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しゃべる時間より、調べて準備する時間のほうがずっと長い

アナウンサー

アナウンサーは、テレビやラジオでニュースを読んだり、スポーツの実況をしたり、番組の司会や進行をしたりする「声と言葉で伝えるプロ」です。たとえば、朝の情報番組でその日の天気や事件を伝える人、甲子園やオリンピックで試合の様子を言葉で描く人、バラエティ番組でゲストに話を振る人は、みなアナウンサーです。放送局の社員として働く「局アナ」がよく知られていますが、事務所に所属するフリーアナウンサー、地方局や契約のキャスター、司会やナレーションを中心にする人、会社員をしながら週末に結婚式やイベントの司会をする人など、働き方はとても幅広い仕事です。資格は要りませんが、キー局の採用は毎年数人程度ととても狭き門で、なれた後も「正確に、わかりやすく、時間ぴったりに伝える」ための準備と練習が一生続きます。

平均年収の目安約583万円アナウンサーの統計値地方局の契約アナや駆け出しのフリーでは平均を大きく下回る人もいれば、キー局の社員や人気フリーでは平均を大きく上回る人もいて、働き方による差がとても大きい仕事です
なるまでの難しさ★★★★★必須の資格や学歴はありませんが、キー局のアナウンサー職は毎年の採用が男女合わせて数人程度で、応募は数千人規模といわれます。地方局も1局あたり0〜数人の採用で、全国の局を受け続ける人も多い、倍率の非常に高い仕事です。なった後も人気や評価で担当番組が決まる世界です。
決めどき文系が中心

大学2〜3年の春〜夏(キー局のアナウンサー採用は一般職より早く、大学3年の夏〜秋に選考が始まることが多いです。アナウンススクールに大学1〜2年から通う人も多いです)

どんな職種がある?

押すと、その職種の仕事内容・必要な力・キャリアが見られます。

アナウンサーの年収と昇進の流れ

新人アナウンサー400〜650万円
入社1〜3年、22〜25歳

研修後、短いニュースや中継リポート、番組のアシスタントを担当します。原稿を正確に読み、生放送で時間どおりに進行できるようになることが次の段階の条件です。数字はキー局クラスの社員を想定したおおまかな目安で、地方局や契約は低めです。

若手(レギュラー番組担当)600〜900万円
4〜7年目、26〜29歳

情報番組のサブや報道番組、スポーツ実況のレギュラーを持ちます。担当番組で評価を得て、自分の強みの分野をつくることが次の条件です。

中堅(メインキャスター・実況の柱)800〜1,300万円
8〜15年目、30〜37歳

看板番組のメインや大きな大会の実況を任されます。この時期にフリー転身や他局への移籍を選ぶ人もいます。

ベテラン・デスク1,000〜1,500万円
16〜25年目、38〜47歳

報道番組の顔や実況のエースとして活躍しながら、後輩の指導やアナウンス部の運営に関わります。

アナウンス部長・管理職1,200〜1,700万円
25年目以降、48歳〜

アナウンス部全体の番組配置や採用、育成を担当します。報道局や編成局など他部署の管理職、役員に進む人もいます。

年収は目安です。会社や地域、本人の働き方で大きく変わります。

働き方で何が違う?

キー局の局アナ統計の平均(約583万円)を上回る水準の会社が多い(会社ごとの給与規定による)

東京のキー局の社員として働く形です。全国放送の大きな番組やオリンピックの実況などに関われるチャンスがあり、給与水準も業界の中で高い会社が多いです。採用は毎年数人程度ととても狭き門で、担当番組は会社が決めます。人気が出ても給料は会社の規定どおりで、出演料が個人に入るわけではありません。

