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事件を追うより、道を教えたり落とし物を受け取ったりする時間のほうがずっと長い

警察官

警察官は、事件や事故から人々を守り、地域の安全を保つ仕事です。都道府県ごとに置かれた「都道府県警察」(東京なら警視庁、大阪なら大阪府警察)の地方公務員として働く人がほとんどで、その数は全国で約26万人(2026年度の定員)です。交番でのパトロールや道案内、交通違反の取り締まり、犯人を捜す捜査、大きなイベントの警備、インターネット上の犯罪の捜査など、仕事の種類はとても多いです。高校卒業でも大学卒業でも受験でき、採用後は全員が「巡査」からスタートし、昇任試験に合格して階級を上げていきます。

平均年収の目安約750万円前後1年目 約500万円台〜50代の警部・警視クラスで900万円以上
なるまでの難しさ★★★★★採用試験の倍率は警視庁で2〜4倍ほど(2025年度)と、公務員試験の中ではそれほど高くありません。ただし教養試験・論文・面接に加えて体力検査があり、合格後も警察学校での厳しい訓練(大卒で約6か月、高卒で約10か月)を乗りこえる必要があります。さらに巡査部長・警部補・警部へ上がるには昇任試験に何度も合格しなければならず、「入ってからの勉強」が長く続く仕事です。
決めどき文系・理系どちらでも

高校3年(III類)か大学3〜4年(I類)で受験。文理どちらでもよく、体力づくりは早いほど有利

どんな職種がある?

押すと、その職種の仕事内容・必要な力・キャリアが見られます。

警察官の年収と昇進の流れ

警視正から上は 国家公務員(地方警務官)になる 警視 署長・本部の課長 900〜1,100万円 選考 警部 40〜55歳ごろ 780〜950万円 昇任試験 警部補 30〜45歳ごろ 680〜820万円 昇任試験 巡査部長 25〜35歳ごろ 600〜750万円 昇任試験 巡査長 成績優秀な巡査 550〜680万円 任命 巡査 18〜26歳ごろ 450〜620万円 全員が ここから 巡査長は正式な階級ではない 昇任のたびに試験に挑む
年齢と年収は目安です。昇任試験を受けられる経験年数は都道府県によって違います
巡査(警察学校・交番)450〜620万円
採用1〜4年目(18〜26歳ごろ)

警察学校を出て交番で現場の基本を学ぶ段階です。大卒程度なら巡査として2年、高卒程度なら4年ほどの経験で巡査部長の昇任試験を受けられる県が多いです。

巡査長550〜680万円
採用数年〜(20代後半〜)

巡査のうち勤務成績が優秀な人が任命される職で、後輩の指導役を担います。正式な階級ではなく、昇任試験に向けて勉強を続ける人が多い段階です。

巡査部長600〜750万円
採用3〜10年目(25〜35歳ごろ)

交番の責任者や捜査員として、現場のリーダーになります。巡査部長として大卒程度2年、それ以外4年ほどの経験で警部補の試験を受けられます。

警部補680〜820万円
30〜45歳ごろ

交番や捜査班をまとめる現場の中核で、難しい事件の処理や部下の指導を任されます。警部補として4年以上などの条件を満たすと警部の昇任試験を受けられます。

警部780〜950万円
40〜55歳ごろ

警察署の課長や警察本部の係長として組織を管理する立場で、管理職手当がつきます。警視へは試験ではなく、勤務実績にもとづく選考で昇任するのが一般的です。

警視(署長・本部課長)900〜1,100万円
45歳〜定年

警察署長や警察本部の課長として、数百人規模の組織を率います。さらに上の警視正になると、身分が国家公務員(地方警務官)に変わります。

年収は目安です。会社や地域、本人の働き方で大きく変わります。

働き方で何が違う?

都道府県警察(ノンキャリア)平均で約750万円前後(警察職の平均給与月額494,513円にボーナスを加えた目安)

都道府県警察の採用試験に合格した人で、警察官のほとんどがこのタイプです。全員が巡査からスタートし、交番での現場経験を積みながら昇任試験で階級を上げていきます。異動は基本的にその都道府県の中だけなので、地元に根づいて働けます。刑事、交通、生活安全など、自分の得意分野をきわめるキャリアを選べます。

良いところ地元で長く働ける、現場の仕事を深くきわめられる、試験で着実に昇任できる

大変なところ昇任のたびに試験勉強が必要、夜勤や呼び出しがある

警察庁(キャリア・国家公務員)国家公務員の給料表で決まり、30代で700万〜900万円台、幹部になると1,000万円を超えることもある(目安)

