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書く仕事のはずが、いちばん長い時間は「人に会って聞く」こと

記者・編集者

記者は、事件・政治・経済・スポーツ・文化など世の中のできごとを自分で取材し、ニュースとして記事や映像にする仕事です。編集者は、記者や作家、ライターが書いた原稿を読み、見出しや構成を考え、本・雑誌・Webサイトとして世に出す仕事です。たとえば、朝スマホで読むニュースアプリの記事、コンビニで売っている週刊誌、学校の図書室にある小説やマンガは、どれも記者や編集者の手を通って皆さんに届いています。新聞の部数は減っていますが、Webや動画、ポッドキャストなど伝え方が増えていて、「正確な情報を調べて、わかりやすく伝える力」の価値はむしろ高まっています。

平均年収の目安約673万円新聞記者・図書編集者の統計値地方紙・中小出版社・Webメディアで約300万円台〜、全国紙・大手出版社では30代で1,000万円前後になる会社も
なるまでの難しさ★★★★★資格は要りませんが、全国紙・キー局・大手出版社の記者職や編集職は、毎年の採用数が数十人程度と少なく、作文や時事問題の筆記試験、何度もの面接があります。新聞記者・放送記者の9割前後が大卒で、就職先の選び方によって難しさが大きく変わる仕事です。
決めどき文系が中心

大学3年の夏〜冬(マスコミは採用時期が早い会社が多く、大学1〜2年から書く経験を積むと有利な材料が増えます)

どんな職種がある?

押すと、その職種の仕事内容・必要な力・キャリアが見られます。

記者・編集者の年収と昇進の流れ

新人記者・編集アシスタント350〜550万円
入社1〜3年、22〜25歳

支局で事件・行政・地域の話題を幅広く取材し、記事の基本を身につけます。編集部では校正や進行管理を担当します。一人で取材して記事を仕上げられるようになることが次の段階の条件です。

若手記者・編集者500〜800万円
入社4〜8年、26〜30歳

本社の専門部署で担当分野を持ち、自分の企画や特ダネで成果を出していく時期です。担当分野で信頼される取材相手を持ち、大きな企画を任されることが次の条件です。

中堅記者・キャップ700〜1,100万円
入社9〜15年、31〜37歳

記者クラブのまとめ役(キャップ)や連載の責任者、特派員などを務めます。後輩の取材の指導もしながら、チームとして成果を出せるかが問われます。

デスク・副編集長900〜1,300万円
入社15〜20年、38〜45歳

記者の原稿を直し、紙面やWebの中身を決める立場です。ニュースの価値を判断する力と、トラブルが起きたときの対応力が評価され、部長への昇進につながります。

部長・編集長1,000〜1,500万円
入社20〜25年、45〜50歳

政治部長や雑誌の編集長として、部全体の方針、人の配置、予算や売上に責任を持ちます。

編集局長・論説委員・役員1,200〜1,800万円
50歳〜

新聞やメディア全体の方向を決める幹部、または社説を書く論説委員、専門分野を書き続ける編集委員になります。金額は全国紙・大手出版社の場合の目安で、会社によって大きく異なります。

年収は目安です。会社や地域、本人の働き方で大きく変わります。

働き方で何が違う?

全国紙・キー局・大手出版社の社員平均で約870万〜1,150万円の会社がある(KADOKAWA約872万円・2026年3月期、朝日新聞社約1,147万円・2024年3月期)

全国規模の新聞社、テレビ局、出版社に正社員として勤める働き方です。全国や海外への転勤があり、政治・経済・国際など大きなニュースや、ヒット作の担当に関われるチャンスがあります。採用人数が少なく、入社の競争は激しくなります。給与や福利厚生は業界の中では高い水準の会社が多いです。