良いところ給料と雇用が安定、大きな番組に関われる、研修が充実

大変なところ採用倍率が非常に高い、担当番組を選べない、生活が不規則

地方局のアナウンサー(社員・契約)社員は局により差が大きい。契約アナは社員より低いことが多い

全国の地方テレビ局・ラジオ局で働く形です。少人数のため若いうちから多くの番組を担当し、取材から編集まで幅広く経験できます。社員として長く働く人もいれば、契約アナウンサーとして数年働き、別の局やフリーへ進む人もいます。地域の人に顔を覚えてもらい、地元で長く愛される存在になれるのも魅力です。

良いところ経験の幅が広い、地域に根ざして働ける、若いうちから番組を持てる

大変なところキー局より給与が低い傾向、契約の場合は期間に上限があることも

フリーアナウンサー・キャスター仕事の量しだいで、平均を大きく下回る人から数千万円規模の人まで

事務所に所属して、番組やイベントごとに契約する形です。複数の局の番組に出られ、仕事を選ぶ自由があります。局アナ出身で知名度のある人は収入が大きく増えることもありますが、レギュラーが終われば収入も減ります。司会、ナレーション、講師など仕事の柱を複数持つ人が多いです。

良いところ仕事を選べる、上限のない収入、複数の局に出られる

大変なところ収入が不安定、社会保険や税金を自分で管理、人気の波に左右される

会社員と両立する司会者・ナレーター(副業)副業としての報酬は件数しだい(1件ごとの報酬)

平日は会社員として働き、週末に結婚式や企業イベントの司会、自宅でのナレーション収録などをする働き方です。テレビに出なくても、アナウンススクールや司会者養成講座で身につけた技術を生かせます。本業の給料があるので生活は安定し、話す仕事を長く楽しめます。経験を積んで本業にする人もいます。

良いところ生活が安定したまま挑戦できる、年齢に関係なく続けられる

大変なところ週末が埋まる、本業との両立で体力的に大変、会社の副業ルールの確認が必要

代表的な会社・職場

公共放送キー局準キー局ローカル局ラジオ芸能事務所・司会事務所
日本放送協会(NHK) ›公共放送

受信料で運営される公共放送です。全国の放送局にアナウンサーが配属され、ニュースや災害報道、スポーツ中継などを担当します。

上場企業ではないため有価証券報告書での開示なし
日本テレビ放送網 ›キー局

日本テレビホールディングスの中核のテレビ局です。報道、スポーツ、バラエティなど多くの番組を制作しています。

持株会社の平均年収は社員全体の数字で、アナウンサー個人の年収ではありません
テレビ朝日 ›キー局

テレビ朝日ホールディングスの中核のテレビ局です。報道番組やスポーツ中継に力を入れています。

持株会社の有価証券報告書で開示(社員全体の平均)
TBSテレビ ›キー局

TBSホールディングスの中核のテレビ局です。報道、ドラマ、スポーツなどを制作し、ラジオ局のTBSラジオもグループにあります。

持株会社の有価証券報告書で開示(社員全体の平均)
テレビ東京 ›キー局

経済ニュースやアニメ、旅番組などに強いテレビ局です。

持株会社の有価証券報告書で開示(社員全体の平均)
フジテレビジョン ›キー局

フジ・メディア・ホールディングスの中核のテレビ局です。情報番組やバラエティ、スポーツ中継などを制作しています。

持株会社の有価証券報告書で開示(社員全体の平均)
毎日放送(MBS)準キー局

大阪を拠点にするテレビ・ラジオ局で、関西向けと全国向けの番組を制作しています。

非開示
朝日放送テレビ(ABC)準キー局

大阪を拠点にするテレビ局で、夏の高校野球の中継でも知られています。

非開示
全国の地方テレビ局ローカル局

各都道府県にあるテレビ局で、地域のニュースや情報番組、高校野球の地方大会などを放送します。

局により差が大きい
ラジオ局・コミュニティFMラジオ

全国・地域のラジオ局で、パーソナリティやニュース、交通情報などを担当します。

局や契約形態により差が大きい
アナウンサー・司会者の事務所芸能事務所・司会事務所

フリーアナウンサーやキャスター、ブライダル司会者が所属し、仕事の紹介やスケジュール管理を行います。

›がついた会社は、会社図鑑で詳しく解説しています。

どうやって稼いでいる?

