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社長の「次はどうする?」に、数字と計画で答える会社の作戦本部

経営企画

経営企画は、会社がこれから何年かけて、どの事業にお金と人を使い、どう成長していくかという作戦を考え、実行を見守る職種です。たとえば「3年後に売上を1兆円にする」という中期経営計画を作る、毎年の予算を各部署と決める、新しい事業を始めるか判断する材料を集める、ほかの会社を買収するかどうか検討する、といった仕事があります。部活にたとえると、監督と一緒に「1年後の大会で勝つには、どの練習にどれだけ時間を使うか」を考え、毎月の練習試合の結果を見て作戦を直す参謀のような役割です。社長や役員にもっとも近い部署の一つで、会社全体を見渡す視野が求められます。

平均年収の目安約737万円約500万〜1,500万円以上(会社の規模・役職で差が大きい)
なるまでの難しさ★★★★★経営企画になるのに必須の資格はありませんが、会社全体の数字と事業を理解している必要があるため、新卒ですぐに配属されることは多くありません。財務や会計の知識、論理的に考える力、役員に説明する力が求められます。営業、経理、事業部などで実績を出した人が選ばれて異動してくることが多く、外部からはコンサルティング会社や投資銀行の出身者が転職してくる人気の職種です。
決めどき文系・理系どちらでも

入社後5〜10年の実績で選ばれて異動することが多い。コンサル・金融からの転職組も多い

経営企画の中の、細かい担当

同じ経営企画でも、担当によって仕事はまったく違います。押すと、それぞれの仕事内容・必要な力・キャリアが見られます。

どんな会社にある?

経営企画は、上場企業を中心に多くの大企業の本社にあります。メーカー、商社、金融、IT、小売、鉄道など業界は問いません。大企業では数十人規模の経営企画部があり、中期経営計画、予算管理、M&A、IR、子会社管理などに担当が分かれています。中小企業では社長や役員が自分で担うことが多く、経営企画という部署そのものがない会社もあります。成長中のベンチャー企業では、資金調達や上場準備を担う経営企画が重要な役割を持ち、CFOの右腕として少人数で幅広い仕事をこなします。

どの学部の人が多い?

経営企画に多いのは経済学部、経営学部、商学部、法学部の出身者です。経済学や経営学で学ぶ企業財務、会計、経営戦略の考え方が、計画や予算づくりで直接役に立ちます。ただし理系出身者も多く、特にメーカーでは工学部出身で研究開発や工場を経験した人が技術の分かる経営企画として活躍しています。データ分析や数学の力は、業績の予測や投資の判断でとても重宝されます。学部よりも、数字で考える力と、会社の事業を深く知っていることが重要です。

経営企画の年収と昇進の流れ

担当者(スタッフ)550〜750万円
経営企画配属1〜3年、28〜32歳

予算の集計、業績の分析、会議資料の作成などを担当します。数字を正確に扱い、役員からの質問に素早く答えられるようになることが次の段階への条件です。

主任・シニアスタッフ700〜900万円
32〜36歳

中期経営計画の一部やM&A案件の分析などを任され、事業部との調整の中心になります。担当分野で役員に直接説明できる力が求められます。

課長・マネージャー900〜1,200万円
36〜45歳

経営企画のチームを率い、中期経営計画や予算の全体設計を担います。社長や役員と議論し、会社の方針づくりに深くかかわります。

経営企画部長1,100〜1,600万円
45〜55歳

経営企画部全体の責任者として、社長の参謀役を務めます。重要な投資やM&Aの判断で中心的な役割を担います。

執行役員・CFO・CSO1,500〜3,000万円
50歳以降

経営戦略や財務の最高責任者として、経営会議や取締役会で会社の方向を決めます。大企業では報酬がさらに高くなることもあります。

年収は目安です。会社や地域、本人の働き方で大きく変わります。

働き方で何が違う?

