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町の会社の「健康診断」をして、元気になる処方箋を書く経営のお医者さんです

中小企業診断士

中小企業診断士は、中小企業の経営の悩みを調べて、改善の方法をアドバイスする、経営コンサルタントの国家資格です。たとえば、売上が落ちてきた商店街のパン屋さんに「どの商品がもうかっているか」「お客さんはどの時間に来ているか」を分析して新しい売り方を提案したり、町工場が新しい機械を買うための国の補助金の計画書づくりを手伝ったりします。日本の会社の99%以上は中小企業で、その経営を支える専門家として国(経済産業省)が認めている資格です。弁護士や税理士と違って、資格がないとできない「独占業務」はありませんが、経営の知識を幅広く持つ証明として、会社員にも人気があります。

平均年収の目安約1,135万円経営コンサルタント全体の目安約400万〜1,500万円以上(会社員として持つか、独立するかで大きく差がある)
なるまでの難しさ★★★★★1次試験(7科目)と2次試験(4つの事例の筆記)の両方に合格する必要があります。2025年度は1次試験の合格率が23.7%、2次試験の合格率が17.6%で、両方を通る割合は単純計算で数%ほどです。経済、会計、法律、IT、生産管理など範囲がとても広く、2次試験は答えが公表されない記述式のため、対策が立てにくい試験です。
決めどき文系・理系どちらでも

高校では文理どちらでもよい。大学の経済学部・経営学部・商学部で学ぶ内容と重なるが、社会人になってから目指す人がとても多い

どんな職種がある?

押すと、その職種の仕事内容・必要な力・キャリアが見られます。

中小企業診断士の年収と昇進の流れ

受験生・資格取得前(会社員)350〜600万円
20代〜30代

会社で働きながら1次試験と2次試験の合格を目指します。合格して実務補習を終え、登録することが次の段階への条件です。

新人診断士(企業内または独立直後)400〜700万円
登録後1〜3年

会社では経営の知識を仕事に生かし、独立した人は公的機関の相談や補助金の支援で実績を積みます。先輩診断士とのつながりを作ることが次につながります。

中堅診断士500〜900万円
登録後3〜7年

得意分野を持ち、顧問先や継続的な仕事を任されるようになります。紹介で仕事が来るようになることが次の段階への条件です。

専門家として知られる診断士700〜1,500万円
登録後7年〜、40代〜

特定の分野で名前が知られ、大きなプロジェクトや講演、執筆を任されます。公的機関の委員を務める人もいます。

コンサルティング会社の経営者・トップ診断士1,000〜3,000万円
50代〜

自分の会社を作って複数の診断士をまとめたり、全国で講演したりします。収入の差がとても大きい段階です。

年収は目安です。会社や地域、本人の働き方で大きく変わります。

働き方で何が違う?

企業内診断士(会社員)勤め先の給与水準による

会社に勤めながら資格を持つ働き方で、診断士の多くがこのタイプです。資格の知識を企画、営業、財務などの仕事に生かします。休日に診断士協会の活動に参加し、副業として支援活動をする人もいます。

良いところ安定した収入を得ながら経営の知識を生かせる。独立の準備もできる

大変なところ資格だけで給料が上がるとは限らず、仕事と勉強や活動の両立が大変

独立診断士数百万円〜数千万円(差がとても大きい)

自分の事務所や会社を作り、コンサルティング、補助金の支援、公的機関の相談員、講師などの仕事を組み合わせて働きます。得意分野を打ち出して、ほかの診断士との違いを作ることが大切です。

