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パソコンの修理係ではなく、会社の仕組みをITで作り変える「社内のIT部長」

情報システム(社内SE)

情報システム(社内SE)は、自分が勤める会社の中で使うITの仕組みを企画し、選び、作り、守る職種です。たとえば、社員のパソコンやスマートフォンの用意、社内のネットワークやWi-Fiの管理、給料や在庫を管理するシステムの導入、ウイルスや不正アクセスから会社の情報を守るセキュリティ対策などを担当します。IT企業のSEが「お客さんの会社」のシステムを作るのに対して、社内SEは「自分の会社」のためにITを使う点がちがいます。最近は、紙やハンコの仕事をデジタルに置き換えるDX(デジタルトランスフォーメーション)の中心役としても注目されています。

平均年収の目安約610万円約400万〜1,200万円以上(会社の規模・役職・専門で差が大きい)
なるまでの難しさ★★★★★社内SEになるのに必須の資格はありません。ただ、パソコンやネットワークの基礎から、業務システム、セキュリティまで幅広いIT知識が必要で、会社の仕事の流れも理解しなければなりません。そのため新卒で社内SEとして採用される枠は多くなく、IT企業でSEとして経験を積んでから転職してくる人が多いです。基本情報技術者試験の2025年度の合格率は38.3%で、入り口の資格としてよく取られています。
決めどき理系が中心

大学3年の就活で事業会社のIT部門やIT子会社を志望するか、IT企業で数年経験を積んでから転職する

情報システム(社内SE)の中の、細かい担当

同じ情報システム(社内SE)でも、担当によって仕事はまったく違います。押すと、それぞれの仕事内容・必要な力・キャリアが見られます。

どんな会社にある?

情報システム部門は、ある程度の規模がある会社ならほぼどの業界にもあります。メーカー、銀行、小売、病院、大学、市役所など、パソコンとネットワークを使って働く職場には、それを管理する人が必要だからです。大企業では数十〜数百人規模の部署があり、IT子会社としてグループの外に分かれていることもあります。社員100人ほどの会社では1〜3人の「ひとり情シス」に近い状態で、パソコンの設定からセキュリティまで何でも担当します。銀行や鉄道のように、システムが止まると社会に大きな影響が出る業界では、特に重要な役割を持ちます。

どの学部の人が多い?

情報システムに多いのは、情報工学、電気電子工学、理学部などの理系の学部の出身者です。プログラミング、ネットワーク、データベースの基礎を大学で学んでいると、仕事の理解が早くなります。ただし文系出身の社内SEも多く、経済学部や商学部で学んだ会計や経営の知識は、会計システムや販売管理システムの導入で強みになります。入社後や転職前に独学や資格で知識を身につける人も多く、学部よりも、新しい技術を学び続ける姿勢と、社員の困りごとを聞き出す力が大切です。

情報システム(社内SE)の年収と昇進の流れ

担当者(ヘルプデスク・運用)350〜480万円
入社1〜3年、22〜25歳

問い合わせ対応、パソコンの設定、システムの日々の運用を担当します。社内のIT環境を一通り理解し、資格を取ることで次の段階に進みます。

専門担当・SE450〜650万円
入社4〜8年、26〜30歳

ネットワーク、セキュリティ、業務システムなどの専門を持ち、小さなプロジェクトを任されます。IT企業との調整を自分で回せることが求められます。

プロジェクトリーダー・主任600〜850万円
30〜36歳

基幹システムの刷新など大きなプロジェクトを率います。予算と期限を守り、多くの部署を巻き込んでやり遂げた実績が評価されます。

情報システム課長800〜1,100万円
36〜45歳

チームを率い、IT予算や中期IT計画を担当します。経営陣にIT投資の効果を説明し、部署全体の成果に責任を持ちます。

情報システム部長1,000〜1,400万円
45〜55歳

IT部門全体の責任者として、会社のIT戦略とセキュリティに責任を持ちます。DXの推進でも中心的な役割を担います。

CIO・CDO(役員)1,400〜2,500万円
50歳以降

IT・デジタルの最高責任者として経営会議に加わり、ITを使った会社の変革を率います。

年収は目安です。会社や地域、本人の働き方で大きく変わります。

働き方で何が違う?

