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法廷の「判断する人」と「訴える人」。どちらも国に雇われた法律のプロです

裁判官・検察官

裁判官は、裁判所で争いごとや事件について最終的な判断を下す人です。たとえば、お隣さんとの土地の境界をめぐる争い、交通事故の賠償金、離婚や子どもの親権、そして万引きや詐欺などの刑事事件まで、法律にもとづいて「どちらの言い分が正しいか」「有罪か無罪か、刑はどのくらいか」を決めます。検察官(検事)は、警察と協力して事件を調べ、犯人とされる人を裁判にかける(起訴する)かどうかを決め、法廷で有罪を証明する役目を担います。どちらも司法試験に合格し、約1年の司法修習を終えたあと、国に採用されてなる国家公務員で、弁護士とあわせて「法曹三者」と呼ばれます。

平均年収の目安新任のころは年収600万円前後、20年ほどで1,000万円を超えるのが目安約600万〜2,000万円以上(最高裁長官は報酬月額209万5千円)
なるまでの難しさ★★★★★まず司法試験に合格する必要があります。2025年の司法試験は受験者3,837人のうち合格者1,581人(合格率41.20%)でしたが、受験するには法科大学院を修了するか、合格率が数%の予備試験に合格する必要があります。さらに、裁判官や検察官になれるのは司法試験合格者のうちのごく一部です。2025年4月に採用された新任判事補は90人、第77期の検事任官者は82人で、合格者全体の1割ほどにとどまります。修習中の成績や面接での評価も重視されます。
決めどき文系が中心

大学で法学部などに進むか、法科大学院を目指す段階で考え始める人が多いです。最終的に裁判官・検察官・弁護士のどれにするかは、司法修習中に決める人も多いです

どんな職種がある?

刑事裁判有罪か無罪か、刑の重さを決める裁判官+裁判員検察官訴える側被告人弁護人起訴する判決有罪を証明民事裁判お金・土地・家族などの争い裁判官判決・和解原告訴えた側被告訴えられた主張と証拠裁判官は判断する人、検察官は訴える人
日本では、刑事事件で起訴できるのは原則として検察官だけです

押すと、その職種の仕事内容・必要な力・キャリアが見られます。

裁判官・検察官の年収と昇進の流れ

司法修習生150〜250万円
司法試験合格後の約1年、24〜28歳ごろ

裁判所・検察庁・弁護士事務所で実務を学びます。修習生には国から月13万5千円の基本給付金などが支給されます。二回試験に合格し、採用されることが次に進む条件です。数字はおおまかな目安です。

判事補・新任検事550〜800万円
任官1〜5年目、25〜32歳ごろ

合議事件の左陪席や、地方検察庁での事件処理を担当します。事件を任されながら、判決書や起訴状の書き方を身につけます。数字は号俸と勤務地によって変わる目安です。

特例判事補・中堅検事750〜1,000万円
任官5〜10年目、30〜37歳ごろ

裁判官は1人で事件を担当できるようになり、検事は特捜部や公判部などの専門部署も経験します。出向や留学に出る人もいます。

判事(右陪席・単独)・検事900〜1,500万円
任官10〜20年目、35〜47歳ごろ

判事として多くの事件を1人で担当し、合議体では裁判長を支えます。判事8号(月54万6千円)から号俸が上がっていきます。

裁判長・地検の部長1,400〜1,900万円
任官20年目前後、45〜55歳ごろ

合議体の裁判長として判断の責任を負い、若手を育てます。検察では部長や次席検事として捜査全体をまとめます。

所長・高裁裁判長・検事正1,800〜2,100万円
50代〜

地方裁判所の所長や高等裁判所の裁判長、検事正など組織のトップを務めます。判事1号は月122万4千円です。

高裁長官・最高裁判事・検事総長2,100〜3,300万円
60代、ごく一部

高裁長官は月135万8千円〜146万6千円、最高裁判事と検事総長は月152万8千円、最高裁長官は月209万5千円です。ここまで進むのはほんのひと握りです。

年収は目安です。会社や地域、本人の働き方で大きく変わります。

働き方で何が違う?

