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無料のアプリがなぜ大企業になれるのか。その答えを知る業界

Web・ネットサービス

Web・ネットサービス業界は、インターネットを通じてサービスを提供する会社の集まりです。SNSや検索サイト、ネット通販(EC)、フリマアプリ、動画・音楽の配信、ニュースアプリ、スマホ決済、会社向けのクラウドのソフト(SaaS)などがあります。たとえば、毎日使うLINEやYahoo!ニュース、楽天市場での買い物、メルカリでの出品、PayPayでの支払いは、すべてこの業界の会社のサービスです。2024年の日本の消費者向けのネット通販(BtoC-EC)の市場規模は約26.1兆円にのぼり、物を買うときにネットを使う割合(物販のEC化率)は9.8%まで広がっています。

平均年収の目安約660万〜1,230万円大手上場企業の単体平均新卒で400万〜500万円台が多く、エンジニアやプロダクトマネージャーは20代後半〜30代で800万〜1,000万円以上になる人も
なるまでの難しさ★★★★★業界全体では会社の数が多く、ベンチャーを含めると採用の窓口は広いです。一方で、メルカリ、LINEヤフー、サイバーエージェントなどの人気企業は倍率が高く、エンジニア職ではプログラミングの技術試験やこれまで作ったもの(ポートフォリオ)が、ビジネス職では論理的な考え方が厳しく見られます。学歴よりも、実際に何ができるかが問われる業界です。
決めどき文系・理系どちらでも

大学3年の春〜夏(インターンからの早期選考が多く、エンジニアは大学1〜2年からの開発経験が強みになります)

Web・ネットサービスの業界マップ

通販や広告などたくさんのネットサービスを持つ大手と、得意なアプリやサービスに絞った会社、海外のIT企業の日本法人に分かれます。

となりの業界

押すと、会社図鑑でその会社のくわしい解説が見られます。

どんな職種がある?

押すと、その職種の仕事内容・必要な力・キャリアが見られます。

Web・ネットサービスの年収と昇進の流れ

ジュニア22〜25歳400〜600万円 ミドル25〜29歳550〜800万円 シニア・リーダー28〜33歳750〜1,100万円 マネージャー30〜40歳900〜1,400万円 部門長・VP35〜45歳1,200〜1,800万円 CxO・役員40代以降1,500〜3,000万円 スペシャリスト技術や企画を極める ここで道が分かれる スタートアップでは20〜30代で役員になる人も シニアからは、専門家か管理職かを選ぶ
年齢と年収は目安です。会社を移りながら年収を上げる人も多い業界です
ジュニア(新卒・若手)400〜600万円
入社1〜3年、22〜25歳

先輩のサポートを受けながら、小さな機能の開発や、決まった範囲の業務を担当します。一人で一つの機能や施策をやりとげられることが次の段階の条件です。

ミドル(中堅)550〜800万円
入社3〜6年、25〜29歳

機能全体や、サービスの一部の責任を持ち、後輩の相談にものります。チームの成果を引っ張れるようになるとシニアに上がります。

シニア・リーダー750〜1,100万円
入社5〜10年、28〜33歳

技術や企画の中心として、難しい課題を解決します。ここから、スペシャリストとマネージャーの道に分かれることが多いです。

マネージャー・プロダクト責任者900〜1,400万円
30〜40歳

チームやプロダクト全体の成果と、メンバーの育成に責任を持ちます。事業の数字を伸ばせる人が部門長の候補になります。

部門長・VP1,200〜1,800万円
35〜45歳

開発部門やプロダクト部門全体をまとめ、会社の戦略にかかわります。

CxO・役員1,500〜3,000万円
40代以降(スタートアップでは20〜30代も)

CTOやCPOなどとして会社全体の技術やプロダクトの方向を決めます。スタートアップでは、若くしてこの立場になる人もいます。

年収は目安です。会社や地域、本人の働き方で大きく変わります。

働き方で何が違う?