大企業の情報システム部門30代で600万〜850万円、課長で900万〜1,200万円前後が目安

数十〜数百人の部署で、インフラ、セキュリティ、業務システム、IT企画などに担当が分かれています。大規模なシステムやプロジェクトにかかわれ、専門性を深められます。IT企業に開発を依頼し、管理する役割が中心になることが多いです。

良いところ待遇が安定し、大規模なプロジェクトを経験できる

大変なところ担当が細かく分かれ、自分で手を動かす機会が少ないこともある

中小企業の社内SE(ひとり情シス)400万〜650万円前後が目安

1〜数人で、パソコンの設定からネットワーク、セキュリティ、業務システムまで何でも担当します。幅広い経験が積め、自分の判断で仕組みを変えられます。一方で、相談できる人が少なく、休みを取りにくいことがあります。

良いところ幅広い技術が身につき、裁量が大きい

大変なところ一人に負担が集中しやすく、専門性を深めにくい

IT子会社500万〜900万円前後。親会社より低めのことが多い

大企業グループのシステムを専門に担当する会社です。親会社の業務を深く理解しながら、システムの開発や運用を専門的に行います。社内SEとIT企業のSEの中間のような立場です。

良いところIT専門の会社として技術を磨ける

大変なところ親会社の方針に左右されやすく、給料が親会社より低いことがある

ベンチャー・IT系事業会社450万〜900万円前後

ネットサービスやアプリを提供する会社では、社内のIT環境の担当(コーポレートIT)と、サービスの開発が分かれていることが多いです。クラウドや新しいツールを積極的に取り入れる文化があります。

良いところ新しい技術を試しやすく、スピード感がある

大変なところ仕組みが整っておらず、変化が激しい

代表的な会社・職場

事業会社大手SIer大手SIer・シンクタンク大手ITベンダークラウド・ソフトウェアクラウドサービスセキュリティ専門会社IT子会社
事業会社の情報システム部門事業会社

メーカー、金融、小売など、あらゆる業界の会社でITを担当します。社内SEの最も代表的な職場です。

会社全体の平均年収に準じる
NTTデータグループ ›大手SIer

官公庁や銀行、大企業のシステムを開発する日本最大級のIT企業です。社内SEがシステムを依頼する相手になることが多いです。

野村総合研究所 ›大手SIer・シンクタンク

金融機関などのシステム開発とコンサルティングを行っています。

約1,322万円(2025年3月期、平均年齢39.9歳)
富士通 ›大手ITベンダー

企業や官公庁のシステム開発、サーバーやクラウドのサービスを提供しています。

NEC ›大手ITベンダー

企業や官公庁向けのシステム、ネットワーク、セキュリティの仕組みを提供しています。

日立製作所 ›大手ITベンダー

IT事業を中心に、企業の基幹システムや社会インフラのシステムを手がけています。

日本マイクロソフト ›クラウド・ソフトウェア

WindowsやMicrosoft 365、クラウドのAzureを提供し、多くの会社のIT環境の土台になっています。

アマゾン ウェブ サービス ジャパンクラウドサービス

クラウドサービスのAWSを提供し、多くの会社がサーバーをAWSに移しています。

ラックセキュリティ専門会社

サイバー攻撃の監視や事故対応など、情報セキュリティのサービスを提供しています。

大企業のIT子会社IT子会社

鉄道、銀行、メーカーなどの大企業グループのシステムを専門に開発・運用しています。

›がついた会社は、会社図鑑で詳しく解説しています。

どうやって稼いでいる?