良いところ大きな仕事に関われる、給与と待遇が安定している、教育の仕組みが整っている

大変なところ転勤が多い、夜や休日の呼び出しがある、採用の競争が激しい

地方紙・地方局・専門出版社の社員会社によって幅が大きく、300万〜700万円台が多い

県や地域の新聞社、地方のテレビ局、特定の分野(医学、法律、技術、教育など)の本や雑誌を出す出版社に勤める働き方です。たとえば地方紙なら、地元の行政、高校スポーツ、お祭りなどを深く取材でき、読者との距離が近いのが特徴です。転勤は県内が中心のことが多く、地元で暮らしたい人に向いています。専門出版社では一つの分野の知識を深めて、専門家として長く働けます。

良いところ地元で働ける、地域や専門分野に深く関われる

大変なところ全国紙より給与が低い会社が多い、部数減の影響を受けやすい

Webメディア・編集プロダクションの社員300万〜600万円台が多い(会社による)

ニュースサイト、情報サイト、企業のオウンドメディアを運営する会社や、出版社から編集の仕事を請け負う編集プロダクションに勤める働き方です。若いうちから企画、取材、執筆、編集、SNS運用まで一通り任されることが多く、成長が早いと言われます。PVなどの数字で成果がはっきり見えます。専門学校の卒業生が多く就職する職場でもあります。

良いところ若いうちから幅広く任される、デジタルの技術が身につく

大変なところ給与が大手より低い会社が多い、締め切りが多く忙しい

フリーランスのライター・編集者・ジャーナリスト仕事量と単価しだいで、100万円台から1,000万円超まで幅が大きい

会社に属さず、出版社やWebメディアから記事や本の仕事を受けて働く人です。会社で数年経験を積んでから独立する人が多く、医療、IT、スポーツ、旅行など得意分野を持つと仕事が集まりやすくなります。本を書いて印税を得たり、講演をしたりする人もいます。仕事を自分で探し、お金の管理や確定申告も自分で行います。

良いところ好きなテーマを選べる、時間と場所の自由がある

大変なところ収入が不安定、会社員の福利厚生がない、営業も自分でする必要がある

代表的な会社・職場

全国紙全国紙(経済紙)通信社ブロック紙・地方紙公共放送民放キー局大手出版社大手出版社(上場)Webメディア
読売新聞社 ›全国紙

発行部数が日本最大級の全国紙です。プロ野球の読売ジャイアンツを持つグループでもあります。

非上場のため有価証券報告書での開示なし
朝日新聞社 ›全国紙

全国紙の一つで、デジタル版の有料会員事業や不動産事業にも力を入れています。

約1,147万円(2024年3月期・有価証券報告書)
日本経済新聞社 ›全国紙(経済紙)

経済や企業のニュースに強く、電子版の有料会員を多く持っています。英国の経済紙フィナンシャル・タイムズも傘下にあります。

有価証券報告書で開示(年度により変動)
毎日新聞社・産経新聞社全国紙

全国にニュースを届ける全国紙です。毎日新聞は選抜高校野球(春の甲子園)の主催にも関わっています。

会社の資料で確認
共同通信社 ›通信社

全国の地方紙や放送局、ニュースサイトに国内外のニュースを配信しています。

非上場のため公表なし
時事通信社 ›通信社

ニュース配信のほか、企業や官公庁向けの専門情報サービスも行っています。

非上場のため公表なし
中日新聞社・北海道新聞社・西日本新聞社などブロック紙・地方紙

地域のニュースに強い新聞社で、地元の行政やスポーツ、文化を深く取材しています。

会社ごとに異なる
NHK(日本放送協会) ›公共放送

受信料で運営される公共放送で、全国の放送局に多くの記者がいます。

会社の資料で確認
日本テレビHD・テレビ朝日HD・TBSHD・フジ・メディアHDなど民放キー局

全国ネットのテレビ局で、報道局の記者がニュース番組の取材をしています。

日本テレビHD約1,398万円、フジ・メディアHD約1,577万円(持株会社の有価証券報告書・本社スタッフ中心)
講談社・集英社・小学館大手出版社

マンガ雑誌、小説、雑誌、児童書などを幅広く出版し、アニメ化などの権利ビジネスも大きな柱です。

非上場のため公表なし
KADOKAWA ›大手出版社(上場)

書籍・マンガ・ライトノベルのほか、アニメ、ゲーム、Webサービスまで手がけています。

約872万円(2026年3月期・単体)
アイティメディアWebメディア

ITやビジネスのニュースサイトを運営しています。

約699万円(有価証券報告書ベース、2026年版集計)

›がついた会社は、会社図鑑で詳しく解説しています。

どうやって稼いでいる?

