ミライ図鑑ログイン
スポーツ選手のケガだけじゃない、「歩く」「食べる」「働く」をもう一度取り戻すリハビリのプロ

理学療法士・作業療法士

理学療法士(PT)と作業療法士(OT)は、病気やケガ、障害、年をとることで体や心の働きが弱くなった人に、リハビリテーションを行う国家資格の仕事です。理学療法士は、起き上がる、立つ、歩くといった体の基本的な動きを取り戻す専門家です。作業療法士は、食事、着がえ、料理、仕事、趣味など、その人らしい生活の動作を取り戻す専門家で、心の病気の人の支援も行います。どちらも3年制以上の養成校(大学・短大・専門学校)で学び、国家試験に合格するとなれます。2025年12月末で理学療法士は約23.6万人、作業療法士は約12.4万人が資格を持っています。

平均年収の目安約444万円理学療法士・作業療法士などリハビリ職全体の平均の目安20代前半で約350万円前後から、年齢とともに上がり50代後半で約600万円前後
なるまでの難しさ★★★★★国家試験の合格率は新卒者で9割以上(2026年実施の第61回は理学療法士94.9%、作業療法士96.6%)と高めです。ただし、養成校の授業と長い臨床実習をやりとげる必要があり、途中で留年や退学をする学生もいます。大学の入試の難しさは学校によって大きくちがいます。
決めどき理系が中心

高校2〜3年の進路選択のとき(文系からでも入れる学校があります)

どんな職種がある?

理学療法士PT体の基本の動きを取り戻す専門家起き上がる立つ歩く約23.6万人作業療法士OT生活の動作を取り戻す専門家食事・着がえ料理・仕事・趣味心の病気の支援約12.4万人資格を持つ人の数(2025年12月末)おもな働く場所病院PT・OT介護・訪問PT・OTスポーツおもにPT精神科OTどちらも国家資格。3年制以上の養成校で学ぶ
こどもの発達を支える小児分野で働く人もいます

押すと、その職種の仕事内容・必要な力・キャリアが見られます。

理学療法士・作業療法士の年収と昇進の流れ

養成校の学生万円
3〜4年間、18〜22歳

基礎医学、評価と治療の技術を学び、800時間以上の臨床実習を行います。国家試験に合格することが次に進む条件です。

新人療法士300〜400万円
1〜3年目、21〜25歳

担当患者さんを持ち、評価と治療を一人で行えるようにします。協会の新人教育プログラムを修了し、一人で患者さんを任されるようになると次の段階です。

中堅療法士350〜450万円
4〜7年目、25〜30歳

難しい患者さんや後輩の指導を担当し、得意分野を深めます。認定資格を取ると評価や手当につながる職場があります。

主任・係長420〜550万円
8〜15年目、30〜38歳

リハビリ部門のチームをまとめ、勤務表作りや新人教育を担当します。管理の力が評価されると科長への道が開けます。

科長・部長500〜700万円
15年目以降、40代〜

数十人規模のリハビリ部門の責任者として、人員配置や部門の収支、病院の経営会議への参加を担います。

施設長・経営者・教員550〜900万円
40代〜60代

介護施設の施設長、訪問看護ステーションの経営者、養成校の教授などとして、組織や次の世代を支えます。経営者の収入は事業の成否で大きく変わります。

年収は目安です。会社や地域、本人の働き方で大きく変わります。

働き方で何が違う?

病院勤務(急性期・回復期)年収350万〜550万円程度が多い(統計や求人からの目安)

理学療法士・作業療法士の最も多い働き方です。急性期病院では手術直後の患者さんを、回復期リハビリテーション病棟では家に帰るためのリハビリを集中的に担当します。たくさんの患者さんを担当するので、短い期間で経験を積めます。医師や看護師などとチームで働く力も身につきます。

良いところ症例が多く、教育体制が整った職場が多いです。キャリアの基礎を作れます。

大変なところ1日の単位数の目標や書類が多く、忙しいです。給料の伸びは緩やかです。

介護施設・訪問リハビリ病院と同じかやや高めの求人もある

介護老人保健施設やデイケア、利用者の自宅でリハビリを行います。患者さんの実際の生活の場で関われるので、生活に直結した支援ができます。訪問リハビリは一人で判断する場面が多く、病院で経験を積んでから移る人が多いです。