民放 スポンサー企業 CM料金 民放の局 番組を作る 給料 局アナ NHK 視聴者 受信料 NHK CMはない 給料 NHKのアナ フリー 局・企業・式場 出演料・司会料 事務所 取り分を引く 残りを受け取る フリー 最近はネット配信や企業の動画の仕事も増えている 給料や出演料のもとは、多くが広告のお金
NHKにはCMがなく、受信料で運営されています

アナウンサーの給料や出演料のもとをたどると、多くは「広告」のお金です。民放のテレビ局やラジオ局は、企業からCMの料金をもらい、そのお金で番組を作り、社員であるアナウンサーに給料を払います。たとえば、ドラマの合間に流れる飲み物や車のCMの料金が、番組の制作費やアナウンサーの給料になっています。NHKは受信料で運営されています。フリーアナウンサーの場合は、局や制作会社、イベントを開く企業、結婚式場などから出演料・司会料を受け取り、そこから事務所の取り分を引いた額が収入になります。最近はネット配信や企業の動画、オンラインイベントなど、テレビ以外の仕事からお金が入る道も増えています。

1
CM(広告)収入から払われる給料

民放の局アナの給料は、局がスポンサー企業から受け取るCM料金が主な原資です。視聴率が高い番組ほどCM料金も高くなるため、看板番組を担当するアナウンサーは局にとって大切な存在です。

2
受信料(NHK)

NHKのアナウンサーは、受信料で運営されるNHKの職員として給料を受け取ります。CMがないので、広告主ではなく視聴者全体のために番組を作るという考え方です。

3
番組ごとの出演料(フリー)

フリーのアナウンサーやキャスターは、番組1本ごと、または1クール(3か月)ごとの契約で出演料を受け取ります。知名度や実績によって単価が大きく変わります。

4
司会・イベント出演料

企業の発表会、自治体の式典、結婚式、スポーツイベントなどの司会料です。テレビに出ていない人の収入の柱になることが多く、副業の人もこの形で収入を得ます。

5
ナレーション・音声収録料

テレビ番組、CM、企業のPR動画、電車や施設の案内放送、アプリの音声などのナレーション料です。自宅で収録して納品できる仕事も増えています。

6
講師料・配信収入

話し方講座やアナウンススクールの講師、企業の研修講師、動画配信の広告収入やファンからの支援など、経験を生かした収入です。

入ってからどうなっていく?

高校〜大学1・2年準備期放送部、演劇部、学園祭の司会、ミスコンや学生キャスターなど、人前で話す経験を積みます。大学1〜2年でアナウンススクールに通い始める人も多いです。
大学3年就職活動・セミナー期キー局・準キー局・地方局のアナウンサー採用を受けます。アナウンサー職は一般の職種より選考が早いことが多く、全国の局を受け続ける人もいます。
入社1〜3年目(22〜25歳)新人アナウンサー数か月の研修のあと、短いニュースや中継リポート、番組のアシスタントを担当します。原稿を一字も間違えず時間内に読むことが最初の目標です。
4〜10年目(26〜32歳)レギュラー番組を持つ時期情報番組のサブや報道番組、スポーツ実況など、自分の担当分野ができます。この時期に人気や評価が上がり、看板番組に起用される人が出てきます。
30歳前後フリー転身・転職の分かれ道知名度がついた局アナがフリーに転身したり、地方局のアナウンサーがキー局のキャスターや別の局に移ったりする時期です。一般企業の広報やPR担当に転職する人もいます。
11〜20年目(33〜42歳)看板・専門家の時期報道番組のメインキャスター、実況のエース、ナレーションの第一人者など、その人ならではの強みで仕事を任されます。局ではデスクなど後輩を育てる立場にもなります。
40代〜50代以降管理職・ベテランの時期局ではアナウンス部の部長や役員、報道・編成など他の部署の管理職に進む人がいます。フリーでは司会、講演、話し方の講師、大学の教員として長く活動する人もいます。