大企業の経営企画部30代で800万円前後、課長・部長で1,000万〜1,500万円が目安

数十人規模の部署で、中期経営計画、予算、M&A、子会社管理などに担当が分かれています。扱う金額が大きく、社会への影響も大きい仕事です。社内の調整に時間がかかることもありますが、経営の仕組みを体系的に学べます。

良いところ大きな仕事に携われ、待遇も高めで安定している

大変なところ担当が細かく分かれ、社内の調整に時間がかかる

ベンチャー・上場準備企業の経営企画600万〜1,200万円前後。ストックオプションがつくこともある

少人数で、予算、資金調達、上場準備、投資家対応などを幅広く担当します。CFOの右腕として、会社の成長を直接支えます。仕組みが整っていない中で、一から作っていく力が求められます。

良いところ裁量が大きく、会社の成長と上場を経験できる

大変なところ仕事量が多く、会社の業績によって安定性が変わる

戦略コンサルティング会社20代で600万〜1,000万円、マネージャー以上で1,500万円を超えることもある

外部の専門家として、多くの大企業の経営戦略や新規事業の立案を支援します。短い期間で多くの業界の課題を経験でき、分析と提案の力が鍛えられます。経営企画への転職の入り口にもなります。

良いところ若いうちから多くの業界の経営課題に触れられ、成長が速い

大変なところ長時間労働になりやすく、成果への要求が厳しい

投資銀行・M&A仲介会社会社や成果によって差が大きく、20代で1,000万円を超える例もある

会社の買収や売却、資金調達を専門に支援します。M&Aの専門知識が身につき、事業会社のM&A担当や経営企画への転職につながります。

良いところ専門性と高い報酬が得られる

大変なところ忙しさが激しく、成果へのプレッシャーが大きい

代表的な会社・職場

事業会社総合シンクタンク・コンサルティング戦略コンサルティング会社総合コンサルティング会社Big4系コンサルティング証券会社(投資銀行)M&A仲介会社経営コンサルタント
上場企業の本社経営企画部事業会社

メーカー、商社、金融、通信などの本社で、中期経営計画や予算、M&Aを担当します。

会社全体の平均年収に準じ、大企業では高めの傾向
野村総合研究所 ›総合シンクタンク・コンサルティング

企業や官公庁向けのコンサルティングとITサービスを提供し、経営計画づくりを支援することもあります。

約1,322万円(2025年3月期、平均年齢39.9歳)
マッキンゼー・アンド・カンパニー ›戦略コンサルティング会社

世界的な戦略コンサルティング会社で、大企業の経営戦略づくりを支援しています。

ボストン コンサルティング グループ ›戦略コンサルティング会社

経営戦略や新規事業、デジタル化などについて大企業に助言しています。

アクセンチュア ›総合コンサルティング会社

経営戦略からITシステムの導入まで、幅広く企業の変革を支援しています。

デロイト トーマツ グループBig4系コンサルティング

監査法人を中心とするグループで、経営戦略やM&Aの支援を行っています。

野村證券(投資銀行部門) ›証券会社(投資銀行)

企業の資金調達や、M&Aの助言を行っています。

日本M&AセンターM&A仲介会社

後継ぎがいない中小企業などの、会社の売り手と買い手をつなぐ仲介を行っています。

中小企業診断士の事務所経営コンサルタント

中小企業の経営計画づくりや補助金の申請などを支援しています。

›がついた会社は、会社図鑑で詳しく解説しています。

どうやって稼いでいる?

