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経済学部

お金の流れから社会のしくみを解く

経済学部は、物の値段の決まり方、景気、税金、貿易、格差、少子化など、社会の「お金とものの流れ」のしくみを学ぶ学部です。たとえば「なぜ人気のライブのチケットは高くなるのか」「なぜお米の値段が急に上がったのか」も経済学で説明できます。土台になるのはミクロ経済学、マクロ経済学、統計学(計量経済学)の3つで、そのうえで金融、財政、労働、国際経済、環境などのテーマに広げていきます。文系の学部ですが、グラフや数式、データ分析をよく使うので、数学の比重は大きめです。卒業後は金融、メーカー、商社、情報通信、コンサルティングなど幅広い業界に進み、公務員になる人も多いです。

よくある勘違い

お金のふやし方や株のもうけ方を学ぶ学部

実は

経済学は、人や会社や国がかぎられた資源をどう使い、どう分け合うかを研究する学問です。グラフや数式、統計データを使って、物価や賃金、格差、環境問題などの社会問題を分析します。

どんな学科・専攻がある?

経済学部ではどんな授業がある?

押すと、その授業の中身が見られます。

実習・実験・研究

経済学部の手を動かす学びの中心は、ゼミ(演習)と、データ分析の実習です。ゼミでは、経済学の教科書や論文を読んで報告したり、自分たちで集めたデータを統計ソフトやプログラミングで分析して発表したりします。他大学のゼミと研究発表を競う「インターゼミ(合同ゼミ)」に参加するゼミもあり、数か月かけてチームで論文を書き上げます。卒業論文が必修かどうかは大学によって違いますが、テーマを決めてデータを集め、分析し、政策の提案までまとめる経験は、社会に出てからの企画や分析の仕事に直接つながります。数式やプログラミングにつまずく人もいますが、仲間と教え合いながら乗りこえていくのもゼミの特徴です。

専門演習(ゼミ)2〜3年生から所属し、金融、労働、財政、国際経済、開発などテーマごとのゼミで学びます。輪読(教科書を分担して読み進める)、論文の報告、グループ研究などを行います。
データ分析・プログラミング実習政府の統計などのデータを使い、表計算ソフトや統計ソフト、プログラミング言語で分析する実習です。グラフの作り方から回帰分析まで、手を動かして身につけます。
インターゼミ・研究発表大会複数の大学のゼミが集まり、共通のテーマで研究発表や討論を行います。日本銀行が主催する大学生向けの政策コンテストなどに挑戦するゼミもあります。
卒業論文・ゼミ論文4年生で、自分のテーマについてデータや文献をもとに分析した論文を書きます。必修でない大学もありますが、書くことで分析力と文章力が大きく伸びます。
フィールドワーク・企業訪問地域経済や開発経済のゼミでは、自治体や企業、海外の現地を訪問して調査を行うことがあります。データだけではわからない現場の実感を得られます。
経済学の実験学生が参加者になって、市場の取引やゲーム理論の状況を教室で再現する授業もあります。理論どおりに人が動くかどうかを、自分の体験で確かめられます。

大学生活の流れ

学年ゼミ1年入門経済数学・統計学数学に慣れる2年中級科目ミクロ・マクロいちばん大変3年ゼミテーマを深めるインターン4年卒業論文データを分析就職活動ゼミに所属卒論・ゼミ論文1・2年で理論と数学の土台をつくり3・4年はゼミでデータを分析する
ゼミの選考が2年にある大学や、卒業論文が必修でない大学もあります
1年経済学入門、経済数学、統計学の基礎、教養科目と外国語を学びます。高校数学の復習から始める授業もあり、ここで数学に慣れておくことが大切です。
2年ミクロ経済学・マクロ経済学・計量経済学などの中級科目を学びます。経済学部でいちばん勉強が大変な時期という人も多いです。ゼミの選考がある大学もあります。
3年ゼミに所属し、金融、労働、国際経済など興味のあるテーマを深めます。インターンシップや就職活動の準備、公務員試験の勉強も始まります。
4年卒業論文やゼミ論文を書き、就職活動を行います。データを集めて分析し、結論を出すという4年間の学びのまとめの時期です。
大学院経済学研究科の修士・博士課程で研究を深めます。研究者のほか、シンクタンクや国際機関、政府系機関でエコノミストとして働くために進む人もいます。