良いところ生活の場で支援でき、利用者や家族と深く関われます。件数に応じた手当で収入が増える職場もあります。

大変なところ一人で判断する責任があります。移動が多く、天候の影響を受けます。

クリニック・スポーツ分野病院とほぼ同じ水準の例が多い

整形外科のクリニックやスポーツ医学の施設で、ケガや痛みのある人、スポーツ選手のリハビリを行います。外来の患者さんが中心で、若い人や働いている人も多く来ます。

良いところスポーツや運動器の専門性を高められます。夜勤がなく、外来中心で働けます。

大変なところ人気が高く、プロチームの専属などは狭き門です。夕方以降の診療が多い職場もあります。

独立・起業事業の成否で大きく変わる

訪問看護ステーションやデイサービスの開設、保険を使わない健康づくり事業などで独立します。病気の治療として理学療法を行うには医師の指示が必要なので、法律のルールを守った事業設計が欠かせません。

良いところ自分の理想のサービスを作れ、成功すれば高い収入が得られます。

大変なところ経営の知識が必要で、利用者が集まらなければ赤字になります。

代表的な会社・職場

急性期病院回復期病院介護施設在宅医療介護サービス外来クリニック精神科小児分野教育機関行政
急性期の総合病院・大学病院急性期病院

手術直後や発症直後の患者さんのリハビリを担当します。

病院の給料表による
回復期リハビリテーション病院回復期病院

家に帰るためのリハビリを集中して行い、多くの療法士が働いています。

病院の給料表による
介護老人保健施設介護施設

入所者が家に帰れるよう、リハビリと介護を提供する施設です。

施設の規程による
訪問看護ステーション在宅医療

看護師と療法士が利用者の自宅を訪問してケアやリハビリを行います。

事業所の規程による
通所リハビリ(デイケア)介護サービス

日帰りで通う高齢者にリハビリを提供します。

事業所の規程による
整形外科クリニック外来クリニック

ケガや腰痛、スポーツ障害の人のリハビリを外来で行います。

クリニックの規程による
精神科病院精神科

作業療法士が病棟やデイケアで心の病気の人の回復を支えます。

病院の給料表による
こども病院・療育センター小児分野

障害のある子どもの発達を支えるリハビリを行います。

施設の規程による
養成校(大学・専門学校)教育機関

経験を積んだ療法士が教員として学生を教えます。

学校の規程による
市区町村(地域リハビリ・介護予防)行政

介護予防教室や地域のリハビリの仕組みづくりに関わります。

公務員の給料表による

どうやって稼いでいる?

患者さん窓口で1〜3割保険残りを支払う病院・施設のリハビリ部門値段は国が決めている病院では、20分のリハビリ = 1単位20分20分20分1単位1日に何単位行えるかが、部門の収入にリハビリのお金は、3つの道から医療保険病院・クリニック診療報酬介護保険介護施設・訪問介護報酬保険なし健康教室・スポーツ自費国が決めた値段で、保険からお金が入る
1単位あたりの点数は、病気の種類や病院の体制で決まります。一人が行える単位数には上限があります

理学療法士・作業療法士のリハビリは、多くが医療保険か介護保険を使って行われます。病院のリハビリは医療保険の「診療報酬」、介護施設や訪問のリハビリは介護保険の「介護報酬」で、どちらも国が値段を決めています。たとえば病院では、リハビリを20分行うと「1単位」と数え、病気の種類や病院の体制によって1単位あたりの点数が決まっています。つまり、理学療法士・作業療法士が1日に何単位のリハビリを行えるかが、病院のリハビリ部門の収入に直結します。患者さんは窓口で1〜3割を払い、残りは保険から病院に支払われます。

1
医療保険のリハビリ(診療報酬)

病院やクリニックで行うリハビリです。脳血管疾患、運動器、呼吸器、心大血管などの種類ごとに、20分を1単位として点数が決まっています。一人の療法士が行える単位数には上限があります。

2
介護保険のリハビリ(介護報酬)