¥会社が稼いだお金経営企画どこに、いくら使うかを考える新しい工場研究開発会社の買収株主への配当事業の入れ替えも考える伸びる事業お金と人を集中伸びない事業売却や縮小を検討判断の材料をつくり、会社の価値を高める
判断をまちがえると何百億円という損失につながることもあります

経営企画は、直接商品を売る部署ではありませんが、会社のお金と人をどこに使うかを決める作戦本部です。会社が稼いだお金は、新しい工場、研究開発、ほかの会社の買収、株主への配当などに使われます。どこにいくら使うかの判断をまちがえると、何百億円という損失につながることもあり、逆にうまくいけば会社の成長を大きく加速させます。たとえば、伸びる市場に早く投資した会社は大きく成長し、縮む市場にこだわった会社は苦しくなります。経営企画は、その判断の材料をつくり、決まった計画が実行されているかを確かめることで、会社の価値を高めることに貢献しています。

1
中期経営計画による成長

3〜5年の計画で目標と投資の方針を決め、会社全体が同じ方向に進むようにします。計画が投資家に評価されれば、株価が上がり、会社がお金を集めやすくなります。

2
予算管理による利益の確保

毎月の業績をチェックし、計画からずれていれば早めに手を打ちます。むだな費用を見つけて減らすことも、利益を守ることにつながります。

3
M&Aによる時間を買う成長

自社で一から事業を作るには何年もかかりますが、すでにある会社を買えば、その技術やお客さんを一気に手に入れられます。これを「時間を買う」と表現することがあります。

4
事業の入れ替え(ポートフォリオ管理)

伸びている事業にお金と人を集中させ、伸びない事業は売却や縮小を検討します。会社全体の利益率を高める効果があります。

5
新規事業による将来の収益

今はまだ小さくても、将来会社を支える事業の種を育てます。成功すれば、10年後の会社の柱になることもあります。

入ってからどうなっていく?

入社〜5年目現場で事業を学ぶ営業・工場・経理など5〜10年目経営企画へ異動予算や分析、資料づくり10〜15年目計画とM&Aの中心社長や役員と議論する数字に強いと呼ばれる15〜20年目本社で経営企画課長チームを率いる現場で企画責任者事業部や子会社へ20年目以降部長・役員社長の参謀役転職してCFOほかの会社やベンチャー現場で成果を出した人が、作戦本部に呼ばれる
本社と現場を行き来しながら、経営の経験を積みます
入社〜5年目現場で事業を学ぶ営業、工場、経理、事業部などに配属され、会社の商品やお客さん、お金の流れを現場で学びます。ここで成果を出し、数字に強いと評価された人が経営企画に呼ばれます。
5〜10年目経営企画に異動し、予算や分析を担当予算管理や業績の分析、資料作りから始め、会社全体の数字の見方を身につけます。役員会で使う資料を作る中で、経営陣の考え方を学びます。
10〜15年目中期経営計画やM&Aの中心メンバー中期経営計画の取りまとめや、M&A案件の担当を任されます。社長や役員と直接議論し、会社の方針づくりにかかわります。
15〜20年目経営企画課長・事業部の企画責任者経営企画のチームを率いるか、事業部や子会社に移って企画責任者として現場の経営を担います。本社と現場を行き来しながら経営の経験を積みます。
20年目以降経営企画部長・役員・CFO経営企画部長として社長の参謀役を務め、執行役員や取締役になる人もいます。ほかの会社のCFOや、ベンチャー企業の経営幹部として転職する道もあります。

中期経営計画ができるまで

1振り返る前の計画の結果を分析2世の中を調べる市場・競合・技術の変化3目指す姿3〜5年後の目標を決める4事業ごとの計画各事業部と調整を重ねる5決定・発表取締役会で決め社長が発表6予算で確認毎年の予算に分け毎月チェック次の計画へ3〜5年の計画を、毎月の数字で確かめる
実績が計画から大きくずれたら、対策や計画の見直しを行います
1
今の会社を振り返る