取れる資格・免許

公認会計士受験資格の制限がなく、在学中から受験できます。令和7年の論文式試験の最終合格者は1,636人で、願書提出者に対する合格率は1割弱です。経済学は試験の選択科目にもあります。
税理士会計科目(簿記論・財務諸表論)は令和5年度から誰でも受験できます。税法科目は、大学で社会科学に属する科目を1科目以上履修して卒業するなどで受験資格が得られ、経済学部の学びが条件を満たします。
証券外務員・ファイナンシャルプランナー(FP)金融業界で働くうえで役立つ資格です。証券外務員は証券会社や銀行で金融商品を扱うために必要で、入社後に取ることが多いです。
日商簿記検定会社のお金の記録のしかたを証明する検定で、就職活動でもよく知られています。2級の統一試験の合格率は回によって15〜24%程度(2025〜2026年)です。
統計検定統計学の知識と活用力を証明する検定です。データ分析を重視する企業への就職や、大学院への進学をめざす人が受けることがあります。
中学校社会・高等学校公民の教員免許教職課程を置く大学で、所定の単位と教育実習を修めると取れます。

経済学部の卒業後の進路

経済学部一般企業いちばん多い採用の多い金融をはじめ、メーカー・商社・IT・コンサル・不動産など公務員(国家・地方)多い中央省庁や自治体で予算・経済政策国税専門官・財務専門官も人気公認会計士・税理士在学中や卒業後に試験に合格し、監査法人や会計事務所で働く大学院少数研究者やエコノミストをめざす公務員も多く、大学院へ進むのは少数多くは企業へ。業界も職種も幅広い

経済学部の卒業生の多くは一般企業に就職します。採用人数の多い金融業界をはじめ、メーカー、商社、情報通信、コンサルティング、不動産など業界は幅広く、職種も営業、企画、財務、マーケティングとさまざまです。公務員になる人も多く、財政や経済政策の知識を生かして中央省庁や自治体で働きます。研究者やエコノミストをめざして大学院に進む人もいますが、全体の中では少数です。

銀行・信用金庫 ›経済学部からの就職が多い業界です。企業にお金を貸す法人営業、個人の資産運用の相談、市場で資金を運用する仕事などがあります。たとえば、新しい工場を建てたいパン工場にお金を貸す、退職金をどう貯めておくか迷う人に投資信託や預金の組み合わせを提案する、といった仕事です。金融論やマクロ経済学の知識が生きます。証券・資産運用・保険 ›株式や債券の売買の仲介、企業の資金調達の支援、投資信託の運用などを行います。たとえば、ある会社が新しく株を発行して何百億円も集めるとき、その株を買ってくれる投資家を探すのも証券会社の仕事です。経済の動きを分析する力が直接求められる業界です。メーカー ›自動車、電機、食品などのメーカーで、営業、マーケティング、財務、経営企画などを担当します。為替や景気の変化が業績に大きく影響するので、経済の知識が役立ちます。総合商社 ›資源、エネルギー、食料などの貿易や、海外の事業への投資を行います。たとえば、オーストラリアの鉱山からとれた鉄鉱石を日本の製鉄会社に届けたり、海外のコンビニチェーンにお金を出して経営に加わったりします。国際経済の知識と語学力を生かせますが、採用の競争は激しいです。コンサルティング・シンクタンク ›企業の経営課題や政府の政策について、データをもとに分析し、解決策を提案します。たとえば「若者が減った地方のスーパーは、どの店を残してどんなサービスを始めればよいか」を、売上や人口のデータから考えます。経済学の分析手法がそのまま使える仕事です。IT・情報通信 ›データ分析やシステムの企画、営業などで活躍します。統計学やプログラミングを学んだ経済学部生は、データサイエンティストとして採用されることもあります。公務員(国家・地方) ›中央省庁や自治体で、予算づくりや経済政策、産業振興に関わります。たとえば、市の特産品を全国に売り出す計画をつくったり、物価が上がったときの家計への支援策を考えたりします。国家公務員総合職試験には「経済」区分があり、経済学の知識が試されます。国税専門官や財務専門官も人気です。公認会計士・税理士 ›在学中や卒業後に試験に合格し、監査法人や会計事務所で働く人もいます。経済学部からも毎年合格者が出ています。インフラ・不動産 ›電力、ガス、鉄道などのインフラ企業や、不動産会社で、事業計画や財務の仕事をします。長期的な投資判断に経済学の考え方が役立ちます。