良いところ働き方を自分で決められ、定年がない。いろいろな会社に深くかかわれる

大変なところ独占業務がなく、仕事を取る営業力がないと収入が安定しない

金融機関の診断士勤め先の給与水準による

銀行、信用金庫、政府系金融機関で働き、取引先の中小企業の経営を支えます。融資の判断や経営改善の支援に、診断士の知識を生かします。

良いところ多くの中小企業の経営を間近で見られ、収入も安定している

大変なところお金を貸す立場なので、会社の味方になりきれない場面もある

コンサルティング会社・シンクタンク500万〜1,000万円ほどが目安

経営コンサルティング会社やシンクタンクに勤め、企業の経営改善や国・自治体の調査を担当します。チームで大きなプロジェクトにかかわれます。

良いところ大きなプロジェクトにかかわれ、コンサルティングの技術を体系的に学べる

大変なところプロジェクトの締め切り前は忙しく、成果を強く求められる

代表的な会社・職場

国の機関公的な相談窓口経済団体政府系金融機関地域金融機関メガバンクコンサルティング業界団体個人事務所
中小企業基盤整備機構(中小機構)国の機関

中小企業を支える国の機関で、中小企業大学校の運営、専門家の派遣、経営相談などを行っています。

機構の給与規程による
よろず支援拠点公的な相談窓口

国が各都道府県に設けた無料の経営相談所です。診断士がコーディネーターや専門家として相談にのります。

-
商工会議所・商工会経済団体

地域の会社が集まる団体で、経営指導員が中小企業の相談にのります。セミナーや創業塾も開いています。

団体の給与規程による
日本政策金融公庫 ›政府系金融機関

国が出資する金融機関で、中小企業や創業する人にお金を貸し、経営の相談にものります。

公表資料による
信用金庫・地方銀行地域金融機関

地域の中小企業にお金を貸し、経営改善を支援する金融機関です。社員に診断士の取得をすすめるところもあります。

勤め先の給与水準による
メガバンクメガバンク

大企業から中小企業まで幅広くお金を貸す大手銀行です。法人営業の担当者が診断士を取ることもあります。

平均年収は有価証券報告書で公表
経営コンサルティング会社コンサルティング

中小企業や大企業の経営改善、事業計画づくりを手伝う会社です。診断士の資格を持つ社員が多く働くところもあります。

一般社団法人 中小企業診断協会業界団体

中小企業診断士の団体で、試験の実施や研修、研究会の運営などを行っています。

-
独立診断士の事務所個人事務所

独立した診断士が開く事務所や会社で、地域の中小企業のコンサルティングを担当します。

事務所により大きく異なる

›がついた会社は、会社図鑑で詳しく解説しています。

どうやって稼いでいる?

独立した診断士の収入の組み合わせ コンサル・顧問料 中小企業の経営改善 月ごと・1回ごと 補助金の申請支援 着手金と 採択の成功報酬 公的機関の相談員 商工会議所など 1日ごとの謝金 セミナー講師 経営や創業の セミナー・研修 執筆・調査 本や記事、国の調査 ある1日の例 10:00 顧問先 訪問 13:00 相談窓口 で3件 16:00 補助金の 計画書 19:00 セミナー で講師 会社員の診断士は給料 診断士の多くは、会社に勤めながら持つ 資格がないとできない仕事はない 仕事の種類を、自分で組み合わせる
独占業務がないぶん、得意分野を打ち出してほかの診断士との違いを作ることが大切です

中小企業診断士の収入のしくみは、働き方によって大きく違います。会社員として資格を持つ人は、会社から給料を受け取ります。独立した診断士は、中小企業からのコンサルティング料、国や自治体の補助金の申請支援の報酬、公的機関の相談員としての謝金、セミナーの講師料、執筆の原稿料など、いくつもの収入を組み合わせることが多いです。たとえば、平日の何日かは公的機関の相談窓口で働き、残りの日は顧問先の会社を訪問し、夜にはセミナーで講演するといった形です。独占業務がないぶん、自分で仕事の種類を作り出せるのが特徴です。

1
コンサルティング料・顧問料

中小企業と契約して、経営改善や事業計画づくりを手伝い、月ごとや1回ごとに報酬を受け取ります。長く付き合う顧問契約になると、収入が安定します。

2
補助金の申請支援の報酬

ものづくり補助金や事業再構築補助金など、国の補助金に申し込む会社の事業計画書づくりを手伝います。着手金と、採択されたときの成功報酬を組み合わせることが多いです。

3
公的機関の相談員・専門家派遣

商工会議所やよろず支援拠点、中小機構などから依頼を受けて、相談窓口を担当したり、専門家として会社に派遣されたりします。1日や1回ごとに謝金を受け取ります。

4
セミナー・研修の講師料

商工会議所や会社から依頼を受けて、経営やマーケティング、創業などのセミナーで講師をします。企業の社員研修を引き受けることもあります。

5
執筆・調査の報酬

経営に関する本や雑誌の記事を書いたり、国や自治体の調査を引き受けたりして報酬を受け取ります。

入ってからどうなっていく?