前の計画の結果を確認し、何がうまくいき、何がうまくいかなかったかを分析します。

2
世の中の変化を調べる

市場、競合他社、技術、法律、人口などの変化を調べ、会社にとってのチャンスと危険を整理します。

3
目指す姿を決める

社長や役員と議論し、3〜5年後にどんな会社になりたいか、売上や利益の目標をどうするかを決めます。

4
事業ごとの計画を積み上げる

各事業部と話し合い、事業ごとの目標と必要な投資を計画にします。全体の目標と合うまで調整を繰り返します。

5
役員会で決定し発表する

取締役会で計画を決め、投資家向けの資料にまとめて社長が発表します。社員向けにも説明会を開きます。

6
毎年の予算に落とし込み進み具合を確認する

計画を毎年の予算に分け、毎月の実績を確認します。ずれが大きければ、対策や計画の見直しを行います。

中小企業診断士

合格率第1次試験23.7%、第2次試験(筆記)17.6%(令和7年度)
勉強時間の目安1,000時間前後の勉強が目安とされ、働きながら1〜3年かけて合格する人が多いです
受験資格第1次試験は年齢・学歴を問わず誰でも受験できます
第1次と第2次をあわせた最終的な合格率は数%程度と、難しい国家資格の一つです。範囲が広く、第2次試験では答えが一つに決まらない事例問題を限られた時間で書く力が求められます。経営企画に必須ではありませんが、経営の知識を体系的に身につけた証明として評価されます。
試験科目(押すと中身が見られます)
合格までの流れ
  1. 第1次試験7科目のマークシート試験です。全体で6割以上、各科目4割以上の点が必要です。
  2. 第2次試験事例をもとに経営課題と解決策を文章で答える筆記試験です。令和8年度からは口述試験が廃止され、筆記の合格が最終合格になります。
  3. 実務補習・登録合格後に実務補習や実務従事を行い、中小企業診断士として登録されます。

経営企画のある1日

8:30

出社して、新聞や経済ニュースで自社と競合他社の動きを確認します

9:00

先月の業績の速報を経理部から受け取り、予算との差を確認します

10:00

事業部の企画担当と、来年度の予算案について話し合います

11:30

来週の経営会議の議題を各部署から集め、資料の論点を整理します

12:30

昼休みです。同僚と業界のニュースについて話すことも多いです

13:30

買収を検討している会社について、投資銀行の担当者とオンラインで打ち合わせをします

15:00

次の中期経営計画に向けた市場調査の資料を作ります

17:00

経営企画部長と一緒に、社長に業績の見通しを報告します

19:00

社長から出た質問に答えるための追加の分析を終え、退社します

もっと知りたい人へ

そもそも経営企画とは

経営企画は、会社の経営に関する計画を立て、その実行を管理する部署です。社長や役員が会社の方向を決めるとき、その判断材料をそろえ、決まったことを各部署に落とし込み、進み具合を確かめるのが役割です。たとえば、社長が「海外の売上を増やしたい」と考えたとき、経営企画はどの国にどのくらいの需要があるか、自社で工場を建てるか現地の会社を買うか、いくらの投資が必要か、といったことを調べて選択肢を示します。会社の作戦本部、あるいは社長の参謀と呼ばれることが多い職種です。

経営企画と事業企画のちがい

経営企画は会社全体を見る部署で、事業企画(事業部の企画)は一つの事業部の計画を担当します。たとえば、家電メーカーなら会社全体の計画を立てるのが経営企画、冷蔵庫事業の計画を立てるのが冷蔵庫事業部の企画担当です。

会社によって仕事の範囲がちがう

経営企画の仕事の範囲は会社によってかなり異なります。IRや広報、子会社管理、DXの推進まで担当する会社もあれば、予算管理だけを担当する会社もあります。

なるためのルート

経営企画になる代表的なルートは、会社に入って現場で実績を出し、選ばれて異動するという道です。新卒で直接経営企画に配属される会社もありますが、数は多くありません。もう一つの大きなルートが転職で、戦略コンサルティング会社、投資銀行、監査法人などで経験を積んだ人が、事業会社の経営企画に転職するケースがよくあります。ベンチャー企業では、こうした経験者が経営企画やCFOとして迎えられることも多いです。