裁判官(地方裁判所・高等裁判所)新任で600万円前後、判事で1,000万円超、裁判長クラスで1,500万円以上が目安

民事事件と刑事事件を担当する、もっとも一般的な裁判官の働き方です。地方裁判所で多くの事件を経験し、ベテランになると高等裁判所で控訴された事件を扱います。数年ごとに民事と刑事を行き来することが多いです。中立の立場で判断を下すことに集中できます。

良いところ独立して判断できる、報酬が憲法で守られている、社会的な信頼が高い

大変なところ事件の数が多い、全国転勤がある、判断の重圧が大きい

家庭裁判所の裁判官地裁の裁判官と同じ報酬表

離婚や相続などの家族の問題と、少年事件を担当します。家庭裁判所調査官や調停委員と一緒に、当事者の背景まで考えた解決を目指します。地裁と家裁を異動で行き来するのが一般的です。

良いところ家族や子どもの将来に深くかかわれる

大変なところ感情的な対立が激しく、心の負担が大きいこともある

検察官(検事)裁判官とほぼ同じ水準の俸給

警察と協力して事件を調べ、起訴するかどうかを決め、法廷で立証します。取り調べで人と向き合う時間が長く、チームで動く場面が多いのが特徴です。経験を積むと、法務省で法律を作る仕事を担当する人もいます。

良いところ真相を明らかにする手ごたえがある、チームで仕事ができる

大変なところ時間の制限が厳しく忙しい、全国転勤がある

簡易裁判所判事・副検事判事や検事より低めの俸給表

簡易裁判所判事は、比較的少ない金額の民事事件や軽い刑事事件を扱う裁判官です。司法試験を経ずに、裁判所書記官などとして長く働いた人が選考を経てなる道があります。副検事も、検察事務官などから試験を経てなる道があります。

良いところ司法試験を通らなくても目指せる道がある

大変なところ扱う事件の範囲が限られる

代表的な会社・職場

最上級の裁判所高等裁判所地方裁判所家庭裁判所簡易裁判所検察庁のトップ地方検察庁中央省庁研修機関
最高裁判所最上級の裁判所

日本の裁判所のトップで、15人の裁判官がいます。法律が憲法に違反していないかを最終的に判断します。裁判官の人事や裁判所全体の運営も担っています。

最高裁判事の報酬月額152万8千円、長官209万5千円(令和8年4月現在)
東京高等裁判所高等裁判所

関東地方などの地方裁判所の判決に対する控訴を扱います。知的財産高等裁判所も東京高裁の中にあります。

東京高裁長官の報酬月額146万6千円
大阪高等裁判所高等裁判所

近畿地方の控訴事件を扱います。全国の高等裁判所は8か所です。

報酬は全国共通の表による
東京地方裁判所地方裁判所

日本でいちばん規模の大きい地方裁判所です。民事・刑事ともに専門の部が多くあり、会社の倒産や知的財産の事件を扱う部もあります。

報酬は全国共通の表による
東京家庭裁判所家庭裁判所

東京の家族の問題と少年事件を扱います。家庭裁判所調査官も多く働いています。

報酬は全国共通の表による
全国の簡易裁判所簡易裁判所

140万円以下の民事事件や軽い刑事事件を扱う身近な裁判所で、全国に400か所以上あります。

簡易裁判所判事の俸給表による
最高検察庁検察庁のトップ

検事総長をトップとする検察庁の最上位の組織です。全国の検察の方針を決めます。

検事総長の俸給月額152万8千円
東京地方検察庁地方検察庁

東京の事件を扱う検察庁で、特別捜査部(特捜部)があります。新任検事の多くがここで勤務を始めます。

検察官の俸給表による
大阪地方検察庁地方検察庁

大阪の事件を扱い、特捜部があります。

検察官の俸給表による
法務省中央省庁

検察庁を所管する役所です。検事の一部は法務省に出向して、刑法などの法律の改正や国際的な仕事を担当します。

検察官の俸給表による
司法研修所研修機関

最高裁判所に置かれた研修機関で、司法修習生の教育や、裁判官の研修を行います。

教官は裁判官・検察官・弁護士が務める

どうやって稼いでいる?