ITで利益を生む効率化手作業を減らし人件費を下げる売上アップネット通販やデータの活用費用の見直し使わない契約を減らす例:経費精算をデジタル化すると1人あたり月1時間社員1万人1年で12万時間×=会社を守る安定運用レジや工場を止めないセキュリティ攻撃や情報漏えいの損害を防ぐ攻めのITと守りのITで、利益を支える
社員一人あたり月1時間の作業を減らせば、社員1万人の会社では年間12万時間が生まれます

情報システム部門は、商品を売ってお金を稼ぐ部署ではありませんが、今の会社はITなしでは一日も仕事ができません。システムが止まれば、お店のレジが使えない、工場の生産が止まる、銀行のATMが動かないといった大きな損失が出ます。逆に、ITをうまく使えば、手作業を減らして人件費を下げたり、お客さんのデータを生かして売上を伸ばしたりできます。たとえば、経費精算をデジタル化して社員一人あたり月1時間の作業を減らせば、社員1万人の会社では年間12万時間の時間が生まれます。情報システム部門は、ITへの投資で会社の利益を生み出し、同時にサイバー攻撃などの危険から会社を守る役割を果たしています。

1
業務の効率化(コスト削減)

紙やハンコ、手作業で行っていた仕事をシステムに置き換え、時間と人件費を減らします。効率化で生まれた時間は、より価値のある仕事に使えます。

2
売上を伸ばすIT(DX)

ネット通販、アプリ、お客さんのデータ分析など、ITを使って新しい売り方やサービスを生み出します。会社によっては、IT部門が売上の拡大に直接かかわります。

3
システムを止めない(安定運用)

システムの停止は、売上の損失や社会的な信用の低下につながります。安定して動かし続けることは、目立たないけれど大きな価値を生みます。

4
セキュリティで損失を防ぐ

サイバー攻撃や情報漏えいが起きると、システムの復旧、お客さんへの対応、信用の低下などで大きな損害が出ます。セキュリティ対策は、その損害を防ぐための投資です。

5
IT費用の最適化

使っていないライセンスや割高な契約を見直すことで、毎年のIT費用を減らします。浮いたお金を新しいIT投資に回せます。

入ってからどうなっていく?

1〜3年目ヘルプデスク・運用で基礎を学ぶ社員からの問い合わせ対応やパソコンの設定、システムの日々の運用を担当し、社内のIT環境と業務の全体像を覚えます。基本情報技術者などの資格を取る時期です。
4〜7年目専門担当を持つネットワーク、セキュリティ、業務システムなどの担当を持ち、小さなプロジェクトのリーダーを任されます。IT企業との打ち合わせや交渉も自分で行うようになります。
8〜12年目大きなプロジェクトのリーダー基幹システムの刷新やクラウドへの移行など、全社に影響する大きなプロジェクトを率います。応用情報技術者や高度な資格を取る人も多い時期です。
13〜20年目情報システム課長・IT企画責任者チームを率い、IT予算や中期IT計画を担当します。経営陣にIT投資の効果を説明し、DXの推進役になります。
20年目以降情報システム部長・CIOIT部門全体の責任者として、会社のIT戦略を決めます。CIOやCDOとして役員になる人もいます。IT企業のコンサルタントや、ほかの会社のIT責任者として転職する道もあります。

新しい会計システムが動き出すまで

1
課題を集める

経理部などから今のシステムの困りごとを聞き取ります。手作業が多い、法律の改正に対応できない、などの課題を整理します。

2
要件を決める

新しいシステムに必要な機能をまとめた要件定義書を作ります。使う人と何度も話し合って決めます。

3
製品と会社を選ぶ

複数のIT企業やクラウドサービスから提案と見積もりをもらい、機能、費用、サポートを比べて選びます。

4
設定と開発

IT企業と一緒に、会社のやり方に合わせてシステムを設定し、足りない機能を作ります。社内SEは進み具合と品質を管理します。

5
テストと説明会

実際のデータを使って正しく動くかを確かめ、経理部の社員向けに操作の説明会を開きます。

6
切り替えと定着

決算期などを避けた時期に古いシステムから切り替えます。しばらくは問い合わせに対応し、使いにくい点を改善していきます。

基本情報技術者試験・応用情報技術者試験(情報処理技術者試験)

