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好きな教科のプロとして教え、10代の進路と悩みに向き合う

中学・高校の先生

中学・高校の先生(中学校教諭・高等学校教諭)は、数学、英語、国語、理科、社会、体育など自分の専門の教科を教え、学級担任や部活動、進路指導を通して10代の生徒の成長を支える仕事です。たとえば数学の先生なら、1日に3〜4クラスで二次関数を教え、放課後はバスケットボール部の練習を見て、夜は担任クラスの生徒の進路面談の準備をする、というように教科の専門家とクラスの担任の両方の顔を持ちます。全国で中学校の先生は約23万人、高校の先生は約26万人(2020年国勢調査)が働いています。2025年度採用の教員採用試験の倍率は中学校3.6倍、高校3.8倍と過去最低で、なりたい人には門が広がっています。

平均年収の目安約666万〜735万円約450万〜950万円(年齢・役職・自治体・公立私立で差がある)
なるまでの難しさ★★★★★大学で教えたい教科の中学校または高校の教員免許を取り、教員採用試験に合格する必要があります。教科の免許は教育学部だけでなく、文学部、理学部、工学部、経済学部などさまざまな学部の教職課程で取れます。採用試験の倍率は中学校3.6倍、高校3.8倍(2025年度採用)と下がっていますが、社会科や保健体育など人気の教科は倍率が高く、数学や理科、技術などは低めという教科ごとの差があります。
決めどき文系・理系どちらでも

高校で教えたい教科を決め、その教科を深く学べる学部(教職課程あり)を選ぶ。大学1年から教職課程の授業を取り始める

どんな職種がある?

押すと、その職種の仕事内容・必要な力・キャリアが見られます。

中学・高校の先生の年収と昇進の流れ

教諭(初任者)450〜540万円
1〜3年目、22〜25歳

初任者研修を受けながら授業、副担任・担任、部活動の顧問を経験します。授業と学級経営を一人で任せられることが次の段階の目安です。

教諭(中堅)520〜700万円
4〜10年目、25〜32歳

受験学年の担任や部活動の中心として活躍し、数校を経験します。教科の研究授業などで力を示し、主任教諭や主務教諭の選考を目指します。

主任教諭・主務教諭620〜780万円
8年目以降・30歳以上が目安(東京都の主任教諭選考)

学年主任、教科主任、進路指導主事などとして学校運営の中心を担います。主任教諭を2年以上経験すると主幹教諭の選考を受けられます(東京都の場合)。

主幹教諭・指導教諭700〜850万円
30代後半〜40代

校長・教頭を助けて学校の仕事をまとめ、指導教諭は授業の手本として先生を指導します。教育管理職選考に合格すると副校長(教頭)になります。

教頭・副校長800〜950万円
40代〜50代

先生の勤務管理、入試の運営、保護者・地域・教育委員会との対応を担います。管理職経験を積むと校長選考を受けられます。

校長900〜1,100万円
50代〜

学校の最高責任者として教育方針と学校の特色づくり、危機管理を担います。

年収は目安です。会社や地域、本人の働き方で大きく変わります。

働き方で何が違う?

公立中学校公立高校私立中学・高校採用するのは都道府県・政令市都道府県学校ごと異動は数年ごとにある県内の高校を異動原則なしとくに大きい仕事生徒指導・部活動・高校受験進学校は大学受験、専門高校は資格・就職学校の方針にそった特色ある教育講師として働きながら受験高校の採用試験の受験者の約3分の2は既卒者学校の種類で、異動と仕事の中心が変わる
私立では、常勤講師から専任教諭に登用される流れも多く見られます
公立中学校(市区町村立)初年度約450万〜510万円、経験20年で約800万円前後(自治体による)

義務教育の学校で、地域のすべての子どもが通います。先生は都道府県・政令市に採用され、数年ごとに異動します。生徒の学力や家庭の状況がさまざまなので、教科指導に加えて生徒指導や部活動、高校受験の進路指導の比重が大きいのが特徴です。