大学時代または社会人経営の知識を学ぶ時期経済学部、経営学部、商学部などで学んだ知識が試験と重なります。ただし、合格者の多くは社会人で、会社で働きながら1〜数年かけて合格を目指すのが一般的です。大学生のうちに1次試験に合格する人もいます。
試験合格〜1年目実務補習と登録2次試験に合格したあと、実務補習を受けるか、実際に中小企業の診断の仕事(実務従事)をして、決められた日数を満たします。そのあと経済産業大臣に登録して、正式に中小企業診断士を名乗れるようになります。
20代後半〜30代企業内診断士として経験を積む会社員として働きながら、資格の知識を仕事に生かします。休日には診断士協会の研究会に参加し、先輩診断士から実際のコンサルティングのやり方を学ぶ人もいます。
30代〜40代独立またはキャリアアップ独立して診断士として仕事を始める人や、コンサルティング会社、事業会社の経営企画部などに転職する人がいます。会社に残って管理職として活躍する人もいます。
40代〜50代得意分野を持つ専門家飲食業、製造業、事業承継、IT導入、海外進出など、得意な分野で名前が知られるようになります。顧問先を持ち、本の出版や講演で活躍する人もいます。
50代以降セカンドキャリアとしての独立会社を定年や早期退職で辞めたあと、長年の経験と資格を生かして独立する人も多いです。資格を5年ごとに更新すれば、年齢に関係なく続けられます。

中小企業を元気にするまで(経営支援の流れ)

相談の受付 「売上が落ちた」「人が辞める」 1 ヒアリングと現場の観察 話を聞き、お店や工場を見る 2 分析と問題の発見 強みと弱み、本当の問題は 3 改善策の提案 数字の見込みとともに 4 計画書と資金の準備 補助金や融資の申請も 5 6 実行の支援 毎月訪問して 社長と進み具合を確認 7 振り返り 1年後などに結果を見て 次の目標を立てる 長く付き合う顧問先に 紹介は商工会議所や銀行からも 提案して終わりではなく、実行まで支える
うまくいかないところは、社長と一緒にその都度直していきます
1
相談の受付