国家公務員総合職試験に合格し、警察庁に採用された人です。警部補からスタートし、研修や交番実習を経て、20代のうちに警部、30代で都道府県警察の幹部(課長や部長)を務めることもあります。全国への転勤が多く、警察の制度づくりや法律の改正、国際的な捜査協力など、国全体の仕事を担当します。採用人数は毎年ごく少数です。

良いところ若いうちから大きな組織を動かせる、国全体の政策にかかわれる

大変なところ国家公務員総合職試験の難易度が高い、全国転勤が多く現場の仕事は短い

専門採用(サイバー・財務・語学など)採用時の階級と経験年数による(巡査部長採用なら600万〜700万円台が目安)

情報処理や会計、語学などの専門知識を持つ人を対象にした採用です。たとえば、サイバー犯罪捜査官は、ITエンジニアとして働いた経験がある人が採用され、ハッキングやネット詐欺の捜査を担当します。財務捜査官は、会計の知識を使って、会社のお金の流れから詐欺や脱税にかかわる事件を調べます。民間での経験年数によっては、巡査部長や警部補など上の階級で採用されることもあります。

良いところ自分の専門をそのまま生かせる、即戦力として期待される

大変なところ専門分野の部署に長く配属されやすい、警察学校での訓練は一般採用と同じく受ける

代表的な会社・職場

都道府県警察(東京都)都道府県警察(大規模)都道府県警察(広域)国の機関(キャリア)警察庁の附属機関警察の研究機関
警視庁都道府県警察(東京都)

東京都を担当する日本最大の警察組織です。首都の治安維持に加え、皇居や国会、外国大使館の警備など、国の中心を守る仕事もあります。

実務2年目でI類 約657万円、III類 約605万円(警視庁の年収例)
大阪府警察都道府県警察(大規模)

大阪府を担当する、警視庁に次ぐ規模の警察です。繁華街や国際的なイベントの警備、特殊詐欺の捜査などを行います。

神奈川県警察都道府県警察(大規模)

横浜・川崎などの大都市と、港や観光地をかかえる県の警察です。受験年齢の上限を35歳まで広げています。

愛知県警察都道府県警察(大規模)

名古屋市を中心とした愛知県を担当します。自動車の多い地域のため、交通事故対策にも力を入れています。

埼玉県警察都道府県警察(大規模)

人口の多い埼玉県を担当する警察で、警察官1人あたりが担当する人口が多いことで知られます。

北海道警察都道府県警察(広域)

日本一広い面積を担当する警察で、札幌などの都市部から、山や海の駐在所まで勤務地がさまざまです。

福岡県警察都道府県警察(大規模)

九州最大の都市・福岡を中心に担当する警察で、暴力団対策や国際犯罪への対応にも力を入れています。

警察庁国の機関(キャリア)

全国の警察の制度づくりや調整、国際的な捜査協力を担当する国の役所です。国家公務員総合職試験の合格者が採用されます。

皇宮警察本部警察庁の附属機関

天皇・皇族の護衛や皇居・御所の警備を担当する警察です。皇宮護衛官という専門の職員が勤務します。

科学捜査研究所(各都道府県警察)警察の研究機関

DNA鑑定や薬物分析、筆跡や音声の鑑定などを行う研究所で、理系の研究員が科学の力で捜査を支えます。

どうやって稼いでいる?

住民・会社 住民税や、消費税の一部などを払う 税金 税金 都道府県 議会で予算を決める 国 国の予算 警察費 都道府県警察 警察官の給料 パトカー・警察署 警察庁など 全国の通信網 警視正以上の給料 交通違反の反則金は、警察の収入ではない 反則金 いったん 国に納める 交付金 都道府県・ 市町村へ 安全施設 ガードレール 信号機など お金をかせぐ仕事ではないからこそ 税金に見合う安全かが問われる
運転免許の更新などの手数料は都道府県の収入になりますが、警察全体の予算から見ると一部です

警察は会社ではないので、商品を売ってもうけることはありません。警察の活動にかかるお金は、ほぼすべて税金でまかなわれています。都道府県警察の警察官の給料やパトカー、警察署の建物などのお金は、主に都道府県の予算(住民税や国からの交付金など)から出ています。たとえば、みなさんの家族が払っている住民税や、買い物のときの消費税の一部が、交番のおまわりさんの給料や110番のシステムに使われているということです。一方、警察庁や、全国的なテロ対策・広域捜査などに使う装備のお金は国の予算から出ています。お金をかせぐ仕事ではないからこそ、「税金に見合う安全を届けているか」が厳しく問われます。