良いところいろいろな生徒と関われ、給料と雇用が安定している

大変なところ部活動や生徒指導の負担が大きく、勤務時間が長くなりやすい

公立高校(都道府県立など)初年度約450万〜510万円、経験20年で約800万円前後(自治体による)

入試で選ばれた生徒が通い、進学校、専門高校、定時制・通信制など学校ごとに特色があります。先生は都道府県に採用され、県内の高校を異動します。進学校では大学受験指導、専門高校では資格や就職の指導が中心になります。

良いところ専門性の高い授業ができ、異動で多様な学校を経験できる

大変なところ学校によって仕事内容が大きく変わり、異動ごとに適応が必要

私立中学・高校学校法人の規程による(公立より高い学校も低い学校もある)

学校法人が運営し、中高一貫の進学校、大学付属校、宗教系の学校、スポーツや芸術に力を入れる学校などがあります。先生は学校ごとに採用され、原則として異動がなく、長く同じ学校で教えます。常勤講師から専任教諭に登用される流れも多く見られます。

良いところ異動がなく、学校の教育方針にそって特色ある教育に打ち込める

大変なところ採用数が少なく、学校の経営状況が給料や雇用に影響する

正規教員/常勤講師・非常勤講師正規:給料表による/常勤講師:正規に近い給料表/非常勤:1時間あたりの報酬

正規の先生は採用試験に合格して定年まで働きます。常勤講師は期間を決めて担任や授業を担当し、非常勤講師は決まった時間の授業だけを担当します。高校の採用試験の受験者の約3分の2は既卒者で、講師として働きながら受験する人が多くいます。

良いところ講師は採用前に現場経験を積め、複数校で幅広い経験ができる

大変なところ講師は雇用が1年ごとで不安定になりやすい

代表的な会社・職場

都道府県教育委員会政令指定都市教育委員会教育委員会国立附属校私立中高一貫校大学付属校専門高校高等専門学校
東京都教育委員会都道府県教育委員会

東京都の公立中学校・都立高校の先生を採用しています。全国でも採用人数が多い自治体です。

東京都の給料表による(地域手当20%)
神奈川県教育委員会都道府県教育委員会

神奈川県の公立中学校(横浜市・川崎市・相模原市を除く)と県立高校の先生を採用しています。

神奈川県の給料表による
大阪府教育委員会都道府県教育委員会

大阪府の公立中学校と府立高校の先生を採用しています。

大阪府の給料表による
横浜市教育委員会政令指定都市教育委員会

横浜市立の中学校・高校の先生を採用しています。大卒新卒の初年度年収は約510万円が目安です。

初年度約510万円、20年後約818万円(目安)
各道府県・政令市の教育委員会教育委員会

全国68の都道府県・政令市などの教育委員会が、教科ごとに教員採用試験を行っています。

各自治体の給料表による
国立大学附属中学校・高校国立附属校

筑波大学附属や東京学芸大学附属など、教育研究と教育実習の場となっている学校です。

大学の規程による
私立中高一貫校私立中高一貫校

中学から高校までの6年間を一貫して教える私立学校で、大学進学に力を入れる学校が多くあります。

学校法人の規程による
大学付属の私立中学・高校大学付属校

大学の系列の中学・高校で、多くの生徒が系列の大学に進学します。探究やキャリア教育に力を入れる学校が多いです。

学校法人の規程による
公立専門高校(工業・商業・農業など)専門高校

専門的な知識と技術を教える高校で、資格取得や就職の指導が中心です。

自治体の給料表による
高等専門学校(高専)高等専門学校

中学卒業後5年間で技術者を育てる学校です。先生は大学教員に近い立場で、研究も行います。

国立高専機構などの規程による

どうやって稼いでいる?