読者 購読料・本の代金 広告主 紙面・CM・Web 記事・作品 代金 広告料 新聞社・出版社・テレビ局 記者・編集者が記事や作品をつくる 新聞の発行部数 2000年 約5,371万部 2025年 約2,487万部 紙の減少を補う、新しい収入の柱 デジタル会員 ニュースサイトの 有料会員・電子版 作品の二次利用 マンガのアニメ化や グッズ化の権利料 記事の配信料 ニュースアプリなど に記事を提供 イベント 展覧会や スポーツ大会 購読料 + 広告料が、もともとの柱 Webや作品の権利で収入を増やす
発行部数は日本新聞協会のまとめによるものです

記者や編集者が働く新聞社・出版社・テレビ局は、「情報やコンテンツを作って届け、そのお金を読者と広告主からもらう」という仕組みで成り立っています。たとえば新聞なら毎月の購読料、雑誌やマンガなら本の代金、テレビなら番組の合間に流れるCMの広告料が主な収入です。日本新聞協会のまとめでは、新聞の発行部数は2000年に約5,371万部ありましたが、2025年には約2,487万部まで減りました。そのため各社は、ニュースサイトの有料会員、電子書籍、マンガアプリ、作品のアニメ化や映画化、イベント、不動産など、収入の柱を増やそうとしています。記者・編集者にとっても、紙だけでなくWebや動画で読まれる工夫が仕事の一部になっています。

1
購読料・販売収入

新聞の月ぎめ購読料や、雑誌・本・マンガの売上です。たとえば家に毎朝届く新聞の月の代金や、書店で買う単行本の代金がこれにあたります。

2
広告収入

企業が新聞や雑誌の紙面、テレビのCM枠、Webの広告枠を買って払うお金です。たとえばニュースサイトの記事の間に出てくる広告や、新聞に入っているチラシ(折込広告)も収入になります。

3
デジタル有料会員・電子版

ニュースサイトで、続きを読むには会員登録や月額料金が必要な仕組みです。たとえば「この記事は有料会員限定です」と表示される記事がそれで、紙の新聞の減少を補う柱として各社が力を入れています。

4
作品の二次利用(ライセンス)

出版社が持つ小説やマンガを、アニメ、映画、ゲーム、グッズにするときに入る権利料です。たとえば人気マンガのアニメ化や、キャラクターのグッズ化で出版社にもお金が入ります。

5
記事の配信料

通信社や大手新聞社が、ほかの新聞社やニュースアプリ、ポータルサイトに記事を提供して受け取るお金です。たとえばスマホのニュースアプリに並ぶ記事の多くは、こうした配信契約で届いています。

6
イベント・その他事業

展覧会やスポーツ大会、文化講座の主催、不動産の賃貸などから得る収入です。たとえば高校野球の大会や美術展を新聞社が主催していることがあります。

入ってからどうなっていく?