大手ネット企業(LINEヤフー、楽天グループ、メルカリなど)平均約850万〜1,230万円(楽天グループ851万円・2025年12月期、LINEヤフー902万円・2026年3月期、メルカリ1,233万円・2026年6月期、いずれも単体)

何千万人が使うサービスを持ち、たくさんの事業を展開している会社です。大規模なサービスを支える技術や、豊富なデータに触れられるのが魅力です。社員数が多く、教育の仕組みや福利厚生が整っています。部署によって、新しいサービスの立ち上げから、巨大なサービスの安定運用まで、さまざまな経験ができます。

良いところ大きなサービスにかかわれる、教育や待遇が整っている、データや技術の環境が充実している

大変なところ組織が大きく、一人の担当範囲が限られることがある、人気が高く選考が難しい

SaaS企業(Sansan、freee、マネーフォワード、SmartHRなど)平均約810万円(Sansan、2026年5月期・単体)など

会社向けのクラウドのソフトを作って提供する会社です。月額の利用料で稼ぐため、お客さまに長く使い続けてもらうことが大切で、カスタマーサクセスの仕事が重要です。会社の仕事のやり方を変えるサービスを作れるのが魅力で、ここ数年で急成長している分野です。

良いところ会社の働き方を変えるサービスにかかわれる、成長中の分野で活躍の場が広い

大変なところBtoBなので、一般の人には知られていないことがある、成長のための目標が高い

スタートアップ会社によって大きく異なる(給料は控えめでも、ストックオプションがもらえることがある)

創業して間もなく、少人数で新しいサービスを作っている会社です。一人が担当する範囲が広く、若いうちから会社の中心として働けます。投資家から資金を集めて急成長を目指すため、スピード感と変化が大きいのが特徴です。

良いところ若いうちから大きな裁量がある、会社の成長を間近で体験できる、ストックオプションの可能性

大変なところ会社の業績が不安定なことがある、教育の仕組みが整っていないことがある

外資系IT企業の日本法人(Google、Amazon、Metaなど)日本法人は非上場が多く公表なし(業界でも高い水準と言われる)

世界中で使われるサービスを持つ巨大IT企業の日本の拠点です。エンジニア、営業、マーケティングなどの職種があり、世界の仲間と一緒に働きます。年収の水準が高い一方で、成果への期待も高く、英語を使う場面も多いです。

良いところ世界規模の仕事、高い年収の水準、最先端の技術に触れられる

大変なところ英語が必要な場面が多い、成果への評価が厳しい、本社の方針で組織が変わることがある

代表的な会社・職場

大手ネット企業(ポータル・SNS)大手ネット企業(EC・経済圏)フリマアプリ(CtoC)ネット広告・メディア・ゲームファッションEC比較・口コミサイトスマホ決済SaaS(名刺・契約管理)SaaS(会計・バックオフィス)医療のネットサービスフードデリバリー外資系巨大IT企業(ビッグテック)
LINEヤフー ›大手ネット企業(ポータル・SNS)

メッセージアプリのLINE、検索・ニュースのYahoo! JAPAN、ネット通販のYahoo!ショッピングなどを運営しています。2026年3月期の売上収益は約2兆364億円です。

約902万円(2026年3月期・単体)
楽天グループ ›大手ネット企業(EC・経済圏)

楽天市場、楽天トラベル、楽天カード、楽天銀行、楽天モバイルなど、ポイントでつながる「楽天経済圏」を作っています。2025年12月期の売上収益は約2兆4,965億円です。

約851万円(2025年12月期・単体)
メルカリ ›フリマアプリ(CtoC)

個人どうしで物を売り買いできるフリマアプリのメルカリや、スマホ決済のメルペイを運営しています。2026年6月期の売上収益は約2,293億円です。

約1,233万円(2026年6月期・単体)
サイバーエージェント ›ネット広告・メディア・ゲーム

ネット広告の代理事業、動画配信のABEMA、スマホゲーム(Cygamesなど)を手がけています。2025年9月期の売上高は約8,740億円です。

約914万円(2025年9月期・単体)
ZOZOファッションEC

ファッション通販サイトのZOZOTOWNを運営し、ブランドから商品を預かって販売しています。

約856万円(2026年3月期・単体)
カカクコム比較・口コミサイト

飲食店の口コミサイト「食べログ」や、商品の値段を比べる「価格.com」を運営しています。

約755万円(2026年3月期・単体)
PayPayスマホ決済

QRコードで支払いができるスマホ決済サービスで、ソフトバンクとLINEヤフーのグループに属しています。

公表情報で確認
Sansan ›SaaS(名刺・契約管理)

名刺をスキャンして会社の中で共有できるサービスや、請求書・契約書の管理サービスを提供しています。2026年5月期の売上高は約538億円です。

約810万円(2026年5月期・単体)
freee・マネーフォワードSaaS(会計・バックオフィス)