先生の給料は、どこから出る?公立中学校公立高校私立中学・高校国3分の1都道府県(政令市)3分の2都道府県の予算授業料入学金+私学助成国と都道府県国の制度で負担県立が多い生徒数しだい高等学校等就学支援金(国)2025年度から公立高校の授業料は所得制限なく無償化。2026年度から私立高校への支援も大きく拡充私立は、生徒が集まるかが経営を左右する
私立高校が人気のコースを作ったり部活動の実績を宣伝したりするのは、生徒を集めるためでもあります

公立中学校の先生の給料は、小学校と同じく都道府県(政令市)が払い、その3分の1を国が負担しています(義務教育費国庫負担制度)。公立高校は都道府県立が多く、先生の給料は都道府県の予算から出ています。高校の授業料は国の高等学校等就学支援金で実質無償化されていて、2025年度からは所得制限なく公立高校の授業料が無償化され、2026年度からは私立高校への支援も大きく拡充されました。私立中学・高校は、授業料や入学金、国と都道府県の私学助成で運営されていて、生徒がどれだけ集まるかが学校の経営に直結します。たとえば私立高校が人気のコースを作ったり、部活動の実績を宣伝したりするのは、生徒を集めて経営を安定させるためでもあります。

1
義務教育費国庫負担金(公立中学校)

公立中学校の先生の給料の3分の1を国が、残りを都道府県(政令市)が負担します。

2
都道府県の教育予算(公立高校)

都道府県立高校の先生の給料や学校の運営費は、都道府県の予算でまかなわれます。

3
高等学校等就学支援金

高校の授業料を国が支援する制度です。公立高校の授業料は実質無償化され、私立高校にも所得などに応じた支援があります。

4
私立学校の授業料と私学助成

私立中学・高校は、保護者が払う授業料・入学金と、国や都道府県の私学助成で運営されます。生徒数が経営に直結します。

5
教職調整額と手当

公立の先生には残業代のかわりに教職調整額が払われ、2031年1月に給料月額の10%まで引き上げられる予定です。部活動の休日指導には部活動手当がつきます。

入ってからどうなっていく?

大学(18〜22歳)専門教科と教職課程文学部、理学部、教育学部などで専門の教科を学びながら、教職課程の授業を取ります。4年生で母校などで教育実習(中学校は3〜4週間、高校は2〜3週間が多い)をし、夏に採用試験を受けます。
1〜3年目(22〜25歳)初任者初任者研修を受けながら授業を担当し、副担任や担任、部活動の顧問を経験します。教科の先輩に授業を見てもらい、教え方を磨きます。
4〜10年目(25〜32歳)担任・部活動の中心受験学年の担任や部活動の中心として活躍し、数年ごとに別の学校へ異動します。大学院で学び直して専修免許を取る先生もいます。
10〜20年目(30代〜40代前半)主任・主務教諭学年主任、教科主任、進路指導主事などとして学校運営の中心を担います。2026年度に新しくできた主務教諭や、主幹教諭への昇任を目指します。
15〜25年目(40代)教頭(副校長)・指導主事管理職選考に合格して教頭になるか、教育委員会の指導主事として学校を指導する立場になります。
25年目以降(50代〜)校長校長として学校の最高責任者になります。定年後は再任用や私立学校での勤務、大学の教職課程の講師などで経験を生かす人もいます。

中学・高校の1年(4月の入学式から3月の卒業式まで)

学校全体受験学年(中3・高3)4月入学式・始業式新入部員を迎える5〜7月定期テスト部活動の大会進路面談が始まる8月補習・講習大会・合宿・研修推薦入試の書類準備(高3)9〜11月体育祭・文化祭修学旅行推薦・総合型の出願と面接練習12〜2月調査書の作成出願の確認高校入試・大学入試・就職3月成績のまとめ次の年の準備卒業式で送り出す受験学年の担任は、1年を通して進路を支える
3月に次の年の担任や授業の分担が決まり、準備を始めます
1
4月:新学期と授業びらき