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都道府県の予算(警察費)

都道府県警察の人件費や警察署の運営費は、都道府県の一般会計から「警察費」として出ています。都道府県議会で毎年の予算が審議され、決められた範囲で使います。

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国の予算(警察庁・国庫支弁)

警察庁の運営費や、警視正以上の幹部(地方警務官)の給料、全国で使う通信システムや一部の装備は国の予算でまかなわれます。たとえば、全国の警察をつなぐ通信網や、大きな災害のときに使うヘリコプターなどです。

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反則金の流れ

交通違反で払う反則金は、警察の収入になるわけではありません。いったん国に納められ、「交通安全対策特別交付金」として都道府県や市町村に配られ、ガードレールや信号機、カーブミラーの設置に使われます。

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手数料(運転免許など)

運転免許の更新や車庫証明などの手数料は、都道府県の収入になります。運転免許センターの運営などに使われますが、警察全体の予算から見ると一部です。

入ってからどうなっていく?

採用〜1年目警察学校I類(大卒程度)は約6か月、III類(高卒程度)は約10か月、全寮制の警察学校で学びます。法律、逮捕術、柔道・剣道、拳銃の扱い、パトカーの運転、書類の書き方などを、給料をもらいながら身につけます。
1〜3年目交番勤務の巡査警察署に配属され、交番で先輩と組んでパトロールや110番対応を学びます。職務質問から犯人を見つける、交通違反を取り締まるといった実績を積み、刑事や交通など希望する部門への道を開きます。
3〜8年目専務部門と巡査部長刑事・生活安全・交通・警備などの専門部門に移る人が増えます。大卒なら巡査として2年、高卒なら4年ほどの経験で巡査部長の昇任試験を受けられる県が多く、合格すれば現場のリーダーになります。
8〜15年目警部補(現場の中核)巡査部長として数年経験し昇任試験に合格すると警部補になります。交番の責任者や捜査班の班長として、部下の指導と難しい事件の処理を任されます。
15〜25年目警部(管理職)警部補として4年以上の経験などの条件を満たし、昇任試験に合格すると警部になります。警察署の課長や警察本部の係長などとして、組織を管理する立場です。
25年目〜定年警視・署長クラス警視には試験ではなく選考で昇任するのが一般的で、警察署長や本部の課長などを務めます。定年は60歳から段階的に引き上げられ、退職後は民間企業の防犯部門や警備会社、自治体の安全対策担当などに再就職する人もいます。

110番通報から事件が解決するまで

110番通報 通信指令室が無線で指令 現場に駆けつける 救護・犯人の確保・現場の保存 鑑識と証拠集め 指紋・防犯カメラ・目撃者の話 逮捕 裁判官に逮捕状を請求する 取り調べと書類作成 証拠と話が一致するか確かめる 検察官に送る 逮捕から48時間以内に送る 最初の数分の対応が 事件解決の大きなカギになる
起訴されれば、裁判で有罪か無罪かが判断されます
1
110番通報

事件を見た人や被害者が110番に電話すると、警察本部の通信指令室につながります。指令室は場所と内容を聞き取り、近くのパトカーや交番に無線で指令を出します。

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現場への臨場と初動対応

交番やパトカーの警察官が現場に駆けつけ、けが人の救護、犯人の確保、現場の保存を行います。最初の数分の対応が、事件解決の大きなカギになります。

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鑑識と証拠集め

鑑識係が指紋や足あと、DNAのもとになる物を集め、刑事が防犯カメラ映像や目撃者の話を集めます。たとえば、近くのコンビニや駅のカメラ映像を一つずつ確認します。

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容疑者の特定と逮捕

集めた証拠から容疑者を特定し、裁判官に逮捕状を請求して逮捕します。逮捕後48時間以内に検察官へ事件を送る決まりがあります。

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取り調べと書類作成

取り調べで話を聞き、供述調書や捜査報告書など大量の書類を作ります。証拠と話の内容が一致するかを細かく確認します。

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検察官への送致

事件の書類と証拠を検察官に送ります。検察官が起訴するかどうかを決め、起訴されれば裁判で有罪か無罪かが判断されます。

都道府県警察の警察官採用試験(警視庁 I類・III類の例)