1〜3年目支局で基本を学ぶ時期全国紙の記者なら地方の支局に配属され、警察や役所を回って事件・事故・行政のニュースを書きます。出版社なら雑誌や書籍の編集部で、先輩について校正や進行管理、取材の手伝いをしながら仕事の流れを覚えます。
4〜7年目得意分野を持つ時期記者は本社の政治部・経済部・社会部・運動部などに移り、省庁や企業、スポーツ団体などの担当になります。編集者は自分の企画で本を出したり、担当作家を持ったりして、最初の「自分の仕事」と呼べる成果をつくります。
8〜15年目大きなテーマを任される時期長期の調査報道や連載、海外の特派員、ヒット作の担当など、会社の看板になる仕事を任されるようになります。この時期に、ほかの新聞社やテレビ局、Webメディア、企業の広報部へ転職したり、フリーのジャーナリストとして独立したりする人もいます。
15〜25年目デスク・編集長の時期記者はデスクとして若手の原稿をみて、紙面やニュースサイトの中身を決める側に回ります。編集者は雑誌の編集長や書籍の編集部長として、部全体の企画と売上に責任を持ちます。
25年目〜幹部・専門家の時期編集局長や役員として会社全体の方針を決める道と、編集委員・論説委員・解説委員として専門分野の記事や社説を書き続ける道があります。大学の教員や、本の著者、講演者として活躍する人もいます。
転職・独立の例よくある別ルート新聞記者からテレビ局やWebメディアへ、編集者から別の出版社やIT企業のコンテンツ部門へ移る例がよくあります。企業の広報(会社のニュースを外に伝える仕事)や、官公庁や政治家の秘書、フリーランスのライター・編集者として独立する人も多い仕事です。

事件が起きてから朝刊に載るまで

デスク 第一報を受ける 担当記者を現場に向かわせる 記者 現場で取材する 写真を撮り、目撃者や警察に聞く 記者 速報を出す 確かめた事実だけをWebに 記者 裏取りと追加取材 関係者や専門家、資料で調べる デスク 原稿を確認する 疑問点を記者に問い合わせる 校閲部・整理部 校閲・紙面づくり 人名や数字を確認し、見出しを決める 販売店 印刷・配達 深夜に印刷し、早朝に届ける 一人の証言だけで書かず、必ず裏を取る
記者は翌日以降も続報を追いかけます
1
第一報を受ける

警察や消防の発表、通報、SNSの投稿などで事件や事故を知ります。デスクがすぐに担当記者を決め、現場に向かわせます。

2
現場で取材する

現場の様子を見て写真を撮り、目撃者や近所の人、警察に話を聞きます。たとえば火事なら、いつ、どこで、何棟燃えたか、けが人はいるかを確かめます。

3
速報を出す

確かめられた事実だけで短い記事を書き、ニュースサイトやアプリに速報として出します。

4
裏取りと追加取材

原因や背景を、関係者や専門家、資料でさらに調べます。一人の証言だけで書かず、複数の情報源で確かめます。

5
原稿を書いてデスクに送る

朝刊用に、背景や識者のコメントも入れた記事を書きます。デスクが内容を確認し、疑問点を記者に問い合わせます。

6
校閲・紙面づくり

校閲部が人名や数字をチェックし、整理部が記事の大きさや見出しを決めて紙面を組みます。

7
印刷・配達・続報

深夜に印刷され、早朝に販売店から各家庭に配達されます。記者は翌日以降も続報を追いかけます。

記者・編集者のある1日

7:00

自宅で全国紙・地方紙・ニュースサイトを一通り読み、他社に抜かれた(先に報じられた)ニュースがないか確かめます。

8:00

取材相手の家の前で出勤前に話を聞く「朝回り」をすることもあります。

10:00

記者クラブに行き、役所や警察の記者会見に出て質問します。

12:00

会見の内容をすぐにWeb用の速報記事にまとめてデスクに送ります。

14:00

企画記事のために、専門家や現場の人に会ってインタビューをします。

16:00

支局や記者クラブに戻り、翌日の朝刊用の原稿を書きます。

18:00

デスクから「この数字の出どころは?」などの質問が来て、電話で確認し原稿を直します。

20:00

取材相手の自宅を訪ねる「夜回り」で、発表前の情報や本音を聞きます。

23:00

朝刊の締め切りまで、大きなニュースが入らないかスマホを見ながら待機し、帰宅します。

もっと知りたい人へ

そもそも記者・編集者とは

記者は「何が起きたか」を自分の足で確かめて伝える人、編集者は「どう伝えれば読者に届くか」を考えて形にする人です。たとえば学校で事故があったとき、記者は現場に行き先生や生徒に話を聞きますが、編集者はその記事をどこに置き、どんな見出しにするかを決めます。どちらも、情報が正しいかどうかを何重にも確かめる仕事で、ネットに流れるうわさとのいちばん大きなちがいはそこにあります。働く場所は新聞社、通信社、テレビ局、出版社、Webメディア、編集プロダクションなどさまざまです。記者として入って編集者になったり、その逆になったりと、行き来することもよくあります。