入学式・始業式で新しい生徒を迎え、最初の授業で1年間の学び方を伝えます。部活動の新入部員の受け入れも始まります。

2
5〜7月:授業と定期テスト

中間・期末テストの作成と採点、成績処理をします。部活動の大会が多く、中学3年や高校3年は進路面談が始まります。

3
8月:夏休み

補習や講習、部活動の大会や合宿、研修があります。高校3年の担任は推薦入試の書類準備を進めます。

4
9〜11月:体育祭・文化祭と推薦入試

体育祭や文化祭、修学旅行などの行事があります。高校では総合型選抜や学校推薦型選抜の出願と面接練習が本格化します。

5
12〜2月:入試シーズン

中学3年は高校入試、高校3年は大学入学共通テストや一般入試、就職試験に挑みます。先生は調査書の作成や面接練習、出願の確認をします。

6
3月:卒業式と次年度準備

卒業式で3年生を送り出し、1年間の成績をまとめます。次の年の担任や授業の分担が決まり、準備を始めます。

公立学校教員採用選考試験(中学校・高等学校)

合格率中学校3.6倍・高校3.8倍(2025年度採用、どちらも過去最低。中学校:受験者3万6,621人・採用者1万168人、高校:受験者1万9,705人・採用者5,152人)
勉強時間の目安大学3〜4年の1年〜1年半ほどで準備する人が多い。教科の専門試験は大学の学びとつながるため、日ごろの勉強が土台になる
受験資格受験する教科の中学校または高等学校の教員免許状を持っている人、または採用の年の3月までに取る見込みの人。年齢制限を廃止・緩和する自治体が増えている
中学3.6倍、高校3.8倍と過去最低の倍率ですが、教科ごとの差が大きく、社会や保健体育などは今も高い倍率になることがあります。教科の専門試験は大学レベルの内容も出るため、専門の勉強をしっかりしておく必要があります。面接や模擬授業も重視されるので、教育実習やボランティアで実際に教える経験を積むことが合格への近道です。
試験科目(押すと中身が見られます)
合格までの流れ
  1. 出願(春)4〜5月ごろに、働きたい自治体と受験教科を選んで出願します。
  2. 一次試験(夏)6〜7月ごろに筆記試験などがあります。大学3年生で一次試験を受けられる自治体も増えています。
  3. 二次試験(夏〜秋)面接、模擬授業、論作文、実技などがあります。
  4. 合格・名簿登録合格すると採用候補者名簿に登録され、翌年4月に学校に配属されます。
  5. 着任と初任者研修4月に着任し、1年間の初任者研修を受けます。

中学・高校の先生のある1日

7:30

出勤して授業の準備をします。部活動の朝練習がある日は早めに出勤します。

8:20

職員の打ち合わせで今日の予定や連絡事項を共有します。

8:35

朝のホームルームで出欠を取り、連絡を伝えます。

8:50

1〜4時間目の授業です。空き時間には小テストの採点や教材の準備をします。

12:40

給食(中学校)や昼食の時間です。昼休みに生徒の相談にのることもあります。

13:30

5・6時間目の授業や、総合的な探究の時間の指導をします。

15:30

帰りのホームルームと掃除の指導をします。

16:00

部活動の指導、または会議や生徒・保護者との面談をします。

18:00

部活動が終わったあと、翌日の授業準備、テストの作成、成績の入力をします。

19:00

退勤します。テストや行事の前は遅くなることがあります。

もっと知りたい人へ

そもそも中学・高校の先生とは

中学・高校の先生は、学校教育法で決められた中学校・高等学校で、生徒に専門の教科を教える教員です。小学校の先生がほとんどの教科を一人で教えるのに対して、中学・高校の先生は自分の免許の教科だけを担当する「教科担任制」で働きます。たとえば中学校の社会の先生は、1年生の地理、2年生の歴史、3年生の公民を教え、高校の社会(地理歴史・公民)の先生は、日本史探究や政治・経済など、さらに細かい科目を担当します。授業のほか、学級担任、部活動の顧問、進路指導、生徒指導など、生徒の学校生活全体に関わります。中学校は義務教育の最後の3年間、高校は社会に出る前の3年間で、生徒の将来の選択を支える大事な時期を担当します。