税金みんなが納める国の予算毎年、国会で決める裁判官・検察官給料(報酬・俸給)金額は法律で決まる裁判の手数料罰金国の収入になる費用をまかなうほどではない憲法:在任中減らせない民事裁判の手数料の例(収入印紙)100万円を請求する裁判手数料1万円売上ではなく、法律と予算で給料が決まる
裁判官の報酬が守られているのは、政府や国会の顔色をうかがわずに判断できるようにするためです

裁判官と検察官は国家公務員なので、会社のように売上を上げる仕事ではありません。給料は国の予算(税金)から支払われ、金額は法律で決まっています。裁判所の運営費は国の予算の中の裁判所予算として、毎年国会で決められます。裁判を起こすときに当事者が払う手数料(収入印紙)もありますが、裁判所の費用をまかなうほどではありません。そのかわり、裁判官は自分の判断で給料が下がることがないように、憲法で報酬が守られています。

1
国の予算からの給与

裁判官の報酬と検察官の俸給は、国の一般会計予算から支払われます。景気によって給料が大きく上下することはありません。

2
報酬の保障(憲法)

裁判官の報酬は、在任中に減らすことができないと憲法で決まっています。政府や国会の顔色をうかがわずに判断できるようにするための仕組みです。

3
裁判の手数料

民事裁判を起こす人は、請求する金額に応じた手数料を収入印紙で納めます。たとえば100万円を請求する裁判なら手数料は1万円です。これは国の収入になります。

4
罰金・科料

刑事裁判で罰金刑が確定すると、罰金は国の収入になります。ただし、罰金はお金を集めるためではなく、罪に対する罰として科されるものです。

入ってからどうなっていく?

大学・法科大学院司法試験を目指す法学部などで学び、法科大学院に進むか、予備試験に合格して司法試験の受験資格を得ます。法科大学院に在学中でも、一定の条件を満たせば司法試験を受けられるようになりました。
司法試験合格〜約1年司法修習司法修習生として、裁判所・検察庁・弁護士事務所で実際の事件にふれながら学びます。この期間に教官から声をかけられたり、自分で志望を伝えたりして、裁判官や検察官への道が開けます。最後に「二回試験」に合格すると修習が終わります。
任官1〜5年目(20代後半〜30代前半)判事補・新任検事裁判官は判事補として合議事件の左陪席から始め、先輩から判決の書き方を学びます。検事は研修を兼ねた勤務の後、地方の検察庁で多くの事件を担当し、取り調べと起訴の判断を身につけます。
任官5〜10年目特例判事補・中堅検事裁判官は特例判事補となり、1人で事件を担当できるようになります。途中で弁護士事務所や官庁、海外留学などに出向する人もいます。検事は特捜部や公判部など専門の部署に配属され、難しい事件を任されます。
任官10〜20年目(30代後半〜40代)判事・ベテラン検事裁判官は任官10年で判事になり、合議体の右陪席や裁判長を務めます。検事は地検の部長や、法務省で法律の改正を担当する仕事に就くこともあります。
任官20年目以降(50代〜)所長・高裁判事・検事正裁判官は地方裁判所や家庭裁判所の所長、高等裁判所の裁判長などになります。ごく一部が高裁長官や最高裁判事になります。検事は検事正や検事長などの幹部になります。
退官後弁護士・公証人など裁判官の定年は70歳(最高裁と簡裁)または65歳(それ以外)、検察官の定年は段階的に65歳へ引き上げられています。退官後に弁護士や公証人、大学教授になる人が多く、途中で辞めて弁護士になる人もいます。

民事裁判が始まってから判決が出るまで

1
訴えの提起

原告が訴状を裁判所に出します。裁判所は内容を確認し、被告に訴状を送ります。

2
第1回口頭弁論

法廷で原告と被告が主張を述べます。被告が反論の書面を出します。

3
争点整理

裁判官が双方の弁護士と何度か話し合い、何が本当の争いのポイントかを絞り込みます。

4
証拠調べ・尋問

証人や当事者本人を法廷に呼び、質問をして事実を確かめます。

5
和解の試み

裁判官が双方に解決案を示し、話し合いでの解決を目指します。

6
判決

和解できなければ、裁判官が判決書を書き、法廷で言い渡します。

7
控訴・確定

不満がある側は高等裁判所に控訴できます。控訴がなければ判決が確定します。

司法試験(と司法修習・二回試験)