報道と表現の自由

記者の仕事は、憲法が保障する表現の自由や知る権利と深く関係しています。たとえば政治家や大企業の不正は、記者が調べて報じなければ、国民が知らないままになることがあります。そのため報道機関は「権力を監視する役割」を持つと言われます。一方で、取材される人のプライバシーや名誉を守る責任もあります。

書く人と出す人のちがい

記者やライターは原稿を書く人、編集者は原稿を読み・直し・形にして世に出す人です。たとえばマンガでは作家が描き、編集者は「この展開だと読者が離れるかもしれない」と意見を出します。小さな会社では一人が両方を担当することも多くあります。

なるためのルート

記者・編集者になるために必要な資格はありません。ただし新聞記者は約85%、放送記者は約94%、図書編集者は約75%が大卒(job tag)で、大学を出て新聞社・テレビ局・出版社の採用試験を受けるのが最も多いルートです。学部はどこでもよく、法学部、経済学部、文学部、社会学部のほか、理系の学部から科学記者になる人もいます。専門学校には出版・編集やライターのコースがあり、編集プロダクションやWebメディアに就職して実務から入るルートもあります。

  1. 高校で文章と時事に慣れる新聞やニュースサイトを毎日読み、気になったニュースについて自分の意見を書いてみます。たとえば新聞部や放送部、図書委員の活動も良い経験になります。
  2. 大学・専門学校に進む大学ならどの学部でも記者・編集者を目指せます。興味のある分野(政治、経済、科学、スポーツなど)を深く学べる学部を選ぶと、のちの専門性につながります。
  3. 書く経験と取材経験を積む学生新聞、Webメディアのインターン、地域のミニコミ誌など、実際に人に取材して記事にする経験を重ねます。
  4. 採用試験を受ける大学3年の夏ごろからインターンが始まり、筆記試験(時事問題・作文)、面接を経て内定します。
  5. 入社後に現場で育つ記者は支局、編集者は編集部で、先輩に原稿を直されながら一人前になっていきます。
大学ルートの特徴

全国紙・キー局・大手出版社の総合職の採用は、大卒(見込み)を条件にしている会社がほとんどです。大学では、たとえば法律や経済、国際関係などを学んでおくと、担当分野の取材で基礎知識として役立ちます。学生新聞やサークルの広報、ブログ、インターンでの記事執筆など、書いた経験を作っておく人が多くいます。

専門学校ルートの特徴

専門学校の出版・編集・ライター系の学科では、2年ほどで取材、文章、DTP(パソコンで紙面をつくる作業)、写真、Web編集などを実習で学びます。卒業後は編集プロダクションやWebメディア、地域の情報誌などに就職する人が多く、現場で経験を積んでから大手の中途採用に挑戦する人もいます。大手の新卒採用は大卒が条件の会社が多いので、目指す会社の応募条件を早めに確認することが大切です。

試験・選考の詳細

新聞社・テレビ局・出版社の採用試験では、一般的な適性検査に加えて、時事問題の筆記試験と作文(小論文)が出ることが多いのが特徴です。たとえば「最近気になったニュースとその理由」「〇〇(お題)について800字で書きなさい」といった課題が出ます。面接では「どんな記事を書きたいか」「どんな本を作りたいか」を具体的に聞かれ、学生時代に取材や制作をした経験が話の材料になります。出版社では、自分で考えた雑誌や本の企画書を提出させる会社もあります。採用人数が少ないため、同じ業界の複数社を受ける人がほとんどです。