朝の情報番組が放送されるまで

1
前日の企画会議

プロデューサーやディレクターと、翌日に扱う話題や特集、中継先を決めます。アナウンサーも自分の担当コーナーの内容を確認します。

2
資料集めと下調べ

担当する話題について、新聞記事、関係者の情報、過去の放送などを調べます。読みにくい地名や人名はこの段階で確認します。

3
深夜の出社と原稿確認

夜のうちに入ったニュースを含め、最新の原稿を受け取ります。原稿を声に出して読み、言いにくい部分や時間を確認します。

4
打ち合わせとリハーサル

ディレクターと、カメラの位置、中継への受け渡し、CMに入るタイミングを確認します。ゲストがいる場合は話の流れも打ち合わせます。

5
生放送

イヤホンで届くディレクターの指示を聞きながら、決められた時間の中でニュースを伝え、番組を進行します。急なニュースが入れば、その場で原稿を読みかえます。

6
反省会と次の準備

放送後に、言い間違いや時間配分、伝え方を振り返ります。そのまま翌日の企画会議へとつながっていきます。

アナウンサーのある1日

朝の情報番組を担当する日の例 3:00 出社。新聞と夜のニュースに目を通す 3:30 メイク・衣装合わせ、原稿を受け取る 4:00 原稿の下読み。地名や人名の読み方を確認 8:00 放送終了。反省会で言い間違いを振り返る 9:30 翌日の打ち合わせ、ナレーションの収録 11:00 発声や滑舌の自主練習、取材先への電話 12:00 昼食をとって帰宅。夕方に仮眠 19:00 翌日の資料を読み、早めに就寝 5:00 生放送 ニュース、天気、中継への受け渡しを 時間ぴったりに進める 夜中から動き出し、朝の生放送に合わせる
朝の情報番組を担当する場合の例
3:00

(朝の情報番組担当の場合)出社。新聞各紙と夜のうちに入ったニュースに目を通す

3:30

メイクと衣装合わせをしながら、ディレクターから番組の流れと原稿を受け取る

4:00

原稿の下読み。読みにくい地名や人名の読み方を辞典や資料で確認する

5:00

生放送スタート。ニュース、天気、中継への受け渡しを時間ぴったりに進める

8:00

放送終了。反省会で言い間違いや時間配分を振り返る

9:30

翌日のコーナーの打ち合わせ、ナレーションの収録

11:00

発声や滑舌の自主練習、取材先への電話

12:00

昼食をとって帰宅。夕方に仮眠をとる

19:00

翌日のニュースに関係する資料を読み、早めに就寝

もっと知りたい人へ

そもそもアナウンサーとは

アナウンサーは、言葉を使って情報を正確に、わかりやすく、決められた時間の中で伝える専門職です。テレビに出る「華やかな人」というイメージがありますが、実際の仕事の大部分は、原稿の下読み、読み方の確認、取材、資料づくり、発声練習などの準備です。たとえば地名ひとつでも、「日本橋」は東京では「にほんばし」、大阪では「にっぽんばし」と読むように、間違えれば多くの人に誤った情報を伝えてしまいます。災害のときには、落ち着いた声で避難を呼びかける役目もあり、人の命を守る仕事でもあります。働き方は局の社員、契約、フリー、副業の司会者など幅広く、どの形でも「話す技術」が共通の武器になります。

アナウンサーとタレントのちがい

アナウンサーは「伝えること」が仕事の中心で、自分が目立つことより、内容やゲストを引き立てることが求められます。バラエティ番組では芸能人のように見えることもありますが、局アナは会社員で、ニュースや実況など報道の仕事も担当します。最近はアナウンサー出身でタレントのように活躍する人もいて、境目は少しずつあいまいになっています。