法科大学院を修了予備試験合格率は数%司法試験(2025年)41.20%受験者 3,837人合格者 1,581人司法修習(約1年)裁判所・検察庁・弁護士事務所で学ぶ二回試験合格で法曹の資格裁判官毎年100人前後検察官毎年100人前後弁護士など合格後も、採用はそれぞれ毎年100人前後
修習中の成績や面接での人柄の評価も、採用に大きくかかわります
合格率41.20%(2025年。受験者3,837人、合格者1,581人。予備試験合格者は90.68%)
勉強時間の目安法科大学院2〜3年を含めて、大学入学から最短で5〜6年ほど。勉強時間は数千時間以上といわれます
受験資格法科大学院の修了者(一定の条件で在学中も可)または予備試験の合格者。受験資格を得てから5年間で5回まで
司法試験の合格率は2025年で41.20%ですが、受験者はすでに法科大学院や予備試験を通ってきた人たちです。予備試験の合格率は数%と、日本の国家試験の中でもとくに難しい部類に入ります。さらに、裁判官・検察官は合格者の中から毎年それぞれ100人前後しか採用されないため、司法試験に受かればなれる仕事ではありません。修習中の成績や面接での人柄の評価も大きくかかわります。
試験科目(押すと中身が見られます)
合格までの流れ
  1. 受験資格を得る法科大学院を修了するか、予備試験に合格します。
  2. 司法試験(7月)論文式と短答式を数日かけて受けます。
  3. 合格発表(11月ごろ)短答式で基準を超え、論文式と合わせた総合点で合格が決まります。
  4. 司法修習(約1年)裁判所・検察庁・弁護士事務所で実務を学びます。
  5. 二回試験修習の最後の考試に合格すると、法曹の資格が得られます。
  6. 採用裁判官は最高裁判所の指名と内閣の任命、検察官は法務省の採用で仕事を始めます。

裁判官・検察官のある1日

8:30

裁判所に登庁し、今日法廷で扱う事件の記録を最終確認します(裁判官の場合)。

10:00

法廷で民事事件の弁論期日を開きます。1件あたり10〜15分ほどで、何件も続けて進めます。

11:30

裁判官室で、合議体の裁判長や右陪席と事件の結論について話し合う「評議」をします。

12:00

昼食。同じ部の裁判官や書記官と食べることもあります。

13:30

証人尋問の期日。証人に質問し、言っていることが信用できるかを見極めます。

15:30

弁護士と和解の話し合いをします。双方の意見を聞き、解決案を示します。

16:30

書記官と打ち合わせをして、次の期日の日程や必要な手続きを確認します。

17:30

判決書の起案をします。法廷のない日は一日中、記録を読み判決を書くことも多いです。

19:00

退庁。終わらない記録は自宅で読むこともあります。

もっと知りたい人へ

そもそも裁判官・検察官とは

裁判官は、法律にもとづいて争いや事件に結論を出す人です。検察官は、犯罪の疑いがある事件を調べ、裁判にかけるかどうかを決め、法廷で有罪を証明する人です。弁護士が依頼した人の味方をするのに対し、裁判官はどちらの味方でもない中立の立場、検察官は社会全体の利益を代表する立場にあります。日本の裁判官の定員は、判事2,155人、判事補842人、簡易裁判所判事806人と法律で決まっていて、弁護士(4万人以上)に比べるとずっと少ない人数です。

裁判所にはいくつかの種類がある

裁判所には、最高裁判所、高等裁判所(全国8か所)、地方裁判所、家庭裁判所、簡易裁判所があります。たとえば、交通事故の裁判はまず地方裁判所で開かれ、判決に不満があれば高等裁判所、さらに最高裁判所へと進めます。これを三審制といいます。

検察庁の種類

検察庁も裁判所に対応して、最高検察庁、高等検察庁、地方検察庁、区検察庁があります。トップは検事総長です。法務省の下にある組織ですが、事件の捜査や起訴の判断では、政治から独立して動くことが求められます。