中学校と高校のちがい

中学校は義務教育で、地域のすべての子どもが通うため、学力や家庭の状況がさまざまな生徒がいます。高校は入試で選ばれた生徒が集まるため、学校ごとに生徒の学力や目標がそろっていることが多く、進学校、専門高校、定時制など学校の特色によって先生の仕事も変わります。

教えられる教科

中学校では国語、社会、数学、理科、音楽、美術、保健体育、技術、家庭、英語など、高校ではこれに加えて地理歴史、公民、情報、工業、商業、農業、福祉、書道などの免許があります。複数の教科の免許を持つと、受けられる採用区分や担当できる授業が増えます。

探究の時間

高校では2022年度から「総合的な探究の時間」が始まり、生徒が自分で課題を見つけて調べ、発表する学びが重視されています。たとえば「地元の商店街を元気にするには」というテーマで、生徒が店にインタビューし、提案をまとめる授業があります。先生は答えを教えるのではなく、生徒の問いを深める伴走役になります。

なるためのルート

中学・高校の先生になるには、大学で教えたい教科の中学校教諭または高等学校教諭の免許状を取る必要があります。小学校の免許と違い、教科の免許は教育学部だけでなく、文学部(国語・英語・社会)、理学部(数学・理科)、工学部(数学・理科・工業・情報)、経済学部・商学部(社会・商業)、体育学部(保健体育)など多くの学部の教職課程で取れます。免許を取ったら、公立なら都道府県・政令市の教員採用試験、私立なら学校ごとの採用試験を受けます。大学院で学ぶと専修免許が取れ、より深い専門性を身につけられます。

  1. 高校で教えたい教科を決める自分が好きで、深く学びたい教科を考え、その教科を学べる学部と教職課程のある大学を調べます。
  2. 大学で専門と教職課程を学ぶ(4年)専門の教科の授業に加えて、教育学、教育心理学、各教科の指導法などの教職課程の授業を取ります。
  3. 教育実習と介護等体験4年生で中学校または高校で教育実習を行います。中学校の免許には特別支援学校や福祉施設での介護等体験も必要です。
  4. 教員採用試験を受ける夏に働きたい自治体の採用試験を受けます。私立の場合は学校ごとの試験や私学の適性検査を受けます。
  5. 免許を受け取って着任卒業と同時に免許状が授与され、4月から先生として学校に配属されます。
中学と高校の免許を両方取る

同じ教科なら、中学校と高校の免許を同時に取れる大学が多くあります。中学の免許には介護等体験(7日間)が必要で、教育実習も3〜4週間と高校より長めです。両方持っていると、採用試験で中高どちらの区分も選べます。

社会人から先生になる道

民間企業で働いた経験のある人を対象にした特別選考を行う自治体が増えています。また、教員免許を持っていなくても、専門的な知識や経験を持つ人に都道府県が「特別免許状」を出す制度もあり、たとえば研究者やエンジニアが高校で理科や情報を教える例があります。

試験・選考の詳細

公立中学・高校の教員採用試験は、教科ごとに募集が行われます。一次試験は教職教養と、教える教科の専門試験(中学・高校レベルから大学の基礎レベルまで)が中心で、二次試験は面接、模擬授業、場面指導、論作文、教科によっては実技(英語の会話、保健体育の実技、音楽の演奏、理科の実験など)があります。2025年度採用の受験者は中学校3万6,621人・採用者1万168人で倍率3.6倍、高校は受験者1万9,705人・採用者5,152人で倍率3.8倍と、どちらも過去最低でした。高校は既卒の受験者が約3分の2を占め、講師として働きながら受験する人が多くいます。

教科ごとの倍率の差

採用試験の倍率は教科によって大きく違います。社会や保健体育は希望者が多く倍率が高くなりやすく、技術や家庭、理科などは志望者が少なく倍率が低めになりがちです。ねらう教科によって準備の仕方も変わります。

私立学校の採用

私立中学・高校は学校ごとに採用を行い、筆記試験、面接、模擬授業などがあります。東京や静岡など一部の地域では、私学協会が行う適性検査を受けて名簿に登録し、学校から声がかかる仕組みもあります。私立は常勤講師として採用され、数年後に専任教諭になる流れも多く見られます。