会社や個人事業主向けの会計、給与計算、請求書などのクラウドのソフトを提供しています。

有価証券報告書で公表
エムスリー ›医療のネットサービス

医師向けの情報サイトを中心に、製薬会社の情報提供の支援や、医療にかかわるさまざまなサービスを提供しています。

約976万円(2026年3月期・単体)
出前館フードデリバリー

飲食店の料理をスマホで注文して、家まで届けてもらえるデリバリーサービスを運営しています。

約662万円(2025年8月期・単体)
Google・Amazon・Metaなど外資系巨大IT企業(ビッグテック)

検索、ネット通販、クラウド、SNSなどで世界中に使われるサービスを持ち、日本でも多くの社員が働いています。

日本法人は非上場が多く公表なし

›がついた会社は、会社図鑑で詳しく解説しています。

どうやって稼いでいる?

ユーザーアプリを無料で使う ネット企業SNS・検索・ニュースアプリ 広告を出す会社効果を測りやすい広告 サービス利用料は0円 広告を表示 広告料 使う人が増えるほど便利になる 出品が増える選べる商品が多い 買う人が増える売れやすくなる フリマアプリの例(ネットワーク効果) 広告のほかの稼ぎ方 取引の手数料フリマ・通販モール 月額の利用料動画配信・SaaS 決済の手数料スマホ決済 アイテム課金スタンプ・有料プラン 無料で使えるのはユーザー以外からお金をもらうから
最初は赤字でも、まずたくさんの人に使ってもらうことを優先する会社が多いです

ネットサービスの大きな特徴は、ユーザーが一人増えても、追加でかかる費用がとても小さいことです。工場で物を作るのとちがい、一度作ったアプリは、千人が使っても百万人が使っても、同じものを届けられます。さらに、使う人が増えるほど便利になるネットワーク効果があり、たとえばフリマアプリは出品する人が多いほど買う人が集まり、買う人が多いほど出品する人が集まります。そのため、最初は赤字でも、たくさんの人に使ってもらうことを優先し、利用者が増えてから大きく稼ぐ会社が多いです。もうけ方には、広告、手数料、月額の利用料(サブスクリプション)、アイテムの販売など、いくつかの種類があり、多くの会社はそれらを組み合わせています。無料で使えるサービスが多いのは、ユーザー以外のところからお金をもらう仕組みがあるからです。

1
広告収入

SNSや検索サイト、ニュースアプリ、動画サイトは、ユーザーは無料で使え、広告を出す会社から広告料を受け取ります。ユーザーの興味に合わせた広告を表示できるため、テレビや新聞より効果を測りやすいのが強みです。

2
取引の手数料(マーケットプレイス)

楽天市場のようなネット通販のモールや、メルカリのようなフリマアプリは、商品が売れたときに売上の一部を手数料として受け取ります。メルカリでは、出品者が売上の一定の割合を販売手数料として払います。

3
商品の販売(直販EC)

ZOZOTOWNやアマゾンのように、商品を仕入れたり預かったりして、自社のサイトで販売する形です。ZOZOのように、ブランドから商品を預かって売り、売れた分の手数料を受け取る形もあります。

4
月額の利用料(サブスク・SaaS)

動画や音楽の配信サービス、会社向けのクラウドのソフト(SaaS)は、毎月決まった料金を受け取ります。解約されない限り毎月の収入が続くため、安定したビジネスになります。

5
決済・金融の手数料

PayPayや楽天ペイのようなスマホ決済は、支払いを受けたお店から手数料を受け取ります。そこから、銀行、証券、カード、保険などの金融サービスにつなげて稼ぐ会社も多いです。

6
アイテム課金・有料プラン(フリーミアム)

基本は無料で使え、もっと便利に使いたい人だけが有料プランやアイテムにお金を払う形です。たとえば、LINEのスタンプや、アプリの広告なしプランなどがあります。

入ってからどうなっていく?