なるためのルート

裁判官・検察官になるには、司法試験に合格し、司法修習を終えることが必要です。司法試験を受けるには、法科大学院を修了する(または在学中に条件を満たす)か、予備試験に合格するかのどちらかです。修習の最後の試験(二回試験)に合格したあと、裁判官は最高裁判所が作る名簿にもとづいて内閣が任命し、検察官は法務省に採用されます。弁護士として10年以上働いたあとで裁判官になる「弁護士任官」という道もありますが、人数はわずかです。

  1. 大学で法律を学ぶ法学部が多いですが、他の学部からでも目指せます。法曹コースのある大学なら早く進めます。
  2. 法科大学院修了または予備試験合格どちらかで司法試験の受験資格を得ます。
  3. 司法試験に合格毎年夏に実施され、短答式と論文式の両方で基準を超える必要があります。
  4. 司法修習(約1年)裁判所・検察庁・弁護士事務所で実務を学び、最後に二回試験に合格します。
  5. 任官・任検裁判官志望者は最高裁に、検察官志望者は法務省に採用を願い出て、面接などの選考を受けます。
  6. 判事補・検事として採用裁判官は判事補として、検察官は検事として仕事を始めます。
法科大学院ルート

大学卒業後に法科大学院(ロースクール)に進みます。法学部出身者は2年、それ以外の人は3年が基本です。法学部に3年で早期卒業して法科大学院に進む「法曹コース」を使うと、最短で大学入学から5年ほどで司法試験を受けられます。

予備試験ルート

予備試験は受験資格の制限がなく、高校生でも受けられます。合格すると法科大学院を出なくても司法試験を受けられます。2025年の司法試験では、予備試験合格者の合格率は90.68%と非常に高く、修習で成績上位の人も多いといわれます。ただし予備試験そのものの合格率は数%と低いです。

試験・選考の詳細

司法試験は、短答式(マークシート)と論文式(記述)からなる、数日間にわたる試験です。憲法・民法・刑法などの基本科目に加えて、選択科目を1つ選びます。合格したあとの司法修習中にも成績がつけられ、裁判官や検察官の採用では、修習中の評価、教官の推薦、面接が重視されます。採用人数は毎年それぞれ80〜100人前後と少なく、希望すれば誰でもなれるわけではありません。

裁判官の選考

最高裁判所が設けた「下級裁判所裁判官指名諮問委員会」という外部の委員を含む会議が、志望者が裁判官にふさわしいかを審査します。学力だけでなく、人柄や判断の公平さも見られます。

検察官の選考

修習中の検察実務の指導役である検察教官が、志望者の働きぶりを見ています。法務省の面接を受けて採用が決まります。検事はチームで動く仕事なので、協調性や粘り強さも重視されます。

年収のリアル

裁判官の報酬は法律で号俸ごとに決まっています。令和8年4月1日現在、判事1号は月122万4千円、判事4号は月85万2千円、判事8号は月54万6千円です。新任の判事補は、これより低い号俸から始まり、初任給調整手当などを含めて年収600万円前後が目安です。任官10年ほどで判事になると年収1,000万円を超えるのが一般的で、最高裁判事は月152万8千円、最高裁長官は月209万5千円です。検察官も同じように俸給が法律で決まっていて、検事総長は最高裁判事と同じ月152万8千円です。

大手法律事務所との比べ方

東京の大手法律事務所の弁護士は、若いうちから裁判官より高い年収になることがあります。そのため、収入だけで比べると裁判官・検察官は「高すぎない」仕事です。そのかわり、景気に左右されず、安定して上がっていく給与体系です。

転勤と手当

裁判官も検察官も、ほぼ3年ごとに全国を転勤します。勤務地によって地域手当の額が変わり、東京など都市部では高くなります。官舎(公務員宿舎)に住めることも多いです。

やりがい

自分の判断が、争いを終わらせ、人の人生を前に進める力になることが最大のやりがいです。たとえば、何年も続いた家族の争いが和解でまとまったとき、被害者が「話を聞いてもらえた」と感じられたとき、法律の専門家としての責任と意味を強く感じます。判決は判例として残り、社会のルールを形づくることもあります。検察官は、被害者の思いを受けとめて真相を明らかにし、社会の安全を守る実感があります。