合格率基本情報技術者38.3%(2025年度)、応用情報技術者28.5%(2024年度秋期)
勉強時間の目安基本情報技術者は初学者で150〜200時間程度、応用情報技術者はさらに200時間以上の勉強が目安とされます
受験資格年齢・学歴を問わず誰でも受験できます
基本情報技術者試験は、ITの基礎をしっかり学べば合格を目指せる試験で、大学生や新社会人が多く受験します。応用情報技術者試験は記述式の問題があり、実務の経験がないと難しく感じる人も多いです。2024年度秋期の高度試験では、プロジェクトマネージャ試験の合格率が13.9%、情報処理安全確保支援士試験が15.1%と、さらに難しくなります。
試験科目(押すと中身が見られます)
合格までの流れ
  1. ITパスポートITの基礎を幅広く問う入門の国家試験です。高校生でも受験できます。
  2. 基本情報技術者ITエンジニアの入り口となる試験で、パソコンで受験するCBT方式です。
  3. 応用情報技術者技術と管理の両方について、より深い知識と応用力が問われます。記述式の問題もあります。
  4. 高度試験・情報処理安全確保支援士ネットワーク、データベース、セキュリティなどの専門分野ごとの試験で、合格率は10%台が多いです。

情報システム(社内SE)のある1日

8:45夜間のシステムと警告を確認9:00朝会で問い合わせと予定を共有10:00経理部と新しい会計システムの相談11:30IT企業と導入の進み具合を確認12:30昼休み13:30新入社員のパソコンを準備14:30「怪しいメールを開いた」と連絡パソコンをネットワークから切り離して調べる16:00来年度のIT予算案をつくる¥17:30夜の更新作業を確認し、引き継ぐ予定どおりの日も、急なトラブルの日もある
社内SEのある1日の例
8:45

出社して、夜間のシステムの動きとセキュリティの警告を確認します

9:00

チームの朝会で、今日の問い合わせ状況とプロジェクトの予定を共有します

10:00

経理部と、新しい会計システムに必要な機能について打ち合わせをします

11:30

IT企業の担当者とオンラインで、システム導入の進み具合を確認します

12:30

昼休みです。新しい技術のニュースをチェックすることもあります

13:30

来月入社する社員のパソコンの準備とアカウント作成の手順を確認します

14:30

怪しいメールを開いてしまったという社員からの連絡を受け、パソコンをネットワークから切り離して調べます

16:00

来年度のIT予算案を作り、上司と内容を相談します

17:30

今晩予定しているシステムの更新作業の手順を最終確認し、担当者に引き継いで退社します

もっと知りたい人へ

そもそも情報システム(社内SE)とは

情報システム部門は、会社の中で使うITのすべてを担当する部署で、そこで働く人を社内SEと呼ぶことがあります。SEはシステムエンジニアの略です。IT企業のSEは、お客さんの会社から注文を受けてシステムを作りますが、社内SEは自分の会社の社員がお客さんです。社員がパソコンで仕事をし、メールやチャットでやりとりし、販売や会計のシステムを使えるのは、情報システム部門が裏で準備し、守っているからです。学校にたとえると、学校のパソコン室、校内のWi-Fi、成績管理のシステム、生徒のタブレットの設定をすべて担当する先生のような存在です。

情シスという呼び方

情報システム部門は、短く情シスと呼ばれることがよくあります。会社によっては、IT部門、DX推進部、デジタル戦略部などの名前がついていることもあります。

IT企業のSEとのちがい

IT企業のSEはシステムを作るプロとして、さまざまな会社の案件を担当します。社内SEは一つの会社の業務を深く理解し、どのシステムを選ぶか、どう使うかを決める立場です。自分でプログラムを書くより、IT企業に依頼して管理することが多いのも特徴です。

なるためのルート

社内SEになるルートは大きく3つあります。1つ目は、事業会社に新卒で入社して情報システム部門に配属されるルートです。2つ目は、大企業のIT子会社に新卒で入り、グループ会社のシステムを担当するルートです。3つ目は、IT企業でSEやインフラエンジニアとして数年経験を積み、事業会社の社内SEに転職するルートで、これがもっとも多いパターンの一つです。未経験から社内SEになる場合は、ヘルプデスクから始めることが多いです。