1〜3年目職種の基本を身につけるエンジニアなら小さな機能の開発、ビジネス職なら営業やカスタマーサクセス、マーケティングの運用などから始めます。ネット企業は若手にも早く仕事を任せる会社が多く、1年目から自分が作った機能が何百万人に使われることもあります。
4〜7年目一つのサービスや機能を任される機能全体の開発や、サービスのマーケティング全体など、より大きな責任を持ちます。プロダクトマネージャーやチームリーダーになる人も出てきます。より良い条件を求めて、ほかのネット企業や外資系IT企業に転職する人も多い時期です。
8〜15年目チームや事業の責任者エンジニアリングマネージャー、プロダクトの責任者、事業部長などとして、チームと事業の成果に責任を持ちます。技術を極めて、会社を代表するスペシャリストになる人もいます。
40代経営幹部CTO、CPO、CMOなど、会社の技術、プロダクト、マーケティングの最高責任者や、役員として経営にかかわります。新しい事業や会社の買収の判断を任されることもあります。
50代以降経営と次の世代の育成社長や役員として会社を率いる人のほか、スタートアップへの投資家や、若い起業家のアドバイザーとして活躍する人もいます。
よくある転職・独立会社を移る・自分で作るネット業界は、会社を移りながら経験と年収を上げる人がとても多い業界です。大手からスタートアップへ、スタートアップから大手へと移る人も多く、自分でサービスを作って起業する人も少なくありません。フリーランスのエンジニアやデザイナーとして働く人もいます。

アプリの新機能が生まれて改善されるまで

1
課題を見つける

利用データやユーザーの声から、困っていることや、使われていない機能を見つけます。

2
企画と優先順位

プロダクトマネージャーが解決策を考え、どの機能から作るかを決めます。

3
デザイン

デザイナーが画面の流れと見た目を作り、試作品でユーザーにテストしてもらいます。

4
開発

エンジニアがプログラムを書き、仲間とコードレビューをしながら機能を作ります。

5
テストとリリース

不具合がないかを確かめてから公開します。一部のユーザーだけに先に出すこともあります。

6
効果の測定

データアナリストが利用データを分析し、目標の数字が上がったかを確かめます。

7
改善

結果をもとに、さらに良くする案を考え、また次の開発につなげます。

基本情報技術者試験(参考になる国家資格)

合格率回によって変動(情報処理推進機構が公表)
勉強時間の目安数か月〜半年程度の勉強が目安と言われます
受験資格受験資格なし(年齢・学歴の制限なし)
ネット業界で働くのに必須の資格ではありませんが、ITの基礎知識を幅広く身につけられるため、文系からエンジニアを目指す人や、ビジネス職の人にも役立ちます。受験資格がなく、高校生で合格する人もいます。プログラムを読む問題があるため、実際にプログラミングに触れておくと理解しやすくなります。
試験科目(押すと中身が見られます)
合格までの流れ
  1. 申込み情報処理推進機構(IPA)のサイトから申込み、受験する日と会場を選びます。
  2. CBT試験全国のテストセンターでパソコンを使って受験します。ほぼ通年で受験できます。
  3. 合格科目Aと科目Bの両方で基準点を取ると合格です。上の段階に応用情報技術者試験があります。

Web・ネットサービスのある1日

9:30

(ネット企業のWebエンジニアの例)出社またはリモートで仕事を始め、チャットとエラーの通知を確認します。

10:00

チームの朝会(デイリースクラム)で、昨日やったこと、今日やること、困っていることを共有します。

10:30

新しい機能のプログラムを書きます。集中できるように、この時間は会議を入れないチームもあります。

12:30

昼休み。社内のカフェで、ほかのチームの人と情報交換をします。

13:30

仲間が書いたプログラムを確認するコードレビューを行い、改善点をコメントします。

15:00

プロダクトマネージャー、デザイナーと次の機能の仕様について話し合います。

16:00

テストを終えた機能をリリースし、エラーが出ていないか、利用データを見て確認します。

18:30

明日の作業を整理して仕事を終えます。週に一度は、社内の勉強会で新しい技術を学びます。

もっと知りたい人へ

そもそもWeb・ネットサービス業界とは

Web・ネットサービス業界は、インターネットを使って、人々の生活や会社の仕事を便利にするサービスを作って提供する会社の集まりです。メーカーのように形のある物を作るのではなく、スマホのアプリやWebサイトという形で、情報、つながり、買い物、娯楽、仕事の道具を届けます。たとえば、朝起きてLINEで友だちと連絡をとり、Yahoo!ニュースを読み、メルカリで服を売り、PayPayでジュースを買い、夜にYouTubeで動画を見るという一日は、すべてこの業界のサービスに支えられています。会社の仕事でも、勤怠の管理、名刺の管理、会計、オンライン会議などに、ネットのサービスが広く使われています。この業界は、スマホの普及とともに急速に大きくなり、日本でも海外でも、時価総額の大きな会社の多くがネット企業になっています。