独立して判断できる

裁判官は、憲法と法律と自分の良心だけにしたがって判断します。上司から「この事件はこう判決しなさい」と命令されることはありません。この独立性は、他の仕事ではなかなか得られないものです。

社会を変える判決

たとえば、過去には最高裁判所の判決をきっかけに、婚外子の相続分の差別をなくす法律改正が行われました。1つの判決が法律を変えることもあります。

大変なこと・きついこと

まず、仕事の量が多いことです。1人の裁判官が同時に担当する事件は数百件にのぼることもあり、記録を読む時間が足りず、家に持ち帰ることもあります。また、どちらかが必ず不満を持つ判断をし続ける精神的な重さがあります。刑事裁判では、人の自由や命にかかわる判断をしなければなりません。転勤が多く、家族の生活にも影響します。

転勤と家族

裁判官も検察官も、北海道から沖縄まで全国を転勤します。子どもの学校が変わったり、配偶者の仕事との両立が難しくなったりすることがあります。

検察官の重圧

逮捕された容疑者は、決められた日数のうちに起訴するかどうかを決めなければなりません。夜遅くまでの取り調べや、大きな事件では休日返上で働くこともあります。間違った起訴は、無実の人の人生を壊すことになるという重い責任があります。

向いている人

まず、長い文章を正確に読み、自分の考えを筋道立てて書くのが好きな人に向いています。どちらの言い分にも耳を傾け、自分の好き嫌いで判断しない公平さも欠かせません。検察官の場合は、人と向き合って話を聞き出す粘り強さと、正義感が求められます。どちらも何年も勉強を続ける必要があるため、コツコツ努力できることが大切です。

こんな人は楽しめる

ニュースを見て「なぜこの判決になったのだろう」と気になる人、ディベートで相手の意見の弱点を見つけるのが得意な人、推理小説で証拠から犯人を考えるのが好きな人は、この仕事の面白さを感じやすいです。

こんな人は大変かも

すぐに結果が出ないとやる気が続かない人や、転勤が絶対に嫌な人には、きつく感じられるかもしれません。人と話すのが苦手でも裁判官は務まりますが、法廷では当事者と向き合う場面が多くあります。

高校生のうちにできること

法律の勉強は大学からで十分ですが、その土台になる「読む力」と「書く力」は今から鍛えられます。新聞の社説やニュースの解説を読み、自分ならどう考えるかを短い文章にまとめる練習が役立ちます。実際の裁判は誰でも無料で見学できる(傍聴できる)ので、夏休みなどに近くの地方裁判所に行ってみるのもおすすめです。

裁判を傍聴してみる

裁判所の法廷は、原則として誰でも予約なしで入れます。たとえば、刑事事件の判決の日や、裁判員裁判を見ると、ドラマとは違う本物の裁判の雰囲気がわかります。裁判所のホームページに見学会の案内が出ていることもあります。

進路の選び方

文系・理系はどちらでも法曹は目指せますが、法学部に進む人が多いです。法曹コースを置いている大学に進めば、早く司法試験を受けられます。高校生でも受けられる予備試験に挑戦する人もいます。

代表的な会社・職場

裁判官の職場は全国の裁判所、検察官の職場は全国の検察庁です。裁判所は最高裁判所、高等裁判所8か所、地方裁判所と家庭裁判所が各50か所、簡易裁判所が全国に400か所以上あります。検察庁も同じように全国に置かれています。若いうちに法務省や外務省、民間企業、海外の大学などに出向して経験を積む人もいます。

裁判所の中の仲間

裁判所では、裁判官のほかに、手続きを支える裁判所書記官、家庭や少年の問題を調べる家庭裁判所調査官、事務官などが働いています。裁判官はこうした職員とチームで事件を進めます。

検察庁の中の仲間

検察庁では、検事と組んで捜査を支える検察事務官が働いています。検察事務官から試験を経て副検事、さらに検事になる道もあります。

裁判官と検察官と弁護士のちがい

3つとも司法試験に合格し、司法修習を終えた人がなる仕事ですが、立場が違います。裁判官は中立の立場で判断する人、検察官は国の立場で犯罪を訴える人、弁護士は依頼した人の立場で権利を守る人です。たとえば、刑事裁判では検察官が「この人は有罪です」と主張し、弁護士が被告人の言い分を伝え、裁判官が判断します。人数は弁護士がもっとも多く、裁判官と検察官は毎年の採用がそれぞれ100人前後です。