時事問題と作文

政治・経済・国際・社会・スポーツ・文化など幅広い分野から出題されます。毎日ニュースを読み、わからない言葉を調べる習慣が対策になります。作文では、決められた字数と時間で、具体的な体験と自分の考えを書く力が見られます。

インターンと記者講座

多くの新聞社やテレビ局は、大学生向けに取材体験や記事執筆を体験できるインターンを開いています。実際の記者に原稿を直してもらえることもあり、仕事が自分に向いているかを確かめる場にもなります。

年収のリアル

job tagでは、新聞記者・放送記者・図書編集者の年収はいずれも約673.2万円(令和7年賃金構造基本統計調査)で、全職業の中では高めです。ただし会社による差がとても大きく、全国紙や大手出版社では平均年収が1,000万円前後の会社がある一方、地方紙や中小出版社、編集プロダクション、Webメディアでは300万〜500万円台の会社も多くあります。たとえば同じ「記者」でも、全国紙の正社員と、Webメディアで記事ごとに報酬をもらうフリーランスでは、働き方も収入も別の仕事と言えるほどちがいます。新聞の部数が減っているため、給与の水準を見直す会社も出てきています。

手当と残業

記者は夜回りや休日の取材が多いため、残業代や深夜手当、取材手当が年収の大きな部分を占めることがあります。働き方改革で残業を減らす会社が増え、その分年収が下がる例もあります。

フリーランスの収入

フリーのライターや編集者は、記事1本、本1冊、1ページごとなどの単価で仕事を受けます。たとえば専門分野を持つ人や、本を何冊も手がけている人は単価が上がりやすく、会社員より高い収入を得る人もいますが、仕事が途切れるリスクもあります。

やりがい

自分が取材して書いた記事や、作った本が、多くの人に読まれて世の中に影響を与えることが最大のやりがいです。たとえば地域の困りごとを記事にしたら行政が動いた、担当したマンガがアニメになって世界中で見られた、といった経験は、この仕事ならではのものです。ふだんは会えない人、たとえばスポーツ選手、政治家、研究者、事件の当事者などから直接話を聞けるのも大きな魅力です。毎日ちがうできごとに向き合うので、同じ仕事のくり返しになりにくい職業でもあります。

歴史の目撃者になる

選挙の結果、災害、オリンピック、科学の大発見など、歴史に残る瞬間の現場にいられるのは記者ならではです。自分の書いた記事が、何十年後にも資料として読まれることがあります。

作品を一緒につくる喜び

編集者は、作家の才能を引き出し、読者に届く形にする役割を担います。たとえば新人作家のデビュー作がヒットしたとき、編集者は作家と同じくらい大きな喜びを感じると言われます。

大変なこと・きついこと

事件や災害はいつ起きるかわからないため、休日や深夜でも呼び出されることがあり、生活が不規則になりがちです。締め切りが毎日、あるいは毎週あり、時間に追われるプレッシャーも大きい仕事です。取材では、事件の被害者や遺族など、つらい状況にある人に話を聞かなければならないこともあります。また、記事に間違いがあれば、多くの人に迷惑をかけ、訂正やおわびを出すことになります。業界全体では紙の部数が減っており、将来の働き方が変わっていく不安を感じる人もいます。

批判を受けること

報道した内容に対して、SNSなどで強い批判を受けることがあります。たとえば正確に書いたつもりでも、立場のちがう人から「偏っている」と言われることがあり、精神的な強さが求められます。

転勤の多さ

全国紙や放送局の記者は、数年ごとに全国の支局や海外へ転勤するのが一般的です。たとえば入社後の5年間で2〜3か所の地方を経験する人もいます。

向いている人

「なぜ?」「本当に?」と疑問を持ち、自分で確かめずにはいられない人に向いています。初対面の人にも話しかけられる人、断られてもあきらめずに何度も頼める人も記者向きです。編集者には、本やマンガが好きなだけでなく、作り手の気持ちと読者の気持ちの両方を考えられる人が向いています。文章がうまいことより、たくさん聞いて、たくさん調べて、間違いを嫌う姿勢のほうが大切だと言われます。体力があり、予定が急に変わっても楽しめる人は長く続けやすい仕事です。