声と言葉の基本技術

アナウンサーは腹式呼吸で安定した声を出し、正しい発音とアクセントで話す訓練をします。NHK放送文化研究所の「アクセント辞典」などで共通語のアクセントを確認するのも日常の仕事です。早口言葉のような滑舌の練習や、1分間に何文字読むかを測る練習も、新人だけでなくベテランも続けています。

なるためのルート

アナウンサーになる道は一つではありません。最も多いのは、大学に通いながらアナウンススクールで学び、放送局のアナウンサー採用試験を受けるルートです。キー局に入れなくても、地方局、ケーブルテレビ、ラジオ局、契約アナウンサーとして経験を積み、別の局やフリーへステップアップする人もたくさんいます。また、専門学校の放送・アナウンス学科で学んで司会やナレーションの事務所に所属したり、会社員をしながら司会の仕事を副業で始めたりする道もあります。高卒や専門卒の局アナは少数ですが、統計上ゼロではありません。

  1. 中学・高校放送部や演劇部、生徒会、ディベートなどで人前で話す経験を積みます。新聞やニュースを毎日読み、自分の言葉で要約する練習をします。
  2. 大学・専門学校に進学学部はどこでも受けられますが、大卒が多い仕事です。専門学校の放送・アナウンス学科で学び、司会やナレーションの道に進む人もいます。
  3. アナウンススクールで学ぶ放送局系のスクールや民間のスクールで、発声、原稿読み、フリートーク、カメラテストの練習をします。費用は数万〜数十万円かかります。
  4. 採用試験を受けるキー局・準キー局・地方局・NHK、ラジオ局、ケーブルテレビ、契約アナの募集を受けます。カメラテストや原稿読み、面接が何度も行われます。
  5. 入社・研修入社後は数か月の研修で、発声、ニュース読み、実況、中継などを学び、短いニュースからデビューします。
  6. 経験を積んで専門をつくる報道、スポーツ、情報番組、ナレーションなど、自分の強みの分野をつくり、看板番組やフリー転身、転職へと進みます。
キー局をめざす王道ルート

大学に通いながら、大学1〜2年でアナウンススクールに入り、発声やニュース読み、面接対策を学びます。大学3年でキー局・準キー局・地方局を受け、内定をめざします。キー局の採用は毎年数人程度なので、地方局も併せて受けるのが一般的です。

遠回りに見えて強いルート

地方局や契約アナウンサーで実況、取材、ニュースを幅広く経験した人が、数年後に別の局へ転職したり、フリーとして全国放送に起用されたりする例もあります。最初に入った場所で終わりではなく、経験と実績で道が開ける仕事です。

副業・兼業から始めるルート

会社員として働きながら、週末に結婚式やイベントの司会をする人もいます。司会者事務所のオーディションに合格すれば仕事を紹介してもらえるため、まず副業で経験を積み、収入が安定してから本業にする人もいます。

試験・選考の詳細

アナウンサーには国家試験はなく、各放送局の採用試験が「試験」にあたります。キー局の選考は、エントリーシートと写真、カメラテスト(実際にカメラの前で原稿を読んだり自己紹介をしたりする試験)、何度もの面接、筆記試験(一般常識や時事問題、作文)などで構成されるのが一般的です。カメラテストでは、たとえば「好きな食べ物について1分で話してください」のような即興のトークや、ニュース原稿の読みを見られます。顔や声だけでなく、話の組み立て、落ち着き、ニュースへの理解、人柄が見られます。地方局やNHK、ラジオ局でも似た選考が行われ、契約アナウンサーの募集では即戦力として実技の比重が大きくなります。

カメラテストで見られること

カメラテストでは、原稿を正確に読めるか、間違えたときに落ち着いて言い直せるか、カメラの向こうの視聴者に向かって話せるかが見られます。完璧な美声より、聞きやすく、伝わる話し方が大切です。