合格率警視庁 2025年度 第1回教養試験で男性2.8倍・女性2.6倍、2024年度全体で男性3.7倍・女性3.8倍
勉強時間の目安教養試験と論文の対策で、半年〜1年ほど準備する人が多い(目安)
受験資格警視庁I類は大学卒業(見込み)程度、III類は高校卒業(見込み)程度で、35歳まで受験できる(年度により条件が変わるため募集要項で確認)
筆記試験は高校までの学習内容が中心で、地方公務員の事務職試験と比べると難易度はやや易しめといわれます。倍率も2〜4倍ほど(警視庁、2025年度)で、受験者の減少により以前より合格しやすくなっています。ただし、面接では警察官になる強い意志と誠実さが見られ、体力検査もあるため、筆記だけの対策では合格できません。むしろ本当の難しさは、採用後の警察学校と、何年にもわたって続く昇任試験にあります。
試験科目(押すと中身が見られます)
合格までの流れ
  1. 出願インターネットで申し込みます。警視庁では出願時に教養試験かSPI3かを選びます。
  2. 1次試験筆記試験(教養試験またはSPI3)と論文を受けます。資格や経歴を点数にして加える県もあります。
  3. 1次合格発表筆記の結果で2次試験に進む人が決まります。
  4. 2次試験面接、体力検査、身体検査、適性検査を受けます。
  5. 最終合格・採用最終合格者は採用候補者名簿に載り、春や秋に採用されて警察学校に入ります。

警察官のある1日

7:30

出勤して、警察署の道場で柔道や剣道の朝練習をします(警視庁の交番勤務・日勤の例)

8:45

署長や上司から、最近起きた事件や注意点の連絡を受けます

9:30

交番に着き、夜勤明けのチームと交替して、夜のあいだの出来事を引き継ぎます

10:00

担当区域の家や会社を訪ねる巡回連絡と、自転車でのパトロールを行います

12:00

交番で交替しながら昼食をとります

13:00

交差点で信号無視や一時不停止の取り締まりをします

13:30

110番通報で、車上ねらい(車の中の物を盗む事件)の現場に駆けつけ、被害届を受理します

15:30

夜勤のチームと交替し、警察署に戻ります

15:45

受理した事件の書類を作り、会計係に拾得物などを引き継ぎます

16:15

退庁します。翌日は夜勤、その次は夜勤明け(非番)、その次は休み(週休)というサイクルで回ります

もっと知りたい人へ

そもそも警察官とは

警察官は、警察法という法律にもとづいて、人々の命や財産を守り、犯罪を防ぎ、捜査し、交通の安全を保つ公務員です。日本の警察は、国の機関である「警察庁」と、47の「都道府県警察」でできています。みなさんが交番や街で見かける警察官は、ほとんどが都道府県警察の職員で、身分は地方公務員です。都道府県警察の警察官は全国で約26万人(2026年度の定員)、そのうち女性警察官は約3万3千人で12.8%と年々増えています。仕事は「事件を解決する」だけでなく、「事件が起きないようにする」ことにも大きな比重があります。

警察庁と都道府県警察のちがい

警察庁は国の役所で、全国の警察の制度を作ったり、都道府県警察をまとめたりする本部のような存在です。たとえば、新しい詐欺の手口が全国で広がったときに、各県に対策の方針を示すのが警察庁です。実際にパトロールしたり犯人を逮捕したりするのは都道府県警察で、東京都の警察だけは「警視庁」という特別な名前がついています。

警察官の身分と権限

警察官は、法律で決められた範囲で、職務質問、逮捕、捜索、拳銃の携帯といった特別な権限を持っています。強い権限を持つからこそ、法律の手続きを守ることがとても厳しく求められます。たとえば、逮捕するには原則として裁判官が出す「逮捕状」が必要で、ルールを破って集めた証拠は裁判で使えないこともあります。

警察官の数と女性警察官

都道府県警察の警察官は約26万人で、人口およそ470人に1人の割合です。女性警察官は2017年度の8.9%から2026年度の12.8%まで増えており、2025年度の新規採用者のうち25.8%が女性でした。警部以上の幹部になった女性も949人(2026年度)と、10年前の2倍以上になっています。

なるためのルート

警察官になるには、働きたい都道府県警察の採用試験を受けて合格するのが基本です。採用区分は、警視庁では大学卒業程度の「I類」と、高校卒業程度の「III類」に分かれています(県によっては「A区分・B区分」「大卒程度・高卒程度」などと呼びます)。年齢の上限は県によって違い、警視庁や神奈川県警、埼玉県警などは35歳まで受験できます。もう一つのルートとして、国家公務員総合職試験に合格して警察庁に採用される「キャリア」の道もありますが、こちらは人数がとても少なく、警察全体の管理や政策づくりが中心の仕事になります。