IT業界との関係

ネットサービス業界は、IT業界の一部です。IT業界には、ほかに、会社や役所のシステムを作るSIer(エスアイヤー)や、パソコンや通信の会社もあります。ネットサービスの会社は、自分たちのサービスを自分で作って運営する「自社サービス」の会社であることが大きな特徴です。

海外の巨大ネット企業

Google、Apple、Meta(FacebookやInstagram)、Amazon、Microsoftなどのアメリカの巨大IT企業は、世界中で使われるサービスを持ち、日本のネット企業にとっては強力なライバルでもあります。一方で、日本の会社は、日本の生活に合ったきめ細かなサービスで強みを持っています。

ネットサービスの種類(SNS・EC・アプリ・SaaS)

ネットサービスは、大きくいくつかの種類に分けられます。SNS・メディアは、LINE、X、Instagram、YouTube、ニュースアプリなどで、人と人のつながりや情報を届け、主に広告で稼ぎます。EC(ネット通販)は、楽天市場、Amazon、ZOZOTOWN、Yahoo!ショッピングなどで、商品の販売や出店の手数料で稼ぎます。CtoC(個人どうしの取引)は、メルカリなどのフリマアプリで、2024年の市場規模は約2.5兆円です。スマホ決済・金融は、PayPayや楽天ペイなどで、支払いの手数料や金融サービスで稼ぎます。SaaSは、会社向けのクラウドのソフトで、Sansan(名刺管理)、freee(会計)、SmartHR(人事・労務)などがあり、月額の利用料で稼ぎます。ほかに、食べログや価格.comのような比較・口コミサイト、出前館のようなデリバリー、動画・音楽の配信サービスなどもあります。

BtoC・BtoB・CtoC

BtoCは会社が一般の消費者にサービスを提供すること(たとえばネット通販)、BtoBは会社が会社にサービスを提供すること(たとえば会社向けのソフト)、CtoCは個人どうしが取引すること(たとえばフリマアプリ)です。同じネットの会社でも、誰を相手にするかで仕事の内容が大きく変わります。

スーパーアプリ

一つのアプリで、メッセージ、支払い、買い物、ニュース、銀行などのサービスをまとめて使えるようにしたアプリのことです。LINEヤフーや楽天グループは、たくさんのサービスをつなげて、ポイントでユーザーを囲い込む「経済圏」を作っています。

無料なのにもうかる仕組み

ネットサービスの多くが無料で使えるのは、ユーザー以外からお金をもらったり、一部の人だけからお金をもらったりする仕組みがあるからです。広告モデルでは、たくさんのユーザーが集まる場所に、広告を出したい会社がお金を払います。手数料モデルでは、フリマアプリのように、物が売れたときにだけ売上の一部を受け取ります。フリーミアムモデルでは、基本の機能は無料で、もっと便利な機能を使いたい人だけが有料プランに入ります。どの仕組みでも、まずはたくさんの人に使ってもらうことが大切で、そのために最初は大きな赤字を出しても広告やキャンペーンにお金を使う会社が多いです。たとえば、スマホ決済のサービスが始まったころに大規模なポイント還元キャンペーンが行われたのは、まず使う人とお店を一気に増やすためでした。

ネットワーク効果

使う人が増えるほど、サービスの価値が高くなる効果のことです。たとえば、メッセージアプリは、友だちがみんな使っているからこそ便利になります。この効果があるため、一度多くの人に使われたサービスは、ライバルに追い抜かれにくくなります。

LTVとCAC

LTVは一人のユーザーがサービスを使い続ける間に払ってくれる金額の合計、CACは一人のユーザーを獲得するためにかかった広告などの費用です。LTVがCACより十分大きければ、最初に広告にお金をかけても、最終的にもうかることになります。

なるためのルート

Web・ネットサービス業界に入るのに、必要な資格や学部はありません。エンジニアは、情報系の学部や理工系の出身者が多いですが、文系出身でもプログラミングを独学で学んで活躍している人がたくさんいます。ビジネス職は、文系・理系を問わず、さまざまな学部から採用されています。大学在学中に、長期インターンでネット企業で働いたり、自分でアプリを作ったりした経験が、選考で大きな強みになります。高専や専門学校を卒業してエンジニアとして入社する人もいます。