記者に向いている人の例

たとえば、ニュースを見て「この数字はどこから出ているのだろう」と気になる人、部活の大会結果を自分なりにまとめて人に話すのが好きな人は、記者の素質があります。

編集者に向いている人の例

たとえば、友だちに本やマンガをすすめるのが得意な人、文化祭のパンフレットづくりでレイアウトや言葉選びにこだわった人は、編集の素質があります。

高校生のうちにできること

まずは毎日ニュースに触れる習慣をつけることです。新聞1紙とニュースアプリを比べると、同じできごとでも書き方や扱いの大きさがちがうことに気づけます。新聞部、放送部、文芸部、図書委員などで、実際に取材して書く、編集して形にする経験をするのもおすすめです。国語の小論文の練習は、そのまま採用試験の作文対策になります。英語も、海外ニュースの取材や特派員を目指すなら大きな武器になります。

文理の選び方

記者・編集者の多くは文系出身ですが、理系から科学記者や医療記者、技術系の専門誌の記者になる人もいます。たとえば宇宙やAIの記事は、理系の知識がある記者が強みを発揮します。好きな分野で文理を選んでかまいません。

書いて発信してみる

学校新聞、ブログ、SNSなどで、自分で取材して書いた記事を発信してみましょう。たとえば地元の商店街の人に話を聞いて記事にするだけでも、取材の大変さと面白さがわかります。

代表的な会社・職場

新聞では、全国紙(読売新聞、朝日新聞、毎日新聞、日本経済新聞、産経新聞)、ブロック紙・地方紙(北海道新聞、中日新聞、西日本新聞など)、通信社(共同通信社、時事通信社)があります。放送では公共放送のNHKと、日本テレビ・テレビ朝日・TBS・テレビ東京・フジテレビなどの民放キー局、全国の地方局があります。出版では講談社、集英社、小学館、KADOKAWAなどの大手と、専門書や学習参考書の出版社が数多くあります。ほかにWebメディア、編集プロダクション、企業のオウンドメディア(会社が自分で運営するサイト)なども職場です。

全国紙と地方紙のちがい

全国紙は全国と世界のニュースを扱い、記者は全国転勤があります。地方紙は県や地域のニュースに強く、転勤は県内が中心です。たとえば地元の高校野球の記事を詳しく載せているのは地方紙です。

大手出版社の特徴

大手出版社は、マンガ、小説、雑誌、児童書など多くのジャンルを持ち、アニメ化や海外展開など権利ビジネスにも力を入れています。多くは非上場で、平均年収などは公表していない会社もあります。

記者クラブと取材の仕組み

日本では、官公庁、警察、裁判所、政党、経済団体などに「記者クラブ」があり、加盟する報道機関の記者が常駐して取材しています。たとえば県庁の中には記者クラブの部屋があり、そこで記者会見や資料配布が行われます。記者クラブは効率よく情報を集められる一方で、加盟していないフリーの記者が会見に出にくいといった課題も指摘されています。記者は、発表をそのまま書くだけでなく、発表されていない事実を自分で調べる「調査報道」にも取り組みます。

発表報道と調査報道

発表報道は、役所や会社が発表した内容を伝える記事です。調査報道は、記者が何か月もかけて資料を集め、関係者に話を聞き、隠れていた問題を明らかにする記事です。たとえば行政のお金の使い方の不正を明らかにした報道は、調査報道の代表例です。

特ダネと抜かれ

ほかの社より先に重要なニュースを報じることを「特ダネ」、逆に先に報じられることを「抜かれ」と言います。記者は特ダネを取るために取材相手との信頼関係を大切にしますが、正確さを優先することが何より重要です。