社長から「売上が落ちた」「人が辞めてしまう」などの相談を受けます。商工会議所や銀行から紹介されることもあります。

2
ヒアリングと現場の観察

社長や社員の話を聞き、お店や工場を見学します。決算書や売上データも集めます。

3
分析と問題の発見

集めた情報から、会社の強みと弱み、本当の問題がどこにあるかを整理します。

4
改善策の提案

売り方の見直し、作業の改善、人の配置の工夫などの方法を、数字の見込みとともに提案します。

5
計画書の作成と資金の準備

改善のための経営計画を作り、必要なら補助金や融資の申請を手伝います。

6
実行の支援

毎月訪問して、計画どおりに進んでいるかを社長と一緒に確認し、うまくいかないところを直します。

7
振り返りと次の目標

1年後などに結果を振り返り、次の目標を立てます。長く付き合う顧問先になることもあります。

中小企業診断士試験

1次試験(8月)7科目・マークシート 受験者 21,678人 1次の合格者 4,344人 23.7% 合格した年と翌年に、2次を受けられる 2次試験(10月ごろ)4つの事例・記述式 受験者 7,070人 最終合格 1,240人 17.6% 模範解答は公表されない 実務補習・実務従事 合格から3年以内に決められた日数 登録 経済産業大臣に登録して名乗れる 2025年度の数字 最初から最後まで通るのは数%ほど
口述試験は2026年度から廃止されました
合格率1次試験23.7%、2次試験17.6%(2025年度。1次は受験者21,678人中4,344人、2次は受験者7,070人中最終合格1,240人)
勉強時間の目安1次・2次を合わせて1,000時間前後と言われることが多い。働きながら1〜3年かけて合格する人が多い
受験資格制限なし(年齢・学歴を問わずだれでも受験できる)
中小企業診断士試験は、1次試験の合格率が23.7%、2次試験の合格率が17.6%(2025年度)で、単純に掛け合わせると最初から最後まで通るのは数%ほどです。1次試験は7科目と範囲がとても広く、経済、会計、法律、ITなど、まったく違う分野を一通り学ぶ必要があります。2次試験は記述式で、模範解答が公表されないため、何をどう書けば点になるのかがつかみにくいのが特徴です。弁護士や公認会計士ほどの勉強時間は必要ないものの、働きながら合格するには計画的な努力が欠かせない、難関の資格です。
試験科目(押すと中身が見られます)
合格までの流れ
  1. 1次試験(8月)7科目をマークシート式で2日間かけて受けます。全体で6割以上、各科目4割以上が合格の基準です。
  2. 2次試験 筆記(10月ごろ)4つの事例問題に1日で答えます。1次試験に合格した年と翌年の2回受けられます。
  3. 合格発表筆記試験の結果で合否が決まります。口述試験は2026年度から廃止されました。
  4. 実務補習・実務従事合格から3年以内に、実務補習を受けるか実務に従事して、決められた日数を満たします。
  5. 登録経済産業大臣に登録を申請し、中小企業診断士になります。

中小企業診断士のある1日

8:30

自宅の事務所でメールを確認し、今日訪問する会社の資料を見直します(独立診断士の一日の例)。

10:00

顧問先の製造業の会社を訪問し、社長と毎月の数字を確認します。新しい機械を入れたあとの生産量の変化を一緒に見ます。

12:00

移動しながら昼食をとります。

13:00

よろず支援拠点の相談窓口で、飲食店やお菓子屋さんなど3件の相談にのります。

16:00

カフェで、補助金の申請を手伝っている会社の事業計画書を仕上げます。

17:30

別の診断士とオンラインで打ち合わせをし、一緒に担当する会社の支援の分担を決めます。

19:00

商工会議所で、創業を考えている人向けのセミナーで講師をします。

21:00

帰宅して、翌日の訪問先の決算書を読み込みます。

もっと知りたい人へ

そもそも中小企業診断士とは

中小企業診断士は、中小企業支援法にもとづいて、経済産業大臣が登録する経営コンサルタントの国家資格です。会社の経営を「診断」して、元気になるための「処方箋」を書くことから、この名前がついています。たとえば、近所のスーパーや工務店、町工場、旅館など、私たちの身の回りにある会社のほとんどは中小企業です。こうした会社は、大企業のように経営企画の専門部署を持たないことが多く、外部の専門家として診断士がアドバイスをします。国や自治体が中小企業を支援するときにも、診断士が専門家として活躍しています。

独占業務がない資格

弁護士や税理士には、資格がないとできない独占業務があります。一方、中小企業診断士には独占業務がなく、資格がなくても経営コンサルタントとして働くことはできます。そのぶん、資格を持つことは「経営を幅広く学び、国の試験に合格した」という信頼の証明になります。

会社員にも人気がある理由

試験では、経済、会計、マーケティング、組織、法律、IT、生産管理など、会社の経営に必要な知識を一通り学びます。そのため、将来の管理職や経営企画の仕事を目指す会社員が、知識を体系的に身につけるために挑戦することが多い資格です。

なるためのルート

中小企業診断士になるには、1次試験に合格したあと、2次試験に合格して実務補習を修了するルートと、1次試験に合格したあと国が登録した養成課程を修了するルートがあります。どちらも、最後に経済産業大臣に登録して診断士になります。多くの人は、会社で働きながら2次試験までの合格を目指します。養成課程は、中小企業大学校や一部の大学院で半年から2年ほど学ぶもので、費用はかかりますが、2次試験を受けずに資格を取れます。

