を測る民間の検定です。データサイエンスの授業と相性がよいです。
社会調査士大学によっては、指定の科目を取ることで社会調査士を申請できます。アンケートやデータ分析の基礎ができる証明になります。
公務員試験資格ではありませんが、政策を学ぶ学部なので公務員を目指す人もいます。試験科目の法律や経済は、授業とは別に対策が必要です。

総合政策学部・総合科学(文理融合)の卒業後の進路

卒業後は、とても幅広い業界へとくに目立つ総合政策学部文理融合IT・通信エンジニア・企画コンサル課題を分析し提案総合商社事業や投資メーカー商品の企画金融金融サービス企画マスコミ・広告デジタルの企画公務員など政策・シンクタンク起業研究会から会社に情報とデータの力でIT・コンサルが目立ち在学中や卒業後に起業する人もいる

総合政策学部や文理融合の学部の卒業生は、IT、コンサルティング、商社、メーカー、金融、マスコミ、公務員など、とても幅広い業界に進みます。情報技術とデータ分析を学ぶので、IT業界やコンサルティング業界に進む人が目立ちます。在学中や卒業後に会社を立ち上げる(起業する)人がいるのも特徴です。政策を学んだ人は、国や自治体の公務員、シンクタンクに進むこともあります。

IT・通信 ›エンジニア、企画、営業、データ分析などで働きます。プログラミングの経験がある人は、エンジニアとして採用されることもあります。コンサルティング ›会社や役所の課題を分析し、解決策を提案する仕事です。分野をまたいで考える力が生きます。総合商社 ›世界で事業や投資を行う会社です。新しいビジネスを考える力や語学力が生きます。メーカー ›商品の企画、マーケティング、研究開発の支援などで働きます。金融 ›銀行、証券、保険などで、データ分析や新しい金融サービスの企画などに関わります。マスコミ・広告 ›テレビ局、新聞社、広告会社などです。デジタルの企画やデータを使った報道に関わる人もいます。公務員・シンクタンク ›国や自治体で政策を作る仕事、シンクタンクで政策を研究する仕事です。
起業在学中や卒業後に、自分で会社を立ち上げる人がいます。研究会で取り組んだプロジェクトが会社になることもあります。

もっと知りたい人へ

総合政策学部と政治経済学部・社会科学部のちがい

どれも社会の問題を学びますが、学び方がちがいます。政治経済学部は、政治学と経済学という伝統的な学問を深く学ぶ学部です。社会科学部は、法学、政治学、経済学、社会学など社会科学の分野を横断して学ぶ学部です。総合政策学部は、それらに加えて、プログラミングやデータサイエンス、デザインなど理系の道具も使い、具体的な課題の解決を目指すのが特徴です。たとえば「駅前の放置自転車」を考えるとき、政治経済学部では条例や費用負担を、社会科学部では法律や経済や住民意識を、総合政策学部ではそれに加えて、駐輪場の空きを知らせるアプリや、データによる駐輪場の最適な配置まで考えます。

環境情報学部とのちがい

慶應義塾大学SFCの環境情報学部は、情報技術、デザイン、環境、生命科学など理系寄りの分野が中心です。総合政策学部は政策や社会の分野が中心ですが、授業の多くは共通です。

総合科学部とのちがい

総合科学部は、人文科学、社会科学、自然科学を幅広く学ぶ学部です。政策づくりよりも、文系と理系をまたいだ幅広い学問そのものに重点を置くことが多いです。

教養学部とのちがい

教養学部は、リベラルアーツとして幅広い分野を学ぶ学部です。総合政策学部は、政策や課題解決という目的がはっきりしている点がちがいます。

文理融合とはどういうことか

文理融合とは、文系の学問と理系の学問を組み合わせて考えることです。今の社会の問題は、文系だけ、理系だけでは解決できないものが増えています。たとえば、スマホの位置情報データを使って観光客の動きを分析する場合、データを扱う技術(理系)と、観光政策や地域の事情の理解(文系)の両方が必要です。また、AI(人工知能)を社会でどう使うかを考えるときも、技術の知識と、法律やルール、倫理の考え方の両方が求められます。

文系出身でも大丈夫?