紙からデジタルへ、変わる働き方

新聞の発行部数は2000年の約5,371万部から2025年の約2,487万部へと半分以下になり、各社はデジタルへの移行を進めています。記者は、紙の締め切りに合わせて書くだけでなく、ニュースが起きたらすぐWebに速報を出し、続報や解説記事、動画、SNS投稿もつくるようになりました。編集者も、紙の雑誌だけでなく、Webメディアの記事、電子書籍、マンガアプリ、ポッドキャストなどを手がけます。たとえば記事がどの時間帯に、どの年代に読まれたかのデータを見て、見出しや配信時間を工夫するのも今の編集者の仕事です。

データジャーナリズム

統計や公開データを分析して、グラフや地図でわかりやすく伝える報道です。たとえば感染症の広がりや、選挙の投票率を地域ごとに地図にした記事がこれにあたります。プログラミングやデータ分析ができる記者の需要が高まっています。

生成AIと編集の仕事

文章の要約や翻訳にAIを使う会社が増えていますが、取材して事実を確かめる部分は人にしかできません。AIが作った情報が正しいかを確かめる仕事は、むしろ重要になっていると言えます。

よくある質問

文章を書くのが得意でないと記者になれませんか?

最初から上手な人はほとんどいません。記者は入社後、デスクに何度も原稿を直されながら上達していきます。それよりも、人の話をよく聞き、事実を確かめる姿勢のほうが大切です。

理系でも記者や編集者になれますか?

なれます。科学部や医療担当の記者、IT・技術系の専門誌の編集者などでは、理系の知識が強みになります。たとえば新しい薬や宇宙開発のニュースを正しく伝えるには、専門知識のある記者が欠かせません。

専門学校からでも新聞社に入れますか?

全国紙や大手テレビ局の記者職は、大卒を応募条件にしている会社が多いのが現状です。専門学校からは、編集プロダクションやWebメディア、地域の情報誌などに就職し、経験を積んで転職するルートが一般的です。応募条件は会社ごとに必ず確認してください。

新聞がなくなったら仕事もなくなりますか?

紙の新聞は減っていますが、ニュースそのものの需要はなくなっていません。各社はデジタル版や動画、配信に力を入れていて、記者の仕事は「紙に書く」から「いろいろな形で伝える」に変わってきています。

マンガの編集者になるにはどうすればいいですか?

マンガ雑誌を出している出版社に入社し、マンガ編集部に配属されるのが一般的です。ただし入社後の配属は会社が決めるため、希望どおりにならないこともあります。編集プロダクションやマンガアプリの会社で経験を積む道もあります。

フリーランスのライターはどのくらいいますか?

正確な人数の統計はありませんが、Webメディアの広がりで、記事ごとに仕事を受けるフリーランスのライターは多い分野です。会社で数年経験を積み、得意分野を持ってから独立する人が多くいます。

記者は危険な場所にも行くのですか?

災害現場や紛争地域などに取材に行くことはあります。ただし報道各社は安全対策のルールを設けていて、危険地域への派遣は経験のある記者に限るなどの配慮をしています。

女性の記者や編集者は多いですか?

以前は男性が多い職場でしたが、女性の記者や編集者は年々増えています。雑誌や書籍の編集部では女性が多い職場もあります。

高校の部活は何をしておくといいですか?

新聞部や放送部、文芸部は直接役に立ちますが、それ以外の部活でもかまいません。たとえば運動部の経験はスポーツ記者に、吹奏楽部の経験は音楽の記事を書くときに生きます。何かに打ち込んだ経験そのものが取材の幅を広げます。

この分野のことば

年収について:厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)」の新聞記者・放送記者・図書編集者の年収は、いずれも令和7年賃金構造基本統計調査で約673.2万円(平均年齢41.5歳)。会社別では朝日新聞社の平均年収が約1,147万円(2024年3月期・有価証券報告書)、KADOKAWAが約872万円(2026年3月期・単体)。会社の規模や雇用形態(正社員、契約、フリーランス)による差がとても大きいので、あくまで目安です。

数字はすべて公開データにもとづく目安です。出典は出典・サイトポリシーにまとめています。

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