介護老人保健施設、通所リハビリ、訪問リハビリなどで行うリハビリです。利用者は原則1〜3割を負担し、残りは介護保険から支払われます。

3
訪問看護ステーションからの訪問

訪問看護ステーションに所属する理学療法士・作業療法士が、利用者の家に行ってリハビリを行う形です。医療保険と介護保険の両方の場合があります。

4
障害福祉サービス

障害のある子どもや大人が使う福祉サービスの中で、リハビリ職が働くこともあります。たとえば、児童発達支援や放課後等デイサービスは、国の障害福祉サービスの報酬で運営されています。

5
自費サービス・企業の売上

保険を使わない健康づくりの教室、スポーツ選手のコンディショニング、企業の健康づくり支援などです。値段は自由に決められますが、利用者に選んでもらえる質が必要です。

入ってからどうなっていく?

養成校1〜3年(または4年)養成校で学ぶ解剖学、生理学、運動学などの基礎医学から始め、病気の知識、評価の方法、治療技術を学びます。最終学年を中心に、病院や施設で合計20単位(理学療法)・22単位(作業療法)以上の臨床実習を行います。
1〜3年目(21〜25歳ごろ)新人療法士病院などに就職し、先輩の指導を受けながら担当患者さんを持ちます。協会の新人教育プログラムを受け、評価と治療の基本を固めます。
4〜7年目中堅として専門を深める難しい患者さんや後輩の指導を担当します。脳卒中、運動器、呼吸器、小児、精神などの得意分野を決め、認定理学療法士や認定作業療法士などの資格を目指す人が多いです。
8〜15年目主任・転職・独立の分かれ道リハビリ部門の主任として、スタッフの勤務表作りや教育を担当します。訪問リハビリや介護施設、スポーツ分野へ移る人、大学院で研究を始める人、起業する人も出てきます。
40代管理職・教員リハビリテーション科の科長や部長として、数十人規模の部門をまとめる人もいます。養成校の教員として学生を教える人や、地域のリハビリの仕組みづくりに関わる人もいます。
50代以降組織や地域を支える病院の幹部や、介護施設の施設長、事業所の経営者として組織を支えます。後輩の育成や、地域の介護予防の活動の中心になる人もいます。

脳卒中で入院した人が家に帰るまで

急性期病院1発症・入院ベッドの横でリハビリ開始2評価と目標づくり家に帰って何をしたい?回復期リハビリ病棟3毎日のリハビリ歩く・着がえ・トイレ4多職種カンファレンス退院の時期を話し合う家5家庭訪問手すりや段差を確かめる6退院・在宅生活訪問・通所リハビリ地域・職場7社会参加趣味の再開や職場復帰ゴールは、その人らしい生活を取り戻すこと
医師、看護師、療法士、医療ソーシャルワーカーがチームで退院を支えます
1
発症・急性期病院に入院