  1. 高校で基礎を固める数学(特に確率・統計)、情報、英語をしっかり学びます。授業の「情報I」で学ぶプログラミングやデータの扱いは、この業界の基本です。
  2. 進学先を選ぶエンジニアを目指すなら情報系・理工系の学部や高専、ビジネス職なら経済・経営・商学部など幅広い学部が選べます。デザイナーは美術系やデザイン系の学部の出身者も多いです。
  3. 在学中に作る・働く自分でWebサイトやアプリを作る、プログラミングのコンテストに出る、ネット企業で長期インターンをする、などの経験を積みます。
  4. 就職活動大学3年の春〜夏のインターンから早期選考が始まる会社が多いです。エンジニアはコーディング試験や技術面接、ビジネス職は複数回の面接が中心です。
  5. 入社と配属入社後は研修を受けて、エンジニア、デザイナー、ビジネスなどの職種ごとのチームに配属されます。

試験・選考の詳細

エンジニア職の選考では、プログラミングの問題をオンラインで解くコーディング試験、技術について話す技術面接、これまで作ったもの(GitHubのコードやアプリ)の確認があることが多いです。デザイナー職では、これまでの作品をまとめたポートフォリオが重視されます。ビジネス職では、エントリーシート、適性検査、複数回の面接に加えて、グループワークや、サービスの改善案を考えるケース面接を行う会社もあります。資格は必須ではありませんが、基本情報技術者試験や応用情報技術者試験などの国家資格は、ITの基礎知識の証明として役立ちます。サイバーエージェントやLINEヤフーなどは、インターンシップの成績が良かった学生を早期に採用することでも知られています。

ポートフォリオとは

自分が作ったアプリやWebサイト、デザインなどの作品をまとめたものです。エンジニアやデザイナーの選考では、学歴よりもポートフォリオで実力を見られることが多くあります。

ビジネス職の面接

「好きなアプリと、その改善点」「なぜこのサービスが成長したと思うか」などがよく聞かれます。ふだん使っているサービスを、作る側の目線で考える習慣をつけておくと役立ちます。

年収のリアル

Web・ネットサービス業界の年収は、会社と職種、成果によって大きな差があります。有価証券報告書(単体)の平均年間給与は、メルカリが1,233万円(2026年6月期)、サイバーエージェントが914万円(2025年9月期)、LINEヤフーが902万円(2026年3月期)、ZOZOが856万円(2026年3月期)、楽天グループが851万円(2025年12月期)、Sansanが810万円(2026年5月期)、カカクコムが755万円(2026年3月期)、出前館が662万円(2025年8月期)などとなっています。エンジニアやプロダクトマネージャー、データサイエンティストは人材の取り合いが激しく、経験を積むと年収が大きく上がりやすい職種です。一方で、創業して間もないスタートアップでは、給料は控えめな代わりにストックオプション(会社の株を決まった値段で買える権利)がもらえることもあります。

転職で年収が上がる業界

ネット業界では、スキルの高い人が会社を移るときに、より高い年収で迎えられることがよくあります。年功序列より、何ができるかで年収が決まる会社が多いのが特徴です。

外資系IT企業

GoogleやAmazonなどの外資系IT企業の日本法人は、エンジニアを中心に年収の水準がさらに高いと言われています。ただし、成果への期待も高く、英語を使う場面も多いです。

アプリの機能ができるまで(開発の流れ)

ネットサービスの開発は、「作って、出して、確かめて、直す」をすばやく繰り返すのが特徴です。まず、プロダクトマネージャーがデータやユーザーの声から課題を見つけ、どんな機能を作るかを決めます。デザイナーが画面を作り、エンジニアがプログラムを書き、テストをしてから公開します。公開したあとは、データを見て、ユーザーが実際に使っているか、目標の数字が上がったかを確かめ、結果をもとにまた改善します。このような開発の進め方をアジャイル開発と呼び、1〜2週間ごとに機能を少しずつ出していくチームが多いです。たとえば、皆さんのスマホのアプリが毎週のようにアップデートされるのは、こうした開発の進め方をしているからです。

アジャイル開発とスクラム

アジャイル開発は、最初にすべてを決めずに、短い期間で作って確かめることを繰り返す開発の方法です。スクラムはその代表的なやり方で、毎日の短い朝会や、1〜2週間ごとの振り返りを行います。

障害対応

サービスに不具合が起きて使えなくなることを障害と呼びます。たくさんの人が使うサービスでは、夜中でもすぐに対応できるように、エンジニアが交代で待機する仕組み(オンコール)を作っている会社もあります。