  1. 高校数学と情報の授業をしっかり学びます。プログラミングやパソコンの仕組みに興味を持ち、自分で触ってみることが大切です。
  2. 大学・専門学校情報工学などの理系の学部が多いですが、文系でもなれます。基本情報技術者試験の勉強をすると、ITの基礎を体系的に学べます。
  3. 就職事業会社の情報システム部門、IT子会社、IT企業のいずれかを選びます。
  4. 基礎を固めるヘルプデスクや運用、IT企業での開発を通じて、ITと業務の基礎を身につけます。
  5. 社内SEとして専門化インフラ、セキュリティ、業務システム、IT企画などの専門を深め、資格も取りながらキャリアを築きます。
IT子会社とは

大企業が自社グループのシステムを担当させるために作った会社です。たとえば、鉄道会社や銀行、メーカーの多くがIT子会社を持っています。親会社の社内SEに近い仕事を専門的に行います。

転職で社内SEになる人が多い理由

IT企業で開発や運用を経験した人は、システムの作り方や進め方を知っているので、社内SEとしてIT企業を管理する立場になったときに力を発揮できます。そのため、事業会社は経験者を採用することが多いです。

試験・選考の詳細

社内SEになるのに必須の資格はありませんが、情報処理推進機構(IPA)が実施する情報処理技術者試験がよく取られています。入門の基本情報技術者試験の2025年度の合格率は38.3%、その上の応用情報技術者試験の2024年度秋期の合格率は28.5%でした。さらに上には、ネットワークスペシャリスト、データベーススペシャリスト、システム監査技術者などの高度試験や、セキュリティの国家資格である情報処理安全確保支援士があります。新卒の選考では、ITへの関心や、人の困りごとを解決した経験がよく聞かれます。

転職の選考で見られるもの

経験者の転職では、どんなシステムを導入したか、何人のプロジェクトを率いたか、どんな障害に対応したかといった具体的な経験が重視されます。資格は知識の証明として評価されます。

ITパスポート

ITパスポートはITの基礎知識を問う国家試験で、高校生でも受験できます。社内SEを目指す最初の一歩として、また文系の人がITの基礎を学ぶきっかけとしても役立ちます。

年収のリアル

社内SEの年収は、勤める会社の給料水準と、担当する専門によって大きく変わります。厚生労働省のjob tagでは、運用・管理(IT)の年収の目安が609.8万円(令和7年、平均年齢42.2歳)、システムエンジニア(基盤システム)が889万円(平均年齢38.3歳)です。大企業の情報システム部門では会社全体の給料表が適用されるため、30代で700万円前後、課長で1,000万円前後になる例があります。中小企業の社内SEは、400万〜600万円台のことも多いです。セキュリティやクラウドの専門家は人材が不足しているため、高く評価される傾向があります。

働き方の特徴

社内SEは、IT企業のSEに比べて納期に追われることが少なく、働きやすいと言われることがあります。ただし、システムの更新作業は社員が使わない夜間や休日に行うことが多く、障害が起きれば時間に関係なく対応が必要です。

年収を上げる道

大きなプロジェクトのリーダーや管理職になること、セキュリティやクラウドなど需要の高い専門を身につけること、より規模の大きな会社やIT企業のコンサルタントに転職することなどが、年収を上げる代表的な方法です。

やりがい

社内SEのやりがいは、自分が導入した仕組みで、社員の仕事が目に見えて楽になることです。たとえば、毎月何時間もかかっていた手作業がシステムで数分になり、社員から「ありがとう、助かった」と直接言われることがあります。使う人が同じ会社の仲間なので、反応がすぐにわかり、改善を重ねられるのも魅力です。DXの推進役として、経営陣と一緒に会社の未来をITで変えていく仕事にかかわれることも、大きなやりがいです。

会社の仕事が全部わかる

業務システムを導入するために、営業、経理、人事、工場など、あらゆる部署の仕事の流れを知ることになります。会社全体を深く理解できるのは、社内SEならではの経験です。

新しい技術を試せる

クラウド、AI、セキュリティなど、新しい技術を自分の会社で試し、取り入れることができます。技術が好きな人にとっては、学び続けることそのものが楽しさになります。

大変なこと・きついこと

社内SEの仕事は、システムが動いて当たり前と思われがちで、問題が起きたときだけ注目されるという面があります。システムが止まれば、全社員から問い合わせが殺到し、短い時間で原因を探して直さなければなりません。新しいシステムを入れるときには、今までのやり方を変えたくない社員から反発を受けることもあります。ITの技術は変化がとても速いので、常に勉強を続ける必要があります。小さな会社では、何でも一人で抱え込む「ひとり情シス」になり、休みが取りにくいこともあります。