救急車で運ばれ、医師が治療を始めます。体調が安定したら、理学療法士・作業療法士がベッドの横でリハビリを始め、寝たきりになるのを防ぎます。

2
評価と目標づくり

手足の動き、バランス、生活動作、記憶や注意力などを評価し、本人や家族と「家に帰って何をしたいか」を話し合って目標を決めます。

3
回復期病棟でのリハビリ

回復期リハビリテーション病棟に移り、毎日のリハビリで歩く、着がえる、トイレに行くなどの練習を重ねます。

4
多職種カンファレンス

医師、看護師、療法士、医療ソーシャルワーカーが集まり、回復の様子と退院の時期、必要な介護サービスを話し合います。

5
家庭訪問と環境の準備

療法士が家を訪ねて、手すりの位置や段差を確かめ、住宅改修や福祉用具を提案します。

6
退院と在宅生活

家に帰った後は、訪問リハビリや通所リハビリで、生活の中での動作を続けて練習します。

7
社会参加へ

趣味の再開や職場復帰など、その人らしい生活を取り戻すことをゴールに、地域の支援につなげます。

理学療法士国家試験・作業療法士国家試験

合格率理学療法士89.7%(新卒94.9%)、作業療法士91.2%(新卒96.6%)(第61回、2026年実施)
勉強時間の目安養成校3〜4年間の学習と臨床実習が前提で、最終学年の実習後の数か月を集中的な試験対策にあてるのが一般的です
受験資格文部科学大臣または厚生労働大臣が指定した養成校で3年以上学び、必要な知識と技能を身につけた人(卒業見込みを含む)
新卒者の合格率は9割以上で、医療系の国家試験の中では合格しやすい部類です。ただし年によって難しさが変わり、合格率が7割台に下がった年もあります。範囲は基礎医学から専門まで広いので、養成校の授業と実習をきちんとこなし、最後の数か月で総復習することが大切です。
試験科目(押すと中身が見られます)
合格までの流れ
  1. 臨床実習(最終学年中心)病院や施設で合計800時間以上の実習を行います。
  2. 学内の卒業試験学校ごとの卒業試験や模擬試験で、国家試験の準備をします。
  3. 国家試験(2月)1日で一般問題と実地問題を解きます。
  4. 合格発表(3月)合格すると名簿に登録され、免許が与えられます。
  5. 就職・新人研修(4月から)職場の新人教育と協会の研修で、現場の力を身につけます。

理学療法士・作業療法士のある1日

8:30

出勤してリハビリ室で朝の打ち合わせをします。今日担当する患者さんの一覧と、夜の間の体調の変化をカルテで確認します。

9:00

1人目の患者さんのリハビリです。たとえば、膝の手術をした人の関節を動かし、平行棒で歩く練習をします。

10:00

病棟に行き、まだリハビリ室まで来られない手術直後の患者さんのベッドの横で、起き上がる練習をします。

11:00

脳卒中の患者さんと、病棟のトイレやお風呂で実際の動作を練習します。看護師に介助の方法を伝えます。

12:00

昼休みです。午後のカンファレンスの資料を確認しながら昼食をとります。

13:00

午後のリハビリが始まります。20〜60分ごとに、次々と担当の患者さんのリハビリを行います。

15:00

医師、看護師、医療ソーシャルワーカーとの多職種カンファレンスで、患者さんの回復の様子と退院の時期を話し合います。

16:00

退院が近い患者さんの家族に、家での介助の方法を実際にやってみせながら説明します。

17:00

リハビリの記録と計画書を書きます。後輩の記録をチェックすることもあります。

18:00

帰宅します。勉強会や学会の準備がある日は、症例の資料をまとめます。

もっと知りたい人へ

そもそも理学療法士・作業療法士とは

理学療法士と作業療法士は、どちらも「理学療法士及び作業療法士法」という1965年にできた法律で定められた国家資格で、医師の指示のもとでリハビリテーションを行います。理学療法士は、運動療法(体を動かす練習)や物理療法(温める、電気を流すなど)で、立つ、歩くなどの基本的な動作の回復をめざします。作業療法士は、手芸、工作、料理などの作業や生活動作の練習で、日常生活や社会生活に必要な力の回復をめざします。リハビリの専門職には、ほかに話す・飲み込むことを専門にする言語聴覚士(ST)もいます。

PTとOTのちがいを身近な例で

たとえば、骨折して入院したおばあちゃんが家に帰るまでを考えると、理学療法士はベッドから立ち上がって歩けるようにし、作業療法士はその歩ける力を使って、台所で料理を作る、トイレで服を上げ下げする、といった具体的な生活の動作ができるようにします。PTは「動く力」、OTは「その力で生活する」部分を担当するイメージです。

リハビリテーションという言葉

リハビリテーションは、もともと「もう一度ふさわしい状態にする」という意味の言葉です。体の機能を戻すだけでなく、その人が家庭や学校、職場で自分らしく暮らせるようにすることまでを目標にしています。

資格者の数

2025年12月末の登録者は、理学療法士が約23.6万人、作業療法士が約12.4万人、言語聴覚士が約4.3万人です。理学療法士は毎年1万人以上が国家試験に合格していて、数が急速に増えてきた職種です。

なるためのルート

理学療法士・作業療法士になるには、国が指定した養成校で3年以上学び、国家試験に合格する必要があります。養成校には、4年制大学、3年制の短期大学、3年制または4年制の専門学校があります。どの学校でも受験資格は同じですが、大学は教養科目や研究の授業が多く、大学院に進んで研究者や教員を目指しやすいという特徴があります。専門学校は最短3年で資格が取れ、実技の授業が多い学校もあります。学校で学ぶ時間は、理学療法士は3,120時間以上、作業療法士は3,150時間以上と決められています。