  1. 1次試験に合格する毎年8月に行われる、7科目のマークシート式の試験です。科目ごとに合格を持ち越せる制度もあります。
  2. 2次試験か養成課程を選ぶ2次試験(筆記)を受けるか、養成課程に進むかを選びます。
  3. 2次試験に合格する10月ごろに行われる筆記試験で、4つの事例問題に記述式で答えます。口述試験は2026年度から廃止されました。
  4. 実務補習・実務従事合格後に、実際の中小企業を診断する実務補習を受けるか、実務に従事して決められた日数を満たします。
  5. 経済産業大臣に登録登録が認められると、中小企業診断士を名乗れるようになります。登録は5年ごとに更新します。
2次試験ルート

1次試験に合格すると、その年と翌年の2回、2次試験を受けられます。2次試験に合格したら、実務補習を受けるか、実際の診断の仕事に従事して日数を満たし、登録します。最も多くの人が選ぶルートです。

養成課程ルート

1次試験に合格したあと、中小企業大学校や登録された大学院の養成課程に入り、実際の企業の診断の実習を重ねながら学びます。大学院の場合はMBA(経営学修士)を同時に取れることもあります。

試験・選考の詳細

1次試験は、経済学・経済政策、財務・会計、企業経営理論、運営管理、経営法務、経営情報システム、中小企業経営・中小企業政策の7科目で、全体で6割以上、かつ1科目も4割未満がないことが合格の基準です。2025年度は受験者21,678人のうち4,344人が合格し、合格率は23.7%でした。2次試験は、組織・人事、マーケティング・流通、生産・技術、財務・会計の4つの事例問題に記述式で答える試験で、2025年度は受験者7,070人のうち1,240人が最終合格し、合格率は17.6%でした。2次試験は模範解答が公表されないため、自分の答えのどこがよかったのかがわかりにくく、対策が難しいと言われています。

1次試験の科目合格

1次試験では、6割以上の点を取った科目は、翌年と翌々年の試験でその科目の受験を免除してもらえます。そのため、何年かに分けて科目を積み上げていく人もいます。また、公認会計士や税理士、ITの国家資格などを持つ人は、関係する科目が免除されます。

2次試験の事例問題とは

2次試験では、架空の中小企業の様子が数ページにわたって書かれた文章を読み、「この会社の強みは何か」「売上を伸ばすにはどうすればよいか」といった問いに、100字前後の文章で答えます。財務・会計の事例では、決算書を使った計算問題も出ます。実際の診断のように、文章から会社の問題を読み取る力が問われます。

年収のリアル

中小企業診断士の年収は、働き方で大きく変わります。厚生労働省のjob tagでは、経営コンサルタント全体の平均年収は約1,135万円(令和7年賃金構造基本統計調査をもとにした目安)ですが、これには資格を持たないコンサルタントも含まれています。診断士の多くは会社員で、その場合は勤め先の給与水準がそのまま年収になります。独立した診断士は、仕事を取る力や得意分野によって、数百万円から数千万円まで差がとても大きいです。

会社員の場合

資格を取ったからといって、すぐに給料が上がるとは限りません。ただし、資格手当を出す会社や、昇進の評価に加える会社もあります。経営の知識を生かして、企画や管理職の仕事に就くことで、結果として収入が上がる人もいます。

独立した場合

独立診断士の収入は、どれだけ仕事を取れるかで決まります。公的機関の相談員の仕事で安定した収入を得ながら、顧問先や講演で収入を伸ばしていく人が多いです。最初の数年は会社員のころより収入が下がることもあります。

やりがい

中小企業診断士のやりがいは、自分のアドバイスで会社が元気になる様子を間近で見られることです。たとえば、閉店を考えていた商店街の洋菓子店が、商品の見せ方やSNSでの発信を変えたことで行列ができるようになったら、社長と一緒に喜べます。中小企業は地域の雇用や暮らしを支えているので、一つの会社を元気にすることは、地域を元気にすることにもつながります。また、いろいろな業種の会社にかかわれるので、毎日新しい発見があります。

社長の「相棒」になれる

中小企業の社長は、経営の悩みを相談できる相手が少ないことが多いです。診断士は、社長が安心して本音を話せる相手になり、一緒に会社の未来を考えるパートナーになれます。