筆記・作文・面接

時事問題や漢字の読み、一般常識の筆記、テーマを与えられて書く作文などがあります。面接では「なぜアナウンサーなのか」「どんな番組で何を伝えたいか」を何度も深掘りされます。ふだんからニュースに自分の意見を持つことが準備になります。

年収のリアル

アナウンサーの年収は、働き方によって最も差が大きい仕事の一つです。厚生労働省の統計ではアナウンサーの年収は約583万円(令和7年賃金構造基本統計調査)ですが、これは近い職業もまとめた分類の平均です。キー局の社員は放送業界の中でも給与水準が高い一方、地方局の契約アナウンサーは社員より低い給与で、ボーナスがないこともあります。フリーアナウンサーは、全国放送のレギュラーを持つ人気の人なら数千万円以上といわれますが、多くは司会やナレーションを組み合わせて生活していて、仕事が減ればそのまま収入も減ります。週末だけ司会をする副業の人は、司会1件ごとの報酬を本業の給料に上乗せしている形です。

局アナの収入の特徴

局アナは会社員なので、人気があっても出演料は個人に入らず、会社の給与規定どおりに支払われます。そのかわり、仕事が少ない時期でも給料は保証され、ボーナスや退職金、社会保険もあります。

フリーの収入の特徴

フリーは番組や司会1件ごとの報酬で、事務所に所属していれば取り分を引かれます。人気の波が収入に直結し、レギュラー番組が終わると収入が大きく下がることもあります。健康保険や年金、税金の手続きも自分で行います。

やりがい

自分の言葉で、何百万人もの人に情報を届けられることが最大のやりがいです。たとえば台風のとき、落ち着いた声で避難の呼びかけをすることで、誰かが早めに逃げて命が助かるかもしれません。スポーツ実況では、優勝の瞬間の言葉が何年も語り継がれることがあります。取材を通じて、普段は会えない選手や研究者、町の職人など、さまざまな人の話を直接聞けるのも魅力です。準備したことが生放送でぴたりとはまったときの手ごたえは、この仕事ならではです。

人と人をつなぐ役目

司会やインタビューでは、ゲストの魅力を引き出し、視聴者にその人の良さを伝えるのが役目です。緊張している一般の人がアナウンサーの質問で笑顔になり、本音を話してくれたとき、大きな喜びを感じるといいます。

一生磨き続けられる技術

話す技術には終わりがなく、50代、60代になっても上達できます。ナレーションや司会など、年齢を重ねた声や落ち着きが評価される仕事も多く、長く続けられる専門職です。

大変なこと・きついこと

生放送では、言い間違いや時間のずれがそのまま全国に流れるプレッシャーがあります。朝の番組の担当なら深夜に起き、スポーツ担当なら土日や夜の試合が中心になるなど、生活リズムが不規則です。人気や評価で担当番組が決まるため、努力しても思うような番組を持てないこともあります。SNSで見た目や話し方について厳しい言葉を受けることも少なくありません。フリーの場合は収入が不安定で、番組改編のたびに仕事がなくなる不安と向き合います。

見られる仕事の重さ

アナウンサーは私生活でも注目されやすく、ちょっとした発言がニュースになることもあります。言葉づかいや行動に常に気を配る必要があり、精神的な負担を感じる人もいます。

体調管理と声のケア

声が出なくなると仕事ができないため、風邪をひかない、のどを乾燥させない、睡眠をとるといった体調管理が欠かせません。不規則な生活の中で体調を保つのは大きな課題です。

向いている人

人の話を聞くのが好きで、知らないことを調べるのが苦にならない人に向いています。目立ちたい気持ちより、「伝えたい」「わかりやすく届けたい」という気持ちが強い人が長く続く傾向があります。たとえば、クラスで先生の話を友達にわかりやすく説明し直すのが得意な人、ニュースを見て「なぜこうなったんだろう」と気になる人は素質があります。生放送での失敗を引きずらず、次の一言に集中できる切り替えの早さも大切です。