  1. 高校数学と国語をしっかり学び、数字で考える力と文章で説明する力を伸ばします。ニュースで会社の話題に関心を持つことも大切です。
  2. 大学経済学部、経営学部、商学部などで会計や経営戦略を学ぶ人が多いですが、理系でもかまいません。簿記2級や、データ分析の力を身につけておくと強みになります。
  3. 就職事業会社に総合職で入るか、コンサルティング会社や金融機関に入って経験を積みます。
  4. 現場で実績を出す営業、経理、事業部などで成果を出し、数字に強く、全体を考えられる人として評価されます。
  5. 経営企画へ社内異動または転職で経営企画に入り、予算管理や分析から担当を広げていきます。
コンサルからの転職が多い理由

コンサルティング会社では、多くの会社の経営課題を分析し、解決策を提案する経験を積みます。この経験は経営企画の仕事と近いため、30歳前後で事業会社に移る人が多いです。

MBAという選択肢

経営を体系的に学ぶ大学院の学位であるMBA(経営学修士)を取ってから経営企画に就く人もいます。会社の費用で国内外のビジネススクールに派遣される制度がある会社もあります。

試験・選考の詳細

経営企画になるために必須の資格はありません。社内異動の場合は、これまでの仕事での実績と、上司や人事の評価で選ばれます。転職の場合は、書類選考と複数回の面接に加え、ケース面接という、その場で経営課題を考えて答える試験が行われることもあります。関連する資格としては、経営全般の知識を示す国家資格の中小企業診断士、会計の知識を示す日商簿記2級・1級や公認会計士、MBAなどが評価されます。中小企業診断士の令和7年度の合格率は、第1次試験が23.7%、第2次試験(筆記)が17.6%でした。

中小企業診断士とは

中小企業診断士は、会社の経営の課題を見つけて助言する専門家として国が認める資格です。財務・会計、企業経営理論、運営管理、経済学など7科目を学ぶため、経営企画に必要な知識をまとめて身につけられます。

ケース面接

たとえば「あるコーヒーチェーンの売上を2倍にするにはどうするか」といった問題をその場で考え、筋道を立てて説明する面接です。コンサルティング会社や一部の事業会社の経営企画の選考で使われます。

年収のリアル

経営企画は、事務系の職種の中では年収が高めになりやすい職種です。厚生労働省のjob tagでは、近い職業である企画・調査担当の年収の目安が736.8万円(令和7年、平均年齢43歳)です。経営企画部は大企業の本社に置かれることが多く、本社の社員の給料水準がそのまま適用されるため、30代で800万円前後、課長・部長で1,000万〜1,500万円になる例もあります。コンサルや投資銀行からの転職者は、さらに高い水準で迎えられることがあります。

忙しさの波

中期経営計画の発表前、予算編成の時期、決算発表の前、M&Aの交渉中などは、夜遅くまで働くことが多くなります。一方で、落ち着いている時期もあり、波が大きい仕事です。

ベンチャーの経営企画

ベンチャー企業では、給料は大企業より低いこともありますが、ストックオプションという、将来会社の株を決まった値段で買える権利がもらえることがあります。会社が上場すると大きな利益になる可能性があります。

やりがい

経営企画のやりがいは、会社の将来を決める判断に深くかかわれることです。自分が分析した資料をもとに、社長が新しい工場の建設やほかの会社の買収を決める場面に立ち会えます。何年もかけて作った中期経営計画が発表され、新聞で報道されたときの達成感は大きいものです。会社全体を見渡し、すべての事業と数字を理解できるので、経営者の視点が身につきます。若いうちから役員と直接議論できるのも、この職種ならではの経験です。