知識が仕事にも人生にも役立つ

試験で学ぶ経営の知識は、会社員として働くうえでも、独立するうえでも役立ちます。自分で会社を作りたい人にとっても、大きな武器になります。

大変なこと・きついこと

中小企業診断士の大変なところは、資格を取っただけでは仕事が自動的に来ないことです。独占業務がないため、独立したら自分で仕事を取りにいく営業力が必要です。また、経営の知識は範囲が広く、法律や補助金の制度、ITの道具も次々に変わるため、勉強を続けなければなりません。会社員の場合は、仕事と勉強の両立が大変で、試験に合格するまで何年もかかる人もいます。

結果が出るとは限らない

どんなによいアドバイスをしても、会社の経営は景気や社長の判断などに左右されます。提案がうまくいかず、会社の業績が回復しないこともあり、責任の重さを感じる場面があります。

更新の手間

中小企業診断士の登録は5年ごとに更新が必要で、そのあいだに研修を受けたり、実際の診断の仕事をしたりする必要があります。資格を持ち続けるための努力も欠かせません。

向いている人

中小企業診断士に向いているのは、いろいろな会社やお店の「しくみ」に興味がある人です。たとえば、コンビニで「なぜこの商品はレジの近くに置いてあるんだろう」「この店はなぜいつも混んでいるんだろう」と考えるのが好きな人は、経営の分析を楽しめます。人の話を聞くのが好きな人、相手の立場に立って考えられる人、数字と文章の両方を使って説明できる人も向いています。

こんな高校生は向いているかも

文化祭の模擬店で、何をいくらで売ればもうかるかを考えるのが楽しかった人や、部活の運営で役割分担や予算を考えるのが得意な人は、経営の仕事に向いているかもしれません。

向いていないかもしれない人

決まった答えのある仕事を好む人や、初めて会う人と話すのが苦手な人には、大変に感じる場面があるかもしれません。診断士の仕事は、答えが一つではない問題に向き合うことが多いからです。

高校生のうちにできること

高校生のうちは、公民の「政治・経済」や「公共」で、経済の仕組みや企業の役割を学んでおくと、1次試験の経済学や中小企業政策の土台になります。数学の確率や統計、グラフの読み取りは、売上データの分析に役立ちます。国語の読解力は、2次試験の長い事例文を読み取るときに大切です。身の回りのお店がどうやってお客さんを集めているかを観察する習慣をつけるのも、立派な勉強です。

お店を観察してみる

よく行くお店について、「お客さんはどんな人が多いか」「どの時間に混んでいるか」「ほかの店と何が違うか」をメモしてみましょう。これは、診断士が実際に行う分析とよく似ています。

簿記やITパスポートに挑戦する

日商簿記3級やITパスポートは、高校生でも取れる資格で、診断士の1次試験の財務・会計や経営情報システムにつながる内容です。早めにふれておくと、大学や社会人になってから役立ちます。

代表的な会社・職場

中小企業診断士が働く場所は、とても幅広いです。独立した診断士は自分の事務所で働き、会社員の診断士は、銀行や信用金庫、メーカー、商社、IT企業などで働いています。公的機関では、中小企業基盤整備機構、商工会議所、商工会、各都道府県のよろず支援拠点などで、職員や専門家として活躍しています。日本政策金融公庫のような政府系の金融機関や、コンサルティング会社にも、資格を持つ人が多くいます。

金融機関

銀行や信用金庫では、取引先の中小企業を支える力を身につけるために、社員に資格の取得をすすめているところがあります。金融機関の社員は、診断士の中でも大きなグループの一つです。

公的支援機関

中小企業基盤整備機構や商工会議所、よろず支援拠点は、中小企業がだれでも相談できる窓口です。診断士が専門家として登録され、相談や会社への派遣を担当しています。

診断士があつかう経営の悩み

中小企業診断士のところには、さまざまな経営の悩みが持ちこまれます。売上を増やしたい(マーケティング)、もうけを増やしたい(コストの見直し)、人が足りない・辞めてしまう(組織・人事)、作業のムダを減らしたい(生産管理)、お金が足りない(資金繰り)、会社を子どもに継がせたい(事業承継)、ITを使って効率化したい(DX)などです。試験の7科目は、これらの悩みに答えるための知識にそのまま対応しています。