もっと知りたい人へ

経済学部と商学部・経営学部のちがい

経済学部と商学部・経営学部はよく比べられます。大まかに言うと、経済学部は国や市場など社会全体のお金とものの流れを、商学部・経営学部は一つひとつの会社の活動を中心に学びます。経済学部は理論と数学、データ分析の比重が大きく、商学部・経営学部は会計やマーケティング、経営戦略など企業の実務に近い内容が多めです。ただし、どちらの学部でも相手の分野の授業を取れることが多く、就職先の業界にも大きな差はありません。

経済学部が合う人

社会全体のしくみや政策に興味がある人、データや数式で考えるのが好きな人、公務員や金融、シンクタンクに興味がある人です。

商学部・経営学部が合う人

会社の戦略や商品が売れる理由に興味がある人、会計やマーケティングを学びたい人、将来起業や家業をつぐことを考えている人です。

経済学で使う数学

経済学部では、需要と供給のグラフ、関数の最大・最小を求める微分、データを分析する統計などをよく使います。高校数学でいえば、数学IIの微分、数学Bの数列や統計的な推測、数学Cのベクトルや行列のような考え方が関係します。とはいえ、高度な数学がすぐに必要になるわけではなく、多くの大学では1年生で経済数学の基礎を学ぶ授業を用意しています。数学をどこまで使うかは大学やゼミによって大きく違います。

数学が苦手でも大丈夫?

入学後に基礎から学べる授業があるので、苦手でも対応できます。ただし避けて通ることは難しいので、苦手意識が強い人は高校のうちに数学IIまでは理解しておくと安心です。

数学が得意なら

数理経済学や計量経済学など、数学を本格的に使う分野で力を発揮できます。経済学の大学院や、データ分析を重視する企業でも数学の力は強みになります。

データサイエンスと経済学

近年、経済学の研究では、大量のデータをコンピュータで分析することが当たり前になっています。政府の統計だけでなく、ネット通販の購買データや位置情報など、新しい種類のデータも使われます。たとえば、スマホの位置情報から、連休に観光地にどれだけ人が集まったかを調べる研究もあります。そのため、統計学やプログラミングを重視したコースを設ける経済学部が増えています。企業でもデータを使って判断できる人材が求められていて、経済学部で学ぶ分析の力は就職活動でも評価されます。

EBPM(証拠にもとづく政策立案)

国や自治体では、データや研究結果にもとづいて政策を決める「EBPM」が進められています。経済学の分析手法は、政策の効果を確かめるのに欠かせません。

プログラミングは必須?

必須ではない大学も多いですが、ゼミや卒業論文でデータ分析をするなら、プログラミングを学んでおくと大きな武器になります。

向いている人

ニュースや社会のしくみに興味がある人、数字やグラフを見て考えるのが苦にならない人、「なぜ物の値段が上がるのか」「なぜ給料が上がらないのか」といった疑問をもつ人に向いています。また、感覚ではなくデータで判断したい人、理論と現実のずれを考えるのが好きな人も経済学を楽しめます。