経営者への近道

経営企画で会社全体を見る経験は、将来の経営幹部に必要な力そのものです。経営企画出身の社長や役員は多く、キャリアの面でも大きな意味があります。

大きなお金を動かす経験

何十億円、何百億円という投資の判断材料を作る経験は、ほかの部署ではなかなかできません。責任は重いですが、そのぶん成長も大きいです。

大変なこと・きついこと

経営企画の仕事は、責任の重さとプレッシャーが大きいです。社長や役員から急な依頼が来ることが多く、翌朝までに分析をまとめてほしい、ということもあります。予算を決めるときには、各部署の希望をすべて聞くことはできず、厳しい目標をお願いする立場になるので、現場から反発を受けることもあります。自分で商品を作ったり売ったりするわけではないので、現場の苦労を知らないと思われないよう、ていねいなコミュニケーションが必要です。

成果がすぐに見えない

中期経営計画や新規事業の成果が出るのは何年も先です。自分の仕事が本当に正しかったのかが、すぐにはわからないもどかしさがあります。

秘密を抱える重さ

M&Aや組織の再編など、発表前の重要な情報を扱うため、家族や同僚にも話せないことが多くあります。秘密を守る責任は精神的な負担にもなります。

向いている人

経営企画に向いているのは、数字で物事を考えるのが好きな人、全体を見渡して筋道を立てて考えられる人です。新聞の経済面やニュースを読んで、なぜこの会社は成長しているのか、と考えるのが好きな人には特に合っています。社長や役員に対しても、根拠を示して自分の意見をはっきり言える人、各部署の人の話を聞いて調整できる人も向いています。新しいことを学び続ける好奇心と、急な依頼にも対応できる体力も大切です。

数学が得意でなくても大丈夫か

高度な数学は必要ありませんが、割合や伸び率、平均などを使って数字の意味を読み取る力は欠かせません。表計算ソフトを使いこなせると、とても役立ちます。

現場への敬意

経営企画は現場の人に支えられて計画を実行します。現場の声に耳を傾け、敬意を持って接することができる人が信頼され、成果を出せます。

高校生のうちにできること

高校生のうちにできる準備は、数学と国語の力を伸ばすこと、そして社会の動きに関心を持つことです。数学で学ぶ割合、関数、統計の考え方は、売上の予測やデータの分析にそのまま使います。ニュースで会社の決算や買収の話題が出たら、なぜその会社がそう判断したのかを考えてみましょう。文化祭や部活で、予算を考え、目標を立て、結果を振り返る経験も、経営企画の仕事に通じます。

好きな会社の中期経営計画を読んでみる

ゲーム会社やお菓子のメーカーなど、身近な会社のホームページの投資家向けのページには、中期経営計画が載っています。どんな目標を立てているか読むと、経営企画の仕事がイメージしやすくなります。

株式投資の学習

学校の授業や本で、株や投資の仕組みを学ぶと、会社の価値がどう決まるかがわかります。ゲーム形式で株式投資を学べる教材もあります。

代表的な会社・職場

経営企画部は、上場している大企業の本社に多くあります。メーカー、商社、金融、通信、鉄道、小売など業界を問いません。経営企画の人材を育てる場、あるいは経営企画を外から支える専門の会社としては、戦略コンサルティング会社、総合系コンサルティング会社、投資銀行、M&Aの仲介会社などがあります。こうした会社で経験を積んだあと事業会社の経営企画に移る人も多いです。

戦略コンサルティング会社

マッキンゼー・アンド・カンパニー、ボストン コンサルティング グループなどの戦略コンサルティング会社は、大企業の経営戦略づくりを支援します。経営企画の仕事を外から手伝う存在です。

M&Aの専門会社

日本M&Aセンターのような仲介会社や、投資銀行は、会社の買収や売却をお手伝いする専門家です。経営企画はこうした会社と一緒にM&Aを進めます。

中期経営計画とは何か

中期経営計画は、会社がおよそ3年から5年の間に目指す姿と、そのための具体的な目標や投資の方針をまとめたものです。多くの上場企業が作って公表しており、売上や営業利益、ROE(自己資本利益率)などの数値目標が並びます。投資家はこれを読んで、その会社の株を買うかどうかを判断します。社員にとっても、会社がどこに向かっているのかを知る大切な道しるべになります。経営企画は、この計画をつくるだけでなく、毎年の予算に落とし込み、進み具合を確かめる役割を担います。