夜間・休日の作業

システムの更新や切り替えは、社員が使っていない夜中や連休に行うことが多いです。年末年始やゴールデンウィークに作業が入ることもあります。

セキュリティ事故のプレッシャー

サイバー攻撃の手口は年々巧妙になっており、どれだけ対策しても完全に防ぐことはできません。万一の事故のときには、対応の中心として大きな責任を負います。

向いている人

社内SEに向いているのは、ITや機械が好きで、新しい技術を学ぶことを楽しめる人です。同時に、人の役に立つことにやりがいを感じる人、相手の困りごとを根気よく聞き出せる人にも向いています。システムのトラブルの原因を一つずつ確かめていくので、論理的に考えることが好きな人、粘り強く取り組める人は活躍できます。ITにくわしくない社員に、専門用語を使わずにわかりやすく説明できることも大切な力です。

プログラミングが苦手でもなれるか

社内SEはIT企業にシステム開発を依頼することが多いため、必ずしも自分で高度なプログラムを書く必要はありません。ただし、プログラムの仕組みを理解していると、IT企業との打ち合わせや見積もりの判断で役立ちます。

人と話すのが好きな人

社内SEはパソコンに向かうだけでなく、社員やIT企業の担当者と話す時間がとても長い仕事です。人と話すのが苦にならない人のほうが活躍しやすいです。

高校生のうちにできること

高校生のうちにできる準備は、パソコンやITに実際に触れ、仕組みに興味を持つことです。授業の情報Iで学ぶプログラミングやネットワーク、データの扱いは、社内SEの仕事の基礎そのものです。家のWi-Fiの設定を自分でやってみる、パソコンを自分で組み立ててみる、簡単なプログラムを書いてみる、といった経験も役立ちます。ITパスポート試験は高校生でも受験でき、ITと経営の基礎を幅広く学べます。

学校のIT環境を観察する

学校のタブレットやWi-Fi、成績管理のシステムを誰がどう管理しているかを考えてみましょう。学校のICT担当の先生に話を聞くと、社内SEの仕事のイメージがつかめます。

情報セキュリティの基本を知る

パスワードを使い回さない、怪しいリンクを開かない、二段階認証を使う、といった自分の身を守る習慣は、そのまま会社のセキュリティの考え方につながります。

代表的な会社・職場

情報システム部門は、メーカー、銀行、小売、鉄道、病院、大学など、ほぼすべての業界の会社にあります。大企業の中には、IT子会社としてグループのシステムを専門に担う会社を持っているところも多く、たとえばNTTデータ、野村総合研究所のように親会社のIT部門から大きく成長した会社もあります。社内SEを支える側としては、システムを開発するIT企業、クラウドサービスを提供する会社、セキュリティ専門の会社などがあります。

業界によるちがい

銀行や証券会社では、お金を扱うシステムを止めないことがもっとも重視されます。小売業では店舗のレジやネット通販、メーカーでは工場の生産管理システムが重要です。業界によって、社内SEが向き合うシステムの種類が変わります。

公務員の情報システム担当

市役所や県庁にも情報システムの担当課があり、住民票や税金のシステム、マイナンバーに関する仕組みなどを管理しています。

社内SEとIT企業のSEのちがい

社内SEとIT企業のSEは、どちらもシステムにかかわる仕事ですが、立場が大きくちがいます。IT企業のSEは、お客さんから注文を受けてシステムを作る「作る側」で、案件が終わると次のお客さんの仕事に移ります。社内SEは、自分の会社にとってどんなシステムが必要かを考えて注文する「頼む側」で、同じ会社の業務と長く向き合います。IT企業のSEはプログラミングや設計の技術を深めやすく、社内SEは業務の理解や企画、プロジェクト管理の力が身につきやすいという特徴があります。