年収のリアル

公立中学・高校の先生の給料は、小学校と同じく自治体の教育職給料表の級と号給で決まります。横浜市の目安では、大卒新卒の初年度年収が約510万円、10年後に約706万円、20年後に約818万円です。給料に加えて、残業代のかわりの教職調整額、地域手当、扶養手当、住居手当、部活動手当、年2回のボーナスがあります。2025年の給特法改正で、教職調整額は給料月額の4%から2026年1月に5%、その後毎年1%ずつ上がって2031年1月に10%になる予定です。また2026年度から学級担任には月3,000円程度の加算、新しくできた主務教諭には教諭より月6,000円程度高い給料が設定される見込みです。

公立と私立の差

私立中学・高校の給料は学校法人ごとに決まります。歴史のある有名私立校の中には公立より高い給料の学校もあれば、低い学校もあります。私立は異動がない代わりに、学校の経営状況が給料に影響します。

部活動手当

休日に部活動を指導すると部活動手当がつきますが、数時間の指導で数千円程度と、時間に対しては低めです。部活動の地域移行が進むと、先生の休日の働き方も変わっていきます。

管理職になると

教頭(副校長)や校長になると、給料表の級が上がり管理職手当がつきます。一方で教職調整額はつかなくなります。副校長で年収850万円前後の例があり、校長はさらに高くなります。

やりがい

中学・高校の先生のやりがいは、好きな教科の面白さを生徒に伝えられること、そして10代の大きな成長と進路の選択に立ち会えることです。たとえば、数学が苦手だった生徒が「先生の説明で初めてわかった」と言ってくれたり、自分の授業がきっかけで生徒が理学部や文学部に進んだりすることがあります。部活動で3年間一緒に練習してきた生徒が最後の大会で力を出し切る姿や、悩んでいた生徒が自分の進路を見つけて卒業していく姿は、何にも代えがたい経験です。卒業生が大人になって同じ先生という職業を選ぶこともあります。

教科の専門家として

自分の専門教科を深く研究し続けられるのも魅力です。研究授業や教科の研究会で、ほかの学校の先生と授業を見せ合い、教え方を工夫し続けられます。

人生の分かれ道に立ち会う

中学3年と高校3年は、進学や就職を決める大事な時期です。生徒が自分の将来を真剣に考え、決断していく過程を支えられるのは、この仕事ならではのやりがいです。

大変なこと・きついこと

中学・高校の先生の大変さとして、長時間労働、とくに部活動の負担がよく挙げられます。国の2022年度の調査では、中学校の先生が学校にいる時間は平日1日平均11時間1分、土日も1日平均2時間18分で、小学校より長くなっていました。高校の先生も平日10時間6分、土日2時間14分です。授業の準備、テストの作成と採点、部活動、生徒指導、進路指導、保護者対応など仕事の種類が多いことが原因です。思春期の生徒は悩みも複雑で、いじめや不登校、SNSのトラブルなどへの対応に神経を使います。

部活動の地域移行

先生の負担を減らすため、2023年度から休日の中学校の部活動を地域のクラブなどに移していく取り組みが進められています。たとえば土日のバレー部の練習を地域のスポーツクラブが担当し、平日は学校で練習する形です。地域によって進み方には差があります。

専門外の仕事の多さ

教科を教えることが好きで先生になったのに、事務作業や会議、生徒指導に多くの時間を取られることにギャップを感じる人もいます。国は時間外の在校時間を2029年度までに月平均30時間程度に減らす目標を掲げ、デジタル化や支援スタッフの配置を進めています。

向いている人

中学・高校の先生に向いているのは、自分の専門教科が好きで、その面白さを人に伝えたいと思える人です。たとえば、歴史の出来事を「なぜそうなったのか」まで調べるのが好きな人は、生徒の興味を引き出す授業ができます。思春期の生徒は先生をよく見ているので、誠実で、生徒を一人の人として尊重できる人が信頼されます。部活動や行事で生徒と一緒に汗をかける体力のある人、進路の相談にのれるように世の中のことに関心を持ち続けられる人も向いています。