  1. 高校・大学で学ぶ文系・理系どちらでも受験できます。教養試験の勉強と、体力づくり(ランニングや腕立て伏せ)を早めに始めておくと安心です。
  2. 採用試験を受ける1次試験で教養試験(またはSPI3)と論文、2次試験で面接・体力検査・身体検査・適性検査を受けます。年に2回試験を行う都道府県もあります。
  3. 警察学校に入る合格すると採用され、全寮制の警察学校で大卒約6か月、高卒約10か月の訓練を受けます。この間も給料が出ます。
  4. 交番に配属される卒業すると警察署に配属され、まず交番勤務で現場の基本を学びます。途中で警察学校に戻って追加の研修を受ける仕組みもあります。
  5. 専門部門・昇任へ刑事・交通・生活安全などの専門部門に移ったり、昇任試験に合格して巡査部長・警部補へ上がったりして、キャリアを広げていきます。
高卒で入るか、大卒で入るか

高校卒業後すぐにIII類で入ると、早く現場経験を積めて、同じ年齢で比べると勤続年数が長くなります。大卒のI類で入ると、初任給が高く、警察学校の期間が短く(約6か月)、昇任試験を受けられるまでの年数も短いのが特徴です。たとえば、巡査部長の試験は、大卒なら巡査として2年、高卒なら4年で受けられる県が多いです。どちらが有利というより、早く現場に出たいか、大学で学んでから入りたいかで選ぶ人が多いです。

専門の資格を生かす採用

柔道・剣道の実力者を採る武道指導、語学(英語・中国語・ベトナム語など)が得意な人、情報処理の資格を持つサイバー犯罪捜査官、会計の知識がある財務捜査官、ヘリコプターの操縦士・整備士など、特別な採用枠を設けている県もあります。たとえば、ITが得意な高校生が大学で情報系を学び、サイバー犯罪捜査官として採用されるという道もあります。

キャリア(警察庁)とノンキャリア

国家公務員総合職試験から警察庁に入った人は、いわゆる「キャリア」と呼ばれ、警部補から始まって若いうちに各県の警察本部の幹部になります。一方、都道府県警察に採用された人は、全員が巡査からスタートして昇任試験で階級を上げていきます。現場の警察官のほとんどは都道府県警察で採用された人です。

試験・選考の詳細

採用試験は、学力を見る筆記試験と、人物や体力を見る試験の組み合わせです。警視庁の場合、1次試験は「教養試験」か「SPI3」(民間企業の就職試験でよく使われる適性検査)を出願時に選び、さらに800字程度の論文を1時間で書きます。2次試験では面接(人物試験)、身体検査、適性検査、体力検査が行われます。体力検査の種目は、腕立て伏せ、バーピーテスト(しゃがむ・跳ぶをくり返す運動)、上体起こし、反復横とびなどです。合否で最も重視されるのは面接で、「なぜ警察官になりたいのか」「どんな警察官になりたいのか」を自分の言葉で話せるかが問われます。

教養試験の中身

教養試験は、数的処理(文章題や図形の問題)、判断推理(パズルのような論理問題)、文章理解(現代文・英文の読解)などの「一般知能」と、政治・経済・日本史・世界史・地理・物理・化学・生物などの「一般知識」から出題されます。一般知能が全体の半分以上を占めるので、ここを得点源にするのが基本です。高校の授業の内容が土台になるので、たとえば数学の場合の数や確率、国語の読解をしっかり身につけておくと有利です。

倍率の目安

警視庁の2025年度の最終倍率は、第1回の教養試験で男性2.8倍、女性2.6倍でした。2023年度はI類男性3.2倍、I類女性5.1倍、III類男性3.6倍、III類女性6.3倍です。警察庁によると、採用試験の受験者数は10年間で約2分の1、15年間で約3分の1にまで減っており、以前より合格しやすくなっています。

面接で見られること

面接では、志望動機のほかに、部活動やアルバイトでの経験、困難をどう乗りこえたか、チームでどんな役割をしたかなどを聞かれます。たとえば「部活でキャプテンとして部員の意見をまとめた」「アルバイトでクレームに落ち着いて対応した」といった具体的なエピソードがあると話しやすくなります。うそやごまかしは警察官として致命的なので、誠実に答えることが何より大切です。

階級と昇任のしくみ

警察官には、下から巡査、巡査部長、警部補、警部、警視、警視正、警視長、警視監、警視総監の9つの階級があります。巡査として一定期間勤めた人のうち、成績や勤務態度が優秀な人は「巡査長」という職に任命されることもあります(巡査長は正式な階級ではありません)。巡査部長・警部補・警部へは昇任試験に合格して上がり、警視からは選考で昇任するのが一般的です。たとえば鳥取県警察の規程では、巡査部長試験は大卒程度なら巡査として2年以上、それ以外は4年以上、警部補試験は巡査部長として大卒程度2年以上・それ以外4年以上、警部試験は警部補として4年以上の経験が必要です。