やりがい

この業界の最大のやりがいは、自分が作ったものが、何百万人、何千万人という人に使われることです。電車の中で、知らない人が自分のかかわったアプリを使っているのを見かけることもあります。データを見れば、自分の改善でどれだけ使う人が増えたかがすぐにわかるので、成果を実感しやすい仕事です。若いうちから大きな仕事を任される会社が多く、成長のスピードが速いのも魅力です。新しい技術が次々に生まれる業界なので、学び続けることが好きな人にとっては、毎日が刺激的です。

世の中を便利にする

買い物、支払い、連絡、仕事など、人々の生活の「面倒くさい」を解決できるのがネットサービスです。自分のアイデアで、社会の当たり前を変えられる可能性があります。

自由な働き方

リモートワークや、働く時間を自分で決められるフレックスタイムを取り入れている会社が多いです。服装も自由な会社が多く、自分らしく働きやすい環境があります。

大変なこと・きついこと

ネット業界は変化がとても速く、今人気のサービスが数年後には使われなくなることもあります。新しい技術や流行を学び続けなければ、すぐに取り残されてしまいます。サービスに障害が起きると、夜中や休日でもすぐに対応しなければならないことがあります。また、多くのユーザーの個人情報を扱うため、情報の流出などの事故が起きると、大きな社会問題になる責任の重さがあります。スタートアップでは、会社の業績が急に悪くなったり、事業が終わったりするリスクもあります。

成果へのプレッシャー

成果が数字ではっきり見えるため、目標に届かないと厳しく評価されることがあります。実力主義の会社が多く、年齢に関係なく結果が求められます。

ユーザーからの厳しい声

サービスの変更に対して、SNSやアプリのレビューで厳しい意見が寄せられることもあります。多くの人の声を受け止めながら、より良いものを作っていく粘り強さが必要です。

向いている人

新しいアプリやサービスを試すのが好きで、「もっとこうしたら便利なのに」と考えるのが好きな人に向いています。変化を楽しめる人、学び続けることが苦にならない人が活躍できる業界です。エンジニアは、論理的に考えることやものを作ることが好きな人、データサイエンティストは数学や統計が好きな人に合っています。ビジネス職は、人と話すことと、数字で考えることの両方が好きな人が向いています。自分で考えて動くことが求められる会社が多いので、指示を待つより、自分から提案するのが好きな人に合っています。

ユーザー目線を持てる人

自分が作りたいものより、使う人が本当に困っていることを考えられる人が、良いサービスを作れます。家族や友だちがアプリのどこで困っているかを観察するのも良い練習です。

チームで働ける人

一つのサービスは、エンジニア、デザイナー、企画、営業など、たくさんの職種の人で作ります。自分とちがう考えの人と協力できることが大切です。

高校生のうちにできること

まずは、プログラミングに触れてみましょう。高校の「情報I」の授業に加えて、無料の学習サイトでWebサイトを作ってみたり、簡単なアプリを作ってみたりすると、この業界の仕事のイメージがわきます。数学、特に確率と統計は、データ分析の基本になるのでしっかり学んでおきましょう。英語は、最新の技術の情報の多くが英語で書かれているため、読む力があると大きな強みになります。ふだん使っているアプリについて、「なぜ無料なのか」「どうやってもうけているのか」「どこを改善したら良くなるか」を考える習慣をつけると、ビジネスの目が育ちます。

作ってみる

自分の部活のWebサイトや、文化祭の出し物を紹介するページを作ってみましょう。実際に人に使ってもらって感想を聞くことは、ネットサービスの開発と同じ流れです。

コンテストに挑戦する

高校生向けのプログラミングコンテストや、アプリ開発のコンテストもあります。作品を作り上げる経験は、大学入試や将来の就職活動でもアピールになります。

代表的な会社・職場

日本の大手ネット企業には、LINEとYahoo! JAPANを運営するLINEヤフー、楽天市場や楽天カード、楽天モバイルを持つ楽天グループ、フリマアプリのメルカリ、広告・ABEMA・ゲームを手がけるサイバーエージェント、ファッション通販のZOZO、食べログや価格.comのカカクコムなどがあります。スマホ決済では、PayPay(ソフトバンクとLINEヤフーのグループ)が大きな存在です。SaaSでは、Sansan、freee、マネーフォワード、SmartHRなどが成長しています。外資系では、Google、Amazon、Meta、Microsoftなどの日本法人が多くの人を採用しています。ほかに、医療のネットサービスのエムスリー、デリバリーの出前館、DeNA、MIXI、GMOインターネットグループなども代表的な会社です。