事業承継

社長が高齢になって、会社をだれに継がせるかに悩む中小企業が増えています。子どもや社員に継がせるのか、ほかの会社に売るのかなど、選択肢を整理して計画を作るのも、診断士の大切な仕事です。

DX(デジタル化)の支援

紙の注文書をやめてネットで受け付ける、在庫をアプリで管理するなど、中小企業のデジタル化を手伝う仕事も増えています。たとえば、町の文房具店がネットショップを始めるときに、どのサービスを使えばよいかを一緒に選びます。

独立診断士と企業内診断士のちがい

中小企業診断士は、独立して働く人と、会社に勤めながら資格を持つ人に大きく分かれます。登録者の多くは企業内診断士で、資格の知識を会社の仕事に生かしています。独立診断士は、コンサルティング、補助金の支援、相談員、講師などの仕事を組み合わせて生計を立てます。会社員として経験を積み、40代や50代で独立する人も多く、二つの働き方は行き来できる関係にあります。

企業内診断士の良いところ

会社員として安定した収入を得ながら、経営の知識で仕事の幅を広げられます。休日に診断士の活動に参加して、独立の準備をすることもできます。

独立診断士の良いところ

自分の得意分野や働き方を自由に選べます。定年がなく、成功すれば会社員より高い収入を得ることもできます。いろいろな業種の会社に深くかかわれるのも魅力です。

よくある質問

中小企業診断士の資格だけで食べていけますか

資格だけで自動的に仕事が来るわけではありません。独占業務がないため、独立するなら営業力や得意分野が大切です。一方で、公的機関の相談員や補助金の申請支援など、診断士が求められる仕事は多くあり、資格を生かして独立している人もたくさんいます。

高校生や大学生でも受けられますか

受験資格に制限はなく、年齢や学歴に関係なくだれでも受けられます。大学生のうちに1次試験に合格する人もいます。ただし、2次試験では実際の経営をイメージする力が求められるため、社会人になってから合格する人が多いです。

理系でも目指せますか

目指せます。試験には生産管理や情報システムの科目があり、工学部出身の人やエンジニアにとって得意な分野もあります。メーカーの技術者が、経営の知識を身につけるために資格を取ることもよくあります。

MBAとは何が違いますか

MBAは大学院で経営学を学んで得る学位で、中小企業診断士は国家試験に合格して得る資格です。学ぶ内容には重なる部分が多く、大学院の養成課程ではMBAと診断士の両方を目指せる場合もあります。

どのくらい勉強すれば合格できますか

一般に、1次試験と2次試験を合わせて1,000時間前後と言われることが多いです。働きながら1〜3年ほどかけて合格する人が多いです。

口述試験がなくなったと聞きました

2次試験の口述試験は、2026年度の試験から廃止されると発表されました。それまでは筆記試験に合格した人がほぼ全員合格する面接試験で、2025年度も口述試験に進んだ1,241人のうち1,240人が合格しています。

診断士の資格は一生有効ですか

登録は5年ごとに更新が必要です。更新するには、決められた研修を受けることや、実際に中小企業の診断や支援の仕事をすることが求められます。

経営コンサルタントとはどう違いますか

経営コンサルタントは仕事の名前で、資格がなくても名乗れます。中小企業診断士は、そのなかで国が認めた資格を持つ人です。特に中小企業の支援や国の制度にかかわる仕事で、資格が信頼の証明になります。

この分野のことば

年収について:厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)」の経営コンサルタント(別名に中小企業診断士を含む)の平均年収(令和7年賃金構造基本統計調査をもとにした目安)。この分類には資格を持たないコンサルタントや人事コンサルタントなども含まれるため、中小企業診断士だけの数字ではありません。会社員として資格を持つ人は、勤め先の給与水準によります。

数字はすべて公開データにもとづく目安です。出典は出典・サイトポリシーにまとめています。

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