昇任試験の中身

昇任試験は、筆記試験(法律の知識を問う問題や論文)、実務の試験、面接などで行われます。刑法、刑事訴訟法、警察行政法、憲法などをくり返し勉強する必要があり、夜勤明けや休日に勉強時間を作る人が多いです。たとえば、学校の定期テストが何年も続くようなイメージで、合格するまで何回でも挑戦できます。

警視正以上は国家公務員

都道府県警察の警察官でも、警視正以上になると身分が国家公務員(地方警務官)に変わり、給料も国から出ます。都道府県警察の約26万人のうち、地方警務官は635人(2026年度)とごくわずかです。警視総監は警視庁のトップで、全国に1人しかいない階級です。

ずっと現場にいる道も

昇任試験を受けず、または巡査部長や警部補のまま、刑事や白バイ隊員などの専門家として現場で活躍し続ける人もたくさんいます。階級が上がるほど管理の仕事が増えるので、「現場が好きだからあえて上がらない」という選び方もあります。

配属先(部門)の種類

警察の仕事は、大きく分けて地域、刑事、生活安全、交通、警備、警務・総務の部門に分かれています。さらに地域ごとの警察署と、都道府県ごとの警察本部があり、警察本部には捜査一課や機動隊、科学捜査研究所、サイバー犯罪対策課などの専門部署が集まっています。警察学校を出ると全員が地域部門(交番)からスタートし、本人の希望や適性、上司の評価によって専門部門へ異動します。数年ごとに異動があり、同じ人が刑事と交通、警務など複数の部門を経験することもめずらしくありません。

警察署と警察本部

警察署は担当区域の事件・事故に対応する「現場の拠点」で、刑事課・交通課・生活安全課・地域課などがそろっています。警察本部は県全体を担当する「司令塔」で、大きな事件や複数の署にまたがる事件、専門的な捜査を担当します。たとえば、ある町で起きた殺人事件では、警察署に「捜査本部」が置かれ、警察本部の捜査一課の刑事と署の刑事がいっしょに捜査します。

警察官以外の専門職

警察には警察官のほかに、警察行政職員(事務)、科学捜査研究所の研究員(DNA鑑定や薬物分析を行う理系の専門職)、通訳、少年補導職員などもいます。たとえば、理系の大学で化学や生物を学んで、科捜研の研究員として事件解決にかかわる道もあります。

海や空の警察

海に面した県の警察には警察用の船舶(警備艇)を使う水上警察の部署があり、各県警には事件や災害時に飛ぶ警察ヘリコプターの航空隊もあります。ヘリコプターの操縦士や整備士は、専門の採用や部内の選抜・訓練で育てられます。

年収のリアル

警察官の給料は「公安職」という、一般の事務職の公務員より高めに設定された給料表で決まります。これに、夜勤や休日出勤の手当、地域手当(物価の高い地域ほど多い)、扶養手当、住居手当などが加わり、年2回のボーナス(期末・勤勉手当)も出ます。総務省の調査(2025年)では、警察職の平均給与月額は494,513円(平均年齢39.4歳、手当を含む)で、ボーナスを加えると年収はおよそ750万円前後が目安です。警視庁の初任給は、I類が321,900円、III類が279,400円(2026年1月時点、地域手当20%を含む)で、同じ年の事務職の公務員より月に3万〜4万円ほど高くなっています。

若いうちから年収が高め

警視庁の年収例では、実務2年目でI類が約657万円、III類が約605万円です。たとえば、同じ大卒2年目の民間企業の会社員と比べると高い水準で、警察官の大きな魅力のひとつです。ただし、これは夜勤や手当を含めた金額で、勤務のきつさに対する対価でもあります。

都道府県によるちがい

給料表は都道府県ごとに決められていて、とくに地域手当の割合(東京都特別区は20%、地方では0〜10%程度など)によって月給が変わります。そのため、同じ巡査でも東京と地方では年収に数十万円の差が出ることがあります。一方で、地方は家賃などの生活費が安いので、暮らしやすさで比べると大きな差がないこともあります。

昇任すると上がる

給料は階級と勤続年数で決まるので、昇任試験に合格するほど年収が上がります。たとえば警部になると管理職手当がつくようになり、年収は800万〜900万円台が目安になります。退職金も公務員の制度で支払われ、長く勤めると大きな額になります。