スタートアップ

創業して間もない成長中の会社をスタートアップと呼びます。少人数で、新しいサービスを一気に大きくすることを目指しています。若いうちから会社の中心で働けるチャンスがあります。

事業会社のデジタル部門

最近は、銀行、小売、メーカー、鉄道会社なども、自分たちのアプリやネットサービスを作るために、エンジニアやデザイナーを採用しています。ネットサービスの仕事は、ネット企業だけのものではなくなっています。

これからのWeb・ネットサービス業界

これからのネット業界で最も大きな変化は、生成AIの広がりです。文章や画像、プログラムを作るAIがサービスの中に組み込まれ、検索、買い物、カスタマーサポート、会社の仕事のやり方が大きく変わりつつあります。エンジニアの仕事でも、AIがプログラムを書く手伝いをするようになり、何を作るかを考える力がより大切になっています。また、ネット通販の広がりで、物販のEC化率は2024年に9.8%まで上がりましたが、まだ伸びる余地があると考えられています。一方で、個人情報の扱い、子どもや若者のSNSの使い方、巨大IT企業の力の強さなどについて、国や社会のルールづくりも進んでいます。

AIとネットサービス

AIに質問すると答えてくれるサービスや、AIが服のコーディネートを提案するサービスなど、新しい使い方が次々に生まれています。AIを使って、これまでにない便利さを生み出せる人が求められています。

安心・安全なネット

ネットでの詐欺や、個人情報の流出、SNSでの誹謗中傷などの問題も増えています。ユーザーを守る仕組みを作ることも、ネット企業の大切な責任になっています。

よくある質問

文系でもネット企業で働けますか?

働けます。営業、マーケティング、企画、カスタマーサクセス、人事など、文系出身者が多く活躍している職種がたくさんあります。文系からプログラミングを学んでエンジニアになる人もいます。

プログラミングはいつから始めればいいですか?

早く始めるほど有利になりますが、大学から始めてエンジニアになる人もたくさんいます。高校の「情報I」の授業をきっかけに、興味があれば自分で簡単なものを作ってみるのがおすすめです。

無料のアプリはどうやってもうけているのですか?

広告を出す会社から広告料をもらったり、一部の人だけが有料プランやアイテムにお金を払ったり、商品が売れたときに手数料をもらったりしています。ユーザーが無料で使えても、別のところからお金が入る仕組みになっています。

ネット業界は不安定ではありませんか?

変化が速く、サービスや会社の浮き沈みが大きい業界であることは事実です。ただし、エンジニアやマーケティングなどのスキルはどの会社でも求められるので、スキルを身につけておけば、会社が変わっても働き続けやすいと言われます。

情報系の学部に行かないとエンジニアになれませんか?

なれます。経済学部や文学部などから独学やプログラミングスクールでエンジニアになる人もいます。ただし、情報系の学部では、コンピューターの仕組みやアルゴリズムを体系的に学べるので、専門性を高めたい人には良い選択です。

AIが発達したら、エンジニアの仕事はなくなりますか?

AIがプログラムを書くのを手伝うようになり、仕事のやり方は変わっています。それでも、何を作るかを考えたり、AIの出したものが正しいかを確かめたり、複雑な仕組みを設計したりする仕事は、人が担い続けると考えられています。

SaaSとは何ですか?

インターネット経由で使う、会社向けのソフトのことです。パソコンにソフトを入れなくても、Webブラウザで使え、月ごとの料金を払って利用します。会計、勤怠管理、名刺管理、オンライン会議などがあります。

起業したい人にも向いていますか?

とても向いています。ネットサービスは、工場などの大きな設備がなくても、少ない人数で始められます。ネット企業で働きながら経験を積み、自分でサービスを作って起業する人がたくさんいます。

この分野のことば

年収について:有価証券報告書(単体)の平均年間給与の目安。メルカリ1,233万円(2026年6月期)、サイバーエージェント914万円(2025年9月期)、LINEヤフー902万円(2026年3月期)、ZOZO856万円(2026年3月期)、楽天グループ851万円(2025年12月期)、Sansan810万円(2026年5月期)、カカクコム755万円(2026年3月期)、出前館662万円(2025年8月期)。会社や職種、成果による差が大きく、ストックオプション(株を買う権利)などは含まれていないので、あくまで目安です。

数字はすべて公開データにもとづく目安です。出典は出典・サイトポリシーにまとめています。

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