厳しさと優しさのバランス

中学・高校の生徒は、反抗したり悩んだりしながら大人になっていく時期です。ルールを守らせる厳しさと、話をじっくり聞く優しさの両方を持てる人が、生徒の成長を支えられます。

学び続ける人

教科の内容も入試制度も社会も変わり続けます。新しいことを学ぶのが好きで、自分の授業を改善し続けられる人が長く活躍できます。

高校生のうちにできること

高校生のうちにできる一番の準備は、教えたい教科を深く学ぶことです。たとえば英語の先生になりたいなら、教科書の文法を「なぜこうなるのか」説明できるまで理解し、英検などで力を確かめてみましょう。自分がわからなかったところ、先生の説明でわかるようになったところをメモしておくと、将来の授業のヒントになります。部活動や生徒会、文化祭の運営など、人をまとめる経験も役立ちます。今の先生に「先生の仕事で大変なことは何ですか」と聞いてみるのも、リアルな情報を得るよい方法です。

学部の選び方

教育学部は教えることを中心に学び、文学部や理学部は教科の専門を深く学びます。どちらからでも先生になれるので、自分が深めたいものに合わせて選びましょう。志望する大学・学部に、取りたい教科の教職課程があるか必ず確認してください。

文理の選択

数学・理科・情報・技術の先生を目指すなら理系、国語・社会・英語の先生を目指すなら文系が一般的です。保健体育や音楽、美術は専門の学部や実技の入試があることもあります。

代表的な会社・職場

中学・高校の先生の多くは、公立中学校(市区町村立)や公立高校(都道府県立など)で働きます。公立中学校は全体の91.4%を占め(2025年度)、公立の先生は都道府県や政令市の教育委員会に採用されて、その地域の中で数年ごとに異動します。私立中学・高校は、中高一貫の進学校、大学の付属校、宗教系の学校、スポーツや芸術に力を入れる学校などさまざまで、先生は学校ごとに採用され、原則として異動はありません。ほかに国立大学の附属中学・高校、中等教育学校(中高一貫校)、高等専門学校などがあります。

専門高校

工業高校、商業高校、農業高校、水産高校などの専門高校では、専門教科の先生が実習や資格取得の指導をします。たとえば工業高校の電気科の先生は、電気工事士の資格試験に向けた実技指導をします。

定時制・通信制高校

定時制高校は夜間などに授業を行い、働きながら学ぶ人や不登校を経験した生徒が通います。通信制高校は自宅学習と登校日を組み合わせた学校で、生徒数が増えています。生徒一人ひとりに寄り添う支援が求められます。

教員の給料表と昇任のしくみ

公立中学・高校の先生の昇任は、給料表の「級」と選考試験で決まります。東京都を例にすると、教諭(2級)、主任教諭(3級)、主幹教諭・指導教諭(4級)、副校長(5級)、校長(6級)という段階があります。主任教諭の選考は教職経験8年以上かつ30歳以上、主幹教諭などの4級職選考は主任教諭を2年以上経験していることが条件です。さらに教育管理職選考に合格すると副校長になり、管理職を3年以上経験すると校長選考を受けられます。2026年度からは全国で、教諭と主幹教諭の間に「主務教諭」という新しい職が作られ、若手の支援や学校の調整を担う中堅の先生の処遇が改善されます。

教育委員会への異動

先生の中には、教育委員会の指導主事として、学校の授業を指導したり、教育政策を作ったりする仕事に就く人もいます。指導主事を経験すると、その後管理職になることが多いです。

管理職選考の種類

東京都の教育管理職選考には、年齢や経験によってA・B・Cの区分があり、若いうちから管理職を目指すA選考は44歳未満が対象です。どの時期に管理職を目指すかによって受ける選考が変わります。