やりがい

警察官のやりがいは、目の前の人を直接助けられることです。迷子の子どもを保護者のもとへ送り届けたり、詐欺にあいそうなお年寄りを銀行の窓口で止めたり、逃げた犯人を捕まえて被害者に「ありがとう」と言われたりする瞬間は、この仕事ならではです。また、どんな学歴でも同じ巡査からスタートし、自分の努力と試験で階級を上げていけるため、「がんばりが目に見える」仕事でもあります。

地域から信頼される

交番の警察官は、地域の人の名前や顔を覚え、住民からも「いつものおまわりさん」として頼られるようになります。たとえば、通学路で毎朝あいさつしていた小学生が、大きくなって「警察官になりたい」と言ってくれることもあります。

事件の解決にかかわる

刑事として何か月も追いかけた事件の犯人を逮捕できたときの達成感は、とても大きいといわれます。被害者や遺族にとって、事件が解決することは生活を立て直す第一歩になります。

安定した身分

公務員なので、会社の倒産やリストラの心配がほとんどなく、給料も景気に左右されにくいです。育児休業や介護休暇などの制度も整っており、長く働き続けやすい環境です。

大変なこと・きついこと

警察官の仕事は、昼夜を問わず事件や事故が起きるため、夜勤や休日の呼び出しがあります。警視庁の地域警察官は「日勤→夜勤→夜勤明け→休み」の4交替制で、夜勤では交番で仮眠を取りながら朝まで対応します。大きな事件が起きると何日も帰れないこともあります。また、事故現場でけがをした人や亡くなった人を見たり、酔っぱらいやトラブルの相手から暴言を受けたりすることもあり、心の強さも必要です。

上下関係と規律

警察は階級で動く組織なので、上司の指示には従うのが基本で、あいさつや身だしなみなどの規律も厳しいです。たとえば、部活の上下関係をさらに厳しくしたようなイメージです。若いうちは寮で生活することも多く、プライベートとの区別がつきにくいと感じる人もいます。

勉強が続く

昇任するには何度も試験を受けなければならず、仕事をしながら法律の勉強を続ける必要があります。合格しないと同期との差が開くこともあり、プレッシャーを感じる人もいます。

行動への制限

警察官は勤務時間外でも「警察官としてふさわしい行動」が求められ、飲酒運転などの不祥事は大きく報道されます。また、居住地や旅行先を届け出る決まりがある県もあり、自由に動きにくい面があります。

向いている人

警察官に向いているのは、困っている人を放っておけない人、ルールを守ることを大切にできる人、体を動かすのが好きな人です。また、知らない人とも落ち着いて話せる人、長い時間ねばり強く取り組める人も向いています。頭のよさだけでなく、とっさの判断力や、つらい場面でも感情をコントロールする力が求められます。

こんな経験がある人

部活動で毎日練習を続けてきた人、委員会や生徒会でみんなをまとめた経験がある人、アルバイトで接客をしてきた人などは、その経験が警察の仕事に生きます。たとえば、運動部で鍛えた体力は警察学校の訓練で、接客経験は交番での道案内や相談対応で役に立ちます。

向いていないかもしれない人

夜型の生活がどうしても無理な人、上下関係や決まりごとが苦手な人、人とのトラブルを避けたい人は、最初はつらく感じるかもしれません。ただし、警察には内勤や専門職など多様な働き方があるので、自分に合う部門を見つける人も多いです。

高校生のうちにできること

高校生のうちにできる一番の準備は、体力づくりと、教養試験の土台になる基礎学力をつけることです。毎日のランニングや筋トレで体力をつけておくと、体力検査だけでなく警察学校の訓練でもずっと楽になります。教養試験には高校の国語・数学・社会・理科の内容が出るので、授業をしっかり受けることがそのまま試験対策になります。柔道・剣道の段位は、資格経歴として加点される県もあります。

説明会やインターンシップ

多くの都道府県警察が、高校生や大学生向けの採用説明会や職場見学、インターンシップを開いています。たとえば、夏休みに警察署で白バイや鑑識の仕事を見学できるイベントもあります。実際の警察官に話を聞くと、志望動機を考えるときにも役立ちます。

文理選択の考え方

警察官は文系・理系どちらからでもなれます。刑事や警務をめざすなら法学部、サイバー犯罪捜査官をめざすなら情報系、科捜研の研究員をめざすなら化学や生物などの理系学部に進む人が多いです。高卒で受験する場合は、教養試験で幅広い科目が出るので、苦手科目を作らないことが大切です。