声や見た目より大事なこと

声がきれい、見た目が良いだけでは長く続きません。発音は練習で直せますが、ニュースへの関心や、人への好奇心、準備を続ける根気は本人の姿勢しだいです。

向いていないかもしれない人

準備や地道な練習が苦手な人、決まった時間に規則正しく働きたい人、収入の安定を最優先にしたい人には、つらく感じる場面が多いかもしれません。ただし、局の社員として働けば収入は安定します。

高校生のうちにできること

放送部や演劇部に入る、生徒会や学校行事で司会をする、文化祭で校内放送を担当するなど、人前で話す経験を積みましょう。毎日ニュースを見て、気になったニュースを1分で家族に説明する練習は、アナウンサー試験のフリートークの練習にもなります。新聞のコラムや小説を声に出して読む「音読」は、滑舌と読解力を同時に鍛えられます。NHK杯全国高校放送コンテストのアナウンス部門や朗読部門に挑戦するのもおすすめです。

声と言葉のトレーニング

腹式呼吸の練習、早口言葉、録音した自分の声を聞いて直すことは、家でもできます。スマホで自分のニュース読みを録画すると、目線や表情の癖にも気づけます。

進路の選び方

アナウンサーは学部を問わない仕事です。興味のある分野、たとえば政治、経済、スポーツ、気象などを大学で深く学ぶと、自分ならではの強みになります。大学選びでは、放送研究会やアナウンス研究会があるかを調べるのも一つの方法です。

代表的な会社・職場

アナウンサーの代表的な職場は、東京のキー局5社(日本テレビ、テレビ朝日、TBSテレビ、テレビ東京、フジテレビ)とNHKです。大阪・名古屋には準キー局(毎日放送、朝日放送テレビ、関西テレビ、読売テレビ、中京テレビなど)があり、全国には100社をこえる地方テレビ局と多くのラジオ局があります。ほかにも、ケーブルテレビ、ネット配信の会社、アナウンサーが所属する芸能事務所、ブライダル司会の事務所、ナレーション事務所などが活躍の場です。

キー局と地方局のちがい

キー局は全国に番組を届けるネットワークの中心で、大きな番組に関われる一方、採用人数はとても少ないです。地方局は地域密着で、若いうちから多くの番組を担当でき、取材から放送まで幅広く経験できます。

テレビ以外の職場

ラジオ局、ケーブルテレビ、公営競技の実況、企業の社内放送やPR動画、ネットのライブ配信など、テレビ以外にも話す技術を生かせる場所はたくさんあります。

局アナとフリーのちがい

局アナは放送局の社員で、給料は安定していますが、どの番組を担当するかは会社が決めます。フリーアナウンサーは事務所に所属して番組ごとに契約し、担当したい仕事を選べる自由がある一方、仕事がなければ収入がありません。局アナとして知名度をつけてからフリーに転身する人が多いのは、局での実績がフリーとしての「名刺」になるからです。また、局アナ時代は一つの局の番組にしか出られませんが、フリーになれば複数の局の番組に出られます。どちらが良いかは、安定を重視するか、自由と挑戦を重視するかで変わります。

フリー転身のタイミング

30歳前後での転身が多いといわれますが、40代、50代で独立する人もいます。独立直後は古巣の局の番組に出られない期間がある場合もあり、準備期間を経てから活動を広げる人が多いです。

契約アナウンサーという中間

地方局などでは、契約社員としてアナウンサーを雇うことがあります。番組を担当して経験を積める一方、契約期間や更新回数に上限があることもあり、次のステップを考えながら働く人が多いです。