こんな高校生はとくに合う

政治・経済の授業が好き、スーパーの値段の変化が気になる、ゲームの中の経済のしくみを考えるのが好き、数学のグラフ問題が得意、という人は経済学と相性がよいでしょう。

注意したい点

お金もうけの方法を教わる学部ではありません。株で成功するノウハウを期待して入ると、理論やデータ分析の多さに戸惑うかもしれません。

高校生のうちに(文理・受験科目)

文系コースからの受験が多いですが、国立大学では共通テストで数学が必要で、私立大学でも数学を選べる、または数学を必須にする入試があります。数学IA・IIBCを手放さないほうが、受けられる大学が広がり、入学後の勉強も楽になります。理系の数学で受験できる入試を用意している大学もあり、理系から経済学部に進む人もいます。

今からできること

新聞の経済面やニュースで、物価、金利、為替などの話題を追ってみましょう。わからない言葉を調べるだけでも、大学での学びの準備になります。経済学の入門書や新書を読んでみるのもおすすめです。

英語も大事

経済学の最新の研究は英語で発表されることが多く、ゼミで英語の論文を読むこともあります。英語の読解力もつけておきましょう。

よくあるギャップ

入学後にいちばん多いギャップは「思っていたより数学が多い」というものです。文系の学部だと思って入ったのに、微分やグラフ、統計の計算が毎週のように出てきて驚く人がいます。また、理論で使う経済の「モデル」は現実をかなり単純化しているため、最初は「現実と違う」と感じることもあります。しかし、単純化することで本質が見えてくることに気づくと、経済学のおもしろさがわかってきます。

授業の形式のギャップ

1〜2年生の基本科目は数百人規模の大教室の講義が多く、高校のように先生が一人ひとりを見てくれるわけではありません。わからないところは自分で質問しに行く積極性が必要です。

就職のギャップ

経済学部だからといって、金融業界に有利になるわけではありません。どの学部からも金融業界には就職できるので、学んだことをどう生かすかを自分で説明できることが大切です。

よくある質問

経済学部に入ると株やお金のもうけ方がわかりますか?

それが目的の学部ではありません。経済学は、市場や景気、政策など社会全体のしくみを研究する学問です。金融論やファイナンスで株式市場のしくみは学びますが、もうけ方を教わるわけではありません。

数学が苦手でも経済学部でやっていけますか?

入学後に経済数学の基礎を学ぶ授業があるので、やっていけます。ただし微分や統計はよく使うので、避けることはできません。高校の数学IIまでは理解しておくと安心です。

経済学部と商学部、どちらが就職に強いですか?

どちらが強いとは言えません。就職先の業界は大きく重なっていて、金融、メーカー、商社などにどちらの学部からも多く就職しています。学びたい内容で選ぶのがおすすめです。

理系でも経済学部に入れますか?

入れます。数学を重視する入試や、理系の数学で受験できる方式を用意している大学もあります。数学が得意な理系の人は、経済学の分析で力を発揮しやすいです。

公務員になるのに経済学部は役立ちますか?

役立ちます。公務員試験の専門試験には経済学(ミクロ・マクロ)や財政学が出題され、国家公務員総合職には経済区分もあります。ただし公務員試験は学部に関係なく受けられます。

経済学部で取れる資格はありますか?

卒業すると自動的にもらえる資格はほとんどありません。公認会計士、税理士、簿記検定、FPなどは試験に合格して取ります。税理士の税法科目は、大学で社会科学の科目を履修して卒業すると受験資格が得られます。

経済学部のゼミではどんなことをしますか?

教科書や論文の輪読、データ分析、グループ研究、他大学との研究発表などです。ゼミによっては企業や自治体と協力したプロジェクトもあります。

経済学を学ぶと日常生活で役立ちますか?

役立ちます。物価や金利、税金のニュースが理解できるようになり、自分のお金の使い方や将来の働き方を考えるときにも、経済学の考え方が生かせます。

大学院に進む人は多いですか?

多くはありません。卒業生の大半は就職します。研究者やエコノミスト、国際機関の職員をめざす人が大学院に進みます。

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