部活動と働き方改革

日本の中学・高校では部活動が教育の一部として大切にされてきましたが、先生の長時間労働の大きな原因になってきました。運動部の顧問になると、平日の放課後に加えて土日も練習や大会の引率をすることがあり、休みがほとんどない先生もいました。そこで国は、2023年度から休日の中学校の部活動を段階的に地域のクラブや団体に移す取り組みを進めています。たとえば地域のスポーツクラブや、退職した先生、大学生などが指導者となり、先生は希望すれば兼職として関われる形です。2025年の給特法改正では、時間外の在校時間を2029年度までに月平均30時間程度に減らすことも目標とされました。

部活動指導員

部活動指導員は、先生の代わりに部活動の指導や大会の引率ができる外部の専門家です。自治体が雇い、先生の負担を減らす役割を担います。

先生が部活動を続けたい場合

部活動の指導が好きで先生になった人もいます。地域移行後も、先生が希望すれば地域クラブの指導者として兼職し、報酬を受け取る仕組みを作る自治体もあります。

よくある質問

教育学部じゃなくても中学・高校の先生になれますか?

なれます。文学部、理学部、工学部、経済学部など、多くの学部に教職課程があり、教えたい教科の免許を取れます。専門を深く学んだうえで先生になる人も多くいます。

中学と高校、どちらの先生になるか迷っています

同じ教科なら両方の免許を同時に取れる大学が多いので、大学で両方取ってから決めることもできます。義務教育で幅広い生徒と関わりたいなら中学、より専門的な内容を教えたいなら高校が向いています。

採用試験の倍率は教科で違いますか?

大きく違います。社会や保健体育は倍率が高めで、技術や家庭、理科などは低めの傾向があります。全体では中学3.6倍、高校3.8倍(2025年度採用)と過去最低です。

部活動の顧問は必ずやらないといけませんか?

これまでは多くの先生が顧問をしてきましたが、部活動の地域移行や、顧問を希望制にする学校も増えています。学校や自治体によって状況が違うので、働く自治体の方針を調べてみましょう。

先生の給料は上がるのですか?

2025年の法改正で、残業代のかわりの教職調整額が2026年1月から毎年1%ずつ上がり、2031年1月に給料月額の10%になる予定です。学級担任への加算や主務教諭の新設もあり、処遇は改善の方向にあります。

私立学校の先生と公立学校の先生は何が違いますか?

公立は地方公務員で、数年ごとに異動があり、給料は自治体の給料表で決まります。私立は学校法人の職員で、原則として異動がなく、学校の教育方針にそって長く同じ学校で教えます。給料は学校によって違います。

理系の先生は足りていないって本当ですか?

数学や理科、情報、技術などの教科は、民間企業への就職を選ぶ理系の学生が多いこともあり、先生が不足しがちと言われています。情報の先生は特に不足していて、特別免許状などで専門家を採用する動きもあります。

先生になってから大学院に行けますか?

行けます。教職大学院など、働きながら、または休職して学べる大学院があります。専修免許を取って専門性を高め、指導教諭や指導主事などの道につなげる先生もいます。

高校生のうちから先生の仕事を体験できますか?

教育学部のオープンキャンパスで模擬授業を受けたり、地域の学習支援ボランティアで小中学生に勉強を教えたりする方法があります。今の先生に話を聞くのも、具体的なイメージをつかむのに役立ちます。

この分野のことば

年収について:厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)」の年収は、中学校教員735.2万円(小学校教員と同じ統計区分)、高等学校教員666.1万円(平均年齢43.9歳)で、いずれも令和7年賃金構造基本統計調査をもとにした目安です。公立の先生は自治体の給料表で給料が決まり、横浜市の例では大卒新卒の初年度年収が約510万円、20年後が約818万円です(令和8年1月時点)。2026年1月から教職調整額が段階的に引き上げられ、2031年1月に給料月額の10%になる予定です。私立高校は学校法人ごとの規程で決まり、学校によって差が大きいです。

数字はすべて公開データにもとづく目安です。出典は出典・サイトポリシーにまとめています。

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