多くの文理融合の学部では、文系出身の学生にもプログラミングや統計を基礎から教えています。最初は大変ですが、続けるうちに身につきます。

理系出身の強み

数学や情報が得意な人は、データ分析やシステム開発で力を発揮しやすいです。政策や社会の授業を通して、技術をどう社会に生かすかを考える力が身につきます。

慶應義塾大学SFCの特徴

慶應義塾大学の総合政策学部と環境情報学部は、1990年に湘南藤沢キャンパス(SFC)にできました。開設当初から外国語と情報処理を二つの柱にし、1997年にはデータサイエンスを必修にしました。2014年からのカリキュラムでは、学年にとらわれずに科目を取ることができ、研究会(ゼミ)には1年生から参加できます。4学期制にも対応していて、留学やフィールドワークに行きやすくなっています。大学の役割を「未来を創る大学」とし、学生を「未来からの留学生」と考える理念を掲げています。

キャンパスの場所

SFCは神奈川県藤沢市にあります。都心からは少し離れているので、通学時間も考えて選ぶとよいでしょう。

入試の特徴

一般選抜のほか、総合型選抜(AO入試)にも力を入れてきた学部です。自分がやりたいことや、これまでの活動を詳しく書類にまとめる必要があります。

向いている人

解決したい社会の問題がある人、あるいは一つの学問にしぼらず、いろいろな方法を試したい人に向いています。たとえば、「地元の商店街を元気にしたい」「災害で困る人を減らしたい」といった思いがある人です。自分で目標を決めて動ける人、新しいことに挑戦するのが好きな人に合っています。文系か理系かで迷っている人にとっても、両方の学びを続けられる学部です。

自分で動ける人

授業の選び方も研究のテーマも自由なので、自分から行動できる人ほど多くを得られます。

ものを作るのが好きな人

プログラミングやデザインの授業では、アプリやウェブサイト、試作品を作ります。作ることが好きな人は楽しめます。

高校生のうちに(文理・受験科目)

総合政策学部は、文系からも理系からも受けられる学部が多いです。慶應義塾大学の総合政策学部のように、一般選抜で国語や地歴を使わず、外国語や数学などから選んで受ける形の大学もあります。入試の方式は年度で変わるので、必ず最新の入試要項を確認してください。高校では、数学、とくに数学I・Aの「データの分析」や「確率」を理解しておくと、入学後のデータサイエンスで役立ちます。高校の「情報」の授業でプログラミングにふれておくのもよい準備になります。

探究活動を大切に

総合型選抜では、高校での探究活動やボランティア、コンテストへの参加などが評価されることがあります。自分が取り組んだことを、きちんと説明できるようにしておきましょう。

小論文の練習

小論文を課す大学も多いです。社会の問題について、自分の意見と根拠を書く練習をしておくと役立ちます。

よくあるギャップ

「自由に好きなことを学べる」と思って入学したものの、自由すぎて何をすればよいかわからなくなる人がいます。また、文系として入学した人が、プログラミングや統計の授業で苦労することもよくあります。逆に、理系として入学した人が、政策や社会の授業の抽象的な議論にとまどうこともあります。一方で、学年や分野をこえて仲間とプロジェクトを進める経験は、多くの学生が大学生活で一番の収穫として挙げます。

専門性の示し方

就職活動では「何でもやった」より「この課題に、この方法で取り組んだ」と話せることが大切です。研究会での活動を具体的に語れるようにしておきましょう。

通学の負担

郊外のキャンパスにある大学も多いので、通学時間や一人暮らしの費用も考えておくと安心です。

よくある質問

文系と理系、どちらで受験すればいいですか?

総合政策学部は文系からも理系からも受けられることが多いです。得意な科目で受験し、入学後に苦手な分野を補えば大丈夫です。

プログラミングの経験がなくても大丈夫ですか?

大丈夫です。多くの学生が入学後に初めてプログラミングを学びます。基礎から教える授業が用意されています。

総合政策学部と政治経済学部はどうちがいますか?

政治経済学部は政治学と経済学を深く学ぶ学部です。総合政策学部は、政策を考えるために、法律、経済、政治に加えて、データサイエンスやプログラミング、デザインなども組み合わせて学びます。

「広く浅く」になりませんか?

自分でテーマを決めずに授業を取ると、そうなりやすいのは事実です。研究会などで一つの課題に深く取り組めば、専門性を身につけることができます。

就職先にはどんな特徴がありますか?

IT、コンサルティング、商社、メーカー、金融、マスコミ、公務員など幅広いです。データやITの力を生かしてIT業界やコンサルティング業界に進む人が目立ち、起業する人もいます。

総合政策学部で公務員になれますか?

なれます。政策を学ぶので公務員の仕事と内容は近いです。ただし、公務員試験の法律や経済の科目は、授業とは別に対策が必要になることが多いです。

環境情報学部と総合政策学部はどう選べばいいですか?

慶應義塾大学SFCでは、両学部の授業の多くが共通です。政策や社会の分野に関心が強いなら総合政策学部、情報技術やデザイン、環境科学に関心が強いなら環境情報学部が向いています。

起業したい人に向いていますか?

プロジェクト型の学びが多く、在学中に起業する人もいるので、起業に関心がある人には刺激の多い環境です。ただし、学部に入れば起業できるわけではなく、自分で行動することが大切です。

この分野のことば

数字はすべて公開データにもとづく目安です。出典は出典・サイトポリシーにまとめています。

この学部に通うといくらかかる?国公立・私立・学部ごとの学費の総額を見る

ほかの学部も見てみる