中期経営計画に書かれること

たとえば、伸ばす事業と縮める事業、海外の売上の目標、研究開発や設備にいくら投資するか、株主にどのくらい配当するか、社員の働き方や環境への取り組みなどが書かれます。

計画どおりにいかないとき

世の中の変化が激しいため、計画どおりに進まないことも多くあります。そのときは理由を説明し、計画を見直して新しい目標を示すことが求められます。

M&Aの基本

M&Aは、合併(Merger)と買収(Acquisition)の頭文字をとった言葉で、会社どうしが一つになったり、ある会社がほかの会社や事業を買ったりすることを指します。たとえば、日本の会社が海外の会社を買えば、すぐに海外のお客さんや工場を手に入れられます。後継ぎがいない中小企業が、ほかの会社に事業を引き継いでもらうためにM&Aを使うことも増えています。M&Aは大きなお金が動き、成功すれば会社が大きく成長しますが、高すぎる値段で買ったり、買ったあとの統合に失敗したりすると大きな損失になります。

デューデリジェンス

買う前に、相手の会社のお金、契約、法律上の問題、人材などを細かく調べることです。家を買う前に、柱が傷んでいないか、雨漏りがないかを専門家に調べてもらうのと似ています。

PMI(買収後の統合)

買収が終わったあと、二つの会社の仕組み、ルール、文化をなじませる取り組みです。M&Aの成否はPMIで決まると言われるほど重要で、経営企画が中心になって進めることがあります。

よくある質問

経営企画は新卒でもなれますか

会社によっては新卒から配属されますが、多くは入社後に現場で経験を積んでから異動します。コンサルティング会社などで経験を積んで転職する人も多いです。

経営企画とコンサルタントはどうちがいますか

コンサルタントは外部の専門家として多くの会社に助言します。経営企画は一つの会社の中にいて、計画を立てるだけでなく、実行して結果に責任を持つ点がちがいます。

理系でも経営企画になれますか

なれます。特にメーカーでは、技術がわかる人が経営企画にいると、研究開発や設備投資の判断に役立ちます。データ分析の力も重宝されます。

経営企画にはどんな資格が役立ちますか

必須の資格はありませんが、日商簿記、中小企業診断士、公認会計士、MBAなどが役立ちます。どれも会計や経営の知識を体系的に学べます。

経営企画は激務ですか

中期経営計画の発表前や予算の時期、M&Aの交渉中は忙しくなります。ただし一年中忙しいわけではなく、時期によって波があります。

経営企画から社長になる人はいますか

います。経営企画で会社全体を見る経験は経営者に必要な力と重なるため、経営企画出身の社長や役員は少なくありません。

英語は必要ですか

海外の事業や買収が多い会社では、英語で資料を読み、会議をする力が求められます。国内中心の会社でも、英語ができると担当できる仕事の幅が広がります。

中小企業にも経営企画はありますか

中小企業では、社長や役員が自分で計画を立てることが多く、専門の部署がないこともあります。成長中のベンチャー企業では、上場に向けて経営企画を置くことが多いです。

AIで経営企画の仕事はなくなりますか

データの集計や資料作りはAIで速くなっていますが、会社の方向を決める判断や、社内の人を動かす調整は人の役割として残ります。AIを使いこなせる経営企画が求められるようになっています。

この分野のことば

年収について:厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)」の企画・調査担当の年収736.8万円(令和7年賃金構造基本統計調査をもとにした目安、平均年齢43歳)。経営企画だけの公的統計はないため近い職業の数字です。大企業の本社経営企画部は会社全体の給料表で決まり、課長・部長クラスでは1,000万円を超える例も多いです。

数字はすべて公開データにもとづく目安です。出典は出典・サイトポリシーにまとめています。

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