これからのアナウンサー

テレビを見る時間が減り、スマホで動画を見る人が増えたことで、アナウンサーの働く場所も変わりつつあります。放送局はネット配信の番組や見逃し配信、SNSでの発信に力を入れていて、アナウンサーが動画配信やポッドキャストを担当することも増えました。AIが原稿を読み上げる技術も進んでいますが、災害時の呼びかけ、生のインタビュー、スポーツの熱い実況のように、その場で考え、気持ちを込めて伝える仕事は人にしかできない部分が大きいとされます。これからは、話す技術に加えて、取材力や専門知識、発信力を組み合わせられる人が求められます。

動画・ネット配信の広がり

企業が自社のYouTubeチャンネルやオンラインイベントを持つようになり、司会やナレーションの仕事はテレビ以外でも増えています。フリーアナウンサーが自分でチャンネルを持ち、発信する例もあります。

AI音声との関係

簡単な案内放送や読み上げはAI音声に置きかわりつつあります。その一方で、言葉の選び方や、聞く人の気持ちを考えた伝え方、その場の判断は人の強みとして残ると考えられています。

よくある質問

アナウンサーになるには、どの大学・学部に行けばいいですか?

学部の決まりはなく、法学部、経済学部、文学部、理工学部などさまざまな学部の出身者がいます。採用で大切なのは学部より、話す力やニュースへの理解、人柄です。統計上は大卒が多い仕事なので、大学に進む人が多いです。

アナウンススクールには必ず通う必要がありますか?

必須ではありませんが、キー局をめざす人の多くが通っているといわれます。発声や原稿読み、カメラテストの練習を専門の講師から受けられ、選考の情報も集まりやすいからです。費用がかかるので、大学の放送研究会や独学と組み合わせる人もいます。

方言があってもなれますか?

なれます。共通語のアクセントは練習で身につけられ、多くのアナウンサーが研修やスクールで直しています。地方局では、地元の言葉がわかることが取材で強みになることもあります。

見た目が良くないとなれませんか?

清潔感や表情の明るさは大切ですが、それだけで選ばれるわけではありません。ニュースを正確に伝える力、話の組み立て、取材力、人柄など、総合的に見られます。ラジオやナレーション、実況など、声と言葉で勝負する仕事もあります。

キー局に落ちたら、もうアナウンサーにはなれませんか?

そんなことはありません。地方局、ラジオ局、ケーブルテレビ、契約アナウンサーなどで経験を積み、転職やフリー転身で全国放送に出るようになった人もいます。キー局に入れるのはごく一部なので、さまざまな道を考えておくことが大切です。

理系でもアナウンサーになれますか?

なれます。理系の知識は、科学ニュースや気象、医療、ITなどの話題で強みになります。気象予報士の資格を取って気象キャスターになる人もいます。

会社員をしながらアナウンサーの仕事はできますか?

局アナは本業なので難しいですが、結婚式やイベントの司会、ナレーションなどは副業で行う人がいます。司会者事務所に登録し、週末だけ活動する形が一般的です。会社の副業ルールは事前に確認しましょう。

アナウンサーは何歳まで働けますか?

局アナは会社の定年まで働けますが、年齢とともに管理職や他部署に移る人も多いです。フリーやナレーター、司会者は年齢制限がなく、60代以上で活躍する人もいます。

AIが読み上げる時代に、アナウンサーの仕事はなくなりませんか?

定型の案内放送などはAIに置きかわる部分もあります。しかし、生放送での判断、インタビュー、災害時の呼びかけ、スポーツ実況などは、その場で考え、気持ちを込めて伝える力が必要で、人の役割が残ると考えられています。

この分野のことば

年収について:厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)」のアナウンサーの年収は約583.3万円(令和7年賃金構造基本統計調査、平均年齢41.7歳)。この統計はアナウンサーだけでなく近い職業を含む分類の数字です。キー局は持株会社の有価証券報告書に平均年収が載りますが、これは放送局の社員全体ではなく持株会社の社員の数字で、アナウンサー個人の年収ではありません。フリーは仕事の数で収入がまったく変わるため、あくまで目安です。

数字はすべて公開データにもとづく目安です。出典は出典・サイトポリシーにまとめています。

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