  1. 高校で進路を決める理系が有利というより、生物や物理の基礎があると入学後の勉強が楽になります。文系科目で受験できる学校もあります。
  2. 養成校に入学する4年制大学、3年制短大、専門学校から選びます。学校ごとに入試科目や学費が大きくちがいます。
  3. 基礎医学と専門科目を学ぶ解剖学、生理学、運動学などの基礎を学び、評価や治療の技術を実技で練習します。
  4. 臨床実習を終える病院や施設で見学実習、評価実習、総合臨床実習を行い、合計800時間以上の現場経験を積みます。
  5. 国家試験に合格する最終学年の2月に試験を受け、3月に合格発表があります。
  6. 免許を受けて就職する病院、介護施設、訪問リハビリ、小児施設などに就職し、新人教育を受けながら働き始めます。
大学と専門学校の選び方

大学は4年間かかる分、幅広い教養と研究の経験が得られます。専門学校は早く現場に出られ、夜間部のある学校では働きながら学ぶこともできます。たとえば、将来は大学の教員や研究者になりたいなら大学、早く現場で働きたいなら専門学校、という選び方があります。国家試験の合格率や実習先の数も比べましょう。

臨床実習の重み

臨床実習は、理学療法で20単位、作業療法で22単位以上と決められていて、1単位は40時間以上なので、合計800時間以上になります。実習先の病院や施設で、指導者のもとで実際の患者さんを担当し、評価から治療計画まで行います。毎日の記録やレポートも多く、学生生活で一番大変な時期だといわれます。

試験・選考の詳細

理学療法士国家試験と作業療法士国家試験は、厚生労働省が年1回、2月に行います。どちらも一般問題と、患者さんの事例をもとにした実地問題からなり、実地問題は1問3点と配点が大きいです。2026年に行われた第61回では、理学療法士は受験者12,436人のうち11,156人が合格し合格率89.7%(新卒者94.9%)、作業療法士は受験者5,426人のうち4,947人が合格し合格率91.2%(新卒者96.6%)でした。

合格の基準

第61回の理学療法士は、277点満点中167点以上、かつ実地問題117点中41点以上が合格基準でした。作業療法士は、278点満点中167点以上、かつ実地問題120点中43点以上でした。総得点でおよそ6割、実地問題でも一定の点数が必要です。

就職の選考

病院や施設への就職は、多くの場合、最終学年の夏から秋に面接や小論文で選ばれます。国家試験に合格することを条件に内定が出るのが一般的です。たとえば、人気の高い大学病院やスポーツ整形のクリニックは、募集人数が少なく倍率が高くなることがあります。

年収のリアル

理学療法士・作業療法士などリハビリ職の平均年収の目安は、2024年の国の統計で約444万円です。20代前半で約350万円前後から始まり、年齢とともに上がって50代後半で約600万円前後になります。医療や介護の報酬は国が値段を決めているため、病院や施設の売上には上限があり、給料が急に大きく上がることは少ないです。そのかわり、全国どこでも求人があり、安定して働けるのが強みです。

給料を上げる方法

主任や科長などの管理職になる、訪問リハビリで件数に応じた手当をもらう、認定資格をとって手当をもらう、などの方法があります。たとえば、訪問リハビリでは、1日に回る件数が多いほど給料が増える職場もあります。

療法士が増えていることの影響

理学療法士は毎年1万人以上が国家試験に合格していて、資格者の数が急速に増えています。そのため、都市部の病院では競争が出てきており、専門性やコミュニケーション力で差をつけることが大切になっています。一方、介護や訪問の分野では、まだ人手が足りない地域もあります。

やりがい

理学療法士・作業療法士のやりがいは、患者さんが「できなかったこと」が「できるようになる」瞬間に立ち会えることです。たとえば、倒れて入院したときは寝たきりだった人が、数か月後に自分の足で歩いて退院していく姿を見送れます。リハビリは何週間、何か月と続くので、患者さんや家族と深い信頼関係を築けるのも特徴です。医師や看護師とはちがう視点で、その人の生活全体を考えられる専門職として、チームの中で頼りにされます。