身近な防犯に目を向ける

地域の防犯ボランティアや、学校の防犯教室に参加するのもよい経験です。たとえば、自転車の鍵をかける、SNSに自宅がわかる写真をあげない、といった身近な防犯の考え方を知っておくと、警察の仕事への理解が深まります。

代表的な職場

警察官の勤め先は、47の都道府県警察と、国の警察庁、皇宮警察(天皇・皇族の護衛をする組織)です。都道府県警察の中では、警視庁(東京都)が全国で最大の組織で、大阪府警察、神奈川県警察、愛知県警察、埼玉県警察などが大規模な警察です。どこの県で働くかによって、扱う事件の種類や異動の範囲が変わります。たとえば、大都市の警察では繁華街のトラブルや国際的な事件が多く、地方の警察では駐在所で地域に密着した仕事をする機会が多くなります。

受験する県の選び方

採用されるとその都道府県の中で異動するので、地元で働きたいか、大都市で働きたいかで受験先を選ぶ人が多いです。複数の都道府県警察を併願することも可能で、試験日が重ならなければいくつか受けられます。

警察に近い仕事

海の安全を守る海上保安官(海上保安庁)、麻薬を取り締まる麻薬取締官(厚生労働省)、刑務所で働く刑務官(法務省)なども、警察と近い仕事です。たとえば、海が好きなら海上保安官、薬学を学びたいなら麻薬取締官という選び方もあります。

よくある質問

身長や視力が足りないと警察官になれませんか?

以前は身長や体重の基準がありましたが、現在は多くの都道府県で身長・体重の基準をなくし、「職務遂行に支障がないこと」としています。視力は矯正視力(メガネやコンタクトレンズを使った視力)で基準を満たせばよいところがほとんどです。くわしい条件は受験する県の募集要項で確認しましょう。

高校生でも警察官の採用試験を受けられますか?

はい、高校3年生のときにIII類(高卒程度)の試験を受けることができます。合格すれば卒業後の春に採用され、警察学校に入ります。年齢の上限があるので、受験できる年齢を募集要項で確認しておきましょう。

女性でも刑事や白バイ隊員になれますか?

なれます。女性警察官は全国で約3万3千人(2026年度)おり、刑事、白バイ、機動隊、SP、鑑識など、さまざまな部門で女性が活躍しています。性犯罪の被害者への対応など、女性警察官が特に必要とされる場面も多いです。

警察学校はどのくらいきついですか?

朝6時ごろ起床し、点呼、授業、柔道・剣道、逮捕術、体力訓練などで1日が埋まる全寮制の生活です。最初は慣れずに大変と感じる人が多いですが、同期と励まし合いながら乗りこえていきます。給料をもらいながら学べるので、「学校」というより「仕事の一部」です。

運転免許は必要ですか?

採用時に必須ではない県もありますが、パトカーの運転などで必要になるため、警察学校在学中や採用後に取得するよう求められます。高校卒業前後に普通自動車免許をとっておくと安心です。

警察官は転勤がありますか?

都道府県警察の警察官は、その都道府県の中で数年ごとに異動します。他の県に転勤することは基本的にありませんが、警察庁や他県への出向として一時的に移ることはあります。

拳銃は撃つことがありますか?

拳銃は勤務中に携帯しますが、実際に撃つことはほとんどありません。警察学校や定期的な訓練で射撃を練習し、法律で決められたごく限られた場面でだけ使うことが許されています。

途中で警察官をやめたら、どんな仕事に就けますか?

警備会社、企業の防犯・総務部門、自治体の安全対策の担当、保険会社の調査部門などに転職する人がいます。警察で身につけた法律の知識や、人と落ち着いて話す力、体力は、多くの仕事で評価されます。

理系でも警察官になれますか?

なれます。採用試験は文理を問わず、理系の知識は教養試験の自然科学で役に立ちます。また、サイバー犯罪捜査官や科学捜査研究所の研究員など、理系の専門性を生かせる仕事も増えています。

この分野のことば

年収について:総務省「地方公務員給与実態調査」(2025年)の警察職の平均給与月額は494,513円(平均年齢39.4歳、各種手当を含む)で、これに年4か月分以上の期末・勤勉手当(ボーナス)を足して計算した目安です。警視庁の年収例は実務2年目でI類 約657万円、III類 約605万円です(2026年1月時点の警視庁採用サイト、地域手当20%を含む)。都道府県によって地域手当が違うため差があります。

数字はすべて公開データにもとづく目安です。出典は出典・サイトポリシーにまとめています。

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