働き方のちがい

裁判官と検察官は国家公務員なので、給料は安定していますが転勤があります。弁護士は事務所に勤めるか自分で開業するかを選べ、収入の幅も大きいです。

行き来もできる

途中で裁判官や検察官を辞めて弁護士になる人は多く、逆に弁護士から裁判官になる人もわずかにいます。どれを選んでも、法律の専門家として長く働けます。

判事補から最高裁判事までの道のり

裁判官のキャリアは、判事補として10年、そのあと判事として長く働くのが基本の流れです。判事補は5年たつと特例判事補として1人で事件を扱えるようになります。判事になると、合議体の裁判長、地方裁判所の所長、高等裁判所の裁判長などへと進みます。最高裁判所の裁判官は15人だけで、裁判官出身者のほか、弁護士、検察官、学者、行政官出身者からも選ばれます。

10年ごとの再任

判事補も判事も任期は10年で、10年ごとに再任されるかどうかの審査があります。ほとんどの人は再任されますが、自動的ではありません。

国民審査

最高裁判所の裁判官は、衆議院選挙のときに国民審査を受けます。投票用紙に×をつけた人が多数になるとやめさせられる仕組みですが、これまでにやめさせられた人はいません。

よくある質問

裁判官と検察官、どちらになるかはいつ決めるのですか

多くの人は司法修習の期間中に決めます。修習では裁判所と検察庁と弁護士事務所の全部を経験するので、実際に働いてみて自分に合うほうを選べます。大学生のころから決めている人もいます。

理系でも裁判官や検察官になれますか

なれます。司法試験は学部を問わないので、理系の大学を出て法科大学院に進む人もいます。特許や医療の事件では、理系の知識が役立つこともあります。

裁判官は友達と飲みに行ったりできますか

もちろんできます。ただし、担当している事件の話は誰にもできませんし、公平さを疑われるような人付き合いには気をつけています。政治活動も禁止されています。

女性の裁判官は多いですか

2025年4月に採用された新任判事補90人のうち、女性は36人で40.0%でした。若い世代では女性の割合が高くなってきています。

検察官はドラマのように自分で捜査するのですか

多くの事件では、警察が捜査して検察に送り、検察官が取り調べや補充の捜査をして起訴を判断します。特捜部などでは、検察官が最初から自分たちで捜査する事件もあります。

判決に納得できないと言われたらどうするのですか

判決に不満がある人は、上の裁判所に控訴や上告をして、もう一度判断を求めることができます。裁判官は、なぜその結論になったのかを判決書で丁寧に説明することで、納得してもらえるよう努めます。

司法試験は何回でも受けられますか

受験資格を得てから5年以内に5回まで受けられます。その期間を過ぎると、もう一度受験資格を得る必要があります。

裁判官は休みが取れますか

公務員なので年次休暇があり、夏には法廷を開かない期間を作って休む人が多いです。ただし、記録を読む仕事は持ち帰りになることもあり、忙しさは担当する事件の数によります。

お金持ちになれる仕事ですか

裁判官や検察官は、生活に困ることはない安定した収入ですが、大手法律事務所の弁護士やビジネスで成功した人ほど高い年収になるわけではありません。お金よりも、公正な判断にかかわりたいという気持ちで選ぶ人が多い仕事です。

この分野のことば

年収について:裁判官の報酬月額は法律(裁判官の報酬等に関する法律)で決まっています。令和8年4月1日現在の表では、判事8号が月54万6千円、判事4号が月85万2千円、判事1号が月122万4千円です。これにボーナス(期末・勤勉手当)や地域手当が加わります。検察官も同じように法律で俸給が決まっていて、裁判官とほぼ同じ水準です。年収は号俸と勤務地で変わるため、ここでは目安として示しています。

数字はすべて公開データにもとづく目安です。出典は出典・サイトポリシーにまとめています。

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