生活に戻るまで寄り添う

作業療法士は、「もう一度料理を作りたい」「職場に戻りたい」「孫と遊びたい」といった、その人だけの目標を一緒に目指します。目標がかなったとき、患者さんの人生に深く関われたことを実感できます。

スポーツや子どもの分野

ケガをした選手がもう一度試合に出られたとき、障害のある子どもが初めて一人で歩けたときなど、大きな感動を味わえる場面がたくさんあります。

大変なこと・きついこと

患者さんの体を支えたり、ベッドから車いすへの移動を手伝ったりするので、腰を痛めないよう体の使い方に気をつける必要があります。リハビリはすぐに結果が出るとは限らず、なかなか回復しない患者さんのやる気を保つのは簡単ではありません。病気が進行したり、回復の見込みが少なかったりする場合もあり、気持ちのつらさを感じることもあります。病院では、1日に何単位のリハビリを行うかという目標があり、記録や書類の量も多いです。

給料の伸びが緩やか

医療や介護の報酬は国が決めているため、どれだけ頑張っても病院の売上には上限があります。年功で少しずつ上がる職場が多く、若いうちから大きく稼ぎたい人には物足りないかもしれません。

学び続ける必要

医療の技術や考え方は年々新しくなり、卒業後も勉強会や学会への参加が欠かせません。休日に有料の研修会に参加する療法士も多いです。

向いている人

人の役に立ちたい気持ちが強く、相手の話をよく聞ける人に向いています。リハビリは患者さんと一対一で長い時間を過ごすので、相手を励まし、小さな変化も一緒に喜べる人は信頼されます。体の仕組みに興味がある人、スポーツや体を動かすことが好きな人は理学療法士、手先を使う工作や料理、人の暮らし全体に興味がある人は作業療法士に向いている面があります。根気強く、少しずつの変化を見守れることも大切です。

こんな経験が生きる

たとえば、部活でケガをしてリハビリを受けたことがある人、祖父母の介護を手伝った経験がある人、後輩に技術を教えるのが好きな人は、その経験を仕事の中で生かせます。

PTとOTどちらを選ぶか

迷ったら、オープンキャンパスで両方の体験授業を受けてみるのがおすすめです。体の動きそのものを分析するのが楽しいならPT、生活の中の工夫や心のケアに興味があるならOT、という選び方があります。

高校生のうちにできること

生物の授業で人体の仕組みをしっかり学んでおくと、養成校での解剖学や生理学の理解が早くなります。物理の力やてこの考え方は、体の動きを分析する運動学につながります。病院や介護施設のボランティア、職業体験に参加して、実際のリハビリ室の雰囲気を見てみましょう。オープンキャンパスで、学校ごとの国家試験の合格率、実習先、就職先を比べることも大切です。

見学で聞きたいこと

在学生に、臨床実習のつらさや、勉強と生活の両立について聞くと、学校の雰囲気がよくわかります。たとえば、実習中の1日の睡眠時間や、レポートの量を聞いてみると、本当の大変さがわかります。

コミュニケーションの練習

リハビリは、年齢も背景もちがう人と話す仕事です。お年寄りや小さい子どもと話す機会を持つと、相手に合わせた話し方が身につきます。

代表的な会社・職場

理学療法士・作業療法士の職場は、病院が最も多く、ほかに介護老人保健施設、デイケア、訪問看護ステーション、整形外科クリニック、こども病院や療育センター、精神科病院、養成校などがあります。病院には、手術直後の患者さんを診る急性期病院、家に帰るためのリハビリを集中的に行う回復期リハビリテーション病院、長く療養する人のための病院などがあります。

急性期と回復期のちがい

急性期病院は、手術や病気の治療をしている最中の患者さんを診る病院で、入院期間が短く、リハビリはベッドの横から始まります。回復期リハビリテーション病棟は、治療が落ち着いた後の患者さんが数か月入院して、家に帰るためのリハビリを集中して行う場所です。