発注者と受注者

システム開発では、注文する側を発注者、引き受ける側を受注者と呼びます。社内SEは発注者として、IT企業がきちんと作っているかを確かめ、予算と期限を管理します。

どちらを選ぶか

まずIT企業で技術を身につけてから社内SEに移る人が多い一方、最初から事業会社で業務を深く学ぶ人もいます。技術を極めたいのか、会社の仕事をITで変えたいのかによって、向いている道が変わります。

DXと生成AIで変わる社内SE

この数年で、社内SEの役割は大きく変わってきています。以前はパソコンやシステムを守ることが中心でしたが、今はITを使って会社の仕事や事業を変えるDXの中心役が求められるようになりました。多くの会社がサーバーを自社で持つのをやめてクラウドに移し、社内SEはクラウドを使いこなす力が必要になっています。生成AIの登場で、社員がAIを安全に使えるルールを作り、業務に組み込む仕事も増えています。外部に任せていた開発を社内SEが自分たちで行う内製化の動きも広がっています。

クラウド化の影響

クラウドを使うと、サーバーを買ったり置き場所を用意したりする必要がなくなり、必要なときに必要なだけ使えます。その一方で、利用料の管理や、クラウド特有のセキュリティ対策を考える必要があります。

生成AIのルールづくり

社員が生成AIに会社の秘密の情報を入力すると、情報が漏れる危険があります。社内SEは、どのAIサービスを使ってよいか、どんな情報を入力してはいけないかを決め、安全に使える環境を整えます。

よくある質問

社内SEはパソコンの修理係ですか

パソコンのトラブル対応も仕事の一部ですが、それだけではありません。会社の業務システムの導入、ネットワークやセキュリティの管理、DXの推進など、会社の仕組みをITで作り変える仕事が中心です。

文系でも社内SEになれますか

なれます。業務システムの導入では、会計や販売など会社の仕事を理解する力が大切なので、文系の知識が強みになります。ITの知識は入社後や資格の勉強で身につけられます。

プログラミングはできないといけませんか

必須ではありませんが、できると有利です。社内SEはIT企業に開発を依頼することが多いものの、プログラムの仕組みを知っていると、打ち合わせや見積もりの判断に役立ちます。

社内SEは楽な仕事って本当ですか

IT企業のSEに比べて納期に追われにくい面はありますが、障害対応や夜間の作業、セキュリティ事故への備えなど、責任の重い仕事も多くあります。会社によって忙しさは大きくちがいます。

どんな資格を取ればよいですか

最初はITパスポートや基本情報技術者試験がおすすめです。経験を積んだら、応用情報技術者、ネットワークスペシャリスト、情報処理安全確保支援士などの上位の資格に挑戦する人が多いです。

ひとり情シスとは何ですか

会社の情報システムの仕事を、1人またはごく少人数で担当している状態のことです。中小企業でよく見られ、何でもできるようになる一方、負担が大きくなりやすいです。

AIが発達したら社内SEはいらなくなりますか

問い合わせ対応など一部の仕事はAIで自動化が進んでいますが、どのAIやシステムを使うか決め、安全に運用し、業務に組み込む人は必要です。むしろAIを使いこなせる社内SEの需要は高まっています。

社内SEから別の職種に移れますか

移れます。IT企画から経営企画へ、データ活用からデータサイエンティストへ、IT企業のコンサルタントへなど、ITと業務の両方を知る人材として幅広いキャリアがあります。

女性の社内SEはいますか

います。社内SEは社員とのコミュニケーションが多い仕事で、性別に関係なく活躍できます。在宅勤務やフレックスタイムなど、柔軟な働き方を取り入れている会社も多いです。

この分野のことば

年収について:厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)」の運用・管理(IT)の年収609.8万円(令和7年賃金構造基本統計調査をもとにした目安、平均年齢42.2歳)。同じくシステムエンジニア(基盤システム)は889万円(平均年齢38.3歳)。社内SEだけの公的統計はないため近い職業の数字です。大企業の情報システム部門の課長・部長、CIOなどはこれより高くなります。

数字はすべて公開データにもとづく目安です。出典は出典・サイトポリシーにまとめています。

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