訪問看護ステーション

看護師が中心の事業所ですが、理学療法士・作業療法士も多く所属していて、利用者の家に行ってリハビリを行います。自転車や車で地域を回ります。

理学療法士と作業療法士のちがい

2つの資格は同じ法律で定められ、学ぶ基礎医学も共通する部分が多いですが、目指すものがちがいます。理学療法士は、寝返り、起き上がり、座る、立つ、歩くといった基本的な動作と、そのもとになる筋力や関節の動き、バランスの改善に強みがあります。作業療法士は、食事、着がえ、トイレ、家事、仕事、趣味など、生活の中の応用的な動作と、考える力や心の働きの支援に強みがあります。精神科の分野で働けるのは主に作業療法士、スポーツ分野で多いのは理学療法士、という特徴もあります。

人数のちがい

2025年12月末で、理学療法士は約23.6万人、作業療法士は約12.4万人で、理学療法士のほうが約2倍多いです。養成校の数や入学定員も理学療法士のほうが多くなっています。

同じ患者さんを一緒に担当する

たとえば脳卒中の患者さんでは、理学療法士が歩く練習を、作業療法士が手の練習と生活動作の練習を担当し、言語聴覚士が話す・飲み込む練習を担当するように、3つの職種が一緒に関わることがよくあります。

地域包括ケアとリハビリ職

日本では、年をとっても住み慣れた地域で暮らし続けられるように、医療、介護、予防、住まい、生活支援を一体で提供する「地域包括ケアシステム」づくりが進められています。その中で、理学療法士・作業療法士は、病院の中だけでなく、地域の介護予防教室や、高齢者の自宅、市役所の事業などで活躍の場を広げています。病気になる前に体の衰えを防ぐ「介護予防」は、これからますます重要になる分野です。

介護予防教室

たとえば、市の公民館で行われる高齢者向けの体操教室で、転ばないための筋トレやバランス練習を指導するのも、理学療法士の仕事の一つです。

フレイル

年をとって体や心の元気が少しずつ弱くなり、介護が必要になる手前の状態を「フレイル」といいます。早めに運動や栄養、社会参加で対策すると、元気を取り戻せることがわかっていて、リハビリ職の知識が生かされています。

よくある質問

理学療法士と作業療法士は両方取れますか

取れますが、それぞれの養成校を卒業して別々に国家試験に合格する必要があります。両方の資格を持つ人は少なく、どちらか一方で働くのが一般的です。

文系でもなれますか

なれます。文系科目で受験できる養成校もあります。ただし入学後は解剖学や生理学、運動学など理系の勉強が中心になるので、生物の基礎を学んでおくと安心です。

スポーツトレーナーになれますか

理学療法士として整形外科やスポーツ医学の分野で経験を積み、チームのトレーナーになる人がいます。ただし、プロチームの専属になれる人は少なく、狭き門です。

国家試験は難しいですか

新卒者の合格率は理学療法士・作業療法士ともに9割以上で、学校の授業と実習をきちんとこなせば合格できる人が多い試験です。ただし、既卒者の合格率は低くなります。

専門学校と大学ではどちらがよいですか

受験資格は同じです。早く働きたいなら3年制の専門学校、研究や教員の道も考えたいなら大学、というように将来の目標で選ぶとよいです。

作業療法士の「作業」とは何ですか

工場の作業ではなく、人が生活の中で行うすべての活動のことです。食事、着がえ、料理、仕事、勉強、趣味、遊びなどが含まれます。

理学療法士は余っているのですか

毎年1万人以上が合格していて、都市部の病院では競争があります。一方で、訪問リハビリや介護予防、地方では人手が足りないところもあります。専門性を持つことが大切になっています。

男性と女性のどちらが多いですか

理学療法士は男性がやや多く、作業療法士は女性がやや多いといわれます。どちらも男女ともに活躍していて、出産後に復帰する人も多いです。

整体院やマッサージとはどうちがいますか

理学療法士・作業療法士は国家資格で、医師の指示のもと、病気やケガの評価にもとづいてリハビリを行います。整体は国家資格ではありません。マッサージは、あん摩マッサージ指圧師という別の国家資格があります。

この分野のことば

年収について:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」の「理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、視能訓練士」(リハビリ職をまとめた分類)で、平均月収約31.1万円、賞与約70.5万円からの目安です。平均年齢は約35.5歳。理学療法士と作業療法士を分けた国の統計はありません。年代別の金額も同じ分類の目安です。

数字はすべて公開データにもとづく目安です。出典は出典・サイトポリシーにまとめています。

ほかの仕事も見てみる